JP4035593B2 - 拭き取り溶液の製造および使用済拭き取り溶液の処理の方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、少なくとも90%の水および添加剤を含む新鮮な拭き取り溶液を製造し、そして、閉ループにおいて操作される1以上の凹版印刷機械のインクにより1度使用された拭き取り溶液を処理する方法、並びに、この方法を実施するための装置に関する。
【0002】
凹版印刷において、パターンが彫られた印刷版は版シリンダーに取り付けられ、そして版シリンダーと同一の方向に回転している拭き取りシリンダーにより拭き取られ、インクを拭き取っている拭き取りシリンダーは印刷版の彫刻凹版の外側にある。拭き取りシリンダー上にあるインクを拭き取るために、シリンダー下部はワイピングタンク中にあり、このワイピングタンクはブラシまたは拭き取り歯を具備している。ノズルシステムは新鮮な拭き取り溶液を拭き取りシリンダー上にスプレーし、そして一度インクと混合した前記新鮮な溶液は使用済み溶液としてワイピングタンクから排除される。
【0003】
例として、米国特許第5,390,598 号は凹版印刷機械における拭き取りシリンダーを永久に洗浄するための装置を記載している。
【0004】
実際、新規のインクが開発され、そしてこれらの新規のインクは水性溶液を使用して拭き取りプロセスを行うことができ、それは環境に対して害が殆どない。凹版印刷において使用されるこれらの新規のインクは、例えば、米国特許第4,966,628 号および欧州特許0 340 163 号の開示のように当業界において知られている。このようなインクは、とりわけ、油樹脂性成分および顔料を含む。このような凹版印刷機械において、この新規のインクに使用される水性拭き取り溶液も現状技術において知られており、そしてそれは少なくとも90%の水および添加剤を含む。
【0005】
これらの拭き取り溶液の1 つは、独国特許第DE 1 546 776号に記載されており、そして1〜5重量%のカセイアルカリ、2〜10重量%の、リン酸アルカリ塩を含む通常洗浄剤、および、1〜10重量%の湿潤剤を含む水性溶液からなる。より詳細には、この水性溶液は、1.5〜2.5重量%のカセイソーダNaOH、2〜5重量%のリン酸ナトリウムNa3 (PO4 )および1〜3重量%のスルホン化ヒマシ油を含む。
【0006】
別の拭き取り溶液は米国特許第3,389,656 号に記載されており、そして約1〜5重量%の強塩基、例えば、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムまたはカセイアルカリアンモニア、約2〜10重量%の洗浄剤、および約0.3〜10重量%の湿潤剤、例えば、スルホン化ヒマシ油を含む。
【0007】
現状技術において知られている、新鮮な拭き取り溶液を製造し、そして使用済み拭き取り溶液を処理する方法は、次の工程を含む:
(a)新鮮な拭き取り溶液を製造すること、
(b)新鮮な拭き取り溶液を1個または数個のワイピングタンクへ導入し、そしてインクにより汚染すること、
(c)1個または数個のワイピングタンクから生じた使用済溶液を限外濾過し、透明な溶液および濃厚な残留溶液を製造すること、
(d)新鮮な拭き取り溶液のサーキット内へ透明な溶液をリサイクリングすること、
(e)限外濾過から生じた濃厚な残留溶液を凝集させること、
(f)凝集した溶液を濾過し、固体廃棄物および溶液を製造すること、
(g)濾過済溶液を酸により中和すること、
(h)中和した溶液の化学的酸素要求量を低減すること、および、
(i)低減された溶液の市街排水への廃棄、
を含む。
【0008】
このような方法の例を図1にブロックフローダイアグラムとして示す。
【0009】
限外濾過後のこのプロセスの再生能力は約80%であり、この値は使用されるインクの品質および拭き取り溶液中のその濃度に多少依存するものである。
【0010】
この方法の主とする欠点は、処理され、そして排水に送られる残留溶液が多量の塩を含むことである。これらの塩は、凝集および中和生成物から生じる塩化物であり、そして、また、中和に硫酸を使用したならば、硫酸塩である。
【0011】
化学的酸素要求量としての多量の塩化物および/または硫酸塩の存在は、かなり低減されうるが、完全には除去されることができず、多くの国で問題になっている。
【0012】
