JP4030542B2 - 編レースの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、厚み方向に部分的に遊離する糸を有する編地を用いて製造される編レースの製造方法に関し、特にバックジャカードラッシェル編機を用いた編レース製造方法に関する。
図17は、従来技術の編レースの編地1を示す編成組織図である。近年、編レースは、ほつれ防止、いわゆるラン止めするための編組織を有するものがある。この編レースの編地1は、下編地を形成するための鎖編糸2と、模様を形成するための柄糸3およびジャカード糸4とを有する。鎖編糸2は、複数のループ状部分5が連なる鎖編組織6を形成する。また鎖編糸2は、ウェール方向Wに多数並び、予め定めるコースでウェール方向Wに適宜横振りする。鎖編糸2によって、鎖編組織6と、鎖編組織6から横振りする横振り部分7とがそれぞれ交互に形成されることによって、下編地が形成される。
柄糸3は、コース方向Cに進むにつれて部分的に鎖編組織6のループ状部分5に編込まれる編込み部分8と、鎖編組織6のループ状部分5に編込まれずに下編地から遊離する遊離部分9とを有する。またジャカード糸4は、コース方向Cに進むにつれて、各コースに形成される鎖編組織6のループ状部分5にそれぞれ編込まれる編込み部分10と、予め定めるコースで横振りする横振り部分11とを有する。柄糸3およびジャカード糸4が選択的に、それぞれループ状部分5に編込まれることによって、予め定める柄模様およびレース模様を有する編地1が形成される。このような従来技術の編レースの編地として、たとえば特許文献1に開示される。
上述した編地1がバックジャカードラッシェル編機で編成される場合、鎖編糸2の横振り部分7と柄糸3の遊離部分9とが重なる部分12では、柄糸3の遊離部分9は、鎖編糸2の横振り部分7よりも編地1の裏側に位置する。またジャカード糸4の横振り部分11と柄糸3の遊離部分9とが重なる部分13では、柄糸3の遊離部分9は、ジャカード糸4の横振り部分11よりも編地1の表側に位置する。したがって柄糸3の遊離部分9は、編地1の厚み方向に関して、鎖編糸2の横振り部分7と、ジャカード糸4の遊離部分11との間に挟まれることになる。
特許第2889982号明細書
上述した従来技術の編レースの編地1では、柄糸3の遊離部分9は、鎖編糸2の横振り部分7と、ジャカード糸4の横振り部分11とに挟まれる。したがって柄糸3の遊離部分9は、鎖編糸2およびジャカード糸4の横振り部分7,11にそれぞれ阻まれて、編地1の厚み方向に遊離することが阻止されてしまい、下編地から厚み方向に突出しにくい。
この場合、たとえばシャーリング装置によって、柄糸3から遊離部分9のみを切除することが実質上不可能となる。また手作業であっても柄糸3の遊離部分9の切除が困難となる。したがって柄糸3の遊離部分9を編地に残さざるをえず、編地の美観を損ねるという問題がある。またこのような問題は、柄糸3とは異なる挿入糸がループ状部分5に編込まれる場合であっても同様に生じる。
したがって本発明は、編地から遊離する柄糸の遊離部分の切除を容易とすることができるレースの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、単位面積あたりの柄糸の疎密差によって柄模様が形成される編レースの製造方法であって、
(a)鎖編糸によって複数のループ状部分が連なる鎖編組織が略平行に複数形成され、鎖編糸が横振りすることで隣接する各鎖編組織が相互に連結され、所定のループ状部分から部分的に遊離する糸が編込まれる編地の編成工程であって、
鎖編組織を形成するとともに前記糸をループ状部分から部分的に遊離させる遊離部分編成段階において、隣接する鎖編組織を連結するために鎖編糸を編み針に対して横振り移動させるときに、鎖編糸と同様な方向および移動量で、前記柄糸を編み針に対して横振り移動させる編地の編成工程と、
(b)編地の編成工程によって編成される編地について、ループ状部分から遊離した柄糸の遊離部分を、切除して編レースを製造する切除工程とを含むことを特徴とする編レースの製造方法である。
また本発明は、鎖編組織が相互に連結されることによって形成される下編地の透孔を埋めるための柄糸と、前記下編地の透孔を所定の形状にするためのジャカード糸とを備えて、単位面積あたりの柄糸の疎密差によって柄模様が形成される編レースの製造方法であって、
(a)バックジャカードラッシェル編機を用いて、鎖編糸によって複数のループ状部分が連なる鎖編組織が略平行に複数形成され、鎖編糸が横振りすることで隣接する各鎖編組織が相互に連結され、所定のループ状部分に少なくとも糸およびジャカード糸がそれぞれ編込まれる編地の編成工程であって、
鎖編糸、糸およびジャカード糸の順で、予め定める編成位置から後方に各糸が並ぶよう各糸をそれぞれ導糸した状態で、鎖編組織を形成するとともに糸をループ状部分から部分的に遊離させる糸遊離部分編成段階と、鎖編組織を形成するとともにジャカード糸を横振りさせて、ジャカード糸によって各鎖編組織を連結するジャカード糸横振り部分編成段階とを有し、
前記糸遊離部分編成段階において、隣接する鎖編組織を連結するために鎖編糸を編み針に対して横振り移動させるときに、鎖編糸と同様な方向および移動量で、糸を編み針に対して横振り移動させる編地の編成工程と、
(b)編地の編成工程によって編成される編地について、ループ状部分から遊離した柄糸の遊離部分を、切除して編レースを製造する切除工程とを含むことを特徴とする編レースの製造方法である。
また本発明は、単位面積あたりの糸の量が密な柄部と糸の量が疎な下地部とを有し、柄部がコース方向に間隔をあけて並ぶ編レースの製造方法であり、
前記編地の編成工程では、柄部を形成すべき下編地の領域に柄糸を編込み、下地部を形成すべき下編地の領域で柄糸を編地から遊離させることを特徴とする。
また本発明は、前記編地の編成工程では、鎖編糸を横振りさせることによってラン止め機能を有する編地を編成することを特徴とする。
また本発明は、前記編地の編成工程では、伸縮性を有する伸縮糸が伸張状態で、鎖編組織のループ状部分に編込むことを特徴とする
また本発明は、前記切除工程では、シャーリング装置によって柄糸の遊離部分を下編地から切除することを特徴とする。
