JP4031135B2 - シートベルト装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートベルト装置に関し、特に、エネルギー吸収機構を備えたシートベルト装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の乗員等を座席に安全に保持するためのシートベルト用リトラクターにおいては、急な加速、衝突又は減速に反応する慣性感知手段によってリトラクターを物理的にロックする緊急ロック機構を備えて乗員を効果的及び安全に拘束する緊急ロック式リトラクターが用いられている。
【0003】
このような緊急ロック式リトラクターとしては、例えば特開昭50−79024号、特公昭59−21624号及び実公平2−45088号公報等に開示されたシートベルト用リトラクターのように、ウェビングを巻装する巻取軸の一端に配設された係止部材が車両緊急時にリトラクターベースの被係止部に噛合して前記巻取軸のウェビング引出方向の回転を阻止することができるロック手段を備えたものがある。
【0004】
そして、前記ロック手段においては、巻取軸が貫通するリトラクターベースの巻取軸貫通孔に形成された係止歯や、その巻取軸貫通孔に併設されたラッチプレートに形成された係止歯が被係止部として用いられる一方、巻取軸とともに回転するロックプレートやポールが係止部材として用いられており、車両緊急時にそれら係止部材と被係止部とが噛合して巻取軸のウェビング引出し方向の回転を阻止するように構成されている。
【0005】
一方、衝突による衝撃力が極めて大きいときには、衝突後の時間の経過とともにウェビング張力が増大するため、乗員の身体に急激な減速度を生じることになり、ウェビングから乗員にかかるテンションが極めて大きくなる。そこで、ウェビングに作用する荷重が予め設定した所定値以上となった際、ウェビングを所定量繰出させることにより、乗員の身体に生じる衝撃を吸収するエネルギー吸収機構を備え、乗員の身体をより確実に保護するようにしたシートベルト用リトラクターも種々提案されている。このような構成のシートベルト用リトラクターは、例えば特開平9−193741号公報、特開平9−202212号公報及び特開平8−127313号公報等に開示されている。
【0006】
前記特開平9−193741号公報に記載のシートベルト用リトラクターは、ウェビングに作用する荷重が予め設定した所定値以上となった際、このウェビング引張力によってシャフト状のエネルギー吸収部材が塑性変形し、この塑性変形の荷重がボビンのウェビング引出し方向の回転に要する荷重とされている。
【0007】
また、前記特開平9−202212号公報に記載のシートベルト用リトラクターは、ウェビングに作用する荷重が予め設定した所定値以上となった際、このウェビング引張力によってプレート状のエネルギー吸収部材が塑性変形し、この塑性変形の荷重がボビンのウェビング引出し方向の回転に要する荷重とされている。
【0008】
それに対して、前記特開平8−127313号公報に記載のシートベルト用リトラクターは、ウェビングに作用する荷重が予め設定した所定値以上となった際、このウェビング引張力によって線材からなるエネルギー吸収部材に摩擦抵抗が作用し、この摩擦抵抗の荷重がボビンのウェビング引出し方向の回転に要する荷重とされている。
【0009】
すなわち、上述したシートベルト用リトラクターのフォースリミッターとしてのエネルギー吸収機構は、特開平9−193741号公報に記載のシートベルト用リトラクターがシャフトの塑性変形を利用したもの、特開平9−202212号公報記載のシートベルト用リトラクターがプレートの塑性変形を利用したもの、特開平8−127313号公報記載のシートベルト用リトラクターが線材に作用する摩擦抵抗を利用したものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したシートベルト用リトラクターは、そのフォースリミッターとしてエネルギー吸収部材の塑性変形、摩擦抵抗を利用したものであるので、その性質からウェビング引出し速度が変化しても荷重が変化しない。このような荷重不変の特性は、一定条件下であれば、ウェビングの伸び出し量を一定に維持できるので好ましい場合もある。しかしながら、例えば、乗員の体格や車体速度等の条件が異なれば緊急時におけるウェビング引張力が変化するので、ウェビング伸び出し量が一定にならない。