JP4032814B2 - 通信端末、ルータ、端末局、および固定端末 - Google Patents

通信端末、ルータ、端末局、および固定端末 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信によって複数の基地局と接続するルータと、このルータを介して基地局に接続する通信機器にデータを送信する通信端末、このルータと通信端末から成る端末局、およびこの端末局と通信する固定端末に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、携帯電話、PHS、無線LANなど複数の無線の通信システムが実用化されており、ユーザは、目的に応じて使用する通信システムを使い分けてデータ通信を行うことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、通信システムを使い分けるには、それぞれの通信システムに対応した通信端末を複数使い分ける必要があり、ユーザにとって利便性が悪い。また、複数の通信システムを1つの通信端末で使い分けることができるようになっているものが利用されているが、このような機器においては、通信システムを切り替える毎に機器のデータ通信のためのネットワークのアドレスが変化してしまい、通信先との接続が一旦途絶えるので、このときに通信先との通信を継続するには、再び新たなアドレスでの接続を確立し、なおかつ古いアドレスと新しいアドレスでの通信の同一性を確保しなければならない。すなわち、通信システムの切り替えがシームレスでない。
【0004】
このような問題を解決するものとして、特開2000−287245号公報に記載の技術がある。この公報に記載の技術は、複数の通信システムを切り替えて通信できる通信端末と、複数の通信システムを介して通信端末へのデータの経路制御を行う経路制御装置とを用いて通信システムを構築している。さらにこの公報に記載の技術は、通信システムを切り替える時には、高速な通信システムが利用可能であればそれを利用し、それ以外の場合には低速な通信システムを使用するようになっている。このようにすることで、経路制御装置が通信の経路を制御するので、通信先との接続の途絶を回避することができ、複数の通信システムをシームレスに使用することができる。またできるだけ高速な回線を利用することが可能となる。
【0005】
しかし、この公報に記載の技術においては、通信システムを切り替える度に通信データの経路が大きく変化するため、各データパケットの到着間隔にゆらぎが生じてしまう。このようになることを、通信データの等時性が劣化すると言う。このようなデータパケットの等時性が劣化すると、例えばVoIP(Voice Over IP)のようなリアルタイムで情報を送信するようなアプリケーションを使用するデータ通信においては、音声のもたつき、音質の劣化等の不具合が発生してしまう。すなわち、VoIPによって伝送される通信データは等時性を必要とするという属性を有している。
【0006】
また、ベストエフォート型通信システム、回線交換型通信システム等、通信システムによって等時性の確保に適しているものと適していないものとがあるので、この公報に記載の技術のように、高速な通信システムが使用できるときに、その回線が等時性を確保できるか否かに関わらず通信システムを切り替えてしまうと、等時性を必要とする通信データがこの等時性を確保できるかどうかわからなくなる。
【0007】
これらの場合においては、送信データが高い伝送速度よりも等時性を必要としているにもかかわらず、その回線が等時性を確保できるか否かに関わらず高速な回線に切り替わってしまうことが問題となる。すなわち、送信するデータの属性によらずに通信回線を切り替えてしまうということが問題となる。
【0008】
また、この公報に記載の技術においては、1つの通信先に対して、2つ以上の通信経路でデータを送信することができないような構成になっているので、1つの通信先への送信において、送信するデータの属性に基づいて通信経路を選択することができないという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みて、複数の通信システムをシームレスに使用して通信できる通信端末が、1つの通信先にデータを送信するとき、送信するデータの属性に基づいて送信経路を選択できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための、請求項1に記載の発明は、第1の通信システムに対応する基地局に無線接続する第1の無線接続手段と、第2の通信システムに対応する基地局に無線接続する第2の無線接続手段と、を使用してこれらの基地局が接続する通信機器と通信してデータ通信の中継を行うルータ、を介することにより当該通信端末に固定のアドレスを使用して通信機器とデータ通信を行うルータ経由通信手段と、通信機器の1つにデータを送信するとき、送信するデータの属性に基づいて、ルータに第2の無線接続手段からデータを送信させるための情報をデータに付加するデータ付加手段と、ルータから第1の無線接続手段および第2の無線接続手段の基地局への接続状態の情報の通知を受信する接続状態受信手段と、接続状態受信手段が受信した第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を、ルータ経由通信手段によって通信しようとする相手の通信機器に送信する接続状態送信手段と、を備え、接続状態の情報は、第1の無線接続手段および第2の無線接続手段が接続している基地局の属する基地局網のゲートウェイのアドレスを含むものであり、データ付加手段は、送信するデータのソースルートオプションにゲートウェイのアドレスを記載することによって、ルータに第2の無線接続手段からデータを送信させるための情報としてゲートウェイのアドレスをデータに付加することを特徴とする通信端末である。
【0011】
これによって、ルータ経由通信手段が、ルータを介して通信機器とデータ通信を行うので、使用する通信システム、すなわち第1の無線接続手段と第2の無線通信手段の使用の切り替えがルータの中継機能によって行われ、この通信システムの切り替えの際に通信端末はデータ通信のためのアドレスを変更する必要がない。すなわち通信端末は複数の通信システムを使用してシームレスな通信を行うことができる。また、データ付加手段が、通信機器の1つにデータを送信するときに、このデータの属性に基づいて、ルータに第2の無線接続手段からデータを送信させるための情報をデータに付加するので、複数の通信システムを使用してシームレスに通信できる通信端末が、1つの通信先にデータを送信するとき、送信するデータの属性に基づいて送信経路を選択できるようになる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信端末において、接続状態受信手段は、ルータに第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を問い合わせ、その応答として接続状態の情報の通知を受信することを特徴としている。
【0015】
また、請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の通信端末において、データ付加手段は、特定の属性を有する通信データを送信するアプリケーションの識別子のリストであるアプリケーションリストを参照し、通信機器に送信するデータに付加されたアプリケーションの識別子がアプリケーションリストに含まれていることに基づき、送信するデータが特定の属性を有していることを検知することを特徴としている。
【0016】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の通信端末において、第2の通信システムは、等時性を確保できる通信システムであり、アプリケーションリストは、等時性を必要とする通信データを送信するアプリケーションの識別子のリストであり、データ付加手段は、アプリケーションリストを参照し、通信機器に送信するデータに付加されたアプリケーションの識別子がアプリケーションリストに含まれていることに基づき、送信するデータが等時性を必要とするデータであることを検知することを特徴としている。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載された通信端末と、基地局に接続する通信機器とのデータ通信を中継するルータであって、第1の通信システムに対応する基地局に無線通信によって接続する第1の無線接続手段を使用し、この基地局が接続する通信機器とのデータ通信を行う第1のデータ通信手段と、第2の通信システムに対応する基地局に無線通信によって接続する第2の無線接続手段を使用し、この基地局が接続する通信機器とのデータ通信を行う第2のデータ通信手段と、第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を検知し、その接続状態の情報を通信端末に通知する接続状態通知手段と、通信端末から特定の通信機器に宛てられた送信データを受信し、検知した第1の無線接続手段および第2の無線接続手段の基地局への接続状態の情報と送信データに情報が付加されているか否かに基づいて、第1の無線通信手段と第2の無線通信手段のどちらを使用して送信データを特定の通信機器へ送信するかを選択する経路選択手段と、を備えたルータである。
【0018】