本発明によれば、編地の編成工程において、鎖編組織の形成とともに糸を所定のループ状部分に編込むことによって、鎖編糸によって形成される下編地に糸が含まれた編地を編成する。また遊離部分編成段階において、鎖編組織を連結するために鎖編糸を横振り移動、すなわちアンダーラップさせるとき、糸を鎖編糸と同様に横振り移動、すなわちアンダーラップさせる。これによって鎖編糸の横振り部分が、糸の遊離部分に対して編地の厚み方向表側、すなわちニードルループと反対側に重なることを防ぐことができる。
したがって編成後の糸の遊離部分は、鎖編糸の横振り部分に拘束されず、厚み方向表側への変位が許容される。また鎖編糸の横振り部分に関係なく、糸の遊離部分を下編地の厚み方向表側から十分に遊離させることができる
次に切除工程において、柄糸の遊離部分を切除する。これによって柄糸のうち、柄糸のうちループ状部分に編込まれる編込み部分で糸が密な部分を形成し、柄糸のうちで遊離部分が除去された領域に糸が疎な部分を形成することができる。このように柄糸の遊離部分を除去することで、柄糸によって生じる柄模様のコントラストを向上することができ、美観を向上した編レースを実現することができる。
また本発明では、柄糸の遊離部分の遊離量を十分大きくすることができるので、柄糸の遊離部分の切除作業を容易にかつ短時間に行うことができる。たとえば編成工程を終えた編地は、シャーリングに必要とされる突出量以上で柄糸の遊離部分を下編地から突出させることができる。これによってシャーリング装置によって機械的に、柄糸の遊離部分を編地から切除することができ、遊離部分の切除作業を容易にかつ短時間に行うことができる。また手作業によっても柄糸の遊離部分を編地から容易かつ短時間に切除することができる。
また本発明によれば、鎖編組織の形成とともに糸およびジャカード糸をそれぞれ対応する所定のループ状部分に編込み、下編地に柄糸およびジャカード糸が含まれる編地を編成する。このとき、バックジャカードラッシェル編機を用いて、鎖編糸、糸およびジャカード糸の順で編成位置から後方に各糸が並ぶように導糸することによって、編成後の編地における糸は、ジャカード糸よりも編地の厚み方向表側、すなわちニードルループと反対側に位置することになる。ここで、後方とは、編み針の背面からフック部に向かう方向となる。
また糸遊離部分編成段階において、鎖編組織を連結するために鎖編糸を横振り移動、すなわちアンダーラップさせるとき、糸を鎖編糸と同様に横振り移動、すなわちアンダーラップさせる。これによって鎖編糸の横振り部分が、糸の遊離部分に対して編地の厚み方向表側に重なることを防ぐことができる。
したがって編成後の糸の遊離部分は、鎖編糸の横振り部分およびジャカード糸に拘束されず、厚み方向表側への変位が許容される。また鎖編糸の横振り部分に関係なく、糸の遊離部分を下編地の厚み方向表側から十分に遊離させることができる。
次に切除工程において、柄糸の遊離部分を切除する。これによって柄糸のうち、柄糸のうちループ状部分に編込まれる編込み部分で糸が密な部分を形成し、柄糸のうちで遊離部分が除去された領域に糸が疎な部分を形成することができる。このように柄糸の遊離部分を除去することで、柄糸によって生じる柄模様のコントラストを向上することができ、美観を向上した編レースを実現することができる。
また本発明では、柄糸の遊離部分の遊離量を十分大きくすることができるので、柄糸の遊離部分の切除作業を容易にかつ短時間に行うことができる。たとえば編成工程を終えた編地は、シャーリングに必要とされる突出量以上で柄糸の遊離部分を下編地から突出させることができる。これによってシャーリング装置によって機械的に、柄糸の遊離部分を編地から切除することができ、遊離部分の切除作業を容易にかつ短時間に行うことができる。また手作業によっても柄糸の遊離部分を編地から容易かつ短時間に切除することができる。
またジャカード糸横振り部分編成段階において、ジャカード糸によって各鎖編組織を連結することによって、編地の強度を向上することができる。また編地に任意の形状の透孔を形成することができ、編地に所望のレース模様を形成することができる。したがって強度および所望のレース模様を形成したうえで、糸の遊離部分を突出させることができる。なお、糸遊離部分編成段階ジャカード糸横振り部分編成段階とは、同時に行われてもよい。
またジャカード糸は、糸よりも編地の厚み方向裏側に位置する。したがって糸の遊離部分が上述したように厚み方向表側に遊離したとしても、ジャカード糸が糸の厚み方向表側への遊離を妨げることがない。さらにジャカード糸によって、糸の遊離部分が厚み方向裏側に遊離することを阻止することができ、糸の遊離部分が厚み方向表側に確実に遊離するようにすることができる。
たバックジャカードラッシェル編機は、後方に向かうにつれて鎖編糸用の導糸手段、柄糸用の導糸手段、ジャカード糸用の導糸手段が順に並び、鎖編糸、柄糸、ジャカード糸の順で予め定める編成位置に各糸を給糸する。このようなバックジャカードラッシェル編機を用いることによって、柄糸とジャカード糸とを有する編地を形成することができ、柄糸の遊離部分を下編地から厚み方向表側に十分に遊離させて突出させることができる。
さらにこの場合、柄糸がジャカード糸よりも厚み方向表側に配置されるので、ジャカード糸の色よりも柄糸の色が編地の厚み方向表側に現れる。これによってジャカード糸と柄糸との糸が異なる場合であっても、編地の表側について柄糸による柄模様をはっきりさせることができる。
たとえば柄糸と、ジャカード糸とで異なる糸を使用し、編地編成後に染料によって染色する場合、ジャカード糸が厚み方向裏側に配置されることによって、柄糸とジャカード糸との染色後の色が異なる場合であっても、表側にジャカード糸が露出することを少なくすることができ、編地の表側に意図する色模様を形成することができる。
また本発明によれば、柄部を形成すべき下編地の領域に柄糸を編込み、下地部を形成すべき下編地の領域で柄糸を編地から遊離させることによって、下地部での柄糸の除去を容易とすることができる。柄部に柄糸を残留させて、下地部で柄糸を除去することで、柄部と下地部とのコントラストを向上することができ、美観を向上した編レースを実現することができる。
また本発明によれば、鎖編糸の横振り部分によって、ラン止め機能を有する編地を形成することで、編レースのほつれを防ぐことができる。また横振り部分が、柄糸の遊離部分の遊離を妨げることがなく、柄糸の遊離部分を、厚み方向表側に遊離させることができる。
