JP4029439B2 - 焼却炉煙道吹込剤および排ガス処理方法 - Google Patents

焼却炉煙道吹込剤および排ガス処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、都市ごみ焼却場の排ガス処理設備で排出されるダイオキシン類等の有害有機物や重金属を含有する排ガス処理に使用される煙道吹込剤とその処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ダイオキシン類による環境汚染が問題視されている。これは、他の汚染物質と比較して、ダイオキシン類の毒性がきわめて高いためである。例えば、最も毒性が強いと言われる2、3、7、8−ダイオキシンのモルモットでの LD50は2μg/kgである。更に、ダイオキシン類は上記のように非常に強い急性毒性を有しているものであるが、強力な発癌性物質や催奇形性物質でもあることが確認されてる。
【0003】
例えば、 2、3、7、8−ダイオキシンの場合には、0.01〜0.07μg/kg/dayという微量で発癌性を示すという報告がある。また、1〜10μg/kgの2、3、7、8−ダイオキシンを妊娠中のラットの母胎に投与することにより、奇形を生ずることが確認されており、他に類を見ない強い催奇形性物質であることが判明している。
【0004】
ダイオキシン類の発生源としては、都市ゴミ焼却施設、製鋼所や金属製錬産業等の工業プロセス、自動車の排ガス、紙パルプ産業における塩素漂白過程、農薬類などの化学工業製品等があげられる。 日本においては都市ゴミ焼却場から発生するダイオキシン類が最も多いとされている。日本は、国土が狭くゴミ発生量が非常に多いため、欧米と比較して一般ゴミの焼却処分率が高く、ほとんどの一般ゴミが焼却処分した後埋め立てられている。したがって、日本は世界的にダイオキシンの発生量が多い国であると考えられる。日本では約4800万トン(1988年)の一般廃棄物と約3.1億トン(1985年)の産業廃棄物が排出されている。西暦2000年には、一般廃棄物は約8000万トンに、産業廃棄物は約6億トンに達すると予測されている。
【0005】
そのうち一般廃棄物の約7割が焼却処理され約3割が直接処分されている。また、産業廃棄物は約4割が再生利用され、約3割が焼却などによって減容化されて処分、約3割が直接最終処分場で廃棄されている。これらの一般廃棄物や産業廃棄物を焼却する際には多量のダイオキシン類が発生することが明らかとなっている。今後、焼却設備から排出されるダイオキシン類に関する排出規制が大幅に強化される方向にある。
【0006】
都市ゴミ処理場の場合、ゴミの中にはプラスチック、残飯、木材等の様々な有機物や塩化物が含まれている。これらのごみを焼却すると、有機物の一部は完全に二酸化炭素まで分解されず、未燃有機物が排ガス処理設備へと排出され、ダイオキシン類の前駆体となる。一方、塩化物中の塩素は塩素や塩化水素等のガス状成分として排出される。前述の前駆体と塩素を含むガス成分は複雑な反応経路を経て反応し、ダイオキシン類が生成すると言われている。更に、排ガス処理設備に吹きあげられた飛灰中に含有される塩化銅などの金属塩が触媒となり、ダイオキシン類の生成を更に促進していると言われている。したがって、一般には未燃有機物が焼却炉内で前駆体に変化し、ボイラーや集じん機等の低温領域内でダイオキシン類が合成されると考えられている。
【0007】
ダイオキシン類への対策方法に関する研究は、まだ始まったばかりであり、現在のところ完全に確立された技術というものは見当たらない。現在考えられている焼却施設におけるダイオキシン類への対策法は大きく分けて以下の5つに分類される。すなわち、Aゴミ中の原因物質の除去、B燃焼条件での生成抑制、C熱回収・冷却過程での生成抑制、D排ガス処理過程での生成抑制と除去、E飛灰の無害化があり、これらの方法の内、近年盛んに検討されている技術はD排ガス処理過程での生成抑制と除去である。
【0008】
