JP4029117B2 - 眼内レンズ挿入用カートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼内レンズを眼球に挿入する際に使用するカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
眼内レンズは、例えば、光学部とその光学部を支える2つのループを有するものであり、白内障に罹った水晶体の代替物などとして眼球内に移植されるもので、眼球を切開し、その切開創から眼球内に挿入されるものである。
【0003】
この切開創は、眼内レンズ挿入のし易さの観点から眼内レンズの光学部以上の大きさであることが好ましい。しかし、切開創が大きいと患者の回復が遅くなるので、切開創はできるだけ小さいものが望まれてきた。この要望から最近では、眼内レンズの材料として、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ハイドロゲルなどの軟質の材料が用いられ、眼内レンズを丸めたり、折り畳んだりして小さな切開創から眼球内に挿入する手術がおこなわれてきている。
【0004】
この軟質の眼内レンズを折り畳む方法としては、鑷子などで手術者が折り畳むこともあるが、折り畳む器具を用いることも多くおこなわれてきている。
【0005】
例えば、この眼内レンズを折り畳む器具として、本出願人は、軟質眼内レンズ折り畳み機構を有する収納容器を発明し国際出願した(国際出願番号PCT/JP02/04464号、国際公開WO02/096322号)(特許文献1)。この収納容器の眼内レンズ載置部の斜視図を図6に示す。この図6では、収納容器21において、眼内レンズLの表面を外側、裏面を内側に折り畳んでいる状態を示している。
【0006】
基台22に眼内レンズを保持するための保持部23が設けられており、保持部23には、基台部側レンズ押圧部25が設けられている。そして、レバー部24を押圧すると、バネ部26が変形して可動部側レンズ押圧部27が基台部側レンズ押圧部25の方向に移動し、可動部側レンズ押圧部27と基台部側レンズ押圧部25との間で保持されている眼内レンズLが表面を外側、裏面を内側に折り畳まれるようになる。
【0007】
そして、この収納容器21を用いることにより、製造ラインで製造された眼内レンズを、手術の際まで無菌的かつ傷つけることなく保管することができる。そして、手術の際、この収納容器で眼内レンズを折り畳み、手術者が折り畳まれた軟質眼内レンズを鑷子で摘み、そのまま切開創から眼球内に挿入することができるものである。
【0008】
このように、鑷子により切開創から眼内レンズを眼球内に挿入することができるが、鑷子による方法では、挿入の際に角膜を傷つけないように注意するなど手術に熟練を要するものである。
【0009】
一方、眼内レンズを安全、確実に眼球に挿入する方法として、眼内レンズ挿入用のカートリッジを用いる方法がある。
【0010】
このカートリッジとしては、例えば、特表2002−541912号公報(特許文献2)に記載されたものがあり、このカートリッジは、図7に示すような構造をしている。
【0011】
31はカートリッジであり、導入管32、排出口部34、翼36、37を有している。
【0012】
導入管32には、眼内レンズを挿入するための挿入口部33があり、ここから眼内レンズを挿入する。また、導入管32の先端には排出口部34が設けられている。
【0013】
また、導入管32の中間付近には翼36、37が設けられている。この翼36、37は、カートリッジ31を図示しないインジェクターの先端に装着するためのものであり、この翼36、37をインジェクターの保持部で保持することによりカートリッジ21とインジェクターが一体となる。
【0014】
そして、破線で示される導入管32の挿入口部33では、その断面形状が断面の片側の面38aは円弧状に、他側の面38bは直線と円弧が組み合わされた扁平な形状をして、非対称となっている。そして、眼内レンズ導入管32の長手方向と直交した向きの断面は、その中心部で相互に略直交する長軸と短軸とを有する扁平な形状であって、この長軸と短軸をそれぞれ横軸と縦軸とした場合、横軸が縦軸より長くなっている。
【0015】
また、導入管32の内部が排出口部34に近づくにつれて、導入管32の内部断面において、縦軸と横軸がその短くなる割合は異なるがともに短くなり、導入管32の断面形状は円形状に近づき、排出口部34付近では、その断面形状が略円形状となっている。
【0016】
