JP3872360B2 - 多層配線基板 - Google Patents
多層配線基板 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3872360B2 JP3872360B2 JP2002048835A JP2002048835A JP3872360B2 JP 3872360 B2 JP3872360 B2 JP 3872360B2 JP 2002048835 A JP2002048835 A JP 2002048835A JP 2002048835 A JP2002048835 A JP 2002048835A JP 3872360 B2 JP3872360 B2 JP 3872360B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wiring board
- multilayer wiring
- conductor
- liquid crystal
- crystal polymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01L—SEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
- H01L2224/00—Indexing scheme for arrangements for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies and methods related thereto as covered by H01L24/00
- H01L2224/01—Means for bonding being attached to, or being formed on, the surface to be connected, e.g. chip-to-package, die-attach, "first-level" interconnects; Manufacturing methods related thereto
- H01L2224/10—Bump connectors; Manufacturing methods related thereto
- H01L2224/15—Structure, shape, material or disposition of the bump connectors after the connecting process
- H01L2224/16—Structure, shape, material or disposition of the bump connectors after the connecting process of an individual bump connector
- H01L2224/161—Disposition
- H01L2224/16151—Disposition the bump connector connecting between a semiconductor or solid-state body and an item not being a semiconductor or solid-state body, e.g. chip-to-substrate, chip-to-passive
- H01L2224/16221—Disposition the bump connector connecting between a semiconductor or solid-state body and an item not being a semiconductor or solid-state body, e.g. chip-to-substrate, chip-to-passive the body and the item being stacked
- H01L2224/16225—Disposition the bump connector connecting between a semiconductor or solid-state body and an item not being a semiconductor or solid-state body, e.g. chip-to-substrate, chip-to-passive the body and the item being stacked the item being non-metallic, e.g. insulating substrate with or without metallisation
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01L—SEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
- H01L2224/00—Indexing scheme for arrangements for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies and methods related thereto as covered by H01L24/00
- H01L2224/01—Means for bonding being attached to, or being formed on, the surface to be connected, e.g. chip-to-package, die-attach, "first-level" interconnects; Manufacturing methods related thereto
- H01L2224/26—Layer connectors, e.g. plate connectors, solder or adhesive layers; Manufacturing methods related thereto
- H01L2224/31—Structure, shape, material or disposition of the layer connectors after the connecting process
- H01L2224/32—Structure, shape, material or disposition of the layer connectors after the connecting process of an individual layer connector
- H01L2224/321—Disposition
- H01L2224/32151—Disposition the layer connector connecting between a semiconductor or solid-state body and an item not being a semiconductor or solid-state body, e.g. chip-to-substrate, chip-to-passive
- H01L2224/32221—Disposition the layer connector connecting between a semiconductor or solid-state body and an item not being a semiconductor or solid-state body, e.g. chip-to-substrate, chip-to-passive the body and the item being stacked
