JP4025695B2 - 保護フィルム付き絶縁層及び配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ加工性に優れた保護フィルム付き絶縁層及び配線基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、半導体素子等の能動部品や容量素子・抵抗素子等の受動部品を搭載して所定の電子回路を構成した混成集積回路を形成するための配線基板は、通常、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて成る絶縁層にドリルによって上下に貫通孔を形成し、この貫通孔内部および絶縁層表面に複数の配線導体を形成して成る配線基板を、複数積層することによって形成されている。
【0003】
一般に、現在の電子機器は、移動体通信機器に代表されるように小型・薄型・軽量・高性能・高機能・高品質・高信頼性が要求されており、このような電子機器に搭載される混成集積回路等の電子部品も小型・高密度化が要求されるようになってきており、このような高密度化の要求に応えるために、電子部品を構成する配線基板も、配線導体の微細化や絶縁層の薄層化・貫通孔の微細化が必要となってきている。そのため、近年、貫通孔を微細化するために、ドリル加工より微細加工が可能なレーザ加工が用いられるようになってきている。
【0004】
しかしながら、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて成る絶縁フィルムは、ガラスクロスをレーザにより穿設加工することが困難なために貫通孔の微細化には限界があり、また、ガラスクロスの厚みが不均一のために均一な孔径の貫通孔を形成することが困難であるという問題点を有していた。
【0005】
このような問題点を解決するために、アラミド樹脂繊維で製作した不織布にエポキシ樹脂を含浸させて成る絶縁基材や、ポリイミドフィルムにエポキシ系接着剤を塗布して成る絶縁基材を絶縁層に用いた配線基板が提案されている。
【0006】
しかしながら、アラミド不織布やポリイミドフィルムを用いた絶縁フィルムは吸湿性が高く、吸湿した状態で半田リフローを行うと半田リフローの熱により吸湿した水分が気化してガスが発生し、絶縁層間で剥離してしまう等の問題点を有していた。
【0007】
このような問題点を解決するために、配線基板の絶縁層の材料として液晶ポリマーを用いることが検討されている。液晶ポリマーから成る層は、剛直な分子で構成されているとともに分子同士がある程度規則的に並んだ構成をしており分子間力が強いことから、高耐熱性・高弾性率・高寸法安定性・低吸湿性を示し、ガラスクロスのような強化材を用いる必要がなく、また、微細加工性にも優れるという特徴を有している。さらに、高周波領域においても、低誘電率・低誘電正接であり高周波特性に優れるという特徴を有している。
【0008】
このような液晶ポリマーの特徴を活かし、回路層が第1の液晶ポリマーを含み、この回路層間に第1の液晶ポリマーの融点よりも低い融点を有する第2の液晶ポリマーを含む接着剤層を挿入して成る多層プリント回路基板が提案されており(特許文献1参照)、また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと金属箔とをエポキシ系接着剤を用いて接着させた高周波回路基板が提案されている(特許文献2参照)。
【0009】
しかしながら、液晶ポリマーを用いた多層プリント回路基板は、回路層同士を間に液晶ポリマーを含む接着剤層を挿入して熱圧着により接着する際、液晶ポリマー分子が剛直であるとともにある程度分子が規則正しく配向して分子間力が強くなっているために分子が動き難くなり、回路層の液晶ポリマーと接着剤層の液晶ポリマーの表面のごく一部の分子だけしか絡み合うことができないために密着性が悪く、高温バイアス試験において層間で剥離して絶縁不良が発生してしまうという問題点を有していた(特許文献3参照)。また、回路層の導体箔と液晶ポリマーを熱融着により接着する際、液晶ポリマー分子が動き難いために導体箔表面の微細な凹部に入ることができず、その結果、十分なアンカー効果を発揮することができず、導体箔と液晶ポリマーとの密着性が悪くなって、高温高湿下において両者間で剥離して導体箔が断線してしまうという問題点も有していた。
【0010】
また、エポキシ系接着剤の誘電率が液晶ポリマーの誘電率と大きく異なることから、積層時の加圧によって生じるわずかな厚みばらつきにより、高周波領域、特に100MHz以上の周波数領域においては伝送特性が低下してしまうという問題点を有していた(特許文献4参照)。
【0011】
このような問題点を解決するために、本願出願人は、液晶ポリマー層の上下面にポリフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層を形成して成る絶縁フィルムを、複数積層して成る配線基板を提案した(特許文献5参照)。
【0012】