このような導入管32の内部の構造により、導入管32の挿入口部33から折り畳まずに挿入された眼内レンズは、その光学部が内側となるように徐々に丸められるものである。
【0017】
特に、断面非対称の構造により、眼内レンズの片側をゆっくり折り畳むことができるというものである。
【0018】
【特許文献1】
国際公開WO02/096322号
【特許文献2】
特表2002−541912号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
眼内レンズを安全、確実に眼球に挿入するための方法として、例えば、特許文献2の記載のようなカートリッジを用いておこなうことが考えられるが、レンズを開いた状態から丸めていかなくてはならないため、挿入口部から排出口部までに長い距離が必要であり、レンズ装填前にカートリッジに充填すべきヒアルロン酸等増粘性物質量も多く必要となる。
【0020】
そこで、本発明者は挿入口及び導入管の断面積と折り畳むために必要な距離を低減し、また、挿入口部へのレンズのセットを容易にするために、挿入口部の形状を、レンズを2つ折りにして挿入できる楕円形状とするとともに、レンズ導入管の長手軸方向と直交した向きの断面の横軸、縦軸方向で共に、挿入口部から排出口部まで徐々に短くなるよう導入管内を設計した。このようにして設計したカートリッジを用いて、眼内レンズを挿入口部にセットし、これをインジェクターに装着し、インジェクターの押出し棒を押してカートリッジ内の眼内レンズを押出してみた。ところが、導入管の途中で眼内レンズの移動が困難となり、眼内レンズが排出口部から押出すことができないという課題が生じた。
【0021】
そこで、本発明者はこの移動が困難となる原因として眼内レンズに加わる力の不均一あるのではないかと考え、その応力に注目した。
【0022】
眼内レンズは、挿入口部に折り畳まれた状態で挿入されるので、挿入口部や導入管内で開こうとして挿入口部や導入管の上下方向で力が強く働く。この状態で眼内レンズを押出すと、導入管内は縦軸と横軸がともに短くなるので、徐々に横方向の力が眼内レンズに加わり、これにより、眼内レンズが横方向の力を受けて変形し、さらに上下方向の応力が大きくなる。
【0023】
こうなると、縦方向の応力が横方向の応力より大きく、眼内レンズに不均一に力が加わり、特に眼内レンズのループの付根部分に応力が集中し、眼内レンズが丸まりながら移動するのを困難にしていることを見出した。
【0024】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、折り畳まれた眼内レンズに力が不均一にかからないようにして、カートリッジの導入管内をスムーズに移動させて、小さく丸めて、眼球内に容易に挿入することができる眼内レンズ用カートリッジを提供するものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1の眼内レンズ挿入用カートリッジは、眼内レンズを導入するための略筒状の眼内レンズ導入管を備えた眼内レンズ挿入用カートリッジにおいて、前記眼内レンズ導入管は前記眼内レンズを挿入するための挿入口部と、前記眼内レンズを排出するための排出口部とを備え、前記挿入口部の前記眼内レンズ導入管の長手方向と直交した向きの断面は、その中心部で相互に略直交する長軸と短軸とを有する扁平な形状であって、この長軸と短軸をそれぞれ横軸と縦軸とした場合に、前記挿入口部の断面において前記横軸を前記縦軸より長く、前記導入管の中間部の断面において前記縦軸を前記横軸より長く、前記導入管の排出口部の断面において前記縦軸と前記横軸とを略等しくなるように形成し、前記挿入口部から前記中間部にかけて縦軸の長さを変化させずに前記横軸の長さを短くするように連続的に変化させ、前記中間部から前記排出口部にかけて横軸の長さを変化させずに前記縦軸の長さを短くするように連続的に変化させたことを特徴とするものである。
【0026】
請求項1の発明によれば、挿入口部から中間部にかけて折り畳まれた眼内レンズにかかる上下方向の力の加わりを大きくすることなく、容易に眼内レンズを丸めることができ、その後、中間部から排出口部にかけて上下方向の力が加わってさらに丸めることができ、容易に排出口部から眼内レンズを押出すことができるようになる。
【0027】