- H01L2224/32225—Disposition the layer connector connecting between a semiconductor or solid-state body and an item not being a semiconductor or solid-state body, e.g. chip-to-substrate, chip-to-passive the body and the item being stacked the item being non-metallic, e.g. insulating substrate with or without metallisation
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01L—SEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
- H01L2224/00—Indexing scheme for arrangements for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies and methods related thereto as covered by H01L24/00
- H01L2224/73—Means for bonding being of different types provided for in two or more of groups H01L2224/10, H01L2224/18, H01L2224/26, H01L2224/34, H01L2224/42, H01L2224/50, H01L2224/63, H01L2224/71
- H01L2224/732—Location after the connecting process
- H01L2224/73201—Location after the connecting process on the same surface
- H01L2224/73203—Bump and layer connectors
- H01L2224/73204—Bump and layer connectors the bump connector being embedded into the layer connector
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01L—SEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
- H01L2924/00—Indexing scheme for arrangements or methods for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies as covered by H01L24/00
- H01L2924/15—Details of package parts other than the semiconductor or other solid state devices to be connected
- H01L2924/151—Die mounting substrate
- H01L2924/1515—Shape
- H01L2924/15153—Shape the die mounting substrate comprising a recess for hosting the device
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01L—SEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
- H01L2924/00—Indexing scheme for arrangements or methods for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies as covered by H01L24/00
- H01L2924/15—Details of package parts other than the semiconductor or other solid state devices to be connected
- H01L2924/151—Die mounting substrate
- H01L2924/153—Connection portion
- H01L2924/1531—Connection portion the connection portion being formed only on the surface of the substrate opposite to the die mounting surface
- H01L2924/15311—Connection portion the connection portion being formed only on the surface of the substrate opposite to the die mounting surface being a ball array, e.g. BGA
Landscapes
- Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種AV機器や家電機器・通信機器・コンピュータやその周辺機器等の電子機器に使用される多層配線基板に関し、特に液晶ポリマーを一部に用いた半導体素子等の電子部品搭載用の多層配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子等の能動部品や容量素子・抵抗素子等の受動部品を多数搭載して所定の電子回路を構成した混成集積回路を形成するための多層配線基板は、通常、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて成る絶縁層にドリルによって貫通孔を形成し、この貫通孔内部および絶縁層表面に複数の配線導体を形成して成る配線基板を、多数積層することによって形成されている。
【0003】
一般に、現在の電子機器は、移動体通信機器に代表されるように小型・薄型・軽量・高性能・高機能・高品質・高信頼性が要求されており、このような電子機器に搭載される混成集積回路等の電子部品も小型・高密度化が要求されるようになってきている。そして、このような高密度化の要求に応えるために、電子部品を構成する多層配線基板も、配線導体の微細化や絶縁層の薄層化・貫通孔の微細化が必要となってきている。このため、近年、貫通孔を微細化するために、ドリル加工より微細加工が可能なレーザ加工が用いられるようになってきた。
【0004】
しかしながら、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて成る絶縁層は、ガラスクロスをレーザにより穿設加工することが困難なために貫通孔の微細化には限界があり、また、ガラスクロスの厚みが不均一のために均一な孔径の貫通孔を形成することが困難であるという問題点を有していた。
【0005】
このような問題点を解決するために、アラミド樹脂繊維で製作した不織布にエポキシ樹脂を含浸させて成る絶縁基材や、ポリイミドフィルムにエポキシ系接着剤を塗布して成る絶縁基材を絶縁層に用いた多層配線基板が提案されている。
【0006】
しかしながら、アラミド不織布やポリイミドフィルムを用いた絶縁層は吸湿性が高く、吸湿した状態で半田リフローを行うと半田リフローの熱により吸湿した水分が気化してガスが発生し、絶縁層間で剥離してしまう等の問題点を有していた。
【0007】
このような問題点を解決するために、多層配線基板の絶縁層の材料として液晶ポリマーを用いることが検討されている。液晶ポリマーから成る層は、剛直な分子で構成されているとともに分子同士がある程度規則的に並んだ構成をしており分子間力が強いことから、高耐熱性・高弾性率・高寸法安定性・低吸湿性を示し、ガラスクロスのような強化材を用いる必要がなく、また、微細加工性にも優れるという特徴を有している。さらに、高周波領域においても、低誘電率・低誘電正接であり高周波特性に優れるという特徴を有している。