更に、使用する機械の数により、水および凝集製品の消費は重要であり、そして高価であることができる。最終的に、使用され、そして市街排水に廃棄される水は生物学的酸素要求量を有する。
【0013】
本発明の目的は、特に、サーキット中の水および凝集製品の主要部分を使用済拭き取り溶液から回収し、新鮮な拭き取り溶液を製造するために使用し、そして市街排水に廃棄しない、閉ループ中で操作可能な方法を実現することである。プロセスの水および凝集製品の消費は、このようにして、大きく低減され、そして固体廃棄物のみを得ることができ、それは環境保護規範によって、後に処理されうる。
【0014】
本発明は、化学的酸素要求量を訂正するための活性炭の使用を避けることもできる。
【0015】
新鮮な拭き取り溶液を製造し、そして使用済拭き取り溶液を処理するためのこのような方法は請求項1および2の工程により規定される。
【0016】
従属請求項3〜8は本発明に係る方法の特定の工程を規定する。
【0017】
独立請求項9は本発明に係る方法を実施するための装置を規定する。
【0018】
従属請求項10〜18は本発明に係る方法を実施するための装置の特定の態様を規定する。
【0019】
本発明は態様の記載および添付の図面により最も良好に理解されるであろう。
【0020】
図1は拭き取り溶液を処理するための方法の現状技術において知られている方法のブロックフローダイアグラムである。
【0021】
図2は拭き取り溶液を製造し、そして再生するための本発明に係る方法のブロックフローダイアグラムである。
【0022】
図3は本発明に係る方法を実施するための装置のブロックフローダイアグラムである。
【0023】
好ましくは、新鮮な拭き取り溶液は、示した比率で、次の構成成分を含む。
−)軟化された水、98.5%、
−)カセイソーダ、NaOH、1%
−)スルホン化ヒマシ油、0.5%
拭き取り溶液は、また、特定量の洗浄剤をも含むことができる。
【0024】
方法の工程(a)において、新鮮な拭き取り溶液は、水、カセイソーダおよびスルホン化ヒマシ油を混合することにより製造される。新鮮な拭き取り溶液は方法の工程(b)において1個または数個のワイピングタンクに導入される。使用済の拭き取り溶液は、その後、方法の工程(c)である限外濾過を行うために、1個または数個のワイピングタンクから限外濾過装置に移される。この工程(c)により、方法の工程(d)において新鮮な溶液として単にリサイクルされる透明溶液と、インクを含む濃厚な残留溶液とを生じる。この限外濾過工程は溶液の約80%の回収が可能である。濃厚な残留溶液は、その後、凝集である方法の工程(e)が行われる。この凝集は塩化カルシウムCaCl2 および塩化第二鉄FeCl3 の添加により行われる。凝集から得られる溶液は、その後、方法の工程(f)において濾過され、そして固体廃棄物および濾過済溶液が得られる。工程(g)において、この濾過された溶液は塩化水素水HClの添加により中和される。中和された溶液は、工程(h)において、蒸留され、それにより、蒸留水および濃厚な塩の溶液を生じる。蒸留水は回収され、方法の工程(i)において新鮮な拭き取り溶液を製造するために使用される一方、濃厚な塩の溶液は方法の工程(j)において濾過され、そしてこの濾過により、通常の固体の塩、および、方法の工程(e)において凝集を行うために最終的に再使用される塩の濃厚溶液を生じる。
【0025】
蒸留水はタンクに送られ、そこで、軟水化された市街水と混合される。この混合物は、例えば、上記に示した比率で、カセイソーダNaOHおよびスルホン化ヒマシ油の添加により新鮮な拭き取り溶液を製造するために使用される。
【0026】
この方法は、殆ど全ての水を再生することが可能であり、市街水から取った水の消費は非常に少なく、そして損失分を補填するに過ぎないであろう。
【0027】
更に、図2のダイアグラムから出ている矢印を考えると、この方法において、固体の廃棄物のみが再使用されておらず、液体は閉ループ内に残っていることが判る。
【0028】
図3は本方法を実施するための装置を示す。
【0029】
