JP2006284422A - 有機系ハロゲン化合物の測定方法及び測定装置 - Google Patents

有機系ハロゲン化合物の測定方法及び測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 測定誤差が小さく、簡単迅速に自動化で常時モニタリング可能な有機系ハロゲン化合物の測定方法及び測定装置を提供する。
【解決手段】 試料ガスから無機系ハロゲン化合物を除去する工程Aと、無機系ハロゲン化合物を除去した試料ガスから有機系ハロゲン化合物を吸着する工程Bと、空気から分離した窒素ガスを常時流しながら、吸着した有機系ハロゲン化合物を加熱して脱離させる工程Cと、空気を常時流しながら、有機系ハロゲン化合物を燃焼して分解する工程Dと、分解後のガスを分析して、有機系ハロゲン化合物濃度を定量する工程Eを有する有機系ハロゲン化合物の測定方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ごみ焼却場や産業廃棄物焼却場などの焼却炉等、製鋼用電気炉、鉄鋼業焼結施設、亜鉛回収施設、アルミニウム合金製造設備などから排出される排ガスや作業環境大気および一般大気などの試料ガス中に含まれるダイオキシン類などの有機系ハロゲン化合物の濃度を、測定誤差が小さく、簡単迅速に自動化して常時モニタリングできる有機系ハロゲン化合物の測定方法及び測定装置に関する。
従来より、排ガス中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの測定方法としては、JIS K0311に規定された、いわゆる公定法が知られている。しかしながら、この公定法は、分析装置としてGC/MSを用いるものであるため、試料ガスを採取してから抽出液を作製する前処理が必要となり、機械により全工程を自動化するのは困難であった。そのため、前処理工程とGC/MSによる分析工程とを自動化して連続で行えず、焼却炉等から排出される排ガスを連続的に測定できないという問題があった。
そこで、ダイオキシン類の測定方法として、公定法ではなく、簡易迅速法の一種である燃焼分解・電量滴定法を用い、排ガス中の有機系ハロゲン化合物を樹脂やシリカゲル等に吸着して濃縮させた後、加熱して脱離させ、燃焼分解させて電量滴定により定量して、連続的に自動で測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1または2参照。)。
特許文献1の測定装置では、有機系ハロゲン化合物の吸着剤として、樹脂を用いており、特許文献2の測定装置では、吸着剤としてシリカゲルと白金触媒を用いている。しかしながら、特許文献2の測定装置にあっては、吸着剤のシリカゲルが吸湿性であるため、ごみ焼却炉からの排ガスのような水分を多量に含む試料ガスの測定には実用的でないという問題があった。
そこで、これらの提案を基に開発され、現在市販されているのが、図3に示した測定装置である。この測定装置では、まず、試料ガス中の無機系ハロゲン化合物と有機系ハロゲン化合物を共に吸着装置3に吸着した後、切換弁20,21を切換えて、キャリアガスとしてアルゴンボンベ30からアルゴンガスを流し、吸着装置3を加熱して有機系ハロゲン化合物を脱離させる。その後、キャリアガスと共に有機系ハロゲン化合物を分解装置7に送り、燃焼補助ガスとして酸素ガスボンベ31から99.9%以上の純度の酸素ガスを流しながら分解装置7中で燃焼・分解させた後、電量滴定分析装置などの分析装置8で分析するものである。
特許第3458076号公報 特開2005−9895号公報
