JP4028371B2

JP4028371B2 - 使い捨て吸収性物品

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Publication number: JP4028371B2
Application number: JP2002372643A
Authority: JP
Inventors: 康弘藤野; 輝昌近藤
Original assignee: Hakujuji KK
Current assignee: Hakujuji KK
Priority date: 2002-12-24
Filing date: 2002-12-24
Publication date: 2007-12-26
Anticipated expiration: 2022-12-24
Also published as: JP2004201794A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば大人用、あるいは失禁用などの使い捨て吸収性物品に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種の使い捨て吸収性物品は、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が配設された吸収体本体部の衣服面側に外装シートが設けられたおむつ体を備えている。このおむつ体は、長手方向に沿って背側胴回り部、脚回り部および腹側胴回り部が順次一体に形成されている。また、おむつ体は、背側胴回り部および腹側胴回り部の幅方向の両側部が接合されて腰回り開口部および一対の脚回り開口部が形成されるパンツ形状に予め形成されている。さらに、腰回り開口部の縁部には、全周に亘って腰回り弾性部材が配設されている。そして、背側胴回り部および腹側胴回り部にはそれぞれ背側弾性部材および腹側弾性部材が配設されており、胴回り部周辺が伸縮可能となっている。また、脚回り開口部の縁部にも、脚回り用弾性部材が配設され、脚回り開口部が全周に亘って伸縮可能となっている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
【特許文献１】
特開２００２−１６５８２０号公報（第４−５頁、図１）
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の使い捨て吸収性物品では、腰回り開口部の縁部、胴回り部脚回り開口部の縁部での装着者の肌への密着性および排泄液などの漏れ防止には有効であるが、下着を装着しているような装着感には不十分であった。
【０００５】
すなわち、吸収体の側縁、背側と腹側との胴回り弾性部材および脚回り用弾性部材にて囲まれた領域が、腰回り用弾性部材、背側と腹側との胴回り用弾性部材、および、脚回り用弾性部材で伸縮しない部分となり、この領域が装着者の臀部の肌への密着性が良くなく、かつ体裁も良くないという問題があった。
【０００６】
この点、背側と腹側との胴回り弾性部材を胴回り部から脚回り部に亘って配設し、おむつ体の幅方向への伸縮性を与える構成、あるいは、おむつ体の長手方向に沿って弾性部材を配設する構成などが考えられるが、これらの構成では、前記領域がおむつ体の幅方向、あるいは長手方向一方向にのみ伸縮するため、密着性が良好ではない。
【０００７】
また、前記領域に、おむつ体の長手方向および幅方向に沿ってそれぞれ弾性部材を配設した構成も考えられるが、この構成では、前記領域の密着性は向上するものの製造コストが高くなってしまう。
【０００８】
さらに、背側と腹側の胴回り弾性部材、あるいは脚回り弾性部材を多く配設しすぎると、吸収体の部分にも弾性部材が配設されすぎ、吸収体に皺が形成されて排泄液などが漏れるおそれがある。
【０００９】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、装着感が良好で、かつ漏れを防止できる使い捨て吸収性物品を提供することを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