なお、近年、電子機器の軽薄短小化・高性能化の流れが加速し、電子機器に使用される電子部品についてもさらなる小型化の要求が出てきており、貫通導体間の間隔が200μm以下、すなわち絶縁信頼性の観点から貫通孔の孔径が100μm以下の微細なものを形成する必要が生じてきている。このため、貫通孔を形成するレーザも赤外線の波長領域を使用する炭酸ガスレーザから、波長が150〜500nmと炭酸ガスレーザより短く、微細加工に適したUV−YAGレーザやエキシマレーザ等のレーザが用いられるようになってきている。
【0013】
しかしながら、複数の異なる材質の層から成る絶縁層をUV−YAGレーザによって窮孔した場合、材質による異なる吸収ピークの差から貫通孔の被覆層部分の孔径が絶縁コア層の孔径に較べて大きくなってしまい、例えば絶縁層に200μmの間隔で100μmの貫通孔を形成した場合、貫通孔の被覆層に形成された部分の孔径が100μmよりも大きくなり、その結果、貫通孔間の間隔が200μmよりも小さなものとなってしまい、貫通孔に金属ペースト等を充填して貫通導体を形成した場合、隣接する貫通導体間で絶縁性が低下してしまうという問題点を有していた。
【0014】
そこで、本願出願人は、絶縁コア層と被覆層に特定波長のレーザ光を吸収する光吸収剤を含有することで貫通孔の加工性を改善することを提案した(特許文献6参照)。
【0015】
しかしながら、絶縁コア層に被覆層を積層してなる絶縁層を被覆層がむき出しの状態でUV−YAGレーザにて貫通孔の加工を行うと、絶縁層の取り扱い性に難があり、また取り扱いの最中に被覆層を傷つける可能性が高く、さらに絶縁層を直接レーザにて加工するとレーザ入射側の絶縁層表面に大きなエネルギー負荷がかかってしまい、貫通孔加工形状がいびつな形となってしまうことがあった。
【0016】
そのため、レーザ加工時に表面保護のため絶縁層表裏面に接着剤層と樹脂フィルムからなる保護フィルムを貼り付けた後、レーザ加工を行うようになってきている。
【0017】
【特許文献1】
特開平8−097565号公報
【0018】
【特許文献2】
特開2000−269616号公報
【0019】
【特許文献3】
特開平8−97565号公報
【0020】
【特許文献4】
特開2000−269616号公報
【0021】
【特許文献5】
特願2001−053834
【0022】
【特許文献6】
特開2003−062942号公報
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、接着剤層と樹脂フィルムからなる保護フィルムのレーザ加工性は、絶縁フィルムと熱硬化性樹脂からなる被覆層とからなる絶縁層のレーザ加工性に比べて大幅に劣り、絶縁層の表裏に保護フィルムを貼り付けた場合、貫通孔を形成するのに時間を要してしまうという問題がある。また、UV−YAGレーザから発射されるレーザ光のエネルギーのピーク波長となる紫外線領域における吸収率が絶縁層のそれと比較して著しく低いことから、貫通孔加工時に発生した熱により保護フィルムが溶融して貫通孔の保護フィルム部形状が大きくなってしまい、例えば保護フィルム付き絶縁層に150μmの間隔で100μmの貫通孔を形成した場合、貫通孔の保護フィルムに形成された部分の孔径が100μmよりも大幅に大きくなり、孔径が150μmを超えてしまうと隣り合う貫通孔の加工時に、部分的に保護フィルムが溶融した部分を加工することとなり、所望する形状の貫通孔加工が出来ないといった問題点を有していた。
【0024】
さらに、保護フィルムが溶融した場合、貫通孔周辺に当たる絶縁層と保護フィルムの接着面に当たる被覆層表面に溶融した保護フィルムの成分が付着してしまい、保護フィルムを剥離後に積層体とした際、積層体の接着界面間に溶融した保護フィルムの成分が挟み込まれ、半田耐熱試験や温度サイクル試験といった信頼性試験において界面剥離が発生するという問題を有していた。
【0025】
本発明は、レーザ加工性に優れた保護フィルム付き絶縁層及び配線基板の製造方法に関するものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明の保護フィルム付き絶縁層は、絶縁フィルムの表裏面に熱硬化性樹脂からなる被覆層を形成した絶縁層の少なくとも一方の主面に、接着剤層と樹脂フィルムからなる保護フィルムの接着剤層側の主面を当接してなる保護フィルム付き絶縁層であって、前記接着剤層と前記樹脂フィルムのうち少なくとも一方、及び前記絶縁フィルムが波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有することを特徴とする。
【0029】
本発明の保護フィルム付き絶縁層では、絶縁フィルムを構成する被覆層の表面は保護フィルムで覆われていることから、取り扱い作業中に被覆層表面が傷付けられることなく、さらに異物付着による汚染を受けることなく取り扱うことができる。また保護フィルムの接着剤層と樹脂フィルムのうち少なくとも一方が波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有していることから、波長が150〜500nmで微細加工に適したUV−YAGレーザを用いて貫通孔を形成する際、保護フィルムの波長150〜500nmの領域におけるレーザ光の吸収率が向上し、貫通孔加工に発せられたレーザエネルギーが効果的に吸収され、分子鎖の切断が進行しやすくなり、その結果、保護フィルム付き絶縁層のレーザ加工時間を短縮することができる。