しかしながら、上記測定装置にあっては、(1)試料ガス中の無機系ハロゲン化合物と有機系ハロゲン化合物を共に吸着装置3に吸着させているため、試料ガス中の無機系ハロゲン化合物が多いと誤差が大きくなること、(2)キャリアガス、燃焼補助ガスとしてボンベからのガスを用いているため、定期的なボンベの補充・交換が必要となり手間がかかることやボンベ交換時にはモニタリングできないこと等の問題があった。また、(3)キャリアガスとしてアルゴンガスを、燃焼補助ガスとして99.9%以上の純度の酸素ガスを用いると、分解装置7の燃焼温度を1000℃以上の高温にしても窒素酸化物が発生しないという利点があったが、コストが上昇するという問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、測定誤差が小さく、簡単迅速に自動化で常時モニタリング可能な有機系ハロゲン化合物の測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、試料ガスから無機系ハロゲン化合物を除去する工程Aと、無機系ハロゲン化合物を除去した前記試料ガスから有機系ハロゲン化合物を吸着する工程Bと、空気から分離した窒素ガスを常時流しながら、吸着した前記有機系ハロゲン化合物を加熱して脱離させる工程Cと、空気を常時流しながら、前記有機系ハロゲン化合物を燃焼して分解する工程Dと、前記分解後のガスを分析して、有機系ハロゲン化合物濃度を定量する工程Eを有することを特徴とする有機系ハロゲン化合物の測定方法である。
請求項2にかかる発明は、前記工程Aが、前記試料ガスを無機系ハロゲン除去装置に通過させるものであり、前記工程Bが、無機系ハロゲン化合物を除去した前記試料ガスを、吸着装置に通過させるものであり、前記工程Cが、前記吸着装置を加熱して行うものである請求項1に記載の有機系ハロゲン化合物の測定方法である。
請求項3にかかる発明は、試料ガス中の無機系ハロゲン化合物を除去する無機系ハロゲン除去装置と、無機系ハロゲン化合物を除去した前記試料ガスから、有機系ハロゲン化合物を吸着して、これを加熱脱離する吸着装置と、前記吸着装置に、空気から分離した窒素ガスを常時供給する窒素ガス供給装置と、前記吸着装置から脱離した前記有機系ハロゲン化合物を空気を用いて燃焼して分解する分解装置と、前記分解後のガスを分析して、有機系ハロゲン化合物濃度を定量する分析装置を備えたことを特徴とする有機系ハロゲン化合物の測定装置である。
請求項4にかかる発明は、前記分解装置と前記分析装置との間に、ガス放出弁を設け、前記分解装置に流入する空気流量が低下した際または前記分析装置で分析が終了した際に、前記ガス放出弁が開となるように制御する制御装置を設けた請求項3に記載の有機系ハロゲン化合物の測定装置である。
本発明の測定方法及び測定装置によれば、無機系ハロゲン除去装置を設けて試料ガス中の無機系ハロゲン化合物を除去することにより、測定誤差を小さくすることができ、また、窒素ガス供給装置を設けて空気から分離した窒素ガスを常時供給することにより、安価で、簡単迅速に自動化して常時モニタリングすることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る有機系ハロゲン化合物の測定装置の例を図面に示し、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る有機系ハロゲン化合物の測定装置1の概略構成図である。この測定装置1は、無機系ハロゲン除去装置2と、2系統からなる吸着装置3,3と、窒素ガス供給装置6と、分解装置7と、分析装置8とから概略構成されている。
無機系ハロゲン除去装置2は、試料ガス中の無機系ハロゲン化合物を除去するものであり、あらかじめ除塵器、除湿器(図示せず)を通過してダスト、水分等を除去した試料ガスを流す配管と接続されていて、この試料ガスを流通できるようになっている。
無機系ハロゲン除去装置2の下流には、切換弁20と2系統に分岐された吸着装置3,3とが、この順に配置されている。切換弁20には、無機系ハロゲン化合物を除去した試料ガスを流す配管と、窒素ガス供給装置6からの窒素ガスを流す配管とが接続されていて、吸着装置3,3に導入するガスを切換えられるようになっている。
