JP4036331B2 - 処理液供給ノズル及び処理液供給装置、並びにノズルの洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等の基板上に処理液を供給するための処理液供給ノズル及び処理液供給装置並びにノズル洗浄方法に関し、例えばウエハ表面に層間絶縁膜を形成するための塗布液を供給する処理液供給ノズル及び処理液供給装置並びにノズル洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの工程において、例えばSOD(Spin On Dielectric)システムにより層間絶縁膜を形成している。このSODシステムでは、半導体ウエハ(以下、ウエハ)上に塗布材料をスピンコートし、加熱等の物理的処理や化学的処理を施して層間絶縁膜を形成している。
例えば、シロキサン系ポリマーや有機ポリマーの層間絶縁膜を形成する場合、有機溶媒にて希釈された材料をウエハ上に吐出し、スピンコータにより塗布する。次に、段階的に目的に応じた環境下にて熱処理等を行う。また、材料によっては、塗布後にアンモニア雰囲気による処理や溶剤置換処理など化学的処理を追加する必要がある。
【0003】
前記したように、ウエハ上に処理液を供給する工程では、例えば、レジスト液をウエハ上に塗布する技術と同様にスピンコート法が用いられている。かかるスピンコート法は、例えば、カップ内でスピンチャック上にウエハを載せて回転させ、処理液供給ノズルよりウエハの回転中心に塗布液を供給してウエハ全面に均一に伸展させるものである。
このようなスピンコート工程において用いられる処理液供給装置の処理液供給ノズルは、例えば、ウエハ表面に向けて処理液を吐出する吐出口をその下端に有すると共に、その上端が移動機構によって把持されている。処理液供給ノズルは、この移動機構によってカップ内のウエハの回転中心とカップ外に配置されたドレインカップとの間を移動するように構成されている。
【0004】
ところで、ウエハ表面へ処理液を供給すると、処理液供給ノズルの先端部に処理液が残存して付着し、前記処理液供給ノズル先端部に付着したこの処理液は、時間の経過とともに濃縮した液体あるいは凝固物に変化する。これら濃縮した液体や凝固物はウエハへの処理液供給中にウエハ上に落下し、塗布むらや膜厚変動等を起こす原因となる。
【0005】
この課題を解決するため、本願出願人は特開2001−38272号公報(特許文献1)において処理液供給ノズル及び処理液供給装置を提案している。この提案した処理液供給ノズル及び処理液供給装置について、図7に基づいて説明する。
図7において、符号51はウエハ表面に絶縁膜を形成する塗布液(処理液)を吐出するための処理液供給ノズル51であって、この処理液供給ノズル51はノズル保持体50に固定されている。
また、この処理液供給ノズル51は、大径管52とその内部に挿通、配置された小径管54とにより構成されている。この小径管54の先端部の吐出口55は、大径管52の先端部に形成された吐出口53から、下方向に突出した状態に構成されている。
更に、前記大径管52と小径管54の間であって前記吐出口53の近傍には、大径管52に対して小径管54を保持するための保持部材60が設けられている。この保持部材60は、前記したように小径管54を大径管52に固定するものであるが、後述する洗浄液の流下の障害にならないように複数の孔(図示せず)が設けられている。
【0006】
一方、図中の符号56は、ウエハ上に塗布する塗布液(処理液)を貯蔵するタンクであって、ポンプ57を介して前記タンク56内の塗布液が小径管54に供給されるように構成されている。
また、図中の符号58は、小径管54の先端部周辺を洗浄するための洗浄液を貯蔵するタンク58であって、ポンプ59を介してタンク58内の洗浄液(処理液)が大径管52に供給されるように構成されている。
【0007】
このように構成された処理液供給装置では、前記タンク56内の塗布液がポンプ57によって小径管54に供給され、吐出口55からウエハ表面に塗布される。
この塗布終了後、処理液供給ノズル51は、図示しないドレインカップ上にノズル保持体50の移動にともなって移動し、小径管54内に残った塗布液(処理液)をドレインカップ内に吐出する。
