JP4035075B2 - 既設壁状構造物の補強構造及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設構造物を補強するための補強パネルと既設構造物の補強方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄筋コンクリート製のボックスカルバートやトンネル、上下水道の浄化施設、柱式或いは壁式橋脚、橋梁の上床スラブや橋桁などの多くの部材は、老朽化や耐震基準の見直し、活荷重の増大や経年疲労などの理由から補強をおこなう必要がある。特に、阪神淡路大地震以降、既設構造物の補強の必要性は高まっているが、補強に際しては既設構造物の機能を停止することなく、短期間に補強できる補強方法の考案が切望されている。
従来の既設構造物の補強方法としては、既設構造物の外面を下地処理した後、補強用の主鉄筋及び配力鉄筋を配置し、型枠を組立てた後にコンクリートを打設する方法が一般的である(特許文献1参照)。かかる場合、所定の補強効果を得るために補強増し厚が少なくとも10〜20cm程度必要である。
また、従来の橋脚のせん断補強として鋼板の巻きたてによる方法がある(図5参照)。すなわち、補強すべき橋脚aの周りに間隙をおいて鋼板bを設置し、間隙にセメント系モルタルcを充填して橋脚a及び鋼板bの一体化を図る方法である。かかる方法では、柱状の橋脚aのように鋼板bで外周を囲むことができる場合には、鋼板bにより柱内部のコンクリートを拘束する効果が期待できる。
さらに、従来の既設構造物を補強パネルにて補強する場合は、炭素繊維シートをフレキシブルボードに介装させた多層構造の補強パネルを使用する方法もある(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−273317号公報
【特許文献2】
特開2001−159213号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来の大断面トンネルの施工方法にあっては、次のような問題点がある。
<イ>地下のボックスカルバートやトンネルなどは、通常トンネル内空側からしか補強できないため、補強のためのスペースに限界がある。
<ロ>地下のボックスカルバートやトンネルなどは、建築限界や付属設備などの制約があるため、許容できる補強増し厚に限界がある。
<ハ>補強増し厚が過大になると、補強後の自重の増大にともなって現状の基礎も補強する必要が生じる。
【0005】
【発明の目的】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、狭隘なスペースでも既設構造物の補強が比較的簡易にできる補強パネル及び既設構造物の補強方法を提供することを目的とする。また、建築限界などの制約に対応できるように補強増し厚が過大とならない補強パネル及び既設構造物の補強方法を提供することを目的とする。また、パネルの構造を多層構造ではなく単一構造とすることにより、比較的容易に製作できる補強パネルを提供することを目的とする。また、パネルの構造を多層構造ではなく単一構造とすることにより、比較的安価に製作できる補強パネルを提供することを目的とする。
本発明は、これらの目的の少なくとも一つを達成するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の既設壁状構造物の補強構造は、繊維補強セメント系混合材料からなり、片面に凹部を備えた複数の補強パネルと、前記複数の補強パネルに設けたアンカーボルト孔に嵌装させる、前記既設構造物に設けたアンカーボルトと、前記複数の補強パネルが相互に隣接する隣接部に、隣接する補強パネルの双方を跨ぐように、前記既設構造物の外面と、隣接する夫々の前記補強パネルの外面と、に取付ける複数の隣接部補強板と、からなることを特徴とする、既設壁状構造物の補強構造である。
また、繊維補強セメント系混合材料からなり、片面に凹部を備えた補強パネルを使用した既設壁状構造物の補強方法は、前記補強パネルが相互に隣接する隣接部に、隣接する補強パネルの双方を跨ぐように隣接部補強板を前記既設構造物の外面に取付け、前記既設構造物に設けたアンカーボルトを前記補強パネルに設けたアンカーボルト孔に嵌装させ、前記補強パネルの前記凹部を備えた片面を前記既設構造物と面するように前記既設構造物と所定の隙間をもって前記補強パネルを前記既設構造物の外面に取付け、隣接する前記補強パネルを夫々前記既設構造物に取付けた後、隣接する補強パネルの双方を跨ぐように前記隣接部補強板を隣接する夫々の前記補強パネルの外面に取付け、前記隙間に充填材を充填することを特徴とする、既設壁状構造物の補強方法である。