【0008】
このような液晶ポリマーの特徴を活かし、特願2001-325469には、液晶ポリマー層の上下に、ポリフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層を積層して成る絶縁フィルムを使用した多層配線基板が提案されている。この多層配線基板は、多層配線基板を構成する絶縁フィルムを、液晶ポリマー層の上下面に、それぞれポリフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層を積層したものとすることから、高耐熱性・高弾性率・高寸法安定性・低吸湿性・高周波伝送特性に優れたものとすることができ、また、多層配線基板の表面に位置する絶縁フィルムのうち少なくとも片方においては、多層配線基板の面積の3%以上70%未満の面積で液晶ポリマー層を露出するとともに、この露出部に、貫通導体と電気的に接続された多層配線基板に搭載される電子部品の電極が接続される接続導体を配設したことから、熱膨張係数が近似する電子部品と液晶ポリマー層とを、熱膨張係数がこれらと異なる被覆層を介さず接続することとなり、その結果、リフローや温度サイクル試験等の温度変化が生じた場合に、電子部品と液晶ポリマー層との間に熱膨張の相違による大きな応力が発生することがなく、絶縁フィルムにクラックが生じたり配線導体が断線して接続不良を生じてしまうということのない接続信頼性に優れたものとすることができるというものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような特願2001-325469に提案された多層配線基板に半導体素子等の電子部品をフリップチップ実装する場合、露出部に配設された接続導体上に、印刷法等により半田ペーストを印刷して半田バンプから成る突出部を形成し、この上に電子部品を載置後、熱風等の熱源により半田を加熱溶融して半田付けするといった従来周知のリフローソルダリング技術が用いられる。
【0010】
しかしながら、配線基板の小型化が年々すすむとともに配線導体や貫通導体の微細化が進み、接続端子のピッチも200μm以下のものが要求されるようになり、従来の半田ペースト印刷によるバンプ形成では、印刷時にペーストが滲んで接続端子のピッチ間隔が狭くなったり、半田リフロー後に接続端子間の半田がブリッジしてしまう等、半田バンプを良好に形成することが困難となり、その結果、絶縁信頼性が低下してしまうという問題点を有していた。
【0011】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、半田ペーストの印刷等による半田バンプ形成を行わなくとも、200μm以下のピッチの突出した接続端子を有し、絶縁信頼性に優れた微細な多層配線基板を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の多層配線基板は、液晶ポリマー層の上下面に、ポリフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層を積層して成る複数の絶縁フィルムを、間に金属箔から成る配線導体を挟んで積層するとともに、絶縁フィルムを挟んで上下に位置する配線導体間を絶縁フィルムに形成された貫通導体を介して電気的に接続して成る多層配線基板であって、この多層配線基板の上下の表面に位置する絶縁フィルムのうち少なくとも片方において、多層配線基板の面積の3%以上70%未満の面積で被覆層が除去されて液晶ポリマー層が露出しているとともに、この露出した液晶ポリマー層が凹部となっており、この凹部の底面に、貫通導体を凹部の深さと略同じ高さで突出させて成る、搭載される電子部品の電極が接続される接続導体が配設されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の多層配線基板は、上記構成において、ポリフェニレンエーテル系有機物が熱硬化性に変成したポリフェニレンエーテルであることを特徴とするものである。
【0014】
さらに、本発明の多層配線基板は、上記構成において、接続導体が凹部の底面から露出した表面に金属めっき層が被着されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の多層配線基板は、上記構成において、配線導体の幅方向の断面形状は、絶縁フィルム側の底辺の長さが対向する底辺の長さよりも短い台形状であり、かつ、絶縁フィルム側の底辺と側辺とのなす角度が95〜150°であることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の多層配線基板によれば、多層配線基板の上下の表面に位置する絶縁フィルムのうち少なくとも片方において、多層配線基板の面積の3%以上70%未満の面積で被覆層を除去して液晶ポリマー層を露出するとともに、この露出した液晶ポリマー層を凹部と成し、この凹部の底面に、貫通導体を凹部の深さと略同じ高さで突出させて成る、搭載される電子部品の電極が接続される接続導体を配設させたので、突出した接続導体に電子部品の電極を直接接続することが可能となり、その結果、印刷法等による半田バンプ形成の形成が不要となり、印刷時にペーストが滲んで接続端子のピッチ間隔が狭くなったり、半田リフロー後に接続端子間の半田がブリッジしてしまうことはなく、絶縁信頼性に優れた多層配線基板とすることができる。また、熱膨張係数が近似する電子部品と液晶ポリマー層とを、熱膨張係数がこれらと異なる被覆層を介さず接続することとなり、その結果、リフローや温度サイクル試験等の温度変化が生じた場合に、電子部品と液晶ポリマー層との間に熱膨張の相違による大きな応力が発生することはなく、絶縁フィルムにクラックが生じたり配線導体が断線して接続不良を生じてしまうということもない。
【0017】
また、本発明の多層配線基板によれば、上記構成において、ポリフェニレンエーテル系有機物を熱硬化性に変成したポリフェニレンエーテルとしたので、熱硬化性に変成したポリフェニレンエーテルは、耐熱性が高く、吸水性が低いという性質を有することにより、温度サイクル信頼性に優れる多層配線基板とすることができるとともに、硬化後のポリフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層の溶融変形が小さいものとなり、絶縁フィルムを順次積層して多層配線基板を形成する際の加熱・加圧による貫通導体と配線導体との位置ずれが生じにくい位置精度の良好な多層配線基板とすることができる。
【0018】
さらに、本発明の多層配線基板によれば、上記構成において、接続導体を凹部の底面から露出した表面に金属めっき層を被着して成るものとしたので、金属めっき層はその厚みばらつきが小さく接続導体の高さを略同じ高さに揃えることができ、その結果、多層配線基板に搭載される電子部品の電極と接続導体との接続信頼性にすぐれた多層配線基板とすることができる。
【0019】
また、本発明の多層配線基板によれば、上記構成において、絶縁フィルムに配設された配線導体の幅方向の断面形状を、絶縁フィルム側の底辺の長さが対向する底辺の長さよりも短い台形状とし、かつ絶縁フィルム側の底辺と側辺とのなす角度を95〜150°としたので、配線導体を被覆層に埋設する際に、配線導体を被覆層に容易に埋設することができるとともに配線導体を埋設した後の被覆層表面をほぼ平坦にすることができ、絶縁フィルムを積層する際に空気をかみ込んで絶縁性を低下させることのない多層配線基板とすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に本発明の多層配線基板を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の多層配線基板に、半導体素子等の電子部品を搭載して成る混成集積回路の実施の形態の一例を示す断面図であり、図2は、図1に示す多層配線基板の要部拡大断面図である。なお、図2は、配線導体の幅方向の断面図である。
