JP4026307B2 - 熱現像材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成する熱現像材料に関するもので、更に詳しくは熱現像材料の支持体と感光層間の層間接着を改良するものであり、特に写真性能や保存性に影響を与えず、各層間の接着を改良した熱現像材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療や印刷の分野で環境保護や作業性の面から湿式処理に伴う廃液の出ない光熱写真材料が強く望まれており、特に熱現像により、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされている。これらの光熱写真材料は通常、80℃以上の温度で現像が行われるので、熱現像材料と呼ばれている。
【0003】
従来からこのタイプの熱現像材料は、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等の支持体上に色素で分光増感された高感度のハロゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤を含む感光層と、該感光層に向けて照射した光が吸収されずに通過して支持体の界面や中間層や接着層等で乱反射するのを防ぐイラジエーション防止(AI)層或いはバッキング(BC)層から構成され、更には感光層の上やBC層の上に取り扱い時の傷の付くのを防ぐための保護層が設けられている。BC層を設ける場合には、感光層の下にAI層を設けないこともあるが、両面に感光層を設ける場合には、両面の感光層下部にAI層を設けることが必要となる。
【0004】
上記熱現像材料の各層の結合剤は、各種の添加剤を保持し、熱現像時の酸化還元反応を適切に進行させる場を提供する。微量の水分でも保存性には悪影響を与えるので、できるでけ水分を含まない結合剤が要求される。そのため、スチレン−ブタジエン共重合体やポリビニルアセタール化合物が適用されている。しかし、このような結合剤を選択すると、支持体と感光層間或いは支持体とAI層の接着が弱くなり、剥離し易くなるという問題が生じていた。そこで支持体上に直接上記のAI層、BC層または感光層等を塗布せず、支持体に下塗り層を設けることで接着性を向上させている。下塗り層を塗布する工程では乾燥工程とこれに引き続く平滑性付与や寸法安定化の熱処理工程が行われる。ここで下塗りの膜強度が弱かったり、支持体への接着性よりも搬送ローラーへの接着性が高いと搬送ローラーに下塗り膜が一部付着しローラーを汚染し、これが転写して下塗り層を汚染するという問題を引き起こす。支持体と下塗りの接着性を強くするために、下塗りの膜強度を上げると、下塗りをした支持体上に、AI層、感光層またはBC層等を塗布すると下塗りとこれらの層間接着が弱くなり、次の塗布乾燥工程において、弱い層が剥離して搬送ローラーを汚染するという問題を引き起こしていた。膜強度を上げるために架橋剤を使用するとよいが、アルデヒド系或いはアジリジン系等の架橋剤は、発ガン性(エームズ試験で陽性)や皮膚や目への刺激性が強いことからこれら以外の系が探索されているが優れたものが見つかっていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱現像材料に使用する支持体上に塗布する下塗り層と支持体の接着力が高く、且つ下塗り層と下塗り上層のAI層または感光層或いはBC層との接着に優れる熱現像材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0007】
1.下塗り層を設けた支持体上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及び結合剤を含有する層を有する熱現像材料において、該下塗り層が活性メチレン基を有するポリ酢酸ビニル誘導体をヒドラジド化合物、アルコキシシラン化合物及びカルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも1種で架橋された層であることを特徴とする熱現像材料。
【0008】
2.前記熱現像材料の結合剤がブタジエンとスチレンの共重合体またはポリビニルアセタール化合物であることを特徴とする前記1記載の熱現像材料。
【0010】
.前記1又は2項記載の熱現像材料が、活性メチレン基を有する酢酸ビニル誘導体と架橋剤を含む塗布液を25℃〜210℃で塗布乾燥した後、100℃〜210℃の間で熱処理して製造されたことを特徴とする熱現像材料の製造方法。
【0011】
.前記活性メチレン基を含有する酢酸ビニル誘導体と架橋剤を含む塗布液が塗布液安定化剤として、塩酸、硝酸、硫酸、クエン酸、炭酸、燐酸、蟻酸、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、エタノール及びイソプロパノールから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする前記項記載の熱現像材料の製造方法。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の熱現像材料は、通常は支持体上に少なくとも1層の感光層及び該感光層に隣接する層を設けた少なくとも2層以上の層構成からなり、感光層の反対側に設けられるBC層、その保護層等が含まれる。上記熱現像材料の感光層中には、分光増感色素で増感されてもよい感光性ハロゲン化銀粒子が含まれ、さらに該感光層又はその隣接層には銀源となる有機銀塩、銀塩を現像して銀画像を形成するための還元剤が含有される。
