JP4026227B2 - 光学異方体フィルムおよび液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非線形光学素子や液晶表示装置等に用いられる光学異方体フィルムおよび該光学異方体フィルムを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
位相差フィルムは、透明な熱可塑性高分子フィルムを一軸延伸することにより得られ、液晶表示素子、特に超ねじれネマティック(以下、STNと記すことがある。)型液晶表示素子または電界制御複屈折(ECBと略されることがある。)型液晶表示素子(以下、液晶表示素子をLCDと記すことがある。)の着色を補償して表示品質を向上させるための光学補償板(色補償板とも呼ばれる。)として用いられている。このような位相差フィルムを用いた液晶表示素子は、軽い、薄い、安価である等の長所を持っている。
しかしながら、STN型LCDは応答速度が小さいという課題があり、改良検討が進められている。応答速度の改良には、複屈折Δnの大きい液晶を用いてセルギャップを小さくすることが効果的である。しかし、Δnの大きな液晶は、一般的にΔnの波長依存性が大きいので、液晶セルと併用する位相差フィルムにも、Δnの波長依存性が大きい、すなわち、レターデーションの波長依存性が大きいものを用いることが効果的であることが知られている。
応答速度の大きい、すなわち、液晶のΔnが大きい液晶セルと、従来の位相差フィルムとを組み合わせた場合、コントラストの高い液晶表示装置が得られないことから、高速応答のSTN型液晶表示装置に用いられている液晶材料の複屈折の波長分散特性に一致する波長分散特性を有する位相差フィルムが求められている。
【0003】
位相差フィルムの波長分散性を改良する方法として、特開平5−107413号公報には、波長分散性の高いポリサルホンを用いた位相差フィルムが開示されている。同様に、特開平6−174923号公報には、波長分散性の高いポリアリレートを用いることが開示されている。しかし、ポリサルホンやポリアリレートは、ガラス転移温度が高いため加工が難しく、工業的な生産に問題があった。
また、液晶セルに用いる液晶材料により、レターデーションの波長分散特性は異なるので、位相差フィルムの波長分散性を制御することが必要になることもある。特開平5−27119号公報および特開平6−130227号公報には、波長分散値の異なる光学異方体の組み合わせによって波長分散性を制御することが示されている。
【0004】
次に、特表平4−500284号公報には、直鎖または環状の主鎖を有する側鎖型液晶ポリマーを用いて、液晶セルに使われている液晶分子と同じ温度依存性および波長依存性を発現させた位相差フィルムが例示されている。配向膜上に液晶ポリマーを成膜することや、液晶ポリマー膜に電場や磁場などの外場を印加することで、配向した液晶ポリマー膜が得られることが開示されている。しかし、液晶ポリマーは、主鎖型、側鎖型を問わず屈折率異方性が大きく、レターデーションが均一な位相差フィルムを得るためには膜厚の厳しい制御が要求されることから、大面積のフィルムの生産が困難であった。
また、特開平5−257013号公報には、高分子フィルムに液晶分子を分散し、高分子フィルムごと延伸することにより、液晶セルに使われている液晶分子と同じ屈折率異方性の波長分散を持たせた位相差フィルムについて記載されている。しかしながら、具体的に好ましい波長分散性並びにどのような物性および構造の液晶をどの程度分散させればよいかという記載はない。
【0005】
また、特公平7−13683号公報の実施例6には、ポリ塩化ビニルに液晶化合物をブレンドして、波長分散を高めた例が示されているが、ポリ塩化ビニルのような軟化点の低い物質では、高温の環境で使用した場合に変形および光学特性の低下が起こり、使用に耐えない。
また、特開平7−13023号公報には、ポリカーボネートまたはポリアリレートに可塑剤を添加して波長分散性を調整する方法が示されているが、紫外線を吸収する色素の添加に関する記載はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、レターデーションの波長分散の高い光学異方体フィルムおよび、その光学異方体フィルムを用いた、良好な白黒表示が得られ、視野角依存性の小さい液晶表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意検討した結果、高分子(以下マトリックス高分子と称することがある。)に特定の構造を有する色素を混合することにより、レターデーションの波長分散の大きな高分子を用いることなく、レターデーションの波長依存性の大きい光学異方体フィルムが容易に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の光学異方体フィルムおよび液晶表示装置を提供するものである。