これによって、ルータが通信端末と通信機器との通信を中継するので、通信端末は、通信システムの切り替えの際に通信端末はデータ通信のためのアドレスを変更する必要がない。すなわち通信端末は複数の通信システムを使用してシームレスな通信を行うことができる。また、経路選択手段が、通信端末から特定の通信機器に宛てられた送信データを受信し、第1の無線接続手段および第2の無線接続手段の基地局への接続状態の情報と送信データに情報が付加されているか否かに基づいて、第1の無線通信手段と第2の無線通信手段のどちらを使用して送信データを特定の通信機器へ送信するかを選択し、選択された方を第1のデータ通信手段または第2のデータ通信手段が使用して送信するので、複数の通信システムを使用してシームレスに通信できる通信端末が、1つの通信先にデータを送信するとき、送信するデータの属性に基づいて送信経路を選択できるようになる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のルータにおいて、接続状態通知手段は、通信端末から、第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報の問い合わせを受信し、この受信に基づき、接続状態の情報を通信端末に通知することを特徴としている。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載のルータにおいて、接続状態通知手段は、第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を定期的に通信端末に通知することを特徴としている。
【0022】
また、請求項8に記載の発明は、請求項5ないし7のいずれか1つに記載のルータにおいて、接続状態通知手段は、第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報が変化したときに、変化した接続状態の情報を通信端末に通知することを特徴としている。
【0023】
また、請求項9に記載の発明は、通信端末と、この通信端末と基地局に接続する通信機器とのデータ通信を中継するルータと、第1の通信システムに対応する基地局に無線通信によって接続する第1の無線接続手段と、第2の通信システムに対応する基地局に無線通信によって接続する第2の無線接続手段と、を備え、通信端末は、ルータを介することにより当該通信端末に固定のアドレスを使用して通信機器とデータ通信を行うルータ経由通信手段と、通信機器の1つにデータを送信するとき、送信するデータの属性に基づいて、ルータに第2の無線接続手段からデータを送信させるための情報をデータに付加するデータ付加手段と、ルータから第1の無線接続手段および第2の無線接続手段の基地局への接続状態の情報の通知を受信する接続状態受信手段と、接続状態受信手段が受信した第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を、ルータ経由通信手段によって通信しようとする相手の通信機器に送信する接続状態送信手段と、を有し、接続状態の情報は、第1の無線接続手段および第2の無線接続手段が接続している基地局の属する基地局網のゲートウェイのアドレスを含むものであり、データ付加手段は、送信するデータのソースルートオプションにゲートウェイのアドレスを記載することによって、ルータに第2の無線接続手段からデータを送信させるための情報としてゲートウェイのアドレスをデータに付加するものであり、ルータは、第1の無線接続手段を使用し、この基地局が接続する通信機器とのデータ通信を行う第1のデータ通信手段と、第2の無線接続手段を使用し、この基地局が接続する通信機器とのデータ通信を行う第2のデータ通信手段と、第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を検知し、その接続状態の情報を通信端末に通知する接続状態通知手段と、通信端末から特定の通信機器に宛てられた送信データを受信し、検知した第1の無線接続手段および第2の無線接続手段の基地局への接続状態の情報と送信データに情報が付加されているか否かに基づいて、第1の無線通信手段と第2の無線通信手段のどちらを使用して送信データを特定の通信機器へ送信するかを選択する経路選択手段と、を有することを特徴とする端末局である。
【0024】
これによって、ルータ経由通信手段が、ルータを介して通信機器とデータ通信を行うので、使用する通信システム、すなわち第1の無線接続手段と第2の無線通信手段の使用の切り替えがルータの中継機能によって行われ、この通信システムの切り替えの際に通信端末はデータ通信のためのアドレスを変更する必要がない。すなわち通信端末は複数の通信システムを使用してシームレスな通信を行うことができる。
【0025】
また、データ付加手段が、通信機器の1つにデータを送信するときに、このデータの属性に基づいて、ルータに第2の無線接続手段からデータを送信させるための情報をデータに付加し、また経路選択手段が、通信端末から特定の通信機器に宛てられた送信データを受信し、第1の無線接続手段および第2の無線接続手段の基地局への接続状態の情報と送信データに情報が付加されているか否かに基づいて、第1の無線通信手段と第2の無線通信手段のどちらを使用して送信データを特定の通信機器へ送信するかを選択し、選択された方を第1のデータ通信手段または第2のデータ通信手段が使用して送信するので、複数の通信システムを使用してシームレスに通信できる通信端末が、1つの通信先にデータを送信するとき、送信するデータの属性に基づいて送信経路を選択できるようになる。
【0027】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の端末局において、接続状態通知手段は、通信端末から、第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報の問い合わせを受信し、この受信に基づき、接続状態の情報を通信端末に通知し、接続状態受信手段は、ルータに第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を問い合わせ、その応答として接続状態の情報の通知を受信することを特徴としている。
【0036】
また、請求項11に記載の発明は、請求項またはに記載の通信端末から第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報の通知を受信する受信手段と、特定の属性を有する通信データを送信するアプリケーションの識別子のリストであるアプリケーションリストを参照し、通信端末に送信するデータに付加されたアプリケーションの識別子がアプリケーションリストに含まれていることに基づき、データが特定の属性を有していることを検知し、この特定の属性と第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報とに基づいて、第2の無線接続手段経由でデータを送信させるための情報をデータに付加して、通信端末宛に送信する送信手段とを備えた固定端末である。
【0037】
これによって、受信手段が請求項またはに記載の通信端末から第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報の通知を受信し、また送信手段が、アプリケーションリストを参照し、通信端末に送信するデータに付加されたアプリケーションの識別子がアプリケーションリストに含まれていることに基づき、データが特定の属性を有していることを検知し、この特定の属性と第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報とに基づいて、第2の無線接続手段経由でデータを送信させるための情報をデータに付加して、通信端末宛に送信するので、この通信端末にデータを送信するとき、送信するデータの属性に基づいて送信経路を選択できるようになる。
【0038】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図2に、本発明の第1実施形態に係るデータ通信システムの概略図を示す。車両に搭載されて移動する端末局10は、無線LANと電話通信の2つの通信システムを同時に利用することができるようになっている無線局である。
【0039】
無線LANは、基地局1つがカバーするサービスエリアが狭い通信システムである。また無線LANは、伝送速度が一般的に高速である。また無線LANは通信速度の保証はないベストエフォート型の通信システムである。このような無線LANの通信システムは、ベストエフォート型であるがゆえにデータの伝送速度の変動が発生しやすいので、無線LAN網内で通信データの等時性が確保することが難しい。通信データの等時性とは、1つの通信における各通信データパケットの伝送の時間間隔が、伝送の過程において保存されることである。例えばVoIP等の音声通信においては、音声のもたつき等を回避するため、この通信データの等時性が必要となる。
【0040】
電話通信は、基地局1つがカバーするサービスエリアが広い通信システムである。また電話通信は、伝送速度が一般的に低速である。また電話通信は、接続された回線は使用者が占有することのできる回線交換型の通信システムである。このような電話通信の通信システムは、回線交換型であるがゆえにデータの伝送経路を占有することができるので、この電話回線網の中においては情報の等時性を確保することができる。
【0041】
図中小さい方の円内が無線LANに対応する無線LAN基地局BS11のサービスエリアである。また図中大きい方の円内が電話通信システムに対応する電話基地局BS21のサービスエリアである。電話通信システムのサービスエリアはほぼ全域に広がっており、端末局10はこの電話通信システムは常に利用できるようになっている。
【0042】
