JP4029749B2 - 木質構造における接合部補強構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質構造における接合部補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
木造建築物であっても、より高層な建物の建築が望まれている。このように木造による大規模な架構の構築では、柱梁接合部を剛結合することが重要である。剛結合を実現するにあたっては、従来では、鋼板添え板接合、鋼板挿入型結合、引張ボルト型接合、合わせ梁型結合、鉄筋挿入型結合など、木質材料に結合用の金物を組合わせることによって仕口部の補強を行っている。
【0003】
ところで、以上の各構造においては、図6(a)に示すように、通し柱の側面に梁が当接するように接合する、いわゆる柱勝ち構造と、同図(b)に示すように、通し梁の上下面に柱の側面が当接するように接合する、いわゆる梁勝ち構造との二種類の構造について、前記各種金物を用いた結合構造により、柱と梁とがそれぞれ結合されており、図に示すごとく、通し柱ないしは通し梁等の通し部材は一般的部材と同様に、材軸方向と繊維方向が同じ材を用い、前記各接合構造における加工を行って取り付けられる側の部材を接合していた。
しかしながら、このような構造では以下に述べる技術課題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、前記構造では、通し部材に対して取り付けられる側の部材から伝達される力が通し部材の繊維方向と直角方向に作用するため、同図(c)に示すように、柱勝ち構造では、圧縮によるめりこみや、(d)に示すように、引張りによる引裂きに弱い場合があり、設計上この部分で断面が決ってしまう可能性があった。また、特に梁勝ち構造にあっては、柱の鉛直軸力が柱・梁接合部の繊維方向と直交する方向に働くため、(e)に示すごとく、高層化した場合における鉛直軸力による鉛直方向の縮み変形の懸念があった。
【0005】
本発明は、以上の課題を解決するものであって、その目的は、柱・梁接合位置における圧縮や引張りに伴う部材のめりこみや、引裂き、縮み変形を極力防止できるようにした木質構造における接合部補強構造を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、木質材料である柱と梁との接合部にあって、一方が通し部材で他方が該通し部材に接合される部材である場合において、前記通し部材の接合部材に対する接合位置にあって、前記通し部材内に埋設され、かつ前記接合部材との接合端面にその端面を露出させた補強体を設け、補強体にその基部を結合した連結金物を介して通し部材に接合部材を連結することを特徴とするものである。従って、本発明では、通し部材に対する接合部材の圧縮、引張り応力を補強体で分担するため、これらによる脆弱性を未然に回避できる。
【0007】
また、本発明においては、前記補強体が埋木であって、この埋木の繊維方向を接合部材の繊維方向にそろえた状態に埋設されている。これにより、本体である通し部材とのなじみが良好であり、繊維方向が直交することによる脆弱性を回避できる。
【0008】
また、本発明においては、前記通し部材の両側に接合部材が接合される構造において、前記補強体が通し部材を貫通してその両端面を接合部材の接合面に向けて露出させたことを特徴とする。これにより、一つの補強体で両側の接合部材に対する補強効果を得ることができる。
【0009】
本発明における前記通し部材が柱であることにより、梁の圧縮、引張りによるめりこみや、割裂き現象を回避でき、前記通し部材が梁であることにより、柱の鉛直軸力による軸方向縮みを防止できる。
【0010】
さらに、前記接合金物が補強体内に埋設され、かつその突出端を接合部材に形成された挿通孔内に接着剤を介して挿通される連結鋼棒であることにより、簡単かつ確実な接合を行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1,2は本発明の第一実施形態を示すものであり、柱勝ち構造において柱・梁間を連結鋼棒を介して接合する構造を例示するものである。
【0012】
図1(a)において、1は通し柱、2は柱1に両端を連結された梁である。柱1の材軸方向はその繊維方向にほぼ一致し、また梁2の材軸方向はその繊維方向にほぼ一致しており、両者の繊維方向は直交する。両者の連結位置において、柱1には各梁2に対する突き合せ端面に向けて平行な一対の縦長長方形の加工孔1aが左右に貫通し、その内部には補強体となる埋木3が埋設され、両端面を梁2との突き合せ端面に露出させた状態で接着剤により固定されている。
【0013】
この各埋木3は、加工孔1aの寸法に応じて上下寸法が梁2と同じか、これよりやや大きく、その繊維方向が柱1の繊維方向とは直交している。すなわち梁2の繊維方向とほぼ同一となっている。各埋木3の上下には連結鋼棒4の挿通孔3aが形成されている。各挿通孔3aの孔径は連結鋼棒4の外径より大きく、その隙間にエポキシ樹脂などの接着剤5を充填し、連結鋼棒4の中央部を固定している。
【0014】
これに対して、梁2の突き合せ部には、前記連結鋼棒4の配置に応じた前記と同一孔径の4つの挿通孔2aが形成され、これに前記連結鋼棒4の柱1からの突出端を挿通し、柱1の側面に突合わせ、挿通孔2aと連結鋼棒4の隙間に接着剤5を充填し、接着剤の固化により、図1(b)及び図2に示すごとく柱1に接合される。
【0015】
接合状態では、埋木3と梁2の繊維方向は同一であり、図2に矢印で示す圧縮力Aが作用した場合には、埋木3の端面と梁2の端面が突合わされることで、柱1に対する梁2のめりこみ作用が防止される。
【0016】
また、引抜き力Bが作用した場合には、埋木3の繊維方向に対して接着剤5またはこれと一体の連結鋼棒4を引抜く力が加わるが、その方向が埋木3の繊維と平行する方向であるため、繊維直交による割裂き現象も防止されるものとなる。
