JP4031861B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP4031861B2
JP4031861B2 JP09589198A JP9589198A JP4031861B2 JP 4031861 B2 JP4031861 B2 JP 4031861B2 JP 09589198 A JP09589198 A JP 09589198A JP 9589198 A JP9589198 A JP 9589198A JP 4031861 B2 JP4031861 B2 JP 4031861B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
monomer
parts
molecular weight
copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP09589198A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11293102A (ja
Inventor
義博 中井
孝浩 池辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP09589198A priority Critical patent/JP4031861B2/ja
Publication of JPH11293102A publication Critical patent/JPH11293102A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4031861B2 publication Critical patent/JP4031861B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形加工性に優れると共に疲労強度、耐衝撃性、耐熱性に優れる熱可塑性樹脂組成物(ポリカーボネート/ABSアロイ樹脂組成物)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、優れた耐衝撃性、成形性を有する熱可塑性樹脂組成物として、ABS樹脂に代表されるゴム変性熱可塑性樹脂組成物が広く利用されている。ただしABS樹脂は耐熱性に欠けるので、高温下での使用には制限がある。そこで、ABS樹脂の耐熱性を改良する方法が種々提案されている。
【0003】
例えば、特公昭38−15225号公報には、ABS樹脂とポリカーボネート系樹脂とを配合した樹脂組成物が開示されている。また特開昭64−20260号公報には、ポリカーボネートに、ゴム変性熱可塑性樹脂と、特定範囲の分子量の2種類の共重合体(Mn4.5×104〜6.5×104、Mw10×104〜15.5×104、Mw/Mn2.0〜3.0と、Mn2.5×104〜3.5×104、Mw5×104〜7×104、Mw/Mn2.0〜3.0)とを配合することで、成形加工性を改良したポリカーボネート/ABSアロイ樹脂が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ポリカーボネート/ABSアロイ樹脂は、ポリカーボネートの比率を上げれば耐熱性および耐衝撃性を向上できるが、樹脂の高温時の流動性、すなわち成形加工性が低下する。逆に、ポリカーボネートの比率を下げたり、比較的低分子量の共重合体を配合すれば成形加工性は良好となるが、疲労強度や耐衝撃性、耐熱性が低下する。この点は、ポリカーボネート/ABSアロイ樹脂の使用用途を狭める原因となっていた。
【0005】
また、最近では樹脂成形品の大型化、薄肉化、形状の複雑化のために、ポリカーボネート/ABSアロイ樹脂に対する要求は厳しくなっている。したがって、この樹脂の耐熱性、耐衝撃性、成形加工性、剛性等の諸物性の改善が試みられている。しかし、用途によってはさらに厳しいバランスを要求されるものがあり、そのような用途においては、未だに満足のいく物性が得られていないのが現状である。すなわち、従来技術に従い、成形加工性を改良する目的でポリカーボネートの比率を下げたり、比較的低分子量の共重合体を配合すると、諸物性のバランスをとるのに限界がある。
【0006】
本発明の目的は、諸物性のバランスに優れ、特に成形加工性に優れると共に、疲労強度、耐衝撃性、耐熱性に優れる熱可塑性樹脂組成物(ポリカーボネート/ABSアロイ樹脂)を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ポリカーボネート系樹脂と、ゴム変性熱可塑性樹脂と、分子量分布が特定された二種の共重合体とを特定比率で配合することによって、成形加工性に優れると共に、疲労強度、耐衝撃性、耐熱性に優れるポリカーボネート/ABSアロイ樹脂組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(A)ポリカーボネート系樹脂15〜80重量部、
(B)脂肪族共役ジエン系単量体を必須成分とする単量体を重合してなるゴム状重合体5〜70重量%の存在下にシアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を必須成分とする単量体30〜95重量%(該単量体と該ゴム状重合体の合計量100重量%)を重合してなるグラフト共重合体10〜50重量部、