排ガス処理過程での対策としてはじめに行われることは、集じん機の温度を低下させることである。ダイオキシン類発生防止ガイドラインでは、集じん機の温度を既設炉では250〜280℃に、新設炉では200℃以下にすることが示されている。しかし、既設の焼却炉で多く用いられてきた電気集じん機は温度を余り下げることができない上、コロナ放電でダイオキシン類が生成することが判明しているため、ほとんどの新設炉ではバグフィルタ方式の集じん機が取り入れられているのが実状である。活性炭や活性コークスを用いてガス中のダイオキシン類を吸着し、ダイオキシン類の大気への放出を減少させる方法も試みられており、商品化されているものもある。 最近の技術としては、排ガス処理過程に酸化剤や酸化触媒を導入することによりダイオキシン類を酸化させたり、 H2S、NH3、トリエタノールアミンなどのフライアッシュの触媒活性を抑制する薬剤を排ガス処理過程で吹き込み処理することも試みられている。
【0009】
また、ダイオキシン類の問題と共に重金属問題を大きな環境問題となっている。ゴミの中に含まれるカラー印刷の紙やセロファン類からカドミウム(Cd)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、水銀(Hg)、砒素(As)、銅(Cu)など、プラスチック類からカドミウム、鉛、亜鉛(Zn)、クロム、水銀、砒素などが含まれておりこれらを焼却することによって重金属が濃縮された灰が得られる。
【0010】
焼却場ではこの灰をゴミのもえがらからなる主灰とバグフィルターなどで回収される飛灰に分けて回収する場合が多くなってきている。この主灰、飛灰ともに重金属が含まれているが飛灰では特に重金属が溶出し易くなっている。これは、焼却場では焼却時に発生する塩酸ガスを捕捉するために、排気経路途中で消石灰や生石灰を吹き込んでいる。これらは塩酸ガスと結合して塩化カルシウムとなるために、排ガス中の塩酸ガス濃度が低減できる。ところが、未反応の消石灰や生石灰が飛灰中に残存するために、飛灰はpH12以上の高アルカリ性となる。
【0011】
飛灰には鉛が高濃度に含まれており、この鉛は高アルカリ性では亜鉛酸塩として水溶性となる性質があるために灰を未処理で廃棄すると鉛が溶出することになる。そこで、焼却場では有害金属の溶出を防ぐ目的で飛灰をセメントと混合し、水を加えて混練した後、養生固化して廃棄したり、主灰と混ぜて埋め立てられたりしている。
【0012】
しかしながら、セメントはアルカリ性であるところから、このような飛灰に対してセメントを大量に加えると鉛の溶出は抑制されない。したがって、単にセメントで固化する従来の処理方法には種々の問題があり、用途を限定しなければ二次公害が発生する恐れがある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような都市ごみ焼却設備からのダイオキシン類の排出および発生した飛灰からの重金属の溶出を一つの薬剤にて簡便に防止する方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような問題を解決するために鋭意検討した結果、この目的を達成し得る処理剤および方法を得るに至った。すなわち、本発明の特徴は無機酸化物を含んでなる多孔物質、飽和水溶液のpHが11.5以下の酸性ガス中和剤および活性炭もしくは活性コークスを目的に合わせて配合することにより得られる粉体状の吹込処理剤である。
【0015】
さらに、この処理剤を焼却炉の煙道に吹き込んだ後、吸着剤により酸性ガスとダイオキシン類を排ガスから除去するとともに回収された煤塵を水練りすることにより、煤塵からの重金属を安定化させる方法である。
【0016】
すなわち、本発明は、BET法で測定した比表面積が100〜800m 2 /gの粉体状無機酸化物を含んでなる多孔性物質100重量部に対して、BET法で測定した細孔容積の細孔径分布を測定した場合の10nm以上の領域での単位細孔径当りの細孔容積の最大値が0.01cc/g以上の粉体状活性炭1重量部以上20重量部以下を含有してなる粉体状の焼却炉煙道吹込用飛灰処理剤(請求項1)、および本発明の飛灰処理剤を焼却炉煙道に吹き込んだ後に、集塵機を用いて排ガスから該処理剤を含有する煤塵を分離することを特徴とする排ガス処理方法(請求項11)に関する。
【0017】