そして、一方の吸着装置3において、無機系ハロゲン化合物を除去した試料ガスを流通させ有機系ハロゲン化合物を吸着して濃縮している間、すでに吸着が終了した他方の吸着装置3に窒素ガスを流しながら加熱して、吸着した有機系ハロゲン化合物を脱離させて窒素ガスと共に下流に供給できるようになっている。
窒素ガス供給装置6は、切換弁20の上流に配置されていて、活性炭等の吸着剤5を通過した空気から窒素ガスを分離して常時吸着装置3に供給できるようになっている。
吸着装置3,3の下流には、切換弁21が配置されていて、無機系ハロゲン化合物を除去した試料ガスを流通させ有機系ハロゲン化合物を吸着させている一方の吸着装置3からの試料ガスを、排気できるようになっており、また、すでに吸着が終了した他方の吸着装置3から脱離させた有機系ハロゲン化合物を含んだ窒素ガスを、分解装置7に供給できるようになっている。
分解装置7には、試料ガスを流す配管の他に、酸素含有ガスとしての空気を導入する配管が接続されていて、燃焼補助ガスである空気を常時流しながら燃焼・分解できるようになっている。
分解装置7の下流には、分析装置8とデータ処理装置9とが配置されていて、分解後のガスを分析して、有機系ハロゲン化合物濃度を定量できるようになっている。
また、分解装置7と分析装置8との間には、ガス放出弁22が配置されている。ガス放出弁22には、分解装置7に流入する空気の空気流量計からの信号10またはデータ処理装置9からの信号11に連動した制御装置40が接続されていて、これにより弁の開閉が制御できるようになっている。具体的には、停電等で分解装置7の加熱ヒータが停止し、かつ分解装置7に流入する空気流量が低下したという信号10または分析装置8で分析が終了したというデータ処理装置9からの信号11が制御装置40に送られると、ガス放出弁22が開となるように制御できるようになっている。
例えば、分析装置8が電量滴定分析を行っている場合、分解装置7に流入する空気流量が低下してゼロとなり、かつ分解装置7の加熱ヒータが停止した際、ガス放出弁22を開とすることにより、ラインが大気に開放されるため、分解装置7の冷却に伴って電量滴定分析装置の電解液が逆流により上昇して分解装置7内に侵入し、劣化・汚染の原因となるのを防止することができる。
また、電量滴定分析装置で分析が終了した際、データ処理装置9からその情報が制御装置40に送られてガス放出弁22を開とすることにより、分解装置7からのガスは活性炭4を通って排出され、電量滴定分析装置には供給されなくなるため、キャリアガスにより電解液が蒸発して減少するのを防止することができる。
本実施形態で用いられる無機系ハロゲン除去装置2は、試料ガスから無機系ハロゲン化合物を除去するもので、粒径0.4〜0.9mmの銀等の金属粒子や金属銀を担持したプラスチック、セラミックからなる粒子またはフィルター等を充填してなるものである。無機系ハロゲン除去装置2に金属粒子等を充填して用いることにより、試料ガス中のハロゲン化水素ガスやハロゲンガス等の無機系ハロゲン化合物のみを金属塩として吸着して簡易に除去することができる。
また、測定装置1の最上流に無機系ハロゲン除去装置2を設けて、無機系ハロゲン化合物を除去することにより、吸着装置3,3に無機系ハロゲン化合物が吸着して、分析時の測定誤差となるのを防止することができ、より正確に精度よく分析することができる。
また、吸着装置3,3は、試料ガスから、ハロゲン化ベンゼン、ハロゲン化フェノール、ダイオキシン類等の有機系ハロゲン化合物を吸着すると共に、加熱によりこれらを脱離可能な吸着剤を充填してなるものである。このような吸着剤としては、例えば、分子量の大きい芳香族系の有機系ハロゲン化合物を選択的に吸着し、ジクロロメタンのような分子量の小さい有機系ハロゲン化合物を吸着しない性質を有するXAD−2(スチレン−ジビニルベンゼン共重合体)樹脂、TenaX(2,6−ジフェニル−p−フェニレンオキサイド)樹脂などを用いることができる。