[1]高分子と色素を混合してなり、かつ延伸してなる光学異方体フィルムであって、該色素は、可視域に吸収ピークを持たず、紫外域に吸収ピークを持つ下記一般式(I)
【0008】
【化2】
【0009】
[式中、m及びnは、それぞれ独立に0〜4の整数を表し、mが0以外の場合のR 1 及びnが0以外の場合のR 2 は、それぞれ独立に炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐していてもよいアルキル基を表す。]
で示される化合物であり、該光学異方体フィルムのレターデーション(測定波長550nm)が50〜3000nmであることを特徴とする光学異方体フィルム。
【0010】
[2]色素が、[色素/(色素と高分子の和)]で表して3〜20重量%の濃度で存在する上記[1]記載の光学異方体フィルム。
[3]下記数式(1)で定義されるαの値が 1.06を越える上記[1]または[2]に記載の光学異方体フィルム。
【数3】
α=RF/RD・・・(1)
[式中、RF は水素F線(波長486nm)に相当する波長で測定したレターデーションの値であり、RD はナトリウムD線(波長589nm)に相当する波長で測定したレターデーションの値である。]
【0011】
[4]偏光解析装置でセナルモン法(測定波長550 nm )を用いて測定したフィルム法線方向から見たレターデーションをR 0 、遅相軸を回転軸として光の入射角を水平から40゜傾斜して測定したときのレターデーションをR 40 としたときに、レターデーション比(R40/R0 )が下記数式(2)を満たす上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の光学異方体フィルム。
【数4】
0.900<R40/R0<1.100 ・・・(2)
【0012】
[5]上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の光学異方体フィルムを用いることを特徴とする液晶表示装置。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を詳細に説明する。本発明で用いられるマトリックス高分子について、まず説明する。
光学異方体フィルムのマトリックスに用いられる高分子は、光学異方体フィルムを高温で使用した場合や、液晶セルとの貼合工程の温度において、光学的性質や形状の変化が起こらない高分子が好ましく、ガラス転移温度がある程度高い熱可塑性エンジニアリング高分子、または可塑材が添加されている高分子では流動温度がある程度高い高分子が好ましく用いられる。
マトリックス高分子のガラス転移温度または軟化温度は、液晶表示装置を使用する温度範囲内で光学特性の変化やフィルムの収縮などの変形がないように下限が決定され、光学異方体フィルムとする際に加熱しながら延伸する必要があるので、ガラス転移温度が高すぎると工業的に好ましくないことから上限が決定される。
【0014】
マトリックス高分子に求められるガラス転移温度または軟化温度の範囲としては、80〜250℃が好ましく、90〜230℃が更に好ましく、特に好ましくは100〜200℃である。
【0015】
これらの条件を満たす高分子としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、2酢酸セルロース、3酢酸セルロース、エチレンビニルアルコール共重合体などが例示され、好ましくは、ポリカーボネート、ポリアリレート、3酢酸セルロースが例示される。
【0016】
レターデーションを発現する方法としては、色素と高分子を混合したフィルムを高分子のガラス転移温度または軟化点以上で、かつ高分子の溶融温度以下の温度で加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
この方法に適した高分子としては、ポリカーボネート、2酢酸セルロース、3酢酸セルロース、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが例示され、好ましくは、ポリカーボネート、3酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンが例示される。
【0017】