本発明の重金属安定化メカニズムについて説明する。本発明の重金属の安定化メカニズムは、無機酸化物を含んでなる多孔物質が重金属を吸着安定化する事による。鉛、カドミウム、水銀等の低沸点金属は焼却炉中から蒸発し排ガスとともに排出される。蒸発した重金属の多くは排ガス中の飛灰を電気集じん機やバグフィルターで回収する際に飛灰表面に凝縮したり吸着されて捕集される。しかしながら、飛灰に吸着し、捕集されたこれらの重金属は、飛灰が水にさらされるとイオン化して水中に溶解するため、このままでは2次公害が発生する。本発明で用いる無機酸化物を含んでなる多孔物質は親水性を有する物質であるため、イオン化した重金属を効果的に吸着する。さらに、両性金属である鉛は、pH12以上の高アルカリ領域では水に溶解するが、pHを11.5以下に低下させると溶解度は激減する。通常では酸性ガス中和剤としては粉体状の消石灰を使用するが、消石灰はpH12以上の強アルカリであるため、鉛などの重金属が多量に溶出する。そこで、本発明では飽和溶液のpHが11.5以下の酸性ガス中和剤を使用することにより、鉛の溶出量を低下させ、さらに無機酸化物を含んでなる多孔物質で重金属を完全に吸着安定化する。
【0018】
本発明の処理剤のダイオキシン類の除去メカニズムついて説明する。前述のように、焼却設備でのダイオキシン類の発生は未燃有機物と塩素ガスもしくは塩酸ガスと反応し生成する有機塩素化物である。これらのダイオキシン類は非常に疎水性の強い物質であり、炭素や活性炭等の疎水性の物質に吸着されることが知られている。また、無機酸化物を含んでなる多孔物質はダイオキシン類の吸着性能は活性炭には劣るが、活性炭と比較して低価格であり、多量に使用することが出来るので、活性炭と併用することにより、ダイオキシン類の排出濃度をより低減することができる。
【0019】
本発明で言う比表面積および細孔容積について以下説明する。本発明で言う比表面積は窒素置換方式のBET法で測定した値である.BET法は活性炭、触媒、触媒単体、ゼオライトなどの多孔物質の比表面積を測定する方法として、一般的に使用される方法である。この方法では、物質表面に窒素などの気体分子を吸着させた後、サンプルを昇温して吸着した気体分子の脱離量から比表面積が測定される。吸着させる気体分子の種類は窒素・アルゴン等が使われる。BET法では、サンプルの前処理によって測定値が左右されるので、本発明では、オーブン中で200℃で3時間以上乾燥させたサンプルを使用する。このようにして、サンプルを十分乾燥させれば細孔中の水分等の吸着分子が離脱し、正確な表面積や細孔容積を測定することができる。また本発明では窒素ガスを用いる置換法での測定値である。気体分子は、吸着した細孔径の大きさにより、脱離温度や離脱圧力が異なる。したがって、BET法では測定系内の温度や圧力等を徐々に変化させることにより、各細孔領域に相当する比表面積および細孔容積の分布を測定することが出来る。このような比表面積および細孔容積の細孔径分布のデータは、ダイオキシン類のような大きな分子量の物質を吸着性能を判定する上で、重要な情報である。
【0020】
本発明に用いる無機酸化物を含んでなる多孔物質について説明する。本発明で用いる無機酸化物を含んでなる多孔物質は活性炭以外の珪酸・珪酸アルミ・珪酸マグネシウムのような親水性の物質である。また、ダイオキシン類や重金属を吸着する能力は無機酸化物を含んでなる多孔物質の比表面積に依存し、比表面積が大きいほどダイオキシン類や重金属の吸着能力は向上する。通常、比表面積が50m2/g以上である無機酸化物を含んでなる多孔物質が効果的にダイオキシン類や重金属を吸着するために使用されるが、本発明では比表面積が100m2/g以上のものが好ましく使用される。ただし、比表面積が余り大きすぎると、平均細孔径が小さくなりすぎてしまい、水練りした場合に細孔内が水分子で埋まってしまうため、重金属類が内部まで拡散できなくなる。したがって、無機酸化物を含んでなる多孔物質の比表面積には最適な上限があり、800m2/g以下であることが望ましい。
【0021】
本発明で用いる無機酸化物を含んでなる多孔物質は、合成物でも天然物でもどちらでも良い。合成物質としては、合成珪酸、合成珪酸アルミニウム、合成珪酸マグネシウム、合成水酸化アルミニウム、合成ゼオライトなどがある。天然物質としては活性白土、酸性白土、アロフェン、ベントナイト、珪藻土、天然ゼオライト、活性白土等があり、これらの物質を酸処理することにより、アルミニウム、マグネシウムなどの不純物を除去し、比表面積を更に高めた物質などが好ましく用いられる。
【0022】
