JP4025993B2 - 塗布ヘッドの位置決め方法及び装置 - Google Patents

塗布ヘッドの位置決め方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は塗布ヘッドの位置決め方法及び装置に係り、特に、塗布ヘッドとウエブを走行支持するコーティングロールとの間に狭隘なクリアランスを有し、このクリアランスに塗布液のビードを形成して塗布するビード塗布方式の塗布ヘッドの位置決め方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗布ヘッドの位置決め精度は塗布精度を左右する重要な因子であり、塗布ヘッドを使用する塗布方法であればその種類に関係なく、塗布ヘッドを任意の位置に設定・変更でき、且つ精密な位置設定精度と位置再現精度が必要になる。特に、塗布ヘッドとウエブを走行支持するコーティングロールとの間に狭隘なクリアランスを有し、このクリアランスに塗布液のビードを形成して塗布するビード塗布方式の塗布ヘッドの場合、クリアランスは極く微小であるため、精度の良い位置決めが必要になる。このことから、塗布ヘッドを搭載して位置決め軌道上を移動可能な架台をロッドに当接させて位置決めするロッド長さ調整可能な位置決めストッパ装置と、架台を前記ロッドに対して押圧する油圧シリンダと、で塗布ヘッドを所望の位置に位置決めする方法が知られている。
【0003】
ところで、走行するウエブに塗布ヘッドで塗布液を塗布する場合、ウエブ送り出し装置に巻回されたウエブロールが終了したら塗布運転を停止して新しいウエブロールに切り換えるのではなく、旧ウエブの後端と新ウエブの前端を重ね合わせ接合又は突き合わせ接合することで、塗布運転を停止することなく連続運転することが一般的である。従って、接合されて厚くなったウエブ接合部が塗布ヘッドとコーティングロールとのクリアランスを通過すると、ビードが壊れてしまい、通過後のウエブに塗布された塗布面に塗布欠陥(塗布ムラ、塗布スジ等)が生じてしまう。
【0004】
この対策として、ウエブ接合部のクリアランス通過時に塗布ヘッドへの塗布液の給液を一時的に停止して通過後に給液を再開する方法、ウエブ接合部のクリアランス通過時に塗布ヘッドをウエブから完全に離間させて、通過後に再び塗布ヘッドを塗布位置に位置決めして塗布を再開する方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの対策は、何れもウエブ接合部のクリアランス通過時にはウエブに塗布液が塗布がされないことから、ウエブ接合部の前後何メートルかのウエブ部分は製品にはならず、製品ロスが大きくなるという問題がある。
【0006】
このことから、ウエブ接合部のクリアランス通過時に塗布を行ったままでも塗布面に塗布欠陥が生じることがない程度に塗布ヘッドを極微量移動してクリアランス量を広げることができ、ウエブ接合部が通過した後は、元のクリアランス量に速やかに且つ精度良く塗布ヘッドを戻すことができる塗布ヘッドの位置決め方法が必要になる。これを実現する方法として、油圧シリンダで塗布ヘッドの架台を押圧したままの状態、即ち油圧をかけたままの状態で位置決めストッパ装置のロッド長さ調整することで、クリアランス量を極微量広げたり元に戻したりする方法が考えられる。しかし、この方法はロッドにかかる負荷が大きすぎてロッドが変形し易く、ロッドの変形に起因する位置設定精度の悪化や位置再現精度の悪化が生じる。