【0017】
なお、梁勝ち構造の場合は、梁の上下方向に柱の繊維方向に沿った補強用の埋木を埋設することにより、鉛直軸力による梁の軸方向の縮み現象を抑制できることは勿論であり、図示の関係が逆転するだけであるので説明は省略する。
【0018】
図3,図4は本発明の第二実施形態を示すものである。この実施形態は、柱勝ち構造において、一方の側面にのみ梁が連結する場合を示すものであり、柱1の一側面には梁2との突き合せ面に向けて長方形の一対の加工孔1a’が開口している。この加工孔1a’は盲孔であって他方側には貫通せず、この加工孔1a’には補強体である縦長長方形の埋木3’が埋設され、その上下に保持した連結鋼棒4を梁2側に向けて突出させ、この状態で接着剤5を介して連結鋼棒4を梁2側に挿通した状態で柱1側に突合わせ、接着剤の固化により図3(b)、図4に示すごとく両者を一体に連結する。この実施形態でも前記と同様に圧縮、引張りによるめりこみ及び割裂きが防止される。
【0019】
図5は本発明の第三実施形態を示すもので、通し柱1の四面に梁2が接合する場合を示している。この場合は、前記第一実施形態と同じく、梁2との接合位置において、柱1の左右にはその左右方向を貫通して縦長長方形の一対の埋木3が両端面を露出した状態に埋設され、連結鋼棒4の両端を突出している。これに加え、前記埋木3の上下において柱1の前後方向を貫通して横長長方形の一対の第二の埋木10がその両端を露出した状態で埋設され、その左右に貫通する連結鋼棒4の両端を突出し、それぞれの連結鋼棒4及び接着剤を介して各梁2と接合するようになっている。
【0020】
なお、図示を省略するが、前後方向に埋設される第二の埋木10の繊維方向も当然ながら前後方向に接合される梁2とほぼ同じ繊維方向となっている。また、各鋼棒4の突出位置に応じて各梁2の挿通孔2aも位置変更されることは勿論である。
【0021】
通し柱1に埋木3,3’を埋め込む方法としては、加工孔1a,1a’を開けた後に埋木3,3’を埋め込む方法の他、特に通し柱1が集成材の場合には、集成材を製作するときに埋木3,3’をラミナとして使用し、該当する箇所に内蔵させればよい。
【0022】
また、通し柱1と埋木3との繊維方向が直交しているので、材全体としての異方性が小さくなる。複数のボルトないしはドリフトピン等の緊結具を通し柱1と埋木3とを貫通して打ち込むことにより、打ち込まれた緊結具は相互に直交する二つの繊維方向にまたがって配置されることになるから、当該緊結具近傍において割れや切り裂きが発生しても、これが柱の幅方向に連続的に貫通することがなく、強度、靱性を増すことができる。
【0023】
さらに、上記実施の形態では、通し部材内に埋設される補強体として、埋木3,3’を採用したが、補強体は、木質のものに限られるものではない。例えば、木質のような繊維方向性がなく、かつ、木質と同等かこれより大きい強度を有する金属、合成樹脂その他新素材等からなるものであってもよい。
【0024】
以上、同様にして柱1に対して梁2がT字型をなして配置される場合には、第一実施形態と第二及び第三実施形態の組合わせ、L字型をなす場合には第二実施形態と第三実施形態の組合わせとすればよい。さらには、前記実施形態では上下それぞれ二本づつ、計四本の連結鋼棒により柱・梁の接合を行ったが、部材断面に応じて連結鋼棒の数を増減できることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明による木質構造における接合部補強構造によれば、柱・梁接合位置における圧縮や引張りに伴う部材のめりこみや、引裂き、縮み変形を極力防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は本発明の第一実施形態による一部拡大部分を含む分解図及び組立斜視図である。
【図2】同組立状態を示す断面図である。
【図3】(a),(b)は第二実施形態による分解図及び組立斜視図である。
【図4】同組立状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第三実施形態による分解図である。
【図6】(a)〜(d)は木質構造による柱・梁接合構造及びその不具合を示す説明図である。
【符号の説明】
1 柱
2 梁
2a 挿通孔
3,3’,10 埋木(補強体)
3a 挿通孔
4 連結鋼棒
5 接着剤
Claims (5)
- 木質材料である柱と梁との接合部にあって、一方が通し部材で他方が該通し部材に接合される部材である場合において、
前記通し部材の接合部材に対する接合位置にあって、前記通し部材内に埋設され、かつ前記接合部材との接合端面にその端面を露出させた補強体を設け、補強体にその基部を結合した連結金物を介して通し部材に接合部材を連結し、
前記補強体が埋木であって、この埋木の繊維方向を接合部材の繊維方向にそろえた状態に埋設されていることを特徴とする木質構造における接合部補強構造。 - 前記通し部材の両側に接合部材が接合される構造において、前記補強体が通し部材を貫通してその両端面を接合部材の接合面に向けて露出させたことを特徴とする請求項1に記載の木質構造における接合部補強構造。
- 前記通し部材が柱であることを特徴とする請求項1または2に記載の木質構造における接合部補強構造。
- 前記通し部材が梁であることを特徴とする請求項1ないし3いずれかの項に記載の木質構造における接合部補強構造。
- 前記接合金物が補強体内に埋設され、かつその突出端を接合部材に形成された挿通孔内に接着剤を介して挿通される連結鋼棒であることを特徴とする請求項1ないし4いずれかの項に記載の木質構造における接合部補強構造。
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