ここで、前記小径管54の先端部周辺、特に該先端部外周面には、前記したように塗布液が残存、付着している。そのため、タンク58内の洗浄液をポンプ59によって大径管52に供給し、小径管54の外周面に該洗浄液を這わせ流下させる。この洗浄液の流下によって、小径管54の先端部外周面に付着した塗布液(処理液)は洗い流され、洗浄される。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−38272号公報(第5頁右欄第29行乃至第6頁左欄第2行、第7図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように特開2001−38272号公報に記載された処理液供給装置にあっては、小径管54の先端部の洗浄を、大径管52内に洗浄液を供給し小径管54の先端部外周面に洗浄液を這わせ、流下させることによって行なっている。
このとき、洗浄液が小径管54の外周面の一部を流下し、小径管54の外周面全面を満遍なく、流下しないという技術的課題があった。詳述するならば、前記洗浄液が小径管54の外周面に接触し、該外周面に一筋の洗浄液の流れが形成されると、続いて供給された洗浄液は、該外周面の一筋上を流下する。その結果、小径管54の外周面全面を満遍なく流下せず、洗浄液で洗浄されない部分が生じ、かかる部分に塗布液(処理液)が残存するという技術的課題があった。
このように、小径管54の先端部(外周面)に残存する塗布液を完全に洗浄することができず、前記した処理液供給ノズルに付着した処理液に起因する、塗布むらや膜厚変動等を抑制できなかった。
【0010】
本発明は、前記したような技術的課題を解決するためになされたものであり、処理液供給ノズルの洗浄時にノズル外周面全体を満遍なく洗浄することができ、ノズル外周面に残った処理液を洗い流すことのできる処理液供給ノズル及び処理液供給装置並びにノズル洗浄方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた処理液供給ノズルは、処理液を吐出する第1の吐出口を備えるノズルと、前記ノズルが有する第1の吐出口よりも大径に形成され、前記ノズルが挿通可能な第2の吐出口を備えるノズルホルダーと、前記ノズルホルダーの内周面とノズルの外周面との間に形成され前記第2の吐出口に繋がる、少なくとも洗浄液が供給される空間とを具備する処理液供給ノズルであって、前記ノズルホルダーあるいはノズルが上下移動可能に構成され、前記ノズルの第1の吐出口が前記第2の吐出口から突出し、前記第1の吐出口から処理液を吐出する状態と、前記ノズル全体が該ノズルホルダーに収容され、前記洗浄液でノズルが洗浄される状態をなすように構成され、前記ノズルホルダー内面に螺旋状溝が形成されていることを特徴としている。
このように、ノズル洗浄時にノズル全体をノズルホルダーによって覆い、ノズル外周面とノズルホルダー内周面との間に形成された空間に洗浄液を流すことによって、ノズル外周面、特にノズル先端部を満遍なく洗浄することができる。
また、前記ノズルホルダー内面に螺旋状溝が形成されている場合には、洗浄液が回転流となって流れ落ち、ノズル外周面の洗浄効果が増大し、より効果的にノズル洗浄を行うことができる。
【0012】
ここで、前記ノズル全体が該ノズルホルダーに収容されている状態において、前記空間内に洗浄液およびガスを供給し、ノズルの先端部外周面を洗浄することが望ましい。
このように、洗浄液とガスを供給すると洗浄液中にガスが混入した状態となり、洗浄液自体の洗浄効果のほか、ガスの気泡による洗浄効果も得ることができ、より確実にノズルの外周面全体に付着した処理液を洗浄することができる。
【0013】
また、前記ノズル全体が該ノズルホルダーに収容されている状態において、前記空間内にガスを供給し、ノズルの外周面を乾燥することが望ましい。
【0014】