【0013】
(感光性ハロゲン化銀粒子)
本発明の熱現像材料の感光層中に含有される感光性ハロゲン化銀は、シングルジェット若しくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任意の方法により、例えばアンモニア法乳剤、中性法、酸性法等のいずれかの方法で予め調製し、次いで本発明の他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することができる。感光性ハロゲン化銀は、画像形成後の白濁を低く抑えるために、また良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ましい。平均粒子サイズで0.1μm以下、好ましくは0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.08μmが好ましい。又、ハロゲン化銀の形状としては特に制限はなく、立方体、八面体の所謂正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子がある。又ハロゲン化銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。上記ハロゲン化銀の量はハロゲン化銀及び後述の有機銀塩の総量に対し50質量%以下好ましくは25〜0.1質量%、更に好ましくは15〜0.1質量%の間である。
【0014】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感することができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号等の各明細書、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号等の各公報に記載されている。
【0015】
又、これらの感光性ハロゲン化銀には、照度不軌や、階調調整のために元素周期律表の6族から10族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、Os、Fe等のイオン、その錯体又は錯イオンを含有させることができる。特に元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましく、中でも印刷製版用感光材料に使用される場合はRh、Re、Ru、Ir、Osから選ばれることが好ましい。これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に導入できる。
【0016】
金属のイオン又は錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10-9〜1×10-2モルが適当であり、好ましくは1×10-8〜1×10-4モルである。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましい。
【0017】
(有機銀塩)
本発明の熱現像材料に含有される有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸、ヘテロ有機酸及び酸ポリマーの銀塩などが用いられる。また、配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。銀塩の例は、Research Disclosure第17029及び29963に記載されており、例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、アラキジン酸、エルカ酸等の塩である。
【0018】
(還元剤)
本発明の熱現像材料に含有される好ましい還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号等の各明細書、及びResearch Disclosure第17029及び29963に記載されており、好ましい還元剤として次のものが挙げられる。
(1)1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン
(2)ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン
(3)2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン
(4)4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノール)
(5)2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン
前記に示される化合物は、水に分散したり、有機溶媒に溶解して使用する。有機溶媒は、メタノールやエタノール等のアルコール類やアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系を任意に選択することができる。還元剤の使用量は、銀1モル当り1×10-2〜10モル、好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
