以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る払出制御機構を適用した弾球遊技機の一例として、図1および図2にパチンコ機の正面図および背面図を示しており、まず、これら両図を参照してパチンコ機PMの全体構成について要約説明する。
パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成された開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ機構3により前方に横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉止状態に保持される。
前枠2の表側(前面側)上部には、ガラス扉5が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉止状態に保持される。ガラス扉5の背後に位置する前枠上部には、遊技盤20を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠に立設姿勢で係止保持された遊技盤20がガラス扉5を通して視認されるようになっている。
遊技盤20は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルーター加工した化粧板21を基板とし、前面側に内外の案内レール22が円弧状に固設されて略円形の遊技領域PAが区画形成される。遊技領域PAには、多数本の遊技釘とともに風車や各種の入賞具23,24,25、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる図柄表示装置27、左右のサイドランプなどの遊技構成部品が取り付けられ、遊技領域PAの下端部にアウト口28が形成されている。化粧板21の裏面側には中央部に図柄表示装置27の作動を制御する図柄表示制御装置87が取り付けられ、その周囲には各入賞具に落入して化粧板21の裏面側に導かれたセーフ球、およびアウト口28を通って化粧板21の裏面側に導かれたアウト球(これらをまとめて「遊技済み球」という)を、化粧板21の背面に沿って裏セット盤30の遊技済み球排出通路に導く球寄せカバー29が取り付けられている。
前枠2の表側中間部には、遊技補助盤と称される補助機構部が設けられるとともに、その前方に上球皿6が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた球皿施錠装置を利用して常には遊技補助盤の前面を覆う閉止状態に保持される。上球皿6の下側には下球皿7が前方に突出して取り付けられ、その右側に遊技球の発射操作を行う発射ハンドル8が取り付けられている。前枠2の裏面下部には遊技球発射装置9が取り付けられており、遊技補助盤には遊技球発射装置9のハンマーに叩打された遊技球をガイドして外レールに向けて発射させる発射レール、遊技の展開状況に応じた効果音を発生させるスピーカなどが設けられている。
一方、前枠2の裏側(後面側)には、裏セット盤30が前枠2の後方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、常には遊技盤20の裏面を覆う閉止状態に保持されている。裏セット盤30は、中央部に遊技盤の図柄表示制御装置87を受容する窓口32を有して外枠1の内寸サイズよりも幾分小さめの方形枠状に形成された基枠体31をベースとして構成される。
基枠体31は、表裏に遊技済み球排出通路や球払出制御機構の球通路、球抜き通路等が立体的に形成された前後二層構造になっており、基枠体31を前後に仕切る支持面の前面側に主として遊技盤20の裏面側に排出された遊技済み球を集合させて遊技島の回収装置に導く遊技済み回収通路および球抜き通路が、支持面の後面側に主として遊技球を払い出す球払出制御機構が形成されている。
また基枠体31の背面各部には、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御装置81や、遊技球の払い出し作動を制御する球払出制御装置82、効果照明や効果音の作動制御を行うランプ・音声制御装置83、各制御装置や電子部品に電力を供給する電源ユニット84、遊技施設側と信号や電力の入出力を行うターミナル基板85等の各種制御装置や回路基板、球払出装置53等の電子部品が取り付けられ、これらが図示しないコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが作動可能に構成される。
パチンコ機PMは、上球皿6およびガラス扉5が閉止施錠された状態で遊技に供され、上球皿6に遊技球を貯留させて発射ハンドル8を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル8が回動操作されると、上球皿6に貯留された遊技球が上球皿の背面に装着された球送り装置によって1球ずつ発射レールに送り出され、遊技球発射装置9のハンマーに打ち出されて遊技領域PAに発射され、以降パチンコゲームが展開される。
さて、このように概要構成されるパチンコ機PMにあって、遊技領域PAに発射された遊技球が各入賞具に落入したときの遊技球の払い出し処理について、関連する各部の構成をもう少し詳しく説明する。遊技盤に設けられる入賞具には、その外観意匠や入賞時の動作を含めて種々の形態のものがあり、ゲージ設定に応じてどのような形態の入賞具を用いるものであってもよいが、例えば図1に例示した遊技盤20では、一般入賞具23、始動入賞具24、アタッカー装置25の3種類の入賞具を設けた例を示している。
一般入賞具23は、遊技球が落入可能な入賞口を有する固定入賞具であり、入賞口の内部に遊技球を検出する入賞検出センサ23sが取り付けられている。一般入賞具23の後部には落入したセーフ球を化粧板21の裏面側に導くセーフ球誘導路が設けられており、一般入賞具23に落入したセーフ球は入賞検出センサ23sに検出され、セーフ球誘導路および球寄せカバー29を通って基枠体31前面側の遊技済み球排出通路に受け止められ、この球排出通路を流下して遊技島の回収装置に排出される。
始動入賞具24は、いわゆる電動チューリップ型の可動入賞具であり、左右のチューリップ羽根を開閉させて入賞口を拡大・縮小変化させることができる。始動入賞具24の後部には入賞したセーフ球を化粧板21の裏面側に導くセーフ球誘導路が設けられるとともに、この誘導路を流下する遊技球を検出する入賞検出センサ24sが取り付けられており、始動入賞具24に入賞したセーフ球が入賞球検出センサ24sに検出され、セーフ球誘導路、球寄せカバー29、遊技済み球排出通路を流下して遊技島の回収装置に排出される。
アタッカー装置25は、いわゆるアタッカー型の可動入賞具であり、横長方形状の大入賞口を覆う開閉扉が開閉可能に取り付けられている。開閉扉は通常閉止されており、遊技中における所定の入賞条件の下で特別遊技状態が成立したときに、開閉扉の上部が前方にほぼ90度倒されて大入賞口が開放される。大入賞口の内部には左右二つの領域開口が設けられて各々に入賞検出センサ25s,25tが設けられるとともに、アタッカー装置25の後側に上記二つの領域開口に繋がって化粧板21を貫通する二つのセーフ球誘導路が設けられており、大入賞口に落入したセーフ球はいずれかの領域開口を通って入賞検出センサ25s,25tに検出され、セーフ球誘導路、球寄せカバー29、遊技済み球排出通路を流下して遊技島の回収装置に排出される。
入賞検出センサ23s,24s,25s,25tの検出信号は主制御装置81に出力されており、主制御装置81は入力された検出信号に基づいてパチンコ機PMの作動を制御する。例えば、始動入賞口24に遊技球が落入し入賞検出センサ24sから入賞検出信号が出力されると、主制御装置81は入力信号から、遊技球が入賞具に落入したこと、および入賞した入賞具が始動入賞口24であることを検知し、この入賞条件に応じた遊技プログラムを呼び出して実行する。具体的には、主制御装置内で図柄の組み合わせ抽選を行うとともに、図柄表示制御装置87に抽選結果を出力して図柄表示装置27に表示される図柄を変動および停止制御させ、停止図柄の組み合わせに応じた作動、例えばランプ・音声制御装置83を介してサイドランプの点滅表示やスピーカによる効果音の発生等を行わせる。また球払出制御装置82に入賞条件に応じた払出指令信号を出力して球払出装置53を作動させ遊技球の払い出し作動を行わせる。
一方、常には遊技盤20の背後に位置して閉止保持される裏セット盤30に、遊技球の払い出し作動を行う球払出制御機構が設けられている。なお、遊技球の払い出しに関する主要機構部は、前後二層構造を有する基枠体31の裏面側に設けられており、背面図を主として参照しながら説明するため、以降では図2に示す背面図における左右方向を左方または右方と称し、紙面直交方向の向こう側(パチンコ機前面側)を前方、手前側(同裏面側)を後方と称して説明する。また遊技球を球払出装置に導く案内通路等の基本構成および球払出装置の作動は、背景技術の項で参照した図15および図16に示す構成および作動と略同様であるため、これらの図面を併せて参照しながら説明する。