また、上記目的を達成するためになされた処理液供給装置は、処理液を吐出する第1の吐出口を備えるノズルと、前記ノズルが有する第1の吐出口よりも大径に形成され、前記ノズルが挿通可能な第2の吐出口を備えるノズルホルダーと、前記ノズルホルダーの内周面とノズルの外周面との間に形成され前記第2の吐出口に繋がる、少なくとも洗浄液が供給される空間とを具備し、前記ノズルホルダーあるいはノズルは上下移動可能に構成され、前記ノズルの第1の吐出口が前記第2の吐出口から突出し、前記第1の吐出口から処理液を吐出する状態と、前記ノズル全体が該ノズルホルダーに収容され、前記洗浄液でノズルが洗浄される状態をなすように構成された処理液供給ノズルを備える処理液供給装置であって、前記ノズルの第1の吐出口に処理液を供給する処理液供給手段と、前記空間内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを備え、前記ノズルホルダー内面に螺旋状溝が形成されていることを特徴としている。
このように、ノズル洗浄時にノズル全体をノズルホルダーに収容し、ノズル外周面とノズルホルダー内周面との間に形成された空間に洗浄液を流すことによって、ノズル外周面を満遍なく、より確実に洗浄することができる。
また、前記ノズルホルダー内面に螺旋状溝が形成されている場合には、洗浄液が回転流となって流れ落ち、ノズル外周面の洗浄効果が増大し、より効果的にノズル洗浄を行うことができる。
【0015】
ここで、前記空間内にガスを供給するガス供給手段とを備えることが望ましい。このようにガス供給手段が備えられているため、洗浄の際、洗浄液と共にガスを空間に供給でき、洗浄効果を向上させることができる。また、洗浄の後、ガスを空間に供給することによって、ノズル外周面の乾燥を速めることができる。
【0017】
更に、上記目的を達成するためになされたノズル洗浄方法は、処理液を吐出供給する処理液供給ノズルの外周面に付着した処理液を洗浄するノズル洗浄方法において、吐出口を有するノズルホルダーに前記ノズルを収容する工程と、前記ノズル外周面と前記ノズルホルダー内周面の間に形成された空間に洗浄液を供給、貯留することによって、該ノズル外周面に付着した処理液を洗浄し、該洗浄液を前記吐出口から排出する工程とを少なくとも含み、前記ノズルホルダー内面に螺旋状溝が形成され、前記洗浄液が、前記螺旋状溝に沿って前記ノズル外周面を旋回しながら、前記吐出口から排出されることを特徴としている。
このように、前記ノズル外周面と前記ノズルホルダー内周面の間に形成された空間に洗浄液が供給、貯留されるため、ノズル外周面に付着した処理液をより確実に洗浄することができる。特にノズル先端の端面に付着した処理液も洗浄することができる。
【0018】
特に、前記ノズルホルダー内面に螺旋状溝が形成され、前記洗浄液が、前記螺旋状溝に沿って前記ノズル外周面を旋回しながら、前記吐出口から排出されるため、洗浄液が回転流となって流れ落ち、ノズル外周面の洗浄効果が増大し、より効果的にノズル洗浄を行うことができる。
また、前記ノズル外周面と前記ノズルホルダー内周面の間に形成された空間に洗浄液を供給する際、該空間にガスを供給し、該ノズル外周面に付着した処理液を洗浄することが望ましい。
更に、前記洗浄液による前記ノズル外周面に付着した処理液の洗浄工程の後、前記ノズル外周面と前記ノズルホルダー内周面の間の空間にガスを供給することによって、該ノズル外周面に付着した洗浄液を乾燥処理することが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる処理液供給ノズル及び処理液供給装置並びにノズル洗浄方法について、図1乃至図3に示す一実施形態に基づいて説明する。尚、図1は、例えば前記したSODシステムにおけるSOD塗布処理ユニット(処理液供給装置)の概略構成を示す平面図であり、図2は、処理液供給装置の要部及び処理液供給ノズルの概略構成を示す断面図であり、また、図3は、処理液供給ノズルの洗浄状態を示す断面図である。
【0020】
このSOD塗布処理ユニット(処理液供給装置)Aでは、ユニット底の中央部に環状のカップCPが配設され、その内側にスピンチャックが配置されている。スピンチャックは真空吸着によってウエハWを固定保持した状態で、駆動モータの回転駆動力で回転するように構成されている。
