JP4031719B2 - 干渉低周波治療器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数の異なる二以上の低周波電流を体内に通電し、干渉させることにより、患部を刺激し、治療を行う干渉低周波治療器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の干渉低周波治療器は、図5に示すように、床置型の本体1より出力された周波数の異なる二つの低周波電流を、患者の皮膚に貼着した二対の導子(図示せず)を介して患者の体内に流し、干渉させ、患者の患部を刺激することにより治療を行うものである。そして、本体1には、その出力を発光図形で表示する表示器2と、操作・調整用のツマミ3等を配設した設定パネル4と、前記導子を収納する収納容器部5とが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−299490号公報(第2〜3頁、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、干渉低周波治療器においては、数KHz、例えば4〜5KHzの電流を少なくとも二以上、体内に流す必要があり、しかも、その電流は通常の低周波治療器に用いるパルス波ではなく、出力源側に常に負荷の掛かる正弦波とする必要がある。そのため、上記した従来の干渉低周波治療器では、本体1側に大型の電源回路や制御回路等が必要となり、また、エネルギーロスが大きくなり、それに伴って発熱量も増大し、放熱器やファン等の大型の冷却装置が必要となるため、製品の小型化やコスト低減化が図り難いといった問題があった。
【0005】
また、実際の治療に必要な正弦波は30V程度であるため、電池の電圧では不足し、単にトランスで電圧を増幅しても、大きな電流が必要になり、その分トランジスタでのエネルギーロスが大きくなるといった問題があった。また、例え、低損失のトランジスタを使用したとしても、電流が大きければそのエネルギーロスが大きくなることに変わりはなかった。さらにまた、電池を使用すると、内部抵抗が増加し、電圧が低下するので、終止電圧により使用する限界を設定する必要があるが、波形が温度等によりドリフトし、熱により回路の抵抗値が変化することにより、電圧が変動し、正弦波の中心線がずれるといった問題もあった。したがって、従来の干渉低周波治療器を電池で駆動させることは極めて困難であった。
【0006】
さらに、周波数の設定や出力強度の調整をツマミ3により手動で行っていたため、それらの値を正確に設定することが難しく、調整に手間が掛かるといった問題もあった。したがって、従来の干渉低周波治療器は、医師等の専門家でなければ正しく操作、調整することができず、例え、医師等の指導を受けたとしても、患者自身が自宅で使用することは不可能であった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、製品の小型化、コストの低減化、操作や調整の容易化を図り、患者自身で操作、調整可能な干渉低周波治療器を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、周波数の異なる二以上の低周波電流を体内に通電し、干渉させることにより患部の治療を行う干渉低周波治療器において、電池の電圧を利用して該電池電圧の範囲内で正弦波の基本搬送波を生成する基本搬送波生成手段と、前記電池電圧を利用して該電池電圧の範囲内で正弦波の変調波を生成する変調波生成手段と、DCバイアスを印加するDCバイアス手段と、該DCバイアス手段によりDCバイアスを印加した状態で前記基本搬送波と前記変調波とを合成し、前記電池電圧の範囲内で合成波を生成する合成手段と、前記基本搬送波生成手段及び前記変調波生成手段は、前記電池電圧の範囲内で所定周波数のパルス波を出力する発振回路と、該発振回路から出力された前記パルス波を正弦波に変換するRC回路とを備え、前記RC回路によって変換された前記正弦波の電圧は、前記発振回路から出力された前記RC回路によって変換される前の前記パルス波の電圧よりも小さくなるように設定され、該パルス波の中心線を中心に上下に均等に振り分けられることにより、前記電池電圧よりも小さな範囲内に収められており、前記合成手段により生成された合成波を増幅する増幅手段をさらに備え、該増幅手段はパワーアンプ回路を備えており、前記パワーアンプ回路によって前記合成手段により生成された合成波を前記電池電圧より小さい終止電圧まで増幅するようになっており、前記パワーアンプ回路によって増幅された終止電圧を前記電池電圧よりも大きな電圧に増幅するトランスを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
そして、このような構成により、製品の小型化、コストの低減化、操作や調整の容易化が図れ、患者自身で操作、調整することができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
本発明の実施の形態に係る干渉低周波治療器は、コントローラ本体11(図4参照)と、コントローラ本体11に接続される少なくとも二対の導子(図示せず)とから構成されている。そして、該各導子をそれぞれ患者の皮膚に貼着した状態で、コントローラ本体11から周波数の異なる二つの低周波電流を出力させ、前記各導子を介して各電流を患者の患部で交差するように流し、干渉させることにより患者の患部を刺激し、治療を行うようになっている。