球払出制御機構は、基枠体31の左上部に取り付けられて遊技球を貯留する球貯留タンク41、基枠体31における窓口右側の枠杆部(右枠杆という)33の下部に取り付けられて遊技球の払出を行う球払出装置53、球貯留タンク41と球払出装置53との間を結んで設けられ球貯留タンク41に貯留された遊技球を整列させて球払出装置53に導く案内通路、球払出装置53の下方に設けられて球払出装置から払い出された遊技球を上下の球皿6,7に導く球払出通路60、基枠体31の背面下部に取り付けられて球払出装置53の作動を制御する球払出制御装置82、および案内通路に設けられて球払出装置53に作用する遊技球の圧力を調圧する受圧制御ユニット100などから構成される。なお受圧制御ユニット100の構成および制御形態については、遊技球の払い出し機構の構成を説明した後に詳細に説明する。
球貯留タンク41は、上面開放の箱状体をなし、タンク内部に500〜800個程度の遊技球を貯留可能になっている。球貯留タンク41の底面は緩く左傾および前傾して形成され左前方には上下連通する開口部が形成されて下方の案内通路に繋がっている。球貯留タンク41と球払出装置53との間を結ぶ案内通路は、球貯留タンク41から供給された遊技球を流下させる過程で整列させる整列通路と、整列通路で整列された遊技球を受けて下方の球払出装置53に導く待機通路とからなり、整列通路は球貯留タンク41の直下に取り付けられたタンクレール42内に、待機通路は右枠杆33に取り付けられたS字レール52の前後に形成される。
タンクレール42は、窓口32上方の基枠体31にねじ止めされた取付姿勢で基枠体31の支持面とタンクレールの後方壁面とに囲まれた樋状体をなし、底面に立設されたリブ状の仕切壁42wにより樋内に前後二列の整列通路42a,42bが形成される。タンクレール42は左上方の球貯留タンク41側から右下方の待機通路側に向けて約4度の傾斜角で取り付けられるとともに、通路中間部には上下方向に積み重なった遊技球を平らに均す球均し具44が垂設されており、球貯留タンク41から供給された遊技球が傾斜下流に向けて流下する過程で前後二列の整列通路42a,42bに整列されるようになっている。タンクレール42の傾斜端部すなわち整列通路42a,42bの終端部は下方に滑らかに折り曲げられ、下端に開口する偏向出口43で待機通路と繋がっている。
右枠杆33には、偏向出口43から送り出された遊技球を受けて待機通路52a,52bに整列状態で待機させるS字レール52と、このS字レール52の下側に取り付けられて待機通路に待機された遊技球を所定の払出条件に基づいて払い出す球払出装置53、および右枠杆33に支持されたS字レール52の後方を覆って取り付けられS字レール52の前後面に上記二列の待機通路を形成させる蓋部材58などが取り付けられる。また、偏向出口43とS字レール52との間には、遊技球の払い出しを行い得る充分な遊技球が待機通路52a,52bに保持されているか否かを検出するための球有検出センサ51が着脱可能に取り付けられ、球払出装置53の払出口と球払出通路60との間には、払い出された遊技球を検出してその実数を計数するための球計数センサ54,54が係脱可能に設けられている。
S字レール52は、中間に形成された仕切壁とこの仕切壁を挟む前後面に遊技球の球径よりも幾分大きめの間隔をおいて左右平行に立設された通路壁とを有し、仕切壁の前後に通路壁で囲まれた凹状の通路溝が形成されている。前後の通路溝は図15に示すように屈曲して形成されており、上流側に位置する遊技球の自重による球圧が下流側で加重されて過大な圧力にならないようになっている。S字レール52は通路溝の清掃容易化等のため基枠体31と別体に構成されており、右枠杆33に立設された二カ所の支持ボス35に嵌挿して位置決め支持させ、後方から蓋部材58をねじ固定することにより右枠杆33に固定される。
そしてこのようにS字レール52が右枠杆33に固定されると、前後の通路溝の開放部が前方の右枠杆33の支持面と後方の蓋部材58とに覆われて前後二列の待機通路52a,52bが形成される。S字レール52における上方の通路壁の一部は切り欠かれており、常にはこの切り欠き部に相当する通路壁が形成された流路切り替え部材55により閉鎖されている。S字レール52の下端部は球払出装置53の受容口と位置整合して形成され、偏向出口43から導入された遊技球を前後二列の整列状態で球払出装置53に導くとともに、球払出装置の停止時に遊技球を待機通路52a,52bに整列状態で待機させる。
球払出装置53は、上部中央の前後に待機通路52a,52bと連絡して遊技球を受容する受容口53a,53b、下部の左右に遊技球を払い出す払出口53c,53dが形成されるとともに、ケース内部には前後二段のインペラを有する球送り回転体53rと、球送り回転体を回転させる球払出モータ53mとが設けられている。
球送り回転体53rの前列側のインペラ53r1および後列側のインペラ53r2には、それぞれ遊技球を受容するU溝状の受容部が120度間隔で三カ所設けられるとともに、前後のインペラはそれぞれ受容部の角度位置が60度オフセットして形成されている。このため、受容口53a,53bから供給された遊技球は、球送り回転体53rの回動に伴って前後のインペラ53r1,53r2の受容部に交互に受け入れられ、受容部の回動により右または左のカセット内通路に1個ずつ移動され左右いずれかの払出口53c,53dから球払出通路60に払い出される。
球払出制御装置82には、主制御装置81から遊技盤20における入賞条件に応じた払出指令信号が入力されており、球払出制御装置82は主制御装置81から入力された払出指令信号に応じたモータ駆動信号を球払出装置53に出力し、球払出装置53は入力されたモータ駆動信号に基づいて球払出モータ53mを作動させ、球送り回転体53rを時計回りまたは反時計回りに所要の回転角度分だけ回転させて、モータ駆動信号に対応する数量の遊技球を右または左の払出口53d,53cから球払出通路60に払い出す。
また、プリペイドカードユニット90が接続されたいわゆるCR機では、上球皿6の前面側に球貸要求ボタンを有するCR操作パネル92が設けられてその出力信号が球払出制御装置82に入力されており、球払出制御装置82は、CR操作パネル92から入力された球貸要求信号に応じたモータ駆動信号を球払出装置53に出力し、球払出装置53は入力されたモータ駆動信号に基づいて球払出モータ53mを作動させ、球送り回転体53rを反時計回りまたは時計回りに所要の回転角度分だけ回転させ、モータ駆動信号に対応する数量の遊技球を左または右の払出口53c,53dから球払出通路60に払い出す。
球払出口53c,53dから払い出された遊技球は、球計数センサ54,54により通過が検出され、球払出制御装置82は球計数センサから入力された検出信号から払い出された遊技球の数量をカウントしてモータ駆動信号に係る目標数量と比較し、球払出装置53の作動を制御する。これにより、主制御装置81から入力される払出指令信号やCR操作パネル92から入力される球貸要求信号に応じた数量の遊技球が球払出通路60に払い出され、球払出通路60を転動流下して上球皿6または下球皿7に払い出される。
なお、待機通路の上部に設けられた球有検出センサ51は、この球有検出センサが配設された上部位置まで遊技球が整列待機されているか否かを検出することで、遊技球の払い出しを不足なく行い得る数量(例えば35球程度)の遊技球が保持されているか否かを判定するためのセンサであり、その検出信号が球払出制御装置82に出力されている。球払出制御装置82は球有検出センサ51から入力された検出信号が球無し状態であるときに、球払出装置53の作動を規制し所定のアラームを発生させる。
また、待機通路の上部には球抜き機構が設けられている。球抜き機構は、右枠杆33の裏面側に右枠杆の支持面と平行な面内に揺動可能に枢支されて待機通路52a,52bの一部を開閉可能な流路切り替え部材55、右枠杆33の前面側に右枠杆の支持面と直交方向に揺動可能に取り付けられた操作部材56、および待機通路を開放したときに溢れ出る遊技球を遊技島の回収装置に導く球抜き通路57などから構成される。
流路切り替え部材55には、下部にS字レールの切り欠き部に相当する壁面形状を有する通路壁55a、中間部には右枠杆33の裏面側に突出成型された枢支軸36と嵌脱自在な支軸孔55b、上部には通路壁55aが切り欠き部を塞ぐ閉止角度位置で操作部材の係合突起56cと係合し得る閉止保持係合孔55c、および通路壁55aを上方に揺動させて切り欠き部を開放させた開放角度位置で操作部材の係合突起56cと係合し得る開放保持係合辺55dがそれぞれ形成されている。
