JP4032004B2 - ダイオキシン類二次生成能測定装置および測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば一般廃棄物、産業廃棄物などの焼却炉、汚泥焼却炉などの各種焼却炉、熱分解炉、溶融炉等から排出される煤塵の持つダイオキシン類二次生成能の測定装置および測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般ごみ、あるいは産業廃棄物などの焼却炉において、極めて猛毒のダイオキシン類を初めとする有害微量有機化合物の生成・排出が確認されており、その低減が求められている。現在、ごみ焼却炉等の燃焼炉においては、燃焼温度や空気量などを最適に制御することで、燃焼時に発生するダイオキシン類等の有害物質を極力少なくするとともに、排ガス処理を行う工程においても、活性炭噴霧や集塵器温度の低減化などを行うことにより、排ガス中のダイオキシン類はかなり低減している。排ガス中に排出されるダイオキシン類は、公定分析法(JIS K 0311)により測定され評価されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
現在のごみ焼却炉の燃焼制御においては、いわゆる完全燃焼を行うことを目的とし、不完全燃焼の指標である一酸化炭素(CO)濃度が発生しない制御を行っている。しかしながら、近年の厳密に燃焼制御されたごみ焼却炉等においては、CO濃度とダイオキシン類濃度との間に相関が見られないことが多い。炉出口のダイオキシン類濃度とCO濃度との相関について、低濃度のダイオキシン類とCO濃度との相関が低いとの報告がある(非特許文献1参照)。
【0004】
また、ごみ焼却炉等の燃焼炉におけるダイオキシン類の発生には、燃焼由来以外に二次生成によるものがあり、主として未燃炭素分が原料となり、比較的低温で触媒存在条件下において酸化および塩素化反応によりダイオキシン類が発生することも報告がある(非特許文献2参照)。
【0005】
こうした未燃炭素分は、燃焼の悪化や焼却炉の停止など焼却炉全体の温度変動により、局部的な低温状態の場所に付着すると考えられ、付着後にダイオキシン類の二次生成反応の触媒となる焼却飛灰などのダスト類と接触することにより、ダイオキシン類の二次生成が起こりやすい。このように、近年のごみ焼却施設においては、ダイオキシン類濃度とCO濃度の間の相関が薄く、ダイオキシン類の発生はCO濃度で比較的判断できる燃焼由来のものよりも、二次生成によるダイオキシン類発生量のほうが多いことが推定される。
【0006】
焼却炉で発生するダイオキシン類を低減するためには、徹底した燃焼管理によるCO濃度低減実現と、二次生成によるダイオキシン類発生量の低減が必要である。しかしながら、現在は、ダイオキシン類の二次生成についてはその発生については論じられているものの、二次生成によるダイオキシン類の発生量が予測できないため、適切な二次生成の抑制運転ができない場合があり、ダイオキシン類の排出量が高くなることがあった。
【0007】
【非特許文献1】
地球環境工学研究所のISERGE自主研究報告書56頁(1997年)
【非特許文献2】
第13回 廃棄物学会研究発表会 講演論文集,733〜735頁(2002年)
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、次の発明により解決される。