【0022】
これらの図において、1は絶縁フィルム、2は配線導体、3は貫通導体であり、主にこれらで本発明の多層配線基板4が構成されている。なお、本例では絶縁フィルム1を4層積層して成る多層配線基板4を示している。
【0023】
絶縁フィルム1は、液晶ポリマー層6と、その上下面に被着形成されたポリフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層7とから構成されており、配線導体2や多層配線基板4に搭載される電子部品8の支持体としての機能を有する。
【0024】
なお、ここで液晶ポリマーとは、溶融状態あるいは溶液状態で液晶性あるいは光学的に複屈折する性質を有するポリマーを指し、一般に溶液状態で液晶性を示すリオトロピック液晶ポリマーや溶融時に液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマー、あるいは、熱変形温度で分類される1型・2型・3型すべての液晶ポリマーを含むものであり、本発明に用いる液晶ポリマーとしては、温度サイクル信頼性・半田耐熱性・加工性の観点からは200〜400℃の温度、特に250〜350℃の温度に融点を有するものが好ましい。また、ポリフェニレンエーテル系有機物とは、ポリフェニレンエーテル樹脂やポリフェニレンエーテルに種々の官能基が結合した樹脂、あるいはこれらの誘導体・重合体を意味するものである。
【0025】
また、液晶ポリマー層6は、層としての物性を損なわない範囲内で、熱安定性を改善するための酸化防止剤や耐光性を改善するための紫外線吸収剤等の光安定剤、難燃性を付加するためのハロゲン系もしくはリン酸系の難燃性剤、アンチモン系化合物やホウ酸亜鉛・メタホウ酸バリウム・酸化ジルコニウム等の難燃助剤、潤滑性を改善するための高級脂肪酸や高級脂肪酸エステル・高級脂肪酸金属塩・フルオロカーボン系界面活性剤等の滑剤、熱膨張係数を調整するため、および/または機械的強度を向上するための酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化チタン・酸化バリウム・酸化ストロンチウム・酸化ジルコニウム・酸化カルシウム・ゼオライト・窒化珪素・窒化アルミニウム・炭化珪素・チタン酸カリウム・チタン酸バリウム・チタン酸ストロンチウム・チタン酸カルシウム・ホウ酸アルミニウム・スズ酸バリウム・ジルコン酸バリウム・ジルコン酸ストロンチウム等の充填材を含有してもよい。
【0026】
なお、上記の充填材等の粒子形状は、略球状・針状・フレーク状等があり、充填性の観点からは略球状が好ましい。また、粒子径は、通常0.1〜15μm程度であり、液晶ポリマー層6の厚みよりも小さい。
【0027】
さらに、液晶ポリマー層6は、ポリフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層7との密着性を高めるために、その表面をバフ研磨やブラスト研磨・ブラシ研磨・プラズマ処理・コロナ処理・紫外線処理・薬品処理等の方法を用いて中心線表面粗さRaが0.05〜5μmの値となるように粗化しておくことが好ましい。中心線表面粗さRaは、半田リフローの際に液晶ポリマー層6と被覆層7との剥離を防止するという観点からは0.05μm以上であることが好ましく、表面に被覆層7を形成する際に空気のかみ込みを防止するという観点からは5μm以下であることが好ましい。従って、液晶ポリマー層6は、その表面を中心線表面粗さRaが0.05〜5μmの粗面とすることが好ましい。
【0028】
次に、液晶ポリマー層6の表面に形成される被覆層7は、配線導体2を被着形成する際の接着剤の機能を有するとともに、絶縁フィルム1を用いて多層配線基板4を構成する際に、絶縁フィルム1同士を積層する際の接着剤の役目を果たす。
【0029】
このような被覆層7は、ポリフェニレンエーテル樹脂やその誘導体、または、これらのポリマーアロイ等のポリフェニレンエーテル系有機物を30〜90体積%含有しており、とりわけ温度サイクル信頼性や配線導体2を接着する際の位置精度の観点からは、アリル変性ポリフェニレンエーテル等の熱硬化性に変性したポリフェニレンエーテルを含有することが好ましい。熱硬化性に変成したポリフェニレンエーテルは、耐熱性が高く、吸水性が低いという性質を有することにより、温度サイクル信頼性に優れる多層配線基板4とすることができるとともに、硬化後のポリフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層7の溶融変形が小さいものとなり、絶縁フィルム1を順次積層して多層配線基板4を形成する際の加熱・加圧による貫通導体3と配線導体2との位置ずれが生じにくい位置精度の良好な多層配線基板4とすることができる。
【0030】
なお、ポリフェニレンエーテル系有機物の含有量が30体積%未満であると、後述する充填材との混練性が低下する傾向があり、また、90体積%を超えると、液晶ポリマー層6表面に被覆層7を形成する際に、被覆層7の厚みバラツキが大きくなる傾向がある。従って、ポリフェニレンエーテル系有機物の含有量は、30〜90体積%の範囲が好ましい。
【0031】
また、被覆層7は、液晶ポリマー層6との接着性や配線導体2・貫通導体3との密着性を良好にするという観点からは、重合反応可能な官能基を2個以上有する多官能性モノマーあるいは多官能性重合体等の添加剤を含有することが好ましく、例えば、トリアリルシアヌレートやトリアリルイソシアヌレートおよびこれらの重合体等を含有することが好ましい。
【0032】
さらに、被覆層7は、弾性率を調整するためのゴム成分や熱安定性を改善するための酸化防止剤、耐光性を改善するための紫外線吸収剤等の光安定剤、難燃性を改善するためのハロゲン系もしくはリン酸系の難燃性剤、アンチモン系化合物やホウ酸亜鉛・メタホウ酸バリウム・酸化ジルコニウム等の難燃助剤、潤滑性を改善するための高級脂肪酸や高級脂肪酸エステルや高級脂肪酸金属塩・フルオロカーボン系界面活性剤等の滑剤、熱膨張係数を調整したり機械的強度を向上するための酸化アルミニウムや酸化珪素・酸化チタン・酸化バリウム・酸化ストロンチウム・酸化ジルコニウム・酸化カルシウム・ゼオライト・窒化珪素・窒化アルミニウム・炭化珪素・チタン酸カリウム・チタン酸バリウム・チタン酸ストロンチウム・チタン酸カルシウム・ホウ酸アルミニウム・スズ酸バリウム・ジルコン酸バリウム・ジルコン酸ストロンチウム等の充填材、あるいは、充填材との親和性を高めこれらの接合性向上と機械的強度を高めるためのシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤等のカップリング剤を含有してもよい。
【0033】
特に絶縁フィルム1を積層しプレスする際に、被覆層7の流動性を抑制し、貫通導体3の位置ずれや被覆層7の厚みばらつきを防止するという観点からは、被覆層7は充填材として10体積%以上の無機絶縁粉末を含有することが好ましい。また、液晶ポリマー層6との接着界面および配線導体2との接着界面での半田リフロー時の剥離を防止するという観点からは、充填材の含有量を70体積%以下とすることが好ましい。従って、被覆層7に、10〜70体積%の充填材を含有させておくことが好ましい。
【0034】
なお、上記の充填材等の形状は、略球状・針状・フレーク状等があり、充填性の観点からは、略球状が好ましい。また、粒子径は、0.1〜15μm程度であり、被覆層7の厚みよりも小さい。
【0035】
このような絶縁フィルム1は、例えば粒径が0.1〜15μm程度の酸化珪素等の無機絶縁粉末に、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂と溶剤・可塑剤・分散剤等を添加して得たペーストをプラズマ処理等により表面処理した液晶ポリマー層6の上下表面に従来周知のドクターブレード法等のシート成型法を採用して被覆層7を形成した後、あるいは上記のペースト中に液晶ポリマー層6を浸漬し垂直に引き上げることによって液晶ポリマー層6の表面に被覆層7を形成した後、これを60〜100℃の温度で5分〜3時間加熱・乾燥することにより製作される。