一方、操作部材56は、上方の操作レバー部56bを前方から後方に押圧したときに、下方の係合突起56cが右枠杆33の支持面から前方に揺動待避して、流路切り替え部材の閉止保持係合孔55cまたは開放保持係合辺55dとの係合を解除し、操作レバー部56bへの押圧力を解放したときに係合突起56cが前方に突出して閉止保持係合孔55cまたは開放保持係合辺55dと係合し、流路切り替え部材55を上記閉止角度位置または開放角度位置に係止保持するように構成されている。
また球抜き通路57は、S字レール52の右側方に位置して基枠体31の裏面側に形成された予備通路57aと、予備通路57aの下方に右枠杆33の支持面を貫通して形成された連絡開口57b、および基枠体31の前面側に連絡開口57bから下方に向かって形成され前述した遊技済み球排出通路に繋がる下降通路などからなり、待機通路52a,52bが開放されてS字レールの切り欠き部から遊技球が溢れ出たときに、溢れ出た遊技球を遊技済み球排出通路を介して遊技島の回収装置に流下させるように構成されている。
このため、待機通路が閉止された通常の遊技状態(図15に示す状態)では、操作部材の係合突起56cが流路切り替え部材の閉止保持係合孔55cと係合して流路切り替え部材55を閉止角度位置に係止し、通路壁55aがS字レール52の切り欠き部を塞いで左右に蛇行する前後二列の待機通路52a,52bが閉止状態に保持される。
一方、操作レバー部56bが前方から後方に押圧操作されると(あるいは裏セット盤30の後方から手前に引っぱり操作されると)、係合突起56cが前方に揺動待避して閉止保持係合孔55cとの係合が解除され流路切り替え部材55の揺動規制が解除される。すると、流路切り替え部材55は上流側に位置する遊技球から通路壁55aに作用する圧力によって枢支軸36を中心に反時計まわりに揺動され、待機通路の上部を開放する開放角度位置に変位する。切り欠き部から溢れ出た遊技球は球抜き通路57を流下し遊技済み球排出通路を通って遊技島の回収装置に排出される。
流路切り替え部材55が開放角度位置に揺動変位した状態では、開放保持係合辺55dが係合突起56cの前方に位置しており、この状態で操作レバー部56bの押圧力を解放すると係合突起56cが開放保持係合辺55dの右側方に突出して時計回りの揺動を規制し、流路切り替え部材55を開放角度位置に係止保持する。このため、操作レバー部56bを常時押圧していなくても一操作で流路切り替え部材を開放角度位置に係止させることができ、S字レール52の切り欠き部よりも上流側に貯留された遊技球の球抜きを行うことができる。
球抜きにより待機通路の上部に遊技球がなくなった状態で操作レバー部56bを後方に押圧し係合突起56cと開放保持係合辺55dとの係合を解除すると、遊技球からの圧力がなくなった流路切り替え部材55は自重に基づくモーメントにより枢支軸36を中心として時計まわりに揺動し、通路壁55aが切り欠き部を覆う閉止角度位置に変位する。そこで操作レバー部56bへの押圧力を解放すると係合突起56cが前方に突出して閉止保持係合孔55cと係合し、流路切り替え部材55が球抜き前と同様の閉止角度位置に復帰された状態で係止保持される。
なお、前枠2およびガラス扉5には、裏セット盤30を前枠2に閉鎖保持させた状態で操作レバー部56bの前方に対峙する位置に、ハートキーと称される保守作業用の操作ピン(図4、図5および図7に付記するハートキー145を参照)を挿通させる球抜き操作孔5hが形成されており、遊技施設の係員がパチンコ機PMの前面側から球抜き操作孔5hにハートキー145を挿入して操作レバー部56bを押圧操作することにより、前枠2を開放することなくパチンコ機の前面側から球抜き操作および球抜き後の復帰操作を行えるようになっている。
さて、以上のように構成される払い出し機構における整列通路42a,42bの終端近傍に受圧制御ユニットが設けられて球払出制御機構が構成される。以下図3〜図11の各図を参照して第1実施形態の球払出制御機構について詳細に説明する。なお、図3は本実施形態の球払出制御機構における受圧制御ユニット100の背面図、図4は受圧制御ユニット100の平断面図、図5は図3中のV〜矢視方向に見た側断面図、図6は受圧制御ユニット100の正面図、図7は受圧制御ユニット100を斜め前方から見た分解斜視図である。また図8は球払出制御機構の制御形態を主として示すブロック図、図9は球払出制御機構におけるソレノイドと球払出モータの駆動タイミングを示すタイミングチャート、図10は受圧部材を受圧位置に変位させた状態における受圧制御ユニット100の背面図、図11は受圧部材を球止め位置に係止させた状態における受圧制御ユニット100の背面図である。
受圧制御ユニット100は、大別的には、整列通路42a,42bの上方に揺動自在に支持されて、上流側に貯留された遊技球から作用する圧力を受け止めて下流側の遊技球に作用する圧力を減免させる受圧位置Pr、上流側に貯留された遊技球から作用する圧力を減免させずに下流側の遊技球にそのまま伝達させる解放位置Pf、および上流側に貯留された遊技球を堰き止めて遊技球が下流側に流下することを規制する球止め位置Psに変位可能に設けられた受圧部材120、前後の整列通路42a,42bを流下する遊技球と接触し得る接触子を有して受圧部材120に取り付けられたアース部材125、基枠体31の前面側に駆動源を有して受圧部材120を受圧位置または解放位置に変位させる受圧部材駆動機構130、および受圧部材120を球止め位置Psに係止させる球止め構造140などを主体として構成される。
受圧部材120は、整列通路42a,42bの上方に揺動自在に支持されて受圧部材駆動機構130により揺動される揺動本体121と、揺動本体121に着脱交換可能に装着されて遊技球と弾性的に係脱し得る膨縮部材122とからなる。
揺動本体121は、上下に延びる立設面121aと、この立設面に繋がって右方に延びる座面121bとを有し、全体としてL字アングル状に形成される。立設面121aの上部には、支軸128の外径よりもわずかに大きめの内径を有して前後に延びる中空円筒状の軸受部121jが形成されており、支軸128を介して整列通路42a,42bの上方に揺動自在に支持されるようになっている。軸受部121jの前後中間部には、右方に突出して舌片状の揺動操作摘み121kが形成されている。
立設面121aの略中央部には、右面側に突出してボスが設けられその中心にネジ123を受容するネジ受容穴121hが立設面121aを左右に貫通して形成されている。座面121bの右端部には、右縁中央部が平面視凹状に切り欠かれて膨縮部材の嵌合凸部122dを受容する嵌合凹部121dが形成され、座面121bの上面中央部にはアース部材の係止孔125fと嵌合するピン状の係止突起121fが形成されている。また立設面121aと座面121bとが交わるコーナ部には、アース部材の係止端部125eを受容するアーチ状の係止端受容部121eが形成されている。揺動本体121は、例えばガラス繊維を添加して強化したABS樹脂やポリアセタール樹脂、あるいは炭素繊維や金属フィラーを添加して強化とともに導電性を付与した樹脂材料を用い、射出成型等の成形手段で一体成型される。
一方、膨縮部材122は、上下に延びる立設面122aとこの立設面と滑らかに繋がって右方に延びる受圧面122bとを有し、揺動本体の立設面121aおよび座面121bの形状寸法に合わせたL字状に形成される。立設面122aの右面中央部には、揺動本体のネジ受容穴121hと位置整合してネジ123を挿通させるネジ挿通孔が形成され、受圧面122bの右端中央部には、揺動本体側の嵌合凹部121dと位置整合して上向きに突出する嵌合凸部122dが形成されている。膨縮部材122は、例えばウレタンゴムやイソプレンゴム、シリコンゴム等の高分子材料を用い、型締めおよび加硫処理して一体成型される。
嵌合凸部122dは、嵌合凹部121dの切り欠き面積よりも幾分大きめの断面積を有して嵌合凹部121dと嵌脱可能に形成され、また嵌合凸部122dの側端面と立設面122aとの内面間隔は、揺動本体における嵌合凹部121dの溝底面と立設面121aとの外面間隔よよりも幾分小さめに形成されている。
このため、膨縮部材の嵌合凸部122dを揺動本体の嵌合凹部121dに嵌合させ、膨縮部材の受圧面122bおよび立設面122aを揺動本体の立設面121aおよび座面121bに沿うように係合させて、膨縮部材122の左面側からネジ123を挿通してネジ受容穴121hに螺合締結すると、嵌合凸部122dが嵌合凹部121dと弾性的に嵌合し、膨縮部材122の受圧面および立設面が弛みなく本体部121aに支持された状態で係止され、一体の受圧部材120が形成される。
また、アース部材125は、揺動本体121における座面121bの上面形状に合わせて形成されたプレート部125pと、このプレート部125pから右斜め下方に延びて形成された舌片状の接触子125a,125bとを主体として構成され、導電性の高い弾性材料、例えば板厚0,2〜0,5mm程度のステンレス鋼板やベリリウム銅板等の薄肉金属材料を、プレス成型等の成形手段で図示する形態に加工成形して構成される。
