JP4025148B2 - 農作業機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土作業体の左右位置調節を簡単にできる農作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、走行車(トラクタ)の後部に作業機昇降支持装置(3点リンク機構)を介して昇降可能に装着される機枠と、この機枠に第1回動軸を介して回動可能に取り付けられ互いに平行に位置する対をなすリンクアーム(平行リンク)と、これら両リンクアームに第2回動軸を介して回動可能に取り付けられ下部が地表面下に挿入された状態で土作業(溝掘作業)をする左右位置調節可能な土作業体とを備えた溝掘機等の農作業機が広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の農作業機では、例えば土作業体の左右位置調節時に、作業機昇降支持装置にて土作業体を地表面より上方の位置まで上昇させると、第1回動軸および第2回動軸の各々が前傾状態となるため、土作業体の左右位置調節のために大きな力が必要となり、土作業体の左右位置調節が困難となるおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、土作業体の左右位置調節を簡単にできる農作業機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
求項記載の農作業機は、走行車に作業機昇降支持装置を介して昇降可能に装着される機枠と、この機枠に第1回動軸を介して回動可能に取り付けられ、互いに平行に位置する対をなすリンクアームと、これら両リンクアームに第2回動軸を介して回動可能に取り付けられ、下部が地表面下に挿入された状態で溝掘作業を行う左右位置調節可能な土作業体とを備え、前記土作業体は、駆動軸と、この駆動軸に設けられた螺旋刃とを有し、前記土作業体の挿入深さは300〜400mmで、前記第1回動軸の軸線および前記第2回動軸の軸線と前記駆動軸の軸線とがなす角度は約10°であり、前記土作業体の左右位置調節時に、前記作業機昇降支持装置にて前記土作業体全体を地表面より上方の位置まで上昇させてこの土作業体の下端を地表面近傍位置に位置させると、前記第1回動軸の軸線および前記第2回動軸の軸線の各々が略水平な地表面に対して略90°となるものである。
【0006】
求項記載の農作業機は、請求項記載の農作業機において、土作業体は、前進作業状態と後進作業状態とに切り換えられる作業部を有するものである
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の農作業機の一実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0008】
図1ないし図4において、1は農作業機で、走行車であるトラクタ2に作業機昇降支持装置である3点リンク機構3を介して昇降可能に装着されて使用される溝掘機等である。
【0009】
この農作業機1は、図1ないし図4に示すように、トラクタ2の後部に3点リンク機構3を介して昇降可能に装着された機枠4を備えている。
【0010】
そして、この機枠4には、互いに左右に離間対向して平行に位置する対をなす、例えば左右一対をなすリンクアーム(平行リンク)6の前端部が2本の回動軸である第1回動軸7を介して回動可能に取り付けられている。
【0011】
また、これら両リンクアーム6の後端部には、少なくとも一部、例えば下部が地表面G下に挿入された状態(挿入深さは例えば、300〜400mm)で、土作業、例えば溝掘作業を行う土作業体8が2本の回動軸である第2回動軸9を介して回動可能に取り付けられている。
【0012】
この土作業体8は、例えば人力に基づく第1の回動軸7の軸線である回動中心軸線aを中心とする両リンクアーム6の手動回動により、左右位置調節可能となっている。すなわち、この土作業体8は、回動中心軸線aを中心とする両リンクアーム6の手動回動により、センター位置とこのセンター位置から片側にずれたオフセット位置とに左右位置調節可能となっている。
【0013】
なお、機枠4および土作業体8間には、リンクアーム6の回動を規制して土作業体8をセンター位置およびオフセット位置に解除可能に固定するシリンダ等の固定手段10が配置されている。
