JPH09122616A

JPH09122616A - 有害廃棄物処理剤および処理方法

Info

Publication number: JPH09122616A
Application number: JP7288252A
Authority: JP
Inventors: Masakazu Kamikita; 正和上北; Masato Kusakabe; 正人日下部; Takuji Nomura; 卓司野村; Takashi Funahashi; 孝舟橋
Original assignee: Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Current assignee: Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date: 1995-11-07
Filing date: 1995-11-07
Publication date: 1997-05-13

Abstract

(57)【要約】【課題】有害な重金属などを含有する廃棄物、特に、
焼却炉から排出されるアルカリ性の飛灰に含まれる有害
な重金属などが再溶出しないように安定化することが可
能な廃棄物処理剤および処理方法を提供すること。【解決手段】分子内にヒドロキシル基、カルボキシル
基、およびニトロソ基の内から選択される１種または２
種以上の官能基を合計２個以上有する化合物と、セメン
ト類、中和剤、無機吸着剤、キレート剤、水ガラス、リ
ン酸塩、その他、Ｐｂなどの有害金属化合物と反応し難
溶性あるいは不溶性の化合物を生成する化合物の内から
選択される１種以上を主たる構成成分とする有害廃棄物
処理剤を、有害物質を含有する廃棄物１００重量部に対
し、粉体状、溶液状、または、懸濁液状で３〜５０重量
部混合し、必要に応じて水を添加したものを混練し、養
生固化させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、有害な重金属など
を含有する廃棄物を安定化処理するのに有効な、廃棄物
処理剤に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】現在、日本では約４８００万トン（１９
８８年）の一般廃棄物と約３．１億トン（１９８５年）
の産業廃棄物が排出されている。これがさらに西暦２０
００年には、一般廃棄物は約８０００万トンに、産業廃
棄物は約６億トンに達すると予測されている。そのうち
一般廃棄物の約７割が焼却処理され、約２割が直接処分
されている。また、産業廃棄物は約４割が再生利用さ
れ、約３割が焼却などによって減容化されて処分され、
約３割が直接最終処分場で廃棄されている。これらの焼
却された一般廃棄物や産業廃棄物は、有害な重金属が大
量に含まれているために処分に関する規制が大幅に強化
される方向にある。

【０００３】例えば、都市ゴミ処理場の場合、ゴミの中
に含まれるカラー印刷の紙やセロファン類にはカドミウ
ム（Ｃｄ）、鉛（Ｐｂ）、クロム（Ｃｒ）、水銀（Ｈ
ｇ）、砒素（Ａｓ）、銅（Ｃｕ）など、プラスチック類
にはカドミウム、鉛、亜鉛（Ｚｎ）、クロム、水銀、砒
素などが含まれており、これらを焼却することによって
重金属が濃縮された灰が得られる。焼却場では、この灰
を、ゴミのもえがらからなる主灰と、バグフィルターな
どで回収される飛灰に分けて回収する場合が多くなって
きている。この主灰、飛灰ともに重金属が含まれている
が、飛灰では特に重金属が溶出しやすくなっている。こ
れは、焼却場では、焼却時に発生する塩化水素ガスを捕
捉するために、排気経路途中で消石灰や生石灰を吹き込
んでいる。これらは塩化水素ガスと結合して塩化カルシ
ウムとなるために、排ガス中の塩化水素ガス濃度を低減
できる。ところが、未反応の消石灰や生石灰が飛灰中に
残存するために、飛灰はｐＨ１２以上の高アルカリ性と
なる。飛灰には鉛が高濃度に含まれており、この鉛は高
アルカリ性では鉛塩酸として水溶性となる性質があるた
めに、灰を未処理で廃棄すると鉛が溶出することにな
る。そこで、焼却場では、有害金属の溶出を防ぐ目的
で、飛灰をセメントと混合し、水を加えて混練した後、
養生固化して廃棄したり、主灰と混ぜて埋め立てたりし
ている。しかしながら、セメントはアルカリ性であると
ころから、このような飛灰に対してセメントを大量に加
えると、鉛の溶出は抑制されない。このように、単にセ
メントで固化する従来の処理方法には種々の問題があ
り、用途を限定しなければ二次公害が発生する恐れがあ
る。