プレート部125pの左端部は、円筒状にカーリング成型されて係止端部125eが形成され、プレート部125pの中央には、揺動本体の係止突起121fと位置整合して係止突起と係脱し得る係止孔125fが穿設されている。係止端部125eの内径は、後述するハートキー145の外径よりも大きめに設定されて、ハートキー145を挿通可能に形成されている。一方、前述した揺動本体側の係止端受容部121eは、アーチ状の係止辺の形成位置および内径寸法が、係止端部125eの外形寸法よりも大きめに設定されるとともに、立設面121aからアーチ状に下方に延びる係止辺の下端部と座面121bとの間に、アース部材125の板厚よりも幾分大きめの間隔を有するスリット状の隙間が形成されており、揺動本体のコーナ部とアーチ状の係止辺内面との間に係止端部125eを受容し得るようになっている。プレート部125pの後部は一部が上方に曲げ起こされて上方に突出しアース線126を接続する接続端子125tが形成されている。
プレート部125pから右斜め下方に延びる接触子125a,125bは、整列通路42a,42bの配設ピッチに合わせて右方に延びる舌片状をなし、前後の接触子125a,125bがそれぞれ緩やかに下降する曲線状に成形されて、各々独立して上下に弾性変移自在になっている。プレート部125pと接触子125a,125bとの間には、受圧部材120の上下方向の厚さに対応して接触子を整列通路42a,42bの直上に導くとともに、接触子125a,125bの上下方向への弾性変移を容易化する半円弧形態の弾性補助アーチ部125dが形成されている。
アース部材125は、プレート部の係止端部125eを揺動本体の前方または後方から係止端受容部121eに係合させ、プレート部125pをアーチ状に延びる係止辺の下端部と座面121bとの間の隙間を通して、係止端部125eを揺動本体121のコーナ部とアーチ状の係止辺内面との間に滑り込ませる。この途中でプレート部125pの後端縁面または前端縁面が係止突起121fに当接するが、プレート部125pを上方に弾性変形させて係止突起121fを乗り越えさせ、プレート部125pが座面121bの上方を覆う整合位置までスライドさせる。するとプレート部中央の係止孔125fが係止突起121fと嵌合してプレート部125pを係止し、これによりアース部材125が前後および左右に位置決めされた状態て受圧部材120に係止される。
一方、整列通路42a,42bの終端近傍部では、基枠体31の支持面から前方に突出して枠側支軸部111aが設けられ、その中心には前方(通路側)に開口して支軸128のネジ部を受容するネジ受容穴が形成されている。また枠側支軸部111aと対峙するタンクレール42の後方壁面の上部には、枠側支軸部111aのネジ受容穴と位置整合してザグリ孔形態のレール側支軸部111bが形成されている。そこで、受圧部材120の軸受部121jを枠側支軸部111aとレール側支軸部111bとの間に位置合わせして配設し、レール側支軸部111bの後方から軸受部121jに支軸128を挿通させて枠側支軸部111aのネジ受容穴に螺合させることで、受圧部材120が整列通路42a,42bの上方に揺動自在に支持される。そして一端がパチンコ機PMのアース端子に接続されたアース線126を、アース部材125の接続端子125tに接続することでアース部材125がアース電位に地落される。なお接続端子125tとアース線126との接続形態は、図示するネジ止め形態の他、例えば接続端子125に嵌脱自在な差し込み端子形態としてもよく、あるいは基枠体31に接続端子125と摺動接触して電気的に接続する固定子を設け、固定子を介してアース端子に接続するような接続形態であってもよい。
基枠体31における支持面の後面側では、それぞれ整列通路42a,42bの上方に位置して、受圧部材120よりも上流側に整列補助壁112、下流側に上動規制壁113が形成されている。整列補助壁112は、下流側に向けて通路高さが低くなる放物面状に形成されており、球均し具44の下側を通ってもなお上下に重なって流下してくる遊技球を平らに均して前後各一列の整列状態で受圧部材120側に流入させるように機能する。また上動規制壁113は、偏向出口43の上方を覆う滑らかな円弧状をなし、その上流側は受圧部材方向に延びて形成されている。そして受圧部材120の取付姿勢ではアース部材の接触子125a,125bが上動規制壁113の下側に位置して上下揺動可能に配設される。このため、上流側に貯留された遊技球の圧力によって偏向出口43の近傍に位置する遊技球が盛り上がるようなことがなく、受圧部材120と上動規制壁113との間から遊技球が溢れ出ないようになっている。
基枠体31における支持面の前面側には、基枠体31の剛性を確保し枠体強度を高めるための枠壁114が窓口32の周囲を囲むように形成されており、この枠壁114の内側に、受圧部材駆動機構130におけるソレノイド131を支持するソレノイド支持部115が形成されている。また、受圧部材120の前方に位置する支持面に駆動伝達具132の係合ピン132bを挿通させるピン挿通孔116が形成されている。ソレノイド支持部115は、ソレノイド131のケースを支持する台座状に形成され、その台座面にはソレノイド131を固定するための固定ネジ138を前端側から受容するネジ受容スリット115s,115sが形成されている。ピン挿通孔116は、係合ピン132bの軸径よりも大きめの開口幅でソレノイド131の駆動ストロークよりも大きめの開口長さを有する長孔状になっている。
受圧部材駆動機構130は、この駆動機構の駆動源でありソレノイドの駆動信号がONになったときにプランジャを引き込み作動するソレノイド131、プランジャの先端部に嵌着された駆動伝達具132、ソレノイド131の金属ケースと駆動伝達具132との間のプランジャ外周部に装着されてソレノイドの駆動信号がOFFになったときにプランジャを基準位置に押し戻すコイルスプリング134などから構成される。
ソレノイド131は、金属製のケースと、ケース内に収められた駆動コイル、および駆動コイルの空芯部をスライド変位可能に支持されたプランジャを有し、駆動コイルにソレノイド駆動信号を印加したときにプランジャが引き込み作動される直動型の電磁ソレノイドである。駆動コイルの信号線は球払出制御装置82に接続され、ソレノイド131は球払出制御装置82によって作動が制御される。プランジャの先端部は外周面が一部平坦に面取りされて軸端係止部が形成され、ソレノイド131のケース下面にはソレノイド131を取り付けるためのネジ穴が左右二カ所に形成されている。
駆動伝達具132は、軸端ブロック132aと係合ピン132bとからなり、軸端ブロック132aには、プランジャ先端の軸端係止部と同一の断面形状でわずかに小さめの取付孔が形成されている。係合ピン132bは滑らかな円柱状のピンであり、取付孔の軸線と直交方向に延びて設けられている。駆動伝達具132は、例えばアルミダイキャスト等の成型手段により一体に形成され、あるいは同様の成型方法により形成された軸端ブロック132aにステンレス等の金属製の係合ピン132bを圧入固着し、または樹脂製の軸端ブロック132aに金属製の係合ピン132bをインサートモールドする等の手段により一体に形成される。
受圧部材駆動機構130は、ソレノイド131のプランジャ外周部にコイルスプリング134を装着して支持させ、プランジャ先端の軸端係止部に軸端ブロック132の取付孔を係合させて圧入固定することでスプリングリターン型の駆動機構が部分組立される。そしてソレノイド131のケース下面のネジ穴に固定ネジ138,138を緩く螺合させて基枠体前面側のソレノイド支持部115に載置し、ケースの右端角部をソレノイド支持部115の右端角部に位置合わせして後方にスライドさせる。すると固定ネジ138,138がネジ受容スリット115s,115sの溝内を後方にスライドするとともに、駆動伝達具132の係合ピン132bが基枠体支持面のピン挿通孔116を通って整列通路42a,42bの上方に突出し、ソレノイド131のケース後端面が基枠体31の支持面と係合して位置決めされる。そこで、ソレノイド支持部115の底面側から固定ネジ138を締め込むことで基枠体31における支持面の前面側に固定される。
そして、このように受圧部材120が揺動自在に支持され、受圧部材駆動機構130が位置決め固定されると、整列通路42a,42bの上方に位置して前方に突出する係合ピン132bが揺動本体の立設面121aと係脱可能に配設され、受圧制御ユニット100が形成される。
受圧制御ユニット100の取付姿勢では、受圧部材120が支軸128に揺動自在に支持され、常には揺動本体の立設面121aが略鉛直となる揺動角度位置に垂下される。支軸128の下方に位置する膨縮部材122の下面高さは、この揺動角度位置において、前後二列の整列通路42a,42bに整列された遊技球の上端の高さラインLB(図3中の部分拡大図を参照)と同一、若しくはこの高さラインLBよりもわずかに上方に位置するように規定されている。