【0036】
なお、絶縁フィルム1の厚みは絶縁信頼性を確保するという観点からは10〜200μmであることが好ましく、また、高耐熱性・低吸湿性・高寸法安定性を確保するという観点からは、液晶ポリマー層6の厚みを絶縁フィルム1の厚みの40〜90%の範囲としておくことが好ましい。
【0037】
また、本発明の多層配線基板4は、上下面の少なくとも一方の面に金属箔から成る配線導体2が配設された絶縁フィルム1を複数積層して成るとともに、この絶縁フィルム1を挟んで上下に位置する配線導体2間を絶縁フィルム1に形成された貫通導体3を介して電気的に接続することにより形成されている。
【0038】
本発明によれば、多層配線基板4を上述の絶縁フィルム1を用いて形成したことから、微細配線を有するとともに絶縁性に優れた多層配線基板4とすることができる。
【0039】
絶縁フィルム1に形成された配線導体2は、その厚みが2〜30μm程度で銅・金等の良導電性の金属箔から成り、多層配線基板4に搭載される電子部品8を外部電気回路(図示せず)に電気的に接続する機能を有する。
【0040】
このような配線導体2は、絶縁フィルム1を複数積層する際、配線導体2の周囲にボイドが発生するのを防止するという観点から、被覆層7に少なくとも配線導体2の表面と被覆層7の表面とが平坦または略平坦となるように埋設されていることが好ましい。また、配線導体2を被覆層7に埋設する際に、被覆層7の乾燥状態での気孔率を3〜40体積%としておくと、配線導体2周囲の被覆層7の樹脂盛り上がりを生じさせず平坦化することができるとともに配線導体2と被覆層7の間に挟まれる空気の排出を容易にして気泡の巻き込みを防止することができる。なお、乾燥状態での気孔率が40体積%を超えると、複数積層した絶縁フィルム1を加圧・加熱硬化した後に被覆層7内に気孔が残存し、この気孔が空気中の水分を吸着して多層配線基板4の絶縁性を低下させてしまうおそれがあるので、被覆層7の乾燥状態での気孔率を3〜40体積%の範囲としておくことが好ましい。
【0041】
このような被覆層7の乾燥状態での気孔率は、被覆層7を液晶ポリマー層6の表面上に塗布し乾燥するに、乾燥温度や昇温速度等の乾燥条件を適宜調整することにより所望の値とすることができる。
【0042】
また、本発明の多層配線基板4においては、絶縁フィルム1に配設された配線導体2の幅方向の断面形状を、絶縁フィルム1側の底辺の長さが対向する底辺の長さよりも短い台形状とするとともに、絶縁フィルム1側の底辺と側辺との成す角度を95〜150°とすることが好ましい。
【0043】
本発明の多層配線基板4によれば、絶縁フィルム1に配設された配線導体2の幅方向の断面形状を、絶縁フィルム1側の底辺の長さが対向する底辺の長さよりも短い台形状とするとともに、絶縁フィルム1側の底辺と側辺との成す角度を95〜150°とすることにより、配線導体2を被覆層7に埋設する際に、配線導体2を被覆層7に容易に埋設することができるとともに配線導体2を埋設した後の被覆層7表面をほぼ平坦にすることができ、積層の際に空気をかみ込んで絶縁性が低下することのない多層配線基板4とすることができる。なお、気泡をかみ込むことなく埋設するという観点からは、絶縁フィルム1側の底辺と側辺との成す角度を95°以上とすることが好ましく、配線導体2と被覆層7との密着性を良くするという観点からは150°以下とすることが好ましい。
【0044】
また、絶縁フィルム1の層間において、配線導体2の長さの短い底辺と液晶ポリマー層6との間に位置する被覆層7の厚みx(μm)が、上下の液晶ポリマー層6間の距離をT(μm)、配線導体2の厚みをt(μm)としたときに、3μm≦0.5T−t≦x≦0.5T≦35μm(ただし、8μm≦T≦70μm、1μm≦t≦32μm)であることが好ましい。
【0045】
液晶ポリマー層6間の距離をT(μm)、配線導体2の厚みをt(μm)としたときに、配線導体2の長さの短い底辺と液晶ポリマー層6間のポリフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層7の厚みx(μm)を3μm≦0.5T−t≦x≦0.5T≦35μmとすることにより、配線導体2の長さの短い底辺と液晶ポリマー層6間の距離および配線導体2の長さの長い底辺と隣接する液晶ポリマー層6間の距離の差をt(μm)未満と小さくすることができ、被覆層7の厚みが大きく異なることから生じる多層配線基板4の反りを防止することができる。従って、配線導体2の台形状の上底側表面と液晶ポリマー層6の間に位置する、被覆層7の厚みx(μm)を、液晶ポリマー層6間の距離をT(μm)、配線導体2の厚みをt(μm)としたときに、3μm≦0.5T−t≦x≦0.5T≦35μmの範囲とすることが好ましい。
【0046】
このような配線導体2は、絶縁フィルム1と成る前駆体シートに、公知のフォトレジストを用いたサブトラクティブ法によりパターン形成した、例えば銅から成る金属箔を転写法等により被着形成することにより形成される。まず、支持体と成るフィルム上に銅から成る金属箔を接着剤を介して接着した金属箔転写用フィルムを用意し、次に、フィルム上の金属箔を公知のフォトレジストを用いたサブトラクティブ法を使用してパターン状にエッチングする。この時、パターンの表面側の側面は、フィルム側の側面に較べてエッチング液に接する時間が長いためにエッチングされやすく、パターンの幅方向の断面形状を台形状とすることができる。なお、台形の形状は、エッチング液の濃度やエッチング時間を調整することにより短い底辺と側辺とのなす角度を95〜150°の台形状とすることができる。そして、この金属箔転写用フィルムを絶縁フィルム1と成る前駆体シートに積層し、温度が100〜200℃で圧力が0.5〜10MPaの条件で10分〜1時間ホットプレスした後、支持体と成るフィルムを剥離除去して金属箔を絶縁フィルム3と成る前駆体シート表面に転写させることにより、台形状の上底側が被覆層7に埋設された配線導体2を形成することができる。
【0047】
なお、配線導体2の長さの短い底辺と対向する液晶ポリマー層6間の被覆層7の厚みx(μm)は、金属箔転写時のホットプレスの圧力を調整することにより所望の範囲とすることができる。また、配線導体2は被覆層7との密着性を高めるためにその表面にバフ研磨・ブラスト研磨・ブラシ研磨・薬品処理等の処理で表面を粗化しておくことが好ましい。
【0048】
また、絶縁フィルム1には、直径が20〜150μm程度の貫通導体3が形成されている。貫通導体3は、絶縁フィルム1を挟んで上下に位置する配線導体2を電気的に接続する機能を有し、絶縁フィルム1にUV−YAGレーザやエキシマレーザ・炭酸ガスレーザ等により穿設加工を施すことにより貫通孔を形成した後、この貫通孔に銅・銀・金・半田等から成る導電性ペーストを従来周知のスクリーン印刷法により埋め込むことにより形成される。
【0049】
このような多層配線基板4は、上述したような方法で製作した絶縁フィルム1と成る前駆体シートの所望の位置に貫通導体3を形成した後、パターン形成した例えば銅の金属箔を、温度が100〜200℃で圧力が0.5〜10MPaの条件で10分〜1時間ホットプレスして転写し、これらを積層して最終的に温度が150〜300℃で圧力が0.5〜10MPaの条件で30分〜24時間ホットプレスして完全硬化させることにより製作される。
【0050】
また、本発明の多層配線基板4は、表面に位置する絶縁フィルム1のうち少なくとも片方においては、多層配線基板4の面積の3%以上70%未満の面積で液晶ポリマー層6が露出しているとともに、この露出した液晶ポリマー層6が凹部5となっており、この凹部5の底面に、後述する貫通導体3を凹部5の深さと略同じ高さで突出させて成る、搭載される電子部品8の電極が接続される接続導体9が配設されている。
