JP4025745B2 - 消音器用バルブ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主として車両用エンジンの排気系に介設する消音器用バルブ装置に関し、詳しくは、消音器内の排気ガスのバイパス経路を、排気圧が所定圧に上昇したときに開くバルブ装置に関する。
一般に車両においては、加速走行時や高速走行時の性能を向上させるため、エンジンの高速回転域の出力を十分に確保することが要求される。また、アイドリング時や低速走行時の静粛性を確保するため、排気騒音を低減することが要求される。すなわち、エンジンの高速回転域の出力を十分に確保しつつ、少なくともエンジンの低速回転域では排気騒音を低減することが要求されている。
ここで、エンジン出力および排気騒音は、車両用エンジンの排気系を構成する通路の断面積によって大きく影響されることが知られている。すなわち、通路の断面積を増大すれば、排気抵抗の減少によりエンジン出力を十分に確保することができる反面、排気抵抗の減少によって排気騒音が増大し、反対に通路の断面積を減少すれば、排気抵抗の増大により排気騒音を低減できる反面、排気抵抗の増大によってエンジン出力が低下することが知られている。
そのため、エンジンの排気系に設けられる消音器においては、排気通路にバイパス経路が設けられているものがある。バイパス経路にはバルブ装置が設けられ、高速回転時にのみバイパス経路を開き通路の断面積を増大するように構成されている(例えば特許文献1参照)。
このバルブ装置は、弁孔を有する基台と、基台の弁孔を塞ぐように設けられた板状弁を備えており、板状弁はその基端部が基台に固定され消音器内の圧力に応じて撓み、弁孔を開くようになっている。バルブ装置には板状弁が開くときその開度を規制するためのストッパ部材が備えられ、ストッパ部材は板状弁の基端部と重なった基端側で基台に固定され、基端側から板状弁に対して斜め方向に延出したストッパ部が形成され、ストッパ部が消音器内の圧力を受けて撓む板状弁を受け止め、板状弁が過度に撓むことを防止するようになっている。
特願2002−293508号公報(段落番号0025、図4など)
しかしながら、前記従来のバルブ装置においては、ストッパ部材が前記したように基端側においてのみ支持されストッパ部が撓みやすい構成となっているため、エンジンからの加振入力で容易に共振し、それに伴ってストッパ部材(バルブ装置)が取り付けられたセパレータが振動し異音を生じる問題があった。
すなわち、エンジンから伝わる加振入力で消音器そのものが加振されるが、ストッパ部材の固有共振周波数が低いため、エンジンからの加振周波数がストッパ部材の固有共振周波数と一致すると、ストッパ部材が共振し、その結果セパレータが振動し異音を生じてしまう。
そこで、本発明は、以上の点に鑑み、ストッパ部材の剛性を高め、共振を抑制しうるようにした消音器用バルブ装置を提供することを目的とする。
本発明は、消音器内の排気ガスのバイパス経路を、排気圧が所定圧に上昇したときに開く消音器用バルブ装置であって、排気ガスが流通する弁孔を有する基台と、前記弁孔を開閉し、前記基台の一端側に基端部が固定された板状弁と、前記基台の前記弁孔を隔てた他端側から、前記板状弁の開弁方向へ延出するように形成された延出部材と、一側が前記基台の前記一端側に固定されるとともに、他側が前記延出部材に固定され、前記板状弁の開度を規制するストッパ部材と、前記ストッパ部材の他側と前記延出部材との間に固定され、先端が前記板状弁の表面に当接して前記板状弁を閉弁方向に付勢する板バネと、を備え、前記延出部材には前記板バネと当接可能な当接部が形成されていることとした。
このように、基台において弁孔を隔てて板状弁の基端部が固定された一端側の反対側にある他端側から開弁方向に延出した延出部材が形成され、ストッパ部材は一側が基台の一端側に、他側が延出部材にと両持ち支持で固定されるので、加振されたときの撓み変形に対する剛性が高められ、片持ち支持より固有共振周波数が大幅に引上げられる。そして、このような構成の消音器用バルブ装置によれば、当接部によって板バネが閉弁する方向への変位が規制され、閉弁状態では板バネが正確な位置で板状弁の表面と当接し安定した付勢力を発生することができる。