また本発明によれば、編地の編成時に、伸張状態で伸縮糸が編込まれる。編成後の編地は、伸縮糸の収縮に起因してコース方向に収縮する。これによって柄糸の遊離部分が、下編地の厚み方向表側に突出する突出量を増やすことができ、柄糸の遊離部分の切除をさらに容易にすることができる。
また本発明によれば、鎖編糸の横振り部分に関係なく、柄糸の遊離部分を下編地の厚み方向表側から十分に遊離させることができる。これによって柄糸の遊離部分をシャーリング装置によって機械的に切除することが可能となり、柄糸の遊離部分の切除作業を容易にかつ短時間に行うことができる。
図1は、本発明の実施の形態である編地20を示す編成組織図である。本発明の編地20は、編成後に他の工程を経たうえで編レースとして製造される。図2は、本発明の編地20を用いて製造される編レース90の写真を示す図である。図2に示すように、編レース90は、複数の透孔91が形成され、それらの各透孔91の形状および配置によって、レース模様が形成される。また編レース90は、単位面積あたりに配置される糸の量が密な柄部92と、単位面積あたりに配置される糸の量が疎な下地部93とが形成され、これらの柄部92と下地部93との組み合わせによって柄模様が形成される。このような柄模様入りの編レース90は、たとえば肌着などに用いられる。
図1に示すように編地20は、鎖編糸21と、柄糸22と、ジャカード糸23と、伸縮糸(図示せず)とを含んで構成される。鎖編糸21は、鎖編みされることによって、ループ状部分24を形成するとともに、複数のループ状部分24がコース方向Cに連結される鎖編組織を形成する。
ここで、コース方向Cは編地20の編立て方向であり、ウェール方向Wは編地20の編立て方向に直交する方向である。またコース方向Cに沿って延びるループ状部分24の列をウェールwと称し、ウェール方向Wに沿って延びるループ状部分24の行をコースcと称する。
各鎖編組織は、ウェール方向Wに複数並列し、鎖編糸21によってウェール方向Wに連結されることによって、ラン止め機能(ほつれ防止機能)を有する。具体的には、各鎖編糸21は、ウェール方向Wに多数並び、予め定めるコースc1,c2,c3,c4でウェール方向Wに適宜横振りする。なお、鎖編糸21は、経糸または地編編成糸と称される場合もある。
たとえばウェール方向Wに順に並ぶ任意の各ウェールを第1ウェールw1、第2ウェールw2、第3ウェールw3と称する。また、ある任意のコースc5で第1ウェールw1、第2ウェールw2、第3ウェールw3に沿って延びる各鎖編糸21をそれぞれ第1鎖編糸21a,第2鎖編糸21b、第3鎖編糸21cと称する。この場合におけるラン止め機能を有する編地20の鎖編糸21について以下に例示する。
第2鎖編糸2bは、ある任意のコースc5からコース方向後方Caに進むにつれて、第2ウェールw2でコース方向Cに連続する鎖編組織25bを形成し、次に任意のコースc5からコース方向後方Caのコースc2で、隣接する第1ウェールw1に横振りする横振り部分26bを形成する。そして横振り後、そのコースc2でかつ第1ウェールw1で、第1鎖編糸21aが形成した鎖編組織25aに連結し、第1ウェールw1でコース方向後方Caに連続する鎖編組織27bを形成する。
次に、さらにコース方向後方Caの所定のコースc3で、隣接する第2ウェールw2に横振りする横振り部分28bを形成する。そして横振り後、そのコースc3でかつ第2ウェールw2で、第3鎖編糸21cが形成した鎖編組織27cに連結し、第2ウェールw2でコース方向後方Caに連続する鎖編組織29bを形成する。各鎖編糸21a〜21cは、同じコースc1,c2,c3,c4でウェール方向Wに同様の方向および移動量でそれぞれ横振りする。
このように各鎖編糸21が、コース方向Cに延びる鎖編組織25,27,29の形成と、ウェール方向Wに延びる横振り部分26,28の形成とをそれぞれ繰返すことによってチェーンステッチ組織となる下編地が形成される。形成された下編地は、各鎖編糸21によって注目する鎖編組織が、ウェール方向W両側に隣接する他の鎖編組織に連結されているので、ほつれの発生が防がれる。
ジャカード糸23は、編地20にレース模様を形成するための糸である。ジャカード糸23は、ある任意のコースc6で、ウェール方向Wに並ぶ鎖編組織40a,40bを連結し、ウェール方向Wに並ぶループ状部分24に編込まれる。実際には、ジャカード糸23は、ウェール方向Wに隣接する一方の鎖編組織40から他方の鎖編組織41にわたって延びる横振り部分30と、鎖編組織40a,40bに編込まれる編込み部分31とを有し、横振り部分30と編込み部分31とが交互に繰返される。
コース方向Cに並ぶ2つの横振り部分30と、横振り部分30が連結する鎖編組織42,43とによって囲まれる空間には、各糸が配置されず編地の厚み方向に貫通する透孔91が形成される。したがって横振り部分30を選択的に配置することによって、透孔91の形状および配置が調整される。これによって編地20は、透孔91の配置および形状によって表わされるレース模様を形成することができる。なおジャカード糸23は、緯糸または挿入糸と称される場合もある。
柄糸22は、編地20に柄模様を形成するための糸である。柄糸22は、編込み部分33a,33bと遊離部分34とを有する。柄糸22のうち、編込み部分33a,33bは、コース方向Cに並ぶ各ループ状部分24に編込まれる部分である。遊離部分34は、ループ状部分24に編込まれず、ループ状部分24から遊離する部分である。
編込み部分33a,33bは、コース方向Cに延びて、コース方向Cに並ぶループ状部分24に編込まれてもよい(33a)。またコース方向Cおよびウェール方向に略S字状に延びて、ウェール方向Wに並ぶ複数のループ状部分24に編込まれるとともにコース方向Cに並ぶループ状部分24に編込まれてもよい(33b)。
編地20のうち柄糸22が編込まれた柄部92(図2参照)では、単位面積あたりの糸の量が密になり、形成される透孔91が小さくまたは埋められる。また編地20のうち、柄糸22が配置されない下地部93(図2参照)では、単位面積あたりの糸の量が疎になり、透孔91が大きくなる。このように柄糸22が編込まれる部分と編込まれない部分とが設定されることによって、柄部92と下地部93とによって表わされる柄模様を形成することができる。柄糸22は、挿入糸と称される場合もある。
