JP4027984B2 - 組換えn―プロテイナーゼ、及びその製造、方法及び使用 - Google Patents

組換えn―プロテイナーゼ、及びその製造、方法及び使用 Download PDF

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Description

本明細書中に開示した情報の一部は米国国立衛生研究所(National Institute of Health)から授与された米国政府のグラントによってなされたものである。米国政府は本明細書に開示した発明について一定の権利を有しうる。
I.発明の分野
本発明はN-プロテイナーゼ及びその製造、使用及び方法に関する。
II.発明の背景
細胞外マトリックス
細胞外マトリックスの成分として最も豊富なものはコラーゲンである。コラーゲン分子は通常、三重らせんドメインを形成しうる(-Gly-X-Y-)nリピートをその一次構造中に含む三本のポリペプチド鎖の三量体形成の結果できるものである(Van der Restら,1991,FASEB J.5:2814-2823)。
コラーゲンI,II及びIII型を含む、線維状コラーゲンは、その生合成の過程でプロコラーゲンとして知られている前駆体として合成される。これらのプロコラーゲンは中央部に三重らせんコラーゲンドメインがあり、その分子のカルボキシル末端及びアミノ末端の双方がプロペプチドで延長されたものから成る。これらのプロペプチドはC-プロペプチド(プロコラーゲンのカルボキシル末端に認められるプロペプチドを示す)及びN-プロペプチド(プロコラーゲンのアミノ末端に認められるプロペプチドを示す)と名付けられ、翻訳後の過程において酵素C-プロテイナーゼ及びN-プロテイナーゼによってそれぞれ切断される。
コラーゲンの異常生成を伴う疾患
不適当なあるいは制御されないコラーゲンの生成を伴う重篤な疾患は多数あり、それらには心内膜硬化症、特発性間質性線維症、間質性肺線維症、筋周囲線維症、シンマース線維症、中心周囲線維症、肝炎、皮膚線維症、胆汁性肝硬変、アルコール性肝硬変、急性肺線維症、特発性肺線維症、急性呼吸困難症候群、腎線維症/糸球体腎炎、腎線維症/糖尿病性腎症、強皮症/全身性、強皮症/局所性、ケロイド、肥厚性瘢痕、重症関節癒着/関節炎、骨髄線維症、角膜瘢痕、嚢疱性線維症、ドゥシェーヌ型筋ジストロフィー、心線維症、筋線維症/網膜剥離、食道狭窄、payroules病を含む病的線維症あるいは瘢痕形成がある。さらに線維性疾患は瘢痕修正/形成手術、緑内障、白内障性線維症、角膜瘢痕、関節癒着、移植片対宿主病、腱手術、神経エントラップメント、デュプイトラン拘縮、産婦人科における癒着/線維症、骨盤癒着、硬膜外線維症、再発狭窄症などのように手術によっても誘発あるいは惹起される。これらの疾病の治療戦略の一つはコラーゲンの病的な過剰生成を阻害することである。コラーゲンの生成及びプロセシングに関与する酵素類の単離と同定は、医薬品開発のための標的を与えるという点で医学的に非常に興味深い。
同様に、コラーゲンの病的な過少生成の結果として生ずる疾患の治療戦略として、その過少生成がプロコラーゲンの不適当なプロセシングの結果起こったものである場合には、C-プロテイナーゼの投与がある。
N-プロテイナーゼ
N-プロテイナーゼはプロコラーゲン分子からN-プロペプチドを切断する役割をする、翻訳後に働く酵素である。III型N-プロテイナーゼはIII型プロコラーゲンに特異的であり、III型プロコラーゲンからのみN-プロペプチドを切り出す。これに対してI型N-プロテイナーゼはI型及びII型コラーゲンの両者に対して働く。
ニワトリ胚などの天然材料からのI型及びIII型N-プロテイナーゼの精製は既に報告されている。例えば、III型N-プロテイナーゼに関しては、腹水及び胎盤からのヒトの酵素の単離精製が1985年及び1986年にそれぞれ報告されている。Niemelaら, 1985, Biochem. J. 232:145-150; HalilaとPeltonen, 1986, Biochem. J. 239:47-52を参照のこと。ニワトリ及びウシからのI型N-プロテイナーゼの単離と部分精製についても既に報告されている。Kohnら, 1974, Proc. Natl. Acad. Sci.USA71:44; TudermanとProckop, 1982, Eur. J. Biochem. 125:545-549; Tazawaら, 1985, J. Biol. Chem.260:1120-1126; Hojimaら, 1994, J. Biol. Chem.269:11381-11390; Coligeら, 1995, J. Biol. Chem.270:16724-16730を参照のこと。
精製された天然型N-プロテイナーゼについて、I型及びIII型の両者ともその反応速度論が研究されている(DombrowskiとProckop, 1988, J.Biol.Chem. 263:16545-16552)。しかし本発明以前には、N-プロテイナーゼのヌクレオチド配列は決定されておらず、従って組換えN-プロテイナーゼの製造法は未知であった。
III.発明の概要
N-プロテイナーゼは、約70kDaの長さの分子からなる「短」型と、約130kDaの長さの分子からなる「長」型の二種類の形で存在する。本発明はN-プロテイナーゼの短型及び長型の双方、及びそれらの二種のN-プロテイナーゼの断片でプロコラーゲンからN-プロペプチドを切断する能力を有するものをコードするポリヌクレオチド配列を提示するものである。
さらに本発明は、本発明のポリヌクレオチド配列に対応するあるいは由来する合成あるいは組換え組成物をも提示する。本発明の実施態様の一つにおいてはその組成物はアッセイに使用するため放射標識される。
また、本発明はN-プロテイナーゼ及び関連組成物の合成あるいは組換えによる製造に関する。N-プロテイナーゼが組換えで製造される場合には、酵母、植物細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞、及び大腸菌発現系などの各種の組換え発現系を用いうることを意図する。
IV.定義
本明細書では「N-プロテイナーゼ」という用語は:(1)図1A-1Cに示す核酸配列から導かれる図1Dに示すアミノ酸配列によってコードされるタンパク質、図2Aに示す核酸配列から導かれる図2Bに示すアミノ酸配列によってコードされるタンパク質、及び図4A-4Bに示す核酸配列によってコードされるアミノ酸配列;(2)図1A-1C、図2A、及び図4A-4Bに示す核酸配列から導かれるアミノ酸配列によってコードされるタンパク質であり、1つ以上のアミノ酸が付加され、除去され、変異され、置換され、あるいは何らかの変化を受け(誘導体)、当該タンパク質をコードするヌクレオチド配列が図1A-1C、図2A、及び図4A-4Bに示す核酸配列とストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件下でハイブリダイズしうる、N-プロテイナーゼ活性を有するタンパク質;(3)N-プロテイナーゼの断片あるいはその誘導体;及び(4)図1A-1C、図2A、及び図4A-4Bに示す核酸配列に対応する遺伝子の天然に存在する対立遺伝子あるいは相同体(homolog)によってコードされるタンパク質、を意味する。
本明細書では「ポリヌクレオチド」という用語は、DNA、cDNA及び/またはRNAを示し、それらにはゲノムDNA及びmRNAを含む。
本明細書では「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、(1)洗浄を低イオン強度及び高温、例えば0.015M NaCl/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%SDS, 50℃で行うか、(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミドなどの変性剤を例えば、0.1%ウシ血清アルブミン加50%(vol/vol)ホルムアミド/0.1% Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5, 42℃, 750mM NaCl、75mMクエン酸ナトリウムを添加したもの)として用いるか、あるいは(3)50%ホルムアミド、5x SSC(0.75M NaCl、0.075Mピロリン酸ナトリウム)、5xデンハート溶液、超音波処理したサケ精子DNA(50g/ml)、0.1%SDS、及び10%デキストラン硫酸を42℃で用い、0.2xSSC及び0.1%SDS, 42℃中での洗浄を行う、というハイブリダイゼーション条件を示している。
本明細書中では「組換え発現ベクター」とは、N-プロテイナーゼ配列の挿入又は取り込みに用いられてきた当業界では既知のプラスミド、ウイルス、あるいはその他の運搬体を示している。
【図面の簡単な説明】
図1AはヒトN-プロテイナーゼの130kDa(「長」)型の1から2450の位置の核酸配列を示す。
図1BはヒトN-プロテイナーゼの長型の2451から4900の位置の核酸配列を示す。
図1CはヒトN-プロテイナーゼの長型の4901から6692の位置の核酸配列を示す。
図1DはヒトN-プロテイナーゼの長型のアミノ酸配列を示す。
図2AはヒトN-プロテイナーゼの70kDa(「短」)型の核酸配列を示す。
図2BはヒトN-プロテイナーゼの短型のアミノ酸配列を示す。
図3はC-プロテイナーゼとN-プロテイナーゼの構造の比較を図示したものであり、それらのプロテイナーゼの不活性型から活性型への切断予測箇所を示す。
図4AはウシN-プロテイナーゼの1から2450の位置の核酸配列を示す。
図4BはウシN-プロテイナーゼの2451から4580の位置の核酸配列を示す。
図5は図4A及び4Bに示した配列から導かれたウシN-プロテイナーゼのアミノ酸配列を示す。
図6はウシN-プロテイナーゼをコードする核酸分子の単離に用いたオリゴヌクレオチドプローブを示す。
VI.発明の詳細な説明
A.N-プロテイナーゼをコードするポリヌクレオチド配列
N-プロテイナーゼをコードする核酸配列
N-プロテイナーゼはHojimaら(1989, J. Biol. Chem. 264:11336-11345)およびHojimaら(1994, J. Biol. Chem. 269:11381-11390)の記載した方法に従って単離しうる。本発明の好ましい実施態様においては、N-プロテイナーゼは、Coligeら(1995, J. Biol. Chem. 270:16724-16730)が記載した方法で精製した当該酵素をマウスに注射して得られたモノクローナル抗体を用いてさらに精製しうる。