請求項2の眼内レンズ挿入用カートリッジは、請求項1において、前記挿入口部の断面形状が、前記横軸に略平行する上部直線部と下部直線部を有し、前記上部直線部の右端と前記下部直線部の右端および前記上部直線部の左端と前記下部直線部の左端を外側円弧状に結んで形成される形状であり、前記導入管の中間部の断面形状が、前記縦軸に略平行する右部直線部と左部直線部を有し、前記右部直線部の上端と前記左部直線部の上端および前記右部直線部の下端と前記左部直線部の下端を外側円弧状に結んで形成される形状であり、前記導入管の排出口部の断面形状が略円形状であり、前記挿入口部の上部直線部の両端が前記中間部の上側の円弧状の頂点に収束し、前記挿入部の下部直線部の両端が前記中間部の下側の円弧状の頂点に収束し、前記中間部の右部直線部の両端が前記挿入口部の右側の円弧状の頂点に収束し、前記中間部の左部直線部の両端が前記挿入口部の左側の円弧状の頂点に収束し、前記中間部の右部直線部の両端が前記排出口部の右側半円の頂点に収束し、前記中間部の左部直線部の両端が前記排出口部の左側半円の頂点に収束していることを特徴とするものである。
【0028】
請求項2の発明によれば、挿入口部から中間部にかけて折り畳まれた眼内レンズにかかる上下方向の力の加わりを大きくすることなく、容易に眼内レンズを丸めることができ、その後、中間部から排出口部にかけて上下方向の力が加わってさらに丸めることができ、容易に排出口部から眼内レンズを押出すことができるようになる。また、断面形状の一部に直線部を有するので、これを各頂点に収束する形状を作成し易いものとなる。
【0029】
請求項3の眼内レンズ挿入用カートリッジは、請求項1において、前記挿入口部の断面形状が、前記横軸が前記縦軸より長い略楕円形状であり、前記導入管の中間部の断面形状が前記縦軸が前記横軸より長い略楕円形状であり、前記導入管の排出口部の断面形状が略円形状であることを特徴とするものである。
【0030】
請求項3の発明によれば、挿入口部から中間部にかけて折り畳まれた眼内レンズにかかる上下方向の力の加わりを大きくすることなく、容易に眼内レンズを丸めることができ、その後、中間部から排出口部にかけて上下方向の力が加わってさらに丸めることができ、容易に排出口部から眼内レンズを押出すことができるようになる。また、導入管内部に角部を形成することがないので、眼内レンズを丸めやすいものとなる。
【0031】
請求項4の眼内レンズ挿入用カートリッジは、請求項1〜3において、眼内レンズ導入管の長手方向を長手軸とした場合、前記長手軸に対して角度をもち、かつ前記縦軸に対して角度をもって眼内レンズ導入管の先端が形成されていることを特徴とするものである。
【0032】
請求項4の発明によれば、インジェクター先端が縦軸に対して角度をもって形成されている場合においても、導入管の先端の角度を相殺することができ、眼球の切開創に容易に排出口部を挿入させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0034】
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる眼内レンズ挿入用カートリッジを示す斜視図である。1はカートリッジであり、このカートリッジ1は、導入管2、挿入口部3、排出口部4、挿入溝5、翼6、7を備えている。
【0036】
挿入口部3は、折り畳まれた眼内レンズを装填するためのものであり、そこには挿入溝5が設けられている。この挿入溝5は、眼内レンズを鑷子により保持して装填するための溝であり、この挿入溝5に鑷子を入れることにより容易に折り畳まれた眼内レンズを挿入口部3に装填できる。また、導入管2の内部は、挿入口部3に折り畳まれてセットされた眼内レンズが通るため、管状になっている。そして、8は挿入口部3の断面形状を、9は導入管2の中間部の断面形状を、10は、排出口部4の断面形状を示したものである。
【0037】
このカートリッジ1を用いることができる軟質眼内レンズは、材料として軟質のものであれば特に制限はなく、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ハイドロゲルなどを用いることができる。
【0038】
眼内レンズを折り畳む方法としては、鑷子で折り畳む方法でもよいが、軟質眼内レンズを折り畳む機構を有する収納容器を用いる方法が便利である。この収納容器としては、例えば、図6に示すようなものがある。そして、この収納容器を利用して簡単に眼内レンズを折り畳むことができる。なお、図6に示す収納容器については、前述したので、ここではその説明は省略する。
【0039】
