JP4033994B2 - ボールペン用インキ逆流防止体組成物及びそれを用いたボールペン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はボールペン用インキ逆流防止体組成物及びそれを用いたボールペンに関する。更に詳細には、ボールペン先端部と、中粘度乃至高粘度、或いは、剪断減粘性インキが直接収容されたインキ収容管を備えたボールペンにおける、前記インキ収容管の開放側インキ端面に充填されるボールペン用インキ逆流防止体組成物及びそれを用いたボールペンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のボールペン用インキ逆流防止体組成物として、高粘度の油性インキを用いたボールペンにおいては、鉱油と金属石鹸の混合物であるグリースが適用されている。
【0003】
又、中粘度或いは剪断減粘性水性インキを用いたボールペンにおいては、液状ポリブテンに代表される難揮発性液体に増粘剤を添加したゲル状体のポリブテン系インキ逆流防止体組成物が多数提案され、広く実用化されている。
尚、前記増粘剤としてはジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール(特公平1−10554号公報)、N−アシル化アミノ酸誘導体(特開昭57−200472号公報)、長鎖アルキル基を有するオニウム化合物で表面処理されたクレー(特公平7−17872号公報)及び疎水基で表面処理されたシリカ(特公平6−33025号公報)等が挙げられる。
前記した難揮発性液体に従来の増粘剤を添加したボールペン用インキ逆流防止体組成物は、主にインキが収容されたインキ収容管の開放側インキ端面に充填されて、インキ中の溶剤の蒸発を防止し、且つ、筆記時にはインキの消費に伴ってインキ端面に追従して収容管内を移動する機能を有する。
更に、前記ボールペン用インキ逆流防止体組成物は、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置したり落下等の衝撃が加わった際、インキが逆流して筆記先端部に空気が入り込み、インキの供給が滞って筆記できなくなることを防止する機能も有する。
前記した機能、即ち、筆記時のインキ追従性と、正立状態におけるインキ逆流防止性を兼ね備えることにより、様々な条件下で良好な筆記性能を示すボールペンを得ることができる。
しかしながら、前記した従来のボールペン用インキ逆流防止体組成物は、これらの機能を必ずしも十分に備えておらず、特に、正立状態におけるインキ逆流防止性を満足させるものが得られなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記したボールペン用インキ逆流防止体組成物の欠点を解消するものであって、即ち、筆記時におけるインキ追従性に優れると共に、正立状態におけるインキの逆流を防止でき、様々な条件下で初期と同等の筆記性能を維持することのできるボールペン用インキ逆流防止体組成物及びそれを用いたボールペンを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発者らは、前記した従来のボールペン用インキ逆流防止体組成物の問題点を解消するため鋭意検討した結果、アタクチックポリプロピレンを添加することによって筆記時のインキ追従性と、正立状態におけるインキ逆流防止性に優れるボールペン用インキ逆流防止体組成物が得られることを見出した。
即ち、本発明は、難揮発性液体に、増粘剤及びアタクチックポリプロピレンを添加してなるボールペン用インキ逆流防止体組成物を要件とする。更には、前記アタクチックポリプロピレンの添加量が全組成物中0.2乃至30重量%であること、前記アタクチックポリプロピレンの分子量が1000乃至50000であること、前記難揮発性液体がポリブテン、αオレフィン−コオリゴマーの単独又は混合体であること、前記増粘剤がベントナイト、第4級アンモニウムイオンが導入された膨潤性合成雲母、金属石鹸、無機質微粒子から選ばれること、20℃におけるスプレッドメーターでの1分値が25乃至50mmであること等を要件とする。
更に、先端部にボールを回転可能に抱持し、前記先端部よりインキを吐出するチップと、前記チップ後部に直接又は中継部材を介して連結して、該チップにインキを供給するインキ収容部と、前記インキ収容部に充填した中粘度乃至高粘度又は剪断減粘性インキと、前記インキの後端部に充填した、インキの消費に伴って追従する前記ボールペン用インキ逆流防止体組成物とからなるボールペンを要件とする。
【0006】
