JP4028630B2 - 塗料移送配管内洗浄剤組成物及び洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、電気製品、機械製品等の塗装ラインにおいて使用される塗料移送配管内に残留する固着塗料、顔料、錆及び塵埃等の夾雑物を効果的に洗浄除去する塗料移送配管内の洗浄剤組成物及び該配管内の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車、電気製品、各種機械製品等の大量の物品を塗装する場合は、物品のコンベア輸送により、物品の前処理、塗装ブース、乾燥室へと塗装はライン化されている。塗料は、塗料調合タンクから塗料移送配管を通り、塗装ブース内の枝管に送られ塗装ガンを介して物品に吹き付けられる。送られてきた余剰の塗料は塗料調合タンクに返送される。
【0003】
塗料移送配管内には、時間が経つと次第に塗料の固化固着や錆の発生が生じる。また、塗料の顔料や繊維屑等の夾雑物が堆積してくる。固着堆積した塗料、錆、顔料や夾雑物は、ライン内を通過する塗料に連行され塗装表面に付着し、塗装不良をもたらす。従って、定期的に塗料移送配管内の清掃・洗浄が行われる。また、色替えが行われる場合にも塗料移送配管内の洗浄が行われる。
【0004】
従来、塗料移送配管内の洗浄には、洗浄用シンナーを0.5〜1ヶ月間循環させる方式が取られているが、ライン内に固着した塗料、顔料や錆を十分に除去することはほとんど困難であった。
【0005】
また、高圧水洗浄方式やピグ洗浄方式も採用されているが、ラインの配管の径は小さく(1/8インチ〜2インチ)、また長く(50〜1000m)、曲折部をも多く有し、その耐圧性も低いため、このような洗浄方法の適用には困難があり、かつ満足な洗浄効果も得られていない。
【0006】
さらに塩素系溶剤(例えば、塩化メチレン)や酸またはアルカリの水溶液を用いる洗浄方法も提案されているが、塩素系溶剤は、固化塗料を溶解することなく膨潤剥離させるために、その後の濾過処理への負担が大きい。さらに塩素系溶剤蒸気によって塗装工場内の塗装物の塗膜が縮むという問題や、人体等の環境への影響が存在する。また酸やアルカリ水溶液による洗浄は、固着した塗料、顔料の洗浄除去が十分ではなく、中和、水置換、さらにフラッシングと多くの工程を要し作業効率が悪い。
【0007】
以上のように、従来の洗浄剤組成物や洗浄方法によっては、塗料移送配管内に残留する固着塗料、顔料、錆、及びその他の夾雑物を十分に除去することはできていない。このため塗装不良を修復するために、塗装物をサンドペーパーかけと再塗装処理に付しているが、このような修復処理には多大な余分のコストを必要とする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の以上のような問題点を解決すべくなされたものであり、塗料移送配管内の十分な洗浄除去効果をもち、且つ洗浄工程の簡略化を図ることができる塗料移送管内洗浄剤組成物と該洗浄剤組成物を用いた洗浄方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塗料移送管内を清掃洗浄するにあたり、(1)炭素原子数が1〜8の水酸基を持っていてもよいカルボン酸のうち少なくとも一種と(2)炭素原子数が7又は/及び8の炭化水素系溶剤を含有する塗料移送配管内洗浄剤組成物を提供する。
【0010】
さらに、(1)炭素原子数が1〜8の水酸基を持っていてもよいカルボン酸のうち少なくとも一種と(2)炭素原子数が7又は/及び8の炭化水素系溶剤を含有する塗料移送配管内洗浄剤組成物を塗料移送配管内に循環させ、該配管内を洗浄後、洗浄用シンナーでフラッシングを行い、次いでエアブローまたは窒素ブローを行う塗料移送配管内の洗浄方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる炭素原子数が1〜8の水酸基を持っていてもよいカルボン酸とは、脂肪族系、芳香族系のいずれであってもよい。また、モノあるいはポリカルボン酸であってもよい。具体的に例示すると、ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、ヘプタン酸、ノナン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シュウ酸、マレイン酸、グルタル酸、クエン酸、グリコール酸、酒石酸、フタル酸、乳酸等が挙げられる。好ましくは、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸及び乳酸である。
【0012】
本発明に用いるカルボン酸は、単品で用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0013】
本発明のいう炭素原子数が7又は/及び8の炭化水素系溶剤とは、脂肪族系、芳香族系の何れであってもよく、例示すると、トルエン、オクタン、キシレン、メチルシクロヘキサン、1-ヘプテン、1-オクテン、トリメチルペンタン、エチルベンゼン、エチルシクロヘキサン等が挙げられる。好ましくは、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系である。これら溶剤は、単一で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0014】
本発明のいうカルボン酸は、本発明のいう溶剤に溶解させて使用するが、溶解しにくい場合は、溶解させるために可溶化剤として他の溶剤を添加してもよい。本発明のいうカルボン酸の濃度は、一般的に洗浄剤組性物全体に対して0.1〜30重量%で用いる。好ましくは、1〜20重量%である。0.1重量%以下では十分な洗浄性が見られない。また本発明のいう溶剤は、少なくとも50重量%含有することが望ましい。これより少ないと望む洗浄の効果が低下してくる。
【0015】
本組成物のほかに、必要に応じて界面活性剤や防錆剤等を配合してもよい。その配合量については、目的に応じて適宜選択するとよい。
【0016】