この酵素はアミノ末端がブロックされているので市販の機器を用いてN-プロテイナーゼのアミノ酸を決定することは出来ない。従って、好ましい実施態様においては、N-プロテイナーゼのアミノ酸配列は、(1)エンドプロテイナーゼLysCでその酵素を分解し;(2)その結果得られた内部ペプチドを逆相クロマトグラフィーで分析し;(3)その結果得られた各ピーク物質の配列を調べることによって決定される。
決定したアミノ酸配列を用いてN-プロテイナーゼペプチド断片を検出するための核酸プローブを調製しうる。そのようなプローブは化学的に合成可能で、標識可能である。これら及びその他のプローブの調製法は、Sambrookら, 1990, 分子クローニング、実験マニュアル第2版(Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2d. Ed.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkの10-11章に概説されている。核酸プローブは上記のSambrookらの13章に概説されている方法のいずれかを用いて配列を決定しうる。これらの核酸プローブは単離物の広範囲のライブラリーのスクリーニングに用いることができ、さらにN-プロテイナーゼをコードする核酸配列の全長の特性を明らかにすることができる。例えば、これらのプローブはバクテリオファージのcDNAライブラリーや、pcDNA1などの哺乳類発現ベクターを用いて構築したライブラリーなどの他のcDNAライブラリー及びゲノムライブラリーのスクリーニングに用いることができる。
また、N-プロテイナーゼをコードする遺伝子は、N-プロテイナーゼの推定ヌクレオチド配列をもとにデザインした縮重させたオリゴヌクレオチド配列プライマープールを1種又はそれ以上用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うことによって単離しうる。PCRを用いてタンパク質の核酸配列を同定する方法については例えばSambrookらの上述の総説の14章に述べられている。
N-プロテイナーゼをコードする核酸配列を決定し、これらを図1A-1C(ヒト)、図2A(ヒト)、及び図4A-4B(ウシ)に示す。本発明のポリヌクレオチド配列は図1A-1C、図2A、及び図4A-4B、及びここに示した配列に対して自然に生ずる対立遺伝子及び相同体類、及び多形性の結果生ずる変異体の配列をも含むものである。
N-プロテイナーゼをコードするその他の核酸配列
本発明に従って、N-プロテイナーゼあるいはそれと同等の機能を有するものをコードするヌクレオチド配列を、当該タンパク質あるいはそれと同等の機能を有するものを適当な宿主細胞中で発現させるための組換えDNA分子を作るために用いうる。あるいはまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でN-プロテイナーゼ配列のある部分とハイブリダイズするヌクレオチド配列をサザン及びノーザンブロット分析などの核酸ハイブリダイゼーションアッセイに用いうる。また別の方法として、N-プロテイナーゼをコードするDNA分子は、共通の構造的特徴を検出するための発現ライブラリーの抗体スクリーニングを含むハイブリダイゼーション法によって単離しうる。
遺伝子コードの縮重によって、本質的に同一あるいは機能的に同等なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列を単離し、N-プロテイナーゼのクローニング及び発現のための本発明の実施に用いることができる。そのようなDNA配列としては、ストリンジェントな条件下でヒトあるいはウシN-プロテイナーゼ配列とハイブリダイズしうる配列を含む。
本発明に従って用いうる変化したDNA配列としては、ヌクレオチド残基の除去、付加、あるいは異なるヌクレオチド残基との置換によって生じた配列であって同一のあるいは機能的に同等の遺伝子産物をコードするものを含む。また、遺伝子産物そのものも、機能的に同等なタンパク質を産生する表に現れない変化を生ずるようなN-プロテイナーゼ配列内でのアミノ酸残基の除去、付加、あるいは置換を含みうる。そのようなアミノ酸の置換は、置換に関与する残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、及び/または両親媒性の類似性をもとに行いうる。例えば、陰性電荷を有するアミノ酸にはアスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ;陽性電荷を有するアミノ酸にはリシン及びアルギニンが含まれ;電荷のない極性頭部をもち親水性が近似しているアミノ酸には以下のものが挙げられる:ロイシン、イソロイシン、バリン;グリシン、アラニン;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;フェニルアラニン、チロシン。
種々の目的でタンパク質配列を変えるために、本発明のDNA配列を遺伝子操作することができ、その目的として例えば遺伝子産物のプロセシング及び発現を変えることがあるが、これに限定されるものではない。例えば部位特異的突然変異誘発を例えば新規の制限部位を挿入させるために用いる、といった当業界でよく知られた技法で突然変異を導入することができる。例えば、酵母などのある種の発現系では、宿主細胞は遺伝子産物への糖付加を過剰に行う可能性がある。そのような発現系を用いる場合には、N-プロテイナーゼコード配列をN-linkedグリコシレーション部位を排除するように変えておくことが好ましいであろう。
N-プロテイナーゼ配列は異種の配列と連結させて融合タンパク質をコードするようになし得る。例えば、融合タンパク質をN-プロテイナーゼ配列と異種タンパク質配列の間に切断部位が位置するように改変することによって、異種タンパク質部分からN-プロテイナーゼが切り離すことができる。
また、N-プロテイナーゼのコード配列は当業界でよく知られた化学的方法を用いてその全て又は一部を合成しうる。例えば、Carutheresら, 1980, Nucleic acids Res. Symp. Ser. 7:215-233; CreaとHorn, 1980, Nucleic Acids Res.9:2331; MatteucciとCaruthers, 1980, Tetrahedron Letters21:719; 及びChowとKempe, 1981, Nucleic Acids Res. 9:2807-2817を参照のこと。あるいはまた別に、当該タンパク質それ自体を、N-プロテイナーゼのアミノ酸配列を全て又は一部を合成する化学的方法を用いて製造しうる。例えば、ペプチドを固相法で合成し、樹脂から切り離し、調製用高速液体クロマトグラフィーで精製することができる。例えば、Creighton, 1983, Proteins Structures And Molecular Principles, W. H.Freeman and Co., N.Y., pp. 50-60を参照のこと。合成ペプチドの組成はアミノ酸分析または配列決定によって確認しうる。例えば、エドマン分解法についてはCreighton, 1983, Proteins Structures And Molecular Principles, W.H.Freeman and Co.,N.Y., pp. 34-49を参照のこと。
B.N-プロテイナーゼコード配列の使用
N-プロテイナーゼコード配列はN-プロテイナーゼ発現を検出するための診断用として用いうる。N-プロテイナーゼの翻訳を阻害する機能を有するアンチセンスRNA及びDNA分子、及びリボザイムを含むオリゴ(リボ)ヌクレオチド配列は本発明の範囲内に含まれる。アンチセンス技法は当業界ではよく知られており、ここに適用しうるものである。
リボザイムはRNAを特異的に切断しうる酵素活性を持つRNA分子である。リボザイムの作用機作としては、リボザイム分子とそれに相補的な標的RNAとの配列特異的ハイブリダイゼーション及びそれに続くヌクレオチド鎖内部での切断を含む。N-プロテイナーゼRNA配列のヌクレオチド鎖内部での切断を特異的かつ効率的に触媒するハンマーヘッドモチーフリボザイム分子を作ることは本発明の範囲に含まれる。
標的となりうるRNA中の特異的リボザイム切断部位は、標的分子をスキャンしてGUA,GUU及びGUCの配列を含むリボザイム切断部位を探すことにより同定される。同定した後、切断部位を含む標的遺伝子の領域に対応する、15個から20個のリボヌクレオチドの短いRNA配列に対し、そのオリゴヌクレオチド配列を不適当なものとする可能性のある二次構造などの予測される構造的特徴を評価しうる。また、標的候補品が適当であるかどうかは、リボヌクレアーゼ防護アッセイを用いて、相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの起こしやすさを調べることによって評価しうる。
本発明のアンチセンスRNAとDNA分子及びリボザイムの双方ともRNA分子の合成法として当業界で知られているいかなる方法を用いても調製しうる。これらの方法としては、例えば固相ホスホルアミダイト化学合成法などの当業界でよく知られたオリゴデオキシリボヌクレオチド化学合成法を含む。また別の方法として、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列の転写をin vitro及びin vivoで行うことによってRNA分子を作りうる。そのようなDNA配列は、T7あるいはSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適当なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込んである多種類のベクター中に組み込むことができる。また別に、アンチセンスRNAを用いるプロモーターに応じて構成的にあるいは誘導的に合成するアンチセンスcDNA構築物を安定に細胞系中に導入することができる。
さらに、優性のネガティブ効果を有するN-プロテイナーゼの変異体を、内部で発現する野生型N-プロテイナーゼの活性を阻害するために標的細胞集団中に発現させることができる。