窒素ガス供給装置6は、吸着剤5を通過して水分や大気中の有機系ハロゲン化合物等の不純物を除いた、原料の空気から、窒素ガスを分離するものであり、吸着剤方式や分離膜方式等の公知の窒素ガス供給装置を用いることができる。ボンベではなく窒素ガス供給装置6を用いることにより、ボンベ交換時のガス停止を起こすことなく、常時キャリアガスとして窒素ガスを吸着装置3に安価で供給することができる。
分解装置7は、有機系ハロゲン化合物を空気中の酸素と共に燃焼して、ハロゲン化水素、二酸化炭素、水等に分解する石英管等からなる燃焼炉を備えてなるものである。99.9%以上の純度の酸素ガスを用いてもよいが、20%程度の酸素濃度(空気)でも有機系ハロゲン化合物を充分に分解できるものであれば、公知の燃焼炉を用いることができる。
分析装置8はデータ処理装置9と連動していて、分解後のガス、特に生成したハロゲン化水素を測定するものである。このような分析装置8としては、ガスクロマトグラフ分析装置、液体クロマトグラフ分析装置、電量滴定分析装置、電気伝導度測定装置、イオン電極分析装置、赤外分光分析装置、プラズマ発光分析装置などが挙げられる。そのなかでも、ASTM D5808に準拠している点から、電量滴定分析装置が好ましい。
この電量滴定分析装置は、発生したハロゲン化水素が溶解することにより、酢酸ナトリウム水溶液等の電解液の電位が変化するのを、銀発生電極から発生させた銀イオンで滴定して、滴定に要した電気量から、ファラデーの法則によりハロゲン量を測定するものである。そして、測定したハロゲン量と、サンプリングした試料ガス容量により、有機系ハロゲン化合物濃度を定量するものである。
電量滴定装置を用いることにより、公定法と異なり、分析の度に検量線を作成することなく、簡易迅速に自動化して精度良く分析することができる。
本実施形態の測定装置1によれば、無機系ハロゲン除去装置2を設けて試料ガス中の無機系ハロゲン化合物を除去することにより、吸着装置3,3に無機系ハロゲン化合物が吸着して、分析時の測定誤差となるのを防止することができるため、最終的な測定誤差を小さくすることができる。また、窒素ガス供給装置6を設けて空気から分離した窒素ガスを常時供給することにより、定期的なボンベの補充・交換が不要となるため、簡単迅速に、自動化して常時モニタリングすることができる。
本実施形態では、上記切換弁20,21、吸着装置3,3を2系統としているが、1系統でも有機系ハロゲン化合物の吸着・脱離を繰り返すことで連続測定が可能である。また、測定のさらなる効率化及びラインの故障等を想定して、さらにもう1系統増やして合計3系統又は4系統以上設けてもよい。吸着装置3,3を2系統にすることにより、有機系ハロゲン化合物の吸着と脱離及び測定を2系統で交互に行うことができるため、有機系ハロゲン化合物濃度を常時連続的に測定することができる。
また、本実施形態では、分解装置7に流入する空気の空気流量計からの信号10及びデータ処理装置9からの信号11を、1個の制御装置40に送るようにしているが、制御装置を複数設けて、それぞれの信号に対応して、ガス放出弁22を制御してもよい。
以下、この測定装置1を用いた有機系ハロゲン化合物の測定方法について説明する。
本実施形態に係る有機系ハロゲン化合物の測定方法は、試料ガスから無機系ハロゲン化合物を除去する工程Aと、無機系ハロゲン化合物を除去した試料ガスから有機系ハロゲン化合物を吸着する工程Bと、空気から分離した窒素ガスを常時流しながら、吸着した有機系ハロゲン化合物を加熱して脱離させる工程Cと、空気を常時流しながら、有機系ハロゲン化合物を燃焼して分解する工程Dと、分解後のガスを分析して、有機系ハロゲン化合物濃度を定量する工程Eを有している。
被測定物質となるのは、ごみ焼却場や産業廃棄物焼却場などの焼却炉等、製鋼用電気炉、鉄鋼業焼結施設、亜鉛回収施設、アルミニウム合金製造設備などから排出される排ガスや作業環境大気および一般大気などの試料ガスであり、その中に含まれるハロゲン化ベンゼン、ハロゲン化フェノール、ダイオキシン類等、特にCl、Brで置換された分子量の大きい芳香族系の有機系ハロゲン化合物が測定対象である。
(工程A)