【0014】
コントローラ本体11内部には、それぞれ異なる所定周波数の電流を出力するための回路が2組設けられているが、簡略化のため、図1にはその内の1組、例えば、4KHzの電流を出力するための第1回路12のみが示されている。
【0015】
第1回路12は、電源回路(図示せず)と、CPU13と、それぞれCPU13に対して並列に接続される基本搬送波生成回路14及び変調波生成回路15と、基本搬送波生成回路14及び変調波生成回路15と共に加算回路16に接続されるDCバイアス回路17と、加算回路16の出力側に接続される増幅回路18と、コンデンサ(図示せず)を介して増幅回路18の出力側に接続されるトランス19とから概略構成されている。そして、増幅回路18は、図2に示すようなパワーアンプ回路20を備えているのが好ましく、この場合には、コレクタ飽和電圧を極限まで低減することによりコレクタ損失の低減を図り、発熱を抑制することができる。
【0016】
基本搬送波生成回路14及び変調波生成回路15はそれぞれ、CPU13に接続される発振回路21,21’と、発振回路21,21’の出力側に接続されると共にCPU13に接続されるRC回路22,22’と、RC回路22,22’の出力側にOPアンプ23(図3参照)を介して接続されるDCカット回路24,24’とから構成されている。
【0017】
また、図1には示されていないが、コントローラ本体11内部には第2回路が設けられ、該第2回路は第1回路12と同様の構成を有し、第1回路12と異なる周波数、例えば、4002Hzの電流を出力するように構成されている。
【0018】
図4に示されているように、コントローラ本体11は持ち運び可能な重量及び大きさを有し、例えば、1.5Vの電池4本により駆動されるように構成されている。そして、コントローラ本体11の表面には、それぞれ押し釦式の、電源スイッチ25、周波数切替スイッチ26、及び出力強度調整用スイッチ27が配設されていると共に、周波数及び出力強度をデジタル表示可能な液晶表示器(LCD)28が設けられている。このように、コントローラ本体11が持ち運び可能となり、また、押し釦式のスイッチ25,26,27や液晶表示器28を採用することにより操作や調整が容易となるため、患者自身が自宅でコントローラ本体11の操作、調整を行うことができるようになる。
【0019】
次に、本発明の実施の形態に係る干渉低周波治療器の作用を説明する。
【0020】
先ず、電源スイッチ25を押して電源を入れた後、周波数切替スイッチ26及び出力強度調整用スイッチ27を押し、第1回路12及び前記第2回路の各出力周波数をそれぞれ4KHzと4002Hzに設定する。第1回路12の基本搬送波生成回路14では、CPU13からの指令に基づき、発振回路21より4KHzのパルス波が生成され、該パルス波はRC回路22において積分され、正弦波に変換される。この正弦波は、OPアンプ23(図3参照)により増幅された後、DCカット回路24を経由して4KHzの正弦波の基本搬送波となる。また、変調波生成回路15では、基本搬送波生成回路14の場合と同様に、発振回路21’,RC回路22’,OPアンプ23,DCカット回路24’により2Hzの正弦波の変調波が生成される。基本搬送波生成回路14及び変調波生成回路15において生成された基本搬送波及び変調波は、DCバイアス回路17によりDCバイアスを印加された状態で加算回路16において合成され、4KHzの合成波の電流となる。
【0021】
この場合、電源電圧が6.0V(1.5V×4)なので、正弦波の基本搬送波の生成、正弦波の変調波の生成、及びそれらの合成波の生成は、波形がカットされるのを防止するため、0〜6.0Vの範囲内で行わなければならない。そこで、図5に示すように、終止電圧を4.0Vとし、使用限界を設定し、さらに、ドリフトにより波形が上下に微妙に移動して正弦波の中心がずれるのを考慮して、発振回路21,21’でのパルス波の電圧を3.3Vに設定し、パルス波が正弦波に変換される時に、図6に示すように、さらに3.0V程度まで小さくなるように設定する。そうすると、該3.0Vの正弦波は前記3.3Vのパルス波の中心線Cを中心に上下に均等に振り分けられるので、0.15Vから3.15Vの範囲の正弦波が生成される(図6参照)。この結果、ドリフトによる電圧の変動や、電池の電圧の低下が起こっても、生成された正弦波は0〜4.0Vの範囲内に収まるので、波形がカットされることにより波形が乱れることはない。
【0022】
また、基本搬送波と変調波を合成する場合、その基準となるそれぞれの波形の中心線がずれている場合があるので、基本搬送波と変調波は共に上記したようにDCカット回路24,24’により一度DCカットし、それぞれの正弦波の中心が0Vになるようにした後、加算回路16において基本搬送波と変調波とを合成するようにしている。
【0023】