請求項１記載の使い捨て吸収性物品は、透液性表面シート、不透液性裏面シートおよびこれら透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に配設された吸収体と、前記不透液性裏面シートの外面側に結合された外装シートとを有し、背側胴回り部、両側に脚回り部を形成した股下回り部、および腹側胴回り部が長手方向に順次一体的に形成され、かつ前記背側胴回り部の幅方向の両側部と前記腹側胴回り部の幅方向の両側部とが接合されて腰回り開口部および一対の脚回り開口部が形成される吸収性物品体を備え、前記腰回り開口部には、縁部の全周に亘って伸縮可能な腰回り用弾性部材が配設され、前記背側胴回り部には、幅方向に伸縮可能な背側弾性部材が前記吸収性物品体の幅方向に沿って配設され、前記腹側胴回り部には、幅方向に伸縮可能な腹側弾性部材が前記吸収性物品体の幅方向に沿って配設され、前記脚回り開口部には、縁部の全周に亘って伸縮可能な脚回り用弾性部材が配設され、前記脚回り部に最も近い前記背側弾性部材、前記脚回り用弾性部材および前記吸収体の両側縁部で囲まれる臀部領域には、臀部用弾性部材が、前記背側胴回り部の両側縁部から脚回り部に向けて傾斜状に複数配設され、かつ、前記背側胴回り部の両側縁と前記吸収体の側縁との中間部において、お互いの間隔が広くなるように配設されているものである。
【００１１】
そして、脚回り部に最も近い背側弾性部材、脚回り用弾性部材および吸収体の両側縁部で囲まれる臀部領域に、臀部用弾性部材を、背側胴回り部の両側縁部から脚回り部に向けて傾斜状に配設することにより、背側弾性部材、腹側弾性部材、脚回り用弾性部材および臀部用弾性部材にて吸収性物品体が全体に亘って装着者の肌に密着し、かつずれを防止して、例えば排泄液などの漏れを防止し、良好な装着感を得られるとともに、臀部用弾性部材の本数を多くしすぎることなく、臀部領域全体に伸縮性が与えられ、臀部領域の装着者の臀部への密着性が向上する。
【００１２】
請求項２記載の使い捨て吸収性物品は、請求項１記載の使い捨て吸収性物品において、臀部用弾性部材は、背側弾性部材、腹側弾性部材および脚回り用弾性部材よりも伸張応力が小さいものである。
【００１３】
そして、臀部用弾性部材の伸張応力を、背側弾性部材、腹側弾性部材および脚回り用弾性部材よりも小さくすることにより、臀部用弾性部材にて臀部を必要以上に圧迫せず、装着した際の違和感を生じないなど、より良好な装着感を得られる。
【００１４】
請求項３記載の使い捨て吸収性物品は、請求項１または２記載の使い捨て吸収性物品において、臀部用弾性部材は、背側胴回り部の両側縁において、脚回り用弾性部材と略平行に、かつ互いに所定の間隔以下の間隔に配設され、前記背側胴回り部の両側縁と吸収体の側縁との中間部において、所定の間隔に離間されて円弧状に配設され、前記吸収体の両側縁近傍において、互いに所定の間隔以下の間隔に配設され、脚回り部の近傍において、前記脚回り用弾性部材と略平行に配設されたものである。
【００１５】
そして、複数の臀部用弾性部材を、背側胴回り部の両側縁において、脚回り用弾性部材と略平行に、かつ互いに所定の間隔以下の間隔に配設し、背側胴回り部の両側縁と吸収体の側縁との中間部において、所定の間隔に離間して円弧状に配設し、吸収体の両側縁近傍において、所定の間隔以下の間隔に配設することにより、臀部用弾性部材を多くしすぎることなく、臀部領域全体に伸縮性を与えることができ、密着性が向上する。また、脚回り部の近傍の臀部用弾性部材は、脚回り用弾性部材と平行に配設することにより、脚回り用弾性部材とともに伸縮して脚回り開口部の密着性が向上する。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の使い捨て吸収性物品の前提技術の構成を図１および図２を参照して説明する。
【００１７】