まず、あらかじめ除塵器、除湿器(図示せず)を通過してダスト、水分等を除去した試料ガスを、流量0.1〜10L/分、好ましくは1〜2.5L/分で無機系ハロゲン除去装置2に通過させる。除塵器としては、有機系ハロゲン化合物を吸着せずに、ダスト等を除去できるものであれば、特に限定されるものでなく、例えば、ガラス繊維製フィルター、合成繊維製フィルター、セラミック製フィルター等が挙げられる。また、除湿器としては、有機系ハロゲン化合物を吸着せずに、水分を除去できるものであれば、特に限定されるものでなく、例えば、冷却したドレン瓶、電子クーラー等が挙げられる。
(工程B)
無機系ハロゲン除去装置2により、無機系ハロゲン化合物を除去された試料ガスは、切換弁20を通過して一方の吸着装置3に送られ、試料ガス中の有機系ハロゲン化合物が吸着装置3に吸着される。吸着時間は、有機系ハロゲン化合物の吸着量が、塩素換算で0.1μg以上となる時間が好ましく、0.5μg以上となる時間がより好ましい。また、吸着温度は0〜150℃が好ましく、20〜110℃がより好ましい。
(工程C)
吸着装置3を通過した試料ガスは、切換弁21から系外に排気される。有機系ハロゲン化合物を吸着させた他方の吸着装置3からの有機系ハロゲン化合物の脱離は、窒素ガス供給装置6からの窒素ガスをキャリアガスとして切換弁20を通して流しながら、吸着装置3をヒーター(図示せず)で50〜1000℃、好ましくは450℃に加熱して行う。脱離時間は分析が終了するまでが好ましい。また、キャリアガスの流量は10〜1000mL/分であるのが好ましく、50〜100mL/分であるのがより好ましい。
一方の吸着装置3における吸着と、他方の吸着装置3における加熱・脱離は、同時に行ってもよいし、時間を空けて行ってもよい。また、本実施形態では、有機系ハロゲン化合物を脱離させるキャリアガスとして、窒素ガス供給装置6からの窒素ガスを用いているが、従来のボンベ等からのアルゴンガスを用いても有機系ハロゲン化合物を充分脱離させることは可能である。
(工程D)
脱離した有機系ハロゲン化合物とキャリアガスである窒素ガスとは、切換弁21を通過して分解装置7に送られ、空気中の酸素と共に燃焼して分解する。燃焼温度は750〜900℃であるのが好ましく、800℃であるのが特に好ましい。燃焼温度を750〜900℃とするのは、有機系ハロゲン化合物は、750℃未満の燃焼温度では充分に分解せず、また900℃を超える燃焼温度では、空気中またはキャリアガス中の窒素が反応して窒素酸化物(NOX)を生成するため、環境上好ましく、また生成した窒素酸化物により、後述する分析工程Eでの測定誤差が大きくなるため、好ましくないからである。
有機系ハロゲン化合物の分解は、下記化学反応式のように考えられる。
+ aO → nHX + kCO + (l−n)/2H
(ここで、k≧1、l≧n、m≧0、n≧1、a≧1の自然数であり、Xはハロゲンである。)
燃焼補助ガスとして、99.9%以上の純度の酸素ガスではなく、空気を用いても有機系ハロゲン化合物を充分に分解することができる。また、本実施形態では、キャリアガスとして窒素ガスを、燃焼補助ガスとして空気を用いて、さらに燃焼温度を750〜900℃と従来より低くすることにより、従来のキャリアガスとしてアルゴンガスを、燃焼補助ガスとして99.9%以上の純度の酸素ガスを用いた場合の分析結果と変わらない有機系ハロゲン化合物濃度を得ることができると共に、窒素酸化物の生成を抑えて、かつコストを低下させることができる。
(工程E)
次いで、分解後のガス、特に上記化学反応式で発生したハロゲン化水素ガス(HX)を分析装置8に送り測定する。例えば、電量滴定分析装置では、測定時間は10〜40分であり、脱離したハロゲン化水素の放出が終わった時点で1回の分析が終了となる。なお、電量滴定分析装置の場合は、電解液の液レベルが電極よりも低下しないように、随時新しい電解液と自動的に交換される。
銀電極を用いた電量滴定は下記化学反応式のように示される。ハロゲン(X)1モルに対し電子(e)が1モル発生し、電流量として測定される。