したがって、所定の限られた車両室内で多様な衝突形態に対応することを考えると、ウェビングの伸び出し量を制御する必要性も生じる。しかしながら、ウェビング伸び出し量を制限したい場合において、ウェビングが所定量伸び出した後、エネルギー吸収動作を強制的に終了させるストッパ手段等を利用すると、ウェビングの引き出しからその阻止までの変化が急激となるので好ましくない。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑み、荷重を可変でありながら、その荷重を適正に制御できるエネルギー吸収機構を備えたシートベルト装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、ウェビングを巻き取る巻取軸を備えたリトラクターと、当該リトラクターに取付けられ、車両衝突時の衝撃を直接感知して又はセンサからの電気信号を感知して作動し前記ウェビングを引込むプリテンショナーを有し、当該プリテンショナーは、プリテンショナー作動後乗員の前方移動により前記ウェビングが引出し方向に引っ張られると所定の荷重で前記ウェビングの引出しを許容するエネルギー吸収機構を備え、当該エネルギー吸収機構は、前記巻取軸のウェビング引出し方向の回転によって移動する移動部材と、当該移動部材を移動可能に収容するケーシングと、ガス発生装置と、を有することを特徴とするエネルギー吸収機構を備えたシートベルト装置を提供することによって達成される。
また、他の形態として、前記エネルギー吸収機構は、前記ケーシングに細管を有する構成を採用することができる。
また、他の形態として、前記エネルギー吸収機構は、前記ケーシング内に半固体物質を有する構成を採用することができる。
また、他の形態として、前記エネルギー吸収機構は、前記細管を密封し、所定の圧力が加わると破れて前記細管を開封するシールを有する構成を採用することができる。
また、他の形態として、ウェビングを巻き取る巻取軸を備えたリトラクターと、当該リトラクターに取付けられ、車両衝突時の衝撃を直接感知して又はセンサからの電気信号を感知して作動し前記ウェビングを引込むプリテンショナーを有し、当該プリテンショナーは、プリテンショナー作動後乗員の前方移動により前記ウェビングが引出し方向に引っ張られると所定の荷重で前記ウェビングの引出しを許容するエネルギー吸収機構を備え、当該エネルギー吸収機構は、前記巻取軸のウェビング引出し方向の回転によって移動する移動部材と、当該移動部材を移動可能に収容するケーシングと、開閉自在な弁と、を有する構成を採用することができる。
【0013】
本発明の上記構成によれば、車両衝突時において、プリテンショナー作動後に、ウェビングに作用する張力によって巻取軸の回転と連動する移動部材がケーシング内の容積を減少するように移動すると、ストロークに応じて負荷抵抗が与えられることで、ウェビング伸び出し量が制御されるので、フォースリミッターとして機能する。
負荷抵抗は、ピストンのストローク初期が低くストローク後半が高くすることもできるので、乗員の移動量が大きくなると荷重を高くして移動を阻止する方向に作動させることができる。
【0014】
移動部材のストロークに応じて負荷抵抗を大きくする特性は、例えば移動部材がケーシング内の気体を圧縮することで得ることができる。このケーシング内の内部圧力は、ガス発生装置を利用して火薬燃焼圧の有無により変化させてウェビング伸び出し荷重を適宜設定することができる。このガス発生装置によれば、点火によるガス圧上昇を利用するので、車両衝突等を検知する制御装置から信号を受けてからの作動が短時間に完了できる。したがって、衝突直後にガス発生装置を調節する余裕があるので、乗員の体格だけではなく、衝突の速度等の程度もガス発生装置を調節する際の要件として勘案することができる。
【0015】
また、細管をガス抜き管としてケーシングの内部圧力を制御するようにできると同時に、流体の粘性抵抗を利用することで、緊急時における乗員の移動速度に応じた負荷抵抗を与えるようにできる。
また、半固体物質として、気体ではなく、例えば、液体やグリースをケーシング内に封入することで、粘性抵抗を利用することができる。
また、シールとしての、金属製やフィルム状の蓋部材で通常使用時は細管を密封しておき、圧力が加わるとシールが破れるようにすることで、ケーシングの内部圧力を制御することができる。