本発明によれば、ストッパ部材が両持ち支持で固定されたことにより、撓み変形に対する剛性が高くなり、固有共振周波数が高くなる。この結果ストッパ部材が共振しにくくなり、エンジンから伝わる加振入力に共振し、異音を発生するようなことが防止される。
また、板状弁を閉弁方向に付勢する板バネが取り付けられた消音器用バルブ装置では、板バネが正確な位置で板状弁の表面と当接でき安定した付勢力を発生することができるため、板状弁が安定した動作を行うことができる。
次に、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。参照する図面において、図1は、本発明のバルブ装置が適用される消音器の一例を示す断面図である。
図1に示すように、内燃機関の排気系の途中に介設される消音器1は、筒状のシェル11と、シェル11の一端と他端とを閉塞する端壁12、13とで消音器本体10が構成されている。消音器本体10は、その内部空間を第1及び第2セパレータ14、15により3つに区画され、さらに、排気流入管21、インナーパイプ22、排気流出管23の3つのパイプにより、排気ガスの通路が形成されている。
第1セパレータ14及び第2セパレータ15は、消音器本体10内で端壁12,13と平行に配置されている。第1セパレータ14は、端壁12との間で第1消音室31を形成し、第2セパレータ15は、第1セパレータ14との間で第2消音室32を、また、端壁13との間で第3消音室33を形成している。
排気流入管21は、端壁12、第1セパレータ14及び第2セパレータ15を貫通して、エンジンからの排気経路と第3消音室33を連通している。また、排気流入管21の第2消音室32を通過している部分の管壁には、多数の透孔21aが形成されている。
インナーパイプ22は、第1セパレータ14及び第2セパレータ15を貫通して、第1消音室31と第3消音室33を連通している。また、インナーパイプ22の第2消音室32を通過している部分の管壁には、多数の透孔22aが形成されていることで、インナーパイプ22は、排気流入管21と第2消音室32を介して連通している。
排気流出管23は、第1セパレータ14、第2セパレータ15及び端壁13を貫通して、第1消音室31と外部を連通している。
このような構造により、排気流入管21に流入した排気ガスの流通経路は、第3消音室33、インナーパイプ22、第1消音室31を通って排気流出管23に至る経路と、透孔21a、第2消音室32、透孔22a、インナーパイプ22、第1消音室31を通って排気流出管23に至る経路との2系統になる。
ところで、エンジンの高速回転に伴って多量の排気ガスが排気流入管21に流入すると、前記2系統だけの排気ガスの流通経路では第2及び第3消音室32,33内の排気圧が高くなり、ひいては、エンジンの出力が低下する。
このため、第1セパレータ14に、第2消音室32と第1消音室31とを連通するバイパス経路用の開口部14aを設け、この開口部14aに排気圧が所定圧に上昇したときに開くバルブ装置4を設けている。そして、エンジンの高回転域では、前記した2系統にバイパス経路を追加した3系統の流通経路で多量の排気ガスが大気にスムーズに排出されるようになっている。
次に、バルブ装置4について詳細に説明する。図2は、バルブ装置の斜視図であり、図3は、バルブ装置の分解斜視図、図4は、図2における4−4断面図である。
バルブ装置4は、図2〜図4に示すように、弁孔41を有する弁座42と、弁孔41を開閉するバルブである板状弁43と、板状弁43の開度を規制するストッパ部材46と、板状弁43の表面と当接し板状弁43の撓み特性を調整する板バネ47とを備えている。