【0031】
本発明の絶縁フィルムは、波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有していることから、UV−YAGレーザのレーザを用いて貫通孔を形成する際、絶縁フィルムの波長150〜500nmの領域におけるレーザ光の吸収率が向上し、その結果、照射されたレーザエネルギーが効率よく貫通孔加工に使用されることで不要な熱発生が起こらずに、絶縁フィルムの過剰溶融が発生しないことから、微細な貫通孔の加工が可能となる。
【0032】
また、本発明の保護フィルム付き絶縁層は、被覆層が波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有していることを特徴とするものである。
【0033】
このような保護フィルム付き絶縁層では、被覆層が波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有していることから、UV−YAGレーザのレーザを用いて貫通孔を形成する際、絶縁フィルムの波長150〜500nmの領域におけるレーザ光の吸収率が向上し、その結果、照射されたレーザエネルギーが効率よく貫通孔加工に使用されることで不要な熱発生が起こらずに、被覆層構成成分である熱硬化性樹脂の材料変質が発生しないことから、微細な貫通孔の加工が可能となる。
【0034】
また、本発明の保護フィルム付き絶縁層は、絶縁フィルムが、液晶ポリマー、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂から成る群より選ばれる少なくとも1種類から成る絶縁層を有することを特徴とするものである。
【0035】
このような保護フィルム付き絶縁層では、絶縁層が液晶ポリマー、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂から成る群より選ばれる少なくとも1種類から成ることから、耐湿性・導通信頼性・寸法特性・高周波伝送特性に優れた絶縁層とすることができる。
【0036】
また、本発明の配線基板の製造方法は、以上説明した保護フィルム付き絶縁層にUV−YAGレーザを用いて貫通孔を形成する工程と、該貫通孔を形成した絶縁層から保護フィルムを剥離する工程と、保護フィルムを剥離した前記絶縁層の少なくとも一方の主面に配線導体を形成する工程と、前記貫通孔内に導体を形成し、貫通導体を形成する工程と、前記配線導体並びに前記貫通導体が形成された前記絶縁層を複数積層する工程を具備することを特徴とする。
【0037】
このような配線基板の製造方法によれば、保護フィルムが波長150nm〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有することから、加工時の熱の発生が抑えられ保護フィルムの溶融が発生せず、貫通孔周辺にあたる絶縁層と保護フィルムの接着面に当たる被覆層表面に溶融した保護フィルムの成分が付着することないことから、保護フィルムを剥離後に積層体とした際、積層体の接着界面間に溶融した保護フィルムの成分が挟み込まれることが無くなり、半田耐熱試験や温度サイクル試験といった信頼性試験において界面剥離が発生しない信頼性の高い配線基板を提供できる。
【0038】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明で用いられる保護フィルムの実施の形態の一例を示す断面図であり、図2は、本発明の保護フィルム付き絶縁層の実施の形態の一例を示す断面図である。
【0039】
また、図3は、図2の絶縁層を用いて形成した本発明の配線基板7に半導体素子等の電子素子10を搭載して成る混成集積回路の実施の形態の一例を示す断面図である。
【0040】
これらの図において絶縁フィルム1と熱硬化性樹脂から成る被覆層2とで絶縁層5が構成されている。また、8は配線導体、9は貫通導体、10は半導体素子等の電子部品で、主に絶縁層5と配線導体8と貫通導体9とで本発明の配線基板7が構成されている。なお、図3では配線基板7は、絶縁層5を4層積層して成るものを示している。
【0041】
絶縁層5は、絶縁フィルム1と、その上下面に被着形成された熱硬化性樹脂から成る被覆層2とから構成されており、これを用いて配線基板7を構成した場合、配線基板7に搭載される電子部品10の支持体としての機能を有するものである。
【0042】
本発明の保護フィルム付き絶縁層5においては、接着剤層3と樹脂フィルム4からなる保護フィルム6の接着剤層3と樹脂フィルム4のうち少なくとも一方に、波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有している。
【0043】