処理液供給ノズルBは、カップCPの外側に配設されたノズル待機部80でノズルスキャンアーム81の先端部に着脱可能に取り付けられ、スピンチャックの上方に設定された所定の塗布液(処理液)吐出位置まで移送されるようになっている。ノズルスキャンアーム81は、ユニット底板の上に一方向(Y方向)に敷設されたガイドレール82上で水平移動可能な垂直支持部材83の上端部に取り付けられており、図示しないY方向駆動機構によって垂直支持部材83と一体にY方向で移動するようになっている。
【0021】
このノズルスキャンアーム81は、ノズル待機部80で処理液供給ノズルBを選択的に取り付けるためにY方向と直角なX方向にも移動可能であり、図示しないX方向駆動機構によってX方向にも移動するようになっている。
【0022】
またノズル待機部80で処理液供給ノズルBの吐出口が溶媒雰囲気室の口80aに挿入され、中で溶媒の雰囲気に晒されることで、ノズル先端の処理液が固化または劣化しないようになっている。また、複数本の処理液供給ノズルBが設けられ、処理液の種類に応じてそれらのノズルが使い分けられるようになっている。
【0023】
更に、カップCPとノズル待機部90との間には、ドレインカップ84が設けられており、この位置においてウエハWに対する処理液の供給に先立ち、あるいは供給後に処理液供給ノズルBの洗浄が行われるようになっている。なお、この洗浄については後述する。
【0024】
また、ガイドレール82上には、上記したノズルスキャンアーム81を支持する垂直支持部材83だけでなく、リンスノズルスキャンアーム85を支持しY方向に移動可能な垂直支持部材86も設けられている。リンスノズルスキャンアーム85の先端部には、サイドリンス用のリンスノズル87が取り付けられている。Y方向駆動機構(図示せず)によってリンスノズルスキャンアーム85及びリンスノズル87は、カップCPの側方に設定されたノズル待機位置(実線の位置)とスピンチャックに載置されているウエハWの周縁部の真上に設定されたリンス液吐出位置(点線の位置)との間で並進または直線移動するようになっている。そして、処理液供給ノズルBよりウエハW上に絶縁膜材料を供給した後に、このリンスノズル87によりウエハW表面周辺部にソルベントを供給してこの部分の絶縁膜材料を溶解して除去する。これにより、搬送系によりウエハWを搬送している時にウエハWの絶縁膜がどこかに接触し絶縁膜が剥がれて発塵するのを防止することができる。
【0025】
なお、図1では、図解を容易にするため、処理液供給ノズルBおよびリンスノズル87にそれぞれ接続する配管を図から省いている。また、図1では、ピンセット88がステーションに出入りするための開口部89に取り付けられているシャッタを図から省いている。
【0026】
更に、図2に基づいて、SOD塗布処理ユニット(処理液供給装置)Aについて説明する。
この処理液供給装置Aの要部となる構成は、この処理液供給装置Aは、処理液供給ノズルBと、前記処理液供給ノズルBに塗布液(処理液)を供給する塗布液供給源9と、前記処理液供給ノズルBの洗浄時に洗浄液を供給する洗浄液供給源13と、前記洗浄液を供給する際あるいは洗浄後乾燥させる際、ガスを供給するガス供給源12と、前記処理液供給ノズルBを移動させるノズルスキャンアーム81等の搬送手段等から構成されている。
【0027】
まず、前記処理液供給ノズルBの構成について説明する。この処理液供給ノズルBは、塗布液(処理液)の吐出口を有するノズル1と、前記ノズル1が挿通する貫通孔2aを有し、該ノズル1を収容可能なノズルホルダー2と、前記ノズルホルダー2を上下動可能に保持するホルダーベース3と、前記ノズル1に塗布液(処理液)を供給する塗布液供給管4と、ノズル1を固定するノズル固定部6と、前記ホルダーベース3とノズル固定部6とを固定し、ノズルスキャンアーム81に固定される保持部5とから構成される。
なお、ノズルホルダー2は容易に着脱が可能なように設計されており、ノズルホルダー2を外すことにより、ノズル1が容易に交換できるように構成されている。
【0028】
前記ノズル1の下方部は小径の円形管形状に形成され、その先端には塗布液を吐出する第1の吐出口である吐出口1aが設けられている。また、ノズル1上方部は大径の円筒形状に形成され、その中心部に前記吐出口1aに繋がる貫通孔1bが形成されている。更に、前記ノズル1の上方部の外周面には螺子部1cが形成され、ノズル1はノズル固定部6の螺子部6cに螺合、固定されている。
