JP4025424B2 - トレハロースを含む生鮮食料保存液 - Google Patents

トレハロースを含む生鮮食料保存液 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生鮮食料保存液、さらに詳しくは生鮮食料の鮮度を維持するために用いられる溶液に関する。
【0002】
【従来の技術】
鶏肉、豚肉、牛肉、魚肉等の食肉、あるいは野菜、果物といった生鮮食料は、鮮度を失わないように保存される必要がある。そのため従来よりこれらの生鮮食料は低温で保存されている。例えば、加工されていない食肉は、冷凍保存又は冷蔵保存され、肉塊、スライス、挽肉などの形に加工された食肉は、0〜10℃ぐらいの低温で保存される。また、食肉の鮮度をより長く維持するために真空包装されることもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
加工されていない食肉の可食期間は、最も良い条件で保存した場合でも、鶏肉で10日、豚肉で14日、牛肉で45日と短い。また、加工された食肉についても、0〜10℃で保存された場合の可食期間は、わずか7日である。
それ故、本発明は生鮮食料の鮮度を維持することができ、製剤学的に安定した生鮮食料保存液を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、トレハロース10〜2000mM/L及びヒドロキシエチル澱粉(膠質浸透圧剤1〜80g/Lを含有し、浸透圧が270〜380mOsm/Lである本発明の生鮮食料保存液を完成することができた。トレハロースは生鮮食料の細胞を保護する作用をもつため、本発明の生鮮食料保存液に生鮮食料を浸漬すると、長期間鮮度を維持することができる。
【0005】
トレハロースを含む生鮮食料保存液に、さらにガーリックから抽出されるエキスを加えても良い。ガーリックから抽出されるエキスには殺菌作用を示す化合物が多数存在するので、雑菌の繁殖が抑制される。そのため、生鮮食料の鮮度をより長い間維持することができる。また、ガーリックから抽出されるエキスは、生鮮食料とともに摂取されても人体に悪影響を及ぼすことがなく安全である。
【0006】
ガーリックから抽出されるエキスの替わりに、又はこれとともに、少なくとも一種以上の殺菌作用を示す化合物を加えても良い。殺菌作用を示す化合物には、例えば、アリシン、アリイン、アホエン(Ajoene)類、ジチイン(Dithiin)類、スコルジニン、ジアリルサルフィド(Diallyl sulfide)、ジアリルジサルフィド(Diallyl disulfide)、ジアリルトリサルフィド(Diallyl trisulfide)、メチルアリルトリサルフィド(Methylallyl trisulfide)、ゲルマニウム化合物類がある。ここに例示された化合物はいずれもガーリックの中にも存在する。
【0007】
本発明の生鮮食料保存液に浸漬することにより生鮮食料が変質するのを防ぐためには、更に電解質を加えて、pHを適当な範囲に調節すると良い。pHの好ましい範囲は5〜8である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
トレハロースには、α,α-トレハロース、α,β-トレハロース及びβ,β-トレハロースの3種が存在するが、いずれを用いても良い。好ましくは天然に存在するα,α-トレハロースを用いる。ヒドロキシエチル澱粉は、置換度が0.4〜0.8の範囲のもので、平均分子量200000〜900000のものが好ましく、さらに好ましくは平均分子量350000〜800000のものである。
【0009】
上記電解質としては、有機酸のナトリウム塩若しくはカリウム塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムを例示することができる。また有機酸としては、グルコン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、β−ヒドロキシ酪酸及びクエン酸を例示することができる。
【0010】
本発明の生鮮食料保存液の好ましい組成(1000ml水溶液中)は次の通りである。