図１において、使い捨て吸収性物品は、例えば使い捨て紙おむつであり、吸収性物品体としてのおむつ体１を備えている。このおむつ体１は、図１に示す展開状態から図２に示すパンツ形状にすることで、例えば病人、失禁者などの装着者の背部側から腹部側に身体に沿って装着するものである。そして、このおむつ体１は、透液性を有する透液性表面シート２、不透液性を有する不透液性裏面シート３、これら透液性表面シート２と不透液性裏面シート３との間に配設された液吸収性を有する吸収体４、および不透液性裏面シート３の外面側に結合された外装シート５にて層状に形成されている。
【００１８】
また、透液性表面シート２と不透液性裏面シート３とは、周縁部が例えば接着剤などで接合されて吸収体４が封着されている。
【００１９】
ここで、透液性表面シート２は、例えば織布、不織布、多孔性フィルム、或いは合成繊維などの、透液性および通気性を有しかつ肌着に近い感触のシート材で形成され、尿などの排泄液を吸収体４へ透過するとともに、身体に直接接触しても不快感を与えないようになっている。
【００２０】
また、不透液性裏面シート３は、例えばポリエチレン（polyethylene）樹脂などの合成樹脂など、不透液性および通気性を有したシート材にて形成され、尿などの排泄液にて例えば下着などの他の衣類、或いはシーツなどの汚れを防止している。
【００２１】
さらに、吸収体４は、例えばパルプを主とする材料であって一部に高分子吸収体などの物質を含んだ材料にてシート状に形成され、尿などの排泄液を充分に吸収する。
【００２２】
そして、これら透液性表面シート２、不透液性裏面シート３および吸収体４は、おむつ体１の長手方向に略沿って略矩形状に順次形成されている。
【００２３】
さらに、外装シート５は、透液性表面シート２、不透液性裏面シート３および吸収体４よりも大きく形成され、通気性および不透液性を有する内側シート片11と外側シート片12が、厚さ方向に重ね合わせて一体的に接合して形成され、不透液性裏面シート３の外側面が内側シート片11に例えば接着剤などにて接合されている。
【００２４】
そして、この外装シート５は、展開状態で背側胴回り部13、股下回り部14および腹側胴回り部15がおむつ体１の長手方向に順次一体的に形成されるとともに、長手方向に略沿った中心線にて線対称な略矩形状に形成されて、この股下回り部14の幅方向の両側縁には、略凹弧状に切り欠き形成された脚回り部16が形成されている。
【００２５】
また、透液性表面シート２、不透液性裏面シート３および吸収体４は、おむつ体１の外装シート５の長手方向に略沿った状態で、背側胴回り部13、股下回り部14および腹側胴回り部15の略中央に亘って配設されている。
【００２６】
さらに、おむつ体１の外装シート５の背側胴回り部13は、展開状態におけるおむつ体１の長手方向の一端側に形成され、この展開状態からおむつ体１が適宜折り曲げられて、装着者の腰回りの背部側に位置する部分となっている。そして、この背側胴回り部13の両外側縁部には、図示しない背側結合部が形成されている。
【００２７】
また、おむつ体１の股下回り部14は、展開状態における長手方向の中間部に、背側胴回り部13から腹側胴回り部15に亘っておむつ体１の長手方向側に連続して一体に形成され、この展開状態からおむつ体１が適宜折り曲げられて、装着者の股下に位置する部分となっている。
【００２８】
そして、おむつ体１の腹側胴回り部15は、展開状態におけるおむつ体１の長手方向の股下回り部14の背側胴回り部13と反対側の他端側に連続して一体に形成され、この展開状態からおむつ体１が適宜折り曲げられて、装着者の腰回りの腹部側に位置する部分となっている。また、この腹側胴回り部15は、背側胴回り部13と同様に、おむつ体１の幅方向に略沿った長手方向を有した略矩形状に形成されている。
【００２９】
さらに、腹側胴回り部15の両外側部近傍には、背側胴回り部13の背側結合部と接合される図示しない腹側結合部が設けられている。そして、これら腹側結合部を背側結合部と接合することにより、図２に示すように、背側胴回り部13および腹側胴回り部15により腰回り開口部21が形成され、かつ一対の脚回り部16により一対の脚回り開口部22が形成されるパンツ形状となる。
【００３０】