さらにN-プロテイナーゼをコードするDNAは、その酵素の発現が異常であるために起こる疾病の診断用として多数の使用法がある。例えば、N-プロテイナーゼDNA配列を、発現の異常を診断するために、生検あるいは剖検試料のハイブリダイゼーションアッセイに用いることができる(例えばサザン又はノーザンブロット分析、in situハイブリダイゼーションアッセイ)。
N-プロテイナーゼcDNAもN-プロテイナーゼmRNAの発現を検出するためのプローブとして用いうる。
さらに、胚発生の過程におけるN-プロテイナーゼ発現を、N-プロテイナーゼをコードする核酸を用いて測定しうる。後述するとおり、N-プロテイナーゼの産生が不十分であるとエーラース・ダンロス病などの各種の病態を引き起こす。第VI. H.節を参照のこと。このような結合組織疾患に関連する子宮内病変を予測するために、N-プロテイナーゼをプローブとして用いるin situハイブリダイゼーションを行いうる。さらに、後述するとおり、ここに記載したやり方で組換えによって製造したヒトN-プロテイナーゼの投与を、N-プロテイナーゼの産生が不十分であることに関連した病態の治療に用いることができる。また別に、機能的N-プロテイナーゼが欠損している状態を治療するための遺伝子治療アプローチも行いうる。
細胞内での安定性と半減期を増大させるための手段としてDNA分子に各種の改変を加えうる。可能な改変としては、分子の5'及び/又は3'末端にリボヌクレオチドあるいはデオキシヌクレオチドのフランキング配列の付加、あるいはオリゴデオキシリボヌクレオチド骨格内のホスホジエステル結合の替わりにホスホロチオエートまたは2'O-メチルを使用することなどが挙げられるがそれらに限定されない。
C.N-プロテイナーゼ製造法
N-プロテイナーゼの発現
生物学的に活性なN-プロテイナーゼの発現のため、N-プロテイナーゼあるいは上述の機能的に同等なものをコードするヌクレオチド配列を適当な発現ベクター、すなわち挿入されたコード配列の転写及び翻訳に必要なエレメントを含んでいるベクター中に挿入した。
より特定して言えば、N-プロテイナーゼ配列及び適当な転写/翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築するために、当業界でよく知られた方法を用いうる。それらの方法としては、in vitro組換えDNA技法、合成法、及びin vivo組換え/遺伝的組換えが挙げられる。例えば、Sambrookら, 1990, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y.;及びAusubelら,1989, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.に記載の技法を参照のこと。
N-プロテイナーゼコード配列を発現させるために多種類の宿主-発現ベクター系を用いうる。これらの系としては、N-プロテイナーゼコード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、あるいはコスミドDNA発現ベクターで形質転換させた細菌などの微生物;N-プロテイナーゼコード配列を含む組換え酵母発現ベクターによって形質転換させたPichia Pastoris及びHansenula Polymorphaを含む酵母;N-プロテイナーゼコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;N-プロテイナーゼコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス-CaMV、タバコモザイクウイルス-TMV)を感染させた、あるいは組換えプラスミド発現ベクター(例えばTiプラスミド)で形質転換させた植物細胞系;あるいは、DM染色体中に安定的に増幅させた(CHO/dhfr)あるいは不安定に増幅させたN-プロテイナーゼDNAの複数のコピーを含有するように作成された細胞系(例えばマウス細胞系)を含む、組換えウイルス発現ベクター(例えばアデノウイルス、ワクシニアウイルス、ヒト腫瘍細胞(HT-1080を含む))を感染させた動物細胞系が挙げられるが、それらに限定されない。ここで用いられているとおり、「宿主-発現ベクター系」という用語及びより一般的に「宿主細胞」という用語は宿主細胞及び宿主-発現ベクター系の後代のものを含むものと理解される。さらに、複製の間に変異が起こり得るため、後代のもの全てが親の細胞と同一ではないかもしれないが、そのような後代のものも本発明の範囲内に含まれるものである。
これらの系の発現エレメントはその強度及び特異性が異なる。用いる宿主/ベクター系の如何により、構成プロモーター及び誘導プロモーターを含む多くの適当な転写及び翻訳エレメントのどのようなものでも発現ベクター中に用いうる。例えば、細菌系でクローニングする場合、バクテリオファージ8のpL、plac、ptrp、ptac(ptrp-lacハイブリッドプロモーター)などの誘導プロモーターを使用しうる;昆虫細胞系でクローニングする場合にはバキュロウイルスポリヘドロンプロモーターなどのプロモーターを用いうる;植物細胞系でクローニングする場合には植物細胞ゲノム由来のプロモーター(例えば熱ショックプロモーター、RUBISCOの小サブユニットに対するプロモーター、クロロフィルa/b結合タンパク質に対するプロモーター)、あるいは植物ウイルス由来のプロモーター(例えばCaMVの35S RNAプロモーター、TMVの外殻タンパク質プロモーター)を用いうる;哺乳類細胞系でクローニングする場合には、哺乳類細胞のゲノム由来のプロモーター(例えばメタロチオネインプロモーター)あるいは哺乳類ウイルス由来のプロモーター(例えばアデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を用いうる;N-プロテイナーゼDNAの複数のコピーを含有する細胞系を作る場合には、SV40-, BPV-及びEBV-をベースとしたベクターを適当な選択可能なマーカーとともに用いうる。
細菌系では、発現されるN-プロテイナーゼの使用法の如何によって多数の発現ベクターの中から有利なものを選択することができる。例えば、細菌中での発現に適したベクターとしてRosenbergら, 1987, Gene56:125に記載されているT7ベースのベクターが含まれる。さらに例えば、ペプチドライブラリーをスクリーンするために大量のN-プロテイナーゼを製造する場合には、容易に精製しうるタンパク質産物を高いレベルで発現させるようなベクターが好ましい。そのようなベクターとしては、その内部でN-プロテイナーゼコード配列をlac Zコーディング領域と同じフレームで連結してAS-lac Zハイブリッドタンパク質が産生されるようにした大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherら, 1983, EMBO J. 2:1791);pINベクター(InouyeとInouye, 1985, Nucleic Acids Res.13:3101-3109; Van HeekeとSchuster, 1989, J. Biol. Chem.264:5503-5509)などが挙げられるがそれらに限定されない。pGEXベクターもN-プロテイナーゼなどの外来ポリペプチドをグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)とともに発現させるために用いうる。一般的に、このような融合タンパク質は水溶性で、溶菌した細胞から、グルタチオン-アガロースビーズに吸着させた後フリーのグルタチオンの存在下で溶出させることにより容易に精製しうる。pGEXベクターはクローン化した目的のポリペプチドがGST部分から放出されるようにトロンビン又は第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むようデザインされる。
より一般的には、宿主が原核生物である場合には、DNAを取り込みうる細胞は、対数増殖期後の細胞を採取し、CaCl2あるいはMgCl2又はRbCl2法で、当業界ではよく知られた方法を用いて処理して調製しうる。
宿主細胞が真核生物のものである場合は、DNAを導入するための種々の方法を用いうる。それらとしてはリン酸カルシウム沈降によるDNAのトランスフェクション、マイクロインジェクションを含む従来法の機械的技法、リポソームに保持させたプラスミドの挿入、あるいはウイルスベクターの使用などを含む。また、真核細胞は、本発明のポリペプチドをコードするDNA配列と、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子などの選択可能な表現型をコードする第二の外来DNA分子とで同時形質転換させることもできる。また別の方法としては、真核生物のウイルスベクター、例えばSimian Virus40(SV40)あるいはウシパピローマウイルスを用いて一過性に真核細胞に感染又は形質転換させ、タンパク質を発現させることがある。Eukaryotic Viral Vectors(1992, Cold Spring Harbor Laboratory, Gluzman, Ed.)を参照のこと。真核生物の宿主細胞としては酵母、哺乳類細胞、昆虫細胞、及び植物細胞を含む。
酵母では構成プロモーターあるいは誘導プロモータを含有する多数のベクターが使用しうる。概観するためにはCurrent Protocols in Molecular Biology, Vol.2, 1988, Ausubelら編, Greene Publish. Assoc. and Wiley Interscience, ch 13; Grantら, 1987, Methods in Enzymology, WuとGrossman編, Acad.Press, N.Y., 153:516-544; Glover, 1986, DNA Cloning, Vol.II, IRL Press, Wash. D. C., Ch.3; Bitter, 1987, Heterologous Gene Expression in Yeast, Methods in Enzymology, Berger and Kimmel編, Acad.Press, N.Y., 152:673-684; 及びThe Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces, 1982, Strathernら編, Cold Spring Harbor Press, Vols. I and IIを参照のこと。例えば、酵母中での外来遺伝子の発現のための各種のシャトルベクターが報告されている(Heinemannら, 1989, Nature 340:205; Roseら, 1987, Gene 60:237)。