【0019】
(結合剤)
本発明の熱現像材料の感光層又は非感光層に用いられる結合剤としては、ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤が反応する場として好ましい素材が選択される。上記高分子結合剤としては例えばメタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等を含む極性溶媒に溶解して用いられるポリマーと、水分散系ポリマーとがある。
【0020】
上記ポリマーとしては、有機溶媒に溶解して使用するセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロースブチレート等のセルロース誘導体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルヘキサナール等のポリビニルアルコール誘導体があり、水に分散や溶解して使用するものとしては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール(水溶性のものと有機溶媒用とがある。)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などが挙げられる。
【0021】
下塗りに使用する活性メチレン基を有する酢酸ビニル誘導体化合物は、メチレン基に隣接する基に電子求引性基を少なくとも1つ有する基で、両隣に電子求引性基があるのが好ましい。電子求引性基としてはカルボニル基、シアノ基、スルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、沃素原子、フッ素原子等)、エステル基(カルバモイル基、アセチル基等)が挙げられ、特にカルボニル基が好ましい。酢酸ビニル誘導体に活性メチレン基を含む基を導入する方法は、重合体の幹でも枝でもよいが幹よりは枝の方が導入し易いという利点がある。その他に酢酸ビニル誘導体としては、酢酸ビニルモノマーと活性メチレン基を有するビニルモノマーとを共重合して、酢酸ビニル誘導体にしてもよい。酢酸ビニルモノマーとその他の共重合するモノマーを共重合させて酢酸ビニル誘導体を形成してから、活性メチレン基を有する官能基を導入させてもよい。好ましい具体例を下記に示す。
【0022】
【化1】
Figure 0004026307
【0023】
【化2】
Figure 0004026307
【0024】
【化3】
Figure 0004026307
【0025】
【化4】
Figure 0004026307
【0026】
上記酢酸ビニル誘導体化合物を塗布する支持体としてはポリエステル支持体が好ましい。直接ポリエステル支持体に下塗りしてもよいが、支持体をプラズマ処理してから、上記下塗りをすることが好ましい。プラズマ処理は、大気圧プラズマ処理や低圧プラズマ処理等あるが、大気圧で可能なコロナ処理やフレームプラズマ処理が便利である。ポリエステル表面に水酸基、カルボキシル基またはアミノ基等の極性基を露出させ、下塗り層と支持体層の接着を強固にすることができる。強い結合は共有結合で導入されるが、弱い結合は、イオン的な結合や配位子として、例えば、アミノ基やイミノ基の不対電子で結合させることができる。
【0027】
(酢酸ビニル誘導体の架橋剤)
結合剤に架橋性の官能基を持たせると同時に、この官能性基と反応する架橋剤を使用して膜を強化することができる。架橋剤としては、エポキシ基、ビニルスルホニル基、イソシアナート基、アジリジン基、カルボジイミド基、アルコキシシラン基、アルコキシアルミニウム基、アルコキシチタン基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、アルデヒド基または酸クロリド基等を有する化合物から選択することができる。特に、ヒドラジド基やアルコキシシラン基を有する化合物が好ましい。
【0028】
架橋剤は、層内や層間架橋を目的とするので、拡散性の低い高分子であることが好ましいが、低分子でも予め前処理で固定化をして拡散化を防ぐことができる。アルコキシシラン化合物は、特開平9−157277号、特開平9−12584号および特開平6−271250号明細書等公知の技術で合成することができるし、市場から入手してもよい。好ましいアルコキシシラン化合物を下記に示す。
【0029】
【化5】
Figure 0004026307
【0030】
【化6】
Figure 0004026307
【0031】
本発明に使用するヒドラジド化合物は、モノヒドラジド化合物とビスまたはマルチヒドラジド化合物である。モノヒドラジド化合物として下記一般式(1)で示す化合物を挙げることができる。
【0032】
一般式(1) RCONHNH2