【0014】
ここで、土作業体8は、例えばリンクアーム6の後端部に第2回動軸9を介して回動可能に取り付けられた機枠部15と、この機枠部15に縦軸16を介して回動可能に取り付けられこの縦軸16を中心とする回動により前進作業状態と後進作業状態とに切り換えられる略縦長状の作業部17とにて構成されている。
【0015】
この機枠部15は、例えばチェーンケース21およびベベルケース22等を有している。また、この機枠部15は、例えばトラクタ2の図示しないPTO軸とユニバーサルジョイント等の連結手段23を介して連結された入力軸24を有し、この入力軸24にはチェーン25およびベベルギヤ26等からなる動力伝達手段27が連結されている。そして、入力軸24から入力された動力が動力伝達手段27を介して作業部17に伝達される。
【0016】
また、この作業部17は、例えばチェーンケース30、排土板31および整形器32等を有している。また、この作業部17は、例えば動力伝達手段27からの動力で駆動回転する駆動軸33を有し、この駆動軸33には下部に螺旋刃34が固着され、上部に跳ね出し板35が固着されている。また、この駆動軸33の上端部が縦軸16を中心として回動可能な回動アーム36の自由端部に回転可能に取り付けられている。
【0017】
そして、図1に示すように、土作業体8の左右位置調節時には、トラクタ2の後部の3点リンク機構3にて土作業体8を地表面Gより上方の位置であって最も低い位置まで上昇させると、第1回動軸7の軸線である回動中心軸線aおよび第2回動軸9の軸線である回動中心軸線bの各々が地表面Gに対して略90°となる。
【0018】
すなわち、土作業体8による土作業時には、第1回動軸7および第2回動軸9の各々は後傾状態となるが、土作業体8が地表面Gからやや離反された左右位置調節時には、回動中心軸線a,bと地表面Gとがなす角度αが略90°となる。
【0019】
また、図1に示すように、側面視で回動中心軸線a,bと土作業体8の駆動軸33の軸線である回転中心軸線cとがなす角度βは、例えば10〜20°である。この角度βは、作業部17の挿入深さに応じて設定されるもの(例えば土作業体8の左右位置調節時に挿入深さが略ゼロとなるような角度)で、例えば挿入深さはが300〜400mmであれば、約10°が最適である。
【0020】
次に、上記一実施の形態の動作を説明する。
【0021】
例えば前進オフセット引きで溝掘作業を行う場合、図3に示すように、作業部17が前進作業状態にある土作業体8をオフセット位置に位置決め固定した状態で、トラクタ2の前進走行により農作業機1全体を圃場において前方に移動させる。すると、入力軸24側からの動力を受けて作業部17の駆動軸33が螺旋刃34等とともに回転中心軸線cを中心として回転すること等により、圃場に溝が形成される。すなわち土作業体8にて溝掘作業が行われる。
【0022】
また、例えば前進センター引きで溝掘作業を行う場合、図4に示すように、作業部17が前進作業状態にある土作業体8をセンター位置に位置決め固定した状態で、トラクタ2の前進走行により農作業機1全体を圃場において前方に移動させる。すると、前進オフセット引きの場合と同様に土作業体8にて溝掘作業が行われる。このとき、土作業体8の駆動軸33の回転中心軸線cは、トラクタ2の左右中心線上に位置する。
【0023】
ここで、例えば前進オフセット引きから前進センター引きに切り換える際、すなわち、土作業体8の位置をオフセット位置からセンター位置に左右位置調節する際には、まず、トラクタ2の3点リンク機構3の作動により、土作業体8全体を地表面Gより上方の位置まで上昇させて、この土作業体8の作業部17の下端を地表面G近傍位置に位置させる。
【0024】
その後、固定手段10を一旦解除してから、両リンクアーム6を回動中心軸線aを中心として手動回動させることにより、土作業体8をセンター位置に位置させる。
【0025】
このとき、第1回動軸7の軸線(回動中心軸線a)および第2回動軸9の軸線(回動中心軸線b)の各々がいずれも略水平な地表面Gに対して略90°となっているため、土作業体8の回動に伴ってこの土作業体8の重心の高さが変位するようなことがなく、土作業体8を比較的小さな力で動かすことができる。
【0026】