焼却炉等の煙道から煤塵を含む排ガスを採取するサンプリングプローブと、採取したガスを冷却するための排ガス冷却手段と、冷却された該排ガス中の煤塵を捕集するための煤塵捕捉フィルタと、捕捉フィルタで捕集された煤塵によるダイオキシン類またはダイオキシン前駆体の二次生成反応を行うための捕捉フィルタ加熱ヒータと、二次生成反応の終了した捕捉フィルタから発生したダイオキシン類またはダイオキシン前駆体を吸着回収するための濃縮管と、この濃縮管を加熱して濃縮されているダイオキシン類またはダイオキシン前駆体を加熱脱着する濃縮管加熱ヒータと、加熱脱着されたダイオキシン類またはダイオキシン類前駆体を分析する分析装置を具備することを特徴とするダイオキシン類二次生成能測定装置、
焼却炉等の煙道から煤塵を含む排ガスを採取する工程と、採取された排ガスを冷却する工程と、該排ガス中の煤塵を捕集する工程と、捕集した煤塵を加熱してダイオキシン類およびダイオキシン前駆体の二次生成反応を行う工程と、二次生成反応により発生したダイオキシン類およびダイオキシン前駆体を分析する工程からなることを特徴とするダイオキシン類二次生成能測定方法。
【0009】
本発明においては、密閉型においては、二次生成のうち煤塵に付着した未燃炭素等が煤塵中の触媒成分と接触することで生成するダイオキシン類発生量が得られ、排ガス流通型においては、排ガス中の未燃炭素等の成分と煤塵中の触媒成分が接触することで生成するダイオキシン類発生量が得られる。
【0010】
これらのデータが得られると、焼却炉などの煙道に付着している煤塵量の把握や、排ガス中の未燃炭素等の成分量推定ができ、例えば、焼却炉等の清掃時期(点検時期)を知るための指標になることや、焼却炉等の立ち上げ時などにおいては、清掃状況の確認に使用できる。また、煤塵の付着量が多い場合には、焼却炉煙道の温度を高く設定することや、空気吹付による煙道清掃を行う等の対策を講じることができる。
【0011】
ダイオキシン類は、ポリクロロ−ジベンゾ−p−ジオキシン類およびポリクロロ−ジベンゾフラン類、コプラナーPCB類の総称である。
【0012】
ダイオキシン前駆体は、ダイオキシン類の生成直前の物質であり、主な前駆体としては、クロロベンゼン類やクロロフェノール類が挙げられる。それ以外にも、クロロナフタレン類、クロロトルエン類等の有機塩素化合物類がダイオキシン前駆体として挙げられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
ごみ焼却施設は、代表的な装置としては焼却炉、ボイラ、減温塔、集塵器、煙突がこの順に設置されてなっている。
【0014】
本発明では、まず焼却炉等の煙道から煤塵を含む排ガスを採取するが、ダイオキシン類の二次生成の温度範囲を考慮すると、ボイラ煙道から減温塔出口までの範囲における採取が望ましい。排ガスの採取方法は特に制限されないが、恒常的に測定を行う場合には煙道に採取部を接続しておくのがよい。この採取部は単に管を接続しておくだけでもよいが、サンプリングプローブを利用することが好ましい。
【0015】
サンプリングプローブは、煙道から排ガスを性状を損なわないで採取できるものであればよく、例えば管を煙道内に挿入しただけのものでもよい。管口の方向は問わないが、排ガスの流れに向けておくのがよい。しかしながら、通常は公定分析法(JIS K 0311)で指定されたダイオキシン類採取用のサンプリングプローブを用いて採取を行う。
【0016】
この採取した排ガスを冷却するために排ガス冷却手段を設ける。これは、排ガスおよび煤塵に付着あるいは通過する未燃炭素分や有機化合物が、二次生成反応を起こさないように、煤塵を含む排ガスを採取する際、十分に冷却する必要があるからである。この冷却手段は排ガスの性状に影響を与えないようにするため、管等の仕切壁を介して冷媒で冷却するタイプのものが好ましい。この冷媒には冷却水を用いても良いし、エタノールなどを用いても良い。
【0017】
煤塵捕捉フィルタは、平均孔径が1〜20μm程度、好ましくは1〜5μm程度のものが好ましい。この煤塵捕捉フィルタは捕集した煤塵を300〜500℃に加熱して二次生成反応を起こさせるところからそれに耐える材質のものでなければならず、具体的にはセラミックフィルタ、ガラスフィルタ、石英フィルタ等が適当である。