上記式中Rは置換基を有してもよいアリール基を示す。ここでRで示されるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等を挙げることができ、これらの中でもフェニル基が好ましい。また、アリール基に置換する基としては、例えば、低級アルコキシ基、低級アルキル基、アミノ基、ニトロ基等を挙げることができ、これらの中でも低級アルコキシ基、低級アルキル基等が好ましく、低級アルコキシ基が特に好ましい。尚、低級アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4程度の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であり、低級アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ等の炭素数1〜4程度の直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基である。
【0033】
上記一般式(1)の具体例としては、下記に示す。
H1 安息香酸ヒドラジド
H2 1−ナフトエ酸ヒドラジド
H3 アニス酸ヒドラジド
H4 p−メトキシ安息香酸ヒドラジド
H5 p−アミノ安息香酸ヒドラジド
H6 3−メトキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド
これらの中でも、アニス酸ヒドラジドが特に好ましく使用され得る。
【0034】
ビスヒドラジド化合物として下記一般式(2)を挙げることができる。
一般式(2) H2NHN−X−NHNH2
式中Xは、−CO−又は−CO−(A)n−CO−を示す。Aは置換基を有してもよいアルキレン基又は置換基を有してもよいアリーレン基を示す。nは0または1を示す。
【0035】
上記一般式(2)において、Aで示されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基等の炭素数1〜16程度の直鎖状のアルキレン基を挙げることができる。アルキレン基の置換基としては、例えば水酸基等を挙げることができる。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基等を挙げることができ、これらの中でもフェニレン基、ナフチレン基等が好ましい。アリーレン基の置換基としては、例えば、水酸基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基等の炭素数1〜4程度の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基等を挙げることができる。
【0036】
上記一般式(2)で表されるジヒドラジドまたはマルチヒドラジド化合物の好ましい具体例を示す。
H7 カルボヒドラジド
H8 シュウ酸ジヒドラジド
H9 マロン酸ジヒドラジド
H10 コハク酸ジヒドラジド
H11 アジピン酸ジヒドラジド
H12 ピメリン酸ジヒドラジド
H13 スベリン酸ジヒドラジド
H14 アゼライン酸ジヒドラジド
H15 セバシン酸ジヒドラジド
H16 ドデカンジオヒドラジド
H17 ヘキサデカンジオヒドラジド
H18 マレイン酸ジヒドラジド
H19 フマル酸ジヒドラジド
H20 ジグリコール酸ジヒドラジド
H21 酒石酸ジヒドラジド
H22 リンゴ酸ジヒドラジド
H23 イソフタル酸ジヒドラジド
H24 テレフタル酸ジヒドラジド
H25 2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド
H26 4,4′−ビスベンゼンジヒドラジド
H27 1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド
H28 ダイマー酸ジヒドラジド
H29 2,6−ピリジンジヒドラジド
H30 イミノジ酢酸ジヒドラジド
H31 クエン酸トリヒドラジド
H32 シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド
H33 2,4−ジヒドラジノ−6−メチルアミノ−sym−トリアジン
H34 ポリメタクリル酸ヒドラジド
H35 ポリアクリル酸ヒドラジド
上記ジヒドラジド化合物の中でも、2塩基酸ジヒドラジド等が好ましく、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド等がより好ましく、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド等が特に好ましい。
【0037】
マルチヒドラジド化合物は、ヒドラジド基を3個以上含有する化合物で、主として星形または樹枝状(デンドリマー型)の構造またはポリマー型のものがある。ポリマー型は、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸等のカルボン酸基にヒドラジン基を反応させた構造のもので上記H35のポリアクリル酸ヒドラジドおよびポリメタクリル酸ヒドラジド(H34)が代表的である。斯かるジヒドラジド化合物は1種を単独で又は2種以上を併用して使用できる。
【0038】
ヒドラジド化合物は、特開平10−231353号明細書および特開平11−29695号明細書等の公知の方法に従って製造できる。例えば、出発原料である対応するカルボン酸エステルとヒドラジンとを、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等の低級アルコール等の適当な溶媒中にて加熱還流すればよい。
【0039】