本発明の保護フィルム付き絶縁層の保護フィルム6では、保護フィルム6を構成する接着剤層3と樹脂フィルム4のうち少なくとも一方に、波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有していることから、波長が150〜500nmで微細加工に適したUV−YAGレーザのレーザを用いて貫通孔を形成する際、保護フィルム6の波長150〜500nmの領域におけるレーザ光の吸収率が向上し、その結果、保護フィルム付き絶縁層5のレーザ加工時間を短縮することができる。
【0044】
なお、このような光吸収剤は接着剤層3と樹脂フィルム4の両方が含有していることがさらに望ましい。
【0045】
この光吸収剤は、波長150〜500nmの領域の光を吸収するものであればどのような材料であってもよいが、レーザのエネルギーを効率よく吸収して保護フィルム6を分解するという観点からは、波長150〜500nmの領域で光学的に不活性であるとともに、この波長領域に吸収極大が存在するものが好ましい。
【0046】
なお、光学的に不活性とは、光の照射によって化学構造が実質的に変化しないことをいう。
【0047】
このような光吸収剤としてはベンゾフェノン系化合物やベンゾトリアゾール系化合物・シアノアクリレート系化合物等の有機化合物あるいは酸化チタン粉末などの無機化合物が好ましく用いられる。
【0048】
なお、光吸収剤の含有量は、保護フィルム6を構成する接着剤層3と樹脂フィルム4に対し、0.1重量%未満であると保護フィルム層6のレーザ加工性を改善することが困難となる傾向があり、10重量%を超えると保護フィルム層6を構成する樹脂フィルム4の機械的特性が低下してフィルムが裂けやすくなり、また接着剤層3ではその接着力が大幅に減少する傾向にある。したがって、光吸収剤の含有量は、保護フィルム6を構成する接着剤層3と樹脂フィルム4に対して、0.1〜10重量%とすることが好ましく、好適には0.5〜5重量%とすることが好ましい。また、含有量が上記範囲内であれば2種以上の光吸収剤を組み合わせて用いることもできる。
【0049】
また、絶縁フィルム1と被覆層2にも光吸収剤が含まれていることが、さらに望ましいことはいうまでもない。
【0050】
また、絶縁フィルム1は、液晶ポリマー、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂から成る群より選ばれる少なくとも1種類から成り、層としての物性を損なわない範囲内で、熱安定性を改善するための酸化防止剤や、難燃性を付加するためのハロゲン系もしくはリン酸系の難燃性剤、アンチモン系化合物やホウ酸亜鉛・メタホウ酸バリウム・酸化ジルコニウム等の難燃助剤、潤滑性を改善するための高級脂肪酸や高級脂肪酸エステル・高級脂肪酸金属塩・フルオロカーボン系界面活性剤等の滑剤、熱膨張係数を調整するため、および/または機械的強度を向上するための酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化チタン・酸化バリウム・酸化ストロンチウム・酸化ジルコニウム・酸化カルシウム・ゼオライト・窒化珪素・窒化アルミニウム・炭化珪素・チタン酸カリウム・チタン酸バリウム・チタン酸ストロンチウム・チタン酸カルシウム・ホウ酸アルミニウム・スズ酸バリウム・ジルコン酸バリウム・ジルコン酸ストロンチウム等の充填材を含有してもよい。
【0051】
なお、上記の充填材等の粒子形状は、略球状・針状・フレーク状等があり、充填性の観点からは略球状が好ましい。また、粒子径は、通常0.1〜15μm程度であり、絶縁フィルム1の厚みよりも小さい。
【0052】
さらに、絶縁フィルム1は、熱硬化性樹脂から成る被覆層2との密着性を高めるために、その表面をバフ研磨やブラスト研磨・ブラシ研磨・プラズマ処理・コロナ処理・紫外線処理・薬品処理等の方法を用いて中心線表面粗さRaが0.05〜5μmの値となるように粗化しておくことが好ましい。中心線表面粗さRaは、半田リフローの際に絶縁フィルム1と被覆層2との剥離を防止するという観点からは0.05μm以上であることが好ましく、表面に被覆層2を形成する際に空気のかみ込みを防止するという観点からは5μm以下であることが好ましい。したがって、絶縁フィルム1は、その表面を中心線表面粗さRaが0.05〜5μmの粗面とすることが好ましい。
【0053】
次に、絶縁フィルム1の表面に形成される被覆層2は、配線導体8を被着形成する際の接着剤の機能を有するとともに、絶縁フィルム1を用いて配線基板7を構成する際に、絶縁フィルム1同士を積層する際の接着剤の役目を果たす。
【0054】
被覆層2には、絶縁フィルムとの接着性が良好で、かつ配線基板用の絶縁樹脂として要求される絶縁信頼性、機械的信頼性、電気特性を満たすものであればどのようなものでも良いが、ポリフェニレンエーテル樹脂の誘導体、エポキシ樹脂や熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂・フェノール樹脂・メラミン樹脂・アルキド樹脂・ウレタン樹脂・イミド樹脂等の熱硬化性樹脂やこれらの混合体が好ましく用いられる。
【0055】
