JP3814750B2 - 焼結鍛造刃材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は第一に、調理用包丁、鋏、カミソリその他主として民生用の各種刃物に関する技術分野に属するものである。本発明は第二に、粉末冶金法により生産される刃物に関する技術分野に属するものである。本発明は第三に、チタン又はチタン合金を主たる素材とする刃物に関する技術分野に属するものである。
【0002】
【発明が解決すべき課題】
従来、前記したような各種の刃物には炭素鋼を刃材とするものが最も多いのであるが、調理用包丁など家庭での使用が数量的に主となる刃物については、錆落し、刃砥ぎなどの日常の手入れが嫌われるので、近年は低炭素鋼に多量のニッケル及びクロームを配合したステンレス鋼製のものが普及するようになった。しかしながら、ステンレス鋼製の刃物は錆び難い利点がある反面、炭素鋼のものと較べて切れ味が格段に劣る。そこで最近はステンレス鋼にモリブデン、バナジウムその他の特殊金属を添加したいわゆる特殊ステンレス鋼を刃材とする調理用刃物が家庭用品の市場にまで進出しつつある。
【0003】
前記特殊ステンレス鋼を刃材とする刃物は、ステンレス鋼製と同様、不銹性であるのと同時に、使用の当初において切れ味にも優れている。しかしながら、切れ味の持続性が至って不充分である。
【0004】
一方、近年における粉末冶金技術の進歩に伴い、チタンやチタン合金を素材とする刃材も試作されるようになった。チタンやチタン合金は前記した特殊ステンレス鋼と同様に不銹性であるとともに軽量であるという特長をもつのであるが、良好な切れ味を確保するため一般刃材に要求される硬度域がHRC58°〜62゜であるのに対し、HRC50゜以上の刃材を得るのは困難である。但し、既知の刃材においてHRC60゜以上である場合は刃材の硬さに伴うもろさに起因する刃欠け現象が著しいことが大きいデメリットとして周知である。
【0005】
従って、本発明の解決すべき課題は、チタン又はチタン合金を主たる素材として良好な切れ味が確保できるのみならず、刃先のもろさの少ない刃材を提供することにある。
【0006】
また、かかる刃材に抗菌性を付与することが容易となる手段を提供することも本発明の解決すべき課題である。
【0007】
さらに、かかる刃材を生産する際の生産設備及び生産コストが低い手段を提供することも本発明の解決すべき課題であることを失わない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、全量100重量部中、粒径150μm以下の純Ti粉又は同粒径の6Al4VTi合金粉70〜90部からなる粉末を主素材とし、かつ全量100重量部中、粒径5μm以下のVC等の金属炭化物30〜10部からなる粉末を副素材とし、前記した主素材及び副素材により混合素材を構成するものであり、前記金属炭化物はVCとしたものである。
【0009】
図1は一例として調理用の三徳包丁の平面形と一定の厚みSをもつ一枚の板を示しているが、本発明によればこの板は前記した混合素材を常温において加圧成型した後1300℃以下の温度で焼結して得た焼結体1である。
【0010】
本発明によれば、前記した焼結体1を400℃〜800℃に赤熱した後、衝撃鍛圧を施すのである。但し、本発明における衝撃鍛圧はつぎのような内容をもっている。即ち、目的とする刃材(図示の例では前記したように三徳包丁の刃材であるが、他種の刃物でもよい)の刃部の位置11における前記主素材の構成成分粒子を刃先方向に向けて塑性的に鍛圧延伸し、それと同時に前記副素材の粒子を前記主素材の粒子間に圧接把握させるものである。
【0011】
表1は前記焼結体1の組成例に関する。
(表1)
但し、表1中の抗折力は図6に示す測定装置による測定値である。検体aの寸度は55mm×55mm×1.5mmで定盤b上において25mmの間隔で平行に置いた直径8mm、長さ60mmの2本の丸棒cにより検体aを支え、丸棒cと同寸度の丸棒dにより上方から検体aの中央部を押圧し、検体aの折断時における押圧力を測定した。抗折力Iは本発明において前記した衝撃鍛圧を施した後の検体の抗折力を、抗折力IIは前記した衝撃鍛圧を施す以前の検体の抗折力をそれぞれ示している。
【0012】
図2は本発明の実施に適するドロップハンマープレスの一例を示す。即ち、3は前記した衝撃鍛圧に必要な下型で、床盤2に固定される。下型3の頂面には片側に斜壁31を形成した凹所32が設けてある。4は上型で、図示外の動力装置に連動して上下可動のラム5に固定されている。上型4の底面には下型3の斜壁31に対応する斜壁41が設けてある。つぎに図3を参照し、図1に示すような平板状の焼結体1を400℃〜800℃に赤熱したものを下型3の凹所32に載置し、上型4を焼結体1上に衝撃的に落下させれば焼結体1は図4に示すように、上型4、下型3の間で鍛圧成型され、図5に示すような基礎刃材10が得られるので、あとは刃付加工を施すことにより所望の包丁の刃材が得られる。なお、図5に示したのは表裏の両面をテーパー面とした両刃であるが、下型3又は上型4の斜壁31又は41の一方のみを斜壁とすることにより、片刃の包丁が得られるのは当然である。