また、前記ノズル1の貫通孔1b内には塗布液供給管4が嵌入、固定され、塗布液供給管4から供給される塗布液が、ノズル1の吐出口1aから導出されるように構成されている。
【0029】
前記ノズル1は、耐熱性、耐薬品性が良好な合成樹脂であるテフロン(登録商標)素材により形成されている。テフロン(登録商標)素材は撥水性を有するため、その外周面はノズル1の洗浄時に洗浄液が満遍なく流下し易くなるように、粗面加工が施され、親水化されている。この粗面加工は、例えばUV照射等の化学的処理あるいはヤスリがけ等の機械的処理により成されている。
【0030】
前記ノズル固定部6には、塗布液供給管4を嵌通して固定する貫通孔6aが形成されている。このノズル固定部6の上部外周面には螺子部6bが形成され、ノズルスキャンアーム81に固定される保持部5の螺子部5bに螺合し、固定されている。
このように、ノズル1は、ノズル固定部6を介して保持部5に固定されているため、ノズル1はスピンコート中に揺動しない。
【0031】
また、前記ノズルホルダー2の中心部には、前記したようにノズル1の下方部(先端部1d)が挿通する貫通孔2aが形成されている。また、このノズルホルダー2は椀状形状に形成され、ノズルホルダー2の内周面とノズル1の外周面との間に、洗浄液が導入される空間Sが形成されている。
更に、ノズルホルダー2の外周面には、螺子部2bが形成され、ホルダーベース3の螺子部3bと螺合している。そして、該ノズルホルダー2を回転させることにより、ホルダーベース3に対して、このノズルホルダー2は、上下移動可能に形成されている。なお、このノズルホルダー2の上下移動は、ホルダー駆動部11の回転動作によって行なわれる。
【0032】
このノズルホルダー2の貫通孔2aは、洗浄液を吐出する第2の吐出口である吐出口として機能する。前記ノズル1の外周面と前記貫通孔2aの内周面との間には、所定間隔の隙間が形成され、ノズル1に接することなくノズルホルダー2が上下移動できるように形成されている。
なお、塗布液(処理液)を吐出する図2の状態においては、ノズル1の先端部1dが貫通孔2aから下方に突出している。一方、ノズル1を洗浄する状態にある図3の状態においては、ノズルホルダー2が下方に移動し、ノズル1はその全体がノズルホルダー2の内部に収容され、ノズルホルダー2によって覆われるように構成されている。
【0033】
また、前記ノズル保持部5には、ノズル1を洗浄するための洗浄液あるいは洗浄液を乾燥等するためのN2ガス等のガスを前記空間Sに供給するための液/ガス供給口15が設けられている。この液/ガス供給口15には、バルブ14を介して洗浄液供給手段である洗浄液供給源13と、ガス供給手段であるガス供給源12が接続されている。
また、塗布液供給管4にはバルブ10を介して塗布液供給手段である塗布液供給源9が接続されている。
【0034】
なお、この前記ノズル保持部5(螺子部5a)とホルダーベース3(螺子部3a)は、パッキン7を介して、螺合、固定されている。また、前記ノズル保持部5は、ノズルスキャンアーム81が接続され、ウエハ上の位置とノズル待機位置である図示しないドレインカップ上の位置との間を処理液供給ノズルBを移動できるように構成されている。
【0035】
以上のように構成された処理液供給装置Aにおける塗布液(処理液)吐出からノズル洗浄までの動作について説明する。
先ず、絶縁膜を形成するための塗布液(処理液)をノズル1からウエハ上へ吐出する場合には、まず、図2に示すようにノズルホルダー2の貫通孔2aからノズル1の吐出口1aが突出した状態になす。そして、ノズル保持部5に接続されたノズルスキャンアーム81によって、ノズル1の吐出口1aを、ウエハWの中心直上部にウエハWと所定の距離をもって位置するように搬送する。
【0036】
その後、ウエハWを回転し、次いでバルブ10を開き、塗布液(処理液)供給源9からポンプ等の手段によって、塗布液(処理液)供給管4に塗布液を供給する。そして、塗布液供給管4に供給された塗布液(処理液)は、ノズル1の吐出口1aからウエハW上に吐出される。このとき、ウエハWは回転しているため、ウエハW上に供給された塗布液(処理液)は遠心力によりウエハW全面に伸展され塗布される。