柄糸22の遊離部分34は、鎖編糸21の横振り部分26,28が形成されるコースc2,c3を通過する場合、鎖編糸21の横振り部分26,28よりも、編地20の厚み方向表側を延びる。言い換えると、鎖編糸21の横振り部分26,28が、柄糸22の遊離部分34に対して編地20の厚み方向表側に重なることがない。すなわち柄糸22の遊離部分34は、コース方向両端部が下編地に連結されるのみで、コース方向中間部については鎖編糸21およびジャカード糸23に拘束されることなく、厚み方向表側に関して自在に変位可能となる。
伸縮糸は、伸縮性を有する糸であり、たとえばポリウレタン弾性糸いわゆるスパンデックスが用いられる。伸縮糸は、編成時に伸張状態で編込まれ、編成後に縮む。伸縮糸は、所定の鎖編組織のループ状部分に編込まれ、コース方向Cに延びる。伸縮糸が編込まれることで、編地20が編成後に縮むので、伸縮性を有する編地20を形成することができる。
図3は、図1に示す編地20の一部を拡大して示す編成組織図である。ループ状部分24を詳しく説明すると、鎖編組織においては、ループ状部分24は、第1ループ状部分であるニードルループ24aと、第2ループ状部分であるシンカーループ24bとによって構成される。ニードルループ24aとシンカーループ24bとは、交互に連なって、コース方向Cに複数並んで形成される。なお、柄糸22およびジャカード糸23などが、ループ状部分24に編込まれる状態とは、ニードルループ24aとシンカーループ24bとの間にそれらの糸が挟まれた状態を意味する。
図3に示すように、ある注目するコースc11のシンカーループ24b1は、注目するコースc11のコース方向前方Cbとなるコースc10のニードルループ24a0を一方側から他方側(図3では紙面に垂直で手前に向かう方向)に挿通して、コース方向後方Caに延びて、注目するコースc11に形成されるニードルループ24a1を他方側から一方側(図3では紙面に垂直で奥に向かう方向)に挿通する。次に、コース方向後方Caに延びて、注目するコースc11のコース方向後方Caとなるコースc12に形成されるニードルループ24b2に連なる。このようなニードルループ24aとシンカーループ24bとが交互に連なることによって、鎖編組織は、ループ状部分24が連鎖状にコース方向Cに連なる。なお、一方側から他方側に向かう方向は、編地の厚み方向裏側から厚み方向表側に向かう方向であり、他方側から一方側に向かう方向は、編地の厚み方向表側から厚み方向裏側に向かう方向である。
また横振り部分26は、第1鎖編組織41のループ状部分24に連なって、ウェール方向W一方に隣接する他の第2鎖編組織42のループ状部分24を連結して、ウェール方向W一方に隣接するさらに他の第3鎖編組織43のループ状部分24に連なる。ここで、第2鎖編組織41は横振り部分26が形成されるコースc14に対してコース方向前方Cbのコースc13に位置し、第3鎖編組織42は横振り部分26が形成されるコースc14に対してコース方向後方Caのコースc15に位置する。
本実施の形態では、横振り部分26の一端部は、第1鎖編組織40のループ状部分のうち、注目する横振り部分26と同じコースc14に位置するニードルループ24a4に一端部が連なる。また横振り部分26の他端部は、横振り部分26が位置するコースc14よりもコース方向後方Caであって異なるウェール方向Wに位置するニードルループ24a5に連なる。
具体的には、横振り部分26は、一端部から他端部に向かって進むと、横振り部分26が位置するコースc15よりもコース方向前方Cbに位置するコースc14に形成されるニードルループ24a3を一方側から他方側に挿通する。そして、第2鎖編組織41のうちで横振り部分26が位置するコースc15に形成されるニードルループ24a5を他方側から一方側に通過して、コース方向後方Caに延びる。そして第3鎖編組織41のうち、横振り部分26が位置するコースc15よりもコース方向後方Caのコースc15に形成されるニードルループ24a6に連なる。このような横振り部分は、コース方向Cに進むにつれて、ウェール方向一方に延びる横振り部分26と、ウェール方向他方に延びる横振り部分28とが交互に形成される。
鎖編糸21およびジャカード糸23の繊度は、編レースとして切断しない太さで、可及的に細いものが用いられる。たとえば鎖編糸およびジャカード糸23は、140デニール以下、特に40デニール以下のマルチフィラメントが用いられ、ナイロン(登録商標)、レーヨン、ポリエステルおよびポリプロピレン等の各種の繊維によって実現可能である。また柄糸22の繊度は、たとえば20デニール以上でかつ3000デニール以下に選択され、たとえばナイロン、レーヨン、ポリエステルまたは綿等の各種の繊維によって実現可能である。
本実施形態の編地20は、編成時には、鎖編糸21の横振り部分26が形成されるコースc14における柄糸22の遊離部分34は、図3に示すように編地20を厚み方向から見た場合に、鎖編糸21の横振り部分26と略平行に延びる。言い換えると、柄糸22の遊離部分34が、鎖編糸21の横振り部分26によって、厚み方向表面側からウェール方向Wに跨がることがない。
また編成後に、柄糸22の遊離部分34が変形することによって、遊離部分34が、鎖編糸21の横振り部分26,28に対して編地20の厚み方向に同じ位置、または鎖編糸21の横振り部分26,28よりも厚み方向表側に配置される。すなわち、柄糸22の遊離部分34が、鎖編糸21によって拘束されることなく、編地20の厚み方向表側に露出する。またジャカード糸23および伸縮糸は、柄糸22よりも厚み方向裏側に配置される。このような実施形態の編地20は、本発明の一例示である。たとえば、本発明の編地として伸縮性を必要としない場合などには、編地20に伸縮糸が含まれてなくてもよい。
上述した編地20は、たとえばバックジャカードラッシェル編機によって編成することができる。図4は、本実施の形態の編地20を編成するためのバックジャカードラッシェル編機60の編成部を示す側面図である。バックジャカードラッシェル編機60(以下単に編機60と称する)は、各糸21,22,23を編み針72近傍に設けられる予め定める編成位置73に向けて導糸する導糸手段である筬またはバーを有する。具体的には、ジャカード糸23を編成位置73に向けて導糸手段が、柄糸22および鎖編糸21を編み針72に向けて導糸する導糸手段よりも、後方に配置される。ここで後方とは、編み針72の背面からフック部へ向かう方向である。
