JP4029129B2 - チタンが主成分の刃材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は第一に、ナイフ、カッターの刃、調理用包丁、鋏、カミソリその他各種の刃物に関する技術分野に属するものである。本発明は第二に、粉末冶金に関する技術分野に属するものである。
【0002】
【発明が解決すべき課題】
従来、前記したような各種の刃物は炭素鋼を刃材とするものが最も多いのであるが、調理用包丁など家庭での使用が数量的に主となる刃物については、錆落し、刃砥ぎなどの日常の手入れが嫌われるので、近年は低炭素鋼に多量のニッケル及びクロームを配合したステンレス鋼製のものが普及するようになった。しかしながら、ステンレス鋼製の刃物は錆び難い利点がある反面、炭素鋼のものと較べて切れ味が格段に劣る。そこで最近は炭素鋼にCr、W、Moその他の特殊元素を添加した、いわゆる特殊鋼を刃材とする調理用刃物が家庭用品の市場にまで進出しつつある。
【0003】
特殊鋼を刃材とする刃物は、ステンレス鋼製と同様、不銹性であると同時に、使用の当初において切れ味にも優れている。しかしながら、著しく高価な割には切れ味の持続性が乏しいので広く普及するに至らない。
【0004】
一方、近年の粉末冶金技術の進歩に伴い、チタン合金やジルコニアセラミック粉末を素材とする刃材も試作されるようになった。これらの刃材は軽量かつ不銹性であるとともに、炭素鋼やステンレス鋼の刃材と較べて硬度が高いので鋭利な刃物を得ることができるが、抗折力が低いので刃が欠けやすい欠点がある。
【0005】
以上述べた諸点から、ステンレス鋼製と同様に不銹性であるとともに、ステンレス鋼製や特殊鋼製よりも一層軽量かつ切れ味の持続性において優れ、加えて、特殊鋼製よりも価格面で有利であるような刃材を提供することが、本発明の解決すべき課題である。また、最近の調理関係者等の環境衛生強化への指向に鑑み、鋭利性を損なうことなく、調理に使用される包丁等の刃物に抗菌性を与えることも本発明の課題であることを失わない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は金属及びその化合物の粉末を素材とし、圧縮成型工程及び焼結工程をへて焼結物を製造する、いわゆる粉末冶金技術を適用した刃材に係るもので、つぎに掲げる5種類の粉末を混和した金属組成物を粉末冶金の粉末素材としている。
即ち、
(1)粒径150μm以下のチタン(Ti)粉末80重量部、
(2)粒径20μm以下でアルミニウム(Al)6:バナジウム(V)4の重量比をもつアルミニウム・バナジウム合金粉末6〜8重量部、
(3)粒径2μm以下の鉄(Fe)粉末1重量部、
(4)粒径2μm以下のクロームカーバイド(Cr3C2)粉末又はチタンカーバイド(TiC)粉末10重量部、
(5)粒径2μm以下の銀(Ag)末約1〜3重量部、
を全量が100重量部に成るように混和したものである。
【0007】
本発明は上記事項を要件とするものであるが、ここに前記した粉末素材である金属組成物に対して粉末冶金技術を適用する場合の条件を述べる。但し、かかる条件における数値自体は一般の粉末冶金技術において既知の事項であるが以下にその例を述べる。即ち、圧縮成型には4ton/cm以上の圧力を使用する。焼結は真空炉又はアルゴンガス炉中、1,200〜1,300℃で所要時間は約2時間である。時効処理が所望される場合は400℃で40時間、又は500℃で3時間程度行うとよい。
【0008】
かくして得た焼結物からなる刃材は、研削により所要の箇所に刃付け加工を施すことにより、所望の刃物を得ることができる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の一、二の実施例につき冗長を避けるため、前記した粉末冶金の素材である組成物における各金属及び合金間の重量比のみをここに掲げる。ここに掲げた数値例に従って配合した組成物については、これを粉末冶金の素材として用いた場合、後記する実験結果とほとんど同様の成績を挙げることができた。
(組成例)
Figure 0004029129
但し、個々の金属又は合金の粒径については前出[0006]に記載した通り、また、粉末冶金工程の処理条件については[0007]に記載した通りである。
【0010】
【発明の作用効果】
さて、本発明に係る刃材には、主成分としてチタンが80%含まれているので、この刃材による刃物は、炭素鋼を主成分とする鋼刃物、特殊鋼刃物、又はステンレス刃物と較べて当然に軽量であり、しかもステンレス刃物と同様に不銹性である。
【0011】
本発明の刃材の硬度はHRC45°〜500であり、従って、この刃材からは実用上ほとんど最高の硬度をもつ刃物が得られることが明らかである。高硬度の刃材からは、刃付けにより鋭利な刃物が得られるが、高い硬度に起因する鋭利性は必ずしも良質な刃物を与えない。高硬度の刃物が当初は鋭利であっても靱性が乏しければ、繰り返し使用により、ごく薄の刃先に微細な刃欠けが発生し、間もなく鈍刀化するからである。
【0012】
本発明者は、刃材の靱性を知る手掛かりとして、つぎのような抗折力測定を行った。図1を参照し、1は55mm×55mm×1.5mmの検体で、定盤2上において25mmの間隔で平行に置いた直径8mm長さ40mmの2本の丸棒3によりこの検体1を支える。4は丸棒3と同寸法の丸棒で、この丸棒4により上方から検体1の中央部を押圧し、検体1の折断時における押圧力を測定した。前掲の実施例における組成例Iの刃材を検体として使用した場合の測定結果は、単位断面積当たりの抗折力が600kg/cmを若干上回った。また、検体に前記組成例IIの刃材を使用した場合もほぼ同一の測定結果を得た。測定の対照例として、市販のジルコニアセラミック包丁(刃板の厚さ1.5mm)を前記した検体1の主面寸法に切断し、同様にその抗折力を測定したところ、その測定値はほぼ200kg/cmで、その抗折力は本発明による検体の抗折力の1/3でであった。