この装置は、使用済溶液が通過し、そして、その後、第一濾過ユニット3を通過する第一限外濾過タンク2に送られる使用済溶液タンク1を含む。この第一濾過ユニット3から出てくる透明溶液は新鮮溶液タンク21に送られ、そこから、それは新鮮拭き取り溶液として再使用されるが、この第一限外濾過ユニット3から出てくる濃厚な残留溶液は第二限外濾過タンク4に送られ、そしてそこから第二限外濾過ユニット5に送られる。この第二限外濾過ユニット5から出てくる透明溶液も新鮮溶液タンク21に送られ、それは新鮮な拭き取り溶液として再使用されるが、この第二限外濾過ユニット5から出てくる濃厚な残留溶液は濃厚溶液タンク6に送られる。この濃厚な残留溶液は、その後、凝集タンク7を通過し、そこで、凝集工程が行われる。凝集のために必要な塩化カルシウムCaCl2 および塩化第二鉄FeCl3 を添加する手段は凝集タンク7に具備されている。これらの手段は少なくとも1個のタンクおよび各々の添加される化合物のための投与ポンプを含む。凝集された溶液は、その後、濾過プレス8に送られ、溶液から固体廃棄物が分離される。濾過された溶液は濾過済溶液タンクに貯蔵される。この濾過済溶液は中和タンク10に送られ、そこで、それは塩酸の添加により中和され、そして中和済タンク11に回収される。この目的で、塩酸を塩化するための手段は、中和タンク10に具備されている。これらの手段は少なくとも1個のタンクおよび投与ポンプを含む。この中和済タンク11から、溶液は第一蒸留ユニット12に送られ、そしてこの第一蒸留ユニットから得られた蒸気は蒸留水タンク17に回収され、塩溶液は塩溶液タンク13に行き、そしてその後、第二蒸留ユニット14に行く。この第二蒸留ユニット14から得られた蒸気も蒸留水タンク17に回収され、濃厚な塩溶液は濃厚塩溶液タンク15に送られ、そして濾過システムに送られ、濾過システムから、片側に固体塩が抽出され、そして反対側に残留液体が抽出され、この残留液体は適切な手段、例えば、ポンプにより凝集タンク7にリサイクルされる。蒸留水タンク17から、水はウォータータンク19に送られ、このウォータータンク19は、水軟化装置19を一度通した市街水をも受入れ、そして軟化された水および蒸留水の両方は拭き取り溶液混合タンク20に送られ、そこで、新鮮な拭き取り溶液はスルホン化ヒマシ油およびカセイソーダの添加により調製される。
【0030】
新鮮な拭き取り溶液は、その後、最終的に新鮮溶液タンク21に送られ、そして使用されたときに、1個以上の使用済溶液タンクに戻される。
【0031】
溶液の装置の異なるタンクへの輸送を行うために、ポンプ手段が具備されている。
【0032】
記載された様々な態様は例として提供されたものであり、そして保護範囲内での変更は可能である。例えば、拭き取り溶液の成分の比率は若干変更されうる。更に、中和のために使用される酸は硫酸であることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】現状技術のブロックフローダイアグラムである。
【図2】拭き取り溶液を製造しそして再生するための本発明に係る方法のブロックフローダイアグラムである。
【図3】本発明の方法を実施するための装置図である。

Claims (18)

  1. 少なくとも90%の水および添加剤を含む、新鮮な拭き取り溶液を製造し、そして1以上の凹版印刷機械のインクにより一度使用された前記溶液を処理するための方法であって、前記方法は、
    (a)新鮮な拭き取り溶液を製造すること、
    (b)前記新鮮な拭き取り溶液を1個または数個のワイピングタンクに導入し、そして前記新鮮な溶液をインクにより汚染すること、
    (c)前記1個または数個のワイピングタンクから出てくる使用済溶液を限外濾過し、透明な溶液および濃厚な残留溶液を製造すること、
    (d)前記透明な溶液を新鮮な拭き取り溶液のサーキット内にリサイクルすること、
    (e)前記限外濾過から生じた濃厚な残留溶液を凝集させること、
    (f)前記凝集された溶液を濾過して、固体廃棄物および濾過済溶液を得ること、
    (g)前記濾過済溶液を酸で中和すること、
    (h)前記中和された溶液を蒸留して、濃厚な塩の溶液および蒸留水を製造すること、
    (i)工程(a)で新鮮な拭き取り溶液を製造するために前記蒸留水を使用すること、および、
    (j)前記濃厚な塩の溶液を濾過して、固体塩および残留液体を製造すること、の工程を含む方法。
  2. 工程(j)において生じる残留液体が工程(e)における凝集を行うために再使用される、請求項1記載の方法。