具体的には、編機が有する導糸手段は、エラスティック筬61、ジャカードバー62,63、柄筬64,65,66、地筬67などによって実現される。鎖編糸21は地筬67に通糸され、ジャカード糸23はジャカードバー62,63に通糸され、柄糸22は柄筬64,65,66に通糸され、伸縮糸はエラスティック筬61に通糸される。このような各導糸手段61〜67は、編み針72が鎖編糸21を捕捉する編成位置73に向かって、放射状に並び、編み針72が鎖編糸21を捕捉する方向に向かうにつれて、地筬67、柄糸66,65,64、ジャカードバー62,63、エラスティック筬61の順に配置される。各糸は、鎖編糸21、柄糸22、ジャカード糸23および伸縮糸の順で、予め定める編成位置から後方に並ぶ。ここで後方とは、編み針72の背面からフック部に向かう方向となる。
編み針72は、予め定める方向に複数並んで形成され、各編み針72を保持する保持手段となるニードルバー69に固定される。ニードルバー69は、各編み針を昇降運動する。またニードルバー69と各導糸手段61〜67との両方が動作して、各糸が予め定める編成位置に導かれる。
それぞれの導糸手段61〜67は、各糸21,22,23を、編み針72の昇降運動に同期して、編み針72のフック部側の空間で各糸21,22,23を、編み針72が並ぶ方向に移動させるオーバーラップ(編目編成運動)と、編み針72のフック部が形成される側と反対側の空間で各糸21,22,23を、編み針72が並ぶ方向に移動させるアンダーラップ(挿入運動)とを行う。またこれらのラップ運動に加えて編み針72が並ぶ方向に直交する方向に移動するいわゆるスイング(揺動運動)がなされる。具体的には、2つのスイング動作がある。
第1のスイング動作であるスイングイン(バックスイング)動作では、編み針72の側方を通過して、フック部が形成される側と反対側の空間から、編み針72のフック部が形成される側の空間に各糸21,22,23を移動させる。また第2スイング動作であるスイングアウト(フロントスイング)動作では、編み針72の側方を通過して、編み針72のフック部が形成される側の空間からフック部が形成される側と反対側の空間に各糸21,22,23を移動させる。各導糸手段61〜67に取付けられたガイドが動作することによって、各糸21,22,23が編み針72のまわりを予め定められる経路に従って通過し、各糸21,22,23を含む編地20が形成される。
また編成部は、ステッチコームバー71、トリックプレートバー68およびトングバー70を備える。編機60は、導糸手段61〜67およびニードルバー69の動作によって、上述した編地20を編成する。そしてステッチコームバー71の編成補助作用によって編成された編地20を補助編成し、トリックプレートバー68を通過させて、編成部の近傍に設けられる巻き取り部によって、編地20を円滑に巻き取る。
このような編機60を用いることによって、鎖編糸21によって複数のループ状部分24が連なる鎖編組織がウェール方向Wに略平行に複数形成され、鎖編糸21が横振りすることで隣接する各鎖編組織が相互に連結される横振り部26,28が形成される。また鎖編糸21によって形成される下編地の所定のループ状部分24に、柄糸22およびジャカード糸23が編込まれる編地を編成することができる。
ジャカード糸23のうち、柄糸22をウェール方向Wに跨って交差する部分は、柄糸22よりも厚み方向裏側に位置する。そして柄糸22の編込み部分33a,33bは、ループ状部分24のうち、ニードルループ24aよりも厚み方向表側に位置し、シンカーループ24bよりも厚み方向裏側に位置する。また以下に示す編成動作を行うことによって、柄糸22の遊離部分34を、鎖編糸21の横振り部分26,28よりも編地方向表側に位置させることができる。
図5(1)は、柄糸22の遊離部分34の一部を模式的に示す組織図であり、図5(2)は、比較例の編地120の柄糸122の遊離部分134の一部を模式的に示す組織図である。なお、図5には、鎖編糸21および柄糸22についてのみ示し、他の糸を省略する。
図5(1)に示すように、編機60は、編成工程のうち、柄糸22を遊離させる遊離部分編成期間においては、柄筬64〜66によって柄糸22を一方の編み針72aと他方の編み針72bとの間となる編み針間L1に移動させた状態で、地筬67によって鎖編糸21による鎖編組織編成を行わせる。これによって各ループ状部分24において、ニードルループ24aとシンカーループ24bとの間に、柄糸22が挟まれることを防ぐことができる。
さらに遊離部分編成期間において、鎖編組織を連結するために鎖編糸21を横振り移動させるとき、柄糸22を鎖編糸21と同様に横振り移動させる。すなわち鎖編糸21のアンダーラップ動作に関して、柄糸22を同方向および同じ移動量でアンダーラップさせる。
たとえば、図5(1)に示すように、任意の位置にある第1編み針72aと、第1編み針72aに対してウェール方向一方に隣接する第2編み針72bと、第2編み針72bに対してウェール方向一方に隣接する第3編み針72cとを考える。
鎖編糸21aがループ状部分を以前に形成していた第1編み針72aから、以後にループ状部分を形成すべき第2編み針72bに向かってアンダーラップするとき、第1編み針72aと第2編み針72bとの間の編み針間L1にある柄糸22を、第2編み針72bと第3編み針72cとの間の編み針間L2に移動させる。このように、鎖編糸21aが横振りするコースc20,c21において、鎖編糸21の動きと同期させて柄糸22を移動させる。
このことは、鎖編糸21をウェール方向他方に移動させて横振りさせるとき、鎖編糸21をアンダーラップ前に比べてウェール方向に複数離れた編み針に向かって横振りさせるときも同様である。また編成工程において、前記柄糸遊離部分編成期間と、ジャカード糸23を横振りさせるジャカード糸横振り期間とが重なる期間があってもよい。また全ての柄糸22を鎖編糸21の横移動とともに移動させてもよいが、少なくとも鎖編糸21が一方の編み針72aから他方の編み針72bに横振りするときに、その一方の編み針72aと他方の編み針72bとの間に編み針間L1に位置する柄糸22について、鎖編糸21と同様に横振り移動させる必要がある。