また、背側胴回り部13および腹側胴回り部15における内側シート片11および外側シート片12の間には、図１に示すように、複数本、例えば３本の腰回り用弾性部材23が配設されている。これら腰回り用弾性部材23は、例えば紐状ゴムなどの伸縮可能な部材であり、背側胴回り部13の幅方向に伸張した状態で、この背側胴回り部13の幅方向に沿って接着剤などにてそれぞれ固着され、おむつ体１の長手方向に互いに略等間隔に離間されて配設されている。したがって、これら腰回り用弾性部材23は、おむつ体１を図２に示すパンツ形状に形成した際の腰回り開口部21の縁部の全周に亘って配設されている。この結果、これら腰回り用弾性部材23にて、背側胴回り部13および腹側胴回り部15の略全域、すなわち装着者の腰回りの略全周に亘って伸縮性が付与される。
【００３１】
さらに、背側胴回り部13における内側シート片11および外側シート片12の間には、複数、例えば４本の背側弾性部材24が配設されている。これら背側弾性部材24は、例えば紐状ゴムなどの伸縮自在の部材であり、背側胴回り部13の幅方向に沿って伸張した状態で接着剤などにて固着され、おむつ体１の長手方向に互いに略等間隔に離間されて配設されている。
【００３２】
そして、これら背側弾性部材24は、背側胴回り部13の幅方向に伸縮可能であり、これら背側弾性部材24により、背側胴回り部13が幅方向に伸縮可能となっている。さらに、背側胴回り部13には、図２に示すように、背側弾性部材24により、おむつ体１の長手方向に沿って背側弾性領域25が形成されている。この背側弾性領域25は、伸張応力が例えば１．５Ｎに設定されている。
【００３３】
さらに、腹側胴回り部15における内側シート片11および外側シート片12の間には、図１に示すように、複数、例えば４本の腹側弾性部材26が配設されている。
【００３４】
また、これら腹側弾性部材26は、例えば紐状ゴムなどの伸縮自在の部材であり、腹側胴回り部15の幅方向に沿って伸張した状態で接着剤などにて固着され、おむつ体１の長手方向に互いに略等間隔に離間されて配設されている。
【００３５】
そして、これら腹側弾性部材26は、腹側胴回り部15の幅方向に伸縮可能であり、これら腹側弾性部材26により、腹側胴回り部15が幅方向に伸縮可能となっている。さらに、腹側胴回り部15には、図２に示すように、腹側弾性部材26により、おむつ体１の長手方向に沿って腹側弾性領域27が形成されている。この腹側弾性領域27は、応力が例えば１．５Ｎに設定されている。
【００３６】
また、各腹側弾性部材26は、おむつ体１をパンツ形状に形成した際に、各背側弾性部材24と略等しい位置に配設されている。このため、おむつ体１をパンツ形状に形成した際に、各背側弾性部材24と各腹側弾性部材26との両端部が互いにそれぞれ連結され、実質的に装着者の胴回り全周に亘って伸縮性が付与される。
【００３７】
また、外装シート５の内側シート片11および外側シート片12の間に位置した両脚回り部16の近傍における内側シート片11および外側シート片12の間には、図１に示すように、例えば紐状ゴムなどの脚回り用弾性部材28が伸張された状態で複数、例えば左右２本ずつ、計４本配設されている。このため、脚回り部16には、脚回り用弾性部材28にて、おむつ体１の長手方向および幅方向に伸縮性が付与され、おむつ体１の脚回り部16はギャザ部に形成される。この脚回り部16の近傍の伸張応力は、例えば１．５Ｎに設定されている。
【００３８】
さらに、おむつ体１における脚回り部16に最も近い背側弾性部材24、脚回り用弾性部材28および吸収体４の両側縁部で囲まれた領域は、パンツ形状に形成した際に装着者の臀部に密着する臀部領域31，31となっている。これら臀部領域31，31における内側シート片11および外側シート片12の間には、例えば紐状ゴムなどの臀部用弾性部材32が、伸張された状態で複数、例えば３本ずつ、計６本配設されている。
【００３９】