また、導入管2の先端には排出口部4が形成されており、この排出口部4が眼球の切開創に挿入される。そこで、このカートリッジ1は、人体に悪影響を与えない材質でできている必要があり、例えばポリプロピレンなどのポリアルケンでできている。そして、このポリプロピレンなどには、モノステアリン酸グリセロールなどの潤滑剤が含有され、これをプラズマ暴露処理、ブルーミング処理、高温処理、湿度処理などの処理により、カートリッジ1の表面にこの潤滑剤を表出させて眼内レンズの移動をスムーズにさせることが多い。
【0040】
翼6、7は、カートリッジ1を図3に示すようなインジェクター27の先端に設けられたカートリッジ装着部28に装着するためのものであり、この翼6、7を装着部28が保持することによりカートリッジ1とインジェクター27が一体となる。
【0041】
また、インジェクター27には、押出し棒29が設けられている。この押出し棒29の先端は細くなっており(図示せず)、この先端がカートリッジ1の導入管2内に挿入できるようになっている。そして、この押出し棒29により排出口部4より眼内レンズが眼球内に挿入されるものである。
【0042】
次に、導入管2の内部の形状について図4を用いて説明する。
【0043】
図4において、8aは導入管の挿入口部3における断面形状を示しており、導入管2の長手方向と直交した向きの断面は、その中心部で相互に略直交する長軸と短軸とを有する扁平な形状であって、この長軸と短軸をそれぞれ横軸と縦軸とした場合、横軸に略平行する上部直線部と下部直線部を有し、上部直線部の右端と下部直線部の右端および上部直線部の左端と下部直線部の左端を外側円弧状に結んで形成される形状となっている。
【0044】
また、9aは導入管2の中間部における断面形状を示しており、縦軸に略平行する右部直線部と左部直線部を有し、右部直線部の上端と左部直線部の上端および右部直線部の下端と左部直線部の下端を外側円弧状に結んで形成される形状となっている。
【0045】
さらに、10aは導入管の排出口部4における断面形状を示しており、略円形状となっている。
【0046】
また、挿入口部3の上部直線部の両端が中間部の上側の円弧状の頂点に収束し、挿入口部3の下部直線部の両端が中間部の下側の円弧状の頂点に収束している。そして、中間部の右部直線部の両端が挿入口部3の右側の円弧状の頂点に収束し、中間部の左部直線部の両端が挿入口部3の左側の円弧状の頂点に収束している。
【0047】
そして、挿入口部3では8aのように横軸は縦軸より長くなっているが、挿入口部3から中間部にかけて横軸が短くなるように連続的に変化して、中間部では9aのように横軸が縦軸より短く、すなわち縦軸が横軸より長くなっている。
【0048】
さらに、中間部の右部直線部の両端が排出口部4の右側円弧の頂点に収束し、中間部の左部直線部の両端が排出口部4の左側円弧の頂点に収束している。
【0049】
そして、中間部では9aのように縦軸は横軸より長くなっているが、中間部から排出口部4にかけて縦軸が短くなるように連続的に変化して、排出口部4では10aように縦軸と横軸が略等しくなっている。
【0050】
すなわち、導入管2の内部の断面形状が、挿入口部3から中間部にかけて縦軸の長さは変化せず、横軸が短くなり、中間部から排出口部4にかけて横軸の長さは変化せず、縦軸が短くなっているものである。
【0051】
このように挿入口部3と中間部の断面における縦軸と横軸の長さの割合を逆転させるのは、以下の理由による。
【0052】
図2は、折り畳まれた眼内レンズLが、導入管2に挿入されている状態を示した平面図である。図2からわかるように折り畳まれた眼内レンズLは導入管内3で開こうとして導入管2の上下方向に力が働く。
【0053】
これを、挿入口部3から導入管2の中間部にかけて、縦軸の長さは変えずに横軸の長さを短くすると、横方向の力が眼内レンズに加わるが、縦軸の長さは変わらないので、上下方向の力の加わりを大きくすることなく、導入管2内の移動をおこなうことができ、これにより眼内レンズLを容易に丸めることができるようになる。そして、ある程度眼内レンズLが丸まった状態になると、その後は、上下方向の力を加えても眼内レンズLをさらに丸めてスムーズに導入管2内を移動させることができるようになるので、中間部から排出口部4にかけて横軸の長さは変えずに縦軸を短くすることにより眼内レンズを小さく丸めた状態で排出口部4から押出すことができるものである。
【0054】
また、導入管2の断面形状の一部に直線部を有するので、これを各頂点に収束する形状が作成し易いものとなる。
【0055】
さらに、排出口部4は、導入管2の長手方向を長手軸とした場合にその長手軸に対して角度をもって、すなわち切り口が斜めに形成されている。これにより、眼球の切開創に容易に排出口部4を挿入させることができる。