このように柄糸22が鎖編糸21と同期して横振り移動するように、柄筬64〜66および編み針72を動かすことによって、鎖編糸21が横振りするコースc20,c21に位置する柄糸22の遊離部分34の部分50は、鎖編糸21の横振り部分26,28よりも厚み方向裏側に位置することが防がれる。これによって編成後の編地20における柄糸22の遊離部分34は、鎖編糸21の横振り部分26,28によって拘束されることがなく、厚み方向表側への変位が許容される。
これに対して、図5(2)に示す比較例の編地120は、遊離部分編成期間において、柄糸122は、鎖編糸121の横振りにかかわらず一定の編み針間L1に位置する。この場合、柄糸122の遊離部分134のうちで、鎖編糸121が横振りするコースc20,c21に位置する部分150は、鎖編糸121の横振り部分128よりも厚み方向裏側に位置してしまう。この場合、編成後の編地120における柄糸122の遊離部分134は、鎖編糸121の横振り部分128によって拘束されて、厚み方向表側への変位が阻止される。
図6および図7は、遊離部分編成期間における鎖編糸21と柄糸22との編成動作を説明するための図である。編成動作は、図6(1)〜図6(3)、図7(1)〜図7(4)の順で進む。各編み針72を有するニードルバー69、柄筬64〜66および地筬67によって、対応する各鎖編糸21が鎖編組織を形成する。図6(1)に示すように、遊離部分編成期間では、柄糸22は、編み針間L1に配置される。このように柄糸22が編み針間L1に配置されて、柄糸22が左右いずれかの編み針72を横切ることがない限り、柄糸22がループ状部分24に編込まれることが防がれる。
次に、図6(2)に示すように、鎖編糸21がスイングイン、または編み針72がバックスイングして、編み針72を編み針72のフック部側に移動させる。次に、図6(3)に示すように、編み針72のフック部に鎖編糸21が引っ掛かるように鎖編糸21をオーバーラップさせる。そして図7(1)に示すように、鎖編糸21を編み針72のフック部に引っ掛けた状態で、フック部とともに鎖編糸21が、オールドループ80を通過するように編み針72を下降移動、すなわちノックオーバさせる。このように柄糸22を編み針間L1に配置した状態で、鎖編組織の編成動作を繰返すことによって、ループ状部分24に柄糸22が編込まれない編地部分を形成することができる。
鎖編糸21によって、隣接する鎖編組織を連結する横振り部分28を形成する場合には、図7(1)に示す状態から図7(2)に示すように、フック部に鎖編糸21が引っ掛かった状態を解除するように上昇移動させる。そして編み針72が、上昇移動した後、鎖編糸21を編み針列の並ぶ方向Wに横振り移動させるときに、鎖編糸21が、柄糸22に交差しないように、柄糸22を鎖編糸21の移動に対して平行かつ同期して移動させる。すなわち柄糸22を鎖編糸21と同様にアンダーラップさせる。
次に、図7(3)に示すように、鎖編糸21がスイングイン、または編み針72がバックスイングして、鎖編糸21を編み針72の背面側に移動させる。次に図7(4)に示すように、編み針72のフック部に鎖編糸21が引っ掛かるように鎖編糸21をオーバーラップさせる。これによって鎖編糸21が、横振りされるコースにおいても、柄糸22が横振り部分28に重なることなく編成を継続することができ、柄糸22の遊離部分34をループ状部分から遊離させることができる。
本実施の形態の編み機60は、柄糸22を遊離させる編成期間である遊離部分編成期間に特徴があり、特に遊離部分編成期間のうち、鎖編糸21を横振りさせるときにおける柄糸22の移動方法に特徴がある。したがって、柄糸22をループ状部分24に編込む期間や、柄糸22を遊離させる期間においても、鎖編糸21を横振りさせない期間については、既存の編成方法によって編地20を編成する。
これによって鎖編糸21の横振り部分26,28に関係なく、柄糸22を下編地の厚み方向表側から部分的に遊離させることができる。したがって本実施の形態のように、ラン止め機能(ほつれ防止機能)を有する鎖編組織を編成する場合に、柄糸22の遊離部分34を十分に遊離させることができる。また鎖編糸21およびジャカード糸23の横振り部分26,28,30によって、各鎖編組織を連結することによって編地の強度を向上することができる。またジャカード糸23によって、編地20に任意の透孔を形成することができ、編地20に所望のレース模様を形成することができる。
またジャカード糸23は、柄糸22よりも編地20の厚み方向裏側に位置する。したがって柄糸22の遊離部分34が厚み方向表側に遊離したとしても、ジャカード糸23が柄糸22の遊離を妨げることがない。またジャカード糸23によって柄糸22の遊離部分34が編地の厚み方向裏側に遊離することを阻止して、柄糸22の遊離部分34が厚み方向表側に向けて確実に遊離するようにすることができる。このように柄糸22が厚み方向裏側に向かって突出することが防がれるので、編地を肌着に用いた場合など、厚み方向裏側の肌触りを向上することができる。
さらに、柄糸22がジャカード糸23よりも厚み方向表側に配置されるので、ジャカード糸23の色よりも柄糸22の色が編地20の厚み方向表側に現れる。これによってジャカード糸23と柄糸22との糸が異なる場合であっても、編地20の表側について柄糸22による柄模様をはっきりさせることができる。また柄糸22をジャカード糸23よりも表側に配置することで、糸の疎密差をよりはっきりさせることができ、編地20に立体感を出すことができる。
また柄糸22と、ジャカード糸23とで異なる糸を使用し、編地編成後に染料によって染色する場合、ジャカード糸23が厚み方向裏側に配置されることによって、柄糸22とジャカード糸23との染色後の色が異なる場合であっても、表側にジャカード糸23が露出することを少なくすることができ、編地20の表側を意図する色模様にすることができる。さらに本実施の形態では、伸縮糸が伸張状態で編込まれるので、編成後に伸張糸が縮むことによって、柄糸22が厚み方向表側に突出する突出量を大きくすることができる。
図8は、本発明の実施の形態の編地20と比較例の編地120と編レース90とを模式的に示す断面図である。図8(1)に本発明の編地20を示し、図8(2)に比較例の編地120を示す。また図9は、本発明の編地20の写真を示す図である。上述したように、本発明の柄糸22は、ループ状部分24に編込まれる編込み部分33と、ループ状部分24から遊離する遊離部分34とが形成される。柄糸22の遊離部分34は、鎖編糸21の横振り部分26,28によって拘束されていないので、厚み方向表側から遠ざかる方向Y1に容易に変形することができる。また厚み方向表側に突出する突出量X1も大きくすることができる。