また受圧制御ユニット100の上流側では、下流に向けて緩やかに通路高さが低くなる整列補助壁112が設けられており、たとえ球均し具44で平らに均されずに上下に重なった状態で整列通路を流下してくる遊技球があっても、受圧部材120よりも上流側で整列補助壁112に当接して平らに均され、上下方向に一列の整列状態で受圧部材120の下方を通過するようになっている。
このため、整列通路42a,42bをタンク部材41側から偏向出口43側に移動する遊技球が受圧部材120の左面側に当接したり、受圧部材120の左端角部に上下に噛み込んだりするようなことがなく、整列通路42a,42bを流下する遊技球は膨縮部材122に接触することなく、あるいは接触しても受圧部材120をわずかに揺動させるだけで、規制力を受けずに偏向出口43に向けてそのまま流下する。そして偏向出口43の上方で前後各列の接触子125a,125bに接触し、電荷が除去された状態で偏向出口43から待機通路52a,52bに流入する。
従って、図3〜図6に示す揺動角度位置では、受圧制御ユニット100は受圧部材120よりも上流側に貯留された遊技球から作用する圧力を下流側の遊技球にそのまま伝達させる。このように、上流側に貯留された遊技球から作用する圧力を減免させることなく下流側の遊技球にそのまま伝達させる揺動角度位置を解放位置Pfという。球払出制御機構では、遊技球の払い出しが開始される以前においては、原則として受圧部材120がこの解放位置Pfに配設されている。
一方、球払出制御機構では遊技球の払い出しが開始されるときに受圧部材駆動機構130を作動させ受圧部材120を揺動させる。以下では、図8に示した球払出制御機構における制御構成のブロック図、および図9に示したソレノイド131と球払出モータ53mのタイミングチャートを参照しながら球払出制御機構の動作を中心に説明する。なお図9における(a)(b)(c)の各図は遊技盤20における入賞条件やCR操作パネル92の球貸要求ボタンによる球貸しなど、払出条件が相違する場合の制御タイミングを例示したものである。
主制御装置81には、各入賞具の入賞検出センサ23s,24s,25s,25tから検出信号が入力されており、主制御装置81は各入賞検出センサから入賞検出信号が入力されたときに、当該入賞検出信号から入賞条件を判断し入賞条件に基づいた払出指令信号を球払出制御装置82に出力する。例えば、入賞検出信号が一般入賞具23の入賞検出センサ23sまたは始動入賞具24の入賞検出センサ24sから入力されたときには、主制御装置81は、これらの入賞具23,24に入賞したときの払出数量が少数個(例えば4個あるいは8個)に該当することを内部メモリーに設定記憶されたテーブルから判断し、当該少数個に対応した払出指令信号C1を球払出制御装置82に出力する。また入賞検出信号がアタッカー装置25の入賞検出センサ25s,25tから入力されたときには、主制御装置81は大入賞口に入賞したときの払出数量が多数個(例えば15個)に該当することを同様に判断し、多数個に対応した払出指令信号C2を球払出制御装置82に出力する。
球払出制御装置82には、主制御装置81から入力される上記払出指令信号C1,C2に加えて、CR操作パネル92から球貸要求信号C3が入力されている。球貸しは一般に25個を単位として行われており、球貸要求信号はこの25個の払い出しを要求する信号である。
球払出制御装置82にこれらの信号が入力されると、球払出制御装置82は、まず球有検出センサ51の検出信号を参照し、払い出しを行うのに充分な数量の遊技球が待機通路の上部まで貯留待機されているか否かを判断する。そして検出信号が球無し状態であるとき(例えば球有検出センサ51の接点がオープンのとき)には主制御装置81に球切れ信号を出力し、主制御装置81はパチンコ機前面の球切れ表示ランプを点灯させ、またターミナル基板85を介して遊技施設側の管理装置に球切れ信号を出力するなどのアラームを発生する。
一方、球有検出センサ51の検出信号が球有り状態であるとき(同様に球有検出センサ51の接点がクローズのとき)には、受圧制御ユニット100および球払出装置53にそれぞれ駆動信号を出力して遊技球の払い出しを行わせる。
ところで、球払出制御装置82に入力された払出指令信号C1,C2および球貸要求信号C3は、それぞれ異なる個数の払い出しを求める信号である。そこで球払出制御装置82は入力された払出指令信号等C(C1,C2,C3)から、払い出すべき数量(払出条件)に応じたモータ駆動信号M1,M2,M3を生成し、球払出装置53の球払出モータ53mに出力する。また球払出制御装置82は、受圧制御ユニット100のソレノイド131を駆動するソレノイド駆動信号S1,S2,S3を生成し、ソレノイド131に出力する。
図9(1)(2)(3)に、それぞれ球払出数量が少数個(1)、多数個(2)、球貸し(3)で、それぞれ複数回連続動作させたとき(複数の払出指令信号等Cが蓄積されて連続払出状態のとき)のモータ駆動信号M1,M2,M3と、ソレノイド駆動信号S1,S2,S3との関係をタイミングチャートで示すように、ソレノイド駆動信号S(S1,S2,S3)はモータ駆動信号M(M1,M2,M3)と同期して、モータ駆動信号Mが出力される直前(換言すれば球払出モータ53mの回転起動前)にONになり、モータ駆動信号Mが出力されて所定時間経過後(球払出モータ53mの回転起動後)にOFFになるパルス状の駆動信号である。
すなわちソレノイド駆動信号SがONされる時点では、球払出モータ53mは未だ回動しておらず、整列通路42a,42bおよび待機通路52a,52bには、遊技球が前後二列に整列されて上流の球貯留タンク41から下流の球払出装置53まで密に繋がった状態で貯留されている。
ソレノイド駆動信号SがONになると、ソレノイド131のプランジャが左方にスライドして駆動伝達具132を左動させ、係合ピン132bが揺動本体の立設面121aを引き込んで支軸128を揺動中心として受圧部材120を時計廻りに揺動させる。受圧部材120の各部は支軸128からの距離に応じた揺動半径で移動し、膨縮部材の受圧面122bが遊技球の高さラインLBを越えて下方に張り出しながら左方に揺動する。
このため整列通路42a,42bに整列状態で貯留されていた遊技球は、膨縮部材の受圧面122bに摩擦係合され、また受圧面122bの右端部に引っ掛けられて上流側に押し戻されるように左動する。そしてプランジャの移動端部位置では、受圧部材先端部の移動量に応じて遊技球が上流側に移動され、図10に示すように、下流側の遊技球と所定間隔離れた状態で膨縮部材の受圧面122bに弾性的に保持される。受圧面122bは前後の整列通路42a,42bに整列された遊技球を各列2個ずつ程度係合可能な長さを有して形成されており、球送り回転体53rのインペラ構成により前後列で遊技球が半ピッチ程度ずれて整列されていても、両列の遊技球をともに確実に係合保持可能になっている。またアース部材125は薄肉金属材料を用いて成形され、前後の接触子125a,125bは各々独立して弾性変形容易に形成されている。
このため、上流側に貯留された遊技球から作用する圧力が受圧部材120に受け止められて圧力伝達が遮断され、上流側からの圧力が下流側の遊技球に作用することがない。このように、上流側に貯留された遊技球から作用する圧力を受圧部材120が受け止めて、下流側に位置する遊技球への圧力を減免させる揺動角度位置(本実施形態においては免除させる揺動角度位置)を受圧位置Prという。
受圧部材120が受圧位置Prに移動した状態では、受圧部材120よりも下流側に整列待機された遊技球に作用する圧力がその分軽減され、球払出モータ53mにはこのように圧力が軽減された状態でモータ駆動信号M(M1,M2,M3)が出力される。
モータ駆動信号M1,M2,M3は、払い出し数量に相当する回転角度分、球送り回転体53rを時計回りまたは反時計回りに回動させる信号であり、例えば少数個の払出指令信号C1が4個の場合には球払出モータを240度、8個の場合には480度、時計回りに回動させるモータ駆動信号M1を出力して球送り回転体53rを回動させ、右側の払出口53dから球払出通路60に払い出す。多数個の払出信号の場合も同様であり、15個の払出指令信号C2に対して球払出モータを900度(2.5回転)時計回りに回動させるモータ駆動信号M2を出力して球送り回転体53rを回動させ、右側の払出口53dから球払出通路60に払い出す。また球貸要求信号C3(25個)の場合には、球払出モータを1500度(4回転と60度)反時計回りに回動させるモータ駆動信号M3を出力して球送り回転体53rを回動させ、左側の払出口53cから球払出通路60に払い出す。
モータ駆動信号Mが出力されて所定時間(例えば50〜200ms程度の時間)が経過すると、球払出制御装置82はソレノイド駆動信号SをOFFにする。ソレノイド駆動信号がOFFになると、コイルスプリング134に蓄えれた弾性力によりプランジャが右動され基準位置に押し戻される。すると、受圧部材120は上流側に貯留された遊技球の圧力により反時計回りに揺動されて解放位置Pfに戻るとともに、それまで受圧部材に押しとどめられていた遊技球が受圧面122bの下方を通過して整列通路42a,42bを流下する。そして各列の接触子125a,125bに接触して電位を除去されたうえで先に下動する遊技球に追いつき、とぎれることなく滑らかに払い出される。受圧部材120の配設位置および上記所定時間は、球払出モータ53mの回転起動により先に下動する遊技球全体が球有検出センサ51を通過する以前に後続の遊技球が追いついて連接状態になるように、より具体的には球無し状態のアラームにならないように設定される。