本実施形態においては、端末局10は図中矢印のように移動し、a地点→b地点→c地点→d地点を通過する。このとき、b地点からc地点までは無線LAN基地局BS11のサービスエリア内であるので、無線LANによる通信を行うことができる。このような移動の過程において、端末局10は1つの固定端末に対してデータのアップロード/ダウンロードと音声通信を行う。この際、無線LAN基地局BS11のサービスエリア外においてはデータのアップロード/ダウンロードおよび音声通信は共に電話通信システムを使用して行う。また、無線LAN基地局BS11のサービスエリア内においては、音声通信には等時性が確保できる電話通信システムをそのまま使用し、等時性を必要としないデータのアップロード/ダウンロードには高速な伝送が期待できる無線LANを使用する。
【0043】
図1は、このデータ通信システムの構成を示す図である。このデータ通信システムは、固定端末CN、インターネット16、無線LAN網ゲートウェイgw1、電話網ゲートウェイgw2、無線LAN網13、電話網23、無線LAN基地局BS11、電話基地局BS21、および端末局10から構成される。端末局10、無線LAN網ゲートウェイgw1、電話網ゲートウェイgw2、インターネット16、固定端末CNにおいては、IPv6プロトコルによる通信が行われるようになっている。
【0044】
固定端末CNはインターネット16に接続されている固定データ端末である。インターネット16はIPプロトコルによる広域通信ネットワークである。
【0045】
無線LAN網ゲートウェイgw1は、無線LAN網13とインターネット16との間のデータの中継およびプロトコル変換を行うゲートウェイである。この無線LAN網ゲートウェイgw1は、自己のIPアドレスとしてgw1を有している。なお本実施形態では、IPアドレスは実際の値を示さず、gw1、p1等の様にシンボリックに表現するものとする。
【0046】
電話網ゲートウェイgw2は、電話網23とインターネット16との間のデータの中継およびプロトコル変換を行うゲートウェイである。この電話網ゲートウェイgw2は、自己のIPアドレスとしてgw2を有している。
【0047】
無線LAN網13は、無線LAN基地局BS11のような無線LANの基地局間を有線で接続するネットワークである。
【0048】
電話網23は、電話基地局BS21のような電話通信の基地局間を有線で接続するネットワークである。この電話網23内においては、通信データの等時性が確保されるようになっている。
【0049】
無線LAN基地局BS11は、無線LAN網13に接続する無線LANの基地局である。また、無線LAN基地局BS11と無線LANデバイス12との無線通信によって無線ルータWRがこの無線LAN基地局BS11に接続するようになっている。これによって、端末局10が無線LAN基地局BS11を介して固定端末CN等のインターネット16上の通信機器と通信できるようになっている。また無線LAN基地局BS11は、無線LAN網ゲートウェイgw1のIPアドレスの情報を有しており、この情報をIPv6プロトコルに則って無線ルータWRに通知するようになっている。
【0050】
電話基地局BS21は、電話網23に接続する電話通信の基地局である。また、電話基地局BS21と電話通信デバイス22との無線通信によって、無線ルータWRがこの電話基地局BS21に接続するようになっている。端末局10が電話基地局BS21を介して固定端末CN等のインターネット16上の通信機器と通信できるようになっている。また電話基地局BS21は、電話網ゲートウェイgw2のIPアドレスの情報を有しており、この情報をIPv6プロトコルに則って無線ルータWRに通知するようになっている。
【0051】
端末局10は、無線LANデバイス12、電話通信デバイス22、無線ルータWR、および移動端末MNから構成される。
【0052】
無線LANデバイス12は、無線ルータWRから制御を受け、無線LAN基地局BS11と無線通信を行い、無線ルータWRが無線LAN基地局BS11を介して固定端末CN等のネットワーク機器とのデータ通信を行えるようにするネットワークインターフェースである。この無線LANデバイス12は、無線LAN基地局BS11等の無線LANの基地局のエリアに入ると、その基地局からIPアドレスの付与を受け、それを自己のIPアドレスとして使用するようになっている。また無線LANデバイス12は、この無線LANデバイス12が基地局からIPアドレスの付与を受けたときに、付与されたIPアドレスおよびこの無線LANデバイス12が使用可能であることを無線ルータWRに通知するようになっている。また無線LANデバイス12は、現在IPアドレスの付与を受けている基地局からの受信電力値が所定の値より下回ると、この無線LANデバイス12が使用不可能となったことを無線ルータWRに通知するようになっている。
【0053】
電話通信デバイス22は、無線ルータWRから制御を受け、電話基地局BS21と無線通信を行い、無線ルータWRが無線LAN基地局BS11を介して固定端末CN等のネットワーク機器とのデータ通信を行えるようにするネットワークインターフェースである。この電話通信デバイス22は、電話基地局BS21等の電話通信の基地局のエリアに入ると、その基地局からIPアドレスの付与を受け、それを自己のIPアドレスとして使用するようになっている。また電話通信デバイス22は、この電話通信デバイス22が基地局からIPアドレスの付与を受けたときに、付与されたIPアドレスおよびこの電話通信デバイス22が使用可能であることを無線ルータWRに通知するようになっている。また電話通信デバイス22は、現在IPアドレスの付与を受けている基地局からの受信電力値が所定の値より下回ると、この電話通信デバイス22が使用不可能となったことを無線ルータWRに通知するようになっている。
【0054】
無線ルータWRは、無線LAN基地局BS11および電話基地局BS21と接続し、移動端末MNと固定端末CN等の通信機器とがやりとりする通信データの中継を行うルータである。このルータは、移動端末MNからの送信データ、あるいは移動端末MNへの受信データをどのような経路で配送するかを、自らの有するルーティングテーブルあるいは送信データのソースルートオプションに従って決定する。
【0055】
ルーティングテーブルとは、宛先とその宛先へデータを送るための経路の情報が記載されたテーブルである。ソースルートオプションとは、IPによって配送されるパケットの経路を送信元が明示的に指定することができるように、パケットの一部に割り当てられた経路指定のためのオプションである。無線ルータWRは、このソースルートオプションのような送信データの含む情報に基づいてデータの送信先を決定するようになっている。
【0056】
また無線ルータWRは、無線LAN網ゲートウェイgw1および電話網ゲートウェイgw2とルーティング情報を交換することにより自らのルーティングテーブルを作成するようになっている。
【0057】
また、この無線LAN基地局BS11との接続は、無線LANデバイス12を制御することにより行うようになっている。この無線LAN基地局BS11との接続の際、無線ルータWRは無線LAN基地局BS11より無線LAN網ゲートウェイgw1のIPアドレスの通知を受けるようになっている。また、電話基地局BS21との接続は電話通信デバイス22を制御することにより行うようになっている。この電話基地局BS21との接続の際、無線ルータWRは電話基地局BS21より電話網ゲートウェイgw2のIPアドレスの通知を受けるようになっている。
【0058】
また無線ルータWRは、端末局10と接続しており、端末局10のIPアドレスmnへの経路情報を上記したルーティングテーブルに含んでおり、このルーティングテーブルの情報を無線LAN網ゲートウェイgw1、電話網ゲートウェイgw2等に通知することにより、インターネット16上のルータが、端末局10のIPアドレスmnへの経路を認識できるようになっている。
【0059】
また、無線ルータWRは、無線LANデバイス12および電話通信デバイス22のデバイス情報を検知し、それを移動端末MNに通知するようになっている。無線LANデバイス12および電話通信デバイス22のデバイス情報とは、無線LANデバイス12および電話通信デバイス22が使用可能であるか否か、これらデバイスが基地局から付与されたIPアドレス、これらデバイスが接続している基地局の属する基地局網(例えば無線LAN網13および電話網23)のゲートウェイ(例えば無線LAN網ゲートウェイgw1や電話網ゲートウェイgw2)のIPアドレス、およびこれらデバイスが対応している通信システムが等時性を確保できるものか否か、の情報を含むものである。すなわち無線LANデバイス12および電話通信デバイス22のデバイス情報とは、これらデバイスの基地局への接続状態の情報である。無線ルータWRは、これらの情報のうち、デバイスが使用できるか否かおよびデバイスに付与されたIPアドレスは、これらデバイスからの通知によって検知するようになっている。またこれらの情報のうち、デバイスの対応する通信システムが等時性を確保できるか否かについては、無線ルータWRは初期設定時の登録により検知している。
【0060】
また無線ルータWRは、無線LAN網ゲートウェイgw1や電話網ゲートウェイgw2が使用可能になったこと、あるいは使用不可能になったことを無線LANデバイス12および電話通信デバイス22からの通知により検知し、そのときにこのデバイス情報を移動端末MNに通知するようになっている。また無線ルータWRは、自発的に定期的に移動端末MNに対してデバイス情報を通知することもできるようになっている。また無線ルータWRは、移動端末MNからデバイス情報を要求する信号を受信し、この受信に基づきデバイス情報を移動端末MNに通知することもできるようになっている。
【0061】
図3は、このような無線ルータWRが無線LANデバイス12が使用可能になったか等を検知し、無線LANデバイス12のデバイス情報を移動端末MNに通知する時の処理のフローチャートである。この図に示す一連の処理は、無線ルータWRの電源がオンの時に通信データ中継処理や定期的なデバイス情報通知等の他の処理と並行して行われるようになっているプロセスである。なお、本実施形態においては端末局10は電話基地局BS21のサービスエリア外に出ることはないので、電話通信デバイス22は常に使用可能となっており、無線ルータWRは既に電話通信デバイス22のデバイス情報を検知している。なお、以降において、システム1が利用可能になるとは、無線LANの通信システムが利用可能になる、すなわち無線LANデバイス12が使用可能になることを指すものとする。