カルボジイミド化合物は、特開平6−66950号、同7−316248号、同9−309871号、同9−124582号、同10−316930号、同11−335222号明細書等の公知の方法に従って製造することができる。一般的には同種または異種のイソシアナート基を有する化合物をカップリングさせることで合成することができる。2官能や3官能或いは6官能等の多官能のジイソシアナート同士をカップリングさせると分子量の増大により、粘度が大きく上昇するので、多官能のジイソシアナートとモノイソシナートを反応させてカルボジイミド化するのが好ましい。好ましいカルボジイミド化合物を下記に示す。
【0040】
【化7】
Figure 0004026307
【0041】
ヒドラジド化合物、アルコキシシラン化合物およびカルボジイミド化合物等の添加に際しては、水や有機溶媒に溶解して添加してもよいし、溶解せずに微粒子分散液として溶解してもよい。添加量は、架橋する官能基に対して化学量論的反応当量添加することが好ましいが、調製する塗布液の濃度や温度、乾燥温度、後処理温度等に応じて理論量の2倍〜10倍量添加して反応収率を高めることができる。また、架橋反応率を高めるために、過剰に架橋剤を添加することによる未反応の架橋剤が写真性能へ悪影響を及ぼしてくるので、化学量論的当量より等倍〜10分の1倍と少なくすることもできる。架橋反応性の高いもの程、屡々、写真性能への影響が大となるものが多いので、ビス体やトリス体のような架橋反応が2段階以上のプロセスで進行するものは、予め第1段階を塗布液に添加する前に済ませておくのが好ましい。
【0042】
(塗布液安定化剤)
活性メチレン基を有する酢酸ビニル誘導体と架橋剤を添加した塗布液は、両者が反応し合い、粘度の増加、凝集、沈殿等を引き起こすため、これらの反応を遅延させる化合物を添加することが好ましい。反応遅延剤は、添加量を多くすると架橋が進まなくなるので、乾燥や熱処理工程での架橋を妨げないように添加することが望ましい。反応遅延剤として塩酸、硝酸、硫酸、クエン酸、炭酸、燐酸および蟻酸等の酸、或いは有機溶媒のアセトン、メチルエチルケトンやイソブチルケトン等のケトン類やエタノールやイソプロパノール等のアルコール類がある。蟻酸や有機溶媒は塗布乾燥工程中に揮発してしまうので特に好ましい。塗布液として上記有機溶媒を使用する場合は、反応遅延剤を添加しなくてもよい。
【0043】
(乾燥および熱処理)
活性メチレン基を含有する酢酸ビニル誘導体と架橋剤を含む液を乾燥する条件は、25℃〜210℃が好ましく、特に40℃〜190℃が好ましい。低い温度では架橋が進まないため、できるだけ高温にするのが好ましいが、210℃を越えると支持体の寸法安定性の劣化が大きくなるので好ましくない。熱風乾燥の場合は表面温度が低い恒率乾燥過程と熱風温度に近づく減率過程の条件を適宜選択するのが好ましい。できるだけ表面温度を下げて乾燥するのが、支持体の損傷が少なく、エネルギーロスも少ないので好ましいが、水系塗布の場合、生産性を上げるには、特に80℃〜140℃の迅速乾燥が好ましい。尚、溶媒系の塗布液の場合は、その溶媒の沸点以下で乾燥するのが好ましく、ケトン類やアルコール類は、通常35℃〜70℃が好ましい。乾燥処理を終えた下塗りされた支持体を100℃〜210℃の温度で熱処理することにより、支持体の寸法安定性や平滑性を確保する他に、下塗りの膜強度を強めることができる。熱処理工程は高い温度を設定するので、乾燥過程である程度、下塗りの膜強度を高める必要がある。膜強度が弱いと熱処理する搬送ローラー上に転写して熱処理ローラーを汚染し、この汚染物が次に下塗りされる面を汚染していき、最終的には仕上がった熱現像材料の画質を損なうことになる。そこで、下塗り層は支持体との接着を重視した第1の下塗り層(プライマー層と呼ばれる)と感光層やAI層の接着を重視した第2の下塗り層(下塗り上層)を塗布するのが好ましい。これらの層中に帯電防止剤や防湿性を添加して塗布してもよい。熱処理をすることにより、架橋を進めることができ、下塗り膜の強度を上げることができるが、膜強度を上げると感光層やAI層との接着が難しくなるのが従来の技術であったが、本発明では、熱処理することにより、感光層やAI層との接着をよくすることができる。
【0044】
(分光増感色素)
本発明に使用する分光増感色素は、必要により例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号等の各公報、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号等の各明細書に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばResearch Disclosure Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0045】
(AI層又はBC層に使用される染料)
本発明の熱現像材料は、必要により該熱現像材料のイラジエーション防止用又はハレーション防止用のAI層又はBC層が設けられ、該AI層又はBC層に用いられる染料としては画像露光光を吸収する染料であればよいが、好ましくは米国特許第5,384,237号公報等に記載される熱消色性染料が用いられる。用いられる染料が熱消色性でない場合は、使用量が熱現像材料に画像障害を及ぼさない範囲に限定されるが、熱消色性染料であれば必要にして十分な量の染料を添加することができる。
【0046】