本発明の酸性ガス中和剤について説明する。通常の場合、焼却炉では酸性ガスを中和するために多量の粉体状の消石灰を煙道に吹き込んでいる。しかしながら、消石灰の飽和溶液はpH12以上の高いアルカリ性であるため、 未反応の消石灰が煤塵中に残存していると、煤塵を水に分散した場合に、pH12以上のアルカリ性になる。この様な高アルカリ領域では、鉛等の両性金属類が溶解するため、煤塵からの鉛溶出量が増大する。したがって、重金属の溶出を防止するためには、煤塵のpHを消石灰のpHより低下させることが望ましい。そこで本発明では、飽和溶液のpHが11.5以下の粉体の酸性ガス中和剤を使用することにより、煤塵のpHを低下させる。この様な酸性ガス中和剤を使用することにより、消石灰に混合して使用する場合でも、消石灰を別途添加する場合にも、消石灰の使用量を減らすことが出来、煤塵のpHを減少させることが可能となる。
【0023】
この様な、酸性ガス中和剤としては、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが望ましい。なお、水酸化アルミニウムのうち非晶質のものが表面の反応性が高いため好ましく使用される。さらに、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムの比表面積は、大きいほど酸性ガスとの反応性が高いため、BET法で測定した比表面積が15m2/g以上であることが望ましく。30m2/g以上であることが更に望ましい。
【0024】
本発明に用いる活性炭および活性コークスについて説明する。本発明によれば、炭素系の吸着剤を用いてダイオキシン類のような有害有機物が吸着除去される。本発明で用いる炭素系の吸着剤としては活性炭および活性コークスが用いられる。特に活性炭が吸着能力が高く望ましい。活性炭には、原料の起源により、石炭系、ヤシ殻系、木質系などに分類される。また、活性炭の賦活方法には、水蒸気賦活と薬剤賦活がある。本発明で用いる活性炭は、原料・賦活方法ともに何れの種類のものを用いても良い。ただし、一般に石炭系のものが発火温度が高く、煙道に吹き込む場合に、安全性が確保されるので、石炭系のものが望ましい。活性コークスは、コークスを原料とした炭素系の吸着剤であり、活性炭と違い、賦活をしないか弱めの賦活をしたものである。一般に活性コークスは、活性炭と比較すると吸着能力に劣るものであるが、安価であり、経済性を考慮すると活性炭と同様に使用することが可能である。活性炭や活性コークス等の炭素系吸着剤の粒度に関しては、本発明の薬剤を煙道に吹き込むことや他の粉体との混合性を考慮すると、100μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましい。また、ダイオキシン類のような分子量の大きな物質を吸着するためには、細孔容積が大きな活性炭や活性コークスのような炭素系吸着剤の方が好ましい。特に、細孔径が10nm以上の領域にある細孔がダイオキシン類の吸着に有効な細孔である。図2に活性炭の細孔容積の分布をBET法で測定した例をしめす。一般に細孔容積分布には幾つかのピークが見られる。したがって、本発明によれば、細孔容積の細孔径分布を測定した場合の10nm以上の領域での単位細孔径当りの細孔容積の最大値が0.01cc/g以上であることが望ましい。例えば、 図2No.2〜4に示す様な活性炭や活性コークス等の炭素系吸着剤を使用することが望ましい。
【0025】
本発明の酸性ガス中和剤の配合量について説明する。本発明で使用する酸性ガス中和剤を増量することにより、煤塵のpHは低下しやすくなるので中和の観点からは、酸性ガス中和剤を多量に配合することが望ましい。しかしながら、重金属類を吸着安定化させる無機吸着剤が不足すると、重金属の安定化をpH調節のみに依存することになり、重金属安定化能力が不安定になる。
【0026】
即ち、pHは非常に微妙な違いにより、急激に鉛溶出量が10〜100倍程度に変化する場合があるため、不安定になるのである。したがって、本発明の酸性ガス中和剤の配合量は、無機酸化物を含んでなる多孔物質100重量部に対して10重量部以上500重量部以下であることが望ましく、20重量部以上300重量部以下であることが更に望ましい。
【0027】