植物の発現ベクターが用いられる場合には、N-プロテイナーゼコード配列の発現は多数のプロモーターのいずれかによって増強しうる。例えば、CaMVの35S RNA及び19S RNAプロモーターなどのウイルスプロモーター(Brissonら, 1984,Nature310:511-514)、あるいはTMVの外殻タンパク質プロモーター(Takamatsuら, 1987, EMBO J. 6:307-311)を用いうる;あるいは別の方法として、RUBISCOの小サブユニットなどの植物プロモーター(Coruzziら, 1984, EMBO J. 3:1671-1680; Broglieら, 1984, Science 224:838-843);あるいは例えば大豆hsp17.5-E又はhsp17.3-B(Gurleyら, 1986, Mol. Cell. Biol.6:559-565)などの熱ショックプロモーターを用いうる。これらの構築物は、Tiプラスミド、Riプラスミド、植物ウイルスベクター、直接的DNA形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションその他を用いて植物細胞中に導入しうる。これらの技法を概観するためには、例えばWeissbachとWeissbach, 1988, Methods for Plant Molecular Biology, Academic Press, NY, Section VIII, pp.421-463; GriersonとCorey, 1988, Plant Molecular Biology, 2d Ed., Blackie, London, Ch.7-9を参照のこと。
昆虫細胞系では、N-プロテイナーゼを発現させるために別の発現系を用いうる。そのような系の一つとして、バキュロウイルスが外来遺伝子を発現させるためのベクターの一つとして用いられる。その後、バキュロウイルスは昆虫細胞中で増殖する。N-プロテイナーゼコード配列はウイルスの非必須領域(例えばポリヘドロン遺伝子)内にクローン化され、バキュロウイルスプロモーターの制御下に置くことができる。次にこれらの組換えウイルスを昆虫細胞に感染させ、挿入遺伝子を発現させる。例えば、Smithら, 1983, J. Virol. 46:584; Smith,米国特許第4,215,051号を参照のこと。
哺乳類の宿主細胞においては、多数のウイルスベースの発現系が用いうる。発現ベクターとしてアデノウイルスが用いられる場合には、N-プロテイナーゼコード配列はアデノウイルス転写/翻訳制御コンプレックス、例えば 後期プロモーターと3分節リーダー配列、に連結しうる。このキメラ遺伝子をin vitroあるいはin vivo組換えによりアデノウイルスゲノム中に挿入しうる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えばE1又はE3領域)中へ挿入すると、感染宿主中で生存可能でN-プロテイナーゼを発現しうる組換えウイルスが得られる。例えば、LoganとShenk, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3655-3659を参照のこと。また別の方法として、ワクシニアの7.5Kプロモーターも用いうる。例えば、Mackettら, 1982, Proc. Natl. Acad. Sci. USA79:7415-7419; Mackettら, 1984, J. Virol. 49:857-864; Panicaliら, 1982, Proc. Natl. Acad. Sci. USA79:4927-4931を参照のこと。好ましくは、用いる運搬体はForest Semiliki Virusである。
別の実施態様においては、N-プロテイナーゼ配列は、リン酸カルシウム沈降及びネオマイシン耐性遺伝子で安定にトランスフェクトされたヒト腫瘍細胞、例えばHT-1080などの中で発現される。また別の実施態様においては、COS、BHK、293、及びCHO細胞を含む各種の哺乳類細胞中での発現のためにpMSXND発現ベクター又は類似のものが用いられる(LeeとNathans, 1988, J. Biol. Chem. 263:3521)。
挿入されたN-プロテイナーゼコード配列の効率的な翻訳には特定の開始シグナルも必要である。これらのシグナルとしてはATG開始コドン及びその近傍の配列が含まれる。N-プロテイナーゼ自身の開始コドンとその近傍の配列を含む完全長のN-プロテイナーゼ遺伝子を適当な発現ベクター中に挿入する場合には、翻訳制御シグナルを追加する必要はないであろう。しかし、N-プロテイナーゼコード配列の一部分のみが挿入される場合には、ATG開始コドンを含む外因性の翻訳制御シグナルが提供されねばならない。さらに、全挿入配列が確実に翻訳されるためには開始コドンはN-プロテイナーゼコード配列のリーディングフレームと同じでなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは天然及び合成の種々の起源のものを用いうる。発現効率は適当な転写エンハンサーエレメントや転写ターミネーターなどを含ませることによって向上させうる。例えば、Bitterら, 1987, Methods in Enzymol. 153:516-544を参照のこと。
さらに、挿入された配列の発現を変える、あるいは望ましい特定の様式で遺伝子産物を修飾及びプロセシングする宿主細胞株を選択しうる。そのようなタンパク質産物の修飾(例えばグリコシル化)及びプロセシング(例えば切断)は、そのタンパク質の機能にとって重要なものとなりうる。異なる宿主細胞はタンパク質の翻訳後プロセシング及び修飾に対して特徴的かつ特異的なメカニズムを有している。発現した外来タンパク質の正しい修飾とプロセシングを確実に行うために、適当な細胞系あるいは宿主系を選択しうる。このために、一次転写産物の適切なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化及びリン酸化のための細胞内機構を有する真核宿主細胞を用いうる。そのような哺乳類宿主細胞としてはCHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、WI38、HT-1080などが挙げられるがそれらに限定されない。
組換えタンパク質の長期にわたる高収率の産生には、安定な発現が好ましい。例えば、N-プロテイナーゼを安定に発現する細胞系を遺伝子工学的に作りうる。ウイルスの複製起点を有する発現ベクターを用いるよりはむしろ、適当な発現制御エレメント(例えばプロモーター、エンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)によって制御されたN-プロテイナーゼDNA及び選択マーカーとによって宿主細胞を形質転換させうる。外来DNAの導入の後、導入した細胞を富栄養培地中で1-2日間増殖させ、次いで選択培地に変える。組換えプラスミド中の選択マーカーの使用によって、選択に対して耐性が賦与され、細胞がプラスミドをそれ自身の染色体中に安定に組み込み、フォーカスを形成するように増殖し、引き続いてそのフォーカスをクローン化して細胞系へと増やすことができる。
さらに、N-プロテイナーゼをコラーゲンあるいは他のコラーゲン関連酵素と、同一の又は異なる宿主-発現系において同時発現させて、発現したN-プロテイナーゼが第二のタンパク質(例えばプロコラーゲン)のみと直接反応しうるようにすることもできる。
多数の選択系を用いることができ、それらとしては単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら, 1977, Cell11:223)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaとSzybalski, 1962, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:2026)、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら,1980, Cell22:817)遺伝子をそれぞれtk、hgprt、またはaprt細胞に用いることを含むがそれらに限定されない。
また、代謝拮抗物質耐性も選択の基礎条件として用いうる:dhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え(Wiglerら,1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA77:3567; O'Hareら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA78:1527);gptはマイコフェノール酸に対する耐性を与え(MulliganとBerg, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA78:2072);neoはアミノグリコシドG-418に対する耐性を与え(Colberre-Garapinら, 1981, J. Mol. Biol. 150:1);及びhygroはヒグロマイシンに対する耐性を与えるもの(Santerreら, 1984, Gene30:147)である。最近、さらに選択可能な遺伝子が報告されている:すなわち、trpBは細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用できるようにするものであり、hisDは細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用できるようにするものであり(HartmannとMulligan, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA85:8047)、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)はオルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤である2-(ジフルオロメチル)-DL-オルニチン(DFMO)に対する抵抗性を与えるものである(McConlogue, 1987, Current Communications in Molecular Biology, Cold Spring Harbor Laboratory中に記載)。