従来の難揮発性液体としてポリブテン、及び、増粘剤からなるインキ逆流防止体組成物では、ポリブテンの分子量によって、経時によりインキ逆流防止体組成物から難揮発性液体の一部が分離し易く、ボールペンに充填して正立状態で長期間放置すると前記難揮発性液体の一部がインキ収容管内壁を伝って上昇して筆記先端部に溜まって筆記不能になったり、或いは、インキ逆流防止体組成物が硬くなり過ぎて筆記時のインキ消費に伴って追従し難くなると共に、インキ収容管内壁に付着し易くインキの追従と共にインキ逆流防止体組成物の量が減少する等の不具合を生じる。
また、前記ポリブテンを用いたインキ逆流防止体組成物は実用温度域における粘性に関して温度依存性が高く、常に安定した粘性を示すインキ逆流防止体組成物を得ることは困難であった。
【0007】
更に、増粘剤の種類や添加量によっては、インキ収容管内に充填する際の応力によって粘性構造が破壊され易く、一旦破壊された粘性構造が元に戻らなかったり、戻るのに時間を要したり、或いは、戻っても初期より粘度が高くなる等の現象を生じたり、難揮発性液体の分離、溶出を生じ易くなる。
これを具体的に説明すると、ジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール、アシル化アミノ酸、デキストリン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸等を用いる場合は、一旦難揮発性液体に溶解した後、析出させて増粘させる調製方法であり、添加量も難揮発性液体に対して0.5〜2%と微量である。よって、ポリブテンが分離、溶出し易い。
【0008】
なお、増粘剤としてベントナイト、第4級アンモニウムイオンが導入された膨潤性合成雲母、シリカ等の無機質微粒子を用いる場合は、添加量が難揮発性液体に対して5〜20%であり、応力をかけることにより調製されるため、実用温度域における粘性に関して温度依存性が少ないと共に充填時の応力によって粘性構造が破壊され難い。しかも、難揮発性液体が分離、溶出し難いため、インキ追従性に優れたインキ逆流防止体組成物が得られる。
また、金属石鹸については、応力をかけることなく調製されるが、前記と同様にインキ追従性に優れたインキ逆流防止体組成物が得られる。
【0009】
従って、難揮発性液体としてポリブテンを用いるインキ逆流防止体組成物は、増粘剤としてジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール、アシル化アミノ酸、デキストリン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸等を用いることもできるが、好ましくはベントナイト、第4級アンモニウムイオンが導入された膨潤性合成雲母、シリカ等の無機質微粒子、金属石鹸が用いられる。しかしながら、前記した種々の増粘剤とポリブテンからなるインキ逆流防止体組成物はいずれも正立状態で放置したり、或いは、衝撃を加えるとインキ端面から徐々に垂れ落ちてしまう。
【0010】
本発明のボールペン用インキ逆流防止体組成物は、添加されるアタクチックポリプロピレンがプロピレンを立体的に不規則な配列を示して結合したポリマーであり、規則的な配列を示すアイソタクチックポリプロピレンの製造工程で副産物として数%程度副生されるものであって、前記アタクチックポリプロピレンは、製造工程で用いられる溶媒や分離温度によって分子量が異なるが、本発明においては分子量が1000〜50000のアタクチックポリプロピレンが用いられ、好適には5000〜30000の分子量のものが難揮発性液体に対して分散性に優れ、適度な粘着性を付与して垂れ落ちを防止でき、よって、耐衝撃性に優れたインキ逆流防止体組成物を得ることができる。ここで、例えば結晶度の高いポリエチレンやポリプロピレンを代わりに添加しても適度な粘着性を付与して垂れ落ちを防止できるものの、インキ追従性を共に満足させることはできず、しかも、難揮発性液体との相溶性に乏しいことから経時により分離する傾向にある。また、難揮発性液体を併用して垂れ落ちを防止する方法、例えば、分子量の大きな難揮発性液体を併用する方法が考えられるが、分子量の大きい難揮発性液体は僅かに添加量が変化しても粘度が著しく変化するため、所望の粘度が得られ難く実用性に欠ける。
前記アタクチックポリプロピレンの添加量は、全組成物中0.2乃至30重量%、好ましくは1〜25重量%である。
0.2重量%未満では耐衝撃性に優れたインキ逆流防止体組成物を得ることができ難く、また、30重量%を越えると粘度が高くなってインキ追従性を損なうこととなる。
【0011】