また、例えば、ソレノイドモータ等のアクチュエータを使用して弁を切り替えることで、ケーシング内のガスや粘性体の抜き量を変化させてウェビング伸び出し荷重を調節することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るシートベルト装置のプリテンショナー及びエネルギー吸収機構を示す断面図である。
【0017】
本実施形態に係るプリテンショナー3は、車両のシートベルト用リトラクターに取付けられ、車両衝突時の衝撃を直接感知又はセンサからの電気信号を感知してウェビングのたるみを除去するものである。図1に示すように、当該プリテンショナー3は、リトラクターの巻取軸4にクラッチ機構(図示略)を介して所定条件の下でトルク伝達可能な回転駆動部材である図示略のクラッチ外輪と、ガス発生装置29が発生するガス圧力で押圧駆動される第1のラック25と常時噛合わされたピニオンギア21により前記クラッチ外輪を回転駆動する駆動手段5と、前記ピニオンギア21の回転により前記クラッチ外輪を増速回転させるべく、ピニオンギア21と前記クラッチ外輪の間に配設された増速歯車伝達装置である遊星歯車装置(図示略)と、車両衝突時に前記ガス発生装置29を作動させる図示しない制御装置を備えている。
【0018】
前記駆動手段5は、前記ピニオンギア21の歯21aに噛合可能なラック歯25aが形成された第1のラック25と、当該ラック25の基端を移動可能に受容する第1のシリンダ24とを備えている。そして、当該シリンダ24は、ラックギアケース22に連結されている。
【0019】
また、前記ラックギアケース22には、前記ピニオンギア21が回転自在に収容される中央開口33と、当該中央開口33と一部連通して前記ラック25を摺動案内する案内溝34とが形成されており、当該ラックギアケース22の外側はプレート(図示略)によって覆われるようになっている。
【0020】
前記シリンダ24内に受容されたラック25の基端は、前記ガス発生器29から噴射されてシリンダ24内に供給されるガス圧力を受ける第1のピストン40に連結されている。すなわち、このプリテンショナー3は、車両衝突等の緊急時には前記ガス発生器29から噴射されて前記ピストン40に作用するガス圧力でラック25を押圧駆動することにより、前記不図示のクラッチ機構を介して、リトラクターの巻取軸4をウェビングWのたるみが除去される方向へ回転させる。
【0021】
また、本実施形態において、前記ピストン40は、ラック25の基端に一体成形されたピストン本体41と、当該ピストン本体41に重ねられてシリンダ24内に供給される圧力をピストン本体41に伝える受圧板27とに分割された構成をなしている。そして、ピストン40とシリンダ24との間の気密性を保持するためのリング状のシール部材26は、前記ピストン本体41と受圧板27との間に挟持されるようになっている。
【0022】
また、前記エネルギー吸収機構6は、前記ピニオンギア21の歯21aと噛合可能なラック歯45aが形成された移動部材を構成する第2のラック45と、当該ラック45の一端側に配設された付勢部材としてのゴムスプリング48と、ラックギアケース22に形成されたケーシングとしての第2のシリンダ54の一端側の圧力容器55に設けられたガス発生装置59とを備えている。そして、ラック45の一端側には、シリンダ54内の圧力を受ける前記第2のラック45とで移動部材を構成する第2のピストン50がスリーブ52によって支持されている。
【0023】
前記ピストン50は、ラック45の一端側に当接可能であるとともにスリーブ52の一端部に位置決めされたピストン本体51と、当該ピストン本体51に重ねられてシリンダ54内に供給される圧力をピストン本体51に伝える受圧板57とに分割された構成をなしており、ピストン50とシリンダ54との間の気密性を保持するためのリング状のシール部材56が、前記ピストン本体51と受圧板57との間に挟持されるようになっている。
【0024】
なお、前記エネルギー吸収機構6のみならず、リトラクターにも例えばトーションバー等を有するフォースリミッターとしてのエネルギー吸収機構が組み込まれていることが好ましい。しかしながら、このようなエネルギー吸収機構が組み込まれていなくても、特開平9−277904号公報等に記載のように、車両緊急時にリトラクターのロック機構がボビンのウェビング引出し方向の回転を阻止するロック状態になっても、エネルギー吸収機構作動時にこのロック状態を解除できるように構成することで、本発明のエネルギー吸収機構が適用可能となる。