【0056】
また、その排出口部4は、排出口部4の縦軸に対して、例えば45°の角度をもって形成されている。これにより、カートリッジ1が装着されるインジェクター27のカートリッジ装着部28が、眼内レンズ挿入操作のし易さから、インジェクター27に対して、例えば45°の角度をもってカートリッジ1が装着されても、排出口部4とカートリッジ1の角度が相殺されるので、眼球の切開創に容易に排出口部4を挿入させることができる。
【0057】
以上のように、本実施例の眼内レンズ挿入用カートリッジは、眼内レンズを導入するための略筒状の眼内レンズ導入管2を備えた眼内レンズ挿入用カートリッジにおいて、前記眼内レンズ導入管2は前記眼内レンズを挿入するための挿入口部3と、前記眼内レンズを排出するための排出口部4とを備え、前記挿入口部3の前記眼内レンズ導入管2の長手方向と直交した向きの断面8aは、その中心部で相互に略直交する長軸と短軸とを有する扁平な形状であって、この長軸と短軸をそれぞれ横軸と縦軸とした場合に、前記挿入口部3の断面8aにおいて前記横軸が前記縦軸より長く、前記導入管2の中間部の断面9aにおいて前記縦軸が前記横軸より長く、前記導入管2の排出口部4の断面10aにおいて前記縦軸と前記横軸が略等しく、前記挿入口部3から前記中間部にかけて前記横軸が短くなるように連続的に変化し、前記中間部から前記排出口部4にかけて前記縦軸が短くなるように連続的に変化している。
【0058】
そして、この構成により、挿入口部3から中間部にかけて折り畳まれた眼内レンズにかかる上下方向の力の加わりを大きくすることなく、容易に眼内レンズを丸めることができ、その後、中間部から排出口部4にかけて上下方向の力が加わってさらに丸めることができ、容易に排出口部4から眼内レンズを押出すことができるようになる。
【0059】
また前記挿入口部3の断面形状8aが、前記横軸に略平行する上部直線部と下部直線部を有し、前記上部直線部の右端と前記下部直線部の右端および前記上部直線部の左端と前記下部直線部の左端を外側円弧状に結んで形成される形状であり、前記導入管2の中間部の断面形状9aが、前記縦軸に略平行する右部直線部と左部直線部を有し、前記右部直線部の上端と前記左部直線部の上端および前記右部直線部の下端と前記左部直線部の下端を外側円弧状に結んで形成される形状であり、前記導入管2の排出口部4の断面形状10aが略円形状であり、前記挿入口部3の上部直線部の両端が前記中間部の上側の円弧状の頂点に収束し、前記挿入口部3の下部直線部の両端が前記中間部の下側の円弧状の頂点に収束し、前記中間部の右部直線部の両端が前記挿入口部3の右側の円弧状の頂点に収束し、前記中間部の左部直線部の両端が前記挿入口部3の左側の円弧状の頂点に収束し、前記中間部の右部直線部の両端が前記排出口部4の右側半円の頂点に収束し、前記中間部の左部直線部の両端が前記排出口部4の左側半円の頂点に収束している。
【0060】
そして、この構成により、挿入口部3から中間部にかけて折り畳まれた眼内レンズにかかる上下方向の力の加わりを大きくすることなく、容易に眼内レンズを丸めることができ、その後、中間部から排出口部4にかけて上下方向の力が加わってさらに丸めることができ、容易に排出口部4から眼内レンズを押出すことができるようになる。また、断面形状の一部に直線部を有するので、これを各頂点に収束する形状を作成し易いものとなる。
【0061】
さらに、眼内レンズ導入管2の長手方向を長手軸とした場合、前記長手軸に対して角度をもち、かつ前記縦軸に対して角度をもって眼内レンズ導入管2の先端が形成されている。
【0062】
そして、この構成により、インジェクター先端が縦軸に対して角度をもって形成されている場合においても、導入管2の先端部の角度を相殺することができ、眼球の切開創に容易に排出口部4を挿入させることができる。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0064】
本発明の第2の実施の形態におけるカートリッジは、基本的には上記第1の実施の形態におけるカートリッジと同様であるので、同様の部分については、その説明を省略する。
【0065】
第2の実施の形態と第1の実施の形態の異なる点は、図5に示すように、導入管2の内部の形状が略楕円形状である点である。
【0066】
図5において、8bは導入管の挿入口部である挿入口部3における断面形状を示しており、導入管2の長手方向と直交した向きの断面は、その中心部で相互に略直交する長軸と短軸とを有する扁平な形状であって、この長軸と短軸をそれぞれ横軸と縦軸とした場合、横軸が縦軸より長い略楕円形状となっている。