本発明のボールペン用インキ逆流防止体組成物のベースオイルとして汎用されている難揮発性液体としては、透明性、潤滑性、耐熱性、耐酸化性等の特性を備えたポリブテン、αオレフィン−コオリゴマーが挙げられ、所望により流動パラフィンやスピンドル油等の精製鉱油を添加することもできる。
なお、前記αオレフィン−コオリゴマーとしては、二種以上のαオレフィンからなるオリゴマー、或いは、エチレンとαオレフィンのコオリゴマーが挙げられる。
又、前記難揮発性液体は、20℃において500乃至30000cSt(センチストークス)、好ましくは800乃至20000cStの範囲の動粘度を示すものが用いられる。
動粘度が500cSt未満の難揮発性液体を用いると耐衝撃性が良好なインキ逆流防止体組成物が得られ難く、また、粘度30000cStを超えるとインキ追従性を満足させ難くなる。
【0012】
前記増粘剤としては、前述したベントナイト、疎水性シリカや親水性シリカ等の無機質微粒子、アルミニウム石鹸やリチウム石鹸等の金属石鹸、下記一般式(1)で示される第4級アンモニウムイオンが導入された膨潤性合成雲母が挙げられる。
【0013】
【化1】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 はいずれも炭素数8〜22のアルキル基を示す。又は、式中、R1 は炭素数1〜30のアルキル基又は水素原子であり、R2 とR3 は(CH2 CH2 O)n H基、(CH2 CH2 CH2 O)n H基、(CH2 CH(CH3 )O)n H基、炭素数1〜30のアルキル基のいずれかを示し、R4 は(CH2 CH2 O)n H基、(CH2 CH2 CH2 O)n H基、(CH2 CH(CH3 )O)n H基のいずれかを示し、nは1〜50を示す。)
前記第4級アンモニウムイオンを合成雲母に導入するには、該イオンを含む第4級アンモニウム塩が用いられるが、前記塩としては例えばCl- 、Br- 、NO3 、OH- 、CH3 COO- 等の陰イオンとの塩を挙げることができる。
【0014】
なお、前記ジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール、アシル化アミノ酸、デキストリン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸等の増粘剤を用いる系においても、アタクチックポリプロピレンを添加することにより難揮発性液体の分離、溶出を抑制できることから、実用性を満足させることができる。
【0015】
前記のようにして得られるボールペン用インキ逆流防止体組成物の硬さ及び流動性等を測定する簡便な手段としてスプレッドメーターが適当であり、スプレッドメーターでの1分値が20℃で25乃至50mmの範囲にあるものが適正な性能を示す。
25mm未満では、硬すぎて追従性を損ない、また、50mmを超えると、柔らか過ぎて筆記先端部を上向き(正立状態)で放置したり、落下等により衝撃が加わると後端部に移動するおそれがある。
【0016】
前記ボールペン用インキ逆流防止体組成物は、前述したようにインキ収容管にインキを充填した後、最後端に充填されるものであって、インキが消費されるに従って前記インキに追従して移動するものであり、インキの蒸発を防止し、筆記先端部を上向きで放置したり、或いは、衝撃が加わった際、インキが逆流することを防止する。
又、従来より公知の固体のインキ逆流防止体と前記インキ逆流防止体組成物を併用してもよい。
【0017】
前記インキとしては、従来より公知の水性又は油性インキが用いられる。
前記インキが油性インキの場合、粘度が1〜20Pa・s、好ましくは1〜10Pa・sの中粘度乃至高粘度油性インキが好適に用いられる。又、水性インキの場合は、剪断減粘性水性インキが好適に用いられる。
【0018】
前記油性インキに用いられる着色剤としては、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される染料が挙げられる。
前記ソルベント染料の具体例としては、
バリファーストブラック3806(C.I.ソルベントブラック29)、同3807(C.I.ソルベントブラック29の染料のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、スピロンブラックGMH(C.I.ソルベントブラック43)、バリファーストレッド1308(C.I.ベーシックレッド1の染料とC.I.アシッドイエロー23の染料の造塩体)、バリファーストイエローAUM(C.I.ベーシックイエロー2の染料とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンイエローC2GH(C.I.ベーシックイエロー2の染料の有機酸塩)、スピロンバイオレットCRH(C.I.ソルベントバイオレット8−1)、バリファーストバイオレット1701(C.I.ベーシックバイオレット1とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンレッドCGH(C.I.ベーシックレッド1の染料の有機酸塩)、スピロンピンクBH(C.I.ソルベントレッド82)、ニグロシンベースEX(C.I.ソルベントブラック7)、オイルブルー603(C.I.ソルベントブルー5)、ネオザポンブルー808(C.I.ソルベントブルー70)等が挙げられる。