これらのマトリックス高分子に機械的強度を付与することや、LCDのセルに貼合する際の接着性を改良することなどの目的のために、添加物を用いてもよい。添加物の種類や量については、本発明の目的を損なわない程度の範囲であれば特に限定はない。
【0018】
次に、高分子と混合する色素について説明する。
一般に可視光線を強く選択吸収または反射して固有の色を持つ物質を色素というが、本発明においては、可視域に吸収ピークを持たず、紫外線領域に吸収を持つ化合物を色素という。また、本発明でいうピークとは、吸収ピークの最大吸収点をいう。本発明で用いられる色素は、可視域に吸収ピークを持たず、紫外線領域に吸収を持つことが必須である。この色素の吸収ピーク波長は、300〜400nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは330〜385nmである。
【0019】
これらの条件を満たす色素としての前記一般式(I)で示される化合物において、R1 及びR2 の具体例としては、直鎖または分岐していてもよい、−CH3、−C2H5、−C3H7、−C4H9、−C5H11、−C6H13、−C7H15、−C8H17、−C9H19、−C10H21、−C11H23、−C12H25、−C13H27、−C14H29、−C15H31が挙げられる。R 1 及びR 2 は、好ましくは炭素数が4以上のアルキル基である。
【0020】
上述した色素のマトリックス高分子への混合比は、色素の割合が大きすぎると、光学異方体フィルムの機械的強度が下がりハンドリングしにくくなるため、上限がある。また、色素の割合が小さすぎると、光学異方体フィルムの光学特性が発現しにくくなる。
【0021】
色素をマトリックス高分子に混合するにあたって、色素の濃度は、[色素/(色素と高分子の和)]で表して3〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜15重量%である。
【0022】
次に、本発明の光学異方体フィルム中に存在する色素の形態について説明する。
本発明の光学異方体フィルムでは、色素は、マトリックス高分子から相分離し、ドメインを形成していてもよく、相溶していてもよい。また、色素が高分子に吸着していてもよい。相分離するか、相溶するか、吸着するかは、用いる色素と用いる高分子との組み合わせにより決定される。
【0023】
本発明の光学異方体フィルムにおいて、色素がマトリックス高分子から相分離している場合、色素のドメインとマトリックス高分子の界面で可視光の散乱が発生する可能性がある。本発明の光学異方体フィルムでは、これらの界面の散乱に起因する内部散乱は小さい方が好ましい。なぜならば、散乱された光は一般に偏光状態が変化するので、内部散乱が大きい光学異方体フィルムの場合、特性が悪化する可能性があり、また可視光の透過率が悪くなるためである。内部散乱を小さくするために、色素または色素のドメインにおける長軸の長さは20〜500nmであることが好ましく、30〜400nmであることがさらに好ましい。
【0024】
本発明の光学異方体フィルムにおいて、色素を高分子に相溶させたい場合や、色素を高分子に吸着させたい場合は、公知の相溶化剤などを用いてもよい。
【0025】
本発明の光学異方体フィルムの法線方向から観測したレターデーション(測定波長550nm)は、50〜3000nmであり、好ましくは100〜2500nmである。
【0026】
本発明の光学異方体フィルムにおけるレターデーションの波長分散を示す指標として、フィルムの法線方向よりセナルモン法を用いて水素のF線(波長486nm)に相当する波長で測定したレターデーションRF と、ナトリウムのD線(波長589nm)に相当する波長で測定したレターデーションRD の比α=RF/RDを用いる。
【0027】
本発明では、波長分散を示す指数αが、好ましくは1.061〜1.300であり、より好ましくは1.080〜1.250である光学異方体フィルムが好適に用いられる。
【0028】
良好な視野角特性を示す光学異方体フィルムの特性を示す指標としては、550nmの光を用いてフィルムの法線方向から測定したレターデーション(R0 )と、フィルムの遅相軸まわりにフィルムへの光の入射角を40°傾斜したときのレターデーション(R40)の比R40/R0 が挙げられる。本発明の光学異方体フィルムにおいては、視野角依存性を小さくするために、この比R 40 /R 0 が0.900より大きく1.100より小さいことが好ましい。さらに好ましくは、この比が1に近いことである。しかし、この比は、組み合わせて使用する液晶セルの視野角依存性により適宜選択することができる。