(C)シアン化ビニル系単量体10〜40重量%、芳香族ビニル系単量体60〜90重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜40重量%(該シアン化ビニル系単量体と該芳香族ビニル系単量体と該他のビニル系単量体の合計100重量%)を重合してなる共重合体であり、数平均分子量Mnが4.5×104〜9.5×104、重量平均分子量Mwが8.5×104〜18.5×104の範囲にあり、かつ、分子量分布Mw/Mnが1.0以上2.0未満の範囲にある第1の共重合体5〜40重量部、及び、
(D)シアン化ビニル系単量体15〜35重量%、芳香族ビニル系単量体65〜85重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜40重量%(該シアン化ビニル系単量体と該芳香族ビニル系単量体と該他のビニル系単量体の合計100重量%)を重合してなる共重合体であり、数平均分子量Mnが2.5×104〜3.5×104、重量平均分子量Mwが4.5×104〜6.5×104の範囲にあり、かつ、分子量分布Mw/Mnが1.0以上2.0未満の範囲にある第2の共重合体5〜25重量部
[(A)成分〜(D)成分の合計100重量部]
を含んで成ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0010】
本発明において(A)成分として用いる、ポリカーボネート系樹脂(A)としては、従来より知られる各種製法で得られる各種のポリカーボネート系樹脂を使用できる。一般的には、ジヒドロキシまたはポリヒドロキシ化合物をホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させて得られるポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
【0011】
特に、ジヒドロキシジアリールアルカンから得られるポリカーボネート系樹脂が好ましい。その樹脂の分子は分岐していてもよい。ここで用いるジヒドロキシアリールアルカンは、芳香族環に結合するヒドロキシ基に対してオルトの位置に、アルキル基、塩素原子または臭素原子等を有していてもよい。ジヒドロキシジアリールアルカンの好適な具体例としては、4,4'−ジヒドロキシ−2,2'−ジフェニルプロパン[すなわちビスフェノールA]、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
【0012】
分岐したポリカーボネート系樹脂は、例えば、使用するジヒドロキシ化合物の一部(0.2〜2モル%程度)をポリヒドロキシ化合物で置換することにより製造できる。ポリヒドロキシ化合物の具体例としては、1,4−ビス(4',4,2−ジヒドロキシトリフェニルメチル)−ベンゼン、フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、2,2−ビス[4,4'−(4,4'−ジヒドロキシフェニル)シキロヘキシル]プロパン等が挙げられる。
【0013】
ポリカーボネート系樹脂(A)の分子量は特に制限されず、所望に応じて適宜選択すればよい。
【0014】
本発明の樹脂組成物において、(A)成分〜(D)成分の合計100重量部を基準として、(A)成分の配合量は15〜80重量部であり、好ましくは30〜70重量部である。この配合量が15重量部未満の場合は樹脂組成物の耐衝撃性が不十分となり、80重量部を越える場合は成形加工性が劣ることになる。
【0015】
本発明において(B)成分として用いる、グラフト共重合体(B)は、脂肪族共役ジエン系単量体を必須成分とする単量体を重合してなるゴム状重合体5〜70重量%の存在下に、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を必須成分とする単量体30〜95重量%を重合してなるグラフト共重合体(すなわちABS樹脂)である。
【0016】
ここで用いる脂肪族共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。特に、耐衝撃性の点から1,3−ブタジエンが好ましい。ゴム状重合体を製造するために用いる単量体の合計100重量部を基準として、脂肪族ジエン系単量体の量は30〜100重量部であるが好ましい。この量を30重量部以上にすれば、良好な耐衝撃性を有するグラフト共重合体(B)が得られる。
【0017】
ゴム状重合体を製造するために用いる単量体として、脂肪族ジエン系単量体と他の単量体を併用する場合、他の単量体としては、ジエン系単量体と共重合可能な各種単量体を用いることができる。その具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸エステル;等が挙げられる。
【0018】
ゴム状重合体の製造方法としては、従来より知られる各種方法を採用できる。例えば、チーグラー系の触媒を用いて溶液重合し、これを乳化剤と水でホモジナイズして乳化分散する方法、あるいは乳化重合により製造する方法などが挙げられる。特に、ゴム状重合体の分散粒子径、分子量、ゲル含有率、膨潤度の制御の容易さ、高性能なグラフト共重合体(B)を製造するための自由度の大きさ等の点から、乳化重合が最適である。
【0019】
グラフト共重合体(B)の製造方法、すなわちグラフト重合法も、従来より知られる各種方法を採用できる。例えば、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、あるいはこれら二種以上を組み合わてグラフト重合することができる。これらのうち、先に述べたようにゴム状重合体の製造方法として乳化重合が最適である点から、グラフト重合においても乳化重合が最適である。例えば、乳化重合で得たゴム状重合体に、さらにグラフト用の単量体混合物を添加し、重合すればよい。