【0037】
前記ウエハW上への塗布作業が終了すると、バルブ10が閉じられる。このときノズル1の吐出口1aは開放された状態となっているが、バルブ10が閉じられるため、バルブ10とノズル1の吐出口1aとの間に残存する塗布液(処理液)は、表面張力により吐出口1aから落下することはない。
次いで、ノズル保持部5が固定されたノズルスキャンアーム81によって、図示しないドレインカップ上に処理液供給ノズルBを搬送する。そして、バルブ10が再び開けられ、バルブ10とノズル1の吐出口1aとの間に残存する塗布液がドレインカップ84内に排出される。
【0038】
次に、ノズル1先端部1dに付着した塗布液(処理液)の洗浄作業を行う。ホルダー駆動部11の回転動作により、ノズルホルダー2を下方に移動させ、図3に示すようにノズル1全体をノズルホルダー2に収容、覆った状態とする。
そして、バルブ14において洗浄液供給源13側を開弁し、洗浄液供給源13のポンプを駆動することによって、液/ガス供給口15から空間Sに洗浄液を供給する。このとき、ノズル1とノズルホルダー2の空間Sに、ある程度洗浄液は貯留されるように供給される。供給された洗浄液は、ノズルホルダー2の吐出口である貫通孔2aからドレインカップ84内に流れ落ちる。
このように、ノズル1とノズルホルダー2との空間Sに洗浄液が貯留された状態を維持しながら洗浄を行い、ノズル1の外周面全体を満遍なく洗浄液によって洗浄する。ノズル1に付着した塗布液は、該洗浄液によってノズルホルダー2の貫通孔2aからドレインカップ84内に排出される。
【0039】
続いて、ノズル1の外周面とノズルホルダー2内周面に残った洗浄液の乾燥作業を行う。バルブ14において洗浄液供給源13側が閉弁され、ガス供給源12側が開弁される。その結果、ガス供給源12からN2ガスが液/ガス供給口15に供給され、N2ガスは、空間Sに供給された後、ノズルホルダー2の貫通孔2aから外部に排出される。
このとき、高圧のN2ガスを供給することにより、ノズル1の外周面及びノズルホルダー2の内周面に付着した洗浄液を、短時間で乾燥することができる。そして、この乾燥処理が行なわれた後、バルブ14を閉じ、ガス供給源12からのN2ガスの供給を停止することによって、塗布液(処理液)吐出からノズル洗浄までの一連の動作が終了する。
【0040】
以上のように、本発明にかかる一実施の形態においては、ノズルの洗浄時にノズル1全体をノズルカバー2で覆い、ノズル1外周面とノズルカバー2内周面の空間Sに洗浄液を貯留して流下することにより、ノズル1の外周面全体を満遍なく、洗浄することができる。即ち、洗浄液が行き渡らずに、塗布液(処理液)が残存するという弊害を防止でき、塗布むらや膜厚変動等の不具合を抑制できる。
【0041】
また、上記実施形態では、洗浄液を供給して洗浄した後、ガスを供給して乾燥するようになしたが、洗浄液を供給する際、ガスを同時に供給するようにしても良い。このように、洗浄液とガスを同時に供給すると洗浄液中にガスが混入した状態となり、洗浄液自体の洗浄効果のほか、ガスの気泡による洗浄効果も得ることができ、より確実にノズル1の外周面全体に付着した塗布液を洗浄することができる。
【0042】
次に、前記ノズルホルダー2を変形した第二の実施形態について図4乃至図6に基づき説明する。図4乃至図6において図1乃至図3に示した部材と同一あるいは相当する部材は、同一符号で示すことにより、その詳細な説明は省略する。この図4に示した形態は、図2に示した第一の実施の形態とノズルホルダーの形状のみが異なる。即ち、図4に示すノズルホルダー20は、その内周面に図5に示すような螺旋状溝20bが形成されている。
この螺旋状溝20bは、ノズルホルダー20の中間部内周面から始まり、ノズルホルダー20の貫通孔20aに繋がるように形成され、空間Sに供給された洗浄液に回転流を発生させる。その結果、該洗浄液は、ノズル1の外周面全体を満遍なく流下し、ノズル1の外周面全体を洗浄する。
【0043】