【0062】
ステップ200において、無線ルータWRは新たにシステム1が使用可能になったことを無線LANデバイス12からの通知によって検知したか否かを判定する。システム1が利用可能になる場合としては、図2に示したb地点に端末局10が到達した場合がある。検知したと判定すれば、無線ルータWRはステップ205で自己のルーティングテーブルを更新し、デフォルトルート、すなわち通常のデータの転送先が無線LAN網ゲートウェイgw1になるようにする。そしてステップ210で、先述のように取得した無線LANデバイス12のデバイス情報を移動端末MNに通知し、処理は最初のステップ200の判定処理に戻る。
【0063】
またステップ200においてシステム1が利用可能になったことを検知していないと判定すれば処理はステップ215に移り、新たにシステム1が利用不可能になったことを無線LANデバイス12からの通知によって検知したか否かを判定する。システム1が利用不可能になる場合としては、図2に示したc地点に端末局10が到達した場合がある。そしてシステム1が利用不可能であることを検知したと判定すれば、処理はステップ220に移り、無線ルータWRは自己のルーティングテーブルを更新し、デフォルトルートが電話網ゲートウェイgw2になるようにする。そしてステップ225で、システム1が利用可能でなくなったことを移動端末MNに通知し、処理はステップ200の判定処理に戻る。
【0064】
また、システム1が利用可能な状態が継続する場合や、システム1が利用不可能な状態が継続する場合においては、処理はステップ200→ステップ215→ステップ200の処理のループを繰り返す。
【0065】
このようなタイミングによって無線ルータWRはルーティングテーブルの更新とデバイス情報の通知を行い、また別の並行するプロセスとして移動端末MNから固定端末CN等への送信データ、すなわち送信パケットを中継し、この送信パケットを無線LAN基地局BS11または無線LANデバイス12経由のいずれかから送信する処理を行う。図4は、この中継処理の作動を示すフローチャートである。
【0066】
まず無線ルータWRは、ステップ410の、送信するパケットがあるか否か、すなわち移動端末MNから送信パケットを受信するか否かの判定処理を、送信するパケットがあると判定するまで繰り返す。
【0067】
送信するパケットがあると判定すると、処理はステップ420に移り、無線ルータWRは自己のルーティングテーブル中のデフォルトルートを確認することにより、システム1が利用可能か否かを判定する。利用可能でないと判定すれば、すなわちデフォルトルートが電話網ゲートウェイgw2であると判定すれば、電話通信システム(図中ではシステム2と記載)の基地局である電話基地局BS21を経由するよう受信したパケットを電話通信デバイス22から送信する(ステップ450)。また、システム1が利用可能でないと判定すれば、無線ルータWRは受信したパケットのソースルートオプションが電話網ゲートウェイgw2を経由するような指定になっているか否かを判定し(ステップ430)、そのような指定になっていると判定すれば受信したパケットを電話通信デバイス22から送信し(ステップ450)、そのような指定になっていないと判定すれば無線LAN基地局BS11を経由するよう受信したパケットを無線LANデバイス12から送信する(ステップ440)。
【0068】
すなわち、無線ルータWRは、システム1が利用可能な場合は、特に移動端末MNからの送信パケットのソースルートオプションが電話網ゲートウェイgw2を経由するような指定になっていない限り、そのパケットが無線LAN基地局BS11を経由するよう無線LANデバイス12から送信する。また別の見方をすれば、無線ルータWRは、システム1が利用可能であっても、送信パケットのソースルートオプションが電話網ゲートウェイgw2を経由するような指定になっていれば、電話通信デバイス22からこのパケットを送信するとも言える。
【0069】
移動端末MNは、このような無線ルータWRと有線で接続する通信装置である。この移動端末MNは、同時に複数の通信アプリケーションを実行して固定端末CN等の1つの通信機器と通信することができるようになっている。例えばダウンロードと音声通信のアプリケーションを同時に使用して固定端末CNと通信することができる。また移動端末MNは、使用しているアプリケーションによって生成した送信データを無線ルータWRに送信することで、固定端末CN等の通信機器にデータを送信することができる。また、固定端末CN等からの受信データは無線ルータWRを介して受信するようになっている。このように移動端末MNの通信が無線ルータWRによって中継されるようになっていることで、移動端末MNは無線LAN基地局BS11や電話基地局BS21とは独立したセグメントに属するようになるので、無線ルータWRが接続する基地局によらない固定のIPアドレスmnを使用することができるようになる。
【0070】
また移動端末MNは、無線ルータWRから、無線LANデバイス12および電話通信デバイス22のデバイス情報の通知を受信するするようになっている。無線LANデバイス12および無線LAN網13のデバイス情報とは、上述した通り無線LANデバイス12および電話通信デバイス22が使用可能であるか否か、これらデバイスが基地局から付与されたIPアドレス、これらデバイスが接続している基地局の属する基地局網のゲートウェイのIPアドレス、およびこれらデバイスが対応している通信システムが等時性を確保できるものか否か、の情報を含むものである。
【0071】
移動端末MNは、このデバイス情報を受信することによって、無線ルータデバイス情報を作成し、それを自己が有するメモリ(図示せず)に記録する。図5は、移動端末MNが記録する無線ルータデバイス情報の一例を示す図表である。無線ルータデバイス情報は2行のエントリから成り、各行は各デバイス名、付与されたIPアドレス、ゲートウェイのIPアドレス、および等時性の確保ができるか否かの情報から成る。また、デバイスが利用不可能な場合には、ゲートウェイを記録する部分に当該デバイスが利用不可能であることが記載されるようになっている。移動端末MNは、通信をしようとする相手である固定端末CN等の通信機器にこの無線ルータデバイス情報を送信するようになっている。これによって、この情報を受信した固定端末CN等の通信機器は、移動端末MNがどのような経路でデータを受信することができるか知ることができるようになる。
【0072】
図6は、移動端末MNが固定端末CNへ無線ルータデバイス情報を送信するときの処理を示すフローチャートである。これらの処理は、移動端末MNが実行する通信のためのアプリケーション等の他の処理と並行して実行されるプロセスである。
【0073】
移動端末MNは、無線ルータWRから無線LANデバイス12のデバイス情報を受信したか否かを判定するステップ710の処理を、この判定が肯定となるまで繰り返す。この判定が肯定となると処理はステップ720に移り、受信したデバイス情報が、システム1が利用不能となったという情報を含んでいるか否かの判定を行う。
【0074】
この判定が肯定である場合、すなわちシステム1が利用不能となった場合は、移動端末MNはメモリ中に保存する無線ルータデバイス情報を更新し、無線LANデバイス12が使用不能になったことを示すように変更を加える(ステップ730)。さらに、この更新された無線データデバイス情報を固定端末CNに送信する(ステップ735)。そして処理はステップ710の判定手段に戻り、移動端末MNはデバイス情報の受信を待つ。
【0075】
また、ステップ720でシステム1が利用不能になったという情報を含んでいない場合は、受信した情報にシステム1が利用可能になったという情報が含まれていることに相当するので、移動端末MNはメモリ中に保存する無線ルータデバイス情報を更新し、無線LANデバイス12が使用可能になったことを示すように変更を加える(ステップ740)。さらに、この更新された無線データデバイス情報を固定端末CNに送信する(ステップ745)。そして処理はステップ710の判定手段に戻り、移動端末MNはデバイス情報の受信を待つ。
【0076】
このように、移動端末MNは無線ルータWRからデバイス情報を受信して、それに基づいて無線ルータデバイス情報を更新し、また更新された無線ルータデバイス情報を固定端末CNに送信する。
【0077】
また移動端末MNは、無線ルータWRにデバイス情報を問い合わせる信号を送信し、その応答として無線ルータWRからデバイス情報を受信するようにすることも可能である。
【0078】
また移動端末MNは、メモリ(図示せず)を有し、そのメモリ中にアプリケーションリストを記録している。アプリケーションリストとは、移動端末MNが使用するアプリケーションのうちで等時性を必要とするもののリストである。図7は、このアプリケーションリストの一例を示す図表である。このアプリケーションリストは複数行から成り、各行はアプリケーション名とアプリケーションの識別子との対応から成る。アプリケーションの識別子とは、各アプリケーションに一意的に割り当てられた識別子である。本実施形態においては、アプリケーションの識別子を以下情報識別子と記載し、この情報識別子として、アプリケーションが通信において使用するTCPやUDPで規定されるポートの番号を用いる。なお、TCP、UDPは、異なる端末のプロセス間の通信を実現するためのプロトコルであって、IPの上位層のプロトコルとして一般的に使用されるものである。例えば、FTPのアプリケーションには21番、telnetのアプリケーションには25番、HTTPのアプリケーションには80番が通常割り宛てられる。また、この通信ポート番号は、アプリケーションによって作成される送信データ中に通常記載されるものである。