弁座42は、図3に示すように、中心部に矩形の弁孔41が形成された弁座部42c(基台)を有している。弁座部42cの一端側42aにおいて2つの貫通した位置決め孔42bが形成され、弁孔41を隔てた反対側の他端側42hの端面から延出部材として支持部42e,42eとリテーナ部42gが形成されている。支持部42e,42eは、端面の両側から延出され、折り曲げ加工によって弁座部42cに対してほぼ直角に起立した状態となっている。支持部42e,42eの折り曲げ位置は、他端側42hの端面より少し外方に設定されている。これによって、他端側42hの端面は第1セパレータ14から離れないので、弁座42を第1セパレータ14へ取り付ける際に、端面において第1セパレータ14への溶接がしやすくなる。
支持部42e,42eの上側、すなわちリテーナ部42gに近いところでは、さらに外方に一定の角度を形成するように折り曲げられ、弁座部42cに対してリテーナ部42gが傾斜するようにさせている。リテーナ部42gの傾斜角は後記するストッパ部材46における先端部46cの傾斜角度に合わせて設定される。リテーナ部42gの弁座部42c側端面の中央に弁座部42c側に向かって延出された突出部42d(当接部)が形成されている。この突出部42dはリテーナ部42gと同様に弁座部42cに対して一定の角度で傾斜している。
リテーナ部42gには弁座部42cの一端側42aと同様に2つの貫通した位置決め孔42fが形成されている。
板状弁43は、弾性変形可能な薄い矩形の板材からなり、前記した弁孔41を被うように配置されている。例えば、板状弁43は、厚さ0.15mm程度のバネ鋼からなる板で形成されている。板状弁43の基端部43aには、弁座部42c上の位置決め孔42bに対応する位置及び大きさで位置決め孔43b,43bが形成されている。板状弁43の基端部43aは、板状弁43の末端に相当する端面43eから所定範囲、すなわち、図3におけるエリアA1において、ストッパ部材46の基端部46aと弁座部42cの一端側42aに挟まれて固定されている。
一方、板状弁43の先端43cから所定範囲、すなわち図3におけるエリアA3において、板状弁43の両側縁部が弁座部42cとは逆側へ折り曲げられて、折曲げ部43d,43dを形成している。この折曲げ部43d,43dにより、板状弁43はエリアA3での曲げ剛性が高くなっており、板状弁43の共振が抑制される。また、エリアA3の曲げ剛性を高めた結果、板状弁43は、エリアA1とエリアA3の間、すなわち、図3におけるエリアA2で撓み変形し、弁孔41を開閉するため、弁孔41への密閉性が向上する。
なお、折曲げ部43d,43dは、弁座42とは逆側へ曲げてあるので、板状弁43は弁孔41と隙間を形成することなく、弁孔41を密閉できる。
折曲げ部43dの折り曲げ角度については、弁座部42cと逆側へ折り返されている限り適宜に設定することができる。例えば、弁座部42cに対し垂直に折り曲げてもよいし、45度程度に折り曲げるものでも構わない。
ストッパ部材46は、板状弁43の押さえ部分となる基端部(一側)46aと、基端部46aから延出し、基端部46aに対し傾斜したストッパ部46eと、ストッパ部46eからさらに延出し、ストッパ部46eに対してさらに傾斜した先端部(他側)46cとが一体になって形成されている。
ストッパ部材46は、板状弁43に比較して厚い、例えば板厚2mm程度の板材をプレス成形したものである。そして、ストッパ部材46は板状弁43を弁座部42cの一端側42a、板バネ47をリテーナ部42gに固定する機能を有している。また、弁孔41からくる排気圧を受け板状弁43が撓んだときに、ストッパ部46eで板状弁43を受け止めて、板状弁43が過度に撓むことを防止している。ストッパ部材46は基端部46aが弁座部42c上の一端側42a、先端部46cがリテーナ部42gに固定される。
なお、ストッパ部材46の両側縁部は、全長にわたって弁座部42cと逆側に折り曲げられたリブ46f,46fが形成され、また、ストッパ部材46の中心を通るように十字状に横方向にリブ46g、縦方向にリブ46hが形成され、撓み変形に対する曲げ剛性を高めるようにしている(図3参照)。