このように構成されたノズルホルダー20が用いられた処理液供給装置ににあっても、塗布液(処理液)の吐出は、図4に示すようにノズル1がノズルホルダー20から突出した状態で行なわれる。
また、ノズル1を洗浄する際には、図6に示すようにホルダー駆動部11によってノズルホルダー20を下方に移動させ、ノズル1の全体をノズルホルダー2によって収容、覆った状態とする。そして、前記した第一の実施形態と同様に、バルブ14を開き、洗浄液を洗浄液供給源13からノズル1外周面とノズルホルダー2内周面との間の空間Sに供給する。
このとき、洗浄液は空間Sに貯留された状態を維持しながら流下するが、ノズルホルダー2の内周面に形成された螺旋状溝に沿って流れるため、洗浄液の流れが回転流となり、より効果的にノズル1に付着した塗布液を流し落とすことができる。
【0044】
また、乾燥処理する際には、バルブ14において洗浄液供給源13側が閉弁され、ガス供給源12側が開弁され、ガス供給源12からN2ガスが液/ガス供給口15に供給されるる。このとき、ノズルホルダー2の内周面に形成された螺旋状溝に沿ってガスが流れるため、このガス流も回転流となり、より効果的に洗浄液の乾燥処理が行なわれる。
【0045】
また、この実施形態においても、洗浄液を供給する際、ガスを同時に供給するようにしても良い。このように、洗浄液とガスを同時に供給すると洗浄液中にガスが混入した状態となり、洗浄液自体の洗浄効果、洗浄液の回転流による効果のほか、ガスの気泡による洗浄効果も得ることができ、より確実にノズル1の外周面全体に付着した塗布液(処理液)を洗浄することができる。
【0046】
なお、前記した第一、第二の実施形態においては、ノズルホルダー2(ノズルホルダー20)をノズルホルダー駆動部11によって回転させることによって、上下移動させ、ノズル1の全体がノズルホルダー2(ノズルホルダー20)に収容、覆われるように構成されている。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、ノズル1自体を上下移動させ、ノズル1の全体がノズルホルダー2(ノズルホルダー20)に収容、覆われるよう構成してもよい。
また、前記した第一、第二の実施形態においては、ノズルホルダー2(ノズルホルダー20)をノズルホルダー駆動部11によって回転させるように構成されているが、ノズル待機部あるいはドレインカップ部にノズル1を回転させるための機構を設けても良い。また、人手によってノズルホルダー2(ノズルホルダー20)を回転させても良い。
【0047】
また、前記した第一、第二の実施形態においては、SODシステムにおけるSOD塗布処理ユニット(処理液供給装置)を例にとって説明したが、本発明はSODシステムによる層間絶縁膜の形成のみならず、SOG(Spin On Glass)膜の形成や、レジスト膜、ポリミド膜、強誘電体、他の絶縁膜等の形成に適用することができる。
上記実施形態では、半導体ウエハを処理する装置について説明したが、FPD(フラットパネルディスプレイ)やマスク等に使用されるガラス基板を処理する装置についても本発明は適用可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなとおり、ノズル外周面の洗浄時にノズル外周面全体を満遍なく洗浄することができ、確実にノズル外周面に残存した処理液を洗い流すことのできる処理液供給ノズル及び処理液供給装置並びにノズル洗浄方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかる第一の実施形態を示す概略平面図である。
【図2】図2は、本発明にかかる第一の実施形態の要部を示す概略断面図である。
【図3】図3は、図2に示した処理液供給ノズルの洗浄状態を示す概略断面図である。
【図4】図4は、ノズルホルダーを変形した第二の実施形態を示す概略断面図である。
【図5】図5は、図4に示すノズルホルダーの平面図である。
【図6】図6は、図4に示したの処理液供給ノズルの洗浄状態を示す概略断面図である。
【図7】図7は、従来の処理液供給装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
A 処理液供給装置
B 処理液供給ノズル