【0013】
【発明の作用効果】
さて、本発明に係る刃材は前記したように、主素材であるTi又は6Al4VTi合金粉の粒子を刃先方向に向けて塑性的に鍛圧延伸するとともに、副素材である金属炭化物の粒子を前記主素材の粒子間に圧接把握させてなるものである。
【0014】
本発明における衝撃鍛圧は上記のようにしてなるのであるが、主素材である純Ti又は6Al4VTi合金はそれ自身硬度が比較的小さく、かつヤング率が低く靭性に富んでいる。従って前記したドロップハンマーブレス等の上型下型間に挟まれた板状の焼結体1はそれらの成型型に従って鍛圧成型されるとともに、刃部となる部分の主素材の粒子は刃先方向に向けて塑性的に延伸される。
【0015】
一方、副素材である金属炭化物は粒径が小さい関係から前記主素材の粒子間に圧接把握される。他方、粒径が5μm以下である金属炭化物はその配合量が10〜30%と相当の多量であり、かつ硬度が著しく高いため、刃物の鋭利性を担保するのに充分であり、前記金属炭化物はVCとしたものである。
【0016】
また、前記した鍛圧により、焼結体1に含まれていた気泡が追い出されるため、粒子の組織の密度が上昇するとともに、粒子の偏平化によってラミネート状に変形し、従って靭性の向上に寄与する。さらに、衝撃鍛圧後においては刃先の抗折力が鍛圧前の焼結体と比較して前記したように数倍に増加し、従って刃物を使用する際の刃コボレが予防される。
【0017】
副素材である金属炭化物の粒径を5μm以下に限定したのは、それよりも粒径が大きいと、粒子自身の割れ、欠けにより、切れ味が低下することが確認されたからである。
【0018】
なお、衛生思想の向上により、調理用具への抗菌性の付与が問題になっているが、本発明によれば、刃材の組成分に1%程度の銀を添加しても刃物の鋭利性には影響がなく、かつ銀イオンのもつ抗菌性が失われるおそれもない。
【0019】
また、粉末冶金技術を用いて刃物を生産する場合においては、硬度上昇のため材質の密度を上げる必要上15トンプレスなど強力なプレスが必要で、そのための設備コストが大きいのであるが、本発明によれば鍛圧作業を行うので、焼結前の粉体成型のためには6トンプレスのような小型設備で充分であり、従って設備コストの負担が小さい。
【0020】
かくして、本発明によれば、刃材は、チタン又はチタン合金を主素材とするため、軽量であるとともにステンレス鋼に匹敵する不銹性を持つ一方、多量に配合されかつ鍛圧により圧延された主素材に圧接把握された金属炭化物により鋭利性が担保され、かつ抗折力の著しく大きい刃先が得られるため、刃物を使用する際、刃コボレが非常に少なく、そのため、長期にわたって鋭利性が持続する優秀な刃物を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る刃材の生産過程における板状の焼結体の一例の斜視図。
【図2】本発明に係る刃材の生産過程で使用するドロップハンマープレスの骨格を示す正面図。
【図3】図2のドロップハンマープレスにより焼結体に鍛圧を施す際の下型の拡大断面図。
【図4】図2のドロップハンマープレスにより焼結体に鍛圧を施す際の最終工程における上型、焼結体、及び下型の拡大断面図。
【図5】図1に示した焼結体の鍛圧後における刃材の斜視図。
【図6】刃材の抗折力測定方法の説明における測定装置及び検体の拡大断面概念図。
【符号の説明】
1 …………………………焼結体
11 …………………………刃部の位置
S …………………………厚み
2 …………………………床盤
3 …………………………下型
31 …………………………斜壁
32 …………………………凹所
4 …………………………上型
41 …………………………斜壁
5…………………………ラム
10…………………………基礎刃材
a…………………………検体
b…………………………定盤
c…………………………丸棒
d…………………………丸棒
Claims (2)
- 全量100重量部中、粒径150μm以下の純Ti粉又は同粒径の6Al4VTi合金粉70〜90部からなる粉末を主素材とし、かつ全量100重量部中、粒径5μm以下の金属炭化物30〜10部からなる粉末を副素材とする混合素材を、目的とする刃材の主面形状に常温において加圧成型した後、1300℃以下の温度で焼結して得た焼結体を400℃〜800℃に赤熱し、この赤熱した前記焼結体に衝撃鍛圧を施し、この衝撃鍛圧は、前記目的とする刃材の刃部の位置における前記主素材の構成成分粒子を刃先方向に向けて塑性的に鍛圧延伸し、あわせて前記副素材の粒子を前記主素材の粒子間に圧接把握させてなることを特徴とする焼結鍛造刃材。
- 前記粒径5μm以下の金属炭化物はVCであることを特徴とする請求項1に記載の焼結鍛造刃材。
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