これら臀部用弾性部材32は、背側胴回り部13の両側縁部における脚回り部16寄りの位置から、脚回り部16に向けて直線傾斜状に配設されている。また、これら臀部用弾性部材32は、互いに略等間隔に離間されている。すなわち、これら臀部用弾性部材32は、互いに略平行に配設されている。さらに、各臀部用弾性部材32は、吸収体４の側縁部の近傍まで延設されている。
【００４０】
また、各臀部用弾性部材23は、背側弾性部材24、腹側弾性部材26および脚回り用弾性部材28よりも伸張応力が小さい状態で配設され、好ましくは臀部領域31，31の応力が１．０Ｎ程度になるように伸長されている。これは、人間の体型において臀部は胴回りおよび脚回りよりも膨らんでいるため、臀部領域31，31の応力を背側弾性領域25、腹側弾性領域27および脚回り部16近傍の応力よりも大きくすると、装着者の臀部を必要以上に圧迫するおそれがあるからである。
【００４１】
そして、おむつ体１における脚回り部16に最も近い腹側弾性部材26、脚回り用弾性部材28および吸収体４の両側縁部で囲まれた領域は、パンツ形状に形成した際に装着者の鼠蹊部に密着する鼠蹊部領域33，33となっている。これら鼠蹊部領域33，33における内側シート片11および外側シート片12の間には、例えば紐状ゴムなどの鼠蹊部用弾性部材34が、伸張された状態で複数、例えば３本ずつ、計６本配設されている。
【００４２】
これら鼠蹊部用弾性部材34は、腹側胴回り部15の両側縁部における脚回り部16寄りの位置から、脚回り部16に向けて直線傾斜状に配設されている。また、これら鼠蹊部用弾性部材34は、互いに略等間隔に離間されている。すなわち、これら鼠蹊部用弾性部材34は、互いに略平行に配設されている。さらに、各鼠蹊部用弾性部材34は、吸収体４の側縁部の近傍まで延設されている。そして、これら鼠蹊部用弾性部材34は、臀部用弾性部材32とおむつ体１の長手方向に互いに略線対称な位置に配設されている。
【００４３】
次に、上記前提技術の作用効果を説明する。
【００４４】
まず、装着に際しては、おむつ体１を図２に示すパンツ形状に形成してパンツのように装着する。
【００４５】
このとき、脚回り部16に最も近い背側弾性部材24、脚回り用弾性部材28および吸収体４の両側縁部で囲まれる臀部領域31，31に、臀部用弾性部材32を、背側胴回り部13の両側縁部から脚回り部16に向けて直線傾斜状に配設したので、背側弾性部材24、腹側弾性部材26、脚回り用弾性部材28および臀部用弾性部材32にておむつ体１が全体に亘って装着者の肌に密着し、かつずれを防止して、排泄液の漏れを防止する。
【００４６】
また、臀部用弾性部材32の伸張応力を、背側弾性部材24、腹側弾性部材26および脚回り用弾性部材28よりも小さくすることにより、臀部用弾性部材32にて臀部を必要以上に圧迫せず、装着した際の違和感を生じないなど、あたかも下着を装着しているかのような良好な装着感を得ることができる。
【００４７】
さらに、臀部用弾性部材32を傾斜状に配設したことにより、臀部領域31，31がおむつ体１の長手方向および幅方向に伸縮して臀部領域31，31の密着性が向上するため、おむつ体１の長手方向および幅方向に沿ってそれぞれ弾性部材を配設した場合と比較して、使用する弾性部材の量を低減でき、製造コストを抑制できる。
【００４８】
そして、臀部領域31，31にのみ臀部用弾性部材32を配設したことで、吸収体４が必要以上に伸縮することがなく、吸収体４に皺が形成されて排泄液が漏れることなどを防止できる。
【００４９】
また、鼠蹊部領域33，33に鼠蹊部用弾性部材34を配設したことにより、おむつ体１をパンツ形状にして装着した際に、鼠蹊部領域33，33が鼠蹊部用弾性部材34にて伸縮して、装着者の鼠蹊部への密着性が向上し、より良好な装着感を得ることができる。
【００５０】
なお、上記前提技術において、鼠蹊部領域33，33には、鼠蹊部用弾性部材34を配設しなくてもよい。この場合には、おむつ体１全体で使用する弾性部材の量を低減して製造コストを抑制できる。
【００５１】
また、臀部用弾性部材32は、背側胴回り部13の両側縁部における脚回り部16寄りの位置から、脚回り部16に向けて傾斜状に配設する際に、円弧状に配設してもよい。
【００５２】