トレハロース 10〜2000mM
Na 1〜 140mM
K 1〜 140mM
HPO 又はHPO −− 1〜 65mM
Cl、HCO、CO −−、有機酸又は有機酸アニオン 1〜 150mM
ヒドロキシエチル澱粉 1〜 80g
ガーリックから抽出されるエキス、
又は殺菌作用を示す化合物(1〜数種) 0.001〜200g
pH 5 8
【0011】
本発明の生鮮食料保存液のより好ましい組成(1000ml水溶液中)を示すと、
トレハロース 100〜1500mM
Na 20〜120mM
K 20〜130mM
HPO 又はHPO −− 20〜 60mM
Cl、HCO、CO −−、有機酸又は有機酸アニオン 20〜120mM
ヒドロキシエチル澱粉 20〜 40g
ガーリックから抽出されるエキス、
又は殺菌作用を示す化合物(1〜数種) 0.001〜200g
pH 5 8
である。また、Mg++及び/又はCa++を1〜10mMずつ加えても良い。さらに、活性酵素消去剤、酸素消去剤といった薬剤を加えることもできる。
【0012】
本発明の生鮮食料保存液を調製するには、まず溶質を滅菌蒸留水で溶解し、次にフィルターで濾過しながら容器に入れて密栓した後、蒸気滅菌すれば良い。また、ガーリックから抽出されるエキスを加えるには、ガーリックを粉末状にしたもの若しくはガーリックをおろしたもの(ガーリックオイル)を、トレハロースを含む生鮮食料保存液に入れてしばらく攪拌した後、フィルターで濾過すれば良い。
【0013】
本発明の生鮮食料保存液を使用して生鮮食料を保存するには、例えば、本発明の生鮮食料保存液に生鮮食料を数〜数十秒間浸漬させた後、従来までと同様に低温で保存すると良い。
【0014】
【実施例】
実施例1:生鮮食料保存液の調製
(1)約50℃の蒸留水800mlにα,α-トレハロース100g(292mM)を溶解した後、蒸留水を加えて全量を1000mlとした。これを直ちに濾過しながらガラス瓶に入れて密栓した後、蒸気滅菌することにより、浸透圧292mOsm/L、pH7.4の本発明の生鮮食料保存液1を得た。
【0015】
(2)約50℃の蒸留水800mlにα,α-トレハロース200g(584mM)を溶解した後、蒸留水を加えて全量を1000mlとした。これを直ちに濾過しながらガラス瓶に入れて密栓した後、蒸気滅菌することにより、浸透圧584mOsm/L、pH7.4の本発明の生鮮食料保存液2を得た。
【0016】
(3)約50℃の蒸留水800mlにα,α-トレハロース300g(876mM)を溶解した後、蒸留水を加えて全量を1000mlとした。これを直ちに濾過しながらガラス瓶に入れて密栓した後、蒸気滅菌することにより、浸透圧876mOsm/L、pH7.4の本発明の生鮮食料保存液3を得た。
【0017】
(4)約50℃の蒸留水800mlにα,α-トレハロース400g(1170mM)を溶解した後、蒸留水を加えて全量を1000mlとした。これを直ちに濾過しながらガラス瓶に入れて密栓した後、蒸気滅菌することにより、浸透圧1170mOsm/L、pH7.4の本発明の生鮮食料保存液4を得た。
【0018】
(5)約50℃の蒸留水800mlにα,α−トレハロース500g(1460mM)を溶解した後、蒸留水を加えて全量を1000mlとした。これを直ちに濾過しながらガラス瓶に入れて密栓した後、蒸気滅菌することにより、浸透圧1460mOsm/L、pH7.4の本発明の生鮮食料保存液5を得た。
【0019】
(6)約50℃の蒸留水800mlにα,α-トレハロース4lg(120mM)、ヒドロキシエチル澱扮(平均分子量429000、置換度0.55)30g、グルコン酸ナトリウム21.81g(100mM)、リン酸二水素カリウム0.885g(6.5mM)、及びリン酸水素二カリウム3.222g(18.5mM)を溶解した後、蒸留水を加えて全量を1000mlとした。これを直ちに濾過しながらガラス瓶に入れて密栓した後、蒸気滅菌することにより、浸透圧366mOsm/L、pH7.4の本発明の生鮮食料保存液6を得た。
【0020】