こうして球払出口53c,53dから払い出された遊技球は、左右の球計数センサ54,54により通過が検出され、球払出制御装置82は球計数センサ54から入力された検出信号から払い出された遊技球の実数をカウントしてモータ駆動信号Mに係る目標数量と比較し、球払出モータ53mの作動を制御する。これにより、遊技盤20における入賞条件やCR操作パネル92から入力される球貸要求等の払出条件に応じた数量の遊技球が球払出通路60に払い出され、球払出通路60を転動流下して上球皿6または下球皿7に払い出される。
遊技球の払い出し作動は、払出指令信号Cが複数蓄積されている場合、例えば払出指令信号C2がn個蓄積されている場合でも、各払出指令信号C2に対応して1作動ずつn回繰り返して行われ、ソレノイド駆動信号S2はモータ駆動信号M2の出力ごとに、モータ駆動信号M2の立ち上がりに先立って出力される。
このため、球払出装置53にとって最も大きな回転トルクが必要とされる球払出モータ53mの回転起動時に、受圧部材120が上流側の遊技球の圧力を受けて球払出モータ53mに対する負荷を軽減させ、これにより、比較的小型のモータを用いた球払出装置でも適正な払出作動を確保することができる。また球払出モータ53mのみならず、球送り回転体53rや受容口等に対する負荷をも軽減できるため小型の球払出装置を用いても長期間安定して作動させることができる。
さらに、遊技球の帯電電位があまり高くならない整列通路の終端領域でアース部材125に接触させて電荷を放出させ、電位の低い状態で球有り検出スイッチ51や球払出装置53を通過させる構成のため、静電ノイズに起因する制御装置の誤作動を未然に防止するとともに、一般的に絶縁耐圧を確保しにくい小型の球払出装置を使用することが可能になり、装置の小型化および長期安定性を両立させた球払出制御機構を提供することができる。また、受圧部材駆動機構130の駆動源であるソレノイド131が、整列通路42a,42bの前方壁面と遊技盤20との間、すなわち前後二層構造の前面側の層に配設されているため、裏セット盤30の前後方向の厚さを増加させないコンパクトな構成で、上記効果を備えた球払出制御機構を提供することができる。
なお、例えばソレノイド131近傍の支持面に裏セット盤30の背面側から視認可能にLED等の発光素子137を設け、球払出制御装置82から発光素子137を点滅させる発光制御信号をソレノイド駆動信号Sと同時に出力させて、ソレノイド131の駆動時に発光素子137を点灯させるように構成することも好ましい。このような構成によればソレノイド131の駆動時、すなわち受圧部材120が受圧位置Prに揺動されたときに発光素子137が点灯され、受圧制御ユニット100の作動状況を裏セット盤30の背面側から容易に目視確認することができる。
以上では、球払出制御装置82に入力される払出指令信号等Cが、少数個または多数個の球払出指令信号C1,C2であるか球貸し要求信号C3であるかによらず、球払出装置53の作動時全てについて受圧制御ユニットの作動を制御する制御形態を例示したが、入力される信号の種別に応じて作動状態を変化させ、あるいは払い出される遊技球の数量や払い出しの連続状況等に応じて、作動状態を適宜変更して構成すること(例えば、少数個の払出指令信号C1が複数蓄積されているような場合には、最初の払出作動時のみ受圧制御ユニットを作動させるように構成すること等)も可能である。
球払出制御機構には、以上説明した球払出装置53に作用する圧力を軽減させる圧力制御機能に加えて、遊技球の流下を規制する球止め機能が設けられている。この機能は、球止め構造により達成され、例えば球有検出センサ51の交換作業や、待機通路52a,52bの清掃作業、球払出装置53の保守作業など、球貯留タンク41に貯留された遊技球を全量球抜きする必要がないときに利用される。
球止め構造140は、基枠体31の支持面に形成された枠側キー支持穴141aと、タンクレール42の後方壁面に形成されたレール側キー支持孔141b、受圧部材120を揺動操作する揺動操作摘み121kなどを主体として構成され、遊技施設の係員が常時携行して球抜き作業等に使用するハートキー145を利用して球止め操作できるように構成されている。枠側キー支持穴141aおよびレール側キー支持孔141bは、ともにハートキー145の外形よりもわずかに大きめの内径を有し、受圧部材120を球止め位置に揺動させたときの係止端部125eの配設位置と整合して同軸上に形成されている。
受圧部材120は、前述した解放位置Pfにおいてタンクレール42の後方壁面と基枠体31の支持面との間に揺動自在に支持されており、揺動本体121の揺動操作摘み121kはタンクレール42の後方壁面からわずかに露出した状態で揺動操作可能に配設されている。
そこで、この揺動操作摘み121kに指を掛けて下方に押圧し、受圧部材120を時計廻りに揺動させると、整列通路42a,42bに整列状態で貯留されていた遊技球が膨縮部材の受圧面122bに係合して左方に押圧され、また受圧部材の右端部に引っ掛けられて整列通路42a,42bの上流側に押し戻されるように左動する。そして前述した受圧位置Prよりもさらに揺動させると、受圧部材120の右先端部が遊技球の高さラインLBを越えて下方に張り出し、受圧部材120の右先端部が支軸128の鉛直下方に位置する揺動角度位置近傍で最大の突出状態になる。
この揺動角度位置では、受圧部材120の右先端部が遊技球の高さラインLBを越えて下方に大きく張り出し、右方に下傾する膨縮部材の受圧面122bが整列通路42a,42bの上部を覆って塞ぐように配設され、受圧部材120の右面側では、枠側キー支持穴141aとレール側キー支持孔141bとがアース部材の係止端部125eと同軸上に前後に対向した状態になる。
そこで、タンクレール42の後方からハートキー145をレール側キー支持孔141bに嵌入して挿通させ、キー先端部をアース部材の係止端部125eを通して枠側キー支持穴141aに受容させて支持させる。すると係止端部125eを前後に挿通されたアース部材がハートキー145に係合支持され、受圧部材120が当該揺動角度位置に係止される。これにより、受圧部材120が遊技球を堰き止める球止め位置Psに係止保持され、上流側に貯留された遊技球の下流側への流下が規制される。球止め位置Psでは、アース部材の係止端部125eがハートキー145により挿通された状態で強固に係止保持されるため、例えば裏セット盤30が前後に揺すられたり、整列通路に堰き止められた遊技球の圧力が変動したりしても、受圧部材120が解放位置に戻ってしまうようなことがない。
そしてこのように受圧部材120を球止め位置Psに係止保持させた状態で、遊技施設の係員が前述した球抜き機構を利用して遊技球を排出させることで、受圧部材120〜待機通路の上部に停留する遊技球を短時間で球抜きすることができ、球有り検出スイッチ51や球払出装置53の点検作業や交換作業などを容易に行うことができる。
球払出装置53の点検作業等を終えた後、球止め状態を解除するには、揺動操作摘み121kを軽く支えてハートキー145を後方に抜去し、支えていた揺動操作摘み121kを緩やかに放せばよい。すると整列通路42a,42bに停留された遊技球の球圧で受圧部材120が反時計廻りに揺動し、受圧部材120が解放位置Pfに復帰する。
従って、以上説明したような球止め構造140を備えた球払出制御機構によれば、別途に独立した球止め機構を設けることなく、受圧部材を球止め位置に変位させて係止させる簡明な装置構成で、保守作業性の良好な払出制御機構を提供することができる。
次に、第2実施形態の球払出制御機構について説明する。本実施形態の球払出制御機構は、受圧制御ユニットにおける受圧部材(120)、アース部材(125)、球止め構造(140)の構成が異なる点を除いて、受圧部材駆動機構130の機構構成や、球払出制御装置82による受圧部材駆動機構130の制御形態等は、前述した第1実施形態の球払出制御機構と同様である。そこで、以下では前述した受圧制御ユニット100と相違する部分を中心に、第2実施形態の受圧制御ユニット200について図12および図13を参照して説明する。なお図12は受圧制御ユニット100との相違部分を主として示す受圧制御ユニット200の分解斜視図(斜め後方から見た分解斜視図)、図13は受圧部材220を球止め位置に係止した状態の受圧制御ユニット200の背面図であり、受圧制御ユニット100と同様の構成部分には同一番号を付して重複説明を省略する。