【0018】
煤塵捕捉フィルタには、捕集した煤塵を加熱してダイオキシン類またはダイオキシン前駆体の二次生成反応を起こさせるための捕捉フィルタ加熱ヒータを設ける。このヒータは、例えば煤塵捕捉フィルタの周りに設ける。具体的には、電気ヒータ、電気炉、マッフル炉、電磁ヒータ等を挙げることができる。
【0019】
濃縮管は、ダイオキシン類やダイオキシン前駆体を吸着回収するものである。使用される吸着剤は、吸着回収後に分析を行うために吸着したダイオキシン類あるいはダイオキシン前駆体を加熱により脱着する性能を有していれば良く、例えば、2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキシド樹脂(TENAX樹脂)、グラファイトカーボン系粒子、活性炭などが使用できる。
【0020】
この濃縮管にも吸着捕集したダイオキシン類やダイオキシン前駆体を加熱脱着するための濃縮管加熱ヒータを設ける。ヒータは、電気ヒータ、電気炉、マッフル炉、電磁ヒータなどでよく、濃縮管の周りに設ける。
【0021】
加熱脱着されたダイオキシン類またはダイオキシン前駆体を分析する分析装置は、ガスクロマトグラフ装置、レーザイオン化装置、真空紫外光イオン化装置、大気圧化学イオン化装置などを用いることができる。ガスクロマトグラフ装置のカラム充填剤は、100%ジメチルポリシロキサン、5%フェニル−メチルポリシロキサン等を適当なものの例として挙げることができる。また、使用するキャリヤーガスは、ヘリウムガス、アルゴンガス等が適当である。ガスクロマトグラフ装置で展開されて流出してくるダイオキシン類あるいはダイオキシン前駆体の検出は、電子捕獲型検出器(ECD)等のこれらを検出・定量する機能を有する分析計により実施できる。検出器には、ECDのほかに質量分析計や水素炎フレームイオン化検出器(FID)、電気伝導度検出器(TCD)等を用いることもできる。
【0022】
本発明によるダイオキシン類二次生成能測定方法では、焼却炉等の煙道から煤塵を含む排ガスを採取し、まず、これを冷却する。採取した排ガスの温度は300〜1000℃程度、通常300〜850℃程度であり、これを300℃以下、好ましくは150℃以下、特に好ましくは120℃以下に冷却するのである。冷却の下限は実用的見地から100〜120℃程度、好ましくは100℃程度である。
【0023】
冷却した排ガスはそこに含まれている煤塵を捕集する。この煤塵を捕集する工程においては、本発明で使用するダイオキシン類あるいはダイオキシン前駆体を分析する分析計を接続しておき、煤塵の捕集時に排ガス成分中のダイオキシン類あるいはダイオキシン前駆体濃度の分析を行うこともできる。その場合、排ガス中に含まれるダイオキシン類およびダイオキシン前駆体濃度は一般に極微量であるため、一旦吸着剤に吸着させる等して濃度を高めてから分析することが好ましい。所定量の排ガスを流通させてダイオキシン類やダイオキシン前駆体を吸着させた後は排ガスの供給を停止して加熱等によりこれらを脱着させて分析計に送る。
【0024】
脱着のための加熱条件は250〜300℃程度、好ましくは270〜300℃程度で2〜5分間程度でよい。脱着したダイオキシン類やダイオキシン前駆体は通常は、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガス等をキャリヤーガスに用いて分析計に送る。加熱脱着後の濃縮管は、加熱状態で不活性ガス等を用いてパージを行うことで、次回の測定に使用することが可能である。二次生成反応で生成されるダイオキシン類やダイオキシン前駆体は極微量であるため、上記の排ガスの分析を行っている間も煙道から採取した排ガスを煤塵捕捉フィルタに送って煤塵の捕集を続けることが好ましい。