この場合、ロッドが変形しないように剛性を上げると、ロッドサイズが大きくなるだけでなく、ロッドの長さ調整を行う駆動部にも能力の大きな駆動部を使用しなくてはならず、装置コストがアップするという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、精密な位置設定精度と位置変更精度を実現でき、例えばビード塗布方法において塗布ヘッドとコーティングロールとの間のクリアランスをウエブ接合部が通過する場合でも、塗布を行ったままで塗布欠陥が生じないように塗布ヘッドをコーティングロールに対して極微量だけ精度良く位置決め変更することができ、塗布ヘッドを再び元の塗布位置に戻すことのできる塗布ヘッドの位置決め方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、塗布ヘッドを搭載して位置決め軌道上を移動可能な架台をロッドに当接させて位置決めするロッド長さ調整可能な位置決めストッパ装置と、前記架台を前記位置決めストッパ装置側に押圧する油圧シリンダと、で前記塗布ヘッドを所望の位置に位置決めする塗布ヘッドの位置決め方法において、前記架台が前記油圧シリンダの押圧力に対抗して移動するように前記ロッドの長さを調整する場合には、前記油圧シリンダの油圧回路の作動油の流れを遮断した後で前記油圧シリンダのピストンを挟んだ両側のシリンダ室の油圧が均等にバランスされるように前記両側のシリンダ室における油圧を連結させてから前記ロッドの長さを調整し、前記架台を再び元の位置に戻すように前記ロッドの長さを調整する場合には、前記ロッドの長さを元の長さに調整した後に前記油圧シリンダのピストンを挟んだ両側のシリンダ室における油圧の前記連結を分離にした後で前記架台に前記油圧シリンダの押圧力がかかるように前記油圧回路の作動油の流れを元の流れに切り換えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、架台が油圧シリンダの押圧力に対抗して移動するようにロッドの長さを調整する場合には、油圧回路の作動油の流れを遮断した後で油圧シリンダのピストンを挟んだ両側のシリンダ室の油圧が均等にバランスされるように油圧シリンダの油圧回路の作動油の流れを切り換えて両側のシリンダ室における油圧を連結させた後にロッドの長さを調整するようにした。これにより、ロッドにかかる油圧シリンダの押圧力がない状態で位置決めストッパ装置はロッドの長さを調整するので、ロッドが変形することがない。
【0010】
また、架台を再び元の位置に戻すようにロッドの長さを調整する場合には、ロッドの長さを元の長さに調整した後に、前記油圧シリンダのピストンを挟んだ両側のシリンダ室における油圧の連結を分離した後で架台に油圧シリンダの押圧力がかかるように油圧回路の作動油の流れを元の流れに切り換えるようにした。これにより、ロッドを元の長さに調整する際にはロッド先端は架台から離間し、ロッドは油圧シリンダの影響を全く受けない状態で元の位置に戻されるので、元の位置に精度良く戻ることができる。その後で、油圧シリンダで架台を移動させてロッドに当接させる。これにより、塗布ヘッドは元の位置に位置決めされる。
【0011】
尚、油圧回路の油圧を連結させるとは、請求項4における油圧回路のバイパス流路に設けた開閉制御弁を開いた状態を言い、油圧の連結を分離するとは、請求項4における油圧回路の開閉制御弁を閉じた状態を言う。
【0012】
本発明の請求項2は、請求項1において、前記塗布ヘッドは、ウエブを走行支持するコーティングロールとの間に狭隘なクリアランスを形成して塗布するビード塗布方式の塗布ヘッドであって、前記位置決め方法は前記ウエブの接合部が前記クリアランスを通過する際に行うことを特徴とする。これは、本発明の塗布ヘッドの位置決め方法を有効に利用することができるビード塗布方式の塗布ヘッドに特定したものである。即ち、塗布ヘッドとコーティングロールとの間のクリアランスをウエブ接合部が通過する場合でも、塗布を行ったままで塗布欠陥が生じないように塗布ヘッドを極微量だけコーティングロールから離間することができ、ウエブ接合部がクリアランスを通過後は塗布ヘッドを元の塗布位置に精度良く戻すことができる。
【0013】