(7)約50℃の蒸留水800mlにα,α-トレハロース4lg(120mM)、ヒドロキシエチル澱扮(平均分子量429000、置換度0.55)30g、グルコン酸ナトリウム4.362g(20mM)、グルコン酸カリウム20.263g(86.5mM)、リン酸二水素カリウム0.885g(6.5mM)、及びリン酸水素二カリウム3.222g(18.5mM)を溶解した後、蒸留水を加えて全量を1000mlとした。これを直ちに濾過しながらガラス瓶に入れて密栓した後、蒸気滅菌することにより、浸透圧377mOsm/L、pH7.4の本発明の生鮮食料保存液7を得た。
【0021】
実施例2:牛肉の鮮度維持効果試験1
屠殺場で解体されたばかりの新鮮な和牛のモモ肉、及び真空パックで7日間チルド保存された和牛のモモ肉を用いて、本発明の生鮮食料保存液による鮮度維持効果を以下のようにして調べた。
【0022】
新鮮な和牛のモモ肉及びチルド保存された和牛のモモ肉の肉塊(約2kg)をそれぞれ上述した生鮮食料保存液1〜7に10秒間浸漬した後、真空パックで包装して、1−2℃で冷蔵保存した。そして、冷蔵を始めてから70日後又は80日後に、肉色、肉汁の色、肉の弾力、肉の匂い及び肉の味を評価した。評価は二人の専門家によって盲検法にて行われた。また、比較として、臨床移植臓器用保存液であるEC液(Euro-Collins液)及びUW液(University of Wisconsin液)に10秒間浸漬した後、真空パックで包装して、1−2℃で冷蔵したもの、さらに、対照として、従来通りに何の溶液にも浸漬しないまま真空パックで包装して、1−2℃で冷蔵したものについても同様に評価した。なお、EC液及びUW液の組成は表1に示す通りである。
【0023】
【表1】
Figure 0004025424
【0024】
新鮮な和牛モモ肉の冷蔵を始めてから70日後又は80日後の評価結果をそれぞれ表2、表3に示す。また、チルド保存された和牛モモ肉の冷蔵を始めてから70日後、80日後の評価結果をそれぞれ表4、表5に示す。
【表2】
Figure 0004025424
【0025】
【表3】
Figure 0004025424
【0026】
【表4】
Figure 0004025424
【0027】
【表5】
Figure 0004025424
【0028】
表2、3に示すように屠殺されたばかりの新鮮な和牛モモ肉の場合では、本発明の生鮮食料保存液に浸漬する方がEC液又はUW液に浸漬するより肉の味が良かった。対照については、肉色が黒く、肉の弾力が無く、また匂いが臭かったため試食することもできなかった。また、表4、5に示すように7日間チルド保存された和牛モモ肉の場合では、本発明の生鮮食料保存液に浸漬する方がUW液に浸漬するより肉の味が良かった。EC液に浸漬したもの及び対照については、匂いが臭かったため試食することもできなかった。以上より、本発明の生鮮食料保存液によると、牛肉の鮮度を長期間維持できるということが判った。
【0029】
実施例3:鶏肉の鮮度維持効果試験
屠殺されたばかりの新鮮な鶏のモモ肉及びテバを用いて、本発明の生鮮食料保存液による鮮度維持効果を以下のようにして調べた。
【0030】
鶏のモモ肉及びテバの肉塊(200g)をそれぞれ上述した生鮮食料保存液2、4、6及び7に10秒間浸漬した。続いて、フィルム(オークラ株式会社製ONパック)で包装して、又は真空パックで包装して、1−2℃で冷蔵保存した。そして、フィルムで包装したものについては冷蔵してから8日後に、真空パックで包装したものについては14日後に、肉色、肉汁の色、肉の弾力、肉の匂い及び肉の味を評価した。評価は三人の専門家によって盲検法にて行われた。また、対照として、何の溶液にも浸漬しないままフィルム若しくは真空パックで包装して、1−2℃で冷蔵保存したものについても同様に評価した。
【0031】
鶏モモ肉のフィルムで包装したときの評価結果を表6に、真空パックで包装したときの評価結果を表7に示す。鶏テバのフィルムで包装したときの評価結果を表8に、真空パックで包装したときの評価結果を表9に示す。
【表6】
Figure 0004025424
【0032】
【表7】
Figure 0004025424
【0033】
【表8】
Figure 0004025424
【0034】
【表9】