受圧制御ユニット200における受圧部材220は、整列通路42a,42bの上方に揺動自在に支持されて受圧部材駆動機構130により揺動される揺動本体221と、揺動本体221に着脱交換可能に装着されて遊技球と弾性的に係脱し得る膨縮部材122とからなる。
揺動本体221は、上下に延びる立設面221aと、この立設面に繋がって右方に延びる座面221bとを有し、全体としてL字アングル状に形成される。立設面221aの上部には、支軸128の外径よりもわずかに大きめの内径を有して前後に延びる中空円筒状の軸受部221jが形成されており、支軸128を介して整列通路42a,42bの上方に揺動自在に支持されるようになっている。
立設面221aの右面側中央部には、右方に突出してボスが設けられその中心にネジ123を受容するネジ受容穴221hが立設面221aを左右に貫通して形成され、立設面の後部には、後端縁面から後方に突出して棒状の揺動突起221kが形成されている。座面221bの右端部には、右縁中央部が平面視凹状に切り欠かれて膨縮部材の嵌合凸部122dを受容する嵌合凹部221dが形成され、座面221bの上面前後には図示省略する軸ピンを介してアース部材の係止端部225eを支持する軸支フランジ221e,221eが上方に突出成型されている。揺動本体221は、前述した揺動本体121と同様の樹脂材料を用い、射出成型等の成形手段で一体成型される。
膨縮部材122は、前述した実施形態の膨縮部材122と同様であり、揺動本体の立設面221aおよび座面221bの形状寸法に合致したL字状に形成される。立設面122aの右面中央部には、揺動本体のネジ受容穴221hと位置整合してネジ123を挿通させるネジ挿通孔が形成され、受圧面122bの右端中央部には、揺動本体側の嵌合凹部221dと位置整合して上向きに突出する嵌合凸部122dが形成されている。
ここで、膨縮部材の嵌合凸部122dと揺動本体の嵌合凹部221dとの関係では、嵌合凸部122dが嵌合凹部221dの切り欠き面積よりも幾分大きめの断面積を有して嵌合凹部221dと嵌脱可能に形成され、また嵌合凸部122dの側端面と立設面122aとの内面間隔は、揺動本体における嵌合凹部221dの溝底面と立設面221aとの外面間隔よよりも幾分小さめに形成されている。このため、膨縮部材の嵌合凸部122dを揺動本体の嵌合凹部221dに嵌合させ、膨縮部材の受圧面122bおよび立設面122aを揺動本体の立設面221aおよび座面221bに沿うように係合させて、膨縮部材122の左面側からネジ123を挿通してネジ受容穴221hに螺合締結すると、嵌合凸部122dが嵌合凹部221dと弾性的に嵌合し、膨縮部材122の受圧面および立設面が弛みなく揺動本体221に支持された状態で係止され、一体の受圧部材220が形成される。
またアース部材225は、揺動本体221における前後の軸支フランジ221eの内面間隔寄りも幾分小さめの幅寸法に形成されたプレート部225pと、このプレート部225pから右斜め下方に延びて形成された舌片状の接触子225a,225bとを主体として構成され、前述したアース部材125と同様の導電性材料を加工成形して構成される。
プレート部225pの左端部は、軸ピンの外径よりもわずかに小さめの内径を有する円筒状にカーリング成型され、中心に軸ピンを受容支持し得る係止端部225eが形成されている。プレート部225pから右斜め下方に延びる接触子225a,225bは、整列通路42a,42bの配設ピッチに合わせて右方に延びる舌片状をなし、揺動本体221に取り付けられた状態で両者が一体に上下揺動自在であるとともに、各接触子が各々独立して上下に弾性変移し得るようになっている。プレート部225pと接触子225a,225bとの間は、受圧部材220の上下方向の厚さに対応してクランク状に折り曲げられ、接触子が整列通路42a,42bの直上に導かれるようになっている。接触子225a,225bの基端側にはアース線126を接続する接続端子225tが形成されている。
アース部材225は、係止端部225eを前後の軸支フランジ221e,221eの間に配設し、軸支フランジ221eの前方または後方から軸ピンを通して係止端部225eに嵌入し、この係止端部225eを挿通させて、軸ピンの先端を他方の軸支フランジ221eに支持させることで、係止端部221eに嵌合された軸ピンを介して前後の軸支フランジ221e,221eの間に上下揺動自在に支持される。
一方、整列通路42a,42bの終端近傍部では、基枠体31の支持面に枠側支軸部111aが設けられ(図4〜図7を参照)、枠側支軸部111aと対峙するタンクレール42の後方壁面の上部には、枠側支軸部111aのネジ受容穴と位置整合してザグリ孔形態のレール側支軸部111bが形成されている。またレール側支軸部111bの下方に位置するタンクレールの後方壁面の上部には、揺動突起221kの揺動軌跡に合わせた円弧形状の突起挿通溝242が形成されており、揺動突起221kを挿通させて突起先端部を後方に突出させるようになっている。
そこで、揺動突起221kを突起挿通溝242を通して後方に突出させ、受圧部材220の軸受部221jを枠側支軸部111aとレール側支軸部111bとの間に位置合わせして、レール側支軸部111bの後方から軸受部221jに支軸128を挿通させて枠側支軸部111aのネジ受容穴に螺合させることで、受圧部材220が整列通路42a,42bの上方に揺動自在に支持される。また受圧部材220に上下揺動自在に取り付けられたアース部材225は、接続端子225tにアース線126を接続することでアース電位に地落され、右端側の接触子225a,225bが整列通路42a,42bに下垂した状態で配設される。
こうして受圧部材220が取り付けられた基枠体31の後面側では、整列通路42a,42bの上方に位置して、受圧部材220の上流側に整列補助壁112、下流側に上動規制壁113が形成されている。これらは既述した整列補助壁112および上動規制壁113と同様であり、整列補助壁112は、球均し具44の下側を通ってもなお上下に重なって流下してくる遊技球を平らに均して前後各一列の整列状態で受圧部材220側に流入させるように機能し、上動規制壁113は、偏向出口43の近傍に位置する遊技球が上流側からの圧力によって盛り上がらないように機能する。またアース部材225は、受圧部材220の取付姿勢(解放位置Pf)において接触子225a,225bの右端部が上動規制壁113の下側に位置するように形成されており、受圧部材220と上動規制壁113との間から遊技球が溢れ出ないようになっている。
一方、基枠体31の前面側には、既述したと同様の受圧部材駆動機構130が設けられる。そして、受圧部材220が揺動自在に支持され、受圧部材駆動機構130が取り付けられると、整列通路の上方に位置して前方に突出する係合ピン132bが揺動本体の立設面221aと係脱可能に配設され、受圧制御ユニット200が形成される。
受圧制御ユニット200の取付姿勢では、受圧部材220が支軸128に揺動自在に支持され、常には揺動本体の立設面221aが略鉛直となる揺動角度位置に垂下される。膨縮部材の受圧面122b下面高さは、この取付姿勢において、整列通路42a,42bに整列された遊技球の上端の高さライン(LB、図3を併せて参照)と同一若しくはわずかに上方に位置するように規定されている。また受圧制御ユニット200の上流側には、下流に向けて緩やかに通路高さが低くなる整列補助壁112が設けられ、たとえ球均し具44で平らに均されずに流下してくる遊技球があっても、受圧部材220よりも上流側で整列補助壁112に当接して平らに均され、上下方向に一列の整列状態で受圧部材220の下方を通過する。
このため、整列通路42a,42bをタンク部材41側から偏向出口43側に移動する遊技球が受圧部材220の左面側に当接したり、受圧部材220の左端角部に上下に噛み込んだりするようなことがなく、整列通路42a,42bを流下する遊技球は膨縮部材122に接触することなく、あるいは接触しても受圧部材220をわずかに揺動させるだけで、規制力を受けずに偏向出口43に向けてそのまま流下する。そして偏向出口43の上方で前後各列の接触子225a,225bに接触し、電荷が除去された状態で偏向出口43から待機通路52a,52bに流入する。
従って、受圧部材220の取付姿勢では、受圧制御ユニット200は、受圧部材220よりも上流側に貯留された遊技球から作用する圧力を減免させることなく下流側の遊技球にそのまま伝達させる。すなわち受圧部材220は解放位置Pfに配設される。球払出制御機構では、遊技球の払い出しが開始される以前においては、原則として受圧部材220がこの解放位置Pfに位置している。
そして、球払出制御機構では遊技球の払い出しが開始されるときに受圧部材駆動機構130を作動させ受圧部材220を揺動させる。受圧部材制御機構における受圧部材220の揺動制御は、既に図8および図9に示した作動制御と同様に行われ、受圧部材駆動機構のソレノイド131を駆動するソレノイド駆動信号Sが、球払出モータ53mを回転させるモータ駆動信号Mの出力ごとに、モータ駆動信号Mの立ち上がりに先立って出力され、受圧部材220が既述したと同様の受圧位置Prに配設される(図10を参照)。