【0020】
このようにして得られたグラフト共重合体(B)は、通常のラテックスからのポリマー回収方法である酸または塩による凝固、乾燥工程により粉末状の固体として回収することができる。
【0021】
ゴム状重合体にグラフト重合させる単量体は、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を必須成分とする。シアン化ビニル系単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。特に、アクリロニトリルが好ましい。芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のビニルトルエン類、p−クロルスチレン等のハロゲン化スチレン類、p−t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルナフタレン類等が挙げられる。特に、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0022】
グラフト重合用単量体として、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体以外に、さらに、所望に応じて他の単量体を併用することもできる。その具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸エステル系単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和ジカルボン酸のイミド化合物;等が挙げられる。これらは、一種単独でも二種以上を併用することもできる。
【0023】
グラフト重合用単量体の使用割合は、通常、シアン化ビニル系単量体/芳香族ビニル系単量体/その他の単量体(重量比)=10〜50/50〜90/0〜40、好ましくは15〜45/45〜85/0〜20である。
【0024】
さらに、グラフト重合用単量体には、必要に応じて、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート等を、グラフト重合用単量体合計100重量%を基準として、20重量%以下、好ましくは15重量%以下併用することも可能である。
【0025】
グラフト共重合体(B)の製造において、ゴム状重合体とグラフト重合用単量体との比率は、ゴム状重合体/単量体混合物(重量比)=5〜70/30〜95、好ましくは10〜65/35〜90である。ゴム状重合体が5重量%未満の場合は、樹脂中のゴム状重合体の割合が必然的に低くなり、耐衝撃性が低下する。一方、70重量%を超える場合はゴム状重合体へのグラフト率が低くなり、樹脂中のゴム状重合体の分散が不十分となり耐衝撃性は発現し得ない。
【0026】
本発明の樹脂組成物において、(A)成分〜(D)成分の合計100重量部を基準として、(B)成分の配合量は10〜50重量部であり、好ましくは15〜40重量部である。この配合量が10重量部未満の場合は耐衝撃性が劣り、50重量部を越える場合は成形加工性が劣る。
【0027】
本発明において(C)成分として用いる、第1の共重合体(C)は、シアン化ビニル系単量体10〜40重量%、芳香族ビニル系単量体60〜90重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜40重量%を重合してなる共重合体である。
【0028】
ここで用いるシアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、共重合可能な他のビニル系単量体の具体例としては、グラフト共重合体(B)の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0029】
この第1の共重合体(C)は、数平均分子量Mnが4.5×104〜9.5×104、重量平均分子量Mwが8.5×104〜18.5×104の範囲にあり、かつ、分子量分布Mw/Mnが1.0以上2.0未満の範囲にある。この分子量または分子量分布が上記範囲を外れると、得られた樹脂組成物が成形加工性、疲労強度、耐衝撃性および耐熱性の少なくともいずれかに劣ることとなる。特に、Mw/Mnが2.0以上であると、成形加工性、耐衝撃性などの点で問題が生じる。好ましくは、数平均分子量Mnが5.0×104〜8.5×104、重量平均分子量Mwが9.0×104〜16×104、分子量分布Mw/Mnが1.5以上1.9以下の範囲である。
【0030】
第1の共重合体(C)の製造方法としては、従来より知られる各種方法を採用できる。例えば、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の方法により、上述の単量体混合物を共重合すればよい。
【0031】
本発明の樹脂組成物において、(A)成分〜(D)成分の合計100重量部を基準として、(C)成分の配合量は5〜40重量部であり、好ましくは10〜30重量部である。この配合量が5重量部未満の場合は疲労強度が不十分となり、40重量部を超える場合は耐衝撃性が劣ることになる。
【0032】
本発明において(D)成分として用いる、第2の共重合体(D)は、シアン化ビニル系単量体15〜35重量%、芳香族ビニル系単量体65〜85重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜40重量%を重合してなる共重合体である。
【0033】