(色調剤)
本発明の熱現像感光材料には、色調剤を添加することが好ましい。好適な色調剤の例はResearch Disclosure第17029号に開示されており、次のものがある。
【0047】
フタラジノン、フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナフトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)。
【0048】
(マット剤)
マット剤としてはシリカやポリメタクリル酸メチルが使用される。マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。本発明のマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0049】
(支持体)
支持体としては、紙、合成紙、不織布、金属箔、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムなどの支持体が使用可能であり、またこれらを組み合わせた複合シートを任意に用いてもよい。
【0050】
〈画像露光〉
本発明の熱現像材料に画像形成を行う際の画像露光は例えば、発光波長が660nm、670nm、780nm、810nm、830nmの何れかのレーザー走査露光により行うことが好ましいが、熱現像材料の露光面と走査レーザー光のなす角が実質的に垂直になることがないレーザー走査露光機を用いることが好ましい。ここで、「実質的に垂直になることがない」とはレーザー走査角度が好ましくは55〜88度、より好ましくは60〜86度、更に好ましくは65〜84度、最も好ましくは70〜82度であることをいう。レーザー光が、熱現像材料に走査されるときの該熱現像材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザー入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。なお、ビームスポット直径の下限は10μmである。このようなレーザー走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることが出来る。
【0051】
また、本発明における露光は縦マルチである走査レーザー光を発するレーザー走査露光機を用いて行うことも好ましい。縦マルチモードのレーザー露光とすることにより縦単一モードの走査レーザー光に比べて干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。縦マルチ化するには、前記の方法の他、合波による、戻り光を利用する、高周波重畳をかける、などの方法がある。なお、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通常60nm程度である。
【0052】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の実施の態様はこれらにより限定されない。
【0053】
参考例1
〈支持体の下塗り〉
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下塗り塗布液a−1を下記付き量になるように塗設乾燥させて下塗り層A−1を設け、また反対側の面に下記下塗り塗布液b−1を下記付き量になるように塗設し乾燥させて下塗り層B−1を設けた。
【0054】
《下塗り塗布液a−1》
ブチルアクリレート(30質量%)
t−ブチルアクリレート(20質量%)
スチレン(25質量%)
2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)
の共重合体ラテックス液固形分30%) 400mg/m2
《下塗り塗布液b−1》
ブチルアクリレート(40質量%)、スチレン(20質量%)、
グリシジルアクリレート(40質量%)、の共重合体ラテックス液
(固形分30%) 400mg/m2
引き続き、下塗り層A−1及び下塗り層B−1の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下塗り層A−1の上には、下記下塗り上層塗布液a−2を下記付き量になるように塗布乾燥して下塗り層A−2を設け、下塗り層B−1の上には下記下塗り上層塗布液b−2を下記付き量になるように塗布乾燥して帯電防止機能をもつ下塗り上層B−2を設けた。
【0055】
《下塗り上層塗布液a−2》
ポリ酢酸ビニル誘導体:表1記載 300mg/m2
シリカ粒子(平均粒径3μm) 100mg/m2
《下塗り上層塗布液b−2》
ポリ酢酸ビニル誘導体:表1記載 300mg/m2
酸化錫微粒子(平均粒子径20nm) 200mg/m2
シリカ粒子(平均粒径3μm) 100mg/m2
〈ハロゲン化銀粒子乳剤Aの調製〉
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを0.435モル含む水溶液370mlをpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、ハロゲン化銀粒子乳剤Aを321g得た。
【0056】
〈有機銀塩の調製〉