【0079】
移動端末MNは、アプリケーションによって生成された固定端末CN等の通信機器への送信データ中に記載されている情報識別子を読みとり、これがアプリケーションリストに記載されているか否かを判定するようになっている。すなわち、送信するデータが等時性を必要とするものであるか否かを判定するようになっている。これによって移動端末MNは送信するデータの属性を検知することができる。
【0080】
このようにして送信するデータが等時性を必要とするものである場合、移動端末MNは送信するデータに情報を付加する。この情報は、無線ルータWRに電話通信デバイス22からこの送信データを送信させるための情報である。具体的には、送信データのソースルートオプションに電話網ゲートウェイgw2のIPアドレスを記載する。
【0081】
図8は、移動端末MNが送信するパケットがアプリケーションリストに記載されていることに基づいて、送信パケットにソースルートオプションを付加して固定端末CNに送信する処理を示すフローチャートである。なお、この処理は移動端末MNの無線ルータデバイス情報送信等の他の処理と並行して行われるプロセスである。
【0082】
移動端末MNは、アプリケーションが送信するパケットを生成することにより、固定端末CNに送信するパケットが生成されたか否かを判定するステップ810の処理を、この判定が肯定となるまで繰り返す。
【0083】
この判定が肯定となると処理はステップ820に移り、送信するパケットに記載された情報識別子のポート番号が、アプリケーションリストに記載されているか否かの判定を行い(ステップ820)、記載されている、すなわち送信データは等時性を必要とすると判定すれば、送信するパケットのソースルートオプションに電話網ゲートウェイgw2のIPアドレスgw2を記載し(ステップ830)、このパケットを無線ルータWRに送信する(ステップ840)。そして処理はステップ810の判定手段に戻る。
【0084】
ステップ820でアプリケーションリストに記載されていない、すなわち送信データは等時性を必要としないと判定すれば、そのままパケットを無線ルータWRに送信する(ステップ840)。そして処理は810の判定手段に戻る。
【0085】
このようにすることで、無線ルータWRはソースルートオプションが指定されたパケットを、その指定の経路を通るように送信することができるようになる。
【0086】
固定端末CNは、インターネット16に接続されている固定のデータ通信機器である。この固定端末CNは、アプリケーションを実行し、そのアプリケーションの処理に基づいて移動端末MN等の移動端末と音声通話やデータのダウンロード等の通信を行うようになっている。この固定端末CNはメモリ(図示せず)を有し、移動端末MNが有していたものと同じアプリケーションリストをこのメモリ内に記録している。また固定端末CNは、移動端末MNから無線ルータデバイス情報を受信し、受信した情報に基づいてバインディング情報を作成し、メモリに保存するようになっている。
【0087】
図9は、このバインディング情報の一例を示す図表である。バインディング情報は複数行から成り、各エントリは移動端末MNのような無線LANと電話通信のためのデバイスを持つ移動端末のIPアドレス、その移動端末の無線LAN用のデバイスのIPアドレス、無線LAN通信システムが等時性を確保できるか否か、電話通信用のデバイスのIPアドレス、および電話通信システムが等時性を確保できるか否か、の情報から成る。また、その移動端末が利用不能な通信システムがあれば、その通信システム用のデバイスのIPアドレス部に利用不能であるという情報が記載される。
【0088】
固定端末CNが受信する無線ルータデバイス情報は、各デバイス名、デバイスに付与されたIPアドレス、ゲートウェイのIPアドレス、等時性の確保ができるか否か、および使用可能か否かの情報を含むので、固定端末CNはこの無線ルータデバイス情報を受信することにより、上記したバインディング情報を作成することができる。図10は、固定端末CNが移動端末MNから無線ルータデバイス情報を受信することにより、バインディング情報を作成、更新する処理を示すフローチャートである。なお、このフローチャートに記載の処理は、固定端末CNのアプリケーションの実行等の他の処理と並行して行われるプロセスである。
【0089】
固定端末CNは、移動端末MNから無線ルータデバイス情報を受信したか否かを判定するステップ910の処理を、受信したと判定するまで繰り返す。
【0090】
受信したと判定すると、処理はステップ920に移り、受信した無線ルータデバイス情報は、システム1が利用不能になった、すなわち無線LANデバイス12が使用不能となったことを示す情報を有しているか否かを判定する。
【0091】
この判定が肯定なら、すなわちシステム1が利用不能になったと判定すれば、固定端末CNはシステム1が利用不能になったことを含め、無線ルータデバイス情報に記載されている情報に従ってバインディング情報を作成・更新する(ステップ930)。
【0092】
またステップ920の判定が否定なら、すなわちシステム1が利用可能になったと判定すれば、固定端末CNはシステム1が利用可能になったことを含め、無線ルータデバイス情報に記載されている情報に従ってバインディング情報を作成・更新する(ステップ940)。
【0093】
このような処理によって、固定端末CNはバインディング情報を作成・更新する。
【0094】
そして固定端末CNは、自己が有するバインディング情報に記載の移動端末にパケットを移動端末MNに送信するとき、そのパケットに記載された情報識別子が、自己が有するアプリケーションリスト中にあれば、そのデータは等時性を必要とするパケットであるとして、このパケット電話通信デバイス22のIPアドレスを経由するようソースルートオプションを記載し、パケットを送信する。すなわち送信するデータの属性に基づいて、電話通信デバイス22宛にデータを送出させるための情報をデータに付加し、データを送信する。なお、この電話通信デバイス22のIPアドレスは、バインディング情報に記載されている。
【0095】
また、アプリケーションリストに記載されていない情報識別子がパケットに記載されていれば、無線LANデバイス12が使用可能なときは無線LANデバイス12宛に、そうでないときは電話通信デバイス22宛にソースルートオプションを記載し、パケットを送信する。
【0096】
図11は、このような固定端末CNが移動端末MNにパケットを送信するときの処理を示すフローチャートである。なお、この処理は固定端末CNのバインディング情報作成・更新処理等の他の処理と並行して行われるプロセスである。
【0097】
固定端末CNは、アプリケーションが送信するパケットを生成することにより、移動端末MNに送信するパケットが生成されたか否かを判定するステップ110の処理を、この判定が肯定となるまで繰り返す。
【0098】
この判定が肯定となると処理はステップ120に移り、送信するパケットに記載された情報識別子のポート番号が、アプリケーションリストに記載されているか否かの判定を行い(ステップ120)、記載されている、すなわち送信データは等時性を必要とすると判定すれば、送信するパケットのソースルートオプションに電話通信デバイス22のIPアドレスを記載し(ステップ130)、このパケットを送信する(ステップ140)。そして処理はステップ110の判定手段に戻る。
【0099】
ステップ120でアプリケーションリストに記載されていない、すなわち送信データは等時性を必要としないと判定すれば、処理はステップ150に移り、固定端末CNは移動端末MNがシステム1を利用可能か否かをバインディング情報を読み込んで調べることで判定する。そして利用可能であると判定すればソースルートオプションに無線LANデバイス12のIPアドレスを記載し(ステップ160)、また利用不可能であると判定すればソースルートオプションに電話通信デバイス22のIPアドレスを記載し(ステップ130)、それらの後にパケットを送信する(ステップ140)。そして処理はステップ110の判定処理に戻る。
【0100】
図12は、上記のような構成のデータ通信システムにおいて、端末局10が図2に示したような経路上を移動するときに、無線ルータWR、移動端末MN、および固定端末CNが無線LANデバイス12のデバイス情報および無線ルータデバイス情報のやりとりを行い、それに基づいて移動端末MNが無線ルータデバイス情報を更新し、固定端末CNがバインディング情報を更新する手順を示すタイミングチャートである。以下この図をもとに、図2の移動経路中のa地点、b地点、c地点、d地点における移動端末MNの無線ルータデバイス情報、および固定端末CNのバインディング情報の変遷について具体的に説明する。
【0101】
まず端末局10がa地点にいるとき、端末局10が固定端末CNと音声通信およびアップロード/ダウンロードを始める。この時には、端末局10は無線LAN基地局BS11のサービスエリア外にいるため、無線ルータWRは電話通信デバイス22しか使用することができない。これらのデータ通信を始める前に、移動端末MNは無線ルータデバイス情報を固定端末CNに対して送信する(ステップ305)。この無線ルータデバイス情報を受信した固定端末CNは、この受信にもとづいてバインディング情報を更新する(ステップ310)。図13は、この時点の移動端末MNの無線ルータデバイス情報および固定端末CNのバインディング情報を示す図である。無線ルータデバイス情報は、無線LANデバイス12が使用不可能で、電話通信デバイス22がIPアドレp1を付与されて電話網ゲートウェイgw2をゲートウェイとし、電話通信デバイス22による通信は等時性を確保できることを示している。バインディング情報は、移動端末MNが無線LANすなわちシステム1を利用できず、かつ電話通信すなわちシステム2は使用でき、電話通信デバイス22のIPアドレスがp1であり、電話通信デバイス22による通信は等時性を確保できることを示している。
