JP4034877B2 - 生体組織の凍結保存方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体組織を収納した凍結保存用容器を液体窒素中に浸漬して、凍結保存する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生体組織の長期保存方法として、生体組織を収納した凍結保存用容器を液体窒素中に浸漬する方法が採用されている。ここで使用される凍結保存用容器としては、電子線照射し2軸延伸されたエチレン−酢酸ビニル共重合体のフィルムを用いたもの(特公昭55−44977号公報参照)、2軸延伸された架橋ポリエチレンフィルムを用いたもの(特公昭62−57351号公報参照)等が挙げられる。このような容器でも凍結状態で大きな衝撃を受けると破損してしまい、この容器内にウィルスや有害物質によって汚染された生体組織が収納されていると、この生体組織を取り扱う作業者が感染する危険に晒されるとともに、他の凍結保存用容器も汚染されるという問題があった。
また、従来より、凍結保存用容器にはその内部に収納された生体組織が誰のものであるかを判別するためにラベルが貼付されている。ここで使用されるラベルは、ポリエチレンテレフタレート、紙、ポリオレフィン系不織布等からなるシート層と、アクリル系、シリコーン系、ゴム系粘着剤等からなる粘着剤層との積層構造になっている。生体組織を凍結保存する際、ラベルが直接液体窒素に接触する状態で凍結保存用容器は浸漬されるが、ラベルの粘着力は液体窒素中で低下してしまい、凍結保存用容器から剥がれ流失してしまうことがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は如上の事情に鑑みてなされたもので、万一凍結保存用容器が破損しても生体組織が外部に流出することなく、また凍結保存用容器に貼付されたラベルが剥がれて流失することのない生体組織の凍結保存方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者が、貼付されたラベルが剥がれて流失するのを防止する目的で、凍結保存用容器をプラスチックシートからなる包装体に収納し凍結する試験を行っていたところ、誤って凍結保存用容器を床に落としてしまった時に、驚くべきことには、凍結保存用容器が破損してもプラスチックシートの包装体は破損しなかった。本発明者は、この事実に基づき更に検討の結果、包装体内部を脱気した後封止しすることにより、包装体の破損を確実に防止することができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、生体組織を収納した凍結保存用容器を、プラスチックシートまたはその積層体からなる肉厚0.01〜1.00mmの包装体に収納し、該包装体内部を脱気した後封止し、凍結することを特徴とする生体組織の凍結保存方法である。
ここで、プラスチックシートが、平均分子量100万〜1500万の超高分子量ポリエチレンであるのが好ましい。また、プラスチックシートが、放射線で架橋度50%〜70%に架橋せしめたポリエチレンまたはその共重合体であるのが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の生体組織の凍結保存方法について説明する。
まず、ジメチルスルホキシド等の凍害防止剤が添加された生体組織を凍結保存用容器へ注入し、凍結保存用容器を密閉する。
ここで、凍結保存用容器に収納される生体組織としては、赤血球、血小板、白血球、骨髄、造血幹細胞等が挙げられる。また、凍結保存用容器の材料としては、超高分子量ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、フッ素樹脂、ポリイミド等が挙げられ、液体窒素の温度に耐え得るものが好ましい。
【0006】
次に、ラベルの貼付された凍結保存用容器を、プラスチックシートまたはその積層体からなる肉厚0.01〜1.00mmの包装体に入れる。落下により凍結保存用容器が破損して包装体が破損しないのは、恐らくは、凍結保存用容器とこれに収容され凍結された生体組織とが引っついているため、落下の衝撃により生体組織と一緒に凍結保存用容器も破損するのに対して、包装体と凍結保存用容器とは引っついていないので、包装体が凍結保存用容器と一緒に破損しないものと思われる。また、包装体のほうが凍結保存用バッグよりいち早く加温されるため、衝撃に対する強度の回復が早いので破損しないものとも思われる。
プラスチックシートとしては、脆化温度が−30℃以下の可撓性のフィルムまたはシートが好ましい。ここでいう脆化温度とは、JIS−K−7216による試験方法(一定温度の試験槽に入れた片持ばりの試験片に所定の打撃を与えて測定する方法)で試験した時、試験片の50%が破壊する温度のことである。脆化温度が−30℃以下のプラスチックシートとしては、3ふっ化ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、超高分子量ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、それらの積層体等が挙げられる。必要ならば、平均分子量100万〜1500万の超高分子量ポリエチレン、放射線で架橋度50%〜70%に架橋せしめたポリエチレンまたはその共重合体、これらに低分子量ポリエチレン、ポリエステル等のポリオレフィン系樹脂がラミネートされた積層体等耐衝撃性の大きいものを採用してもよい。包装体としては肉厚が0.01〜1.00mmのシートまたはフィルムからなるものが採用される。フィルムの肉厚が0.01mm未満であると、低温下での衝撃強度が弱く、衝撃によって破損する虞があり、シートの肉厚が1.00mmを越えると、包装体の熱伝導性が低下して凍結が遅くなり生体組織が損傷してしまう傾向がある。
平均分子量100万〜1500万の超高分子量ポリエチレンは、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンとは異なり、耐衝撃性、耐磨耗性、自己潤滑性、耐薬品性、耐寒性、無毒性等の点で非常に優れた性質を示す。平均分子量が1500万を越えると、低温下での衝撃強度はそれほど増加することなく製造コストが増加する傾向がある。そして、超高分子量ポリエチレンシートの成形は、切削加工により行われる。原料となる超高分子量ポリエチレンの粉末を円筒状に圧縮成形し、固化された超高分子量ポリエチレンブロックを鋭利な刃で切削して加工される。このようにして加工された超高分子量ポリエチレンシートにより包装体が成形される。