ここで用いるシアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、共重合可能な他のビニル系単量体の具体例としては、グラフト共重合体(B)の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0034】
この第2の共重合体(D)は、数平均分子量Mnが2.5×104〜3.5×104、重量平均分子量Mwが4.5×104〜6.5×104の範囲にあり、かつ、分子量分布Mw/Mnが1.0以上2.0未満の範囲にある。このように第2の共重合体(D)は、分子量が比較的小さく、疲労強度、耐衝撃性、耐熱性を確保しつつ、成形加工性を格段に改善する成分である。この分子量または分子量分布が上記範囲を外れると、得られた樹脂組成物が成形加工性、疲労強度、耐衝撃性および耐熱性の少なくともいずれかに劣ることとなる。特に、Mw/Mnが2.0以上であると、成形加工性、耐衝撃性などの点で問題が生じる。好ましくは、数平均分子量Mnが3.0×104〜3.5×104、重量平均分子量Mwが5.0×104〜6.0×104、分子量分布Mw/Mnが1.5以上1.9以下の範囲である。
【0035】
第2の共重合体(D)の製造方法としては、従来より知られる各種方法を採用できる。例えば、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の方法により、上述の単量体混合物を共重合すればよい。
【0036】
本発明の樹脂組成物において、(A)成分〜(D)成分の合計100重量部を基準として、(D)成分の配合量は5〜25重量部である。この配合量が5重量部未満の場合は樹脂組成物の成形加工性が不十分となり、25重量部を超える場合は耐衝撃性が劣ることになる。
【0037】
本発明の樹脂組成物は、以上説明した(A)成分〜(D)成分を主成分として含んで成る組成物であり、(A)成分〜(D)成分のみを含むものであってもよいが、目的に応じて各種安定剤、可塑剤、滑剤、金属石鹸、帯電防止剤等を添加することもできる。これらの混合には、例えば、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、押出機、加熱ロール等の装置が用いられる。
【0038】
本発明の樹脂組成物を用いれば、例えば、射出成形、押出成形など、様々な成形法により有用な成形品を得ることができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記載中、%および部は明記しない限り重量基準とする。
【0040】
実施例および比較例中での、各種物性の測定は以下の方法により測定した。
【0041】
(1)アイゾット衝撃強度
ASTM D256に準拠し、試験片の厚み1/8インチ・ノッチ付きで23℃にて測定した。
【0042】
(2)ショートショット圧力
厚さ3mm、100mm×100mmの角板をシリンダー温度260℃で成形するときの、成形可能な成形機の最大圧力(2,000kgf/cm2)に対する百分率で示した。この値は樹脂の流動性の指標となる。
【0043】
(3)熱変形温度
ASTM D648に準拠し、荷重18.6kgにて測定した。
【0044】
(4)疲労強度
ASTM D−671に準拠し、応力150kg/cm2にて破壊に到達するまでの回数を求めた。
【0045】
<製造例1 グラフト共重合体(B−1)の製造>
10リットルガラス製反応器に、
・脱イオン水
(ラテックス中の水も含む) 150部
・ポリブタジエンラテックス
(重量平均粒子径280nm(固形分)) 60部
・ロジン酸カリウム 0.5部
・デキストローズ 0.3部
・ピロリン酸ナトリウム 0.1部
・硫酸第一鉄・七水塩 0.005部
を仕込み、内温を65℃に昇温した。これに、
・アクリロニトリル 13部
・スチレン 27部
・t−ドデシルメルカプタン 0.3部
・クメンヒドロパーオキシド 0.18部
からなる混合物を150分かけて滴下して重合を開始した。滴下終了後、
・クメンヒドロパーオキシド 0.1部
を添加した後1時間保持して冷却した。得られたラテックスを、当該ラテックスの2倍量の0.4%硫酸水溶液(65℃)中に添加し、その後90℃に昇温して凝固した。よく水洗、脱水を繰り返した後、最後に乾燥させて、乳白色粉末であるグラフト共重合体(B−1)を得た。
【0046】
<製造例2 グラフト共重合体(B−2)の製造>
10リットルガラス製反応器に、
・脱イオン水
(ラテックス中の水も含む) 145部
・ポリブタジエンラテックス
(重量平均粒子径280nm(固形分)) 45部
・ロジン酸カリウム 1部
・デキストローズ 0.3部
・アクリロニトリル 9部
・スチレン 21部
・t−ドデシルメルカプタン 0.2部
・クメンヒドロパーオキシド 0.12部
を仕込み、内温を60℃に昇温した。これに、
・ピロリン酸ナトリウム 0.1部
・硫酸第一鉄・七水塩 0.005部
・水 5部
からなる水溶液を添加して重合を開始した。重合発熱が無くなってから、重合発熱により昇温した反応液の内温を65℃に冷却し、その時点から
・アクリロニトリル 7部
・スチレン 18部
・t−ドデシルメルカプタン 0.3部
からなる混合物を50分かけて反応器内に供給した。供給開始後20分に、
・クメンヒドロパーオキシド 0.2部
を添加し、再び重合を開始した。滴下終了後、1時間保持して冷却した。得られたラテックスを、当該ラテックスの2倍量の0.5%硫酸水溶液(75℃)中に添加して凝固した。よく水洗、脱水を繰り返した後、最後に乾燥させて乳白色粉末であるグラフト共重合体(B−2)を得た。
【0047】
<製造例3 共重合体(C−1)の製造>