【0025】
所定量の排ガスを送ってそこに含まれている煤塵を煤塵捕捉フィルタに捕集したら、捕捉した煤塵を加熱して二次生成反応を行う。この工程においては、煤塵が捕捉された捕捉フィルタを300〜500℃に加熱する。加熱温度は、二次生成反応が起こる温度である300〜500℃が望ましいが、より望ましくは300〜400℃程度である。捕捉フィルタの加熱に関しては急速に加熱することが望ましいが、1〜3分程度で設定温度に到達すればよい。二次生成反応を行う時間については、二次生成反応速度は比較的ゆっくり進むといわれており、数時間の反応時間が必要である。3〜5時間程度を二次生成反応時間とすることが望ましい。加熱に際しては、加熱雰囲気は有酸素(あるいは空気)雰囲気でできるだけ密閉状態で行うことが望ましいが、排ガスを流しながら二次生成反応を行っても良い。
【0026】
この煤塵による二次生成反応の測定は、それによる実機内でのダイオキシン類の発生量を求めるものであるから、同一条件で繰り返し測定を行い、ダイオキシン類発生量の増加が確認されたらそれに応じて対策をとる。
【0027】
二次生成反応終了後、捕捉フィルタ中の煤塵は半連続的に二次性能を測定することを考慮し、逆洗ラインを有する構造であることが望ましい。二次生成反応終了時には、逆洗ラインからN2ガス、Heガス等の不活性ガスや圧縮空気などを用いて逆洗、パージを行う。このとき、捕捉フィルタ中の煤塵は、サンプリングプローブを通じて煙道中に戻される。また、逆洗ラインは、サンプリングラインとは別に用意してもよく、その際にはサンプリングラインと逆洗ラインとの間にバルブ等を設けてやればよい。この場合には、逆洗により捕捉フィルタ中の煤塵は逆洗ラインを通り、系外に排出される。
【0028】
【実施例】
実施例1
本発明の一実施例であるダイオキシン類二次生成能測定装置の概略構成を図1に示す。
【0029】
この装置は、同図に示すように、焼却炉煙道1に取り付けられたサンプリングプローブ2と、該プローブ2に接続されてそこから採取された排ガス試料を冷却する冷却器3と、この冷却器3に接続されて排ガス試料に含まれている煤塵を捕集する煤塵捕捉フィルタ5と、該フィルタ5に接続されてそこで煤塵を除去された排ガスの成分を濃縮する濃縮管10と、濃縮管10に吸着された排ガス成分を分析するガスクロマトグラフ装置16よりなっている。前記フィルタ5と濃縮管10にはそれぞれ加熱器6,11が付設されている。濃縮管10の内部には、TENAX TA(粒径:35/60メッシュ,GLサイエンス社製)0.5mlが充填されている。ガスクロマトグラフ装置10(カラム充填剤:5%フェニル−メチルポリシロキサン)には検出器(ECD)17が設けられている。
【0030】
冷却器3とフィルタ5を結ぶ配管には切替バルブ4が設けられ、そこから煙道1につながる逆洗ライン9が分岐している。フィルタ5と濃縮管10を結ぶ配管に2つの切替バルブ8,12が設けられ、フィルタ5側の切替バルブ8からは逆洗用ポンプ7につながる配管が分岐している。また、濃縮管10側の切替バルブ12は4方弁であって、そこから分岐する配管の一つはガスクロマトグラフ装置16に、そしてもう一つはサンプリング用ポンプ20にそれぞれ接続されている。濃縮管10の出口側にも切替バルブ18が設けられ、そこから分岐する一方の配管は加熱脱着用ポンプ14に、もう一つはサンプリング用ポンプ15にそれぞれ接続されている。
【0031】
上記の装置を用いてごみ焼却施設から排出される排ガスとそれに含まれる煤塵のダイオキシン類二次生成能の測定を行った。
【0032】