【０００４】また、飛灰処理にキレート化剤が試験的に
使用されているが、とくにアルカリ性が高く、鉛含有量
の多い飛灰に対しては、飛灰の重量に対して６％以上も
加えないと規制値以下に抑制されないものもある。一般
に、この様なキレート化剤は、単価がセメントの５０倍
から８０倍と高価であるため、ランニングコストの面で
大きな負担になると考えられる。

【０００５】以上のように、セメントやキレート化剤を
用いた従来の重金属の安定化処理は困難な場合があるこ
とが分かってきた。加えて、国内の陸上埋立処分地の不
足も問題になりはじめており、少量の処理剤の添加で、
ダスト中の有害な重金属が再溶出しないよう強力に安定
化することが可能な処理剤および処理方法が望まれてい
た。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
有害な重金属などを含有する廃棄物を、安定化処理する
のに有効な廃棄物処理剤および処理方法を提供すること
である。特に、本発明は、上記のごとく焼却炉から排出
されるアルカリ性の飛灰に含まれる有害な重金属などが
再溶出しないように安定化することが可能な廃棄物処理
剤および処理方法を提供することを目的とするものであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な問題を解決するために鋭意検討した結果、この目的を
達成しうる廃棄物処理剤を見出すに至った。すなわち、
本発明の処理剤は、分子内にヒドロキシル基、カルボキ
シル基、およびニトロソ基の内から選択される１種また
は２種以上の官能基を合計２個以上有する化合物と、セ
メント類、中和剤、無機吸着剤、キレート剤、水ガラ
ス、リン酸塩など、Ｐｂなどの有害金属化合物と反応し
難溶性あるいは不溶性の化合物を生成する化合物の内か
ら選択される１種以上を主成分とすることを特徴とする
ものであり、この中でも、特に、前記官能基を２個以上
有する化合物と無機吸着剤とを主成分とするものが好ま
しい。この処理剤は、特に焼却炉から排出される高アル
カリ性飛灰に含まれる有害重金属の安定化に有効であ
る。

【０００８】本発明の有害廃棄物処理剤による有害重金
属の安定化の機構は、分子内に２個以上存在する上記官
能基によるキレート錯体の生成と、他の成分であるセメ
ント類、中和剤、無機吸着剤、キレート剤、水ガラス、
リン酸塩などが、廃棄物中の有害金属化合物と反応して
難溶性あるいは不溶性の化合物を生成することによるも
のであると考えられる。