【0019】
前記水性インキに用いられる着色剤としては、水性系媒体に溶解もしくは分散可能な染料が使用可能であり、その具体例を以下に例示する。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
【0020】
又、前記油性インキ及び水性インキには、カーボンブラック、酸化鉄、群青等の無機顔料、アゾ系、アンスラキノン系、縮合ポリアゾ系、チオインジゴ系、金属錯塩、フタロシアニン系、ペリノン・ペリレン系、ジオキサジン系、キナクリドン系有機顔料、蛍光顔料等の顔料を用いることもできる。
【0021】
更に、各種蛍光染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料、パール顔料、金色、銀色等のメタリック顔料、蓄光性顔料、酸化チタン等の白色顔料、可逆性熱変色性マイクロカプセル顔料等を使用することもできる。
前記着色剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中3乃至40重量%の範囲で用いられる。
【0022】
前記油性インキに用いられる有機溶剤としては、常圧で150℃以上の沸点を示す高沸点有機溶剤が好適に用いられ、例えば、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル(フェニルグリコール)、ベンジルグリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶剤が挙げられる。
【0023】
前記水性インキに用いられる溶剤としては、水及び水に相溶性のある従来汎用の水溶性有機溶剤が用いられ、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、Nメチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等を使用することができ、前記水溶性有機溶剤は、樹脂の溶解助剤、筆記先端部でのインキの乾燥抑制等の目的に応じて選択される。
【0024】
前記水性インキに用いられる剪断減粘性付与剤としては、水に可溶乃至分散性の物質が効果的であり、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グリコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤を例示でき、単独或いは混合して使用することができる。
前記剪断減粘性付与剤は、インキ組成物中0.1〜20重量%の範囲で用いることができる。
前記剪断減粘性付与剤を添加したインキ組成物は、25℃でEM型回転粘度計における回転数100rpmでのインキ粘度が25〜160mPa・sの範囲を示し、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.7を示すように調整されることが好ましい。粘度及び剪断減粘指数が前記範囲にあるとボールペン用水性インキとして好適であり、静置時のインキ安定性及び筆記時のインキ出が良好なボールペンが得られる。
また、剪断減粘指数は剪断応力値(T)及び剪断速度(j)値の如き粘度計による流動学的測定から得られる実験式(T=Kjn :K及びnは計算された定数である)にあてはめることによって計算されるn値である。
【0025】
更に、必要によってスチレンマレイン酸共重合物、セルローズ誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の水溶性樹脂を粘性付与のために用いることもできる。
【0026】