測定を実施したごみ焼却施設は、焼却規模:300トン/日×3炉、既設の全連続式ストーカ炉であった。排ガスは、ボイラ出口付近の煙道1から採取した。まず、切替バルブ4をフィルタ5側に、切替バルブ8,12を濃縮管10側に、そして切替バルブ18をサンプリング用ポンプ15側に切り替えて、サンプリング用ポンプ15を移動させ、排ガスを1L/分の流速で採取した。このときの排ガス温度は500℃であった。排ガスのサンプリング時間は6時間であった。排ガスは排ガス冷却器3で冷却されて100℃以下となり、次いで、煤塵が煤塵捕捉フィルタ5にて捕集された。この煤塵捕捉フィルタ5で捕捉されない排ガス成分は濃縮管10にて吸着された。濃縮管での排ガス採取時間は10分間行った。
【0033】
次に、切替バルブ12を切り替えて、フィルタ5の出口側をサンプリング用ポンプ20に、そして濃縮管10の入口側をガスクロマトグラフ装置16に接続し、切替バルブ18を加熱脱着用ポンプ14側に切り替えた。そこで、サンプリング用ポンプ15を停止すると同時に、サンプリング用ポンプ20を稼働させ、排ガスのサンプリングを継続した。一方、濃縮管10に吸着した排ガス成分を分析するために、加熱脱着用加熱器11により濃縮管10を300℃に急速加熱し、加熱脱着ライン切替バルブ18を切り替えると同時に、加熱脱着用ポンプ14を作動させてヘリウムガスを濃縮管10に送った。それにより、急加熱で脱着した排ガス成分が分析ライン13を通じてガスクロマトグラフ装置16に導入され、ダイオキシン前駆体成分に分離されて、検出器(ECD)17で検出・定量された。加熱脱着後分析を行っている時間は、ライン切替バルブ12を切り替え、Heガスをポンプ20から濃縮管10に送ってパージを行った。
【0034】
分析終了後は、ライン切替バルブ12を切り替え、サンプリング用ポンプ20を停止すると同時に、サンプリング用ポンプ15を再度稼働させ、濃縮管10内に排ガス成分を吸着させた。煤塵を6時間サンプリングする間、この動作を繰り返した。排ガス成分の分析に必要な時間はサンプリングを含め40分間であった。煤塵サンプリングが終了するまでに9回の排ガス成分測定を実施した。
【0035】
これにより、煤塵と排ガスおよび排ガスのみによる二次生成反応により発生したダイオキシン前駆体および燃焼により発生したダイオキシン前駆体を測定した。
【0036】
サンプリング中の排ガス成分には、燃焼により発生したダイオキシン前駆体が含まれるが、ボイラ出口煙道からサンプリングを行うため、燃焼炉出口からボイラ出口煙道にかけて煙道に付着している煤塵と排ガスが接触することにより二次生成反応が起こる。また、排ガス同士の接触によっても排ガス温度が500℃以下となるボイラ出口においてはダイオキシン前駆体の二次生成反応が起こるため、排ガス成分中のダイオキシン前駆体は、上記の3種類の反応による発生量の総計として測定される。
【0037】
煤塵の捕集が終了した後(6時間経過後)、サンプリング用ポンプ15を停止し、逆洗切替バルブ4および逆洗ライン切替バルブ8を切り替えて、煤塵捕捉フィルタ5を密閉状態とすると同時に、捕捉フィルタ加熱器6のヒータを急速加熱して300℃にした。二次生成反応時間は5時間とした。二次生成反応終了後、逆洗切替バルブ4および逆洗ライン切替バルブ8を切り替えて、サンプリングポンプ15を稼働させて、二次生成反応により発生した排ガス成分を濃縮管10に吸着させた。吸着時間は30分間とし、吸着後排ガス成分測定と同様の操作により、ダイオキシン前駆体成分の検出・定量を行った。
【0038】
二次生成反応終了後に煤塵捕捉フィルタ5に捕捉された煤塵の除去とパージを行うため、まず、捕捉フィルタ加熱手段の温度を500℃に設定し、続いて逆洗切替バルブ4および逆洗ライン切替バルブ8を切り替えると同時に逆洗用ポンプ7を稼働させ、逆洗を行った。同時に逆洗用ポンプ7からHeガスをパージした。逆洗、パージ時間は1時間とした。