【0025】
次に、図1〜図5を参照して、本発明の一実施形態に係るシートベルト用リトラクターのプリテンショナー3及びエネルギー吸収機構6の作動について説明する。車両衝突等の緊急時に、ガス発生器29からガスが噴射されると、ピストン40の受圧板27にガス圧力が作用する。すると、図1に示すように、ピストン本体41と一体成形されたラック25が図中下方(矢印P方向)に押圧駆動されることにより、当該ラック25のラック歯25aとその歯21aが噛み合ったピニオンギア21が図中時計回りに回転する。このピニオンギア21の回転により、上述したクラッチ機構等を介して巻取軸4と連結されることでウェビングWが引込まれる。
【0026】
この時、エネルギー吸収機構6の第2ラック45は、ピニオンギア21の歯21aにそのラック歯45aが噛み合っているため、ピニオンギア21の時計回りの回転により、図1中上方(矢印U方向)へ移動させられる。そして、第2ラック45は、その先端部がゴムスプリング48を撓ませながら上方に移動するが、ラック歯45aがピニオンギア21の歯21aを乗り越えると、図2に示すように、ゴムスプリング48の弾性で第2ラック45のラック歯45aは再びピニオン21の歯21aと噛み合う。
【0027】
そして、プリテンショナー3によるウェビング引込み作動が終了して乗員の車両前方への移動によりウェビングWが逆に図中上方(矢印T方向)に引き出されると、ピニオンギア21は巻取軸4に連結されたままなので、ピニオンギア21は、図中反時計回りに、すなわちプリテンショナー3作動時とは逆方向に回転する。プリテンショナー3のラック25が初期位置の方向に押しもどされるのと同じく、エネルギー吸収機構6のラック45もゴムスプリング48の弾性力により常にピニオンギア21と噛み合おうとするので図中下向き(矢印D方向)に移動する。
【0028】
そして、図3に示すように、エネルギー吸収機構6側のラック45が少量移動して、ラック歯45aがピニオンギア21の歯21aと完全に噛み合うと、第2ラック45の先端がゴムスプリング48と当接しなくなるので、ゴムスプリング48の弾性力は作用しなくなる。その後、スリーブ52の一端部にシール部材56の弾性力によって仮支持されていたピストン50のピストン本体51にラック45の一端部が押し当たる。
【0029】
そして、図4に示すように、更にウェビングWが図中上方向(矢印T方向)に引き出され、ピニオンギア21が反時計回りに回転を続けると、エネルギー吸収機構6のラック45がピストン50を押動してシリンダ54の容積を減少させていく。この時、ボイルの法則(PV=const;P(圧力),V(容積),const(一定))によりシリンダ54内の内部圧力も上昇するので、ラック45は移動するのに抵抗力(反力)を受ける。この抵抗力によって、ウェビングWの伸び出しに負荷抵抗を与えることができる。
【0030】
そして、図5に示すように、プリテンショナー3及びエネルギー吸収機構6の双方のラック25,45は、ストロークエンドに到達する。しかしながら、ピニオンギア21の歯21aとラック45のラック歯45aとの噛み合いが外れるため、ピニオンギア21は更に回転できる。噛み合いが外れたラック歯45aは、シリンダ54内のガス圧で戻されることで、再びピニオンギア21と噛み合う。これを繰り返すことにより、無限のストロークを確保できる。
【0031】
以上、図1〜図5に示したエネルギー吸収機構6は、ガス発生器59を作動させるか否かでシリンダ54内の内部圧力を変化させてウェビングWの伸び出しに抵抗する荷重を変更することもできる。このエネルギー吸収機構6のガス発生器59の作動は、プリテンショナー3のガス発生器29の作動と同時期程度に設定するのが好ましい。その理由は、エネルギー吸収機構6のガス発生器59の点火が早すぎると、時間の経過によってガス圧は低下してしまうからである。一方、ガス発生器59の点火時期を、ピストン50が動き出してからに設定すると、ピストン50の作動時にピストン50に対し図中上方向の力が作用するので、遅れてプリテンショナー6が作動するのと同じこととなり、ガス圧上昇が荷重変動を起こす。しかしながら、このガス発生器59によれば、車両衝突等を検知する制御装置から信号を受けてからであっても、その作動が約0.001〜0.003秒と短時間に完了できるので、衝突直後にガス発生器59を調節することも可能である。この時期に調節することで、乗員の体格だけではなく、車両衝突速度等の程度もガス発生器の調節要件として勘案することができる。