さらに、被覆層2は、弾性率を調整するためのゴム成分や熱安定性を改善するための酸化防止剤、耐光性を改善するための紫外線吸収剤等の光安定剤、難燃性を改善するためのハロゲン系もしくはリン酸系の難燃性剤、アンチモン系化合物やホウ酸亜鉛・メタホウ酸バリウム・酸化ジルコニウム等の難燃助剤、潤滑性を改善するための高級脂肪酸や高級脂肪酸エステルや高級脂肪酸金属塩・フルオロカーボン系界面活性剤等の滑剤、熱膨張係数を調整したり、機械的強度を向上するための酸化アルミニウムや酸化珪素・酸化チタン・酸化バリウム・酸化ストロンチウム・酸化ジルコニウム・酸化カルシウム・ゼオライト・窒化珪素・窒化アルミニウム・炭化珪素・チタン酸カリウム・チタン酸バリウム・チタン酸ストロンチウム・チタン酸カルシウム・ホウ酸アルミニウム・スズ酸バリウム・ジルコン酸バリウム・ジルコン酸ストロンチウム等の充填材、あるいは、充填材との親和性を高めこれらの接合性向上と機械的強度を高めるためのシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤等のカップリング剤を含有してもよい。
【0056】
特に絶縁層5を積層しプレスする際に、被覆層2の流動性を抑制し、貫通導体9の位置ずれや被覆層2の厚みばらつきを防止するという観点からは、被覆層2は充填材として10体積%以上の無機絶縁粉末を含有することが好ましい。また、絶縁フィルム1との接着界面および配線導体8との接着界面での半田リフロー時の剥離を防止するという観点からは、充填材の含有量を70体積%以下とすることが好ましい。したがって、被覆層2に、10〜70体積%の充填材を含有させておくことが好ましい。なお、上記の充填材等の形状は、略球状・針状・フレーク状等があり、充填性の観点からは、略球状が好ましい。また、粒子径は、0.1〜15μm程度であり、被覆層2の厚みよりも小さい。
【0057】
このような絶縁層5は、例えば粒径が0.1〜15μm程度の酸化珪素等の無機絶縁粉末に、熱硬化性樹脂と溶剤・可塑剤・分散剤等を添加して得たペーストを絶縁フィルム1の上下表面に従来周知のドクターブレード法等のシート成型法を採用して被覆層2を形成した後、あるいは上記のペースト中に絶縁フィルム1を浸漬し垂直に引き上げることによって絶縁フィルム1の表面に被覆層2を形成した後、これを60〜100℃の温度で5分〜3時間加熱・乾燥することにより製作される。
【0058】
なお、絶縁層5の厚みは絶縁信頼性を確保するという観点からは10〜200μmであることが好ましく、また、高耐熱性・低吸湿性・高寸法安定性を確保するという観点からは、絶縁フィルム1の厚みを絶縁層5の厚みの40〜90%の範囲としておくことが好ましい。
【0059】
次に、本発明の配線基板7は、上下面の少なくとも一方の面に金属箔から成る配線導体8が配設された絶縁層5を複数積層して成るとともに、この絶縁層5を挟んで上下に位置する配線導体8間を絶縁層5に形成された貫通導体9を介して電気的に接続することにより形成されている。
【0060】
本発明によれば、配線基板7を上述の絶縁層5を用いて形成したことから、耐湿性・導通信頼性・高周波伝送特性に優れた配線基板7とすることができる。
【0061】
絶縁層5に形成された配線導体8は、その厚みが2〜30μm程度で銅・金等の良導電性の金属箔から成り、配線基板7に搭載される電子部品10を外部電気回路(図示せず)に電気的に接続する機能を有する。
【0062】
このような配線導体8は、絶縁層5を複数積層する際、配線導体8の周囲にボイドが発生するのを防止するという観点から、被覆層2に少なくとも配線導体8の表面と被覆層2の表面とが平坦となるように埋設されていることが好ましい。また、配線導体8を被覆層2に埋設する際に、被覆層2の乾燥状態での気孔率を3〜40体積%としておくと、配線導体8周囲の被覆層2の樹脂盛り上がりを生じさせず平坦化することができるとともに配線導体8と被覆層2の間に挟まれる空気の排出を容易にして気泡の巻き込みを防止することができる。なお、乾燥状態での気孔率が40体積%を超えると、複数積層した絶縁層5を加圧・加熱硬化した後に被覆層2内に気孔が残存し、この気孔が空気中の水分を吸着して絶縁性が低下してしまうおそれがあるので、被覆層2の乾燥状態での気孔率を3〜40体積%の範囲としておくことが好ましい。
【0063】
このような被覆層2の乾燥状態での気孔率は、被覆層2を絶縁フィルム1の表面上に塗布し乾燥する際に、乾燥温度や昇温速度等の乾燥条件を適宜調整することにより所望の値とすることができる。
【0064】
このような配線導体8は、公知のフォトレジストを用いたサブトラクティブ法によりパターン形成した、例えば銅から成る金属箔を転写法等により被着形成することにより形成される。まず、支持体と成るフィルム上に銅から成る金属箔を、接着剤を介して接着した金属箔転写用フィルムを用意し、次に、フィルム上の金属箔を公知のフォトレジストを用いたサブトラクティブ法を使用してパターン状にエッチングする。この時、パターンの表面側の側面は、フィルム側の側面に較べてエッチング液に接する時間が長いためにエッチングされやすく、パターンの幅方向の断面形状を台形状とすることができる。なお、台形の形状は、エッチング液の濃度やエッチング時間を調整することにより短い底辺と側辺とのなす角度を95〜150°の台形状とすることができる。そして、この金属箔転写用フィルムを絶縁フィルム3と成る前駆体シートに積層し、温度が100〜200℃で圧力が0.5〜10MPaの条件で10分〜1時間ホットプレスした後、支持体と成るフィルムを剥離除去して金属箔を絶縁層5の表面に転写させることにより、台形状の上底側が被覆層2に埋設された配線導体8を形成することができる。