【0029】
次に、本発明の光学異方体フィルムの製造方法について説明する。
本発明の光学異方体フィルムは、高分子と色素を混合し、フィルムに成形した後にそのフィルムを延伸することで得られる(以下、第1の製造方法と言うことがある)。また、高分子をフィルムに成形した後にそのフィルムを延伸し、色素をその延伸フィルムに吸着することでも得られる(以下、第2の製造方法と言うことがある)。
第1の製造方法において、色素とマトリックス高分子の混合方法としては、均一に混合させるため、溶液状態で混合することが好ましい。具体的には、高分子を溶媒に懸濁または溶解して、これに色素を懸濁または溶解して混合する方法が挙げられる。この方法で用いられる溶媒は、高分子に対する溶解度が大きい方が好ましい。
【0030】
色素とマトリックス高分子からなるフィルムの成膜法については、色素やマトリックス高分子を溶剤に溶かし、キャストする溶剤キャスト法、固体状態で混練し、ダイなどから押し出してフィルムにする押出成型法、固体状態で混練した後カレンダロールでフィルムにするカレンダー法、プレスなどでフィルムにするプレス成型法などが例示される。この中でも、膜厚精度に優れた溶剤キャスト法が好ましい。
成膜後のフィルムの厚みは、特に制限はないが、薄すぎると機械的強度に悪影響を及ぼし、厚すぎると溶剤キャスト法で成膜したときの溶剤の蒸発速度が遅くなって生産性が悪くなることから、ある程度の膜厚範囲にあることが好ましい。成膜後のフィルムの厚みとしては、20〜500μmが好ましく、更に好ましくは50〜300μmである。
【0031】
また、第2の製造方法として、第1の製造方法と同様の方法でフィルムの成膜および延伸を行ったフィルムに色素を吸着させてもよい。色素の吸着方法については、例えば、延伸フィルムに対しては貧溶媒であるが色素に対しては良溶媒となる溶媒に色素を溶解し、この色素溶液中に延伸フィルムを漬けて色素を含浸させる方法や、フィルムの軟化温度以下、色素の融点以上の温度で色素を融解し、その色素融液中に延伸フィルムを漬けて色素を含浸させる方法や、粉末状の色素を延伸フィルムに含浸させる方法などが例示される。
【0032】
成膜後フィルムを加熱しながら延伸するときの延伸方法は、テンター延伸法、ロール間延伸法、ロール間圧縮延伸法などが例示される。フィルム面の均一性などの観点から、テンター延伸法、ロール間延伸法が好ましい。フィルムの加熱方法については特に制限はない。
【0033】
延伸方法は、公知の方法を使うことができる。例えば、(A)前記フィルム成膜工程で作製したフィルムを一軸延伸し、これを特開平6−300916号公報に示されるように、ガラス転移温度または軟化温度以上で熱緩和させるときに、フィルム面に平行かつ延伸軸に垂直な方向の伸びを抑制しながら、延伸軸方向を収縮させる方法、(B)前記フィルム成膜工程で作製したフィルムを一軸延伸し、その少なくとも片面に、熱収縮性を有するフィルムを、該熱収縮性を有するフィルムの熱収縮軸が前記一軸延伸された高分子フィルムの延伸軸と直交するよう貼合し、得られた貼合体を加熱して、熱収縮させる方法、または(C)特開平5−157911号公報に示されるように、前記フィルム成膜工程で作製したフィルムの少なくとも片面に熱収縮性を有するフィルムを、該熱収縮性を有するフィルムの熱収縮軸が前記一軸延伸された高分子フィルムの延伸軸と直交するよう貼合し、得られた貼合体を延伸する方法などが挙げられる。
これらの中で、(A)および(B)の方法が、量産性の面およびコスト面で好ましい。
【0034】
ここで、フィルムを一軸延伸する方法は、上述したいずれの方法を用いてもよいが、厚み方向の屈折率の制御性およびフィルム面内のレターデーションの均一性等の点で、ロール間延伸法またはテンター延伸法により一軸延伸する方法が好ましい。
【0035】
これらの延伸方法によりフィルムを延伸する際の加熱温度については、使用するマトリックス高分子の軟化温度や色素の転移温度により適宜選択される。
延伸倍率については、倍率が低いと色素の配向が不充分になり、高すぎると膜厚が薄くなりすぎてハンドリングが困難になる。そこで具体的には 1.1倍〜20倍が好ましく、1.2倍〜15倍がさらに好ましい。
延伸速度や延伸後の冷却速度については、特に限定はない。
【0036】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
色素の吸収ピーク波長は、色素を可溶媒に溶解し、分光光度計(日立製作所製、U−350)を用いて測定した。