【0032】
なお、ガス圧は、ピストン50が作動していないときが一番低く、ピストン50が作動するに伴い、シリンダ54内のガスが圧縮されるので、ボイルの法則によって圧縮に従って高くなる。当然、この圧縮に比例して、ウェビングWを引き出す荷重も高くなる。この性質は、ガス発生装置59の作動、非作動に関係なく成り立つ。しかしながら、ガス発生装置59を作動させることにより、荷重を段階的に変化できる。場合によっては、ガス発生装置59を備えず、ピストンストロークによる荷重変化だけでも、対応可能な車両、すなわち、ストロークに余裕がある車両も存在するので、このガス発生装置59を必ずしも備える必要はない。
【0033】
また、荷重の変化の程度を調整するために、径が1mm程度の適当数の細管をピストン50、シリンダ54、圧力容器55等にあけて、ガス抜き管としてシリンダ54内の内部圧力を制御すると同時に、粘性抵抗を利用することで、ピストン50の移動速度及びシリンダ54内の内部圧力に応じた負荷抵抗を与えることができる。この粘性抵抗を利用する場合には、気体ではなく、液体やグリースのような半固体をシリンダ54内に封入してもよい。この場合、細管にシールを貼り、通常は密封しておき、圧力が加わると破れるようにすることもできる。
【0034】
次に、ガス発生装置59の代替例を図6及び図7を参照して説明する。ここで、図6はエネルギー吸収機構部分のみの拡大断面図であり、図7は図6の作動状態である。なお、ガス発生装置59を除いた他の部分は、図1〜図6に示すシートベルト用リトラクターと同一の構成とされている。図6及び図7に示すエネルギー吸収機構6は、ソレノイドモータ等のアクチュエータ(図示せず)を使用して弁60を切り替えてシリンダ54内のガス・粘性体の抜き量を変化させ、荷重を制御するようになっている。図6は弁60を閉じた状態で、図7は弁60を開放した状態である。
【0035】
図6に示すように、弁60は、弁体62と頭部62aとを備えている。図6に示す状態においては、シリンダ54内の内圧によって当該頭部62aによりシリンダ54の小孔54aの開口部が塞がれるようになっている。
【0036】
上述したアクチュエータが作動することで、弁体62が移動し、図7に示すように弁60が開放された状態、すなわち、弁体62の頭部62aがシリンダ54の凹部54bに収納され、シリンダ54の小孔54aが開放された状態となる。この開放状態においても、シリンダ54内の内圧によって弁体62の不動状態が維持される。ここで、前記アクチュエータは、一般に、その作動時間がガス発生器の作動時間よりもかかるため、車両衝突等の緊急時よりも前に、予め乗員の体格等を検知して切り替える必要がある。しかしながら、このアクチュエータは、弁体62を動かすだけであり、従って小さな力で確実に切り替えができるので、アクチュエータは小型のものでも性能上問題はない。
【0037】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、適宜変更、改良等が可能である。例えば、上述した構成を、車両の適性に応じて、組み合わせることにより、多様な車両特性、乗員体格、更には衝突形態にも対応可能となる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明のシートベルト装置は、車両衝突時において、プリテンショナー作動後に、ウェビングに作用する張力によって巻取軸の回転と連動する移動部材がケーシング内の容積を減少するように移動すると、ストロークに応じて負荷抵抗が与えられることで、ウェビング伸び出し量が制御されるので、フォースリミッターとして機能する。負荷抵抗は、ピストンのストローク初期が低くストローク後半が高くすることもできるので、乗員の移動量が大きくなると荷重を高くして移動を阻止する方向に作動させることができる。
また、移動部材のストロークに応じて負荷抵抗を大きくする特性は、例えば、移動部材がケーシング内の気体を圧縮することで得ることができる。このケーシング内の内部圧力は、ガス発生装置を利用して火薬燃焼圧の有無により変化させてウェビング伸び出し荷重を適宜設定することが好ましい。このガス発生装置によれば、点火によるガス圧上昇を利用するので、車両衝突等を検知する制御装置から信号を受けてからの作動が短時間に完了できる。したがって、衝突直後にガス発生装置を調節する余裕があるので、乗員の体格だけではなく、衝突の速度等の程度もガス発生装置を調節する際の要件として勘案することができる。