その他、必要に応じて添加剤を加えることもでき、例えば、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ソーダ、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のPH調整剤、石炭酸、1,2−ベンズチアゾリン−3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリム等の湿潤剤、リン酸エステル系界面活性剤等の潤滑剤、紙面へのインキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン、アニオン、カチオン系界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等の消泡剤、分散剤等があげられる。
【0027】
前記チップと称される筆記先端部の構造は、従来より汎用の機構が有効であり、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工により形成したチップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等の0.3〜1.2mm径程度のものが適用できる。
【0028】
前記インキ及びボールペン用インキ逆流防止体組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形体が、インキの低蒸発性、生産性の面で好適に用いられる。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、外部からインキを視認することが可能であり、特異の意匠効果を与えると共に、インキの色調や残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管は、ボールペン用レフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、軸筒をインキ収容管として用いて、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明のボールペン用インキ逆流防止体組成物は、難揮発性液体、増粘剤、アタクチックポリプロピレンを加えてディスパーにて攪拌した後、必要により加温、三本ロールによる混練を行なって得られる。
前記のようにして調製されたボールペン用インキ逆流防止体組成物は、インキ収容管内に収容されたインキの後端側に充填して用いられる。
【0030】
【実施例】
下記の表に実施例及び比較例のボールペン用インキ逆流防止体組成物の組成及びSM値(スプレッドメーターでの20℃における1分値)を示す。
なお、表中の数値は重量部を示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表中の原料の内容の詳細を注番号に従って以下に説明する。
(1)ステアリン酸アルミニウム(商品名:アルミニウムステアレート103、日東化成工業(株)製〕
(2)有機ベントナイト〔商品名:バラゲール、日産ガードラー触媒(株)製〕
(3)第4級アンモニウムイオンが導入された膨潤性合成雲母〔商品名:4C−TS、トピー工業(株)製〕
(4)ポリプロピレンワックス(商品名:Hoechst Wax PP230、ヘキスト社製〕
(5)トリベンジリデンソルビトール〔商品名:ゲルオールT、新日本理化(株)製〕
(6)アタクチックポリプロピレン〔商品名:サンアタック、千葉ファインケミカル(株)製、分子量5000〜20000〕
(7)アタクチックポリプロピレン〔商品名:ヒロダイン8500、ヒロダイン工業(株)製、分子量20000〜30000〕
(8)アタクチックポリプロピレン〔商品名:ビスタックL、千葉ファインケミカル(株)製、分子量5000〜10000〕
(9)液状ポリブテン〔商品名:出光ポリブテン15H、出光石油化学(株)製、分子量550、粘度2500cSt(20℃)〕
(10)液状ポリブテン〔商品名:ポリブテンHV−15、日本石油化学(株)製、分子量540、粘度4000cSt(20℃)〕
(11)液状ポリブテン〔商品名:ポリブテンHV−35、日本石油化学(株)製、分子量750、粘度16000cSt(20℃)〕
(12)αオレフィンコオリゴマー〔商品名:ルーカントHC−150、三井石油化学(株)製、分子量1400、粘度7000cSt(25℃)〕
【0033】
ボールペン用インキ逆流防止体組成物の調製方法
実施例2乃至4及び比較例1のインキ逆流防止体組成物は、各々の原料と少量のメタノールを混合して、攪拌し、加温した後放冷し、更に三本ロールにて混練して得られる。
実施例1、5及び比較例2のインキ逆流防止体組成物は、各々の原料を混合、攪拌し、加温した後放冷し、更に三本ロールにて混練して得られる。
比較例3、4のインキ逆流防止体組成物は、各々の原料を混合、攪拌し、加温した後放冷して得られる。
【0034】
インキの調製