宿主細胞により発現された本発明のポリペプチドの単離と精製は、例えば分取用クロマトグラフによる分離法や、モノクローナルあるいはポリクローナル抗体を用いる免疫学的分離法などの従来法のいかなるものも用いうる。
N-プロテイナーゼを発現する形質転換体(トランスフェクタントまたはトランスフォーマント)の同定
コード配列を含んでいて生物学的活性遺伝子産物を発現する宿主細胞は、少なくとも4つの一般的なアプローチにより同定することができる。すなわち、(a)DNA-DNAまたはDNA-RNAハイブリダイゼーション、(b)「マーカー」遺伝子機能の存在または不在、(c)宿主細胞におけるN-プロテイナーゼmRNA転写産物の発現により測定するときの転写レベルの評価、そして(d)アッセイまたはその生物学的活性により測定するときの遺伝子産物の検出である。
第一のアプローチによれば、発現ベクターに挿入されたN-プロテイナーゼコード配列の存在は、N-プロテイナーゼコード配列、その一部または誘導体と相同なヌクレオチド配列からなるプローブを用いるDNA-DNAまたはDNA-RNAハイブリダイゼーションによって検出することができる。
第二のアプローチによれば、組換え発現ベクター/宿主系は、ある種の「マーカー」遺伝子機能(例えば、抗生物質耐性、メトトレキセート耐性、形質転換表現型、バキュロウイルスにおける封入体形成など)の存在または不在に基づいて同定・選択することができる。例えば、好ましい態様では、N-プロテイナーゼコード配列を、ベクターのネオマイシン耐性マーカー遺伝子内に挿入する。このN-プロテイナーゼコード配列を含む組換え体は、マーカー遺伝子機能の不在によって検出することができる。あるいはまた、マーカー遺伝子は、N-プロテイナーゼコード配列の発現を制御するために用いられるのと同じまたは異なるプロモーターの制御下でN-プロテイナーゼコード配列とタンデムに配置することもできる。誘導あるいは選択に応答してマーカーが発現すれば、それはN-プロテイナーゼコード配列が発現していることを示す。
第三のアプローチによれば、N-プロテイナーゼコード領域の転写活性は、ハイブリダイゼーションアッセイによって測定することができる。例えば、N-プロテイナーゼコード配列またはその特定部分に相同なプローブを用いるノーザンブロット法によって、RNAを単離・分析することができる。あるいは、宿主細胞の全核酸を抽出して、そのようなプローブに対するハイブリッド形成を評価してもよい。
第四のアプローチは、生物学的に活性な、または免疫学的に反応性のN-プロテイナーゼ遺伝子産物を検出することを含む。N-プロテイナーゼ活性を検出するために、例えば、米国特許第5,408,040号に記載されたアッセイ法をはじめとして、多数のアッセイ法を利用することができる。
D.N-プロテイナーゼの構造
N-プロテイナーゼの構造的構成は、そのタンパク質がラージ・プロ酵素ドメイン、アスタシン・プロテアーゼ様ドメインおよびラージC末端領域を含む同定可能なドメインからなる限りにおいて、C-プロテイナーゼと類似している。N-プロテイナーゼの構造を、C-プロテイナーゼに対比して図3に示す。C-プロテイナーゼとは異なり、N-プロテイナーゼは反復CUBおよびEGF様ドメインを持っていない。むしろ、N-プロテイナーゼを構成する多数の領域は、位置および正体においてC-プロテイナーゼのpCP-2型と同一である1〜4個のアミノ酸を含んでいる。
E.医薬製剤および投与経路
本発明の分子は、様々な疾患を治療または改善する用量で、単独であるいは1以上の分子を適当な担体または賦形剤と混合して医薬組成物として、必要な患者に投与することができる。
組成物がN-プロテイナーゼ単独からなるものでも、また活性成分としてN-プロテイナーゼとその他の薬剤を含む場合であっても、そのような組成物は、製薬上許容できる担体物質(例えば、不活性なゲルまたは液体)に精製N-プロテイナーゼおよびその他の活性成分を混合することで調製される。
治療に有効な量とは、さらに症候改善をもたらすのに十分な化合物の量を意味する。本発明の化合物を製剤化して投与する技術は、Mack Publishing Co.(Easton, PA)刊のRemington's Pharmaceutical Sciences最新版に記載されている。
1.投与経路
適当な投与経路としては、例えば、経口、経直腸、経粘膜または経腸投与;筋内、皮下、髄内、ならびに、鞘内、直接心室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内または眼内への注入を含む非経口投与を挙げることができる。
また本化合物は、全身投与よりもむしろ局所的な投与で、例えば、本化合物を、しばしばデポーあるいは持続放出製剤として、N-プロテイナーゼを必要とする領域へ直接注入する方法により投与することができる。
さらに、本化合物は、標的ドラッグ・デリバリー・システム、例えば、軟骨を標的とする、例えば、特異的抗体でコーティングしたリポソームに当該化合物を保持させて投与することもできる。リポソームは患部組織をねらい打ちし、その患部組織によって選択的に取り込まれる。
2.組成物/製剤
本発明の医薬組成物は、それ自体公知の方法、例えば、常法による混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、トラップ化または凍結乾燥法の手段により製造することができる。
かくして、本発明に従って使用される医薬組成物は、活性分子を医薬として使用可能な製剤へと加工するのを容易にする賦形剤および助剤からなる1種以上の生理学的に許容できる担体を用いて、常法により製剤化することができる。適切な製剤化は選択した投与経路によって変わる。
注射用製剤の場合、本発明の薬剤は、水溶液、好ましくは、ハンクス溶液、リンゲル液、あるいは生理食塩水のような生理学的に適合しうる緩衝液中に製剤化するのがよい。経粘膜投与用としては、浸透させるべきバリアーに適切な浸透剤がその製剤に使用される。そのような浸透剤は当分野において一般に公知である。
経口投与用としては、本化合物は、活性化合物を当分野で周知の製薬上許容できる担体と混合することによって容易に製剤化することができる。そのような担体を使用することで、治療が必要な患者への経口投与用として、本発明の化合物を錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などの形に製剤化することができる。経口投与用の製剤は、固体の賦形剤と混合し、場合により、得られた混合物を粉砕し、必要であれば適当な補助剤を加えた後得られる顆粒混合物を加工して錠剤または糖衣錠のコアを作ることによって得られる。適当な賦形剤としては、特に、乳糖、蔗糖、マンニトールまたはソルビトールを含む糖類のような充填剤;トウモロコシ澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、ジャガイモ澱粉、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)のごときセルロース調製物を挙げることができる。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウムのような塩のごとき崩壊剤を添加してもよい。
糖衣錠のコアには適当なコーティングが施される。この目的のためには濃厚糖溶液を使用することができる。濃厚糖溶液はアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含有してもよい。識別のため、あるいは、活性化合物の服用量の異なる組合せを特徴づけるため、錠剤や糖衣錠には染料または色素を加えることができる。
経口的に使用することができる医薬製剤には、プッシュ・フィット型ゼラチン製カプセル、ゼラチンとグリセロールやソルビトールのような可塑剤とで作った軟質密封カプセルが含まれる。プッシュ・フィット型カプセルは、本活性化合物を、乳糖のような充填剤、澱粉類のような結合剤、および/またはタルクやステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、そして場合により安定化剤と混合して含有することができる。軟質カプセルの場合は、本発明の活性化合物を、適当な液体、例えば、脂肪油、液体パラフィン、液体ポリエチレングリコールなどに溶解または懸濁させることができる。さらに安定化剤を添加してもよい。経口投与用製剤はすべてそのような投与に適当な投薬量でなければならない。
口腔内(バッカル)投与の場合、本組成物は常法により製剤化された錠剤または舐剤の剤形を取ることができる。
吸入投与の場合、本発明に使用する化合物は、適当な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他適当な気体を使用して、加圧パックまたはネブュライザーからエアゾルスプレーの形で投与するのが便利である。加圧エアゾルの場合、その投薬単位は、計測量を配給するバルブによって決めることができる。吸入器またはインサフレーターにおいて使用する、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、本化合物と乳糖や澱粉のごとき適当な粉末基剤との粉末混合物を含むように製剤化することができる。
本発明の分子は、注射、例えばボーラス注射または連続注入による非経口投与用に製剤化することができる。注射用製剤は、保存剤を添加した1回量剤形、例えばアンプル、または複数回量容器に入れて提供することができる。本組成物は油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンの形をとってもよいし、また、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤のような処方用助剤を含有してもよい。