これに対して、図8(2)に示すように比較例の編地120では、上述したように、柄糸22の遊離部分134が、鎖編糸121の横振り部分126,128によって拘束されているので、厚み方向表側から遠ざかる方向Y1に十分に突出することができず、その突出量X2も小さい。
したがって本発明の編地20は、比較例の編地120に比べて、柄糸22の遊離部分34を厚み方向Yに十分に突出させることができ、シャーリング装置または手作業によって柄糸22の遊離部分34を容易に切除することが可能となり、編地20から柄糸22の遊離部分34を短時間でかつ正確に切除することができる。
図10は、遊離部分34を切除した編地100を示す断面図である。柄糸22の編込み部分33によって柄部92を形成する場合、上述した編地20を編成した後に、柄糸22のうちから遊離部分34を切除することによって、コース方向Cに並ぶ複数の柄部92を形成するとともに、その2つの柄部92の間の下地部93に含まれる柄糸22を除くことができる。これによって柄部92と下地部93との間の糸の疎密差を大きくして、柄部92と下地部93とのコントラストを明確にして、レース模様の美観を向上することができる。また柄糸22の遊離部分34を切除した編地100を用いて、編レースを製造することによって、レース模様の美観を向上した編レースを製造することができる。
このように編地20の表側に遊離した柄糸22の遊離部分34を切除する場合、切除した切り口部分59が編地100の表側に突出する。遊離部分34を切除した編地100を肌着に用いた場合、裏側が肌に接することによって、表側に形成された切り口部分59が肌に接触することない。したがって肌触りをよくすることができ、編地を肌着として好適に用いることができる。特に、ラメ糸などの比較的硬い糸を柄糸22として用いた場合であっても、肌触りが低下することがなく、裏側に別の生地を裏当てする必要がない。これによって美観を向上するとともに安価に、レース模様の肌着を製造することができる。
図11は、シャーリング装置130を示す断面図である。シャーリング装置130は、円筒状に形成されて、外周部に回転刃137が形成されるローラ体131と、ローラ体131を回転する回転駆動手段132と、編地20を搬送する編地送り手段133と、切除された柄糸22の遊離部分34を吸引する吸引手段135とを含む。
編地送り手段133は、編地20のウェール方向Wがローラ体131の回転軸線と平行となる状態で、コース方向Cに編地20を搬送し、予め定める切断位置136で、編地20をローラ体131の外周面に臨ませる。ローラ体131は、回転した状態で回転刃137が柄糸22の遊離部分34に接触することで、柄糸22の遊離部分34を編地20から切除する。吸引手段135は、ローラ体131によって切除された柄糸22の遊離部分34を吸引する。編地送り手段133が、回転手段132の動作とともに、編地20を搬送することによって、編地20の全面にわたって柄糸22の遊離部分34を切除することができる。
図12は、他のシャーリング装置140を示す斜視図であり、図13は、図12に示すシャーリング装置140の断面図である。このシャーリング装置140は、三角刃141を有する複数の揺動体142と、各揺動体142を揺動駆動する揺動手段143と、編地20を案内する案内体144と、編地20を搬送する編地送り手段145と、搬送される編地を支持するテーブル146とを含む。
案内体144は、L字状に形成される線材147を複数有し、それらが編地20のウェール方向Wに並んで櫛状に構成される。線材247は、編地20の搬送方向に垂直に延びる第1部分149と、第1部分149から編地20の搬送方向下流側に屈曲する第2部分148とが形成される。案内体144は、テーブル146に対して間隔をあけて、予め定める切断位置150に配置され、第2部分148は切断位置で編地20をテーブル146から浮き上がらないように案内する。
揺動体142は、線材147の第2部分148に対して、編地20と反対側に配置され、編地20のウェール方向Wに変位自在に設けられる。揺動手段143は、揺動体142をウェール方向Wに揺動移動することによって、三角刃が第2部分148の近傍をウェール方向Wに揺動移動する。
編地送り手段145は、テーブル146上の編地20をコース方向Cに搬送し、予め定める切断位置150を通過させる。編地20は、テーブル146に沿って移動し、案内体144とテーブル146との間を通過する。線材147が櫛状に並ぶので、柄糸22の遊離部分34は、各線材147の間を通過して第2部分148から突出する。揺動体142が揺動手段143によって揺動移動することによって、第2部分148から突出した柄糸22の遊離部分34が三角刃141によって切断する。編地送り手段145が、揺動手段143の動作とともに、編地20を搬送することによって、編地20の全面にわたって柄糸22の遊離部分34を切除することができる。
これらのシャーリング装置130,140によって、シャーリングが行われた後の編地100を用いて編レースが製造されることによって、下地部93に配置される柄糸22を除くことができ、美観を向上した編レースを製造することができる。なお、シャーリング装置については柄糸22の遊離部分34を切除可能であればよく、上述したシャーリング装置130,140以外を用いてもよい。さらに手作業によって柄糸22の遊離部分34を切除してもよい。上述したように、本発明の編地20は、柄糸22の遊離部分34が十分に突出しているので、シャーリング装置または手作業によって容易にかつ確実に柄糸22の遊離部分34を切除することができる。
図14〜図16は、本発明の実施の他の形態である編地220,320,420を示す編成組織図である。図1に示す編地20は、柄糸22およびジャカード糸23が正掛に編込まれたが、図14に示すように、柄糸22およびジャカード糸23が逆掛に編込まれても、同様の効果を得ることができる。また図1に示す編地20は、ウェール方向Wに並ぶ複数のジャカード糸23が同じコースで横振りしたが、各ジャカード糸23は、図14に示すように異なるコースで横振りしても、同様の効果を得ることができる。