本発明の請求項3は前記目的を達成するために、塗布ヘッドを搭載して位置決め軌道上を移動可能な架台をロッドに当接させて位置決めするロッド長さ調整可能な位置決めストッパ装置と、前記架台を前記位置決めストッパ装置側に押圧する油圧シリンダと、で前記塗布ヘッドを所望の位置に位置決めする塗布ヘッドの位置決め装置において、前記油圧シリンダの油圧回路には、前記油圧シリンダのピストンを挟んだ両側のシリンダ室の油圧が均等にバランスするように前記油圧回路を切り換えるための切り換え手段が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、油圧シリンダの油圧回路には、油圧シリンダのピストンを挟んだ両側のシリンダ室の油圧が均等にバランスするように油圧回路を切り換えるための切り換え手段を設けたので、精密な位置設定精度と位置変更精度を備えた位置決め装置を構成することができる。
【0015】
本発明の請求項4は、請求項3において、前記切り換え手段は、前記ピストンを挟んだ両側のシリンダ室と油圧ユニットとを繋ぐ一対の作動油流路の間に設けられたバイパス流路と、前記バイパス流路を開閉制御する開閉制御弁と、前記バイパス流路を流れる作動油の流量を制御する流量制御弁と、を備えたことを特徴とするもので、好適な切り換え手段を具体的に構成したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る塗布ヘッドの位置決め方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0017】
図1は、本発明の塗布ヘッドの位置決め装置を組み込んだ塗布装置の一例を示したものであり、ビード塗布方式の塗布装置の例で以下に説明する。尚、本発明はビード塗布方式の塗布装置に限定されるものではなく、塗布ヘッドの位置決めにおいて、精密な位置設定精度や位置変更精度を要求される全ての塗布装置に適用することができる。
【0018】
図1に示すように、ビード塗布方式の塗布装置10は、主として、エクストルージョン型の塗布ヘッド12と、走行するウエブ14を支持するコーティングロール16と、塗布ヘッド12を搭載する架台18を位置決めする位置決め装置20とで構成される。
【0019】
塗布ヘッド12とコーティングロール16とは、適正なビードを形成するための所定のクリアランス22を有して近接配置される。そして、塗布ヘッド12のポケット部24に供給された塗布液は、ポケット部24で塗布幅方向(ウエブ幅方向)に拡流された後、スリット26から吐出されてクリアランス22にビード(塗布液の溜まり部)を形成し、このビードを介して塗布液が走行するウエブ14に塗布される。従って、塗布ヘッド12をコーティングロール16に対して任意の位置に位置決めして塗布時のクリアランス22を正確に形成する位置設定精度が必要であると共に、塗布時のクリアランス22から位置決め変更した場合には、再び塗布時のクリアランス22に位置決めするための位置再現精度が必要になる。
【0020】
次に、精密な位置設定精度と位置再現精度を備えた塗布ヘッドの位置決め装置について図1〜図6に基づいて説明する。尚、図1〜図6において、接近方向とは塗布ヘッド12がコーティングロール16に近づくように移動することを意味し、離間方向とは塗布ヘッド12がコーティングロール16から離れるように移動することを意味する。
【0021】
塗布ヘッド12の位置決め装置20は、主として、塗布ヘッド12を搭載する架台18と、基台28と、複動式の油圧シリンダ30と、ボールネジ32(図5参照)付きのACサーボストッパ装置34とで構成される。図1に示すように、基台28上には、コーティングロール16の軸方向に対して直角な方向に一対のレール36、36が敷設され、このレール36にリニアベアリング38(図1参照)を介して架台18がスライド自在に支持される。
【0022】
図2及び図3に示すように、基台28と架台18との間に形成される空間には、一対のレール36間の中央位置に、レール36に平行な油圧シリンダ30が配置され、シリンダ本体部40が基台28に固定されると共に、ピストンロッド42の先端部が架台18に固定されたブロック44に連結される。これにより、図4に示すように、ピストンロッド42が伸長すると、架台18はレール36上をコーティングロール16から離間する方向に移動し、ピストンロッド42が収縮すると、架台18はレール36上をコーティングロール16に接近する方向に移動する。
【0023】