また、細管をガス抜き管としてケーシングの内部圧力を制御するようにできると同時に、流体の粘性抵抗を利用することで、緊急時における乗員の移動速度に応じた負荷抵抗を与えるようにできる。
また、半固体物質として、気体ではなく、例えば、液体やグリースをケーシング内に封入することで、粘性抵抗を利用することができる。
また、シールとしての、金属製やフィルム状の蓋部材で通常使用時は細管を密封しておき、圧力が加わるとシールが破れるようにすることで、ケーシングの内部圧力を制御することができる。
また、例えば、ソレノイドモータ等のアクチュエータを使用して弁を切り替えることで、ケーシング内のガスや粘性体の抜き量を変化させてウェビング伸び出し荷重を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るシートベルト用リトラクターのプリテンショナー及びエネルギー吸収機構を示す断面図である。
【図2】シートベルト用リトラクターのプリテンショナー及びエネルギー吸収機構が作動した状態である。
【図3】シートベルト用リトラクターのプリテンショナー及びエネルギー吸収機構が作動した状態である。
【図4】シートベルト用リトラクターのプリテンショナー及びエネルギー吸収機構が作動した状態である。
【図5】シートベルト用リトラクターのプリテンショナー及びエネルギー吸収機構が作動した状態である。
【図6】図1〜図5に示したシートベルト用リトラクターのプリテンショナー及びエネルギー吸収機構の変形例の拡大断面図である。
【図7】図6のエネルギー吸収機構の作動状態である。
【符号の説明】
3 プリテンショナー
4 巻取軸
5 駆動手段
6 エネルギー吸収機構
21 ピニオンギア
24 第1のシリンダ
25 第1のラック
40 第1のピストン
45 第2のラック
50 第2のピストン
54 第2のシリンダ
Claims (5)
- ウェビングを巻き取る巻取軸を備えたリトラクターと、
当該リトラクターに取付けられ、車両衝突時の衝撃を直接感知して又はセンサからの電気信号を感知して作動し前記ウェビングを引込むプリテンショナーを有し、
当該プリテンショナーは、プリテンショナー作動後乗員の前方移動により前記ウェビングが引出し方向に引っ張られると所定の荷重で前記ウェビングの引出しを許容するエネルギー吸収機構を備え、
当該エネルギー吸収機構は、前記巻取軸のウェビング引出し方向の回転によって移動する移動部材と、当該移動部材を移動可能に収容するケーシングと、ガス発生装置と、を有することを特徴とするエネルギー吸収機構を備えたシートベルト装置。 - 前記エネルギー吸収機構は、前記ケーシングに細管を有することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー吸収機構を備えたシートベルト装置。
- 前記エネルギー吸収機構は、前記ケーシング内に半固体物質を有することを特徴とする請求項2に記載のエネルギー吸収機構を備えたシートベルト装置。
- 前記エネルギー吸収機構は、前記細管を密封し、所定の圧力が加わると破れて前記細管を開封するシールを有することを特徴とする請求項2に記載のエネルギー吸収機構を備えたシートベルト装置。
- ウェビングを巻き取る巻取軸を備えたリトラクターと、
当該リトラクターに取付けられ、車両衝突時の衝撃を直接感知して又はセンサからの電気信号を感知して作動し前記ウェビングを引込むプリテンショナーを有し、
当該プリテンショナーは、プリテンショナー作動後乗員の前方移動により前記ウェビングが引出し方向に引っ張られると所定の荷重で前記ウェビングの引出しを許容するエネルギー吸収機構を備え、
当該エネルギー吸収機構は、前記巻取軸のウェビング引出し方向の回転によって移動する移動部材と、当該移動部材を移動可能に収容するケーシングと、開閉自在な弁と、を有することを特徴とするエネルギー吸収機構を備えたシートベルト装置。
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1999
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