【０００９】

【発明の実施の態様】本発明で使用する、分子内にヒド
ロキシル基、カルボキシル基、およびニトロソ基から選
択される１種または２種以上の官能基を合計２個以上有
する化合物としては特に制限はなく、各種のものを用い
ることができる。このような化合物を例示するならば、
ヒドロキシル基を２個以上含む化合物である、エチレン
グリコール、１，２−プロピレングリコール、１，３−
プロピレングリコール、１，４−ブタンジオール、２，
３−ブタンジオール、１，２−シクロペンタンジオー
ル、１，２−シクロヘキサンジオール、１，３−シクロ
ヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール、マンニ
トール、グルコース、フルクトース、カテコール、１，
３−ジヒドロキシベンゼン、ピロガロール、１，２，４
−トリヒドロキシベンゼン、１，３，５−トリヒドロキ
シベンゼン、１，２，３，４−テトラヒドロキシベンゼ
ン、１，２，４，５−テトラヒドロキシベンゼン、１，
２，３，５−テトラヒドロキシベンゼン、ペンタヒドロ
キシベンゼン、ヘキサヒドロキシベンゼン、１，２−ジ
ヒドロキシナフタレン、１，３−ジヒドロキシナフタレ
ン、１，８−ジヒドロキシナフタレン、１，４，５，８
−テトラヒドロキシナフタレン、カルボキシル基を２個
以上含む化合物である、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、
グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、ｃｉｓ−アコニ
チン酸、ｔｒａｎｓ−アコニチン酸、１，２，３，４−
ブタンテトラカルボン酸、テトラヒドロフラン−２，
３，４，５−テトラカルボン酸、シクロヘキサンヘキサ
カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、１，２，３−ト
リメリット酸、１，２，４−トリメリット酸、１，２，
３，４−ピロメリット酸、１，２，４，５−ピロメリッ
ト酸、ベンゼンペンタカルボン酸、ベンゼンヘキサカル
ボン酸、ジフェン酸、１，８−ナフタレンジカルボン
酸、１，４，５，８−ナフタレンテトラカルボン酸、ま
た、ヒドロキシル基とカルボキシル基との両方を含む化
合物である、サリチル酸、ジヒドロキシマロン酸、リン
ゴ酸、酒石酸、クエン酸、３−ヒドロキシフタル酸、４
−ヒドロキシフタル酸、没食子酸、タンニン酸、エラー
ジ酸、デヒドロジ没食子酸、フラボガロン酸、バロネア
酸、サングイソルビン酸、テルガリン酸、ガラジン酸、
デヒドロヘキサヒドロキシジフェン酸、チェブリン酸、
トリロン酸、キニン酸、シキミ酸、粘液酸、ガラクツロ
ン酸、グルコン酸、ロジゾン酸、アスコルビン酸、さら
には、ヒドロキシル基とニトロソ基を含む化合物であ
る、２−ニトロソフェノール、２個のニトロソ基を含む
化合物である、１−ニトロソ−２−ナフトール、２−ニ
トロソ−１−ナフトール、などである。

【００１０】このような化合物の中でも、官能基の合計
が多いものほど重金属の安定化能が高くなる傾向があ
る。特に、重金属に対して選択性が高いという理由か
ら、ピロガロール、没食子酸、タンニン酸、シキミ酸、
酒石酸、粘液酸、アスコルビン酸、２−ニトロソフェノ
ール、１−ニトロソ−２−ナフトール、２−ニトロソ−
１−ナフトールが好ましい。さらに、重金属安定化能が
極めて良好であり、かつ安価に入手できることから、没
食子酸またはタンニン酸が特に好ましい。没食子酸やタ
ンニン酸は高分子量化したものも好適に用いることがで
きる。このような重合体は、没食子酸あるいはタンニン
酸を鉱酸触媒の存在下、ホルムアルデヒドなどのアルデ
ヒド類と縮合させることにより得ることができる。

【００１１】この他に、分子内にヒドロキシル基、カル
ボキシル基、およびニトロソ基の内から選択される１種
または２種以上の官能基を合計２個以上有する化合物と
しては、各種有機重合体を用いることもできる。このよ
うな重合体としては特に制限はなく、各種のものを用い
ることができる。このような重合体を例示するならば、
ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリ
ル酸、マレイン酸とオレフィンの共重合体、マレイン酸
とメチルビニルエーテルの共重合体、フェノール樹脂、
セルロース、アルギン酸、フミン酸、フルボ酸などが挙
げられる。これらの中でもアルギン酸、フミン酸、フル
ボ酸が特に好ましい。

【００１２】また、本発明で用いられるセメント類とし
ては、焼き石膏、ポルトランドセメント、早強セメン
ト、ジェットセメント、高炉セメント、アルミナセメン
トなどが例示できる。

【００１３】本発明で用いられる中和剤としては、塩
酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、炭酸、ほう酸などの汎用の
酸、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩、非結晶質水酸化ア
ルミニウム、塩化鉄、リン酸などが例示できるが、価
格、工業的入手の容易性、実使用の容易さから、塩酸
塩、硫酸塩、水酸化アルミニウム、塩化鉄が好ましく、
さらに、飛灰中のＰｂ化合物と反応し不溶性の化合物を
形成しうるリン酸が特に好ましい。本発明では、これら
中和剤は、水溶液として使用することも、粉末として使
用することも、さらには水分散状態で使用することもで
きる。