【0067】
また、9bは導入管2の中間部における断面形状を示しており、縦軸が横軸より長い略楕円形状となっている。
【0068】
さらに、10bは導入管の排出口部4における断面形状を示しており、略円形状となっている。
【0069】
そして、挿入口部3では8bのように横軸は縦軸より長くなっているが、挿入口部3から中間部にかけて横軸が短くなるように連続的に変化して、中間部では9bのように横軸が縦軸より短く、すなわち縦軸が横軸より長くなっている。
【0070】
さらに、中間部では9bのように縦軸は横軸より長くなっているが、中間部から排出口部4にかけて縦軸が短くなるように連続的に変化して、排出口部4では10bのように縦軸と横軸が略等しくなっている。
【0071】
すなわち、導入管2内部の断面形状が、挿入口部3から中間部にかけて縦軸の長さは変化せず、横軸が短くなり、中間部から排出口部4にかけて横軸の長さは変化せず、縦軸が短くなっているものである。
【0072】
挿入口部3から導入管2の中間部にかけて、縦軸の長さは変えずに横軸の長さを短くすると、横方向の力が眼内レンズに加わるが、縦軸の長さは変わらないので、上下方向の力の加わりを大きくすることなく、導入管2内の移動をおこなうことができ、これにより眼内レンズLを容易に丸めることができるようになる。そして、ある程度眼内レンズLが丸まった状態になると、その後は、上下方向の力を加えても眼内レンズLをさらに丸めてスムーズに導入管2内を移動させることができるようになるので、中間部から排出口部4にかけて横軸の長さは変えずに縦軸を短くすることにより眼内レンズを小さく丸めた状態で排出口部4から押出すことができるものである。また、導入管2内部に角部を形成することがないので、眼内レンズを丸めやすいものである。
【0073】
以上のように、本実施例の眼内レンズ挿入用カートリッジは、眼内レンズを導入するための略筒状の眼内レンズ導入管2を備えた眼内レンズ挿入用カートリッジにおいて、前記眼内レンズ導入管2は前記眼内レンズを挿入するための挿入口部3と、前記眼内レンズを排出するための排出口部4とを備え、前記挿入口部3の前記眼内レンズ導入管2の長手方向と直交した向きの断面8bは、その中心部で相互に略直交する長軸と短軸とを有する扁平な形状であって、この長軸と短軸をそれぞれ横軸と縦軸とした場合に、前記挿入口部3の断面8bにおいて前記横軸が前記縦軸より長く、前記導入管2の中間部の断面9bにおいて前記縦軸が前記横軸より長く、前記導入管2の排出口部4の断面10bにおいて前記縦軸と前記横軸が略等しく、前記挿入口部3から前記中間部にかけて前記横軸が短くなるように連続的に変化し、前記中間部から前記排出口部4にかけて前記縦軸が短くなるように連続的に変化している。
【0074】
そして、この構成により、挿入口部3から中間部にかけて折り畳まれた眼内レンズにかかる上下方向の力の加わりを大きくすることなく、容易に眼内レンズを丸めることができ、その後、中間部から排出口部4にかけて上下方向の力が加わってさらに丸めることができ、容易に排出口部4から眼内レンズを押出すことができるようになる。
【0075】
また、挿入口部3の断面形状8bが、横軸が縦軸より長い略楕円形状であり、導入管2の中間部の断面形状9bが縦軸が横軸より長い略楕円形状であり、導入管2の排出口部4の断面形状10bが略円形状である。
【0076】
そして、この構成により、挿入口部3から中間部にかけて折り畳まれた眼内レンズにかかる上下方向の力の加わりを大きくすることなく、容易に眼内レンズを丸めることができ、その後、中間部から排出口部4にかけて上下方向の力が加わってさらに丸めることができ、容易に排出口部4から眼内レンズを押出すことができるようになる。また、導入管2内部に角部を形成することがないので、眼内レンズを丸めやすいものとなる。
【0077】
なお、上記各実施例は、挿入口部3の断面8において横軸が縦軸より長く、導入管2の中間部の断面9において縦軸が横軸より長く、導入管2の排出口部4の断面10において縦軸と横軸が略等しく、挿入口部3から中間部にかけて横軸が短くなるように連続的に変化する1段階目と、中間部から排出口部4にかけて縦軸が短くなるように変化する2段階目とで、2段階で連続的に変化している。そして、この構成により、挿入口部3から中間部にかけては、折り畳まれた眼内レンズにかかる上下方向の力の加わりを大きくすることなく、左右方向のみから力が加わることによって、容易に眼内レンズを丸めることができ、その後、中間部から排出口部4にかけては、左右方向から加わる力を大きくすることなく、上下方向のみから力が加わることによって、さらに眼内レンズを容易に丸めることができるものである。