なお、例えば溝掘作業終了後、農作業機1を倉庫等へ運搬する場合においては、農作業機1が交通障害とならないように、作業部17が前進作業状態にある土作業体8をセンター位置に位置決め固定して、農作業機1のトラクタ2側方への突出量を減少させる。
【0027】
また、例えば圃場の畦際等において後進溝掘作業を行う場合においては、図4の2点鎖線で示すように、センター位置に位置した状態にある土作業体8の作業部17を縦軸16を中心に手動回動させて前進作業状態から後進作業状態に切り換える。
【0028】
この切換え後、トラクタ2の後進走行により農作業機1全体を圃場において後方に移動させる。すると、前進オフセット引きや前進センター引きの場合と同様に土作業体8にて溝掘作業が行われ、圃場の隅部に未作業部分を残さない。
【0029】
このようにして、上記一実施の形態の農作業機1によれば、土作業体8の左右位置調節の際に、油圧式等の3点リンク機構3にて土作業体8を地表面Gより上方の所望位置まで上昇させると、回動中心軸線a,bが地表面Gに対して略90°となるため、地表面Gが略水平な水平面であれば、従来の構成に比べて、土作業体8を両リンクアーム6の回動により軽く動かすことができ、土作業体8の左右位置調節を簡単にできる。
【0030】
特に、下部が地表面G下に深く挿入された状態で溝掘作業を行うものであってリターン機能を持つような土作業体8であれば、その重量は比較的重いが、そのような重い土作業体8であっても左右位置調節を簡単にできる。
【0031】
なお、農作業機1は、人力に基づくリンクアーム6の手動回動により左右位置調節可能な土作業体8を備えたものには限定されず、例えば、図示しないが、油圧式或い電動式等の駆動手段の駆動力に基づくリンクアーム6の自動回動により左右位置調節可能な土作業体8を備えたもの等でもよい。
【0032】
【発明の効果】
求項の発明によれば、土作業体の左右位置調節時に、作業機昇降支持装置にて土作業体を地表面より上方の位置まで上昇させると、第1回動軸の軸線および第2回動軸の軸線の各々が略水平な地表面に対して略90°となるため、従来の構成に比べて、土作業体の左右位置調節を簡単にできる。
【0033】
請求項の発明によれば、前進作業状態と後進作業状態とに切り換えられる作業部を有する比較的重い土作業体であるにも拘わらず、土作業体の左右位置調節を簡単にできる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の農作業機の一実施の形態を示す左右位置調節時における側面図である。
【図2】 同上農作業機の前進作業時における側面図である。
【図3】 同上農作業機の前進オフセット引き作業時における平面図である。
【図4】 同上農作業機の前進センター引き作業時における平面図である。
【符号の説明】
1 農作業機
2 走行車であるトラクタ
3 作業機昇降支持装置である3点リンク機構
4 機枠
6 リンクアーム
7 第1回動軸
8 土作業体
9 第2回動軸
17 作業部
33 駆動軸
34 螺旋刃
a 第1回動軸の軸線
b 第2回動軸の軸線
c 駆動軸の軸線
G 地表面

Claims (2)

  1. 走行車に作業機昇降支持装置を介して昇降可能に装着される機枠と、
    この機枠に第1回動軸を介して回動可能に取り付けられ、互いに平行に位置する対をなすリンクアームと、
    これら両リンクアームに第2回動軸を介して回動可能に取り付けられ、下部が地表面下に挿入された状態で溝掘作業を行う左右位置調節可能な土作業体とを備え、
    前記土作業体は、駆動軸と、この駆動軸に設けられた螺旋刃とを有し、
    前記土作業体の挿入深さは300〜400mmで、前記第1回動軸の軸線および前記第2回動軸の軸線と前記駆動軸の軸線とがなす角度は約10°であり、
    前記土作業体の左右位置調節時に、前記作業機昇降支持装置にて前記土作業体全体を地表面より上方の位置まで上昇させてこの土作業体の下端を地表面近傍位置に位置させると、前記第1回動軸の軸線および前記第2回動軸の軸線の各々が略水平な地表面に対して略90°となる
    ことを特徴とする農作業機。
  2. 土作業体は、前進作業状態と後進作業状態とに切り換えられる作業部を有する
    ことを特徴とする請求項記載の農作業機。
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