実際の治療においては、30V(R=500Ω、I=60mA)の正弦波が必要となるので、次に、600mAの電流を流して、この3.0Vの正弦波を30Vに増幅する必要がある。しかし、電流が大きい程、熱量を放出し易く、電池の耐久性が低下するので、先ず、電池の電圧を利用し、増幅回路18、すなわち、パワーアンプ回路20により、3.0Vを終止電圧の4.0Vまで増幅した後、トランス19により4.0Vを30Vに増幅する。この結果、600mAではなく、450mAの電流を流せばよいので、消費熱量が減少し、電池の耐久性が向上する。
【0024】
一方、前記第2回路(図示せず)においても、第1回路12の場合と同様の作用により、4002Hzの合成波が生成される。そして、第1回路12において生成された合成波は患者の皮膚に貼付された一対の前記導子(図示せず)に送られ、前記第2回路(図示せず)で生成された合成波は前記一対の導子とは別の対の導子(図示せず)に送られる。
【0025】
前記各対の導子に送られた4KHz及び4002Hzの電流はそれぞれ前記各対の導子を介して患者の体内に流され、4KHzの電流と4002Hzの電流が交差して干渉することにより、患者の患部が刺激される。
【0026】
このように、第1回路12及び前記第2回路において、基本搬送波及び変調波の生成から出力までを正電圧電源のみの使用、すなわち単一電源のみにより実現し、また、正弦波の基本搬送波や変調波を発生させるためにRC回路(RCフィルタ)を使用しているため、電源回路及び制御回路の小型化を図ることができる。この結果、上述したようにコントローラ本体11を電池により駆動させることができ、エネルギーロスや発熱量を低減でき、冷却装置の小型化が図れ、コストの低減化が可能となる。また、このようにコントローラ本体11を小型化することにより、実際の治療時に使用する電流の出力範囲に適合した製品を提供することが可能となり、製品の経済性を向上させることができる。
【0027】
なお、上記実施の形態においては、電流を出力するための回路が2組、設けられているが、3組以上設けられてもよく、コントローラ本体11から出力させる電流は異なる周波数であれば、上記した4KHzと4002Hzに限定されるものでないことは言う迄もない。
【0028】
【発明の効果】
以上述べた如く本発明によれば、製品の小型化、コストの低減化、操作や調整の容易化が図れ、患者自身で操作、調整することが可能となる等種々の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る干渉低周波治療器の回路構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る干渉低周波治療器のパワーアンプ回路を示す回路図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る干渉低周波治療器のRC回路を示す回路図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る干渉低周波治療器のコントローラ本体の外観を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る干渉低周波治療器の作用を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る干渉低周波治療器の作用を示す図である。
【図7】従来例の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
14 基本搬送波生成回路
15 変調波生成回路
16 加算回路
17 バイアス回路
18 増幅回路
20 パワーアンプ回路
21 発振回路
22 RC回路

Claims (1)

  1. 周波数の異なる二以上の低周波電流を体内に通電し、干渉させることにより患部の治療を行う干渉低周波治療器において、
    電池の電圧を利用して該電池電圧の範囲内で正弦波の基本搬送波を生成する基本搬送波生成手段と、
    前記電池電圧を利用して該電池電圧の範囲内で正弦波の変調波を生成する変調波生成手段と、
    DCバイアスを印加するDCバイアス手段と、
    該DCバイアス手段によりDCバイアスを印加した状態で前記基本搬送波と前記変調波とを合成し、前記電池電圧の範囲内で合成波を生成する合成手段と、
    前記基本搬送波生成手段及び前記変調波生成手段は、前記電池電圧の範囲内で所定周波数のパルス波を出力する発振回路と、該発振回路から出力された前記パルス波を正弦波に変換するRC回路とを備え、
    前記RC回路によって変換された前記正弦波の電圧は、前記発振回路から出力された前記RC回路によって変換される前の前記パルス波の電圧よりも小さくなるように設定され、該パルス波の中心線を中心に上下に均等に振り分けられることにより、前記電池電圧よりも小さな範囲内に収められており、
    前記合成手段により生成された合成波を増幅する増幅手段をさらに備え、該増幅手段はパワーアンプ回路を備えており、
    前記パワーアンプ回路によって前記合成手段により生成された合成波を前記電池電圧より小さい終止電圧まで増幅するようになっており、
    前記パワーアンプ回路によって増幅された終止電圧を前記電池電圧よりも大きな電圧に増幅するトランスを備えていることを特徴とする干渉低周波治療器。
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