【0078】
すなわち、左右方向、上下方向にいずれかのみの方向から加わる力を増加するように構成することによって、従来のような全方向から力が加わる場合と比較して、飛躍的に眼内レンズの丸めやすさを向上できるものである。
【0079】
したがって、例えば、挿入口部の短軸である縦軸と排出口部の縦軸の長さを同等にし、挿入口部の断面において横軸が縦軸より長く、導入管の排出口部の断面において縦軸と横軸を略等しくして、挿入口部から排出口部にかけて縦軸の長さを一定のまま横軸が短くなるように1段階で変化するように構成しても、折り畳まれた眼内レンズにかかる上下方向の力の加わりを大きくすることなく、左右方向のみから力が加わることとなり、従来例と比較した場合において、眼内レンズの丸めやすさを飛躍的に向上させることができる。
【0080】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0081】
【発明の効果】
請求項1の眼内レンズ挿入用カートリッジの発明は、眼内レンズを導入するための略筒状の眼内レンズ導入管を備えた眼内レンズ挿入用カートリッジにおいて、前記眼内レンズ導入管は前記眼内レンズを挿入するための挿入口部と、前記眼内レンズを排出するための排出口部とを備え、前記挿入口部の前記眼内レンズ導入管の長手方向と直交した向きの断面は、その中心部で相互に略直交する長軸と短軸とを有する扁平な形状であって、この長軸と短軸をそれぞれ横軸と縦軸とした場合に、前記挿入口部の断面において前記横軸を前記縦軸より長く、前記導入管の中間部の断面において前記縦軸を前記横軸より長く、前記導入管の排出口部の断面において前記縦軸と前記横軸とを略等しくなるように形成し、前記挿入口部から前記中間部にかけて縦軸の長さを変化させずに前記横軸の長さを短くするように連続的に変化させ、前記中間部から前記排出口部にかけて横軸の長さを変化させずに前記縦軸の長さを短くするように連続的に変化させたので、挿入口部から中間部にかけて折り畳まれた眼内レンズにかかる上下方向の力の加わりを大きくすることなく、容易に眼内レンズを丸めることができ、その後、中間部から排出口部にかけて上下方向の力が加わってさらに丸めることができ、容易に排出口部から眼内レンズを押出すことができるようになる。
【0082】
請求項2の眼内レンズ挿入用カートリッジの発明は、請求項1において、前記挿入口部の断面形状が、前記横軸に略平行する上部直線部と下部直線部を有し、前記上部直線部の右端と前記下部直線部の右端および前記上部直線部の左端と前記下部直線部の左端を外側円弧状に結んで形成される形状であり、前記導入管の中間部の断面形状が、前記縦軸に略平行する右部直線部と左部直線部を有し、前記右部直線部の上端と前記左部直線部の上端および前記右部直線部の下端と前記左部直線部の下端を外側円弧状に結んで形成される形状であり、前記導入管の排出口部の断面形状が略円形状であり、前記挿入口部の上部直線部の両端が前記中間部の上側の円弧状の頂点に収束し、前記挿入口部の下部直線部の両端が前記中間部の下側の円弧状の頂点に収束し、前記中間部の右部直線部の両端が前記挿入口部の右側の円弧状の頂点に収束し、前記中間部の左部直線部の両端が前記挿入口部の左側の円弧状の頂点に収束し、前記中間部の右部直線部の両端が前記排出口部の右側半円の頂点に収束し、前記中間部の左部直線部の両端が前記排出口部の左側半円の頂点に収束しているので、挿入口部から中間部にかけて折り畳まれた眼内レンズにかかる上下方向の力の加わりを大きくすることなく、容易に眼内レンズを丸めることができ、その後、中間部から排出口部にかけて上下方向の力が加わってさらに丸めることができ、容易に排出口部から眼内レンズを押出すことができるようになる。また、断面形状の一部に直線部を有するので、これを各頂点に収束する形状を作成し易いものとなる。
【0083】
請求項3の眼内レンズ挿入用カートリッジの発明は、請求項1において、前記挿入口部の断面形状が、前記横軸が前記縦軸より長い略楕円形状であり、前記導入管の中間部の断面形状が前記縦軸が前記横軸より長い略楕円形状であり、前記導入管の排出口部の断面形状が略円形状であるので、挿入口部から中間部にかけて折り畳まれた眼内レンズにかかる上下方向の力の加わりを大きくすることなく、容易に眼内レンズを丸めることができ、その後、中間部から排出口部にかけて上下方向の力が加わってさらに丸めることができ、容易に排出口部から眼内レンズを押出すことができるようになる。また、導入管内部に角部を形成することがないので、眼内レンズを丸めやすいものとなる。