Figure 0004025424
【0035】
表6〜9に示すように本発明の生鮮食料保存液に浸漬した後冷蔵保存した方が、対照よりも肉色、肉汁の色、肉の弾力又は肉の匂いにおいて優れていた。また、生鮮食料保存液に浸漬したものでは肉の味が良かったのに対して、対照では試食することもできなかった。以上より、本発明の生鮮食料保存液によると、鶏肉の鮮度を長期間維持できることが判った。
【0036】
実施例4:豚肉の鮮度維持効果試験1
屠殺されてから4日間チルド保存された豚のモモ肉及びウデ肉を用いて、本発明の生鮮食料保存液による鮮度維持効果を以下のようにして調べた。
【0037】
豚のモモ肉及びウデ肉(600g)をそれぞれ上述した生鮮食料保存液2、4、6及び7に10秒間浸漬した。続いてフィルムで包装して、又は真空パックで包装して、1−2℃で冷蔵保存した。そして、冷蔵を始めてから14日後に、肉色、肉汁の色、肉の弾力、肉の匂い及び肉の味を評価した。評価は三人の専門家によって盲検法にて行われた。また、対照として、何の溶液にも浸漬しないままフィルム若しくは真空パックで包装して、1−2℃で冷蔵保存したものについても同様に評価した。
【0038】
豚モモ肉のフィルムで包装したときの評価結果を表10に、真空パックで包装したときの評価結果を表11に示す。豚ウデ肉のフィルムで包装したときの評価結果を表12に、真空パックで包装したときの評価結果を表13に示す。
【表10】
Figure 0004025424
【0039】
【表11】
Figure 0004025424
【0040】
【表12】
Figure 0004025424
【0041】
【表13】
Figure 0004025424
【0042】
表10〜13に示すように本発明の生鮮食料保存液に浸漬した後冷蔵保存した方が、対照よりも肉色、肉汁の色、肉の弾力又は肉の匂いにおいて優れていた。また、生鮮食料保存液に浸漬したものでは肉の味が良かったのに対して、対照では試食することができなかったか、試食することができても味が悪かった。以上より、本発明の生鮮食料保存液によると、豚肉の鮮度を長期間維持できることが判った。
【0043】
実施例5:牛肉の鮮度維持効果試験2
屠殺されてから10日間チルド保存された和牛のネック肉を用いて、本発明の生鮮食料保存液による鮮度維持効果を以下のようにして調べた。
【0044】
和牛のネック肉(600g)を上述した生鮮食料保存液2、4、6及び7に10秒間浸漬した後フィルムで包装して、1−2℃で冷蔵保存した。そして、冷蔵を始めてから8日後、14日後、34日後及び45日後に、肉色、肉汁の色、肉の弾力及び肉の匂いを評価した。また、34日後及び45日後については、肉の味も評価した。評価は三人の専門家によって盲検法にて行われた。さらに、対照として、何の溶液にも浸漬しないままフィルムで包装して、1−2℃で冷蔵保存したものについても同様に評価した。
【0045】
冷蔵を始めてから8、14、34、45日後の評価結果をそれぞれ表14、15、16、17に示す。
【表14】
Figure 0004025424
【0046】
【表15】
Figure 0004025424
【0047】
【表16】
Figure 0004025424
【0048】
【表17】
Figure 0004025424
【0049】
表14〜17に示すように、対照では冷蔵を始めてから8日後で既に肉色が少し劣っていた。また、34日経過以後は評価することができないほど腐食していた。それに対して、本発明の生鮮食料保存液に浸漬した場合には、肉色、肉汁の色、肉の弾力及び肉の匂いを45日後にも良好に保っており、鮮度を維持していた。生鮮食料保存液2、4及び6については45日後に肉の表面が点状に緑変していたものが若干見られたものの、味は良かった。以上より、本発明の生鮮食料保存液によると、10日間チルド保存された牛肉であっても、45日間は可食期間があるということが判った。
【0050】
実施例6:殺菌効果試験1
サルモネラ菌、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する本発明の生鮮食料保存液の殺菌効果を調べた。
【0051】