本発明の光学異方体フィルムのレターデーションは、420、440、480、550、575、600、700nmのλ/4板を用い、分光器を装備した偏光解析装置によりセナルモン法を用いて測定した。
光学異方体フィルムの波長分散を示す数式(1)で定義されるαの値は、セナルモン法を用いて測定したレターデーションを、グラフ描画ソフト(WaveMetrics 社製、Igor Pro 3.0)でローレンツの式(下記数式3)を用いてカーブフィッティングし、フィッティングの結果得られたフィッティング係数を用いて、486nmと589nmのレターデーション値を数式(3)を用いて計算し、数式(1)より計算した。
【0037】
【数5】
【0038】
[式中、λは測定波長、R(λ)は測定波長でのレターデーションを示し、A,B,λ0はフィッティング係数である。]
光学異方体フィルムの視角依存性は、傾斜治具を装備した偏光解析装置にてセナルモン法を用いて550nmの波長の光で、法線方向から観測した該フィルムのレターデーションと遅相軸まわりに該フィルムを傾斜したときのレターデーションを測定することにより評価した。
【0039】
比較例1
ポリカーボネート製位相差フィルム(住友化学工業(株)製、商品名 SEF480430)のレターデーションの波長分散を測定したところ、α=1.066であった。
【0040】
実施例1
下式(I−1)で示される色素(吸収ピーク波長375nm(DMF溶液)) 8.1重量部とポリカーボネート樹脂(帝人(株)製、商品名 パンライト C-1400) 91.9重量部を塩化メチレンに20重量%になるよう溶解し、混合した。得られた溶液をガラス板上にキャストし、厚さ100μmのフィルムを得た。
【0041】
【化3】
【0042】
得られたフィルムを167.5℃で1.5倍に延伸し、レターデーションの波長分散を測定したところ、α=1.106の光学異方体フィルムが得られた。
このように、本発明の光学異方体フィルムは、比較例1に比べて波長分散が大きくなった。
【0043】
実施例2
下式(I−1)で示される色素(吸収ピーク波長375nm(DMF溶液))10重量部とポリカーボネート樹脂(帝人(株)製、商品名 パンライト C-1400)90重量部を塩化メチレンに20重量%になるよう溶解し、混合した。得られた溶液をガラス板上にキャストし、厚さ100μmのフィルムを得た。
【0044】
【化4】
【0045】
得られたフィルムを170℃で 1.5倍に延伸し、レターデーションの波長分散を測定したところ、α=1.118の光学異方体フィルムが得られた。
このように、本発明の光学異方体フィルムは、比較例1に比べて波長分散が大きくなった。
【0046】
実施例3
下式(I−1)で示される色素(吸収ピーク波長375nm(DMF溶液)) 8.1重量部とポリカーボネート樹脂(帝人(株)製、商品名 パンライト C-1400) 91.9重量部を塩化メチレンに20重量%になるよう溶解し、混合した。得られた溶液をガラス板上にキャストし、厚さ100μmのフィルムを得た。
【0047】
【化5】
【0048】
得られたフィルムを167.5℃で1.5倍に延伸し、光学異方体フィルムのレターデーション比(R40/R0)を測定したところ、R40/R0=1.090であった。
得られたフィルムの両側に熱収縮性を有するフィルムを、熱収縮軸が前記の一軸延伸された高分子フィルムの延伸軸と直交するように貼合し、この貼合品を155℃で 3.5分加熱して、熱収縮延伸した。光学異方体フィルムのレターデーション比(R40/R0 )を測定したところ、R40/R0=1.020であった。
このようにして得られた本発明の光学異方体フィルムをSTNセルと組み合わせて使用すると、視野角依存性の小さい表示が得られる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の光学異方体フィルムは、レターデーションの波長分散が大きく、高速STN型液晶セルと好適に組み合わせて使用することで、良好な白黒表示を示し、視野角依存性の小さい液晶表示装置が得られる。また、本発明の光学異方体フィルムは、従来のポリスルホン製の位相差フィルムと比較して製造が容易である。
Claims (5)
- 色素は、[色素/(色素と高分子の和)]で表して3〜20重量%の濃度で存在する請求項1記載の光学異方体フィルム。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の光学異方体フィルムを用いることを特徴とする液晶表示装置。
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