【0051】
本発明の多層配線基板4によれば、多層配線基板4の上下の表面に位置する絶縁フィルム1のうち少なくとも片方において、多層配線基板4の面積の3%以上70%未満の面積で被覆層7を除去して液晶ポリマー層6を露出するとともに、この露出した液晶ポリマー層6を凹部5と成し、この凹部5の底面に、貫通導体9を凹部5の深さと略同じ高さで突出させて成る、搭載される電子部品の電極が接続される接続導体9を配設させたので、突出した接続導体9に電子部品の電極を直接接続することが可能となり、その結果、印刷法等による半田バンプ形成の形成が不要となり、印刷時にペーストが滲んで接続端子9のピッチ間隔が狭くなったり、半田リフロー後に接続端子9間の半田がブリッジしてしまうことはなく、絶縁信頼性に優れた多層配線基板4とすることができる。また、熱膨張係数が近似する電子部品8と液晶ポリマー層6とを、熱膨張係数がこれらと異なる被覆層7を介さず接続することとなり、その結果、リフローや温度サイクル試験等の温度変化が生じた場合に、電子部品8と液晶ポリマー層6との間に熱膨張の相違による大きな応力が発生することはなく、絶縁フィルム1にクラックが生じたり配線導体2が断線して接続不良を生じてしまうということもない。
【0052】
このような底面に貫通導体3が突出して成る接続導体9を有する凹部5は、以下に述べる方法により形成される。まず、被覆層7を形成するためのペーストを準備し、これを従来周知のドクターブレード法によって被覆層7と成るシートを得、しかる後、金型による打ち抜き加工あるいはレーザ穿設加工によって液晶ポリマー層6を露出させる部分を除去する。次に、液晶ポリマー層6をプラズマ処理等で表面処理した後、液晶ポリマー層6の片面には被覆層7を、他面には前述の露出させる部分を除去した被覆層7を重ね、温度が100〜200℃、圧力が0.5〜10MPaの条件で積層一体化することにより液晶ポリマー層6が露出した表層用の絶縁フィルム1を形成する。続いて、上述したように、貫通導体3および配線導体2を形成した後、他の絶縁フィルム1と積層後、完全硬化することにより多層配線基板4とし、しかる後、この多層配線基板4の表面の液晶ポリマー層6が露出する部分以外を金属マスク等でカバーし、これに酸素プラズマ等のプラズマ装置等を用いて必要な出力と回数にてプラズマ処理を行うことにより、露出している部分の液層ポリマー層6を除去することにより凹部5が形成される。この時、プラズマ処理の出力や回数を適切なものにすれば、貫通導体3の主成分が金属フィラーであるため、プラズマの影響をほとんど受けず、形状を保持したまま、貫通導体3周囲の液晶ポリマー層6のみが除去されるため、凹部5の深さと略同じ高さで貫通導体3を突出して成る接続導体9を形成することができる。
【0053】
ここで、接続導体9の高さと凹部5の深さが略同じとは、接続導体9の高さが凹部5の深さに対して±3μm以内にあることを言う。
【0054】
なお、接続導体9の高さは、多層配線基板4に搭載される電子部品8の電極との接続性の観点からは、10μm以上であることが好ましい。また、接続導体9の強度の観点からは、200μm以下とすることが好ましい。従って、接続導体9の深さは、10〜200μmが好ましい。
【0055】
また、凹部5の深さは、10μm以上の高さの接続導体9を形成するという観点からは、10μm以上であることが好ましい。また、絶縁フィルム1の強度の観点からは、200μm以下とすることが好ましい。従って、凹部5の深さは、10〜200μmが好ましい。
【0056】
また、接続導体9は、凹部5の底面から露出した表面に、金属めっき層を被着させても良い。この場合、前述の様に、貫通導体3を突出させて接続導体9を形成した後、公知の電解または無電解ニッケルめっき、および電解または無電解金めっき等を行い、凹部5の底面から露出した表面に金属めっき層を被着させることができる。
【0057】
本発明の多層配線基板4によれば、接続導体9を凹部5の底面から露出した表面に金属めっき層を被着して成るものとしたことから、金属めっき層はその厚みばらつきが小さく、接続導体9の高さを略同じ高さに揃えることができ、その結果、多層配線基板4に搭載される電子部品8の電極と接続導体9との接続信頼性にすぐれた多層配線基板4とすることができる。
【0058】
なお、液晶ポリマー層6が露出する面積は、多層配線基板4の面積に対して3%未満であると露出させた効果が小さくなって、露出部の熱膨張係数が電子部品8の熱膨張係数よりも大きくなる傾向にあり、また、70%以上であると、反りが大きくなってしまい多層配線基板4として使用出来なくなってしまう傾向にある。従って、液晶ポリマー層6が露出する面積としては、多層配線基板4の面積の3%以上70%未満である必要がある。
【0059】
かくして本発明の多層配線基板4によれば、上記構成の多層配線基板4の上面に形成した接続導体9に、半導体素子等の電子部品8の電極を接触させて電気的に接続するとともに、電子部品8と多層配線基板4間を熱硬化性樹脂等から成るアンダーフィル材10を充填・硬化して電子部品8を固定し、さらに、多層配線基板4の下面に形成した配線導体2の一部から成る接続パッドに半田等の導体バンプ11を形成することにより配線密度が高く絶縁性に優れた混成集積回路とすることができる。
【0060】
なお、本発明の多層配線基板4は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、上述の実施例では4層の絶縁フィルム1を積層することによって多層配線基板4を製作したが、2層や3層、あるいは6層以上の絶縁フィルム1を積層して多層配線基板4を製作してもよい。また、本発明の多層配線基板4の上下表面に、凹部5を除いてソルダーレジスト層12を形成してもよい。
【0061】
【実施例】
次に本発明の多層配線基板を、以下の試料を製作して評価した。
【0062】
(実施例1)
まず、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂に平均粒径が0.6μmの球状溶融シリカをその含有量が40体積%となるように加え、これに溶剤としてトルエン、さらに有機樹脂の硬化を促進させるための触媒を添加し、1時間混合してワニスを調整した。次に、厚みが35μmの液晶ポリマー層の表面をプラズマ処理して、この液晶ポリマー層の上面に上記ワニスをドクターブレード法により塗布し、厚さ約20μmの乾燥状態の熱硬化性ポリフェニレンエーテル被覆層を成形した。そして、この液晶ポリマー層の下面にも同様にポリフェニレンエーテル被覆層を成形し、絶縁フィルムを製作した。
【0063】
さらに、この絶縁フィルムに、波長が355nmのUV-YAGレーザにより孔径50μmの貫通孔を形成した。
【0064】
また、液晶ポリマー層の露出部を有する表層用絶縁フィルムとしては、前述のワニスをPET等から成るキャリアフィルムにシート状に塗工し、切断後UV-YAGレーザにて、液晶ポリマー層を露出させる部分を穿設加工し、しかる後、厚み35μmの液晶ポリマー層の表裏面をプラズマ処理した後、片側に液晶ポリマー層を露出させる部分を穿設加工した被覆層を、反対側には穿設加工していない被覆層を重ね合わせ、真空積層機にて温度が140℃、圧力が5MPaの条件で液晶ポリマーの露出部を有する表層用絶縁フィルムを製作し、その後、UV−YAGレーザにて液晶ポリマー層露出部に孔径50μm、孔間ピッチが150μmの貫通孔を形成した。
【0065】
次に、これらの絶縁フィルムの貫通孔に銅粉末と有機バインダを含有する導体ペーストをスクリーン印刷により埋め込むことにより貫通導体を形成した。
【0066】
さらに、回路上に形成した厚さ12μmの銅箔が付いた転写用支持フィルムと、貫通導体が形成された絶縁フィルムとを位置合わせして真空積層機により3MPaの圧力で30秒加圧した後、転写用支持フィルムを剥離して配線導体を絶縁フィルム上に表面が略平坦となるように転写した。