【００１４】本発明で用いられる無機吸着剤としては、
各種活性白土、合成ケイ酸、天然ケイ酸加工物、活性炭
などが例示できるが、比表面積２００ｍ²／ｇ以上の粉
体状アルミニウムシリケート、粉体状二酸化ケイ素が好
ましい。さらには工業的入手の容易性から２００〜１０
００ｍ²／ｇのものが好ましい。なお、比表面積が２０
０ｍ²／ｇ以上の無機吸着剤は、嵩高くハンドリング困
難なものが多く、事前に造粒などの加工を行うことも好
適である。

【００１５】本発明で用いられるキレート剤としては、
−ＯＨ、−ＣＳＳＨ、−ＳＨ、＝ＮＨ、−ＣＯＯＨ、−
ＮＨ₂など、有害金属に対するキレート配位子を構造中
に有する化合物、およびそれらの塩などが例示できる
が、特にＰｂ溶出防止性能の点でジメチルジチオカルバ
ミン酸塩、ジエチルジチオカルバミン酸塩、ジブチルジ
チオカルバミン酸塩のようなジアルキルジチオカルバミ
ン酸塩が好ましい。

【００１６】本発明で用いられる水ガラスとしては、汎
用の水溶性ケイ酸塩、すなわちケイ酸ソーダ、ケイ酸カ
リウムなどが例示でき、モル比（ＳｉＯ₂／Ｍ₂Ｏ組成
比：但し、Ｍはアルカリ金属）は、市販の０．５〜４．
２の範囲で任意に選択することができる。この中でＰｂ
溶出防止性能、価格などを考慮するとケイ酸ソーダであ
ることが好ましく、さらにはモル比が約３のＪＩＳ規格
３号水ガラスを用いることが好ましい。また、水ガラス
に炭酸ナトリウムなど、カルシウムイオンと反応して不
溶性あるいは難溶性のカルシウム化合物を生成する化合
物、さらには硫酸など、水ガラスと反応してゲル化する
化合物を適量添加することもＰｂ溶出防止性能を向上さ
せる目的で有効である。

【００１７】本発明で用いられるリン酸塩としては、正
リン酸塩、正リン酸水素塩、および縮合リン酸塩、縮合
リン酸水素塩などが例示でき、さらに塩の種類としては
ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウ
ム塩などが例示できるが、水溶性塩であることが好まし
く、水溶性のリン酸ソーダが好ましい。

【００１８】本発明で用いられる、Ｐｂなどの有害金属
化合物と反応し難溶性あるいは不溶性の化合物を生成す
るその他の化合物としては、硫化ソーダなどの硫化物、
および炭酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、クロム酸塩などが
例示できる。

【００１９】以上のように、本発明に係る有害廃棄物処
理剤は、分子内にヒドロキシル基、カルボキシル基、お
よびニトロソ基の内から選択される１種または２種以上
の官能基を合計２個以上有する化合物と、セメント類、
中和剤、無機吸着剤、キレート剤、水ガラス、リン酸塩
など、Ｐｂなどの有害金属化合物と反応し難溶性あるい
不溶性の化合物を生成する化合物の内から選択される１
種以上を主たる構成成分とするものであるが、不可避的
不純物の他、有害金属イオン還元剤などの各種添加剤を
含むこともできる。

【００２０】次に、本発明の処理剤による廃棄物の処理
方法を説明する。本発明に係る廃棄物処理方法は、上記
の処理剤を廃棄物に添加し、必要に応じて水を添加した
ものを混練し、養生固化させることからなる。本発明の
好ましい実施態様としては、ホッパーに集められた廃棄
物を、別のホッパーからの前記廃棄物処理剤とを混合
し、必要に応じてこれに水を加え賦型装置内で十分に練
り合わせて押し出す。このときの廃棄物に対する処理剤
の添加量は、廃棄物に含まれる有害金属の量や、処理物
からの有害金属の溶出規制量などによって異なるが、通
常の場合であれば、廃棄物１００重量部に対して処理剤
が３〜５０重量部でよい。一般に、従来のセメントによ
る処理方法では廃棄物１００重量部に対して１０〜３０
重量部のセメントを加えて混練を行うが、本発明の処理
剤を用いる場合には、セメントを同量加えた場合よりも
優れた性能が得られる。そのために、例えば、セメント
と同等の重金属安定化能を希望する場合には、セメント
のみの場合よりも少量の添加でよく、固化物の減容化が
期待できる。また、従来のセメントでは重金属の安定化
が不十分な場合には、セメントと同量の処理剤を加える
ことでセメントのみの場合よりも強力な重金属安定化効
果が期待できる。なお、本発明の処理剤は、廃棄物に対
して粉体状で添加し、必要に応じて水を加えても良い
し、予め水溶液あるいは懸濁液状にして添加しても良
い。