ストッパ部材46の基端部46aには弁座部42c上の位置決め孔42b,42bに対応する位置及び大きさで位置決め孔46b,46b、先端部46cにはリテーナ部42gに形成された位置決め孔42f,42fに対応する位置及び大きさで位置決め孔46d,46dが形成されている。
板バネ47は、板状弁43よりも薄いばね鋼の板、たとえば0.1mm程度の板からなる矩形の板バネである。板バネ47の一端47a側にはリテーナ部42g上の位置決め孔42f,42fに対応する位置及び大きさの一対の位置決め孔47b,47bが形成されている。一方、板バネ47の他端部47c(図3参照)は、板状弁43の先端43cから所定範囲、すなわちエリアA3に斜めに当接している。板バネ47の他端部47cは、曲面に形成され、その末端付近で板状弁43とほぼ同じ向きになって当接している。
このように、他端部47cを曲面状にすることで、板状弁43と板バネ47の摺動が滑らかになる。
なお、板バネ47としては、1枚の板で構成されるのでなく、例えば板バネ47を第1ばねとし、板状弁43よりも薄いばね鋼の板、例えば0.1mm程度の板からなる矩形のばねを第2ばねとして設ける。第2ばねは一端側に板バネ47と同様に、位置決め孔を形成し、撓み方向の長さを板バネ47よりも短くして、板バネ47の開弁側で板バネ47と重ねて取り付ける。この場合、板状弁43が開閉し板バネ47が変位するとき、板バネ47と第2ばねの間に摩擦が発生し減振効果が得られる。
このように、ストッパ部材46の先端部46cと弁座42のリテーナ部42gの間に固定された板バネ47は、その他端部47cにおいて板状弁43と当接するが、板状弁43に対し傾斜して当接することで、板状弁43の開度が大きくなるに従い、その当接位置が板状弁43の基端部43a側へ変位するようになっている。また、その当接位置は、折曲げ部43d,43dにより補強されたエリアA3であるため、ある程度強く当接しても板状弁43が折れ曲がるように撓むことがない。また、エリアA3は、ほとんど撓まない、つまり振動しないので、板状弁43の動作が安定する。
そして、板状弁43が閉弁状態では、板バネ47がリテーナ部42gの突出部42dと当接しているため、板状弁43への当接位置が安定し、板バネ47が板状弁43に安定した付勢力を発生することができ、板状弁43が安定して動作することができる。なお、突出部42dの角度を調整し、板状弁43における板バネ47の当接位置を変えることによって、付勢力を調整することができる。
なお、板バネ47がストッパ部材46の先端部46c及び弁座42のリテーナ部42gに挟持される部分での幅(図2におけるX方向の大きさ)は、先端部46c及びリテーナ部42gの幅よりも小さく設定されている。
板バネ47はストッパ部材46の先端部46cと弁座42のリテーナ部42gの間に挟まれた状態で固定されることによって、板バネ47の固定点に応力が集中することを防止して、板バネ47の耐久性を向上させている。
次に、板状弁43、ストッパ部材46、及び板バネ47の固定方法について詳細に説明する。なお、図2及び図3において、太い破線で示した部分は、溶接をする範囲である。
まず、板バネ47を固定するときには、弁座42のリテーナ部42gに板バネ47、ストッパ部材46の先端部46cを順に重ね合わせ、それぞれの位置決め孔46d、47b、42fが重なるように位置を調整する。この際、各位置決め孔46d、47b、42fに合う太さのピンを差し込むと、位置決めが確実である。
位置合わせができたならば、まず、ストッパ部材46の先端部46c、板バネ47、弁座42のリテーナ部42gを縁部(つまり、板バネ47の一端側の縁)で一体に溶接する。この溶接により、ストッパ部材46、板バネ47及び弁座42は一応一体となり、位置決めは不要となる。
次に、先端部46cとリテーナ部42gを、先端側の縁部から所定範囲の両側縁部で溶接する。このとき、板バネ47は先端部46c及びリテーナ部42gよりも幅が小さいので、溶接はなされない。従って、板バネ47は、先端部46cとリテーナ部42gの間に挟まれた形で固定される。