次に、本発明の第１の実施の形態を、図３を参照して説明する。
【００５３】
この図３に示す実施の形態は、上記図１および図２に示す前提技術と基本的に同様の構成を有しているが、臀部用弾性部材32は、臀部領域31，31から鼠蹊部領域33，33に亘って連続的に配設されている。したがって、鼠蹊部用弾性部材34は、鼠蹊部領域33，33に配設されていない。
【００５４】
また、臀部用弾性部材32は、背側胴回り部13の両側縁である第１の領域41，41において、脚回り用弾性部材28と略平行に、かつ互いに所定の間隔以下の間隔、例えば互いに重なり合うように配設されている。
【００５５】
さらに、臀部用弾性部材32は、背側胴回り部13の両側縁と吸収体４の側縁との中間部である第２の領域42，42において、所定の間隔に離間して円弧状に配設されている。したがって、臀部用弾性部材32は、第２の領域42，42において、第１の領域41，41に配設された部分よりも互いの間隔が広くなるように配設されている。
【００５６】
そして、臀部用弾性部材32は、吸収体４の両側縁近傍である第３の領域43，43において、所定の間隔以下の間隔、例えば互いに重なり合うように配設されている。
【００５７】
また、臀部用弾性部材32は、脚回り部16の近傍において、脚回り用弾性部材28と略平行になるように配設されている。
【００５８】
さらに、臀部用弾性部材32は、鼠蹊部領域33，33において、臀部領域31，31と略同様に配設されている。
【００５９】
そして、装着に際しては、おむつ体１をパンツ形状に形成して、パンツのように装着すると、臀部領域31，31が臀部用弾性部材32により伸縮して、装着者の臀部に密着する。
【００６０】
このとき、臀部用弾性部材32を、第１の領域41，41において、脚回り用弾性部材28と略平行に、かつ互いに重なり合うように配設し、第２の領域42，42において、第１の領域41，41に配設した部分よりも互いに離間して円弧状に配設し、第３の領域43，43において、互いに重なり合うように配設したことにより、臀部用弾性部材32の本数を多くしすぎることなく、臀部領域31，31全体に伸縮性を与えることができ、臀部領域31，31の装着者の臀部への密着性を向上できる。
【００６１】
また、脚回り部16の近傍の臀部用弾性部材32を、脚回り用弾性部材28と平行に配設したことにより、脚回り部16の近傍の臀部用弾性部材32が、脚回り用弾性部材28とともに伸縮し、脚回り開口部22の装着者の脚回りへの密着性を向上できる。
【００６２】
さらに、臀部用弾性部材32を鼠蹊部領域33，33に延設したことにより、臀部用弾性部材32で鼠蹊部領域33，33を伸縮させて、鼠蹊部領域33，33の装着者の鼠蹊部への密着性を向上できる。
【００６３】
なお、上記第１の実施の形態において、臀部用弾性部材32は、第１の領域41，41および第３の領域43，43に配設する際に、第２の領域42，42に配設した部分よりも狭い間隔に配設し、互いに重なり合わないようにしてもよい。
【００６４】
また、上記第１の実施の形態において、図４に示すように、臀部用弾性部材32を、一方の臀部領域31から他方の臀部領域31に亘って、股下回り部14で吸収体４を横断して配設した構成も可能である。この場合には、臀部用弾性部材32における吸収体４を横断する部分を、実質的に伸張応力がない状態、すなわち無延伸状態にして配設し、吸収体４に皺が形成されて漏れを生じないようにする。
【００６５】
さらに、臀部用弾性部材32は、フィルム状の弾性部材としてもよい。
【００６６】
【発明の効果】
請求項１記載の使い捨て吸収性物品によれば、脚回り部に最も近い背側弾性部材、脚回り用弾性部材および吸収体の両側縁部で囲まれる臀部領域に、臀部用弾性部材を、背側胴回り部の両側縁部から脚回り部に向けて傾斜状に複数配設し、かつ、背側胴回り部の両側縁と吸収体の側縁との中間部において、お互いの間隔が広くなるように配設することにより、背側弾性部材、腹側弾性部材、脚回り用弾性部材および臀部用弾性部材にて吸収性物品体が全体に亘って装着者の肌に密着し、かつずれを防止して、排泄液の漏れを防止でき、良好な装着感を得ることができるとともに、臀部用弾性部材の本数を多くしすぎることなく、臀部領域全体に伸縮性を与えることができ、臀部領域の装着者の臀部への密着性を向上できる。