【0039】
これら一連の測定に要する時間は12時間であった。本実施例では、24時間の連続測定を実施た。すなわち、2回の二次生成能の分析を行った。ダイオキシン前駆体としてクロロベンゼン類を測定し、その合計値を算出した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
実施例2
実施例1における測定結果を踏まえて、ごみ焼却施設の二次生成抑制運転を実施した。二次生成によるダイオキシン前駆体測定値から、測定値の高い場合(1回目)終了時に、減温塔出口の温度を通常より20℃下げて運転すると同時に、活性炭吹込量を通常吹込量の2倍に増加させて運転した。その結果、測定値は低減し(2回目)、二次生成反応によるダイオキシン前駆体発生量を低減することができた。
【0043】
【発明の効果】
以上に示したように、本発明によれば、焼却炉等の煙道から煤塵を含む排ガスを採取する工程と、排ガスを冷却する工程と、該排ガス中の煤塵を捕集する工程と、捕集した煤塵を加熱してダイオキシン類およびダイオキシン前駆体の二次生成反応を行う工程と、二次生成反応により発生したダイオキシン類およびダイオキシン前駆体を分析する工程からなるダイオキシン類二次生成能の測定を行うことが可能であり、排ガス成分だけでなく排ガス処理過程における二次生成反応によるダイオキシン類発生量も測定することが可能となり、適切な二次生成の抑制運転ができるようになり、ダイオキシン類の排出量が常に低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるダイオキシン類二次生成能測定装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1…焼却炉煙道
2…サンプリングプローブ
3…排ガス冷却器
4…逆洗切替バルブ
5…煤塵捕捉フィルタ
6…捕捉フィルタ加熱器
7…逆洗用ポンプ
8…逆洗ライン切替バルブ
9…逆洗ライン
10…濃縮管
11…加熱脱着用加熱器
12…ライン切替バルブ
13…分析ライン
14…加熱脱着用ポンプ
15…サンプリング用吸引ポンプ
16…ガスクロマトグラフ装置
17…検出器(ECD)
18…加熱脱着ライン切替バルブ
19…排気ライン
20…サンプリング用吸引ポンプ
Claims (3)
- 焼却炉等の煙道から煤塵を含む排ガスを採取するサンプリングプローブと、採取したガスを冷却するための排ガス冷却手段と、冷却された該排ガス中の煤塵を捕集するための煤塵捕捉フィルタと、捕捉フィルタで捕集された煤塵によるダイオキシン類またはダイオキシン前駆体の二次生成反応を行うための捕捉フィルタ加熱ヒータと、二次生成反応の終了した捕捉フィルタから発生したダイオキシン類またはダイオキシン前駆体を吸着回収するための濃縮管と、この濃縮管を加熱して濃縮されているダイオキシン類またはダイオキシン前駆体を加熱脱着する濃縮管加熱ヒータと、加熱脱着されたダイオキシン類またはダイオキシン類前駆体を分析する分析装置を具備することを特徴とするダイオキシン類二次生成能測定装置
- 焼却炉等の煙道から煤塵を含む排ガスを採取する工程と、採取された排ガスを冷却する工程と、該排ガス中の煤塵を捕集する工程と、捕集した煤塵を加熱してダイオキシン類およびダイオキシン前駆体の二次生成反応を行う工程と、二次生成反応により発生したダイオキシン類およびダイオキシン前駆体を分析する工程からなることを特徴とするダイオキシン類二次生成能測定方法
- 前記排ガス中の煤塵を捕集している間に、煤塵の捕集が終了した排ガス成分を分析することを特徴とする請求項2に記載のダイオキシン類二次生成能測定方法
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