【００２１】

【発明の効果】本発明の廃棄物処理剤を用いて有害重金
属を含有する産業廃棄物や都市ゴミの焼却炉から排出さ
れるＥＰ灰やバグ灰（特に、消石灰や生石灰を吹き込ん
だＥＰ灰やバグ灰）を処理することで、有害重金属、特
にＰｂが効率よく安定化され、溶出量が減少する。有害
重金属では鉛、カドミウム、水銀、クロム、銅、ニッケ
ル、亜鉛などを安定化できる。従って、本発明の廃棄物
処理剤を用いることにより、有害な重金属を含有する産
業廃棄物、半導体工場やメッキ工場から排出される高濃
度の銅、水銀などを含む産業廃棄物、スラリー状スラッ
ジや脱水ケーキスラッジ、あるいは製鋼所での電気炉溶
融窯などの作業場での作業環境保全用の有害集塵ダス
ト、都市ゴミ溶融炉からでる飛灰、あるいは埋立投棄処
分などによる汚染土壌などを安定化処理する事が出来、
この際、有害重金属が安定化され、溶出量が抑えられ
る。

【００２２】

【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的
に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。

【００２３】実施例１〜７都市ゴミ焼却工場から排出された、鉛を大量に含有する
飛灰Ａ（３０ｇ）に対して、表１に示した処理剤、およ
び水（１８ｇ）を添加して混練を行い、２０℃で１日養
生固化させた。その後、環境庁告示第１３号法に従い、
鉛の溶出試験を行い、溶出液中の鉛濃度を原子吸光にて
定量した。結果を表１に示した。なお、処理剤を加え
ず、飛灰Ａに水を加えて同様に混練を行い、上記と同様
にして溶出試験を行った場合のＰｂ溶出量は３２ｍｇ／
ｌであった。なお、二酸化ケイ素は塩野義製薬（株）製
合成ケイ酸（比表面積約３６０ｍ²／ｇ）を、また、ア
ルミニウムシリケートは和光純薬製（比表面積約５００
ｍ²／ｇ）を使用した。

【００２４】比較例１〜２処理剤としてセメントを使用して飛灰Ａを処理し、上記
実施例と同様に鉛の溶出試験を行い、結果を表１に併記
した。

【００２５】

【表１】

【００２６】実施例８〜１５都市ゴミ焼却工場から排出された、鉛を大量に含有する
飛灰Ｂ（３０ｇ）に対して、表２に示した処理剤、およ
び水（１８ｇ）を添加して混練を行い、２０℃で１日養
生固化させた。その後、環境庁告示法第１３号法に従
い、鉛の溶出試験を行い、溶出液中の鉛濃度を原子吸光
にて定量した。結果を表２に示した。なお、処理剤を加
えず、飛灰に水を加えて同様に混練を行い、上記と同様
に鉛の溶出試験を行った場合の溶出量は３６ｍｇ／ｌで
あった。