  3. 前記新鮮な拭き取り溶液が、軟化された水、スルホン化ヒマシ油およびカセイソーダNaOHを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記新鮮な拭き取り溶液が98.5%の水、1%のカセイソーダおよび0.5%のスルホン化ヒマシ油を含む、請求項3記載の方法。
  5. 前記凝集が塩化カルシウムCaCl2 および塩化第二鉄FeCl3 の添加により行われる、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 中和が塩酸または硫酸の添加により行われる、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記方法が2つの逐次的な限外濾過工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 前記方法が2つの逐次的な蒸留工程を含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 新鮮な拭き取り溶液を製造し、そして、一度使用された拭き取り溶液を処理するための装置であって、前記装置は、
    新鮮溶液タンク(21)、使用済拭き取り溶液を回収する使用済溶液タンク(1)、使用済溶液タンク(1)からの使用済拭き取り溶液を受けるための限外濾過リサイクルタンク(2)、限外濾過リサイクルタンク(2)に連結された限外濾過ユニット(3)、ここで、前記限外濾過ユニット(3)は透明な溶液を輸送し、そして新鮮溶液タンク(21)に連結されたアウトレット、および、濃厚な残留溶液を輸送し、そして濃厚溶液タンク(6)に連結された別のアウトレットを有する、残留溶液の凝集を行う凝集タンク(7)、凝集された残留溶液を濾過する濾過プレス(8)、濾過プレス(8)から出てくる溶液を受入れる濾過済溶液タンク(9)、濾過済溶液を中和する中和タンク(10)および次の中和済溶液タンク(11)、中和済溶液タンク(11)からの中和済溶液を受け入れる蒸留ユニット(12)、蒸留ユニット(12)の水を受け入れる蒸留水タンク、蒸留ユニット(12)からの塩溶液を受け入れる濃厚塩溶液タンク(13)、濃厚な塩溶液を濾過し、そして固体塩および残留溶液を製造する濾過システム(16)、および、1つの前記タンクから別の前記タンクへの前記溶液およびエフルエントの輸送のためのポンプ手段を含む、装置。
  10. 濾過システム(16)から凝集タンク(7)へ、濾過された残留液体を送るための手段を更に含む、請求項9記載の装置。
  11. 水軟化装置(18)からの軟化された水および蒸留水タンク(17)からの蒸留水を受け入れるウォータータンク(19)、および、ウォータータンク(19)からの水を受け入れ、そして新鮮溶液タンク(21)に連結されている、新鮮な拭き取り溶液を製造するためのタンク、を更に含む、請求項9または10記載の装置。
  12. 新鮮な拭き取り溶液が、軟化された水、スルホン化ヒマシ油、およびカセイソーダNaOHを含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の装置。
  13. 新鮮な拭き取り溶液が、98.5%の水、1%のカセイソーダNaOH、および0.5%のスルホン化ヒマシ油を含む、請求項9〜12のいずれか1項記載の装置。
  14. カセイソーダNaOHおよびスルホン化ヒマシ油を、新鮮な拭き取り溶液(20)を製造するためのタンク(20)に添加するための手段を更に含む、請求項9〜13のいずれか1項記載の装置。
  15. 塩化カルシウムCaCl2 および塩化第二鉄FeCl3 を凝集タンク(7)に添加するための手段を更に含む、請求能9〜14のいずれか1項記載の装置。
  16. 塩酸または硫酸を中和タンク(10)に添加するための手段を更に含む、請求項9〜15のいずれか1項記載の装置。
  17. 前記限外濾過ユニット(3)の次に、第二限外濾過リサイクルタンク(4)および第二限外濾過ユニット(5)を更に含み、そして、前記第二限外濾過ユニットのアウトレットが前記新鮮溶液タンク(21)に連結されている、請求項9〜16のいずれか1項記載の装置。
  18. 前記蒸留ユニット(12)の次に第二蒸留ユニット(14)を更に含み、そして蒸留水タンク(17)が前記第二蒸留ユニット(14)の水を受け入れる、請求項9〜17のいずれか1項記載の装置。
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