非経口投与用の医薬製剤には、水溶性の形態の本活性化合物の水溶液も含まれる。さらに、本活性化合物の懸濁液は、適当な油性注射懸濁液として調製することができる。適当な親油性溶媒やビヒクルとしてはゴマ油のような脂肪油、オレイン酸エチルやトリグリセリド類のような合成脂肪酸エステル、またはリポソームを挙げることができる。水性注射懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、デキストランのような、懸濁液の粘度を高める物質を含んでいてもよい。場合により、上記懸濁液は、高濃厚溶液の調製を可能にするために本化合物の溶解度を増す適当な安定化剤または助剤を含有してもよい。
また本活性成分は、用時、適当なビヒクル、例えばパイロジェン不含の水、で再調製して使用する粉末剤形としてもよい。
本化合物はまた、例えば、公知の坐薬基剤、例えば、カカオ脂やその他のグリセリド類を含有する坐薬あるいは埋包型浣腸のような直腸組成物に製剤化することができる。
前記製剤に加えて、本組成物はデポー製剤としても製剤化することができる。そのような持続性製剤は、埋め込み(例えば、皮下または筋肉内)あるいは筋注により投与することができる。従って例えば、本化合物は適当なポリマーまたは疎水性の物質(例えば、許容できる油のエマルジョンとして)あるいはイオン交換樹脂と一緒に、または、難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤化することができる。
本発明の疎水性分子用の製薬上の担体は、ベンジルアルコール、非極性の界面活性剤、水混和性有機ポリマーおよび水相からなる共溶媒系である。共溶媒系はVPD共溶媒系であってもよい。VPDは、ベンジルアルコール3% w/v、非極性界面活性剤であるポリソルベート80 8% w/vおよびポリエチレングリコール300 65%w/vを含有する無水エタノール溶液である。このVPD共溶媒系(VPD:5W)は5%デキストロース水溶液で1:1に希釈されたVPDからなる。この共溶媒系は疎水性の化合物をよく溶解し、それ自体は全身投与しても低毒性である。当然、共溶媒系の割合は、その溶解性および毒性を破壊しない限り相当な範囲で変更することができる。さらに、共溶媒成分そのものも変更することができる。例えば、ポリソルベート80の代わりに他の低毒性非極性界面活性剤を使用してもよい。ポリエチレングリコールの分画サイズも変更可能である。また他の生体適合性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンでポリエチレングリコールを置き換えてもよい。さらにデキストロースの代わりに他の糖類や多糖類を使用してもよい。
あるいはまた、疎水性分子用の他のデリバリーシステムも使うことができる。リポソームおよびエマルジョンは、疎水性薬剤用のデリバリービヒクルまたは担体の例として周知である。ジメチルスルホキシドのようなある種の有機溶媒もまた使用することができるが、ただし毒性は通常さらに高くなる。また本化合物は、本治療薬を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスのごとき持続放出性システムを使用して投与することもできる。持続放出性物質については種々のものが確立されており、当業者には周知である。持続放出性カプセルを使用することにより、その化学的性質にもよるが、本化合物を数週間から100日間にわたって放出することができる。治療薬の化学的性質ならびに生物学的安定性によっては、他のタンパク質安定化方法も使用することができる。
本発明の医薬組成物は、さらに適当な固相またはゲル相の担体あるいは賦形剤を含有することができる。そのような担体あるいは賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、澱粉類、セルロース誘導体、ゼラチン、そしてポリエチレングリコールのようなポリマー類を例示することができ、これらに限らない。
3.効果的な投与量
本発明における使用のために適した医薬組成物としては、意図された目的を達成するために効果的な量で活性成分が含有される組成物が挙げられる。より具体的には、治療上効果的な量とは、治療すべき患者の症状の進展を阻止するか、または緩和するために効果的な量を意味する。効果的な量は、特に本明細書の詳細な説明を考慮して、当業者が容易に決定できる。
本発明の方法で使用するいずれの化合物においても、治療上効果的な投与量は、まず細胞培養アッセイから評価することができる。例えば、細胞培養で決定されるIC50(すなわち、N-プロテイナーゼの最大活性の半分を達成する試験化合物濃度)を含む循環濃度範囲を達成するための投与量を動物モデルで決めることができる。こうした情報を利用して、ヒトにおける有効な投与量をより正確に決定することができる。
治療上効果的な投与量とは、患者の症状の改善または生存期間の延長につながる分子の量を言う。こうした分子の毒性および治療効率は、例えばLD50(集団の50%が死亡する投与量)およびED50(集団の50%に治療上の効果がある投与量)を決定するための細胞培養または実験動物を使用した標準的な医薬的手段によって決定することができる。毒性と治療上の効果の投与量の比率は治療指数であり、これはLD50とED50との比率として表すことができる。高い治療指数を示す分子が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物における研究で得られるデータを、ヒトに使用する投与量の範囲を決めるために使用できる。このような分子の投与量は、毒性がないか、またはわずかである、ED50を含む循環濃度範囲内であるのが好ましい。投与量は、使用する投与形態および投与経路に応じて、この範囲内で変えることができる。正確な処方、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師が選択することができる。例えばFinglら、「治療学における製薬の基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」第1章第1頁(1975年)を参照。
投与量および投与間隔は、N-プロテイナーゼの誘導効果を維持するために十分な活性部分の血漿レベル、または最小有効濃度(MEC)を与えるために個別に調整できる。MEC値は各化合物によって異なるが、in vitroのデータ、例えば、本明細書に記載するアッセイを使用して、骨の成長を誘導するN-プロテイナーゼの50〜90%の活性を達成するために必要な濃度から評価できる。MECを達成するために必要な投与量は個々の特性および投与経路に依存するだろう。しかしながら、HPLCアッセイまたはバイオアッセイを使用して血漿濃度を決定することができる。
投与間隔は、MEC値を使用して決定することもできる。化合物の血漿レベルを、(治療)時間の10〜90%、好ましくは30〜90%、最も好ましくは50〜90%の間、MEC以上に維持する投与法を使用すべきである。
局所的な投与または選択的な取り込みの場合には、薬剤の有効局所濃度は血漿濃度と相関性がないかも知れない。
投与する組成物の量は、当然治療する患者に依存し、患者の体重、症状の重さ、投与法および処方する医師の判断に依存するだろう。
4.包装
組成物は、必要に応じて活性成分を含有する1以上の単位投与形態を含むことができるパックまたは分配デバイス中に存在してもよい。パックとしては、例えば金属またはブリスターパック等のプラスティック箔が挙げられる。パックまたは分配デバイスは、投与のための説明を伴うものでもよい。適合しうる医薬担体中に処方された本発明の化合物を含んでなる組成物を調製し、適当な容器に入れ、治療のための条件を示すラベルをつけてもよい。ラベルに示される条件で好適なものとしては、疾患もしくは障害、またはこうした疾患もしくは障害に関連する症状の改善のために本発明の化合物の投与が必要とされる障害または疾患の治療が挙げられる。
F.N-プロテイナーゼ活性の検出のためのアッセイ
N-プロテイナーゼによるN−プロペプチドの分解の測定法は一般に知られている(概観のために、Kadlerら, 1995, Methods Enzymol. 248:756-771を参照)。更に、N-プロテイナーゼ活性の検出および測定のために、急速沈殿アッセイ(rapid precipitation assay)および電気泳動アッセイが有効である(Nusgensら, 1979, Anal. Biochem. 95:406-412を参照)。
急速沈殿アッセイ
急速沈殿アッセイでは、反応産物(プロコラーゲンおよびN-プロテイナーゼまたはN-プロテイナーゼ様タンパク質)を冷エタノールで沈殿させて14C−標識N−プロペプチドを上清中に回収する。より具体的には、タイプIプロコラーゲン10μl(0.1M Tris-HCl、0.4M NaCl、0.01%NaN3、pH7.5中、1.3μg;40,000cpm)を1.5mlのポリプロピレンチューブ中で上記の緩衝液、pH7.5中の酵素試料90μlと共に35℃で1時間インキュベートした。反応混合物の塩濃度は、およそ0.05M Tris-HCl、0.15M NaCl、5mM CaCl2、0.005% Brij35、および0.01%NaN3、pH7.5であった。反応を止めるために、0.15M Tris-HCl、0.3M NaCl、および0.01%NaN3、pH7.5中15mMのEDTA100μl、冷やした(chilled)81%エタノール100μlを添加した。次いで試料を激しく混合し、氷浴中に1時間置き、次に15,000×gで15分間遠心分離した。上清およそ200μlをとり、シンチレーション水溶液5mlに入れ、液体シンチレーションカウンターで2分間計数した。好ましい方法として、試料は全て二重にアッセイする。
酵素なしの試料および反応前にEDTAを添加した試料で約400cpmの値を得た。酵素活性は、バックグラウンドより高い、200〜900cpmの範囲で添加した酵素量およびインキュベーション時間に比例していた。急速アッセイを使用して、標準的な反応条件下、N−プロペプチドが約10%の14C−標識を含有すると仮定して、35℃で1時間にタイプIプロコラーゲン1μgを分解する酵素量に等しい酵素の単位を1ユニットと定義した。
電気泳動アッセイ