また、図2及び図3に示すように、基台28と架台18との間の空間における油圧シリンダ30の両側には、一対のACサーボストッパ装置34、34がレール36に平行に配置され、ストッパ本体部45は基台28に固定される。図2、図3、図5に示すように、ACサーボストッパ装置34は、ACサーボモータ46でボールネジ32を回転させることによりボールネジ32の先端部に一体的に形成されたストッパロッド48の長さを伸縮可能であり、ストッパロッド48先端は架台18の基台28側に曲折した当接部18Aに当接可能に形成される。これにより、ACサーボストッパ装置34のストッパロッド48の長さを、上述した塗布時のクリアランス22を形成するように調整した状態で、塗布ヘッド12がコーティングロール16に接近する方向に油圧シリンダ30で架台18を移動させて架台18の当接部18Aをストッパロッド48に当接させることにより、塗布ヘッド12は塗布時の位置に位置決めされる。図5は、架台18の当接部18Aがストッパロッド48に当接して、塗布ヘッド12を塗布位置に位置決めした状態の図である。尚、ストッパロッド48の長さ調整とクリアランス調整との関係を予めACサーボストッパ装置34のコントローラ部(図示せず)に入力しておくとよい。このように、塗布ヘッド12を搭載する架台18と、基台28との間に、油圧シリンダ30とACサーボストッパ装置を配置することで、位置決め装置20をコンパクトに設計することができる。
【0024】
図6(a)、(b)は、油圧シリンダ30を駆動する油圧回路50の説明図である。
【0025】
図6に示すように、作動油を供給する油圧源部52と、油圧の大きさと流路を制御する圧力・流路制御部54から成る油圧ユニット56は、2本の流路58、60により油圧シリンダ30のシリンダ室55に接続される。一方の流路58はシリンダ室55のピストン62を挟んでヘッド室64側に接続され、他方の流路60はピストン62を挟んでロッド室66側に接続される。また、この油圧回路50には、シリンダ室55のピストン62を挟んだヘッド室64とロッド室66の油圧を均等にバランスさせるように油圧回路50を切り換えるための切り換え手段68が設けられる。切り換え手段68は、2本の流路58、60の間に設けられたバイパス流路70と、バイパス流路70を開閉制御する開閉制御弁72と、バイパス流路70を流れる作動油の流量を制御する流量制御弁74と、で構成される。開閉制御弁72としては電磁弁を好適に使用することができ、流量制御弁74としてはスロットルバルブを好適に使用することができるが、これらに限定するものではない。
【0026】
次に、上記の如く構成された塗布装置10における塗布ヘッド12の位置決め方法を、図7に示すように、旧ウエブ14Aの後端と新ウエブ14Bの前端を重ね合わせ接合したウエブ接合部14Cが塗布ヘッド12とコーティングロール16との間のクリアランス22を通過する例で説明する。
【0027】
図8は、コーティングロール16に対する塗布ヘッド12の塗布時における位置決め位置と、ウエブ接合部のクリアランス通過時における塗布ヘッド12の位置決め位置を示したものである。
【0028】
塗布ヘッド12からコーティングロール16に支持されて走行するウエブ14に塗布液を塗布する塗布時には、塗布ヘッド12とコーティングロール16とのクリアランス22が設定クリアランス(L1 )になるように、ACサーボストッパ装置34と油圧シリンダ30とにより塗布ヘッド12が位置決めされている。このときの油圧回路は、図6(a)に示すように、開閉制御弁72が閉じてバイパス流路70に作動油が流れない状態であり、油圧ユニット56からの作動油はロッド室66側に流入して塗布ヘッド12がコーティングロール16に接近する方向にピストンロッド42を移動させる力が働いている。
【0029】