本発明の塗料移送配管内洗浄用組成物を用いた塗料移送配管内の洗浄方法は、本洗浄剤組成物が、直ちに洗浄シンナーによるフラッシングが可能であることから、循環装置を用い、本洗浄用組成物の循環による塗料移送配管内の洗浄後、洗浄シンナーによるフラッシングを行い、次いでエアブローまたは窒素ブローを行う方法が好ましい。つまり、水をフラッシングに用いる場合のように、水置換、防錆処理やその他洗浄工程を必要としない。
【0017】
循環装置としては、公知のものを用いてよく、循環装置の容量や材質は、塗料移送配管の径や長さ及び塗料洗浄剤組成物の種類等を考慮して適宜選択する。また、循環装置の現場での組み立て施工に関わる時間的経済的損失の回避及び洗浄作業の標準化による一定の洗浄グレードと作業安全性の確保という見地からは、タンク、ポンプ及び濾過装置等を一体的に組み込んだユニット循環装置を使用するのが好ましい。
【0018】
洗浄剤組成物の循環温度、循環時間及び循環速度は、洗浄剤組成物の種類や塗料移送配管内の汚染度に応じて適宜選択するとよい。通常は、0〜50℃、約0.5〜48時間および約0.5〜3m/秒である。
【0019】
該洗浄剤組成物の循環処理により塗料移送配管内の固着塗料、錆のほとんどは溶解除去される。この処理工程の後、洗浄シンナーを用いてフラッシングを行うことにより配管内に残留する塗料、錆、塵埃等を含有した洗浄剤組成物は、系より排出される。洗浄シンナーとは、塗料の溶剤、助溶剤、希釈剤を適当に配合したものであり、塗料の希釈や洗浄に使用されるものである。成分としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ブタノール、セロソルブ等が用いられている。
【0020】
フラッシングの条件は、循環温度、循環時間及び循環速度も特に限定的ではないが、通常それぞれ約0〜50℃、約5〜24時間及び約0.5m/秒以上(好ましくは、約1.5〜7.0m/秒)である。特に流速は、0.5m/秒以下ではフラッシング効果が弱く、7m/秒以上になると塗料移送配管の接合部への負荷や耐圧度及び経済性の点で問題があり好ましくない。ただし、配管が耐え得るなら、移送圧を高くしてフラッシングを行うことも可能である。
【0021】
次いで配管内の洗浄シンナーをエアーブローまたは窒素ブローにより除くと、新しい塗料を輸送することができる。引火性の点から窒素ブローが好ましい。
【0022】
【実施例】
実施例1〜20
表1に示す組成による配合組成物(実施例No.1〜20)を調整し、この組成物の25mlに実際の塗料移送配管から採取した1辺が1cmの各種塗料の固化物を入れ、6時間後、1日後及び3日後の塗料の溶解性を次の評価基準で判定した。結果を表3に示した。
【0023】
評価基準
◎:完全に溶解
○:約50%溶解
△:約20%溶解
×:ほとんど溶解しない
【0024】
【表1】
【0025】
比較例1〜16
表2に示した組成による配合組成物(比較例No.1〜16)を調製し、実施例と同様に試験を行った。その結果を表3に示した。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
実施例21
自動車の塗装ライン塗料移送配管(メラミン樹脂塗料の送給稼働日数:1年、材質:STPG、管の内径:1インチ、管の全長:400m)をタンク、ポンプ及び濾過装置等を一体的に組み込んだユニット循環装置を用いてまず洗浄剤組成物(実施例No.9の組成物)を循環させ(循環温度35℃、循環時間24時間、循環速度:1.5m/秒)、次いで、洗浄シンナーを用いて16時間フラッシングを行った。次いで、エアブローを2時間行った。エアブロー後、管内を観察すると、清浄な配管内面が現われた。なお、最終フラッシング液についてコンタミキット中のごみの数を調べたところ次の通りであった。
【0029】
50μ以上のごみ :0
40〜50μのごみ:0
30〜40μのごみ:2
10〜20μのごみ:5
10μ以下のごみ :2
【0030】
以上の洗浄処理した塗料移送配管を用い、自動車の車体をメラミン樹脂系塗料の塗装を行ったところ、塗料フイルター(300メッシュ)の目詰まりは全く見られなかった。また、塗装面上の夾雑物は観察されなかった。
【0031】
比較例17
実施例21と同様の塗料送給日数を経た塗料移送配管を用いて、洗浄シンナーのみを30日間循環(循環速度:3.1m/秒)させたが、清浄な配管内壁は現れなかった。なお、最終洗浄シンナーについてコンタミキット中のごみの数を調べたところ次の通りであった。
【0032】
50μ以上のごみ : 1
40〜50μのごみ: 4
30〜40μのごみ:20
10〜20μのごみ:36
10μ以下のごみ :無数
【0033】
このフラッシング処理を行った塗料移送配管を用いて自動車の車体にメラミン樹脂系塗料の塗装を行ったが、塗料フイルター(300メッシュ)は、目詰まりを起こし、1日に一度取り替える必要が有った。また、塗装面上の夾雑物を観察したが、約40〜60点観察された。
【0034】
【発明の効果】
本発明の洗浄剤組成物及び洗浄方法により塗装不良の原因となる固化塗料、顔料、錆及び夾雑物を塗料移送配管内から効果的に除去することができ、塗料フイルターの目詰まりをおこすこともない。また洗浄後の塗装においては、塗装表面に夾雑物の沈着が無く補修の必要性もない。
Claims (1)
- (1)乳酸と(2)メチルシクロヘキサン又は/及びエチルシクロヘキサンを含有する塗料移送配管内洗浄剤組成物。
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JP03370498A JP4028630B2 (ja) | 1998-01-30 | 1998-01-30 | 塗料移送配管内洗浄剤組成物及び洗浄方法 |
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JPH11217593A JPH11217593A (ja) | 1999-08-10 |
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- 1998-01-30 JP JP03370498A patent/JP4028630B2/ja not_active Expired - Fee Related
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