【0065】
なお、配線導体8の長さの短い底辺と対向する絶縁フィルム1間の被覆層2の厚みは、金属箔転写時のホットプレスの圧力を調整することにより所望の範囲とすることができる。また、配線導体8は被覆層2との密着性を高めるためにその表面にバフ研磨・ブラスト研磨・ブラシ研磨・薬品処理等の処理で表面を粗化しておくことが好ましい。
【0066】
また、絶縁層5には、直径が20〜150μm程度の貫通導体9が形成されている。貫通導体9は、絶縁層5を挟んで上下に位置する配線導体8を電気的に接続する機能を有し、絶縁層5にレーザにより穿設加工を施すことにより貫通孔を形成した後、この貫通孔に銅・銀・金・半田等から成る導電性ペーストを従来周知のスクリーン印刷法により埋め込むことにより形成される。
【0067】
このような配線基板7は、上述したような方法で製作した絶縁層5と成る前駆体シートの所望の位置に貫通導体9を形成した後、パターン形成した例えば銅の金属箔を、温度が100〜200℃で圧力が0.5〜10MPaの条件で10分〜1時間ホットプレスして転写し、これらを積層して最終的に温度が150〜300℃で圧力が0.5〜10MPaの条件で30分〜24時間ホットプレスして完全硬化させることにより製作される。
【0068】
かくして、本発明の保護フィルム付き絶縁層によれば、保護フィルム6の接着剤層3と樹脂フィルム4のうち少なくとも一方が波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有していることから、波長が150〜500nmで微細加工に適したUV−YAGレーザを用いて貫通孔を形成する際、保護フィルム6の波長150〜500nmの領域におけるレーザ光の吸収率が向上しその結果、保護フィルム6付き絶縁層5のレーザ加工時間を短縮することができる。また本発明の保護フィルム付き絶縁層は、絶縁層5を構成する絶縁フィルム1と熱硬化性樹脂からなる被覆層2ともに波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有することが望ましく、波長が150〜500nmのUV−YAGレーザのレーザに対する加工性がほぼ等しくなり、またその表裏面に貼り付ける保護フィルム6も同様に波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有していることから、保護フィルム付き絶縁層に孔径が100μm程度で隣接する貫通孔同士の間隔が150μm程度の貫通孔を形成したとしても、保護フィルム6と絶縁層5とのレーザ加工性がほぼ等しくなることで熱の発生が抑えられ、保護フィルム6の溶融が発生しないことから、その結果貫通孔の孔径が100μmよりも大幅に大きくなることが無くなり、問題なく150μm間隔での貫通孔加工が可能となる。さらに保護フィルム6の溶融が抑えられることから、貫通孔周辺にあたる絶縁層5と保護フィルム6の接着面に当たる被覆層表面に溶融した保護フィルム6の成分が付着することなく、保護フィルム6を剥離後に絶縁層5を積層体とした際、積層体の接着界面間に溶融した保護フィルム6の成分が挟み込まれることが無いことから、半田耐熱試験や温度サイクル試験といった信頼性試験において界面剥離が発生してしまうことはない配線基板7とすることができる。
【0069】
なお、本発明の配線基板7は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、上述の実施例では4層の絶縁層5を積層することによって配線基板7を製作したが、2層や3層、あるいは5層以上の絶縁フィルム3を積層して配線基板6を製作してもよい。また、本発明の配線基板7の上下表面に、1層や2層、あるいは3層以上の有機樹脂を主成分とする絶縁層から成るビルドアップ層やソルダーレジスト層を形成してもよい。
【0070】
【実施例】
次に本発明の保護フィルムつき絶縁層および配線基板を、以下に記載する試料を製作して評価した。
【0071】
まず、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂に平均粒径が0.6μmの球状溶融シリカをその含有量が40体積%、および光吸収剤として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールをその含有量が0.1重量%となるように加え、これに溶剤としてトルエン、さらに有機樹脂の硬化を促進させるための触媒を添加し、1時間混合してワニスを調整した。
【0072】
次に、光吸収剤として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールをその含有量が1重量%となるように均一に分散した厚みが35μmの液晶ポリマー層の表面をプラズマ処理して、この液晶ポリマー層の上面に上記ワニスをドクターブレード法により塗布し、厚さ約20μmの乾燥状態の熱硬化性ポリフェニレンエーテル被覆層2を成形した。そして、この液晶ポリマー層1の下面にも同様にポリフェニレンエーテル被覆層2を成形し、絶縁層5を製作した。