10リットルSUS製オートクレーブに、
・水 150部
・アクリロニトリル 30部
・スチレン 70部
・アゾビスイソブチロニトリル 0.15部
・t−ドデシルメルカプタン 0.5部
・リン酸カルシウム 0.4部
・ポリビニルアルコール 0.2部
を仕込み、激しく攪拌した。系内の分散状態を確認した後、75℃に昇温し2時間重合を行った。その後、内温を110℃まで昇温し、20分間保持して反応を完結させた。冷却後、脱水、洗浄、乾燥して白色粒状の共重合体(C−1)を得た。この共重合体(C−1)の数平均分子量Mnは58000、重量平均分子量Mwは107000、分子量分布Mw/Mnは1.84であった。
【0048】
<製造例4 共重合体(C−2)の製造>
10リットルSUS製オートクレーブに、
・水 150部
・アクリロニトリル 25部
・スチレン 55部
・メタクリル酸メチル 20部
・アゾビスイソブチロニトリル 0.17部
・t−ドデシルメルカプタン 0.45部
・リン酸カルシウム 0.4部
・ポリビニルアルコール 0.2部
を仕込み、激しく攪拌した。系内の分散状態を確認した後、75℃に昇温し2時間重合を行った。その後、内温を110℃まで昇温し、20分間保持して反応を完結させた。冷却後、脱水、洗浄、乾燥して白色粒状の共重合体(C−2)を得た。この共重合体(C−2)の数平均分子量Mnは54000、重量平均分子量Mwは93000、分子量分布Mw/Mnは1.72であった。
【0049】
<比較製造例1 共重合体(C−3)の製造>
10リットルSUS製オートクレーブに、
・水 200部
・デキストローズ 0.6部
・硫酸ナトリウム 0.2部
・硫酸第一鉄・七水塩 0.003部
・ピロリン酸ナトリウム 0.12部
・ロジン酸カリウム 2部
を仕込み、内温を60℃に昇温した。これに
・クメンヒドロパーオキシド 0.05部
を添加し、10分間保持した後、
・アクリロニトリル 20部
・スチレン 80部
・クメンヒドロパーオキシド 0.25部
・t−ドデシルメルカプタン 0.2部
からなる混合物を120分かけて滴下して重合を開始した。滴下終了後、
・クメンヒドロパーオキシド 0.05部
を添加し、内温80℃に昇温し1時間保持して冷却した。得られたラテクッスを当該ラテックスと同量の0.5%硫酸水溶液(90℃)中に添加し、その後99℃に昇温して凝固した。これを、脱水、洗浄、乾燥して、共重合体(C−3)を得た。この共重合体(C−3)の数平均分子量Mnは66000、重量平均分子量Mwは154000、分子量分布Mw/Mnは2.33であった。
【0050】
<製造例5 共重合体(D−1)の製造>
10リットルSUS製オートクレーブに、
・水 150部
・アクリロニトリル 25部
・スチレン 75部
・アゾビスイソブチロニトリル 0.18部
・t−ドデシルメルカプタン 0.81部
・リン酸カルシウム 0.4部
・ポリビニルアルコール 0.2部
を仕込み、激しく攪拌した。系内の分散状態を確認した後、75℃に昇温し2時間重合を行った。その後、内温を110℃まで昇温し、20分間保持して反応を完結させた。冷却後、脱水、洗浄、乾燥して白色粒状の共重合体(D−1)を得た。この共重合体(D−1)の数平均分子量Mnは31000、重量平均分子量Mwは56000、分子量分布Mw/Mnは1.83であった。
【0051】
<比較製造例2 共重合体(D−2)の製造>
10リットルSUS製オートクレーブに、
・水 200部
・デキストローズ 0.6部
・硫酸ナトリウム 0.2部
・硫酸第一鉄・七水塩 0.003部
・ピロリン酸ナトリウム 0.12部
・ロジン酸カリウム 2部
を仕込み、内温を60℃に昇温した、これに、
・クメンヒドロパーオキシド 0.05部
を添加し、10分間保持した後、
・アクリロニトリル 20部
・スチレン 80部
・クメンヒドロパーオキシド 0.6部
・t−ドデシルメルカプタン 1.6部
からなる混合物を120分かけて滴下して重合を開始した。滴下終了後、
・クメンヒドロパーオキシド 0.05部
を添加し、内温80℃に昇温し1時間保持して冷却した。得られたラテクッスを当該ラテックスと同量の0.5%硫酸水溶液(90℃)中に添加し、その後99℃に昇温して凝固した。これを、脱水、洗浄、乾燥して共重合体(D−2)を得た。この共重合体(D−2)の数平均分子量Mnは26000、重量平均分子量Mwは61000、分子量分布Mw/Mnは2.34であった。
【0052】
<実施例1〜7および比較例1〜8>
(A)ポリカーボネート系樹脂[(A−1):三菱化学(株)製商品名ノバレックス7022A]、各製造例で得た(B)グラフト共重合体、(C)共重合体、(D)共重合体を、表1に示す比率でヘンシェルミキサーで混合し、二軸押出機を用いシリンダー温度260℃で賦形して、ペレット状の樹脂組成物を製造した。各樹脂組成物の評価結果を、表1に併せて示す。
【0053】
【表1】
Figure 0004031861
表1に示す結果から明らかなように、本発明で規定する諸条件を充足する実施例1〜7の各樹脂組成物は、成形加工性、疲労強度、耐衝撃性、耐熱性のバランスに優れていた。一方、本発明で規定する諸条件を充足しない比較例1〜8の各樹脂組成物は、いずれかの特性、特に成形品の成形加工性において不十分であった。
【0054】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、諸物性のバランスに優れ、特に成形加工性、疲労強度に優れると共に、耐衝撃性および耐熱性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供できる。