【００６７】
請求項２記載の使い捨て吸収性物品によれば、臀部用弾性部材の伸張応力を、背側弾性部材、腹側弾性部材および脚回り用弾性部材よりも小さくすることにより、臀部用弾性部材にて臀部を必要以上に圧迫せず、装着した際の違和感を生じずに、より良好な装着感を得ることができる。
【００６８】
請求項３記載の使い捨て吸収性物品によれば、複数の臀部用弾性部材を、背側胴回り部の両側縁において、脚回り用弾性部材と略平行に、かつ互いに所定の間隔以下の間隔に配設し、背側胴回り部の両側縁と吸収体の側縁との中間部において、所定の間隔に離間して円弧状に配設し、吸収体の両側縁近傍において、所定の間隔以下の間隔に配設することにより、臀部用弾性部材を多くしすぎることなく、臀部領域全体に伸縮性を与えることができ、密着性を向上できる。また、脚回り部の近傍の臀部用弾性部材は、脚回り用弾性部材と平行に配設することにより、脚回り用弾性部材とともに伸縮して脚回り開口部の密着性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の使い捨て吸収性物品の前提技術を示す平面図である。
【図２】同上使い捨て吸収性物品を示す斜視図である。
【図３】本発明の使い捨て吸収性物品の第１の実施の形態を示す平面図である。
【図４】同上使い捨て吸収性物品の他の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
１吸収性物品体としてのおむつ体
２透液性表面シート
３不透液性裏面シート
４吸収体
５外装シート
13 背側胴回り部
14 股下回り部
15 腹側胴回り部
16 脚回り部
21 腰回り開口部
22 脚回り開口部
23 腰回り用弾性部材
24 背側弾性部材
26 腹側弾性部材
28 脚回り用弾性部材
31 臀部領域
32 臀部用弾性部材

Claims

透液性表面シート、不透液性裏面シートおよびこれら透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に配設された吸収体と、前記不透液性裏面シートの外面側に結合された外装シートとを有し、背側胴回り部、両側に脚回り部を形成した股下回り部、および腹側胴回り部が長手方向に順次一体的に形成され、かつ前記背側胴回り部の幅方向の両側部と前記腹側胴回り部の幅方向の両側部とが接合されて腰回り開口部および一対の脚回り開口部が形成される吸収性物品体を備え、
前記腰回り開口部には、縁部の全周に亘って伸縮可能な腰回り用弾性部材が配設され、
前記背側胴回り部には、幅方向に伸縮可能な背側弾性部材が前記吸収性物品体の幅方向に沿って配設され、
前記腹側胴回り部には、幅方向に伸縮可能な腹側弾性部材が前記吸収性物品体の幅方向に沿って配設され、
前記脚回り開口部には、縁部の全周に亘って伸縮可能な脚回り用弾性部材が配設され、
前記脚回り部に最も近い前記背側弾性部材、前記脚回り用弾性部材および前記吸収体の両側縁部で囲まれる臀部領域には、臀部用弾性部材が、前記背側胴回り部の両側縁部から脚回り部に向けて傾斜状に複数配設され、かつ、前記背側胴回り部の両側縁と前記吸収体の側縁との中間部において、お互いの間隔が広くなるように配設されている
ことを特徴とした使い捨て吸収性物品。
臀部用弾性部材は、背側弾性部材、腹側弾性部材および脚回り用弾性部材よりも伸張応力が小さい
ことを特徴とした請求項１記載の使い捨て吸収性物品。
臀部用弾性部材は、
背側胴回り部の両側縁において、脚回り用弾性部材と略平行に、かつ互いに所定の間隔以下の間隔に配設され、
前記背側胴回り部の両側縁と吸収体の側縁との中間部において、所定の間隔に離間されて円弧状に配設され、
前記吸収体の両側縁近傍において、互いに所定の間隔以下の間隔に配設され、
脚回り部の近傍において、前記脚回り用弾性部材と略平行に配設された
ことを特徴とした請求項１または２記載の使い捨て吸収性物品。