そして、ウエブ接合部14Cがクリアランス22を通過する場合には、油圧シリンダ30の油圧回路50を次のように操作して、塗布ヘッド12とコーティングロール16とのクリアランス22が通過時クリアランス(L2 )になるように塗布ヘッド12を位置決め変更する。ここで、通過時クリアランス(L2 )とは、塗布したままでウエブ接合部14Cがクリアランス22を通過しても塗布故障が発生しない程度に極く微量だけクリアランス22を広げることを言い、塗布ヘッド12の移動量(L3 )としては200μm以下の極微量な位置決め変更を言う。この場合、図5のように油圧シリンダ30の油圧により架台18がストッパロッド48の方向に押圧力Fで押圧された状態で、ストッパロッド48の長さを伸長して塗布ヘッド12をコーティングロール16から離間するようにACサーボストッパ装置34を駆動すると、押圧力Fによりストッパロッド48が変形する虞がある。そこで、架台18が油圧シリンダ30の押圧力Fに対抗する方向に移動するようにACサーボストッパ装置34のストッパロッド48の長さを調整する場合には、圧力・流路制御部54で油圧回路50に流れる作動油の流れを遮断した後で油圧回路50におけるバイパス流路70の開閉制御弁72を開いてバイパス流路70にも油圧が作用するようにして、ロッド室66側とヘッド室64側の油圧が均等にバランスされるようにロッド室66側とヘッド室64側の油圧を連結させた状態にする。即ち、ピストンロッド42は塗布ヘッド12がコーティングロール16に接近する方向にも離間する方向にも移動しないニュートラルな状態になる。この場合、開閉制御弁72を開くことにより、ロッド室66側とヘッド室64側の圧力が急激に変動すると塗布品質への悪影響が考えられるので、バイパス流路70に設けた流量制御弁74の絞りを調整して、ロッド室66側とヘッド室64側の油圧バランスが徐々に均等になるようにする。そして、ロッド室66側とヘッド室64側の油圧バランスが均等になった後で、ACサーボストッパ装置34のストッパロッド48の長さを移動量(L3 )だけ伸長して、架台18をコーティングロール16から離間する方向に移動する。これにより、クリアランスは通過時クリアランス(L2 )に広げられる。このように、ストッパロッド48に大きな負荷がかからない状態でACサーボストッパ装置34を駆動するので、ストッパロッド48の長さ調整の精度が良くなると共にストッパロッド48が変形することもない。従って、塗布ヘッド12の移動量としては200μm以下の極微量な位置決め変更であっても精度良く位置決め変更することができる。
【0030】
次に、ウエブ接合部14Cがクリアランス22を通過し終わったら、クリアランス22を元の塗布時の設定クリアランス(L1 )に戻す必要があるので、その場合には、ACサーボストッパ装置34を駆動してストッパロッド48の長さを移動量(L3 )だけ収縮して元の長さに調整した後に、油圧回路50のバイパス流路70に設けられた開閉制御弁72を閉じた後、圧力・流路制御部54で作動油が元の流れになるようにする。これにより、油圧シリンダ30のピストン62を挟んだヘッド室64とロッド室66とがバランスした、いわゆる両室64、66における油圧が連結した状態から、両室64、66における油圧の連結が分離された状態になる。従って、ストッパロッド48を元の長さに調整する際にはストッパロッド48の先端は架台18の当接部18Aから離間し、ストッパロッド48は油圧シリンダ30による油圧の影響を受けない状態で元の位置に戻されるので、元の位置に精度良く戻ることができる。その後に、油圧シリンダ30で架台18を移動して架台18をストッパロッド48に当接させる。これにより、塗布ヘッドは再び塗布時の位置に精度良く位置決めされる。
【0031】
尚、本発明の塗布ヘッドの位置決め方法を、ウエブ接合部がクリアランスを通過する例で説明したが、これに限定されるものではなく、精密な位置設定精度と位置変更精度が要求される全ての位置決めに適用できる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の塗布ヘッドの位置決め方向及び装置によれば、精密な位置設定精度と位置変更精度を実現することができる。
【0033】