このように、薄い板材からなる板バネ47を先端部46cおよびリテーナ部42gの縁のみで位置合わせ及び仮押えをし、先端部46cとリテーナ部42gに挟んで固定するので、溶接するときに板バネ47に穴を開けてしまったり、板バネ47が歪んだりする不具合を起こすことがない。なお、これらの溶接は例えばアーク溶接やレーザ溶接を利用することができる。
次に、板状弁43及びストッパ部材46の基端部46aを弁座42の弁座部42cに固定するときには、弁座部42cの一端側42aに板状弁43、ストッパ部材46の基端部46aを順に重ね合わせる。このとき、位置決め孔42bと46bがずれるようなら、二つの支持部42eの角度を調整することによってずれを修正する。このように調整した後、各位置決め孔42b、43b、46bに合う太さのピンを差し込むと、位置決めが確実になり、溶接によって固定できるようになる。
溶接においては、まず、弁座部42cの一端側42a、板状弁43、ストッパ部材46の基端部46aの縁部を一体に溶接する。この溶接により、弁座部42cの一端側42a、板状弁43、及びストッパ部材46の基端部46aは一応一体となり、位置決めは不要となる。
次に、弁座部42cの一端側42aとストッパ部材46の基端部46aを縁部から所定範囲の両側縁部で溶接する。このとき、板状弁43は、一端側42aなどよりも幅が小さいので、溶接はなされない。従って、板状弁43は、弁座部42cの一端側42aとストッパ部材46の基端部46aに挟まれた形で固定される。
このように、薄い板材からなる板状弁43をその端面43eの縁のみで位置合わせ及び仮押えをし、弁座部42cの一端側42aとストッパ部材46の基端部46aに挟んで固定するので、溶接するときに板状弁34に穴を開けてしまったり、板状弁43が歪んだりする不具合を起こすことがない。なお、これらの溶接は例えばアーク溶接やレーザ溶接を利用することができる。
以上のように、板状弁43、ストッパ部材46、及び板バネ47の固定に溶接を用いることにより、ボルトを使う必要が無く、またタッピングをする必要も無く、さらに、細かいボルトを複数締め付ける工数も省略できることから、バルブ装置の生産コストを下げることができる。また、バルブ装置を消音器1の第1セパレータ14へ固定する際にも例えば弁座部42cにおける一端側42a周囲の縁および支持部42e、42eが延出される他端側42hの端面で溶接するようにすれば、ボルトを使用せずに済み、さらに生産コストを下げることができる。
次に、以上のようなバルブ装置4の動作について説明する。エンジンの回転数が低いうちは、第2消音室32内の排気圧は低いので、板状弁43は板バネ47によって撓むことなく弁座42と接することにより、バルブ装置4は閉じている。このとき、リテーナ部42gの突出部42dによって板バネ47は正確な位置で板状弁43に当接しているため、安定した付勢力を発生することができる。
エンジンの回転数が上昇して、第2消音室32内の排気圧が所定圧に上昇すると、板状弁43に掛かる圧力(力)が高くなって、板バネ47の付勢力を超えると板状弁43が撓み始める。そして、板状弁43がある量だけ撓むと、板バネ47も撓んで、板バネ47と板状弁43の当接位置が板状弁43の基端側へ変位する。このとき、板バネ47の付勢力の増加はさほどではないが、当接位置の変位によって、板バネ47が板状弁43を回転させるモーメントの減少は比較的大きいので、図4の2点鎖線で示したように、板状弁43は一気に大きく開く。このとき、板状弁43の開度はストッパ部材46のストッパ部46eによって規制され、板状弁43が過度に撓むことがない。
そして、再びエンジンの回転数が低くなると、板状弁43の撓み量が小さくなって、ある撓み量以下になると、板バネ47の板状弁43との当接位置が板バネ47の先端側へ変位してくるので、板バネ47が板状弁43を回転させるモーメントが大きくなり、板状弁43を一気に閉じる。このとき、板バネ47がリテーナ部42gの突出部42dと当接する位置までしか変位できないため、閉弁後にも、板バネ47が正確な位置で板状弁43と当接することができ、板状弁43に引き続き安定した付勢力を発生することができる。これによって板状弁43が安定して開弁、閉弁することができる。