【0073】
さらに、この絶縁層5の表裏面に、光吸収剤として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールをその含有量が1重量%となるように均一に分散したアクリル変性エポキシ樹脂系接着剤を塗布した、厚みが12μmで光吸収剤として2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールが含有量1重量%となるように均一に分散したPETフィルムを、フィルムラミネータを用いて均一に貼り付け、保護フィルム付き絶縁層を作製した。
【0074】
さらに、この保護フィルム付き絶縁層に、波長が355nmのUV−YAGレーザにより孔径50μmの貫通孔を形成し、保護フィルム6を剥離した後、この貫通孔に銅粉末と有機バインダを含有する導体ペーストをスクリーン印刷により埋め込むことにより貫通導体を形成した。
【0075】
次に、回路上に形成した厚さ12μmの銅箔が付いた転写用支持フィルムと、貫通導体が形成された絶縁層5とを位置合わせして真空積層機により3MPaの圧力で30秒加圧した後、転写用支持フィルムを剥離して配線導体8を絶縁層5に埋設した。最後に、この配線導体8が形成された絶縁層5を4枚重ね合わせ、3MPaの圧力下で200℃の温度で5時間加熱処理して完全硬化させて実施例1の配線基板7を得た。
【0076】
また上記製造方法において、樹脂フィルム4と接着剤層3、及び絶縁フィルム1に光吸収剤を含有させた保護フィルム付き絶縁層を使用したものを実施例2、樹脂フィルム4と接着剤層3及び被覆層2に光吸収剤を含有させた保護フィルム付き絶縁層を使用したものを実施例3、樹脂フィルム4と絶縁フィルム1及び被覆層2に光吸収剤を含有させた保護フィルム付き絶縁層を使用したものを実施例4、接着剤層3と絶縁フィルム1及び被覆層2に光吸収剤を含有させた保護フィルム付き絶縁層を使用したものを実施例5、樹脂フィルム4と接着剤層3に光吸収剤を含有させた保護フィルム付き絶縁層を使用したものを実施例6、着剤層3に光吸収剤を含有させた保護フィルム付き絶縁層を使用したものを実施例7、樹脂フィルム4に光吸収剤を含有させた保護フィルム付き絶縁層を使用したものを実施例8とした。
【0077】
(比較例)
比較例用として、保護フィルム付き絶縁層の構成において樹脂フィルム4と絶縁層5に光吸収剤を含有しないものを比較例1、絶縁フィルム1と被覆層2に光吸収剤を含有させたものを比較例2とし、それ以外は実施例と同様に製作した。
【0078】
レーザ加工性の評価は、絶縁フィルムを一定条件においてレーザ加工した後に、レーザ入射側被覆層と液晶ポリマー層およびレーザ出射側被覆層の貫通孔の孔径を測定した。
【0079】
また、層間接着性の評価は、260℃の半田ディッピング試験後に断面観察を行い、デラミネーションが発生していないかの確認を行った。
【0080】
表1にレーザ加工性の評価結果を、表2に絶縁性の評価結果を示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
表1からは、比較例1の保護フィルム付き絶縁層においては、保護フィルム及び絶縁層に光吸収剤が含まれていないことから、レーザ入射側保護フィルムの保護フィルム部分の貫通孔の孔径が液晶ポリマー層に比べて2倍も大きくなり、保護フィルムの溶融によって被覆層部分も孔径が大きくなっていることがわかる。また絶縁層には光吸収剤を含むが保護フィルムに光吸収剤を含まない場合は保護フィルム部分の貫通孔の孔径が比較例1と同様に大きくなっている。実施例1〜8では、貫通孔の孔径は所望のものとなっているが、実施例1のように保護フィルムおよび絶縁層全ての材料に光吸収剤を含むものはアスペクト比の小さい理想的な貫通孔の形状となることがわかった。また実施例4、8のように保護フィルム層中の接着剤層に光吸収剤を含まないものでは、接着剤層の熱溶融の影響により被覆層部分の孔径がやや大きくなることがわかった。
【0084】
また表2からは、比較例1の保護フィルム付き絶縁層においては、保護フィルム及び絶縁層に光吸収剤が含まれていないことから、絶縁層との光吸収性が大きく異なるためにUV−YAGレーザによる貫通孔形成時する際に保護フィルムの溶融が発生し、保護フィルムの溶融した成分が被覆層表面に多く付着することから、250μmピッチにおいても層間デラミネーションが発生してしまい、接着性に劣ることがわかった。また比較例2のように保護フィルムに光吸収剤を含まないため、比較例1と同様に被覆層表面に保護フィルム溶融による付着が発生し、250μmピッチにおいても層間デラミネーションが発生してしまうことがわかった。
【0085】
実施例1のように保護フィルムおよび絶縁層全ての材料に光吸収剤を含むものは保護フィルムと絶縁層の光吸収性の差が小さくなり、保護フィルムの溶融が起こらなくなるため、被覆層表面への保護フィルム溶融物の付着が発生せず、150μmピッチの半田ディップ試験においても層間のデラミネーションが発生することがないことがわかった。また実施例6のように保護フィルムのみに光吸収剤を含有した場合では、保護フィルムの溶融が発生しにくくなり200μmのピッチまで層間剥離は発生していないが、保護フィルムと絶縁層との光吸収性が異なるために若干の保護フィルム溶融による付着があり、150μmピッチでは層間デラミネーションが発生してしまう。
【0086】
【発明の効果】
本発明の保護フィルム付き絶縁層によれば、保護フィルムの接着剤層と樹脂フィルムのうち少なくとも一方が、波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有していることから、波長が150〜500nmで微細加工に適したUV−YAGレーザのレーザを用いて貫通孔を形成する際保護フィルムの波長150〜500nmの領域におけるレーザ光の吸収率が向上し、その結果、絶縁フィルムのレーザ加工時間を短縮することができる。また本発明の保護フィルム付き絶縁層によれば絶縁層を構成する絶縁フィルムと熱硬化性樹脂からなる被覆層ともに波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有していることから、波長が150〜500nmのUV−YAGレーザのレーザに対する加工性がほぼ等しくなり、またその表裏面に貼り付ける保護フィルムも同様に波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有していることから、保護フィルムつき絶縁層に孔径が100μm程度で隣接する貫通孔同士の間隔が150μm程度の貫通孔を形成したとしても、保護フィルムと絶縁層とのレーザ加工性がほぼ等しくなることで熱の発生が抑えられ、保護フィルムの溶融が発生しないことから、その結果貫通孔の孔径が100μmよりも大幅に大きくなることが無くなり、問題なく150μm間隔での貫通孔加工が可能となる。さらに保護フィルムの溶融が抑えられることから、貫通孔周辺にあたる絶縁層と保護フィルムの接着面に当たる被覆層表面に溶融した保護フィルムの成分が付着することなく、保護フィルムを剥離後に積層体とした際、積層体の接着界面間に溶融した保護フィルムの成分が挟み込まれることが無いことから、半田耐熱試験や温度サイクル試験といった信頼性試験において界面剥離が発生してしまうことはない。
【0087】
また、本発明の配線基板によれば、配線基板を上記の保護フィルム付き絶縁層の状態でレーザ加工した絶縁層を用いて形成したことから、耐湿性・導通信頼性・高周波伝送特性に優れた配線基板とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いられる保護フィルムの実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】 本発明の保護フィルム付き絶縁層の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図3】 本発明の配線基板に電子部品を搭載して成る混成集積回路の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・絶縁フィルム
2・・・被覆層
3・・・接着剤層
4・・・樹脂フィルム
5・・・絶縁層
6・・・保護フィルム
7・・・配線基板
8・・・配線導体
9・・・貫通導体
10・・電気素子
Claims (4)
- 絶縁フィルムの表裏面に熱硬化性樹脂からなる被覆層を形成した絶縁層の少なくとも一方の主面に、接着剤層と樹脂フィルムからなる保護フィルムの接着剤層側の主面を当接してなる保護フィルム付き絶縁層であって、前記接着剤層と前記樹脂フィルムのうち少なくとも一方、及び前記絶縁フィルムが波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有することを特徴とする保護フィルム付き絶縁層。
- 前記被覆層が、波長150〜500nmの光を吸収する光吸収剤を含有していることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム付き絶縁層。
- 前記絶縁フィルムが液晶ポリマー、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂から成る群より選ばれる少なくとも1種類から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護フィルム付き絶縁層。
- 請求項1乃至3のうちいずれかに記載の保護フィルム付き絶縁層にUV−YAGレーザを用いて貫通孔を形成する工程と、該貫通孔を形成した絶縁層から保護フィルムを剥離する工程と、前記保護フィルムを剥離した前記絶縁層の少なくとも一方の主面に配線導体を形成する工程と、前記貫通孔内に導体を形成し、貫通導体を形成する工程と、前記配線導体並びに前記貫通導体が形成された前記絶縁層を複数積層する工程を具備することを特徴とする配線基板の製造方法。
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