従って、例えばビード塗布方法において塗布ヘッドとコーティングロールとの間のクリアランスをウエブ接合部が通過する場合でも、塗布を行ったままで塗布欠陥が生じないように塗布ヘッドをコーティングロールに対して位置決め変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布ヘッドの位置決め装置を組み込んだビード塗布方式の塗布装置の側面図
【図2】位置決め装置の構成を説明する平面図
【図3】位置決め装置の構成を説明する側面図
【図4】位置決め装置の油圧シリンダを説明する側面図
【図5】位置決め装置のACサーボストッパ装置を説明する側面図
【図6】油圧シリンダの油圧回路を説明する説明図
【図7】塗布ヘッドとコーティングロールとの間のクリアランスをウエブ接合部が通過する状態を説明する説明図
【図8】本発明の塗布ヘッドの位置決め方法を説明する説明図
【符号の説明】
10…ビード塗布方式の塗布装置、12…塗布ヘッド、14…ウエブ、14C…ウエブ接合部、16…コーティングロール、18…架台、20…位置決め装置、22…クリアランス、24…ポケット部、26…スリット、28…基台、30…油圧シリンダ、32…ボールネジ、34…ACサーボストッパ装置、36…レール、38…リニアベアリング、42…ピストンロッド、44…ブロック、46…ACサーボモータ、48…ストッパロッド、50…油圧回路、52…油圧源部、54…圧力・流路制御部、55…シリンダ室、56…油圧ユニット、58、60…作動油の流路、62…ピストン、64…ヘッド室、66…ロッド室、68…切り換え手段、70…バイパス流路、72…開閉制御弁、74…流量制御弁

Claims (4)

  1. 塗布ヘッドを搭載して位置決め軌道上を移動可能な架台をロッドに当接させて位置決めするロッド長さ調整可能な位置決めストッパ装置と、前記架台を前記位置決めストッパ装置側に押圧する油圧シリンダと、で前記塗布ヘッドを所望の位置に位置決めする塗布ヘッドの位置決め方法において、
    前記架台が前記油圧シリンダの押圧力に対抗して移動するように前記ロッドの長さを調整する場合には、前記油圧シリンダの油圧回路の作動油の流れを遮断した後で前記油圧シリンダのピストンを挟んだ両側のシリンダ室の油圧が均等にバランスされるように前記両側のシリンダ室における油圧を連結させてから前記ロッドの長さを調整し、
    前記架台を再び元の位置に戻すように前記ロッドの長さを調整する場合には、前記ロッドの長さを元の長さに調整した後に前記油圧シリンダのピストンを挟んだ両側のシリンダ室における油圧の前記連結を分離にした後で前記架台に前記油圧シリンダの押圧力がかかるように前記油圧回路の作動油の流れを元の流れに切り換えることを特徴とする塗布ヘッドの位置決め方法。
  2. 前記塗布ヘッドは、ウエブを走行支持するコーティングロールとの間に狭隘なクリアランスを形成して塗布するビード塗布方式の塗布ヘッドであって、前記位置決め方法は前記ウエブの接合部が前記クリアランスを通過する際に行うことを特徴とする請求項1の塗布ヘッドの位置決め方法。
  3. 塗布ヘッドを搭載して位置決め軌道上を移動可能な架台をロッドに当接させて位置決めするロッド長さ調整可能な位置決めストッパ装置と、前記架台を前記位置決めストッパ装置側に押圧する油圧シリンダと、で前記塗布ヘッドを所望の位置に位置決めする塗布ヘッドの位置決め装置において、
    前記油圧シリンダの油圧回路には、前記油圧シリンダのピストンを挟んだ両側のシリンダ室の油圧が均等にバランスするように前記油圧回路を切り換えるための切り換え手段が設けられていることを特徴とする塗布ヘッドの位置決め装置。
  4. 前記切り換え手段は、
    前記ピストンを挟んだ両側のシリンダ室と油圧ユニットとを繋ぐ一対の作動油流路の間に設けられたバイパス流路と、
    前記バイパス流路を開閉制御する開閉制御弁と、
    前記バイパス流路を流れる作動油の流量を制御する流量制御弁と、を備えたことを特徴とする請求項3の塗布ヘッドの位置決め装置。
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