HX → H + X
+ Ag → AgX + e
測定したハロゲン量と、サンプリングした試料ガス容量により、有機系ハロゲン化合物濃度を定量する。有機系ハロゲン化合物のうち、ダイオキシン類を定量する場合には、あらかじめ有機系ハロゲン化合物とダイオキシン類との相関関係を表す検量線を別に作成しておけばよい。
例えば、ごみ焼却炉などで、排ガス中のダイオキシン類のモニタリングとして用いる場合には、あらかじめ有機系ハロゲン化合物とダイオキシン類との相関関係を求めておく。燃焼が安定していると、排ガス中の有機系ハロゲン化合物の濃度は低く、一方燃焼が不安定になると、ダイオキシン類の前駆体となる有機系ハロゲン化合物の濃度が上昇する傾向にある。
そのため、有機系ハロゲン化合物濃度にある一定の基準値を設けておき、この基準値を超えた場合には、ダイオキシン類が90%以上生成している可能性が高いため、燃焼炉の運転条件を変える等のモニタリング手段として使用することができる。このような場合には、燃焼開始から30〜60分ごとに定期的にモニタリングを行うのが好ましい。
本実施形態の測定方法によれば、従来の公定法における抽出操作(前処理)を必要としないため、測定が簡単かつ確実となり、手作業を行うことなく機械で全自動化することができる。
以下、実験例により、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、下記実験例に何ら制限されるものではない。
[実験例1] 無機系ハロゲン除去装置による除去性能
一般廃棄物焼却炉の排ガスを用いて、無機系ハロゲン化合物のなかでも、塩化水素の除去について実験を行った。まず、金属銀顆粒(粒径0.4〜0.9mm)をそれぞれ20g充填したカラムを、2本直列に連結し、無機系ハロゲン除去装置を作製した。この無機系ハロゲン除去装置に、塩化水素濃度200ppmの排ガスを通過させた後、通過除去後の排ガス中の塩化水素濃度を、JIS K0107(イオンクロマトグラフ法)で分析した。この結果を表1に示す。
比較例として、10質量%の硝酸カリウム水溶液を無機系ハロゲン化合物吸収液として用い、これに上記排ガスを通過させた後、通過除去後の排ガス中の塩化水素濃度を、同様に測定した。この結果も表1に示す。
Figure 2006284422
表1の結果から、除去後の排ガス中の塩化水素濃度は、金属銀顆粒の場合も硝酸カリウム水溶液の場合も0.03ppmと大変低く、除去率は99.98%で、同程度の除去性能であることがわかった。
また、実験例1では、最初白銀色であった金属銀顆粒が、排ガス中の塩化水素と反応することにより黒褐色に変化した。2本のカラムのうち、前段のカラムは約6ヶ月でほぼ全体が黒褐色となった。したがって、後段のカラムが黒褐色となり始めた時点を目安として、前段のカラムを取り外し、後段のカラムを前段に取り付けるとともに、新しいカラムを後段に設置してカラム交換を行うのが好ましいことがわかった。
[実験例2] キャリアガスとして窒素ガスを用いた有機系ハロゲン化合物の脱離性能
1,2,4−トリクロロベンゼン0.1ppmをカーボンブラック系吸着剤100mgに吸着させた後、キャリアガスとして、窒素ガス供給装置で空気から分離した窒素ガスを用いて、流量200mL/分で流しながら温度450℃で15分加熱脱離させた。その後、燃焼炉で、99.9%以上の純度の酸素ガス100mL/分と共に温度800℃または900℃で13分間燃焼・分解させた。分解により生成した塩素量を電量滴定分析装置(TOX−100 ダイアインスツルメンツ社製)で分析した。この結果を表2に示す。
比較例として、キャリアガスにボンベからのアルゴンガスを用いて、温度700℃、750℃、800℃、900℃で実験例2と同様に燃焼・分解させた。この結果も表2に示す。
Figure 2006284422