N-プロテイナーゼおよびタイプIプロコラーゲンの反応混合物50または100μlを急速検出アッセイで示した方法に従って調製し、次いで該混合物を35℃で15〜180分間インキュベートする。次に該混合物を0.25M Tris-HCl、4%SDS、15mM EDTA、20%グリセロールおよび0.002%ブロムフェノールブルー(4%2−メルカプトエタノール含有または不含有)、pH6.8の50〜100μlと混合する。次いで試料を100℃まで5分間加熱する。次にスタッキングゲル3.5%およびポリアクリルアミド分離ゲル4〜14%を含んでなるポリアクリルアミドスラブゲル上の電気泳動によって還元されていない試料を分離する。還元された試料に対しては、ポリアクリルアミド3.5%のスタッキングゲルおよびポリアクリルアミド5.5または15%の分離ゲルを使用した。ゲルはphosphor storage plate imagerで分析した。
G.N-プロテイナーゼ活性阻害剤の同定方法
本発明のポリペプチドを使用することによって、N-プロテイナーゼ活性を阻害する化合物、ペプチドおよび抗体を決定することができる。特に、N-プロテイナーゼのための以下のアッセイ系を使用して、N-プロテイナーゼを阻害する化合物、ペプチドまたは抗体の有効性を決定することができる。
Hojimaら, 1994, J. Biol. Chem. 269:11381-11390に記載のように、アッセイ用緩衝液中1.3μgのプロコラーゲンおよび潜在的N-プロテイナーゼ阻害剤の試料(最終体積90μl)を室温で10分間インキュベートし、精製N-プロテイナーゼ2μl(0.19ユニット)を添加する。次いで該試料を水浴中35℃で60分間インキュベートする。10%β−メルカプトエタノールを含有する5倍濃縮試料緩衝液25μlを添加して酵素反応を止める。6%ポリアクリルアミドゲルでSDS-ゲル電気泳動を行った後、ゲルを乾燥し、N-プロテイナーゼ活性の定量のために、X線フィルムに4時間暴露した後に蛍光光度法を用いるか、またはphosphor storage plateで走査することによって分析する。pCα1およびpCα2ポリペプチド鎖の量から、それぞれの分子量が135kDaおよび130kDaと仮定して酵素活性を計算し、それぞれ分子量が155kDaおよび135kDaの分解していないプロα1およびプロα2鎖から修正した。
H.N-プロテイナーゼポリペプチドの使用
成熟コラーゲンの製造
組み換えによって製造したN-プロテイナーゼは成熟コラーゲンをin vitroで製造するために使用できる。例えば、プロコラーゲンcDNAをin vitroで発現させ、生成したプロコラーゲンを本明細書に記載の組み換えによって製造したN-プロテイナーゼを使用して処理してもよい。好ましくは、例えば係属出願中の、1996年3月1日出願の米国出願第08/609,187号に記載されているように調製したC−プロテイナーゼタンパク質を更に使用して、C末端C−プロペプチドの分解を行ってもよい。
組み換えによって製造したN-プロテイナーゼのエピトープに対する抗体の製造。
組み換えによって製造したN-プロテイナーゼのエピトープに対する抗体の作成のために、当該分野で公知の種々の手段が使用できる。このような抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片およびFab発現ライブラリーにより作成した断片が挙げられるが、これらに限定されない。診断および治療のためには、中和抗体、すなわちN-プロテイナーゼの触媒ドメインと競合するものが特に好ましい。こうした抗体を、例えば、線維症の治療のために使用することができる。
N-プロテイナーゼに結合するモノクローナル抗体を、注射後の体内でのそれらの位置および分布を追うことができるように放射標識することができる。放射活性タグを付けた抗体を、線維症、関節リウマチ等の多くの疾患に関連したコラーゲン産生部位を予想する(image)ために非−侵入性の(non-invasive)診断用ツールとして使用することができる。
抗体の作成のために、N-プロテイナーゼタンパク質を注射することにより、ウサギ、マウス、ラット等を含む(が、これらに限定されない)種々の宿主動物を免疫することができる。宿主の種に応じ、免疫学的応答を増大させるために種々のアジュバントを使用することができ、これにはフロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウム等のミネラルゲル、リゾレシチン等の界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、keyhole limpetヘモシアニン、ジニトロフェノール、およびBCG(bacille Calmette-Guerin)およびCorynebacterium parvumのような潜在的に有効なヒトアジュバント等が挙げられるが、これらに限定されない。
N-プロテイナーゼに対するモノクローナル抗体は、連続的継代細胞培養系によって抗体分子を製造するいずれの技術を使用して調製してもよい。こうした技術としては、KohletおよびMilstein, 1975, Nature, 256:495-497に最初に記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら, 1983, Immunology Today 4:72; Coteら, 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030)およびEBV-ハイブリドーマ技術(Coleら, 1985, モノクローナル抗体とがん治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy), Alan R. Liss, Inc., pp.77-96)が挙げられるが、これらに限定されない。更に、適当な抗原特異性を有するマウスの抗体分子からの遺伝子を適当な生物学的活性を有するヒト抗体分子からの遺伝子と共にスプライシングすることによって「キメラ抗体」(Morrisonら, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855; Neubergerら, 1984, Nature 312:604-608; Takedaら, 1985, Nature 314:452-454)を作成するために開発した技術を使用することができる。あるいはまた、一本鎖抗体の作成について記載された技術(米国特許第4,946,778号)をN-プロテイナーゼ−特異的一本鎖抗体の作成のために応用することができる。
N-プロテイナーゼの特異的結合部位を有する抗体断片を既知の技術によって作成してもよい。こうした断片としては、例えば抗体分子のペプシン分解によって作成しうるF(ab')2断片および該F(ab')2断片のジスルフィド架橋の還元によって作成しうるFab断片が挙げられるが、これらに限定されない。あるいはまた、N-プロテイナーゼに対して目的の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速で容易な同定ができるように、Fab発現ライブラリーを構築してもよい(Huseら, 1989, Science 246:1275-1281)。
N-プロテイナーゼ関連障害の治療
エーラー・ダンロス病等の種々の疾患状態は、in vivoにおけるN-プロテイナーゼの不十分な産生から生じる。Nusgensら, 1992, Nature 1:214-217を参照。従って、N-プロテイナーゼの欠損から生じる疾患または障害に罹患している患者へのヒトN-プロテイナーゼの投与によって、こうした疾患状態が改善できる。
以下の実施例によって本発明を更に詳細に説明する。下記の調製品および実施例は、当該分野の技術者が本発明をより明瞭に理解し、実施することを可能とするために与えられるものである。しかしながら、本発明は、本発明の一つの局面の説明として理解されるべき例示した態様によって範囲を制限されるものではなく、機能的に等価な方法は本発明の範囲内にある。事実、上記の記載および添付図面から、本明細書に記載したものに加え、本明細書の種々の修飾が当業者には、明らかになるであろう。こうした修飾が添付した請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
VII.実施例
A.実施例1:ウシN-プロテイナーゼをコードするポリヌクレオチド分子の特性付け
1.N-プロテイナーゼの精製
以下の手順に従い、N-プロテイナーゼ(PCI−NP)を単離した。この手順は、他で記載のない限り、4℃または氷浴上で実施した。
段階I:ウシ皮膚抽出物の調製
第三のトリメスター(trimester)段階のウシ胎児から皮膚を回収した。液体窒素の温度下で材料250gを磨砕し、洗浄用緩衝液(50mM カコジル酸ナトリウム、pH7.5、0.25M スクロース、2mM CaCl2、2.5mM NEM、0.5mM PMSF、および0.02%NaN3)500ml中のUltra Turrax(8000rpm)でホモジナイズした。遠心分離(20,000×gで10分間)の後、ペレットを回収し、洗浄工程を1回繰り返した。次いでペレットを1.25mM NEMおよび0.25mM PMSFを補足した抽出用緩衝液(50mM カコジル酸ナトリウム、pH7.5、1M KCl、2mM CaCl2、0.02% Brij)950mlに懸濁した。4℃で18時間振とうした後、試料を15,000×gで10分間の遠心分離にかけた。上清を回収し、ペレットからの抽出を1回繰り返した。
段階II:硫酸アンモニウム沈殿
集めた上清中のタンパク質を、40%飽和硫酸アンモニウムの添加によって沈殿させた。溶液を4℃で18時間撹拌し、15,000×gで30分間遠心分離した。沈殿を抽出用緩衝液に溶解し、透析した。
段階III:コンカナバリンA−セファロース上でのアフィニティークロマトグラフィー
試料を300mlのコンカナバリンA−セファロース(Pharmacia LKB Biotechnology, Uppsala, Sweden)カラムにのせ、抽出用緩衝液で十分洗浄した。溶出は0.5M α−メチル−D−マンノシドを含有する同じ緩衝液で実施した。活性画分を集め、緩衝液H(50mM カコジル酸ナトリウム、pH7.5、0.2M NaCl、2M CaCl2、0.02% Brij)に対して透析した。
段階IV:ヘパリン−セファロース上でのクロマトグラフィー