Claims (1)

  1. (A)ポリカーボネート系樹脂15〜80重量部、
    (B)脂肪族共役ジエン系単量体を必須成分とする単量体を重合してなるゴム状重合体5〜70重量%の存在下にシアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を必須成分とする単量体30〜95重量%(該単量体と該ゴム状重合体の合計量100重量%)を重合してなるグラフト共重合体10〜50重量部、
    (C)シアン化ビニル系単量体10〜40重量%、芳香族ビニル系単量体60〜90重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜40重量%(該シアン化ビニル系単量体と該芳香族ビニル系単量体と該他のビニル系単量体の合計100重量%)を重合してなる共重合体であり、数平均分子量Mnが4.5×104〜9.5×104、重量平均分子量Mwが8.5×104〜18.5×104の範囲にあり、かつ、分子量分布Mw/Mnが1.0以上2.0未満の範囲にある第1の共重合体5〜40重量部、及び、
    (D)シアン化ビニル系単量体15〜35重量%、芳香族ビニル系単量体65〜85重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜40重量%(該シアン化ビニル系単量体と該芳香族ビニル系単量体と該他のビニル系単量体の合計100重量%)を重合してなる共重合体であり、数平均分子量Mnが2.5×104〜3.5×104、重量平均分子量Mwが4.5×104〜6.5×104の範囲にあり、かつ、分子量分布Mw/Mnが1.0以上2.0未満の範囲にある第2の共重合体5〜25重量部
    [(A)成分〜(D)成分の合計100重量部]
    を含んで成ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
JP09589198A 1998-04-08 1998-04-08 熱可塑性樹脂組成物 Expired - Lifetime JP4031861B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09589198A JP4031861B2 (ja) 1998-04-08 1998-04-08 熱可塑性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09589198A JP4031861B2 (ja) 1998-04-08 1998-04-08 熱可塑性樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11293102A JPH11293102A (ja) 1999-10-26
JP4031861B2 true JP4031861B2 (ja) 2008-01-09