このため、球払出装置53にとって最も大きな回転トルクが必要とされる球払出モータ53mの回転起動時に、受圧部材220が上流側の遊技球の圧力を受けて球払出モータ53mに対する負荷を軽減させ、これにより、比較的小型のモータを用いた球払出装置でも適正な払出作動を確保することができる。また球払出モータ53mのみならず、球送り回転体53rや受容口等に対する負荷をも軽減できるため小型の球払出装置を用いても長期間安定して作動させることができる。
さらに、遊技球の帯電電位があまり高くならない整列通路の終端領域でアース部材225に接触させて電荷を放出させ、電位の低い状態で球有り検出スイッチ51や球払出装置53を通過させる構成のため、静電ノイズに起因する制御装置の誤作動を未然に防止するとともに、一般的に絶縁耐圧を確保しにくい小型の球払出装置を使用することが可能になり、装置の小型化および長期安定性を両立させた球払出制御機構を提供することができる。また、受圧部材駆動機構130の駆動源(ソレノイド131)が、整列通路の前方壁面と遊技盤との間、すなわち前後二層構造の前面側の層に配設されているため、裏セット盤30の前後方向の厚さを増加させないコンパクトな構成で、上記効果を備えた球払出制御機構を提供することができる。
また本構成の球払出制御機構では、ハートキーなどの治具を用いることなく、遊技球の流下を規制する球止め構造240がタンクレール42の後方壁面に設けられている。球止め構造240は、受圧部材220の揺動本体221に形成された揺動突起221k、後方壁面の上部に左右揺動可能に枢支された球止め操作レバー245、後方壁面の下部に形成されたレバー係合片243などを主体として構成される。
後方壁面の上部には、レール側支持部111bの直下に位置して球止め操作レバー245を枢支する軸状のレバー支持ボス241が後向きに突出成型され、その中心にネジを受容するネジ受容穴が形成されている。球止め操作レバー245は、円筒状の軸受部245aと、この軸受部から軸直交方向に延びるレバー部245bとからなり、レバー部245bには揺動操作を容易化するリブ状の操作摘み245mが設けられている。軸受部245aはレバー支持ボス241の外径よりもわずかに大きめの内径を有して嵌脱自在に形成されるとともに、レバー支持ボス241の突出高さよりもわずかに低めに形成されており、レバー支持ボス241に軸受部245を嵌挿して支持させ、レバー部245bを揺動突起221kの右方に位置させた状態で、後方から平座金を介してネジ248をレバー支持ボス241のネジ受容穴に締め込むことで、球止め操作レバー245が揺動可能にレバー支持ボス241に揺動可能に枢支される。
レバー支持ボス241の下方には、後方壁面から上下および左辺がコの字状に切り離されて、前後に弾性変移可能なレバー係合片243が形成されている。レバー係合片243の先端側は、傾斜する係合斜面243bを有して緩やかに後方に張り出され、その先端部にはレバー部245bの右側端面と係脱可能な係止面243cが形成されている。
このため、上記のように球止め操作レバー245がレバー支持ボス241に取り付けられると、球止め操作レバー245は、常にはレバー部245bの左側に位置する係合斜面243bの作用により時計廻りの自由な揺動が規制され、揺動突起221kは突起挿通孔242の角度範囲内で自由に移動することができる。このため受圧部材220は球止め操作レバー245により揺動規制を受けることがなく、球払出制御装置82の作動に従って解放位置Pfと受圧位置Prとの間で揺動制御される。
一方、球止め操作レバー245を、係合斜面243bからの反力に抗して時計廻りに揺動させると、レバー部245bが係合斜面243bを押圧してレバー係合片243の先端部を前方に弾性変位させるとともに、レバー部245bの左側端面が揺動突起221kと係合して受圧部材220を時計廻りに揺動させる。すると、整列通路42a,42bに整列状態で貯留されていた遊技球が膨縮部材の受圧面122bと係合して左方に押圧され、また受圧部材220の右端部に引っ掛けられて整列通路42a,42bの上流側に押し戻されるように左動する。
そして既述した受圧位置Prよりもさらに揺動させると、受圧部材220の右先端部が遊技球の高さラインLBを越えて下方に張り出し、受圧部材220の右先端部が支軸128の鉛直下方に位置する揺動角度位置近傍で最大の突出状態になる。このとき、受圧部材220を揺動させる球止め操作レバーのレバー部245bがレバー係合片243を乗り越えて左方に移動し、レバー部245bに押さえられていたレバー係合片の左端部が弾性力により後方に自己復帰してレバー部245bの右側方に突出する。
そこで、球止め操作レバー245から指を放すと、整列通路に貯留された遊技球の押圧力により受圧部材220が下流方向に押圧され、操作レバー245が揺動突起221kを介して反時計廻り方向に押圧されて、レバー部245bの右側端面がレバー係合片の係止面243cと係合して、受圧部材220および球止め操作レバー245が当該揺動角度位置で係止される。これにより、受圧部材220が遊技球を堰き止める球止め位置Psに係止保持され、上流側に貯留された遊技球の下流側への流下が規制される。球止め位置Psでは、レバー部245bの右側方にレバー係合片243の左端部が突出して配設され、球止め操作レバー245の反時計廻りの揺動を規制するため、例えば裏セット盤30が前後に揺すられたり、整列通路に堰き止められた遊技球の圧力が変動したりしても、受圧部材220が解放位置に戻ってしまうようなことがない。
そしてこのように受圧部材220を球止め位置Psに係止保持させた状態で、遊技施設の係員が球抜き機構を利用して遊技球を排出させることで、受圧部材220〜待機通路の上部に停留する遊技球を短時間で球抜きすることができ、球有り検出スイッチ51や球払出装置53の点検作業や交換作業などを容易に行うことができる。
球有り検出スイッチ51の点検作業等を終えた後に球止め状態を解除するには、球止め操作レバー245を軽く支えてレバー係合片243の左端部を前方に押圧し、その状態で球止め操作レバー245を緩やかに反時計廻りの揺動させればよい。すると整列通路42a,42bに停留された遊技球の球圧で受圧部材220が反時計廻りに揺動し、受圧部材220が解放位置Pfに復帰する。
従って、以上説明したような球止め構造240を備えた球払出制御機構によれば、別途に独立した球止め機構を設ける必要がない簡明な装置構成で、かつ球止め操作レバー245を揺動操作して受圧部材220を球止め位置Psに変位させるだけの簡単な操作で、保守作業性の良好な払出制御機構を提供することができる。
図14(a)(b)は、膨縮部材122における受圧面122bの他の構成例を示したものであり、取付姿勢とは逆向きに受圧面122bを上方に向けて表示した斜視図ある。このうち図14(a)に示す膨縮部材122′は、受圧面に半円弧状に突出して前後に延びるライン形態の受圧突起122tを形成した構成例であり、図14 (b)に示す膨縮部材122″は、前後の整列通路42a,42bに合わせて受圧面に半球状に突出するドット形態の受圧突起122uを形成した構成例である。このような受圧突起を設けた膨縮部材では、平坦な受圧面による摩擦係合効果に加えて突起部に遊技球を引っ掛けて係止する掛止効果を持たせることができる。また比較的反発弾性の低い高分子材料を用いることも可能になり、耐摩耗性を高めた構成にすることができる。
なお、以上説明した各実施形態では、受圧位置Prとして、受圧部材が上流側から作用する圧力を受け止めて下流側に作用する圧力を免除させる場合の構成例を示したが、受圧位置Prは下流側への圧力を軽減させる構成とすることもできる。このような構成例として、例えば、膨縮部材122に換えてアース部材を兼ねる薄板金属製の板バネを揺動本体に嵌着して整列通路側に張り出させ、受圧位置Prにおいて整列通路を通る遊技球の流下を止めることなく球圧を軽減させる構成が例示される。
また、下流側に作用する圧力を免除させる構成の場合には、受圧位置Prと球止め位置Psとを同一の揺動角度位置に設定することも可能であり、受圧部材は受圧位置で球通路に突出して遊技球を係止する金属製または樹脂製のフックを用いる構成としてもよい。さらに、実施形態では受圧部材を変位させる駆動源として吸引型の直動ソレノイドを用い、駆動伝達具を介して受圧部材を揺動させる形態を例示したが、駆動源はプッシュ型の直動ソレノイドを用いてもよく、また受圧部材120を直接または間接的に揺動させるロータリーソレノイドを用いて構成することも可能である。
さらに、各実施形態では、受圧制御ユニットを整列通路の下流部に設け、受圧部材を駆動する駆動源(ソレノイド)を裏セット盤の前面側に設けた例を示したが、受圧制御ユニットは球貯留タンク41と球払出装置53との間を結ぶ案内通路のいずれの位置に設けるものであってもよく、また駆動源は裏セット盤の後面側に設けるものであってもよい。