また図15に示すように、鎖編組織が、オープンループの場合に限らず、クローズドループに形成されていても、同様の効果を得ることができる。また鎖編糸21がラン止め機能を有するために、複数の鎖編組織を連結するように横振りしたが、ラン止め機能以外の目的で、複数の鎖編組織を連結するように横振りしてもよい。たとえば図16に示すように、鎖編組織がチュール組織、たとえば6コースチュールであっても同様の効果を得ることができる。
このように本発明では、鎖編糸21が横振りし、柄糸22が遊離する編組織を有する編地に広く適用することができる。また図4に示す編機60の構成は一例であって、他の構成の編機を用いて本発明の編地20,220,320,420を編成してもよい。
例示した本実施形態の各編地20,220,320,420のほか、伸縮糸がない場合、柄糸22が複数ある場合、広中レース(オールオーバレース)および細中レースである場合などにも適用することができる。なお、図示した編地に編込まれる各糸の編込み位置については、一例示であるので種々の変更が可能である。
本発明の実施の形態である編地20を示す編成組織図である。 本発明の実施の形態の編地20から製造される編レース90の写真を示す図である。 図1に示す編地20の一部を拡大して示す編成組織図である。 本実施の形態の編地20を編成するためのバックジャカードラッシェル編機60の編成部を示す側面図である。 本発明の編地20と比較例の編地1とを模式的に示す組織図である。 遊離部分編成期間における鎖編糸と柄糸との編成動作を説明するための図である。 遊離部分編成期間における鎖編糸と柄糸との編成動作を説明するための図である。 本発明の実施の編地20と比較例の編地120とを模式的に示す断面図である。 本発明の編地20の写真を示す図である。 遊離部分34を切除した編地100を示す断面図である。 シャーリング装置130を示す断面図である。 他のシャーリング装置140を示す斜視図である。 シャーリング装置140の断面図である。 本発明の実施の他の形態である編地220を示す編成組織図である。 本発明の実施の他の形態である編地320を示す編成組織図である。 本発明の実施の他の形態である編地420を示す編成組織図である。 従来技術の編レースの編地1を示す編成組織図である。
符号の説明
20 編地
21 鎖編糸
22 柄糸
23 ジャカード糸
24 ループ状部分
25,27,29 鎖編組織
26,28 横振り部分
33 編込み部分
34 遊離部分
60 編機
90 編レース
91 透孔
92 柄部
93 下地部
130,140 シャーリング装置
W ウェール方向
C コース方向

Claims (6)

  1. 単位面積あたりの柄糸の疎密差によって柄模様が形成される編レースの製造方法であって、
    (a)鎖編糸によって複数のループ状部分が連なる鎖編組織が略平行に複数形成され、鎖編糸が横振りすることで隣接する各鎖編組織が相互に連結され、所定のループ状部分から部分的に遊離する糸が編込まれる編地の編成工程であって、
    鎖編組織を形成するとともに前記糸をループ状部分から部分的に遊離させる遊離部分編成段階において、隣接する鎖編組織を連結するために鎖編糸を編み針に対して横振り移動させるときに、鎖編糸と同様な方向および移動量で、前記柄糸を編み針に対して横振り移動させる編地の編成工程と、
    (b)編地の編成工程によって編成される編地について、ループ状部分から遊離した柄糸の遊離部分を、切除して編レースを製造する切除工程とを含むことを特徴とする編レースの製造方法。
  2. 鎖編組織が相互に連結されることによって形成される下編地の透孔を埋めるための柄糸と、前記下編地の透孔を所定の形状にするためのジャカード糸とを備えて、単位面積あたりの柄糸の疎密差によって柄模様が形成される編レースの製造方法であって、
    (a)バックジャカードラッシェル編機を用いて、鎖編糸によって複数のループ状部分が連なる鎖編組織が略平行に複数形成され、鎖編糸が横振りすることで隣接する各鎖編組織が相互に連結され、所定のループ状部分に少なくとも糸およびジャカード糸がそれぞれ編込まれる編地の編成工程であって、
    鎖編糸、糸およびジャカード糸の順で、予め定める編成位置から後方に各糸が並ぶよう各糸をそれぞれ導糸した状態で、鎖編組織を形成するとともに糸をループ状部分から部分的に遊離させる糸遊離部分編成段階と、鎖編組織を形成するとともにジャカード糸を横振りさせて、ジャカード糸によって各鎖編組織を連結するジャカード糸横振り部分編成段階とを有し、
    前記糸遊離部分編成段階において、隣接する鎖編組織を連結するために鎖編糸を編み針に対して横振り移動させるときに、鎖編糸と同様な方向および移動量で、糸を編み針に対して横振り移動させる編地の編成工程と、
    (b)編地の編成工程によって編成される編地について、ループ状部分から遊離した柄糸の遊離部分を、切除して編レースを製造する切除工程とを含むことを特徴とする編レースの製造方法。
  3. 単位面積あたりの糸の量が密な柄部と糸の量が疎な下地部とを有し、柄部がコース方向に間隔をあけて並ぶ編レースの製造方法であり、
    前記編地の編成工程では、柄部を形成すべき下編地の領域に柄糸を編込み、下地部を形成すべき下編地の領域で柄糸を編地から遊離させることを特徴とする請求項1または2記載の編レースの製造方法。
  4. 前記編地の編成工程では、鎖編糸を横振りさせることによってラン止め機能を有する編地を編成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の編レース製造方法。
  5. 前記編地の編成工程では、伸縮性を有する伸縮糸が伸張状態で、鎖編組織のループ状部分に編込むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の編レースの製造方法。
  6. 前記切除工程では、シャーリング装置によって柄糸の遊離部分を下編地から切除することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の編レースの製造方法。
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