Family

ID=14149944

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09589198A Expired - Lifetime JP4031861B2 (ja) 1998-04-08 1998-04-08 熱可塑性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4031861B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006045337A (ja) * 2004-08-04 2006-02-16 Umg Abs Ltd 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
DE102005018472A1 (de) * 2005-04-21 2006-10-26 Bayer Materialscience Ag Polycarbonat-Formmassen
KR100823497B1 (ko) 2006-03-20 2008-04-21 금호석유화학 주식회사 프로파일용 열가소성 수지 조성물 및 그 제조방법
JP4923894B2 (ja) * 2006-09-15 2012-04-25 東洋インキScホールディングス株式会社 カラーフィルタ用着色組成物、およびそれを用いたカラーフィルタ
JP6152324B2 (ja) * 2012-09-12 2017-06-21 テクノポリマー株式会社 熱可塑性樹脂組成物及び成形品
CN106147180B (zh) 2015-03-27 2018-10-30 柯尼卡美能达株式会社 热塑性树脂组合物的制造方法
JP6965040B2 (ja) * 2017-06-26 2021-11-10 テクノUmg株式会社 熱可塑性樹脂組成物並びにその樹脂成形品及び塗装加工品

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11293102A (ja) 1999-10-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0335048A (ja) 耐衝撃性熱可塑性樹脂組成物
US20130274416A1 (en) Graft monomer composition for thermoplastic transparent resin, composition for thermoplastic transparent resin using the same, and thermoplastic transparent resin having good transparency and color
JP4031861B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0791341B2 (ja) マレイミド系共重合体およびその製造方法
JP4166331B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP4530123B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3850504B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPS59184243A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2012136644A (ja) ゴム強化熱可塑性樹脂組成物
JPH0649145A (ja) グラフト共重合体の製造法およびその組成物
JP2003165888A (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JP4160646B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2001214023A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH1025371A (ja) ゴム含有樹脂組成物およびそれを用いてなるスチレン系樹脂組成物
JPH1121323A (ja) グラフト共重合体の製造方法
JPH10158508A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2011190388A (ja) 透明熱可塑性樹脂組成物
JP2787340B2 (ja) 耐熱性熱可塑性樹脂組成物
WO2003080724A1 (fr) Compositions de resine et moulages
JP3015707B2 (ja) グラフト共重合体の製造方法
JP3397360B2 (ja) 超音波溶着性に優れるガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物
JP3200357B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPS6236442A (ja) 耐熱性樹脂組成物
KR100217790B1 (ko) 열가소성 수지조성물
JPH0273841A (ja) 強化熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050318

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070425

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20070621

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070621

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071010

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071022

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101026

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101026

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101026

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111026

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111026

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121026

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121026

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131026

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term