【0102】
端末局10がb地点に到達した直後、すなわち端末局10が無線LAN基地局BS11のサービスエリア内に入った直後、無線ルータWRは通信システム1が利用可能になったことを検知し(ステップ315)、それに基づいて無線LANデバイス12のデバイス情報を移動端末MNに通知する(ステップ320)。この通知を受信した移動端末MNは、この受信に基づいて無線ルータデバイス情報を更新する(ステップ325)。
【0103】
図14は、このステップ325の処理が行われた時点における移動端末MNの無線ルータデバイス情報および固定端末CNのバインディング情報を示す図である。これらの情報が図13の時点の情報と異なる部分は、無線ルータデバイス情報において、無線LANデバイス12がIPアドレスw1を付与されて無線LAN網ゲートウェイgw1をゲートウェイとし、この無線LANは等時性の確保が難しい通信システムであることが示されるようになったことである。この時点で、移動端末MNはアップロードデータは無線LANデバイス12から送信し、音声通信データは電話通信デバイス22から送信する。固定端末CN側については、バインディング情報に変化がないので全ての移動端末MNへの通信データを電話通信デバイス22宛に送信する。
【0104】
その後、移動端末MNはステップ325で更新した無線ルータデバイス情報を固定端末CNに送信し(ステップ330)、この無線ルータデバイス情報を受信した固定端末CNは、この受信に基づいてバインディング情報を更新する(ステップ335)。
【0105】
図15は、このステップ335の処理が行われた時点における移動端末MNの無線ルータデバイス情報および固定端末CNのバインディング情報を示す図である。これらの情報が図14の時点の情報と異なる部分は、バインディング情報の移動端末MNのエントリにおいて、システム2は使用でき、無線LANデバイス12のIPアドレスがw1であり、無線LANデバイス12による通信は等時性を確保するのが難しいということが示されるようになったことである。この時点で固定端末CNは、バインディング情報の更新に伴い、等時性が要求される電話通信のデータは電話通信デバイス22宛に送信し、等時性が要求されないアップロード/ダウンロードのデータは無線LANデバイス12宛に送信するようになる。
【0106】
次に、端末局10がc地点に到達した直後、すなわち端末局10が無線LAN基地局BS11のサービスエリアからまもなく出ようとしている時、無線ルータWRは無線LANデバイス12からの受信電力が所定値以下になったことを検知して、それにより通信システム1が利用不可となったことを検知し(ステップ340)、それに基づいて無線LANデバイス12のデバイス情報を移動端末MNに通知する(ステップ345)。この通知を受信した移動端末MNは、この受信に基づいて無線ルータデバイス情報を更新する(ステップ350)。
【0107】
図16は、このステップ325の処理が行われた時点における移動端末MNの無線ルータデバイス情報および固定端末CNのバインディング情報を示す図である。これらの情報が図15の時点の情報と異なる部分は、無線ルータデバイス情報において、無線LANデバイス12が利用不能であることが示されるようになったことである。この時点で、移動端末MNは全ての送信データを電話通信デバイス22から送信するようになる。固定端末CN側については、バインディング情報に変化がないので、図15に示した時点と同様に、音声通信データは電話通信デバイス22宛に、アップロード/ダウンロードデータは無線LANデバイス12宛に送信する。なお、移動端末MNにおいては、無線LANデバイス12は受信電力は下がってはいるものの、固定端末CNからのデータの受信は依然行うことができる。
【0108】
その後、移動端末MNはステップ350で更新した無線ルータデバイス情報を固定端末CNに送信し(ステップ355)、この無線ルータデバイス情報を受信した固定端末CNは、この受信に基づいてバインディング情報を更新する(ステップ360)。
【0109】
図17は、このステップ360の処理が行われた時点における移動端末MNの無線ルータデバイス情報および固定端末CNのバインディング情報を示す図である。これらの情報が図16の時点の情報と異なる部分は、バインディング情報の移動端末MNのエントリにおいて、システム2は利用不能であることが示されるようになったことである。この時点で固定端末CNは、更新したバインディング情報に基づき、全ての移動端末MNへの送信データを電話通信デバイス22宛に送信するようになる。
【0110】
以上のような構成および作動のデータ通信システムにおいて、移動端末MNが、無線ルータWRを介して通信機器とデータ通信を行うので、使用する通信システムの切り替えおよび経路制御は無線ルータWRの中継機能によって行われるので、この通信システムの切り替えの際に通信端末はIPアドレスを変更する必要がない。すなわち移動端末MNは複数の通信システムを使用してシームレスな通信を行うことができる。
【0111】
また、移動端末MNが、通信機器の1つにデータを送信するときに、このデータに含まれる情報識別子がアプリケーションリストに記載されているか否かを判定し、記載されていれば無線ルータWRに電話通信デバイス22からデータを送信させるためのソースルートオプションをデータに付加し、また無線ルータWRが、通信端末から固定端末CN宛てられた送信データを受信し、送信データのソースルートオプションに基づいて、無線LANデバイス12と電話通信デバイス22のどちらを使用して送信データを特定の通信機器へ送信するかを選択し、選択した方を使用して送信するので、複数の通信システムを使用してシームレスに通信できる通信端末が、1つの通信先にデータを送信するとき、送信するデータの属性に基づいて送信経路を選択できるようになる。
【0112】
また、固定端末CNは、移動端末MNから無線ルータデバイス情報を受信し、また移動端末MNにデータを送信するときには、アプリケーションリストを参照し、通信端末に送信するデータに付加された情報識別子がアプリケーションリストに含まれていることに基づき、データが等時性を必要とするデータであることを検知し、電話通信デバイス22にデータを送信させるための情報をデータに付加して、通信端末宛に送信するので、この通信端末にデータを送信するとき、送信するデータの属性に基づいて送信経路を選択できるようになる。
【0113】
ここで、これらが搭載される車両のキースイッチの状態との連動について説明する。端末局10の移動端末MNは、車両のイグニッションスイッチがオンとなったときに電力が供給され、イグニッションスイッチがオフとなったときに電力供給が止まる車内の電力供給線(図示せず)から電力供給を受けるようになっている。
【0114】
また移動端末MNは、無線ルータWRへの電力供給をオン・オフする電力制御装置(図示せず)を制御するようになっている。移動端末MNは電力供給を受けて起動したときにこの電力制御装置に制御信号を送り、それによって無線ルータWRへ給電が行われるようにする。また、移動端末MNへの電力供給が停止すると、この制御信号も停止し、無線ルータWRへの電力供給も停止するようになっている。
【0115】
図18は、このような移動端末MNの電力供給に関する手順を示すフローチャートである。まずイグニッションスイッチがオンとなる(ステップ510)と、移動端末MNが電力供給を受けて起動する(ステップ520)。起動した移動端末MNが無線ルータWRへの電力供給をオン・オフする電力制御装置に制御信号を送信することで、無線ルータWRに電力が供給される(ステップ530)。その後、イグニッションスイッチがオフとなると、移動端末MNへの電力供給が停止し、電力制御装置への制御信号が停止し、無線ルータWRでの電力供給が停止することにより、移動端末MNと無線ルータWRが停止する(ステップ540)。
【0116】
このように端末局10の起動・停止がイグニッションスイッチのオン、オフと連動することで、車両のドライバが端末局10の起動、停止を直接操作する必要がなくなる。また、イグニッションオフ時に電力を消費しないので、車内の電力消費の低減に繋がる。
【0117】
なお、車両のイグニッションスイッチのオン、オフは、車両のアクセサリ電源のオン、オフに読み替えても良い。
【0118】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、第1実施形態において説明した無線ルータWRおよび移動端末MNにおいて、これらの起動、停止の動作と、これらが搭載される車両のキースイッチの状態との連動についての作動が異なるものである。
【0119】
第1実施形態においては、イグニッションキーがオンとなるとまず移動端末MNが起動し、その後に移動端末MNの制御により無線ルータWRが起動するようになっているのに対し、本実施形態においては、イグニッションキーがオンとなるとまず無線ルータWRが起動し、その後に無線ルータWRの制御により移動端末MNが起動するようになっている。
【0120】
この連動に関連する要素以外については、第1実施形態で説明したデータ通信システムと構成、作動を同じくする。
【0121】
端末局10の無線ルータWRは、車両のイグニッションスイッチがオンとなったときに電力が供給され、イグニッションスイッチがオフとなったときに電力供給が止まる車内の電力供給線(図示せず)から電力供給を受けるようになっている。
【0122】