エンジンが運転中に、エンジンからの加振で消音器1が振動しそれに伴ってバルブ装置4が振動するが、ストッパ部材46は基端部46aが弁座部42cの一端側42aに、先端部46cが延出部材としてのリテーナ部42gにと両持ち支持で固定されるので、加振されたときの撓み変形に対する剛性が高められ、固有共振周波数が大幅に引上げられることによって、共振しにくくなり、したがってエンジンから伝わる加振入力に共振し、バルブ装置4が取り付けられている第1セパレータ14が振動し異音を発生するようなことが防止される。
また、このような振動の中で使われていても、バルブ装置4を構成する各部品は溶接により固定されているので、振動によりボルトが外れるという心配もない。さらに、この溶接の際には、前記したように板状弁43や板バネ47を歪ませることなく固定しているのでバルブ装置4の安定した動作を実現できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されることなく適宜変更して実施することが可能である。
例えば、延出部材としての支持部42e,42eおよびリテーナ部42gは弁座部42cの他端側42hの端面から延出した形で形成されたが、別部材として形成し、溶接などによって弁座部42cと一体にして構成することもできる。
実施形態においては、板状弁43が弁座部42cの表面に接触してバルブを閉じるタイプのバルブ装置4について説明したが、板状弁43及び板バネ47の自然状態で板状弁43の先端及び両側縁部を弁孔41内にまで入り込ませ、弁孔41の内壁と板状弁43の先端及び両側縁部とで弁孔41を閉じるタイプ、いわば基台を板状弁のハウジングにしたタイプでも同様に本発明を適用することができる。また、この場合においては、板状弁43の折曲げ部43dは、ストッパ部材46とは逆側、すなわち図3などにおいて下向きに折り曲げても構わない。
本発明のバルブ装置が適用される消音器の一例である。 実施形態に係るバルブ装置の斜視図である。 実施形態に係るバルブ装置の分解斜視図である。 図2の4−4線断面図である。
符号の説明
1 消音器
4 バルブ装置
10 消音器本体
11 シェル
12 端壁
13 端壁
14 第1セパレータ
14a 開口部
15 第2セパレータ
21 排気流入管
22 インナーパイプ
23 排気流出管
31 第1消音室
32 第2消音室
33 第3消音室
41 弁孔
42 弁座
42a 一端側
42c 弁座部
42d 突出部
42e 支持部
42g リテーナ部
42h 他端側
43 板状弁
43a 基端部
43c 先端
43d 折曲げ部
46 ストッパ部材
46a 基端部
46c 先端部
46e ストッパ部
46f リブ
46g リブ
46h リブ
47 板バネ
47c 他端部

Claims (1)

  1. 消音器内の排気ガスのバイパス経路を、排気圧が所定圧に上昇したときに開く消音器用バルブ装置であって、
    排気ガスが流通する弁孔を有する基台と、
    前記弁孔を開閉し、前記基台の一端側に基端部が固定された板状弁と、
    前記基台の前記弁孔を隔てた他端側から、前記板状弁の開弁方向へ延出するように形成された延出部材と、
    一側が前記基台の前記一端側に固定されるとともに、他側が前記延出部材に固定され、前記板状弁の開度を規制するストッパ部材と
    前記ストッパ部材の他側と前記延出部材との間に固定され、先端が前記板状弁の表面に当接して前記板状弁を閉弁方向に付勢する板バネと、を備え、
    前記延出部材には前記板バネと当接可能な当接部が形成されていることを特徴とする消音器用バルブ装置。
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