【0013】
以上のべた刃材の硬度及び抗折力に関する検査の成績からみて、本発明の刃材に刃付け加工を行った刃物の刃先については、高い硬度にかかわらず、通常の刃物の“刃先の摩耗”と同様な意味で、“微細な刃欠け”が発生し難く、従って切れ味の持続性が大きいことがほぼ断定できると思われた。しかしながら、本発明者はその確認のため、刃物専門の研究機関であるイギリス、シェフィールド所在のカットレリイ、アンド、アライド、トレーズ、リサーチ、アソシエーション(Cutlery and Allied Trades Research Association―略称CATRA)に本発明の刃材に刃付けした包丁2点及び検査において対照とするための、ヘンケル社(ドイツ)製包丁1点及びグローバル社(アメリカ)製(いずれもステンレス鋼製)計4点を送り、切れ味の持続能力につき検査を依頼したところ、1997年9月17日付で検査成績の報告を受けた。
【0014】
前記研究機関の検査方法は概略つぎの通りである。即ち、検査装置の機械腕に検体の包丁を取りつけ、一定荷重の下に刃先をテスト用カードに当て、一定速度で片道40mmの往復サイクル運動を60回させ、テスト用カードの切込みの深さを1サイクル毎に記録するものである。テスト用カードは化学繊維に5%の水晶粉を混入してなるものである。
【0015】
前記の報告によれば、いずれもHRC57゜〜58゜の硬度をもつヘンケル社製、グローバル社製のものが60サイクル時において、切込み能力をほとんど失っているのに対し、本発明による2点の包丁のうちの1点は60サイクル時において前記2社製のものの6〜10倍程度の切込み能力を保持しており、さらにテスト回数を180サイクルまで延長しても切込み能力が失われなかったという。しかしながら、本発明による他の1点はテストの当初から切込み能力が他の検体3点よりも格段に低く、かつ60サイクル時においては、ステンレス鋼製と同様に切込み能力をほとんど失っていた。しかし、切込み能力の減衰カーブをみると、本発明による前記他の1点の減衰カーブの態様は、抜群に成績良好な、さきに述べた検体の減衰カーブとほぼ同様であるから、もしも前記2点の包丁の刃付けが同様に良好であったならば、本発明による2点の検体は前記対照例の2点とは比較にならないほど優れた切込み力の持続能力があったであろうと思われる。
【0016】
さて、本発明に係る刃材により作成した刃物が、上記するように切れ味の持続能力に優れているのは、前記したように刃材の硬度が高く、同時に靱性が大きいことに起因することが明らかである。しかしながら、靱性が大きい原因については目下研究中であり、未だ明らかになっていない。ところで、本発明によれば、Tiの粒径の上限は150μmであり、Cr又はTiC、並びにFeの粒径の上限がそれぞれ2μmであるのと較べて前者の粒径の方が後者よりも著しく大きいこと、そして主成分であるチタンの粒径と特にCr又はTiCの粒径の比が比較的小さい場合には、硬度は高いが靱性が不足となり、そのため、切れ味の持続性の劣る刃物しか得られないという実験結果を別途に得ているので、主成分であるTiの大きい粒子の周囲に存在する小さい粒子のCr又はTiCが、高温高圧による焼結の過程において、Tiの大きい粒子と固溶体を形成し、固溶体となった大きな粒子間に柔軟な橋絡が生ずるのがその原因ではないかと推定している。
【0017】
なお、本発明の刃材には副成分として銀が配合されているため、この刃材による刃物は抗菌性である。しかも、その配合量が少量であるため、刃物の重量、鋭利性及び切れ味の寿命に悪影響が現れないことも、本発明の利点であることを失わない。
【0018】
即ち、本発明によれば、ステンレス鋼を刃材とする刃物と同様に不銹性かつステンレス鋼製よりも著しく軽量であるのみならず、きわめて鋭利であると同時にその鋭利性が多使用回数にわたって持続するという、未だかって得られなかった格別の性能をもち、かつ使用時において抗菌性を発揮するという抜群に優秀な刃物を提供できるので、本発明は刃物の生産技術の向上並びに粉末冶金技術の拡大に貢献するところが多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】刃材の抗折力測定方法の説明における測定装置及び検体の拡大断面概念図。
【符号の説明】
1……………………検体
2……………………定盤
3,4………………丸棒

Claims (1)

  1. 粒径150μm以下のチタン(Ti)粉末80重量部、
    粒径20μm以下で、アルミニウム(Al)6:バナジウム(V)4の重量比をもつアルミニウム・バナジウム合金粉末6〜8重量部
    粒径2μm以下の鉄(Fe)粉末1重量部、
    粒径2μm以下のクロームカーバイド(Cr3C2)又はチタンカーバイド(TiC)粉末10重量部、
    及び粒径2μm以下の銀(Ag)粉末1〜3重量部、
    を全量が100重量部に成るように混和した組成物を圧縮成型及び焼結して得た焼結物からなることを特徴とするチタンが主成分の刃材。
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