本発明の活性炭の配合量について説明する。本発明で使用する活性炭を増量することによりダイオキシン類等の有機物系の汚染物質を除去する能力は増大する。しかし、混入量が多すぎると粉塵爆発の原因にもなる可能性がある。また、過剰に配合すると薬剤全体の吹き込み量が増大するため、コスト的にも不利となる。したがって、活性炭の配合量は、無機酸化物を含んでなる多孔物質100重量部に対して1重量部以上20重量部以下であることが望ましい。
【0028】
本発明の処理剤の作製方法について説明する。本発明の薬剤を作製する際には、単に原料の粉体を物理的に混合するだけでよい。混合は乾式で行われることが望ましく、原料中の含水量も少なくなるように注意する。混合前に乾燥することが望ましい。また、塊状若しくは粗粒状の原料物質を所定比に混合してから、粉砕を行っても良く、生産コストを下げるためにこのような方法を利用することが出来る。さらに、混合時に、セメントやキレート剤、燐酸塩類などの別の重金属処理剤もしくはダイオキシン類の処理剤を混合しても良い。
【0029】
本発明の処理剤の使用方法について以下に述べる。本発明の処理剤の使用方法の最も一般的な方法は、焼却炉の排ガス処理工程の煙道中に粉体状態の本処理剤を吹き込む方法である。例えば、図1の処理剤サイロA内に本処理剤を充填し、粉体供給機と空気輸送機を用いて、煙道内に吹き込む。吹き込む際に、消石灰等の酸性ガス除去剤や他の重金属安定化剤と同時に吹き込んだり、混合して吹きこむと更に効果的である。その場合には、図1示す処理剤サイロBから別途吹き込めばよい。また、本処理剤を粉体状態のままもしくは成型して容器に詰め込み、これをフィルターとして排ガス処理工程に配置することもできる。
【0030】
さらに、本発明の処理剤を煙道に吹き込んだ後に回収される飛灰は、本発明の処理剤が重金属の安定化能力も有しているため、適量の処理剤が吹き込まれていれば、そのままでも重金属の溶出は防止される。
【0031】
次に、上記のようにして処理された飛灰を回収する方法について説明する。図1に示されるように、本発明の吹込剤を焼却炉煙道に吹き込んだ後、集塵機を用いて排ガスから該吹込剤を含有する煤塵を分離し、次いで、回収した煤塵に水を加え混練して固化する。この際、必要に応じて、回収した煤塵に重金属安定化処理剤を添加し、水を加えて練り込むことにより、煤塵中の重金属類を安定化する事もできる。 重金属安定化処理剤はキレート系薬剤、燐酸塩、珪酸ソーダ、珪酸カリウム、無機吸着剤、セメント類、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどから選択される。
【0032】
以下に本発明に関わる実施例を示すが、これは本発明の内容を限定するものではない。
実施例1
酸性白土を、硫酸を用いて、含有されるAlやMg等の不純物除去し、水洗して得られた比表面積230m2/g無機酸化物を含んでなる多孔物質(SiO2含有量が90重量%以上)と100μmふるい通過が96%であり、細孔径分布が図2のNo.3に相当する粉体状の活性炭、および酸化マグネシウムを混合した物質を処理剤とした。表1に処理剤の配合を記載する。
【0033】
ストーカー式、塩酸処理方式が乾式、集じん方式がバグフィルター方式、ガス排出量が30000Nm3/hr、通常の消石灰吹き込み量が25kg/hrで、煤塵の排出量が50kg/hrである都市ごみ焼却炉にて実験を行った。排ガス処理工程に酸性ガスの除去剤として消石灰を吹き込む形式の焼却炉(乾式処理)に、本処理剤を吹き込んだ。吹き込み量は、10kg/hrとした。消石灰の吹き込み量を20kg/hrに減少させた。
【0034】
バグフィルター出口のダイオキシン類の排出濃度とバグフィルターで捕集された煤塵からの重金属(Pb、Cd、Cr6+ )の溶出量を測定した結果(「環境庁告示第13号」による)を表2に示す。消石灰のみを25kg/hrで煙道に吹き込んだ場合の結果も同時に示す。表2から明らかなように、本処理剤を用いることによりバグフィルター出口のダイオキシンの排出濃度は大きく低下していることがわかる。また、回収された煤塵からの重金属の溶出も規制値以下に押さえられていることがわかる。
【0035】
【表1】
Figure 0004029439
【0036】
【表2】
Figure 0004029439
【0037】
【発明の効果】