放射線で架橋度50%〜70%に架橋せしめたポリエチレンまたはその共重合体は、その密度が0.92〜0.95のもので、放射線で架橋度50%〜70%に架橋されることにより、耐衝撃性、耐寒性等を有するようになる。ここで、架橋度が50%未満であると、衝撃強度が弱くなる傾向があり、架橋度が70%を越えるとヒートシールが困難となる傾向がある。放射線架橋に際しては、電子線、γ線等が使用される。電子線源としては、例えば共振変圧器を用いることができ、2ミリオン電子ボルトの電圧引加で線量率は1メガラド/秒で1乃至10メガラドを短時間で照射することができる。また、γ線源としては、線量率0.5メガラド/時のコバルト60を用いることができる。
【0007】
最後に、包装体内部(凍結保存用容器と包装体の間の空間)に存在する空気を脱気した後、包装体の開口部を封止(好ましくはヒートシール)し、液体窒素中に浸漬する。
包装体内部を脱気することにより、包装体は凍結保存用容器の外面に密着するため、生体組織凍結時の熱伝導を妨げることがないので凍結速度に影響を与えることがない。例えば、臍帯血幹細胞の凍結保存においては、いきなり凍結すると組織細胞が損傷してしまうのでこれを防ぐために凍結開始時の降下速度を約2℃/分〜10℃/分にするのが好ましいとされている。また、包装体内部を脱気することにより、包装体内部に空気が存在しているときに発生する破損(外部からの衝撃を直接受けて包装体が破損する)を防ぐことが出来る。脱気方法としては、真空包装の他、真空ポンプに接続されたチューブを包装体の開口部に挿入してここから包装体内部(凍結保存用容器と包装体の間の空間)の空気を排出する、包装体外側から押圧して脱気する等の方法が挙げられる。
そして、包装体の開口部を封止することにより、万一凍結保存用容器が破損しても生体組織が外部に流出することなく、また凍結保存用容器に貼付されたラベルが剥がれて流失することはない。
【0008】
本発明は、生体組織を凍結保存用容器と包装体で二重包装しており、凍結終了後、このものを液体窒素中から取り出し、室温中に放置して生体組織を解凍する。その際、誤って容器を落下させても生体組織は二重包装になっているので外部に飛散することはない。
【0009】
〔実施例1〕
市販されているエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる造血幹細胞保存用バッグに所定量の水を注入し密閉した。そして、肉厚0.13mmの超高分子量ポリエチレンフィルム(作新工業株式会社製、ニューライト)からなる包装体で造血幹細胞保存用バッグを真空包装した後、このものを液体窒素雰囲気中で約2℃/分の降下速度で冷却し、その後、液体窒素中に1時間浸漬させた。
この浸漬された造血幹細胞保存用バッグを収納した包装体を液体窒素中から取り出したところ、包装体に破損はみられず、ラベルの流失はみられなかった。そして、直ちに前記バッグを収納した包装体を1mの高さから床の上に落下させた所、造血幹細胞保存用バッグは破損したが、超高分子量ポリエチレンフィルムからなる包装体は破損せず、内容物(氷)は飛散することなく包装体内に止まった。
【0010】
〔実施例2〕
市販されているエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる造血幹細胞保存用バッグに所定量の水を注入し密閉した。そして、電子線照射により架橋度60%に架橋された肉厚0.15mmのポリエチレンフィルムからなる包装体で造血幹細胞保存用バッグを真空包装した後、このものを液体窒素雰囲気中で約2℃/分の降下速度で冷却し、その後、液体窒素中に1時間浸漬させた。
この凍結された造血幹細胞保存用バッグを収納した包装体を取り出したところ、包装体に破損はみられず、ラベルの流失はみられなかった。そして、直ちに前記バッグを収納した包装体を1mの高さから床の上に落下させた所、造血幹細胞保存用バッグは破損したが、ポリエチレンフィルムからなる包装体は破損せず、内容物(氷)は飛散することなく包装体内に止まった。
【0011】
【発明の効果】
本発明の生体組織の凍結保存方法によって、万一凍結保存用容器が破損しても生体組織が外部に流出することはない。また、凍結保存用容器に貼付されたラベルが液体窒素中で剥がれて流失してしまうこともない。さらに、生体組織を凍結する際に適切な凍結速度を維持でき、この生体組織を損傷することもない。
Claims (1)
- 生体組織を収納し、ラベルが貼付された凍結保存用容器を、平均分子量100万〜1500万の超高分子量ポリエチレン、または、放射線で架橋度50%〜70%に架橋せしめたポリエチレンまたはその共重合体である、プラスチックシートまたはその積層体からなる肉厚0.01〜1.00mmの包装体に収納し、該包装体内部を脱気した後封止し、液体窒素中で凍結することを特徴とする生体組織の凍結保存方法。
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JP14594698A JP4034877B2 (ja) | 1997-09-04 | 1998-05-27 | 生体組織の凍結保存方法 |
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JP9-240010 | 1997-09-04 | ||
JP24001097 | 1997-09-04 | ||
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JPH11139459A JPH11139459A (ja) | 1999-05-25 |
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ID=26476921
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JP14594698A Expired - Fee Related JP4034877B2 (ja) | 1997-09-04 | 1998-05-27 | 生体組織の凍結保存方法 |
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