また無線ルータWRは、起動するとすぐに無線LANデバイス12または無線LAN網13を使用して少なくとも1つの基地局と接続してIPアドレスの付与を受けるようになっている。このようにすることで、車両のイグニッションスイッチがオンになるといち早く通信が行えるようになる。
【0123】
また無線ルータWRは、移動端末MNへの電力供給をオン・オフする電力制御装置(図示せず)を制御するようになっている。無線ルータWRは電力供給を受けて起動したときにこの電力制御装置に制御信号を送り、それによって移動端末MNへ給電が行われるようにする。また、無線ルータWRへの電力供給が停止すると、この制御信号も停止し、移動端末MNへの電力供給も停止するようになっている。
【0124】
図19は、このような無線ルータWRの電力供給に関する手順を示すフローチャートである。まずイグニッションスイッチがオンとなる(ステップ610)と、無線ルータWRが電力供給を受けて起動し、無線ルータWRは少なくとも1つの基地局と接続する(ステップ620)。起動した無線ルータWRが移動端末MNへの電力供給をオン・オフする電力制御装置に制御信号を送信することで、移動端末MNに電力が供給される(ステップ630)。その後、イグニッションスイッチがオフとなると、無線ルータWRへの電力供給が停止し、電力制御装置への制御信号が停止し、移動端末MNへの電力供給が停止することにより、移動端末MNと無線ルータWRが停止する(ステップ640)。
【0125】
このように端末局10の起動・停止がイグニッションスイッチのオン、オフと連動することで、車両のドライバが端末局10の起動、停止を直接操作する必要がなくなる。また、イグニッションオフ時に電力を消費しないので、車内の電力消費の低減に繋がる。
【0126】
ここで、車両のイグニッションスイッチのオン、オフは、車両のアクセサリ電源のオン、オフに読み替えても良い。
【0127】
なお、本発明の第1および第2実施形態において、移動端末MNは通信端末に相当する。また、無線LAN通信システムが第1の通信システムに相当し、第2の通信システムが電話通信システムに相当する。また、無線LANデバイス12が第1の無線接続手段に相当し、電話通信デバイス22が第2の無線接続手段に相当する。
【0128】
また、本発明の第1および第2実施形態において、図8のステップ840に記載の移動端末MNの送信処理が、ルータを介して通信機器とデータ通信を行うルータ経由通信手段を構成する。
【0129】
また、各実施形態において、図8のステップ820および830に記載の移動端末MNの判定およびソースルートオプション付加の処理が、移動端末MNの通信機器の1つにデータを送信するとき、送信するデータの属性に基づいて、ルータに第2の無線接続手段からデータを送信させるための情報をデータに付加するデータ付加手段を構成する。
【0130】
また、各実施形態において、図12のステップ325、350に記載の移動端末MNの無線ルータデバイス情報の受信および更新処理が、ルータから第1の無線接続手段および第2の無線接続手段の基地局への接続状態の通知を受信する接続状態受信手段を構成する。
【0131】
また、各実施形態において、図6のステップ735、745に記載の移動端末MNの無線ルータデバイス情報の送信処理が、接続状態受信手段が受信した第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態を、ルータ経由通信手段によって通信しようとする相手の通信機器に送信する接続状態送信手段を構成する。
【0132】
また、各実施形態において、図4のステップ440に記載の無線ルータWRの無線LANデバイス12を使用た送信処理が、第1の通信システムに対応する基地局に無線通信によって接続する第1の無線接続手段を使用し、この基地局が接続する通信機器とのデータ通信を行う第1のデータ通信手段を構成する。
【0133】
また、各実施形態において、図4のステップ450に記載の無線ルータWRの電話通信デバイス22を使用した送信処理が、第2の通信システムに対応する基地局に無線通信によって接続する第2の無線接続手段を使用し、この基地局が接続する通信機器とのデータ通信を行う第2のデータ通信手段を構成する。
【0134】
また、各実施形態において無線ルータWRは、基地局に接続するためのネットワークインターフェースとして、無線LANデバイス12と電話通信デバイス22の2つを使用しているが、3つ以上のネットワークインターフェースを使用してもよい。
【0135】
また、各実施形態において、図4のステップ430に記載の無線ルータWRのソースルートオプションの判定処理が、通信端末から特定の通信機器に宛てられた送信データを受信し、送信データの含む情報に基づいて、第1の無線通信手段と第2の無線通信手段のどちらを使用して送信データを特定の通信機器へ送信するかを選択する経路選択手段を構成する。
【0136】
また、各実施形態において、図3のステップ210および225に記載のデバイス情報の通知処理が、第1の無線通信手段および第2の無線通信手段の基地局への接続状態を検知し、この接続状態を通信端末に通知する接続状態通知手段を構成する。
【0137】
また、各実施形態においては、端末局10、無線LAN基地局BS11、電話基地局BS21、無線LAN網ゲートウェイgw1、電話網ゲートウェイgw2、インターネット16、および固定端末CNにおいては、IPv6プロトコルが使用されているが、これは必ずしもIPv6プロトコルである必要はなく、例えばIPv4プロトコルによって行ってもよい。
【0138】
また、各実施形態においては、無線ルータWR、移動端末MN、および固定端末CNにおいてやりとりされるデバイス情報において、無線LANデバイス12および電話通信デバイス22が接続するゲートウェイとしては、無線LAN網ゲートウェイgw1、電話網ゲートウェイgw2であるが、必ずしもこうなっている必要はなく、例えば無線LANデバイス12が接続するゲートウェイとして、無線LAN基地局BS11から固定端末CNまでの通信経路上のどのルータを用いてもよい。
【0139】
また、固定端末CNは固定された端末でなくともよく、移動する端末であってもよい。
【0140】
また、各実施形態においては、移動端末MNのIPアドレスは常に固定であるが、これは必ずしも常に固定でなくともよい。少なくとも1つのデータ通信が継続する間固定されていればシームレスな通信は実現される。
【0141】
また、各実施形態においては、端末局10は車両に搭載されているが、端末局10は必ずしも車両に搭載されている必要はない。例えば、端末局10が携帯電話であってもよい。また、端末局10が船舶や航空機に搭載されていてもよい。
【0142】
また、各実施形態においては、移動端末MNと無線ルータWRとは有線によって接続されているが、この接続は有線によるものである必要はなく、無線によるものであってもソフトウェア間のプロセス間通信によるものであってもよい。また、ソフトウェアを用いて構成する場合には、移動端末MNと無線ルータWRは同一のハードウェア上に実装することもできる。
【0143】
また、各実施形態においては、送信するデータの属性として等時性を用いているが、これは等時性である必要はなく、例えば、通信におけるデータの漏洩や改竄の防止を必要とするセキュア性であってもよい。また、移動端末MNおよび固定端末CNは、複数の種類のデータの属性に対応して複数のアプリケーションリストを有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るデータ通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るデータ通信システムの概略図である。
【図3】無線ルータWRがデバイス情報を検知し、移動端末MNに通知する処理のフローチャートである。
【図4】無線ルータWRがの中継処理の作動を示すフローチャートである。
【図5】移動端末MNの無線ルータデバイス情報の一例を示す図表である。
【図6】移動端末MNが固定端末CNへ無線ルータデバイス情報を送信するときの処理を示すフローチャートである。
【図7】アプリケーションリストの一例を示す図表である。
【図8】移動端末MNがパケットを固定端末CNに送信する際の処理を示すフローチャートである。
【図9】固定端末CNの有するバインディング情報の一例を示す図表である。
【図10】固定端末CNが移動端末MNから無線ルータデバイス情報を受信することにより、バインディング情報を作成、更新する処理を示すフローチャートである。
【図11】固定端末CNが移動端末MNにパケットを送信するときの処理を示すフローチャートである。
【図12】無線ルータWR、移動端末MN、および固定端末CNの間のデバイス情報のやりとりと、無線ルータデバイス情報および固定端末CNの更新との手順を示すタイミングチャートである。
【図13】a地点における移動端末MNの無線ルータデバイス情報および固定端末CNのバインディング情報を示す図である。
【図14】b地点における移動端末MNの無線ルータデバイス情報および固定端末CNのバインディング情報を示す図である。
【図15】b地点における移動端末MNの無線ルータデバイス情報および固定端末CNのバインディング情報を示す図である。
【図16】c地点における移動端末MNの無線ルータデバイス情報および固定端末CNのバインディング情報を示す図である。
【図17】c地点における移動端末MNの無線ルータデバイス情報および固定端末CNのバインディング情報を示す図である。
【図18】第1実施形態に係る車両のイグニッションスイッチと端末局10との連動の手順を示すフローチャートである。
【図19】第2実施形態に係る車両のイグニッションスイッチと端末局10との連動の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…端末局、12…無線LANデバイス、13…無線LAN網、