【0084】
請求項4の眼内レンズ挿入用カートリッジの発明は、請求項1〜3において、眼内レンズ導入管の長手方向を長手軸とした場合、前記長手軸に対して角度をもち、かつ前記縦軸に対して角度をもって眼内レンズ導入管の先端が形成されているので、インジェクター先端が縦軸に対して角度をもって形成されている場合においても、導入管の先端部の角度を相殺することができ、眼球の切開創に容易に排出口部を挿入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるカートリッジを示す斜視図である。
【図2】上記実施の形態において、カートリッジの挿入口部に眼内レンズが挿入された状態を示す平面図である。
【図3】上記実施の形態におけるカートリッジをインジェクターに装着場合の様子を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態のカートリッジの導入管の形状を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態のカートリッジの導入管の形状を示す斜視図である。
【図6】軟質眼内レンズ折り畳み機構を有する収納容器を示す斜視図である。
【図7】従来のカートリッジを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 カートリッジ
2 導入管
3 挿入口部
4 排出口部
8,8a,8b 断面
9,9a,9b 断面
10,10a,10b 断面
Claims (4)
- 眼内レンズを導入するための略筒状の眼内レンズ導入管を備えた眼内レンズ挿入用カートリッジにおいて、前記眼内レンズ導入管は前記眼内レンズを挿入するための挿入口部と、前記眼内レンズを排出するための排出口部とを備え、前記挿入口部の前記眼内レンズ導入管の長手方向と直交した向きの断面は、その中心部で相互に略直交する長軸と短軸とを有する扁平な形状であって、この長軸と短軸をそれぞれ横軸と縦軸とした場合に、前記挿入口部の断面において前記横軸を前記縦軸より長く、前記導入管の中間部の断面において前記縦軸を前記横軸より長く、前記導入管の排出口部の断面において前記縦軸と前記横軸とを略等しくなるように形成し、前記挿入口部から前記中間部にかけて縦軸の長さを変化させずに前記横軸の長さを短くするように連続的に変化させ、前記中間部から前記排出口部にかけて横軸の長さを変化させずに前記縦軸の長さを短くするように連続的に変化させたことを特徴とする眼内レンズ挿入用カートリッジ。
- 前記挿入口部の断面形状が、前記横軸に略平行する上部直線部と下部直線部を有し、前記上部直線部の右端と前記下部直線部の右端および前記上部直線部の左端と前記下部直線部の左端を外側円弧状に結んで形成される形状であり、前記導入管の中間部の断面形状が、前記縦軸に略平行する右部直線部と左部直線部を有し、前記右部直線部の上端と前記左部直線部の上端および前記右部直線部の下端と前記左部直線部の下端を外側円弧状に結んで形成される形状であり、前記導入管の排出口部の断面形状が略円形状であり、前記挿入口部の上部直線部の両端が前記中間部の上側の円弧状の頂点に収束し、前記挿入口部の下部直線部の両端が前記中間部の下側の円弧状の頂点に収束し、前記中間部の右部直線部の両端が前記挿入口部の右側の円弧状の頂点に収束し、前記中間部の左部直線部の両端が前記挿入口部の左側の円弧状の頂点に収束し、前記中間部の右部直線部の両端が前記排出口部の右側半円の頂点に収束し、前記中間部の左部直線部の両端が前記排出口部の左側半円の頂点に収束していることを特徴とする請求項1記載の眼内レンズ挿入用カートリッジ。
- 前記挿入口部の断面形状が、前記横軸が前記縦軸より長い略楕円形状であり、前記導入管の中間部の断面形状が前記縦軸が前記横軸より長い略楕円形状であり、前記導入管の排出口部の断面形状が略円形状であることを特徴とする請求項1記載の眼内レンズ挿入用カートリッジ。
- 眼内レンズ導入管の長手方向を長手軸とした場合、前記長手軸に対して角度をもち、かつ前記縦軸に対して角度をもって眼内レンズ導入管の先端が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の眼内レンズ挿入用カートリッジ。
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