【0067】
最後に、この配線導体が形成された絶縁フィルムを4枚重ね合わせ、3MPaの圧力下で200℃の温度で5時間加熱処理して完全硬化させて多層配線基板を得た。
【0068】
こうして得られ多層配線基板の表面を、液晶ポリマー層の露出部以外をカバーするように金属マスクで被覆した後、酸素プラズマによるプラズマ処理を適宜実施することで、露出した液晶ポリマー層に凹部を形成するとともに、貫通導体を突出させることで、凸形状の接続導体を形成して評価用試料を得た。なお、この評価用試料の液晶ポリマー層の露出部は多層配線基板の面積の30%の面積であった。
【0069】
(比較例)
比較例として用いた多層配線基板は、表面の液晶ポリマー層露出部に凹部を形成する代わりに、露出した液晶ポリマー層に配設された接続導体に半田ペーストを印刷して凸状の半田バンプを形成すること以外は実施例と同様の方法で製作した。
【0070】
評価方法としては、実施例の試料では接続導体部上に、および比較例の試料では半田バンプ上に半導体素子を接続し、半導体素子の下部にアンダーフィル材を充填・硬化することにより半導体素子と試料間の電気接続部を形成後、隣接する電気接続部間の絶縁抵抗測定を行うことにより絶縁性を評価した。
【0071】
絶縁性評価の結果、比較例の試料では半田バンプ間隔が狭くなったり、あるいは、半田がブリッジしてしまって絶縁不良となったのに対し、本発明の多層配線基板では、絶縁抵抗に問題はなく、微細化において優れたものであった。
【0072】
(実施例2)
次に、表面の液晶ポリマー層露出部の面積を、種々の大きさに設定した多層配線基板を実施例1と同様の方法で製作し、これらの接続導体上に実施例1と同様にして半導体素子を接続することに評価用試料を得た。
【0073】
評価方法としては、実装性の評価は、半導体素子を接続導体に接続した直後の半導体素子と試料間の電気的接続部における導通抵抗を測定することにより評価した。また、温度サイクル信頼性の評価は、試料温度が-65℃の条件で30分、125℃の条件で30分を1サイクルとする温度サイクル試験を1000サイクル行い、半導体素子と試料間の電気的接続部における導通抵抗を測定することにより評価した。
表1に実装性および温度サイクル信頼性の結果を示す。
【0074】
【表1】
【0075】
表1からは、液晶ポリマー層の露出面積が70%を超えると、多層配線基板の反りが大きいために実装不良が発生する傾向があることがわかった。また、露出面積が3%未満では、接続導体が破損して断線し、温度サイクル信頼性に劣る傾向があることがわかった。
【0076】
それらに対して、本発明の多層配線基板である液晶ポリマー層の露出面積が3〜70%の実施例では、実装性および温度サイクル信頼性に問題はなく、優れたものであることがわかった。
【0077】
(実施例3)
次に、絶縁フィルムに転写する配線導体の幅方向の断面形状において、絶縁フィルム側の底辺と側辺とのなす角度を、種々の角度にしたものを用いること以外は実施例1と同様の方法で評価用試料としての多層配線基板を製作した。
【0078】
評価方法としては、配線導体の埋め込み性の評価は、評価用試料を切断して断面を顕微鏡により観察することにより評価した。また、配線導体と絶縁フィルムとの密着性の評価は、配線導体を絶縁フィルムに転写した直後の配線導体を顕微鏡観察することにより評価した。
表2に配線導体の埋め込み性および密着性の結果を示す。
【0079】
【表2】
【0080】
表2からは、配線導体の絶縁フィルム側の底辺と側辺とのなす角度が95°未満では、配線導体の被覆層への埋め込み性が悪く、被覆層に完全に埋め込まれていないために、次の絶縁フィルムを積層した際に混入した空気によるボイドが存在する傾向があることがわかった。また、配線導体の絶縁フィルム側の底辺と側辺とのなす角度が150°を超えると、被覆層との接着力が低下するため、配線導体の一部が剥がれて転写不良が発生する傾向があることがわかった。
【0081】
それらに対して、本発明の多層配線基板である配線導体の絶縁フィルム側の底辺と側辺とのなす角度が95〜150°の実施例では、埋め込み評価においてボイドはなく、また、密着評価においても配線導体の剥がれはなく、優れたものであることがわかった。
【0082】
【発明の効果】
本発明の多層配線基板によれば、多層配線基板の上下の表面に位置する絶縁フィルムのうち少なくとも片方において、多層配線基板の面積の3%以上70%未満の面積で被覆層を除去して液晶ポリマー層を露出するとともに、この露出した液晶ポリマー層を凹部と成し、この凹部の底面に、貫通導体を凹部の深さと略同じ高さで突出させて成る、搭載される電子部品の電極が接続される接続導体を配設させたので、突出した接続導体に電子部品の電極を直接接続することが可能となり、その結果、印刷法等による半田バンプ形成の形成が不要となり、印刷時にペーストが滲んで接続端子のピッチ間隔が狭くなったり、半田リフロー後に接続端子間の半田がブリッジしてしまうことはなく、絶縁信頼性に優れた多層配線基板とすることができる。また、熱膨張係数が近似する電子部品と液晶ポリマー層とを、熱膨張係数がこれらと異なる被覆層を介さず接続することとなり、その結果、リフローや温度サイクル試験等の温度変化が生じた場合に、電子部品と液晶ポリマー層との間に熱膨張の相違による大きな応力が発生することはなく、絶縁フィルムにクラックが生じたり配線導体が断線して接続不良を生じてしまうということもない。
【0083】
また、本発明の多層配線基板によれば、上記構成において、ポリフェニレンエーテル系有機物を熱硬化性に変成したポリフェニレンエーテルとしたので、熱硬化性に変成したポリフェニレンエーテルは、耐熱性が高く、吸水性が低いという性質を有することにより、温度サイクル信頼性に優れる多層配線基板とすることができるとともに、硬化後のポリフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層の溶融変形が小さいものとなり、絶縁フィルムを順次積層して多層配線基板を形成する際の加熱・加圧による貫通導体と配線導体との位置ずれが生じにくい位置精度の良好な多層配線基板とすることができる。
【0084】
さらに、本発明の多層配線基板によれば、上記構成において、接続導体を凹部の底面から露出した表面に金属めっき層を被着して成るものとしたので、金属めっき層はその厚みばらつきが小さく接続導体の高さを略同じ高さに揃えることができ、その結果、多層配線基板に搭載される電子部品の電極と接続導体との接続信頼性にすぐれた多層配線基板とすることができる。
【0085】
また、本発明の多層配線基板によれば、上記構成において、絶縁フィルムに配設された配線導体の幅方向の断面形状を、絶縁フィルム側の底辺の長さが対向する底辺の長さよりも短い台形状とし、かつ絶縁フィルムの側の底辺と側辺とのなす角度を95〜150°としたので、配線導体を被覆層に埋設する際に、配線導体を被覆層に容易に埋設することができるとともに配線導体を埋設した後の被覆層表面をほぼ平坦にすることができ、絶縁フィルムを積層する際に空気をかみ込んで絶縁性を低下させることのない多層配線基板とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線基板に、電子部品を搭載して成る混成集積回路の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す多層配線基板の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・絶縁フィルム
2・・・・・・・・・配線導体
3・・・・・・・・・貫通導体
4・・・・・・・・・多層配線基板
5・・・・・・・・・凹部
6・・・・・・・・・液晶ポリマー層
7・・・・・・・・・被覆層
8・・・・・・・・・電子部品
9・・・・・・・・・接続導体
Claims (4)