4720mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モルの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し(pH9.8)、濃硝酸6.9mlを加えた後(pH9.3)、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。上記の有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、前記ハロゲン化銀粒子乳剤Aの28g(銀0.038モルを含む)と純水450mlを添加し5分間攪拌した。次に1モルの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を繰り返し、最後に遠心分離脱水後40℃15分間で乾燥した。
【0057】
BC層側塗布
バック面側には以下の添加剤を加えて調製した塗布液を以下の付き量になるように下塗り済み支持体のB−2層上に塗布乾燥してBC層およびBC層の保護層を重層した。
【0058】
BC層
結合剤:表1記載 1.8g/m2
染料(C1) 1.2×10-5モル/m2
活性剤:ジヘキシルスルホ琥珀酸ナトリウム塩 0.02g/m2
硬膜剤:フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン 0.02g/m2
BC層の保護層
ゼラチン 1.1g/m2
硬膜剤:1,2−ビス(ビニルスホンアミド)エタン 0.01g/m2
活性剤:N−プロピルパーフロロオクチルスルホンアミド酢酸
0.02g/m2
マット剤(PMMA:平均粒子径5μm) 0.12g/m2
感光層側の塗布
感光層側の塗布は、下塗り支持体のA−2面上に、AI層、感光層および感光層の保護層を同時3層塗布で重畳した。
【0059】
AI層の塗布
結合剤:表1記載 0.4g/m2
染料(C1) 1×10-5モル/m2
感光層の塗布
感光層形成のため以下の組成物となるように塗布液を調製した。この塗布液を35℃付近に保ち、以下の付き量になるように塗布乾燥した。銀量として1.4g/m2になる量の前記有機銀塩を添加した。
【0060】
結合剤:表1記載 2.6g/m2
分光増感色素(A1) 2×10-5モル/m2
カブリ防止剤−1:ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド
0.3mg/m2
カブリ防止剤−2:イソチアゾロン 1.2mg/m2
トリブロモメチルスルホニルキノリン 20mg/m2
還元剤1 3.3ミリモル/m2
感光層保護層
以下の組成物を加えて調製した塗布液を、以下の付き量になるように感光層上に塗布乾燥して表面保護層を形成した。
【0061】
セルロースアセテートブチレート 1.2g/m2
4−メチルフタル酸 0.7g/m2
テトラクロロフタル酸 0.2g/m2
テトラクロロフタル酸無水物 0.5g/m2
シリカマット剤(平均粒径5μm) 0.5g/m2
フェニルプロピルトリメトキシシラン 0.3g/m2
上記AI層、感光層およびBC層の結合剤は、同一試料では、同一の結合剤を使用した。結合剤としてブタジエンとスチレン共重合体(SB−1)またはポリビニルブチラール(PVB−1)を使用した。SB−1は、スチレンモノマーを35質量%、ブタジエンを65質量%の割合で乳化重合(平均粒子径100nm)したもの(固形分濃度45質量%)を使用した。PVB−1は下記構造でモノマー単位は、小文字で示され、分子量は6万であった。結合剤としてSB−1を使用する場合の塗布液は、水溶液で調製し、PVB−1を使用する場合は、溶媒としてメチルエチルケトンを使用した。乾燥条件はいずれも恒率乾燥部を35℃46秒、減率乾燥部を43℃15秒で乾燥するように設定し、塗布速度は100m/分で行った。尚、AI層、感光層、BC層の比較の結合剤として、重合度800、鹸化度98%のポリビニルアルコール(PVA)を使用した。
【0062】
【化8】
Figure 0004026307
【0063】
写真性能の評価
上記作製した試料を25℃で45%RHの雰囲気下に3日間保存した後、810nmの半導体レーザー露光用の感光計で露光し、露光後熱現像装置を用いて(BC側熱ドラム接触)120℃で8秒間加熱した。上記試料の感度およびカブリを濃度計により測定した。感度はカブリ濃度より0.3高い濃度を与える露光量の比の逆数で評価し、試料101を基準(100)として相対評価で表わした。
【0064】
下塗り層の膜強度の評価
下塗り後乾燥した支持体を図1のような処理長さ20m、直径が10cmの鏡面ステンレスローラー19ケを有する搬送性試験機で、1N/cmの張力で100m/分の速度で搬送しながら300m搬送させ、ローラーとフィルムの汚れを評価した。ローラーの汚れはローラーの1番目の汚れを目視5段階評価した。フィルムの汚れは、19番目のローラーを通過したときの下塗り支持体のB−2面の膜面の汚れを評価した。ローラーおよび下塗り支持体の評価ランクは、汚れのないレベルを5、微かの汚れを4、弱い汚れを3、やや強い汚れを2、強い汚れを1と評価した。
【0065】
下塗り層とAI層との接着性評価