本発明の廃棄物処理剤を用いて産業廃棄物や都市ゴミの焼却炉から排ガスとして排出される酸性ガスおよびダイオキシン類等の有害有機物を減少させることができるとともに、回収された飛灰からの重金属の溶出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼却場の排ガス処理工程の概要である。
【図2】本発明で使用される活性炭又は活性コークスの細孔径分布を示す図である。

Claims (14)

  1. BET法で測定した比表面積が100〜800m2/gの粉体状無機酸化物を含んでなる多孔性物質100重量部に対して、BET法で測定した細孔容積の細孔径分布を測定した場合の10nm以上の領域での単位細孔径当りの細孔容積の最大値が0.01cc/g以上の粉体状活性炭1重量部以上20重量部以下を含有してなる粉体状の焼却炉煙道吹込用飛灰処理剤。
  2. 無機酸化物を含んでなる多孔性物質100重量部に対して、飽和水溶液のpH値が11.5以下の粉体状酸性ガス中和剤20〜300重量部を更に含有してなる請求項1記載の飛灰処理剤。
  3. 無機酸化物を含んでなる多孔性物質が、珪酸、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の粉体状の物質を含有する請求項1記載の飛灰処理剤。
  4. 無機酸化物を含んでなる多孔性物質が、合成珪酸、合成珪酸アルミニウム、合成珪酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の粉体状の物質を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の飛灰処理剤。
  5. 無機酸化物を含んでなる多孔性物質が、酸性白土、活性白土、カオリン、ベントナイト、アロフェン、珪藻土等の粘土鉱物およびこれらの粘土鉱物を酸で処理し、アルミニウム、マグネシウムなどの不純物を除去した物質からなる群から選択される少なくとも1種の粉体状の物質を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の飛灰処理剤。
  6. 酸性ガス中和剤が、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよび非晶質水酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項2〜5のいずれかに記載の飛灰処理剤。
  7. 水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよび非晶質水酸化アルミニウムのBET法で測定した比表面積が、15m2/g以上の粉体状の物質である請求項6に記載の飛灰処理剤。
  8. 水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよび非晶質水酸化アルミニウムが、BET法で測定した比表面積が30m2/g以上の粉体状の物質である請求項7に記載の飛灰処理剤。
  9. 活性炭が、粒径100μm以下の粉体である請求項1〜8のいずれかに記載の飛灰処理剤。
  10. 活性炭が石炭を原料とする活性炭である請求項1〜9のいずれかに記載の飛灰処理剤。
  11. 請求項1〜10に記載のいずれかの飛灰処理剤を焼却炉煙道に吹き込んだ後に、集塵機を用いて排ガスから該処理剤を含有する煤塵を分離することを特徴とする排ガス処理方法。
  12. 請求項1〜10に記載のいずれかの飛灰処理剤を焼却炉煙道に吹き込んだ後、集機により焼却炉排ガスから該処理剤を含有する煤塵を分離し、回収した煤塵に水を加え混練し、固化する事を特徴とする排ガス処理方法。
  13. 請求項1〜10に記載のいずれかの飛灰処理剤を焼却炉煙道に吹き込んだ後、集機により焼却炉排ガスから該処理剤を含有する煤塵を分離し、回収した煤塵に重金属安定化処理剤を添加し、水を加えて練り込むことにより、煤塵中の重金属類を安定化する事を特徴とする排ガス処理方法。
  14. 重金属安定化処理剤がキレート系薬剤、燐酸塩、珪酸ソーダ、珪酸カリウム、無機吸着剤、セメント類、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項13に記載の排ガス処理方法。
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