表2の結果から、キャリアガスとして窒素ガスを用いて800℃で分解した場合とアルゴンガスを用いて900℃で分解した場合とで、吸着剤100mg当たりから脱離した塩素量には差がないことがわかった。また、キャリアガスとして窒素ガスを用いた場合、燃焼炉での分解温度は800℃の方が、窒素酸化物の生成による誤差が少なく、よいことがわかった。また、キャリアガスとしてアルゴンガスを用いた場合、燃焼炉での分解温度を750℃以上にしないと、有機系ハロゲン化合物が充分に分解しないことがわかった。
[実験例3] 燃焼補助ガスとして空気を用いた有機系ハロゲン化合物の分解性能
1,2,4−トリクロロベンゼン0.1ppmをカーボンブラック系吸着剤100mgに吸着させた後、キャリアガスとして、ボンベからのアルゴンガスを用いて、流量200mL/分で流しながら温度450℃で15分加熱脱離させた。その後、燃焼炉で空気100mL/分と共に温度900℃で13分間燃焼・分解させた。分解により生成した塩素量を実験例2と同様に分析した。この結果を表3に示す。
比較例として、燃焼補助ガスにボンベからの99.9%以上の純度の酸素ガスを用いて、実験例3と同様に行った。この結果も表3に示す。
Figure 2006284422
表3の結果から、燃焼補助ガスとして空気を用いた場合と99.9%以上の純度の酸素ガスを用いた場合とで、吸着剤100mg当たりから脱離して燃焼・分解した塩素量には差がないことがわかった。
ごみ焼却場や産業廃棄物焼却場などの焼却炉等、製鋼用電気炉、鉄鋼業焼結施設、亜鉛回収施設、アルミニウム合金製造設備などから排出される排ガスや作業環境大気および一般大気などの試料ガス中のダイオキシン類等の有機系ハロゲン化合物の濃度を測定する際に、手作業を一切行うことなく機械で全自動化して常時モニタリングするのに利用できる。
本発明の実施形態に係る有機系ハロゲン化合物の測定装置の概略構成図である。 市販されている従来の有機系ハロゲン化合物の測定装置の概略構成図である。
符号の説明
1 有機系ハロゲン化合物の測定装置
2 無機系ハロゲン除去装置
3 吸着装置
6 窒素ガス供給装置
7 分解装置
8 分析装置
22 ガス放出弁
40 制御装置


Claims (4)

  1. 試料ガスから無機系ハロゲン化合物を除去する工程Aと、
    無機系ハロゲン化合物を除去した前記試料ガスから有機系ハロゲン化合物を吸着する工程Bと、
    空気から分離した窒素ガスを常時流しながら、吸着した前記有機系ハロゲン化合物を加熱して脱離させる工程Cと、
    空気を常時流しながら、前記有機系ハロゲン化合物を燃焼して分解する工程Dと、
    前記分解後のガスを分析して、有機系ハロゲン化合物濃度を定量する工程Eを有することを特徴とする有機系ハロゲン化合物の測定方法。
  2. 前記工程Aが、前記試料ガスを無機系ハロゲン除去装置に通過させるものであり、
    前記工程Bが、無機系ハロゲン化合物を除去した前記試料ガスを、吸着装置に通過させるものであり、
    前記工程Cが、前記吸着装置を加熱して行うものである請求項1に記載の有機系ハロゲン化合物の測定方法。
  3. 試料ガス中の無機系ハロゲン化合物を除去する無機系ハロゲン除去装置と、
    無機系ハロゲン化合物を除去した前記試料ガスから、有機系ハロゲン化合物を吸着して、これを加熱脱離する吸着装置と、
    前記吸着装置に、空気から分離した窒素ガスを常時供給する窒素ガス供給装置と、
    前記吸着装置から脱離した前記有機系ハロゲン化合物を空気を用いて燃焼して分解する分解装置と、
    前記分解後のガスを分析して、有機系ハロゲン化合物濃度を定量する分析装置を備えたことを特徴とする有機系ハロゲン化合物の測定装置。
  4. 前記分解装置と前記分析装置との間に、ガス放出弁を設け、
    前記分解装置に流入する空気流量が低下した際または前記分析装置で分析が終了した際に、前記ガス放出弁が開となるように制御する制御装置を設けた請求項3に記載の有機系ハロゲン化合物の測定装置。


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