【００２７】比較例３処理剤としてセメントを使用して飛灰Ｂを処理し、上記
実施例と同様に鉛の溶出試験を行った結果を表２に併記
した。

【００２８】

【表２】

【００２９】表１、表２より明らかなように、本発明の
処理剤を用いると、セメント処理の場合に比較して鉛の
溶出量が大幅に改善された。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者舟橋孝大阪府摂津市鳥飼西５丁目１番１号鐘淵化学工業株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】分子内にヒドロキシル基、カルボキシル
基、およびニトロソ基の内から選択される１種または２
種以上の官能基を合計２個以上有する化合物と、セメン
ト類、中和剤、無機吸着剤、キレート剤、水ガラス、リ
ン酸塩、その他、Ｐｂなどの有害金属化合物と反応し難
溶性あるいは不溶性の化合物を生成する化合物の内から
選択される１種以上を主たる構成成分とする有害廃棄物
処理剤。
【請求項２】分子内にヒドロキシル基、カルボキシル
基、およびニトロソ基の内から選択される１種または２
種以上の官能基を合計２個以上有する化合物と無機吸着
剤を主たる構成成分とする有害廃棄物処理剤。
【請求項３】分子内にヒドロキシル基、カルボキシル
基、およびニトロソ基の内から選択される１種または２
種以上の官能基を合計２個以上有する化合物が、ピロガ
ロール、没食子酸、タンニン酸、シキミ酸、酒石酸、粘
液酸、アスコルビン酸、２−ニトロソフェノール、１−
ニトロソ−２−ナフトール、および２−ニトロソ−１−
ナフトールからなる群より選ばれる少なくとも１種であ
る請求項１または請求項２記載の有害廃棄物処理剤。
【請求項４】分子内にヒドロキシル基、カルボキシル
基、およびニトロソ基の内から選択される１種または２
種以上の官能基を合計２個以上有する化合物が、没食子
酸、またはタンニン酸である請求項１または請求項２記
載の有害廃棄物処理剤。
【請求項５】分子内にヒドロキシル基、カルボキシル
基、およびニトロソ基の内から選択される１種または２
種以上の官能基を合計２個以上有する化合物が、没食子
酸またはタンニン酸をホルムアルデヒドと縮合させるこ
とにより得られる重合体である請求項１または請求項２
記載の有害廃棄物処理剤。
【請求項６】分子内にヒドロキシル基、カルボキシル
基、およびニトロソ基の内から選択される１種または２
種以上の官能基を合計２個以上有する化合物が、アルギ
ン酸、フルボ酸、フミン酸からなる群より選ばれる少な
くとも１種である請求項１または請求項２記載の有害廃
棄物処理剤。
【請求項７】上記無機吸着剤が、比表面積２００ｍ²
／ｇ以上の粉体状アルミニウムシリケートもしくは粉体
状二酸化ケイ素の少なくとも一方を主たる構成成分とす
るとする請求項１または請求項２記載の有害廃棄物処理
剤。
【請求項８】上記中和剤が、硫酸塩、水酸化アルミニ
ウム、塩化鉄、リン酸の内から選択される１種以上を主
たる構成成分とする請求項１記載の有害廃棄物処理剤。
【請求項９】上記キレート剤が、ジメチルジチオカル
バミン酸塩、ジエチルジチオカルバミン酸塩、ジブチル
ジチオカルバミン酸塩などのジアルキルジチオカルバミ
ン酸塩の内から選択される１種以上を主たる構成成分と
する請求項１記載の有害廃棄物処理剤。
【請求項１０】上記水ガラスが、ケイ酸ソーダである
請求項１記載の有害廃棄物処理剤。
【請求項１１】上記リン酸塩が、水溶性リン酸ソーダ
である請求項１記載の有害廃棄物処理剤。
【請求項１２】鉛、カドミウム、水銀、クロム、銅、
ニッケル、亜鉛からなる群より選択される少なくとも１
種の有害物質を含有する廃棄物１００重量部に対し、請
求項１〜１１のいずれかに記載の廃棄物処理剤を粉体
状、溶液状、または、懸濁液状で３〜５０重量部混合
し、必要に応じて水を添加したものを混練し、養生固化
させることを特徴とする廃棄物処理方法。
【請求項１３】有害物質を含有する廃棄物が、アルカ
リ性の都市ゴミ焼却飛灰であることを特徴とする請求項
１２に記載の廃棄物処理方法。