16…インターネット、22…電話通信デバイス、23…電話網、
BS11…無線LAN基地局、BS21…電話基地局、CN…固定端末、
MN…移動端末、WR…無線ルータ、gw1…無線LAN網ゲートウェイ、
gw2…電話網ゲートウェイ。

Claims (11)

  1. 第1の通信システムに対応する基地局に無線接続する第1の無線接続手段と、第2の通信システムに対応する基地局に無線接続する第2の無線接続手段と、を使用してこれらの基地局が接続する通信機器と通信してデータ通信の中継を行うルータ、を介することにより当該通信端末に固定のアドレスを使用して前記通信機器とデータ通信を行うルータ経由通信手段と、
    前記通信機器の1つにデータを送信するとき、送信するデータの属性に基づいて、前記ルータに前記第2の無線接続手段から前記データを送信させるための情報を前記データに付加するデータ付加手段と、
    前記ルータから前記第1の無線接続手段および前記第2の無線接続手段の基地局への接続状態の情報の通知を受信する接続状態受信手段と、
    前記接続状態受信手段が受信した前記第1の無線通信手段および前記第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を、前記ルータ経由通信手段によって通信しようとする相手の通信機器に送信する接続状態送信手段と、を備え、
    前記接続状態の情報は、前記第1の無線接続手段および前記第2の無線接続手段が接続している基地局の属する基地局網のゲートウェイのアドレスを含むものであり、
    前記データ付加手段は、送信するデータのソースルートオプションに前記ゲートウェイのアドレスを記載することによって、前記ルータに前記第2の無線接続手段から前記データを送信させるための情報として前記ゲートウェイのアドレスを前記データに付加することを特徴とする通信端末。
  2. 前記接続状態受信手段は、前記ルータに前記第1の無線通信手段および前記第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を問い合わせ、その応答として前記接続状態の情報の通知を受信することを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
  3. 前記データ付加手段は、特定の属性を有する通信データを送信するアプリケーションの識別子のリストであるアプリケーションリストを参照し、前記通信機器に送信するデータに付加されたアプリケーションの識別子が前記アプリケーションリストに含まれていることに基づき、前記送信するデータが特定の属性を有していることを検知することを特徴とする請求項1または2に記載の通信端末。
  4. 前記第2の通信システムは、等時性を確保できる通信システムであり、
    前記アプリケーションリストは、等時性を必要とする通信データを送信するアプリケーションの識別子のリストであり、
    前記データ付加手段は、前記アプリケーションリストを参照し、前記通信機器に送信するデータに付加されたアプリケーションの識別子が前記アプリケーションリストに含まれていることに基づき、前記送信するデータが等時性を必要とするデータであることを検知することを特徴とする請求項3に記載の通信端末。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載された通信端末と、基地局に接続する通信機器とのデータ通信を中継するルータであって、
    第1の通信システムに対応する基地局に無線通信によって接続する第1の無線接続手段を使用し、この基地局が接続する通信機器とのデータ通信を行う第1のデータ通信手段と、
    第2の通信システムに対応する基地局に無線通信によって接続する第2の無線接続手段を使用し、この基地局が接続する通信機器とのデータ通信を行う第2のデータ通信手段と、
    前記第1の無線通信手段および前記第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を検知し、その接続状態の情報を前記通信端末に通知する接続状態通知手段と、
    前記通信端末から特定の通信機器に宛てられた送信データを受信し、前記検知した前記第1の無線接続手段および前記第2の無線接続手段の基地局への接続状態の情報と前記送信データに前記情報が付加されているか否かに基づいて、前記第1の無線通信手段と前記第2の無線通信手段のどちらを使用して前記送信データを前記特定の通信機器へ送信するかを選択する経路選択手段と、を備えたルータ。
  6. 前記接続状態通知手段は、前記通信端末から、前記第1の無線通信手段および前記第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報の問い合わせを受信し、この受信に基づき、前記接続状態の情報を前記通信端末に通知することを特徴とする請求項5に記載のルータ。
  7. 前記接続状態通知手段は、前記第1の無線通信手段および前記第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を前記通信端末に定期的に通知することを特徴とする請求項5または6に記載のルータ。
  8. 前記接続状態通知手段は、前記第1の無線通信手段および前記第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報が変化したときに、前記変化した接続状態の情報を前記通信端末に通知することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1つに記載のルータ。
  9. 通信端末と、
    この通信端末と基地局に接続する通信機器とのデータ通信を中継するルータと、
    第1の通信システムに対応する基地局に無線通信によって接続する第1の無線接続手段と、
    第2の通信システムに対応する基地局に無線通信によって接続する第2の無線接続手段と、を備え、
    前記通信端末は、前記ルータを介することにより当該通信端末に固定のアドレスを使用して前記通信機器とデータ通信を行うルータ経由通信手段と、前記通信機器の1つにデータを送信するとき、送信するデータの属性に基づいて、前記ルータに前記第2の無線接続手段から前記データを送信させるための情報を前記データに付加するデータ付加手段と、前記ルータから前記第1の無線接続手段および前記第2の無線接続手段の基地局への接続状態の情報の通知を受信する接続状態受信手段と、前記接続状態受信手段が受信した前記第1の無線通信手段および前記第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を、前記ルータ経由通信手段によって通信しようとする相手の通信機器に送信する接続状態送信手段と、を有し、前記接続状態の情報は、前記第1の無線接続手段および前記第2の無線接続手段が接続している基地局の属する基地局網のゲートウェイのアドレスを含むものであり、前記データ付加手段は、送信するデータのソースルートオプションに前記ゲートウェイのアドレスを記載することによって、前記ルータに前記第2の無線接続手段から前記データを送信させるための情報として前記ゲートウェイのアドレスを前記データに付加するものであり、
    前記ルータは、前記第1の無線接続手段を使用し、この基地局が接続する通信機器とのデータ通信を行う第1のデータ通信手段と、前記第2の無線接続手段を使用し、この基地局が接続する通信機器とのデータ通信を行う第2のデータ通信手段と、前記第1の無線通信手段および前記第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を検知し、その接続状態の情報を前記通信端末に通知する接続状態通知手段と、前記通信端末から特定の通信機器に宛てられた送信データを受信し、前記検知した前記第1の無線接続手段および前記第2の無線接続手段の基地局への接続状態の情報と前記送信データに前記情報が付加されているか否かに基づいて、前記第1の無線通信手段と前記第2の無線通信手段のどちらを使用して前記送信データを前記特定の通信機器へ送信するかを選択する経路選択手段と、を有することを特徴とする端末局。
  10. 前記接続状態通知手段は、前記通信端末から、前記第1の無線通信手段および前記第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報の問い合わせを受信し、この受信に基づき、前記接続状態の情報を前記通信端末に通知し、
    前記接続状態受信手段は、前記ルータに前記第1の無線通信手段および前記第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報を問い合わせ、その応答として前記接続状態の情報の通知を受信することを特徴とする請求項9に記載の端末局。
  11. 請求項またはに記載の通信端末から前記第1の無線通信手段および前記第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報の通知を受信する受信手段と、
    特定の属性を有する通信データを送信するアプリケーションの識別子のリストであるアプリケーションリストを参照し、前記通信端末に送信するデータに付加されたアプリケーションの識別子が前記アプリケーションリストに含まれていることに基づき、前記データが前記特定の属性を有していることを検知し、この特定の属性と前記第1の無線通信手段および前記第2の無線通信手段の基地局への接続状態の情報とに基づいて、前記第2の無線接続手段経由で前記データを送信させるための情報を前記データに付加して、前記通信端末宛に送信する送信手段とを備えた固定端末。
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