S 空間
W ウエハ
1 ノズル
1a (第1の)吐出口
2 ノズルホルダー
2a 貫通孔(第2の吐出口)
3 ホルダーベース
4 塗布液(処理液)供給管
5 ノズル保持部
6 ノズル固定部
9 塗布液(処理液)供給源
11 ホルダー駆動部
12 ガス供給源
13 洗浄液供給源
15 液/ガス供給口
20 ノズルホルダー
20b 螺旋状溝
80 ノズル待機部
81 ノズルスキャンアーム
82 ガイドレール
83 垂直支持部材
84 ドレインカップ
Claims (8)
- 処理液を吐出する第1の吐出口を備えるノズルと、前記ノズルが有する第1の吐出口よりも大径に形成され、前記ノズルが挿通可能な第2の吐出口を備えるノズルホルダーと、前記ノズルホルダーの内周面とノズルの外周面との間に形成され前記第2の吐出口に繋がる、少なくとも洗浄液が供給される空間とを具備する処理液供給ノズルであって、
前記ノズルホルダーあるいはノズルが上下移動可能に構成され、前記ノズルの第1の吐出口が前記第2の吐出口から突出し、前記第1の吐出口から処理液を吐出する状態と、前記ノズル全体が該ノズルホルダーに収容され、前記洗浄液でノズルが洗浄される状態をなすように構成され、
前記ノズルホルダー内面に螺旋状溝が形成されていることを特徴とする処理液供給ノズル。 - 前記ノズル全体が該ノズルホルダーによって覆われている状態において、前記空間内に洗浄液およびガスを供給し、ノズルの先端部外周面を洗浄することを特徴とする請求項1に記載された処理液供給ノズル。
- 前記ノズル全体が該ノズルホルダーに収容されている状態において、前記空間内にガスを供給し、ノズルの外周面を乾燥することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された処理液供給ノズル。
- 処理液を吐出する第1の吐出口を備えるノズルと、前記ノズルが有する第1の吐出口よりも大径に形成され、前記ノズルが挿通可能な第2の吐出口を備えるノズルホルダーと、前記ノズルホルダーの内周面とノズルの外周面との間に形成され前記第2の吐出口に繋がる、少なくとも洗浄液が供給される空間とを具備し、前記ノズルホルダーあるいはノズルは上下移動可能に構成され、前記ノズルの第1の吐出口が前記第2の吐出口から突出し、前記第1の吐出口から処理液を吐出する状態と、前記ノズル全体が該ノズルホルダーに収容され、前記洗浄液でノズルが洗浄される状態をなすように構成された処理液供給ノズルを備える処理液供給装置であって、
前記ノズルの第1の吐出口に処理液を供給する処理液供給手段と、前記空間内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを備え、
前記ノズルホルダー内面に螺旋状溝が形成されていることを特徴とする処理液供給装置。 - 前記空間内にガスを供給するガス供給手段とを備えることを特徴とする請求項4に記載された処理液供給装置。
- 処理液を吐出供給する処理液供給ノズルの外周面に付着した処理液を洗浄するノズル洗浄方法において、
吐出口を有するノズルホルダーに前記ノズルを収容する工程と、
前記ノズル外周面と前記ノズルホルダー内周面の間に形成された空間に洗浄液を供給、貯留することによって、該ノズル外周面に付着した処理液を洗浄し、該洗浄液を前記吐出口から排出する工程とを少なくとも含み、
前記ノズルホルダー内面に螺旋状溝が形成され、前記洗浄液が、前記螺旋状溝に沿って前記ノズル外周面を旋回しながら、前記吐出口から排出されることを特徴とするノズル洗浄方法。 - 前記ノズル外周面と前記ノズルホルダー内周面の間に形成された空間に洗浄液を供給する際、該空間にガスを供給し、該ノズル外周面に付着した処理液を洗浄することを特徴とする請求項6に記載されたノズル洗浄方法。
- 前記洗浄液による前記ノズル外周面に付着した処理液の洗浄工程の後、前記ノズル外周面と前記ノズルホルダー内周面の間の空間にガスを供給することによって、該ノズル外周面に付着した洗浄液を乾燥処理することを特徴とする請求項6または請求項7に記載されたノズル洗浄方法。
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