接着性の評価は下塗り支持体上にAI層、感光層、保護層、BC層、BC層の保護層を塗布後、乳剤層の保護層の上にカッターナイフの刃で(刃角45°)切り込みを入れ、100kPaの荷重を掛けてセロテープ(接着広さ=2cm×2cm)を貼り、手でセロテープを剥がしたときの膜の剥がれ状態で評価した。全く剥がれていないレベルを5、微かに剥がれているレベルを4、僅かに剥がれているレベルを3、やや剥がれているレベルを2、強く剥がれているレベルを1と評価した。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0004026307
【0067】
表1より本発明のポリ酢酸ビニル誘導体を下塗り上層に使用するとカブリの増加や感度の低下をもたらさず、熱処理ローラーや試料を汚さず、また膜面の接着強度のある熱現像試料が作製できたことがわかる。また、熱現像材料の結合剤がスチレンとブタジエンの共重合体またはポリビニルアセタール化合物であってもよいことがわかる。
【0068】
実施例
参考例1と同様に試料を作製したが、ここでは下塗りで使用した活性メチレン基を有するポリ酢酸ビニル誘導体に架橋剤を添加した。架橋剤を添加した塗布液は、1分以内に塗布した。参考例1と同様に写真性能、汚れ、膜強度を評価した。尚比較の架橋剤としてアジリジン系の1,6−ビス(1−アジリジニル)−n−ヘキサン(H−aと略す)を使用した。
【0069】
【表2】
Figure 0004026307
【0070】
表2より、本発明のポリ酢酸ビニル誘導体を使用し、且つ架橋剤を使用すると写真性能に悪影響を与えずに熱処理ローラーを汚さず且つ膜強度を高めることがわかる。
【0071】
実施例
実施例と同様に実施したが、ここでは架橋剤を添加する前に塗布液安定化剤を加え24時間後の塗布性能を調べた。塗布液中の架橋剤の反応が進むにつれ、恒率乾燥過程の液中の均一性が損なわれ塗布筋が発生するので、塗布液安定化剤を加えてこの塗布筋の発生のレベルを目視評価した。尚、評価試料は塗布巾130cm×塗布方向へ36cmの大きさの試料を熱現像機で処理し、濃度が1.0になるように現像した。筋のないレベルを5、微かに見えるレベルを4、僅かに見えるレベルで実質問題のないレベルを3、やや強いレベルを2、強いレベルを1とした。結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
Figure 0004026307
【0073】
表3より、塗布液安定化剤を加えて塗布をすると塗布液に架橋剤を加えてから24時間後でも均一に塗布できることがわかる。
【0074】
実施例
参考例1と同様な実験をしたが、ここでは実施例1の搬送性試験機を熱処理試験機として評価した。19本のローラーの上下に貫通孔を設け、熱風を吹き付け系内の温度を100℃〜200℃まで変化させた。試験を実施するときは、ローラーの表面温度は熱風の温度と平衡(1℃差以内)になっていた。使用した熱現像材料の試料は、ローラー番号1に到達する前に塗布乾燥されていて、この熱処理試験機で熱処理した後は、巻き取られるようになっている。熱処理試験後の汚れの評価は実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。
【0075】
【表4】
Figure 0004026307
【0076】
表4より、本発明のポリ酢酸ビニル誘導体と架橋剤で下塗りをした後、熱処理を行った後の汚れが改良されていることがわかる。また、熱処理を行った後の下塗りを使用しても写真性能に悪影響を与えていないことがわかる。
【0077】
【発明の効果】
本発明により、熱現像材料に使用する支持体上に塗布する下塗り層と支持体の接着力が高く、且つ下塗り層と下塗り上層のAI層または感光層或いはBC層との接着に優れる熱現像材料を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の効果を評価する搬送性試験器の模式図である。

Claims (4)

  1. 下塗り層を設けた支持体上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及び結合剤を含有する層を有する熱現像材料において、該下塗り層が活性メチレン基を有するポリ酢酸ビニル誘導体をヒドラジド化合物、アルコキシシラン化合物及びカルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも1種で架橋された層であることを特徴とする熱現像材料。
  2. 前記熱現像材料の結合剤がブタジエンとスチレンの共重合体またはポリビニルアセタール化合物であることを特徴とする請求項1記載の熱現像材料。
  3. 請求項1又は2記載の熱現像材料が、活性メチレン基を有する酢酸ビニル誘導体と架橋剤を含む塗布液を25℃〜210℃で塗布乾燥した後、100℃〜210℃の間で熱処理して製造されたことを特徴とする熱現像材料の製造方法
  4. 前記活性メチレン基を含有する酢酸ビニル誘導体と架橋剤を含む塗布液が塗布液安定化剤として、塩酸、硝酸、硫酸、クエン酸、炭酸、燐酸、蟻酸、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、エタノール及びイソプロパノールから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項3項記載の熱現像材料の製造方法。
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