段階IIIからの酵素調製品を、緩衝液Hで平衡化した75mlのヘパリン−セファロース(Pharmacia)カラムにかけた。洗浄の後、緩衝液H250mlと0.95M KCl含有緩衝液H250mlから調製した直線(linear)勾配で溶出を実施した。0.6から0.8MのKClで溶出した最も活性のある画分を集め、TCNa緩衝液(50mM Tris、pH7.5、0.2M NaCl、2mM CaCl2)に対して透析した。
得られた酵素は、およそ45%の回収レベルで、およそ90倍に精製された。種々のクロマトグラフィーの技術によってN-プロテイナーゼを更に精製する試みは、酵素の回収が非常に悪いという点で不成功に終わった。従って、更に酵素を精製するためにモノクローナル抗体を開発した。
2.モノクローナル抗体の作成およびN-プロテイナーゼの更なる精製
ヘパリン−セファロースクロマトグラフィー(上記VII.A.1.の段階IV)後の酵素調製品をF1マウス(Balb/c×Black/6、Studie Centrum voor Kernenergie, Mol, Belgium)の免疫化に使用した。マウス腹腔内にI型フロイントアジュバントに乳化した抗原20μgを3週間おいて2回接種した。2回目の注射の10日後に生理食塩水中の抗原20μgで動物を追加抗原刺激(boost)し、3日後に犠牲にした。3,000個のハイブリドーマクローンを、アガロースビーズ(Sigma)に結合したヤギ抗−マウスIgGの存在下、N-プロテイナーゼ活性を免疫沈降させることができるモノクローナル抗体の産生能についてスクリーニングした。3,000個の内1個のハイブリドーマ上清(クローン 37D9)のみが顕著で再現可能な免疫沈降を促進した。分泌されたモノクローナル抗体をIgG1として分類した。プロテインGカラムでの精製の後、製造者(Bio−Rad)の指示に従い、抗体20mgを80%の効率でアフィゲル(Affi-Gel)Hzヒドラジド15mlに結合させ、下記のようにして酵素の更なる精製に使用した。
段階V:固定化37D9モノクローナル抗体上でのアフィニティークロマトグラフィー
段階IVの調製品の最大量50mlを下記のように調製したアフィニティーカラムにかけた。TCNa緩衝液中および0.2M 酢酸アンモニウム(NH4Ac)中で2回続けて洗浄した後、0.6M NH4Acで酵素を溶出させた。
段階VI:ヘパリン−セファロース上での2回目のクロマトグラフィー
段階Vで回収した酵素活性を有する画分を集め、0.5mlのヘパリン−セファロースカラムにのせた。0.8M NH4Ac中で洗浄した後、1.2M NH4AcでPCI-NPを溶出させ、これを−80℃で保存した。
3.N-プロテイナーゼをコードするアミノ酸配列の決定
オンラインフェニルチオヒダントイン分析と共にパルス液体モードで操作するモデル476Aのプロテインシーケンサー(ABI、Foster City,CA)で無処理の(intact)タンパク質およびペプチドのアミノ末端配列分析を実施した。点染(blotted)PCI-NPのアミノ末端配列分析は改変したランサイクルを使用してクロス−フロー(cross-flow)反応カートリッジで実施した。ペプチドの配列分析のためには、トリフルオロ酢酸処理したグラスファイバーディスクを、試料の適用前にポリブレン(polybrene)で被覆した。この方法を使用した場合、PCI-NPのアミノ末端アミノ酸がブロックされ、エドマン分解によるアミノ末端配列分析にかけることができないことが明らかになった。この問題を克服するため、膜結合性酵素の内部ペプチドを作成し、分析した。より具体的には、点染PCI-NPタンパク質約10pmol(1μg)でアミノ末端がブロックされていることが示され、本発明者らは膜結合性タンパク質(30μg)を酵素的に分解していくつかの内部ペプチド断片の配列情報を得た。PCI-NPにおけるリシン含量(4%)から逆相液体クロマトグラフィー分析によって容易に分析できる種々の長さのペプチドを得るのに適当であるように考えられたため、全てのリシン残基のカルボキシ末端側で特異的に分解するエンドプロテアーゼLys−Cを選んだ。バックグラウンドまたは酵素の自己タンパク質分解に由来するピークを同定するために、PVDF(クーマシー染色されているがタンパク質を含有しないもの)のブランクピースで対照の分解を実施した。抽出後、C2/C18鎖の混合物を含有する逆相液体クロマトグラフィーカラムでペプチドを分離し、種々の画分を回収した。数種のペプチドをアミノ末端配列分析にかけた(材料の3/4)が、2つの画分、K1およびK3のみが最後のリシン残基まではっきりと配列決定できた純粋なペプチドを含有していた。他の3つの画分は2種以上の断片の混合物を含有しているか、または配列の初期収量が非常に低い(<1pmol)ものであった。最終の対照として、配列分析にかけた画分の残部(1/4)をマトリックス−アシスト型レーザー脱着/電離質量分析にかけて得られた配列を確かめた。画分K3においては、質量の計算値1633.7Daは実験から決定された質量1633.2Daと完全に一致した。画分K1では、おそらく残っていた物質量が少なすぎたため、質量が得られなかった。
K1およびK3の配列をタンパク質および核酸のデータバンクをスクリーニングするために使用した。既知の配列との顕著な相同性は見られなかった。
4.N-プロテイナーゼに対応する核酸配列のクローニングおよび特性付け
図6のOP8およびOP11に示すように、縮重したオリゴヌクレオチドプライマーを使用してウシcDNAライブラリーを構築した。これらのプライマーは、Coligeら, 1995, J. Biol. Chem. 270:16724-16730に報告された部分アミノ酸配列から設計した。これも図6に示すより長く縮重したオリゴヌクレオチド、OP1およびOP10でウシcDNAライブラリーをスクリーニングした後、N-プロテイナーゼcDNAを含有するクローンを同定した。ATG開始コドンおよびTAA停止コドン(下線)を有するウシヌクレオチド配列を図4Aおよび4Bに示す。配列の同定しうるドメインを有する、推定アミノ酸配列を図5に示す。
5.ヒトN-プロテイナーゼのためのcDNAの単離
ヒトの皮膚繊維芽細胞(CRL1262)から全RNAを単離し、オリゴ−dTおよびcDNAに対するランダムプライマー(PharmaciacDNA合成キット)で逆転写させた。次いでcDNAをλファージベクターZAP II中に挿入し、cDNAライブラリーを作成した。32P−標識ウシN-プロテイナーゼcDNAプローブを用いてN-プロテイナーゼについて該cDNAライブラリーをスクリーニングした。ライブラリーから9種のcDNAクローン(2kbから5kbの大きさのもの)が単離され、これをfluorescent amplicycel sequencer(Perkin Elmer)で配列決定した。該配列に従い、ヒトN-プロテイナーゼの全長cDNAを作成した。
6.ヒトN-プロテイナーゼに対応する核酸配列のクローニング
ヒトN-プロテイナーゼに特異的なオリゴヌクレオチドプライマーおよび培養した皮膚繊維芽細胞の4種の異なる種から精製したRNAを使用し、RT−PCRによって重複(ovarlapping)cDNA断片を得た。cDNAの配列は特異的オリゴヌクレオチドプライマーおよびサーモシークエナーゼ放射標識サイクルシーケンシングキット(Thermo Sequenase radiolabeled cycle sequencing kit, Amersham社製)を使用して決定した。
B.実施例2:ヒトN-プロテイナーゼをコードするポリヌクレオチド分子の特性付け
ヒトN-プロテイナーゼのヌクレオチド配列を、その長い形態および短い形態の双方で図1A〜1Cおよび図2Aに示す。図3に示すように、N-プロテイナーゼおよびC−プロテイナーゼは構造が類似している。
本明細書中で引用した文献は全て参考のためにその全体をここに組み入れるものとする。

Claims (5)

  1. N-プロテイナーゼをコードする単離されたポリヌクレオチド分子であって、前記プロテイナーゼが、
    (1)図1A−1Cに記載のポリヌクレオチドによりコードされる図1Dに記載のアミノ酸配列を含有するタンパク質、図2Aに記載のポリヌクレオチドによりコードされる図2Bに記載のアミノ酸配列を含有するタンパク質、または図4A−4Bに記載の核酸によりコードされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、
    (2)図1A-1C、図2A、または図4A−4Bに示すポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドであり、1つ以上のアミノ酸が付加され、除去され、変異され、あるいは置換された、N-プロテイナーゼ活性を有するタンパク質、
    (3)図1A-1C、図2A、または図4A−4Bに示すポリヌクレオチドに対応する遺伝子の天然に存在する対立遺伝子または相同体によってコードされるタンパク質、あるいは
    (4)(1)、(2)または(3)の断片、
    である前記単離されたポリヌクレオチド分子。
  2. N-プロテイナーゼ活性を有するタンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチド分子であって、図1A−1Cの1−6692の核酸配列、または図4A−4Bの1−4580の核酸配列を含有するポリヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる前記単離されたポリヌクレオチド分子。
  3. a.宿主細胞を、請求項1に記載のN-プロテイナーゼをコードするポリヌクレオチド分子でトランスフェクトまたは形質転換し、
    b.該宿主細胞を適当な培地で培養し、そして
    c.該培地からN-プロテイナーゼを単離する、
    ことを含んでなる、N-プロテイナーゼの製造方法。
  4. a.宿主細胞を、請求項1に記載のN-プロテイナーゼをコードするポリヌクレオチド分子でトランスフェクトまたは形質転換し、
    b.該宿主細胞を適当な培地で培養し、そして
    c.該培地からN-プロテイナーゼを単離する、
    ことを含んでなる方法に従って製造されるN-プロテイナーゼ。
  5. 請求項1に記載のN-プロテイナーゼをコードするポリヌクレオチド分子で形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞。
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