供試菌株には、サルモネラ菌としてサルモネラ・ゲルトネル(Salmonella enteritidis ATCC 13311)、大腸菌としてエシェリヒア・コリ(Escherichia coli ATCC 25922)、及び黄色ブドウ球菌としてスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus ATCC 6538P)を用い、これらの供試菌株を普通ブイヨンにて2回継代培養した後、滅菌リン酸緩衝液で107CFU/mlになるように調整し、供試菌液とした。また、この試験は三菱化学ビーシーエル(株)によって以下のようにして行われた。
【0052】
まず、ヱスビー食品株式会社製”ガーリックあらびき”の乾燥粉末200gを1Lの上記生鮮食料保存液7に入れて、30分間攪拌することにより、ガーリックのエキスを抽出した。そして、上清液をガーゼフィルター、紙フィルター及び孔径0.22μmのフィルターで順次濾過することにより、本発明の生鮮食料保存液8を得た。この生鮮食料保存液8を試験液Aとし、これを生鮮食料保存液7で1/2倍、1/4倍、1/8倍に希釈したものをそれぞれ試験液B、C、Dとした。続いて、各試験液20mlに前記各供試菌液の1mlを添加して、4℃で保存した。保存を始めてから30分後、2時間後、6時間後及び24時間後に1mlずつ採取し、SCDLP寒天培地を用いた混釈培養法により培養して、菌数を測定した。また、対照として、滅菌リン酸緩衝液20mlに供試菌液1mlを添加したものについても、同様にして菌数を測定した。サルモネラ菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌についての菌数の推移を図1、図2、図3にそれぞれ示す。
【0053】
図1、2を見れば判るようにサルモネラ菌及び大腸菌については、対照では6時間経過後には菌数が増加するのに対して、試験液では6時間経過後には必ず菌数が減少した。試験液Aに至っては菌がほとんど測定されなかった。また、図3の黄色ブドウ球菌についても、試験液に供試菌液を添加した場合、6時間経過後には必ず菌数が減少した。以上より、ガーリックから抽出されるエキスが加えられた本発明の生鮮食料保存液には殺菌効果があるということが明らかとなった。
【0054】
実施例7:殺菌効果試験2
O−157大腸菌に対する本発明の生鮮食料保存液の殺菌効果を調べた。供試菌株にはO−157大腸菌、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli ATCC 43895)を用い、実施例6と同様にして107CFU/mlになるように調整し、供試菌液とした。また、この試験は三菱化学ビーシーエル(株)によって以下のようにして行われた。
【0055】
まず、500ml、492ml、468mlの生鮮食料保存液7それぞれに、ガーリックの成分であるジアリルトリサルフィドの水溶液(15mg/ml)を0.33ml、8ml、32mlずつ無菌操作で入れることにより、試験液E(10mg/L)、F(240mg/L)、G(960mg/L)を得た。次に、各試験液50mlに107CFU/mlに調製された前記供試菌液の1mlを添加して、4℃で保存した。保存を始めてから6時間後、24時間後、72時間後及び一週間後に1mlずつ採取し、SCDLP寒天培地を用いた混釈培養法により培養して、菌数を測定した。また、対照として、滅菌リン酸緩衝液50mlに供試菌液1mlを添加したものについても、同様にして菌数を測定した。菌数の推移を図4に示す。
【0056】
図4に示すように、試験液にO−157大腸菌の菌液を添加した場合、菌数が減少した。また、ジアリルトリサルフィドの濃度が高いほど、減少の度合が著しかった。これより、ジアリルトリサルフィドには殺菌効果があるということが確認された。さらに、本発明の生鮮食料保存液は、O−157大腸菌に対しても殺菌効果を示すということが判った。
【0057】
実施例8:豚肉の鮮度維持効果試験2
賞味期限が半日しか残されていない市販された豚のモモ肉を用いて、本発明の生鮮食料保存液による鮮度維持効果を以下のようにして調べた。
【0058】