さらに、繊維補強セメント系混合材料からなり、片面に凹部を備えた補強パネルを使用した既設壁状構造物の補強方法は、前記補強パネルが相互に隣接する隣接部に、隣接する補強パネルの双方を跨ぐように隣接部補強板を前記既設構造物の外面に取付け、前記補強パネルの前記凹部を備えた片面に接着剤を塗布し、前記既設構造物に設けたアンカーボルトを前記補強パネルに設けたアンカーボルト孔に嵌装させ、前記補強パネルの前記凹部を備えた片面を前記既設構造物の外面に取付け、前記アンカーボルトを締め付け、隣接する前記補強パネルを夫々前記既設構造物に取付けた後、隣接する補強パネルの双方を跨ぐように前記隣接部補強板を隣接する夫々の前記補強パネルの外面に取付けることもできる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0008】
<イ>補強パネル
補強パネル1は、既設構造物6の構成部材の外部に取り付けて、既設構造物6を補強するパネルである。補強パネル1の平面視形状は正方形や矩形など任意の形状に成形することができる(図1参照)。
補強パネル1のパネル厚は、補強パネル1の構成材料や必要強度(性能)などによって調整することができる。
本発明の補強パネル1は繊維補強セメント系混合材料13にて製作することができる。繊維補強セメント系混合材料13としては、例えば、セメント、ポゾラン質微粉末と珪石の粉末、シリカフューム、粒径3mm以下の珪砂、高性能減水剤に水を単位水量(出来上がりコンクリート容積1m3当たり)として175〜180kg程度(水/セメントの比率が20〜22%程度)を加えた高強度セメント系マトリックスに、直径が0.1〜0.3mmで、長さが8〜16mm、引張り降伏応力度が2600〜2800N/mm2の超高強度の鋼繊維を容積で2%程度混入して得られる圧縮強度200〜220MPa、曲げ強度40〜45MPa、付着強度15〜90MPa、透気係数2.5×10- 18m2、吸水率0.05kg/m3、塩分拡散係数0.02×10- 12m2/sec、弾性係数55GPaの特性を持つ繊維補強セメント系混合材料13が使用できる。本材料により製作された補強パネル1はパネル内部に配筋を必要としないため、パネル厚が2cm程度の薄いパネルを製作することができ、また引張材料としても使用することができる。本材料は、一次養生後、さらに90℃で48時間程度の熱養生をすることにより、かかる時間内にセメントの水和反応がほぼ完了するため、養生後には上記の特性を備えた補強パネル1を得ることができる。また、熱養生後は乾燥収縮がほぼゼロであるため、パネルに乾燥収縮によるクラックの発生やパネルのそりなどなどが生じ難いという利点がある。
【0009】
補強パネル1が圧縮側となる時は補強パネル1の圧縮強度が200MPa程度もあることから発生する面外の曲げモーメントに対して高い補強効果を期待することができる。また、補強パネル1が引張側となる時は、補強パネル1の曲げ引張強度が40〜45MPa程度期待できるため、かかる補強パネル1があたかも既設構造物6の外側に主鉄筋および配力鉄筋を増設したのと同等の効果を発揮することができる。
既設構造物6と補強パネル1との力の伝達は、補強パネル1と既設構造物6まで貫通させた後述するアンカーボルト2のジベル効果によるものである。さらに、補強パネル1と既設構造物6との間に充填する後述する充填材3などの付着によるせん断伝達によるものである。従って、既設構造物6の面内せん断力に対して主鉄筋と配力鉄筋の壁を増設したと同じ効果を発揮できるので、面内せん断耐力の向上が図られる。
また、補強パネル1に大きな引張ひずみが作用した場合、通常の鉄筋コンクリートとは異なり、鋼繊維の補強によりひび割れの分散がおこなわれ、従来の鉄筋コンクリートによるクラック幅に比べて1/3〜1/10に低減させることができる。さらに、補強パネル1は靭性に優れているため、補強後の既設構造物6の靭性性能を向上させることができる。
【0010】
既設構造物6は、旧耐震基準に基づいて設計されているものが多いが、そのために面外せん断耐力が不十分な場合が多い。構造物の外側に取付けた補強パネル1は、パネル全体が引張材としてはたらくために、あたかも主鉄筋を増設したのと同等の効果が期待できることから、補強パネル自体が薄いものでありながら、従来の鉄筋コンクリートの増設に比べて、面外せん断耐力の効果的な向上を図ることができる。
例えば、壁厚が30cmで鉄筋量が100kg/m3、コンクリートの圧縮強度が21N/mm2の鉄筋コンクリート壁を本発明の補強パネル1(パネル厚5cm)で補強した場合、面外せん断耐力を2.5〜3.5倍に向上させることができる。また、曲げ耐力を2.6〜3.0倍に向上させることができるとともに靭性性能は2倍以上とすることができる。
【0011】
また、補強パネル1にプレストレスを導入することにより、パネル厚をより薄くすることができるとともに、補強効果を向上させることができる。プレストレスの導入をプレテンション方式によりおこなう場合は、予めプレストレス用のストランドを緊張した状態で例えば繊維補強セメント系混合材料13を打設し、繊維補強セメント系混合材料13が所定強度に達した後に緊張鋼線を切断することでプレストレスが導入された補強パネル1を製作することができる。また、ポストテンション方式によりプレストレスを導入することもできる。
【0012】
<ロ>凹部
凹部11は、補強パネル1の片面(既設構造物6取付け側)に設けて、補強パネル1を既設構造物6に取付ける際に補強パネル1の付着力を増加させるためのものである。
補強パネル1は、図2に示すようにパネル製作型枠71内に例えば一箇所から繊維補強セメント系混合材料13を流し込むことにより製作することができる。パネル製作型枠71内にはアンカーボルト孔12を設けるためのアンカーボルト孔型枠74を備えておく。例えば、所定量の繊維補強セメント系混合材料13を流し込んだ後、凸部73を備えたパネル製作伏型枠72を仕上げ面に設置して、あるいは凸部を備えたゴム乃至樹脂系シートなどを仕上げ面に押し付けて凹部11を成形することができる。
【0013】
<ハ>充填材
充填材3は、補強パネル1と既設構造物6のパネル取付け面との間に設けた隙間に充填することにより、充填材3の硬化によって補強パネル1及び既設構造物6の一体化を図るためのものである。充填材3は補強パネル1を既設構造物6に取付け、アンカーボルト2を補強パネル1に設けたアンカーボルト孔12および既設構造物6のアンカーボルト孔に嵌装して締め付けた後、補強パネル1に設けた充填孔14より充填することができる。
充填材3の材料としては、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂系、EVA系(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂系)、アクリル樹脂系、クロロプレンゴム系、スチレン・ブタジエンゴム系等のゴム系、超高強度繊維補強セメント系混合材料や無収縮セメント系グラウト材料、石膏系等の水・気硬性を有するものなどを使用することができる。
【0014】
<ニ>接着剤
接着剤4は、補強パネル1の凹部11を備えた既設構造物6への取付け面に塗布して補強パネル1を既設構造物6へ取付けることにより、補強パネル1及び既設構造物6の一体化を図るためのものである。なお、補強パネル1の取付けは上記の充填材3によっても、接着剤4によってもよい。
接着剤4の材料としてはエポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂系、EVA系(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂系)、アクリル樹脂系等の樹脂系接着剤、クロロプレンゴム系、スチレン・ブタジエンゴム系等のゴム系接着剤、樹脂モルタルやポリマーセメント系モルタル、石膏系等の水・気硬性接着剤などを使用することができる。補強パネル1の凹部11を備えた面にペースト状の接着剤4を一様の厚さに塗布し、補強パネル1を立てた状態にしてもペーストが垂れ落ちない程度までペーストを硬化させてから補強パネル1の取付けをおこなう。かかる方法により、接着剤4が接着面に均等に行き渡り、補強パネル1と既設構造物6を確実に接合することができる。
【0015】
<ホ>アンカーボルト
予めアンカーボルト2を既設構造物6に打ち込んでおき、補強パネル1のアンカーボルト孔12をアンカーボルト2に嵌装させて補強パネル1を取付けることができる。かかる場合、補強パネル1を取付けた後にナット21にてアンカーボルト2の頭部を締め付けることで補強パネル1と既設構造物6の一体化を図ることができる。また、補強パネル1を仮設した後にアンカーボルト2をアンカーボルト孔12に嵌装させて既設構造物6まで打ち込み、先端にナット21をつけて補強パネル1を締め付けることもできる。アンカーボルト2は、既設構造物6と補強パネル1との間にせん断伝達をおこなわせ、既設構造物6に生じる曲げモーメントやせん断力に対して既設構造物6と補強パネル1が一体となって抵抗できるようにするためのものである。アンカーボルト孔12は補強パネル1を既設構造物6に取付けた後に設けてもよい。すなわち、既設構造物6の主鉄筋61の位置が不明確な場合は、図面により予測をつけるか、場合によってはRCレーダーなどの非破壊試験によって主鉄筋61の位置を特定することができる。したがって、主鉄筋61の位置を予測、特定した後に補強パネル1にアンカーボルト孔12を設けることが好ましい。
アンカーボルト12は、打ち込み先端にコーン楔がついておりアンカーボルトの打ち込みと同時にコーン楔が開いてアンカーボルトが既設構造物6に定着する仕様のものを使用することができる(図示せず)。
【0016】
<ヘ>隣接部補強板
既設構造物6の補強部位に応じて、隣接する補強パネル1の接続部を補強する必要がある。例えば、ボックスカルバートの側壁を補強する場合、補強パネル1をトンネル横断面方向とトンネル軸方向に夫々分割して接続することがある。この場合、トンネル軸方向の補強パネル1の接続は力学的な一体性をあまり必要としないが、トンネル横断面方向の力学的な一体性は重要となる。通常、ボックスカルバート(トンネル)の構造は、トンネル軸に直角方向のトンネル断面を構成するフレームにて外力に抗するように設計が施されているからである。
本発明の既設構造物の補強方法においては、必要に応じて、隣接する補強パネル1の接続部に隣接部補強板5を設けることにより、かかる接続部の補強をおこなうものである。すなわち、既設構造物6において隣接する補強パネル1の接続部となる箇所に隣接部補強板5を取付け、隣接部補強板5が隣接する補強パネル1の夫々を跨ぐように隣接する補強パネル1を取付けた後、補強パネル1の外側から隣接する補強パネル1の夫々を跨ぐように隣接部補強板5を取付ける。外側の隣接部補強板5を取付けた後、アンカーボルト2を打ち込み、ナット21で締め付けて補強パネル1の接続部の一体化を図ることができる。
【0017】
【実施例1】
以下、図3を参照しながら本発明の既設構造物の補強方法の実施例1について説明する。
【0018】
既設構造物6に設けたアンカーボルト2を補強パネル1に設けたアンカーボルト孔12に嵌装させ、補強パネル1の凹部11を備えた片面を既設構造物6と面するように既設構造物6と所定の隙間をもって補強パネル1を仮設する。この際、必要に応じて既設構造物6に予め隣接部補強板5を仮設しておき、隣接部補強板5が隣接する補強パネル1の夫々を跨ぐように補強パネル1を仮設することもできる。隣接部補強板5は樹脂系接着剤や樹脂系モルタル材などを介して補強パネル1に貼り付けておくこともできる。なお、補強パネル1の端部であって補強パネル1と既設構造物6との間には充填材3が漏洩しないようにシール材8を設けておくのが好ましい。隣接部補強板5を使用する場合も、隣接部補強板5の端部であって隣接部補強板5と既設構造物6との間にシール材8を設けておく。
次に、アンカーボルト2をアンカーボルト孔12に嵌装させ、ナット21により締め付けて補強パネル1を固定する。
補強パネル1を固定した後、補強パネル1に設けた充填孔14を介して補強パネル1と既設構造物6の間に充填材3を充填する。
上記の方法を繰り返すことにより、所定範囲の補強を完成させることができる。
なお、所定範囲に補強パネル1を固定した後に一度に充填材3の充填をおこなうこともできる。
【0019】
【実施例2】
以下、図4を参照しながら本発明の既設構造物の補強方法の実施例2について説明する。なお、実施例1と重複する部分については省略する。
【0020】
補強パネル1の凹部11を備えた面に接着剤4を塗布して、補強パネル1を立てた状態にしてもペーストが垂れ落ちない程度までペーストを硬化させてから補強パネル1の取付けをおこなう。すなわち、実施例1との相違点は、充填材3を充填する代わりに、接着剤4にて補強パネル1を既設構造物6に接着させる点およびアンカーボルト2を締め付けて圧着させる点にある。
【0021】
【発明の効果】
本発明の補強パネル及び既設構造物の補強方法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>パネル厚を薄くすることができるため、既設構造物による建築限界などの制約条件に対応しながら既設構造物の補強をおこなうことができる。
<ロ>パネルが多層構造ではなく、単一構造であるため、製作が比較的容易であり、また製作コストも比較的安価である。
<ハ>繊維補強セメント系混合材料にて製作した補強パネルを使用する場合は、材料の緻密性から、中性化や塩分浸透、透水などがほとんどなく、維持管理不要期間を格段に長期化させることができる。
<ニ>繊維補強セメント系混合材料を使用した補強パネルの製作に際し熱養生をおこなうことにより、その後の乾燥収縮によるクラックの発生がほとんど皆無となり得る。
<ホ>補強パネルの大きさや形状は任意に選定できるため、施工や運搬などの施工性の向上を図ることができる。
<ヘ>補強パネルは靭性性能が高い材料なので、面外の曲げ耐力及び面内と面外のせん断耐力の向上のみならず、変形性能(靭性性能)の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の補強パネルを既設構造物に取付けることを示した斜視図。
【図2】本発明の補強パネルの製作の実施例を示した説明図。
【図3】本発明の補強パネルと既設構造物の間に充填材を充填していることを示した断面図。
【図4】本発明の補強パネルを接着剤にて既設構造物に取付けていることを示した断面図。
【図5】従来の鋼板巻きによる既設構造物の補強を示した斜視図。
【符号の説明】
1・・・補強パネル
11・・凹部
12・・アンカーボルト孔
13・・繊維補強セメント系混合材料
2・・・アンカーボルト
3・・・充填材
4・・・接着剤
5・・・隣接部補強板
6・・・既設構造物
Claims (3)
- 既設壁状構造物の補強構造であって、
繊維補強セメント系混合材料からなり、片面に凹部を備えた複数の補強パネルと、
前記複数の補強パネルに設けたアンカーボルト孔に嵌装させる、前記既設構造物に設けたアンカーボルトと、
前記複数の補強パネルが相互に隣接する隣接部に、隣接する補強パネルの双方を跨ぐように、前記既設構造物の外面と、隣接する夫々の前記補強パネルの外面と、に取付ける複数の隣接部補強板と、からなることを特徴とする、
既設壁状構造物の補強構造。 - 繊維補強セメント系混合材料からなり、片面に凹部を備えた補強パネルを使用した既設壁状構造物の補強方法であって、
前記補強パネルが相互に隣接する隣接部に、隣接する補強パネルの双方を跨ぐように隣接部補強板を前記既設構造物の外面に取付け、
前記既設構造物に設けたアンカーボルトを前記補強パネルに設けたアンカーボルト孔に嵌装させ、前記補強パネルの前記凹部を備えた片面を前記既設構造物と面するように前記既設構造物と所定の隙間をもって前記補強パネルを前記既設構造物の外面に取付け、
隣接する前記補強パネルを夫々前記既設構造物に取付けた後、隣接する補強パネルの双方を跨ぐように前記隣接部補強板を隣接する夫々の前記補強パネルの外面に取付け、
前記隙間に充填材を充填することを特徴とする、
既設壁状構造物の補強方法。 - 繊維補強セメント系混合材料からなり、片面に凹部を備えた補強パネルを使用した既設壁状構造物の補強方法であって、
前記補強パネルが相互に隣接する隣接部に、隣接する補強パネルの双方を跨ぐように隣接部補強板を前記既設構造物の外面に取付け、
前記補強パネルの前記凹部を備えた片面に接着剤を塗布し、前記既設構造物に設けたアンカーボルトを前記補強パネルに設けたアンカーボルト孔に嵌装させ、前記補強パネルの前記凹部を備えた片面を前記既設構造物の外面に取付け、
前記アンカーボルトを締め付け、
隣接する前記補強パネルを夫々前記既設構造物に取付けた後、隣接する補強パネルの双方を跨ぐように前記隣接部補強板を隣接する夫々の前記補強パネルの外面に取付けることを特徴とする、
既設壁状構造物の補強方法。
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