着色剤としてアントラキノンブルー6部、剪断減粘製付与剤としてキサンタンガム0.3部、添加剤としてポリエーテル変性シリコーン0.2部、水93.5部を混合、攪拌して剪断減粘性水性インキを得た。
得られたインキは、25℃でEM型回転粘度計における回転数100rpmでのインキ粘度が80mPa・sであり、1rpmでのインキ粘度が2000mPa・sであった。
【0035】
ボールペンの作成
先端にボールペン先端部を備えた内径3.8mmφのポリプロピレン製インキ収容管に、前記インキを充填し、開放側インキ端面に実施例及び比較例で作成したボールペン用インキ逆流防止体組成物を配して試料ボールペンとし、以下の試験を行った。
(1)インキ追従性試験
試料ボールペンを直線式筆記試験機にセットして、筆記角度70°、荷重100g、筆記速度13cm/秒の条件で30cm筆記して、その筆跡によりインキ追従性を評価する。
(2)耐衝撃試験
ボールペン先端部をゴム栓体で気密にシールし、ペン先上向き状態で30cmの位置から落下させ、インキ逆流防止体組成物の状態を観察する。
(3)経時試験
ボールペン先端部をゴム栓体で気密にシールし、ペン先上向き状態で50℃、1ケ月間放置した後、インキ逆流防止体組成物の状態を観察する。
【0036】
実施例及び比較例で作成したインキ逆流防止体組成物を用いて、以下の試験を行なった。
(4)耐シェア試験
注射器に充填した後、ピストンを押圧して注射器先端よりインキ逆流防止体組成物を押し出した後、5分間放置してSM値を測定した。
【0037】
試験結果を表に示す。
【表2】
【0038】
表中の試験結果の判定は以下のとおりである。
(1)インキ追従性試験
○:筆跡にかすれはなく、インキの消費に伴って良好にインキ逆流防止体組成物が追従している。
×:筆跡がかすれたり筆記不能になり、インキの消費に伴ってインキ逆流防止体組成物が追従していない。
(2)耐衝撃試験
○:30回落下させても変化なし。
×:30回未満の落下でインキ逆流防止体組成物が移動する。
(3)経時試験
○:インキ逆流防止体組成物中で分離が発生しない。
△:インキ逆流防止体組成物が僅かに分離している。
×:インキ逆流防止体組成物の一部が分離して、インキ収容管の内壁を伝って筆記先端部に移動している。
(4)耐シェア試験
○:初期のSM値との差が5未満である。
×:初期のSM値との差が5以上である。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、難揮発性液体と増粘剤からなるボールペン用インキ逆流防止体組成物にアタクチックポリプロピレンを添加することにより、筆記時におけるインキ追従性に優れると共に、正立状態で放置したり或いは衝撃を加えてもインキが逆流せず、様々な条件下で良好な筆記性能を維持することのできるボールペン用インキ逆流防止体組成物及びそれを用いたボールペンを提供できる。
更に、前記インキ逆流防止体組成物は難揮発性液体の分離、溶出が少なく、よって、経時安定性も良好なため、初期と同等の筆記性能を永続して得られるボールペン用インキ逆流防止体組成物及びそれを用いたボールペンが得られる。
Claims (7)
- 難揮発性液体に、増粘剤及びアタクチックポリプロピレンを添加してなるボールペン用インキ逆流防止体組成物。
- 前記アタクチックポリプロピレンの添加量が全組成物中0.2乃至30重量%である請求項1記載のボールペン用インキ逆流防止体組成物。
- 前記アタクチックポリプロピレンの分子量が1000乃至50000である請求項1又は2記載のボールペン用インキ逆流防止体組成物。
- 前記難揮発性液体がポリブテン、αオレフィン−コオリゴマーの単独又は混合体である請求項1記載のボールペン用インキ逆流防止体組成物。
- 前記増粘剤がベントナイト、第4級アンモニウムイオンが導入された膨潤性合成雲母、金属石鹸、無機質微粒子から選ばれる請求項1記載のボールペン用インキ逆流防止体組成物。
- 20℃におけるスプレッドメーターでの1分値が25乃至50mmである請求項1乃至5記載のいずれかのボールペン用インキ逆流防止体組成物。
- 先端部にボールを回転可能に抱持し、前記先端部よりインキを吐出するチップと、前記チップ後部に直接又は中継部材を介して連結して、該チップにインキを供給するインキ収容部と、前記インキ収容部に充填した中粘度乃至高粘度又は剪断減粘性インキと、前記インキの後端部に充填した、インキの消費に伴って追従する請求項1乃至6のいずれかに記載のボールペン用インキ逆流防止体組成物とからなるボールペン。
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