まず、199.6ml、199.2ml、196.8mlの生鮮食料保存液7それぞれに、ガーリックの成分であるジアリルトリサルフィドの水溶液(15mg/ml)を0.4ml、0.8ml、3.2mlずつ無菌操作で入れることにより、試験液H(30mg/L)、I(60mg/L)、J(240mg/L)を得た。次に、各試験液及び生鮮食料保存液7に上述した豚のモモ肉の肉塊(100g)を10秒間浸漬した後、フィルムで包装して、8℃で冷蔵保存した。そして、冷蔵を始めてから3日後、6日後、10日後及び16日後に、肉色、肉汁の色、肉の弾力及び肉の匂いを評価した。10日後及び16日後については、肉の味も評価した。評価は三人の専門家によって盲検法にて行われた。さらに、6日後、10日後及び16日後については、TTCテストを行った。対照として、何の溶液にも浸漬しないままフィルムで包装して、8℃で冷蔵保存したものについても同様に評価・テストした。
【0059】
冷蔵を始めてから3、6、10、16日後の結果をそれぞれ表18、19、20、21に示す。
【表18】
Figure 0004025424
【0060】
【表19】
Figure 0004025424
【0061】
【表20】
Figure 0004025424
【0062】
【表21】
Figure 0004025424
【0063】
表18〜21に示すように、対照では冷蔵を始めてから3日後には肉の匂いが臭くなって、6日後にはTTCテストで陽性となり雑菌の繁殖が認められた。また、生鮮食料保存液7に浸漬したものでは、3日後にはまだ鮮度を維持していたが、6日後には肉汁の色が悪くなって、10日後にはTTCテストで陽性となった。さらに、生鮮食料保存液7に浸漬したもの及び対照では、16日後にはかなり腐食していたため、評価することもできなかった。それらに対して、試験液に浸漬したものでは、16日後にも肉色、肉汁の色、肉の弾力、肉の匂い及び肉の味を良好に保っており、またTTCテストが陰性となった。以上より、本発明の生鮮食料保存液によると、賞味期限が半日しか残されていない豚肉であっても、可食期間が延長されることが判った。とりわけ、ジアリルトリサルフィド等の殺菌作用を示す化合物を含む生鮮食料保存液によると、著しく延長されることが判った。
【0064】
【発明の効果】
本発明の生鮮食料保存液によると生鮮食料の鮮度を長期間維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】サルモネラ菌の菌数の推移を示す図である。
【図2】大腸菌の菌数の推移を示す図である。
【図3】黄色ブドウ球菌の菌数の推移を示す図である。
【図4】O−157大腸菌の菌数の推移を示す図である。

Claims (7)

  1. トレハロース10〜2000mM/L及びヒドロキシエチル澱粉1〜80g/Lを含有し、浸透圧が270〜380mOsm/Lである生鮮食料保存液。
  2. 更に、ガーリックから抽出されるエキスを含む請求項1に記載の生鮮食料保存液。
  3. 前記ガーリックから抽出されるエキスの濃度が0.001〜200g/Lの範囲にある請求項2に記載の生鮮食料保存液。
  4. 更に、少なくとも一種以上の殺菌作用を示す化合物を含む請求項1に記載の生鮮食料保存液。
  5. 前記殺菌作用を示す化合物が、アリシン、アリイン、アホエン(Ajoene)類、ジチイン(Dithiin)類、スコルジニン、ジアリルサルフィド(Diallyl sulfide)、ジアリルジサルフィド(Diallyl disulfide)、ジアリルトリサルフィド(Diallyl trisulfide)、メチルアリルトリサルフィド(Methylallyl trisulfide)及びゲルマニウム化合物類のうちから選ばれる請求項4に記載の生鮮食料保存液。
  6. 前記殺菌作用を示す化合物の濃度の合計が0.001〜200g/Lの範囲にある請求項4又は5に記載の生鮮食料保存液。
  7. さらに電解質を加えることによって、pHが5〜8に調節された請求項1〜6のいずれかに記載の生鮮食料保存液。
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