- 液晶ポリマー層の上下面に、ポリフェニレンエーテル系有機物から成る被覆層を積層して成る複数の絶縁フィルムを、間に金属箔から成る配線導体を挟んで積層するとともに、前記絶縁フィルムを挟んで上下に位置する前記配線導体間を前記絶縁フィルムに形成された貫通導体を介して電気的に接続して成る多層配線基板であって、該多層配線基板の上下の表面に位置する絶縁フィルムのうち少なくとも片方において、前記多層配線基板の面積の3%以上70%未満の面積で前記被覆層が除去されて前記液晶ポリマー層が露出しているとともに、この露出した液晶ポリマー層が凹部となっており、該凹部の底面に、前記貫通導体を前記凹部の深さと略同じ高さで突出させて成る、搭載される電子部品の電極が接続される接続導体が配設されていることを特徴とする多層配線基板。
- 前記ポリフェニレンエーテル系有機物が熱硬化性に変成したポリフェニレンエーテルであることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板。
- 前記接続導体は、前記凹部の底面から露出した表面に金属めっき層が被着されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多層配線基板。
- 前記配線導体の幅方向の断面形状は、前記絶縁フィルム側の底辺の長さが対向する底辺の長さよりも短い台形状であり、かつ、前記絶縁フィルム側の底辺と側辺とのなす角度が95〜150°であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の多層配線基板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002048835A JP3872360B2 (ja) | 2002-02-25 | 2002-02-25 | 多層配線基板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002048835A JP3872360B2 (ja) | 2002-02-25 | 2002-02-25 | 多層配線基板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003249765A JP2003249765A (ja) | 2003-09-05 |
JP3872360B2 true JP3872360B2 (ja) | 2007-01-24 |
Family
ID=28661502
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002048835A Expired - Fee Related JP3872360B2 (ja) | 2002-02-25 | 2002-02-25 | 多層配線基板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3872360B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8867219B2 (en) * | 2011-01-14 | 2014-10-21 | Harris Corporation | Method of transferring and electrically joining a high density multilevel thin film to a circuitized and flexible organic substrate and associated devices |
WO2012111711A1 (ja) | 2011-02-15 | 2012-08-23 | 株式会社村田製作所 | 多層配線基板およびその製造方法 |
JP5400235B1 (ja) | 2012-11-09 | 2014-01-29 | 太陽誘電株式会社 | 電子部品内蔵基板 |
JP2021093435A (ja) * | 2019-12-10 | 2021-06-17 | イビデン株式会社 | プリント配線板 |
-
2002
- 2002-02-25 JP JP2002048835A patent/JP3872360B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003249765A (ja) | 2003-09-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2005072328A (ja) | 多層配線基板 | |
JP3872360B2 (ja) | 多層配線基板 | |
JP4903320B2 (ja) | 電子素子付配線基板の製造方法 | |
JP4462872B2 (ja) | 配線基板及びその製造方法 | |
JP4025695B2 (ja) | 保護フィルム付き絶縁層及び配線基板の製造方法 | |
JP2005019686A (ja) | コンデンサ素子内蔵多層配線基板 | |
JP2002261453A (ja) | 多層配線基板 | |
JP2006191145A (ja) | 多層配線基板 | |
JP3878832B2 (ja) | 多層配線基板 | |
JP3694673B2 (ja) | 絶縁フィルムおよびこれを用いた多層配線基板 | |
JP4959066B2 (ja) | 絶縁フィルムおよびこれを用いた多層配線基板 | |
JP2003069237A (ja) | 絶縁フィルムおよびこれを用いた多層配線基板 | |
JP2003347454A (ja) | 多層配線基板 | |
JP2005050877A (ja) | 配線基板 | |
JP2004322482A (ja) | 絶縁フィルムおよびこれを用いた多層配線基板 | |
JP2004179011A (ja) | 絶縁フィルムおよびこれを用いた多層配線基板 | |
JP4508498B2 (ja) | 多層配線基板 | |
JP2004082554A (ja) | 絶縁フィルムおよびこれを用いた多層配線基板 | |
JP2003046259A (ja) | 多層配線基板 | |
JP2003174264A (ja) | 絶縁フィルムおよびこれを用いた多層配線基板 | |
JP2002324978A (ja) | 多層配線基板 | |
JP2003218543A (ja) | 多層配線基板 | |
JP2004195807A (ja) | 絶縁フィルムおよびこれを用いた多層配線基板 | |
JP2004090238A (ja) | 絶縁フィルムおよびこれを用いた多層配線基板 | |
JP2002290055A (ja) | 多層配線基板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040810 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060925 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061003 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061019 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091027 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101027 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101027 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111027 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121027 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |