JP4025048B2 - 粘性材料の塗布方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板上に粘性材料を自動的に塗布する粘性材料の塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、回路基板上に電子部品を実装するに際し、部品を回路基板に仮固定するための接着剤や、ソルダーペーストや導電ペーストなどの粘性材料を、回路基板の所定位置に粘性材料塗布装置によって自動的に吐出塗布することが行われている。
【0003】
粘性材料塗布装置は、接着剤塗布ヘッドユニットと、接着剤が塗布される回路基板を載置しこの回路基板をY方向へ移動させるYテーブルと、X方向に接着剤塗布ヘッドユニットを移動させるXロボット部とを有する。接着剤塗布ヘッドユニットは、接着剤の押し出しを行い接着剤の塗布を行う図17に示す吐出ユニット91を複数組設けている。吐出ユニット91は、粘性材料を保持するタンク92と、粘性材料を吐出ノズルに送る吐出ネジ93、管94と、吐出ネジ93を回転させるモータ95と、吐出ノズル96とで構成され、粘性材料塗布装置97に搭載される。
【0004】
このネジ式吐出ユニット91による粘性材料の塗布は、粘性材料を保持したタンク92に空気圧等を用いて、吐出用ネジ93が貫入している管94に粘性材料を送り込み、モータ95を用いて吐出用ネジ93を一定方向に所定の範囲回転させる。これにより、粘性材料を吐出ノズル96に送り込み、吐出ノズル96の先端から所定量の粘性材料を吐出させてプリント基板へ塗布することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、粘性材料塗布装置によって粘性材料を塗布する回路基板は、一般的に全ての電子部品が同じ角度では実装されない。例えば、電子部品には他の電子部品に対して90度や45度の角度で回転して実装されるものもある。このような電子部品に対する接着剤の塗布には、回路基板のランドに位置決め手段等の付設部材が干渉しないように、吐出ノズルを回転させて塗布を行っていた。
しかしながら、従来のネジ式吐出機構では、吐出ノズルの角度を変化させることができないため、複数の角度の吐出ノズルを用いることで様々な角度でプリント基板に実装される部品に対する粘性材料の塗布に対応していた。また、吐出ノズルの角度を変化させることができないため、回路基板の傾き(垂直軸を中心とした回転方向の位置ずれ)に対する角度補正を行うことができず、塗布時の位置精度が低下するという問題があった。
これに対し、吐出ノズルを任意の角度に回転させる回転機構を用いると、吐出ネジ用のモータを含めた吐出ユニット全体を一体回転させる必要があるため、非常に大容量のパワーを有するモータが必要になる。そして、このような一体回転機構の場合、吐出ノズルの回転動作時に生じる吐出ユニットと非回転となる装置本体部との変位により、吐出ネジ用モータ等の配線に負担がかかり、断線する可能性が高くなる不具合がある。
このような不具合を解消する対策として、吐出ネジを含む吐出ユニット本体部分に対して先端ノズル部分を独立させることで、吐出ノズルのみを回転させるようにした粘性材料塗布装置がある。ところが、この装置においては、吐出ノズルと粘性材料供給用の吐出ネジとが独立して回転するため、吐出ノズルの回転を行うと吐出ネジが相対的に回転し、粘性材料がノズルの先端から飛び出したり、引っ込んだりして、ノズル回転後の粘性材料に変形が生じ、粘性材料の塗布が安定して行えない問題があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、回転を伴う吐出ノズルの塗布動作時においても、安定した塗布状態を確保できる粘性材料の塗布方法を提供し、もって、粘性材料塗布回路基板の品質向上を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の粘性材料の塗布方法は、異なる回転角度に回転自在な粘性材料吐出用の吐出ノズルと、該吐出ノズルに対して相対回転して粘性材料をノズル先端へ送る吐出ネジとを動作させて、回路基板上の複数の箇所に、任意の前記回転角度で粘性材料を吐出塗布する粘性材料の塗布方法において、前記吐出ノズルを回転させて前記粘性材料を吐出塗布するに際し、前記吐出ノズルの回転移動量を求める処理を行い、前記吐出ノズルが回転するときに、該吐出ノズルの回転方向及び回転移動量と同一の回転方向及び回転移動量で前記吐出ネジを回転することを特徴とする。
【0007】
この粘性材料の塗布方法では、吐出ノズルが回転するときに、吐出ノズルの回転方向及び回転移動量と、同一の回転方向及び回転移動量で吐出ネジが回転を開始し、吐出ネジの回転動作終了時点において、吐出ノズルと吐出ネジとに相対的な回転位置のずれが生じなくなる。これにより、吐出ノズルの回転に伴って吐出ネジの回転位置が最終的に変位して、ノズル先端から粘性材料が飛び出したり、引っ込んだりすることがなくなり、回転を伴う吐出ノズルの塗布動作時においても、ノズル先端の粘性材料を同じ形状にできる。
【0008】
また、本発明の粘性材料の塗布方法は、異なる回転角度に回転自在な粘性材料吐出用の吐出ノズルと、該吐出ノズルに対して相対回転して粘性材料をノズル先端へ送る吐出ネジとを動作させて、回路基板上の複数の箇所に、任意の前記回転角度で粘性材料を吐出塗布する粘性材料の塗布方法において、前記吐出ノズルを回転させて前記粘性材料を吐出塗布するに際し、前記吐出ノズルの回転加速度を求める処理を行い、前記吐出ノズルが回転するときに、該吐出ノズルの回転方向及び回転加速度と同一の回転方向及び回転加速度で前記吐出ネジを回転することを特徴とする。
【0009】
この粘性材料の塗布方法では、吐出ノズルが回転するときに、吐出ノズルの回転方向及び回転加速度と、同一の回転方向及び回転加速度で吐出ネジの回転を開始する。つまり、吐出ノズルと吐出ネジとは、等加速度運動を行うことになる。このような回転制御を行うことにより、単に、吐出ノズルの目標回転位置へ同一の回転移動量で吐出ネジを回転移動させる場合に生じる回転動作のずれがなくなり、回転開始から回転終了までの間の任意の微小時間における速度が等しくなって、ノズル先端の粘性材料を一定形状のままに安定維持できる。
【0010】
また、本発明の粘性材料の塗布方法は、異なる回転角度に回転自在な粘性材料吐出用の吐出ノズルと、該吐出ノズルに対して相対回転して粘性材料をノズル先端へ送る吐出ネジとを動作させて、回路基板上の複数の箇所に、任意の前記回転角度で粘性材料を吐出塗布する粘性材料の塗布方法において、吐出塗布動作と前記吐出ノズルの回転動作とを同時に行う場合、前記吐出ノズルの回転加速度を求める処理と、該吐出ノズルの回転方向を判断する処理と、前記粘性材料を吐出するための吐出ネジ回転加速度を求める処理とを行い、前記吐出ノズルが前記吐出ネジの吐出回転方向と同一方向に回転するときには、前記吐出ネジ回転加速度に該吐出ノズルの回転加速度を加算した回転加速度で前記吐出ネジの回転を開始する一方、前記吐出ノズルが前記吐出ネジの吐出回転方向と逆方向に回転するときには、前記吐出ネジ回転加速度から該吐出ノズルの回転加速度を減算した回転加速度で前記吐出ネジを回転することを特徴とする。
【0011】
この粘性材料の塗布方法では、吐出ノズルが吐出ネジの吐出回転方向と同一方向に回転するときには、吐出ネジ回転加速度に吐出ノズルの回転加速度を加算した回転加速度で吐出ネジが回転する。一方、吐出ノズルが吐出ネジの吐出回転方向と逆方向に回転するときには、吐出ネジ回転加速度から吐出ノズルの回転加速度を減算した回転加速度で吐出ネジが回転する。この結果、回転動作中の吐出ノズルに対して、吐出ネジが粘性材料吐出のための回転移動量だけ相対回転することになり、吐出ノズルの回転と同時に、粘性材料の吐出動作が行われることになる。これにより、吐出ノズルの回転動作が終了した時点で、粘性材料の吐出も終了し、生産中に吐出ノズルの回転動作を行っても、吐出動作による動作時間の遅延が発生せず、しかも、ノズル先端の粘性材料形状が不安定に変形することがなくなる。
【0012】
また、本発明の粘性材料の塗布方法は、異なる回転角度に回転自在な粘性材料吐出用の吐出ノズルと、該吐出ノズルに対して相対回転して粘性材料をノズル先端へ送る吐出ネジとを動作させて、回路基板上の複数の箇所に、任意の前記回転角度で粘性材料を吐出塗布する粘性材料の塗布方法において、前記吐出ノズルを回転させて前記粘性材料を吐出塗布するに際し、前記吐出ノズルと前記吐出ネジとを連結して該吐出ノズル及び該吐出ネジを一体回転させるとともに、該吐出ノズルの回転終了と同時に前記吐出ノズルと前記吐出ネジとの連結を解除することを特徴とする。
【0013】
この粘性材料の塗布方法では、吐出ノズルを回転させて粘性材料を吐出塗布する場合に、吐出ノズルの回転軸と吐出ネジとを連結して、吐出ノズル及び吐出ネジを一体回転させる。これにより、吐出ノズルの回転に基づいて吐出ネジを回転制御しなくても、簡便かつ確実に、吐出ノズルと吐出ネジとが等加速度運動を行うことになり、ノズル先端の粘性材料を一定形状のままに安定維持できる。なお、吐出ノズルの回転後には、吐出ノズルと吐出ネジとの連結が解除され、吐出ネジは、吐出ノズルの回転軸と独立して、通常の吐出回転動作を行うことになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る粘性材料の塗布方法の好適な実施の形態に付いて図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る粘性材料の塗布方法に使用する粘性材料塗布装置の概略構成を示した斜視図、図2は図1に示した回路基板搬送機構部の拡大斜視図、図3は図1に示した粘性材料塗布ヘッドユニットの拡大斜視図、図4は図3に示した吐出ノズルの拡大断面図、図5は吐出ノズル先端の側面視を(a)、下面視を(b)で示した説明図、図6は2つの吐出口を有する吐出ノズル先端の側面視を(a)、下面視を(b)で示した説明図、図7は粘性材料の一箇所の塗布パターンを(a)、二箇所の塗布パターンを(b)、90度回転させた二箇所の塗布パターンを(c)、四箇所の塗布パターンを(d)で示した説明図、図8は回路基板上の部品実装位置と、粘性材料塗布位置との関係を表した平面図、図9は本発明の第1の実施の形態に用いる吐出ユニットの概略の構成を表した概念図である。
【0015】
粘性材料塗布装置の全体構成を示す図1において、1は電子回路基板を所定の状態に保持できるように構成された保持テーブルであり、Y軸ロボット2に取付けられ、基板を保持して前後方向(Y軸方向)に移動可能である。3は水平面内でY軸ロボット2の移動方向と直交する方向(X軸方向)に移動可能に配置されたX軸ロボットであり、粘性流体塗布装置のヘッド部4を保持し、これをX軸方向に移動させる。ヘッド部4には、XY面に垂直な上下方向(Z軸方向)にそれぞれ移動可能な複数本の吐出ユニットを備えている。5は保持テーブル1への基板の搬入を行うローダー部、6は搬出を行うアンローダー部である。
【0016】
図2に示すように、保持テーブル1の左右には、ローダー部5とアンローダー部6が配設されている。ローダー部5は2本のレール8からなり、それぞれのレール8に基板を運ぶベルト8aが設けられている。アンローダー部6は2本のレール9からなり、それぞれのレール9に基板を運ぶベルト9aが設けられている。8b、9bはそれぞれベルト8a、9aを駆動するモータである。
【0017】
ローダー部5の先端に設けられたセンサ7が基板を検出すると、モータ8bが回転してベルト8aが送られ、基板を保持テーブル1に搬送する。保持テーブル1にもレール10が配設されるとともに、同様のベルト11が設けられており、モータ13の作動によりベルト11が回転して基板はさらに搬送され、ストッパ12に当たって止まり、ストッパ12下のセンサが基板を検出後、ある一定時間後にモータ13が停止するように構成されている。
【0018】
その後、基板を固定するため、サポートプレート14がその下のシリンダ(図示せず)の動作によって上昇し、サポートプレート14上にある複数のサポートピン15によって基板を下方から支持する。サポートピン15は容易に任意の位置に配置できるようにサポートプレート14にある複数の穴に差し込んで配置されている。上方からは、アッパーレール16が下降して基板の端部を押さえ、基板が所定の状態で保持される。
【0019】
図3に示すように、ヘッド部4は、先端に吐出ノズル34を有し接着剤を吐出ノズル34から吐出させる3組の吐出ユニット29a,29b,29cと、それぞれの吐出ユニット29a,29b,29cに対して吐出ノズル34を含む部分をノズルの軸方向に沿って待機位置と塗布位置との間でそれぞれ移動させる1つのノズル移動装置23と、それぞれの吐出ユニット29a,29b,29cに対して吐出ノズル34を軸回り方向に回転させる1つの接着剤塗布部材用回転装置24とを備え、制御装置53によりそれぞれが制御される。なお、本実施形態における吐出ノズルの軸方向とは、回路基板42の厚み方向に平行な方向であり、垂直方向である。
【0020】
吐出ユニット29には、例えば大形部品用、小型部品用、微小部品用の3種の吐出ノズル34が設けられている。ノズルの形状及び寸法は互いに異なっており、装着する部品の形状に応じてノズル移動装置23により適宜切り替えて使用される。
ノズル移動装置23は、駆動部25と、移動させる吐出ユニットを選択する選択部26とを備える。
駆動部25は、モータ71の出力軸に連結されるボールネジ72と、これに係合するボールネジ用ナット73とを有し、ボールネジ用ナット73に一端部分が支持されたアーム75を、ボールネジ72の軸方向に沿って待機位置と塗布位置との間で移動自在にしている。また、アーム75には、各吐出ユニット29a,29b,29cに備わる移動用部材76に係合するカムフォロワ77,77,77が備えられ、それぞれの移動用部材76を、対応する各カムフォロワ77側へ押圧するように付勢するスプリング78,78,78が設けられている。
選択部26は、選択されなかった吐出ユニットの構成部分を待機位置に配置させる装置であり、待機位置に対応する位置にてフレーム部材79に固定される。
このように構成されるノズル移動装置23により、制御装置53で選択された吐出ユニット29のユニット本体31をアーム75と同様に待機位置と塗布位置との間で移動させることができる。
【0021】
接着剤塗布部材用回転装置24は、上述のように各吐出ユニット29a,29b,29cにおける構成部分を軸回り方向に回転させる装置であり、図示しないモータの出力軸に取り付けられ、この出力軸の軸回り方向に回転するプーリ80と、プーリ80の回転を各吐出ユニット29a,29b,29cのユニット本体31に備わるプーリ44に伝達するタイミングベルト45とを備える。
【0022】
上述したように、ヘッド部4は、制御装置53から選択されていない吐出ユニット29に対しては、吐出ユニット29を塗布を行わない上方位置まで上昇させるように構成され、制御装置53から吐出ユニット29の選択指令が出力されると、対応する吐出ユニット29は、待機位置よりも多少下げられた高さに位置される。この状態で、モータ71が駆動されると、対応する吐出ユニット29が上下動作するようになっている。
【0023】
また、図4に示すように、吐出ユニット29は、ユニット本体31をボールベアリング32を介して支持部33に回転自在に支持している。ユニット本体31は、上下方向に長い中空部を有したケーシング35と、このケーシング35の中空部に回転自在に収容される吐出ネジ36と、ケーシング35の側部から中空部に連通する粘性材料供給管37と、吐出ネジ36を回転させる駆動軸38とから主要部が構成される。
【0024】
ユニット本体31は、鉛直方向の中心軸回りに、支持部33に対して任意な角度で回転自在となる。ユニット本体31は、ユニット本体31の外周に嵌着したプーリ44にベルト45が掛けられ、このベルト45を介して後述するモータ49からの駆動力が伝達されて回転される。これにより、回路基板のランドに、位置決め手段等の付設部材(後述のストッパ等)が干渉しないようになっている。また、粘性材料供給管37から供給された接着剤は、駆動軸38の駆動により、吐出ネジ36が回転することで、接着剤をケーシング空間の下方へ移動させて、下端のノズル39から吐出するようになっている。
【0025】
この吐出ユニット29は、吐出ネジ36を含む吐出ユニット本体部分に対して、先端ノズル部(吐出ノズル34)を、ボールベアリング32を介して独立させることで、ユニット本体31のみが回転するようになっている。一方、吐出ネジ36は、吐出ユニット本体に回転自在に支持固定されている。従って、この吐出ユニット29では、ユニット本体31と吐出ネジ36とが独立して回転するため、ユニット本体31のみが回転すると、ユニット本体31に対して吐出ネジ36が相対回転することになる。
【0026】
図5に示すように、ユニット本体31の下端にはノズル39と平行に下向きに突出したストッパ41が設けられている。ストッパ41は、ノズル39の先端より距離sだけ若干長く突出している。これにより、回路基板にストッパ41を当接させた状態で、ノズル39と回路基板とには粘性材料吐出のための僅かな間隙が形成されるようになっている。
【0027】
吐出ノズル34は、図5に示した一組のノズル39とストッパ41とを備えるものの他、図6に示すように、複数(図示の例では二組)のノズル開口39aとストッパ41とを備えるものもある。これらの吐出ノズル34を用いることで、図7に示すように、一箇所の粘性材料40の塗布、同時二箇所の粘性材料の塗布、二箇所を90度回転させた塗布、多数箇所の同時塗布が可能となっている。これにより、図8に示すように、異なる向きで回路基板42に実装される電子部品43に対応した位置で、同時に複数箇所の粘性材料塗布を可能にしている。
【0028】
さらに、吐出ユニット29は、図9に概略構成を示すように、粘性材料47を保持するタンク48と、吐出ネジ36を回転させるネジ回転モータ49と、ユニット本体31を回転させるノズル回転モータ50とを備えている。これらネジ回転モータ49と、ノズル回転モータ50とは、制御装置53の一部である吐出ユニット制御手段51に接続されて、回転制御が行われるようになっている。なお、図9中、52は、ネジ回転モータ49と駆動軸38とを連結するジョイントを示す。また、粘性材料としては、例えば熱硬化型の接着剤が用いられる。
【0029】
次に、以上のようにして構成された吐出ユニット29を用いての粘性材料の塗布方法を説明する。
図10は本発明の第1の実施の形態による塗布方法の基本動作の手順を表すフローチャート、図11は本発明の第1の実施の形態による塗布方法の動作手順を表すフローチャート、図12は本発明の第1の実施の形態による塗布方法の吐出ネジ駆動モータのパルス波形(b)を比較例(a)と共に表した説明図である。
【0030】
吐出ユニット29は、ノズル回転用のモータ50を所定の位置に動作させる回転情報によって、吐出ネジ36がユニット本体31と同一回転位置になるように移動位置を算出し、モータ50の動作に同期してモータ49も動作するように制御される。ユニット本体31の回転終了後は、通常の吐出動作と同様に、粘性材料47を保持したタンク48に空気圧等を作用させて、ケーシング35に粘性材料47を送り込み、モータ49を駆動して吐出ネジ36を一定方向に所定の範囲回転させることで、ノズル39の先端から所定量の粘性材料47を回路基板へ塗布する。この際、吐出ユニット29は、ユニット本体31の回転移動量を求める処理を行い、ユニット本体31が回転するときに、ユニット本体31の回転方向及び回転移動量と同一の回転方向及び回転移動量で、吐出ネジ36の回転を開始する基本動作を行う。
【0031】
この基本動作は、図10に示す処理手順によって行われる。即ち、ステップ1(以降、S1と略記する)では、塗布動作において吐出ノズル(回転軸)31の回転を行うかを判定し、制御処理を切り替える。S2では、ユニット本体31の回転に追従させるための吐出ネジ(ネジ軸)36の移動量を、ユニット本体31の現在値と目標位置とにより、同じ位置に移動する値を求め、所定のアドレスに求めた移動量を設定する。S3では、ユニット本体31の動作スタート命令に合わせて、吐出ネジ36にも動作スタート命令を発行する。S4では、吐出制御を行うために、生産プログラムで設定されている吐出時間より吐出ネジ36の移動量を求め、所定のアドレスに求めた移動量を設定する。S5では、所定のタイミングで動作スタート命令を発行し、設定した移動値になるまで所定の速度で吐出ネジ36を動作させる。
【0032】
この塗布方法によれば、ユニット本体31が回転するときに、ユニット本体31の回転方向及び回転移動量と同一の回転方向及び回転移動量で吐出ネジ36が回転を開始し、吐出ネジ36の回転動作終了時点において、ユニット本体31と吐出ネジ36とに相対的な回転位置のずれが生じなくなる。これにより、ユニット本体31の回転に伴って吐出ネジ36の回転位置が最終的に変位して、ノズル先端から粘性材料47が飛び出したり、引っ込んだりすることがなくなり、回転を伴うユニット本体31の移動塗布動作時においても、ノズル先端の粘性材料47を同じ形状にできる。
【0033】
更に、本実施の形態のユニット本体31と吐出ネジ36とを同一の移動量で移動させる塗布方法においては、吐出ネジ36を回転させるモータ49の速度、加速度を、ユニット本体31を回転させるモータ50と同様になるよう吐出ユニット制御手段51で演算し制御することが好ましい。
【0034】
この動作は、図11に示す処理手順によって行われる。即ち、S1では、塗布動作においてユニット本体31の回転を行うかを判定し、制御処理を切り替える。S31では、ユニット本体31の回転に追従させるための吐出ネジ36の速度、加速度の値を求め、所定のアドレスに求めた速度、加速度を設定する。S2では、ユニット本体31の回転に追従させるための吐出ネジ36の移動量を、ユニット本体31の現在値と目標位置とにより求め、所定のアドレスに求めた移動量を設定する。
【0035】
S3では、ユニット本体31の動作スタート命令に合わせて、吐出ネジ36にも動作スタート命令を発行する。S32では、ユニット本体31の回転終了である吐出ネジ36の動作停止を検出した後に、通常の粘性材料47を吐出する条件に戻すための粘性材料吐出用の速度、加速度データを所定のアドレスに設定する。S4では、吐出制御を行うために、生産プログラムで設定されている吐出時間より、吐出ネジ36の移動量を求め、所定のアドレスに求めた移動量を設定する。S5では、所定のタイミングで吐出ネジ36に動作スタート命令を発行し、設定した移動値になるまで所定の速度で動作させる。
【0036】
この加速度を考慮した塗布方法について、図12を参照して更に説明する。図12(a)は、吐出ネジ36の速度、加速度を変更せずに、ノズル回転制御を行った比較例におけるパルスモータ49の駆動電圧波形を示す。この場合、ユニット本体31が目標速度に到達するまで加速度制御を行っているのに対し、吐出ネジ36は、パルス波による等速制御を行っている。このため、ユニット本体31が停止した後も、吐出ネジ36は目標位置に到達するまで回り続ける。一方、図12(b)に示すように、上記した加速度を考慮した塗布方法では、吐出ネジ36の速度、加速度を、ユニット本体31の速度、加速度を元に変更し、吐出ネジ36とユニット本体31とが同期して動作を行う。
【0037】
このような加速度を考慮した塗布方法によれば、ユニット本体31が回転するときに、ユニット本体31の回転方向及び回転加速度と同一の回転方向及び回転加速度で吐出ネジ36が回転を開始する。つまり、ユニット本体31と吐出ネジ36とは、等加速度運動を行うことになる。このような回転制御を行うことにより、単に、ユニット本体31の目標回転位置へ同一の回転移動量で吐出ネジ36を回転移動させる場合に生じる回転動作のずれがなくなり、回転開始から回転終了までの間の任意の微小時間における速度が等しくなって、ノズル先端の粘性材料47を一定形状のままに安定維持できる。
【0038】
次に、本発明に係る塗布方法の第2の実施の形態を説明する。
図13は本発明の第2の実施の形態による塗布方法の動作手順を表すフローチャート、図14は本発明の第2の実施の形態による塗布方法の吐出ネジ駆動モータのパルス波形(b)を比較例(a)と共に表した説明図である。
【0039】
本実施の形態による塗布方法は、ユニット本体31を回転させて粘性材料47を吐出塗布する場合に、ユニット本体31の回転加速度を求める処理と、ユニット本体31の回転方向を判断する処理と、粘性材料47を吐出するための吐出ネジ回転加速度を求める処理とを行う。そして、ユニット本体31が吐出ネジ36の吐出回転方向と同一方向に回転するときには、吐出ネジ回転加速度にユニット本体31の回転加速度を加算した回転加速度で吐出ネジ36の回転を開始する。
一方、ユニット本体31が吐出ネジ36の吐出回転方向と逆方向に回転するときには、吐出ネジ回転加速度からユニット本体31の回転加速度を減算した回転加速度で吐出ネジ36の回転を開始する。
【0040】
この動作は、図13に示す処理手順によって行われる。即ち、図13において、S1では、塗布動作においてノズル回転を行うか判定し制御処理を切り替える。S51では、ノズル回転動作の方向が吐出動作の方向か判断し制御処理を切り替える。S52では、ノズル回転に追従させるための吐出ネジ36の移動量をユニット本体31の現在値と目標位置とにより求め、更に吐出動作とノズル回転動作が同じ方向に移動することから、求めた移動値に吐出用の移動値を足した値を所定のアドレスに設定する。
【0041】
S53では、ノズル回転に追従させるための吐出ネジ36の移動量を、ユニット本体31の現在値と目標位置とにより求め、更に吐出動作とノズル回転動作が異なる方向に移動することから、求めた移動値から吐出用の移動値を引いた値を所定のアドレスに設定する。S54では、ユニット本体31の移動値、速度、加速度より移動時間を求め、吐出ネジ36の移動値より同時間で移動が完了する速度、加速度を求め、所定のアドレスに設定する。
【0042】
S3では、ユニット本体31の動作スタート命令に合わせて、吐出ネジ36にも動作スタート命令を発行する。S32では、ノズル回転終了、つまり吐出ネジ36の動作停止を検出した後に、粘性材料47を吐出する条件に戻すために、吐出用の速度、加速度データを所定のアドレスに設定する。S4では、吐出制御を行うために、生産プログラムで設定されている吐出時間より、吐出ネジ36の移動量を求め、所定のアドレスに求めた移動量を設定する。S5では、所定のタイミングで吐出ネジ36に動作スタート命令を発行し、設定した移動値になるまで所定の速度で動作させる。
【0043】
この塗布方法について、図14を参照して更に説明する。 図14(a)は、ノズル回転動作の後に吐出動作を行っている比較例の波形を示す。吐出ネジ36は、ユニット本体31の動作が目標位置に到達するまで同期動作を行って、移動完了後、吐出ネジ36が吐出動作を実施する。
一方、図14(b) に示すように、上記した塗布方法では、ノズル回転動作の中で、吐出ネジ36の移動値、速度、加速度を調整し、ユニット本体31と同期させる回転移動に、粘性材料47を吐出させる回転移動を加えている。
【0044】
このようなユニット本体31の回転と吐出ネジ36の吐出とを同時に行う塗布方法によれば、ユニット本体31が吐出ネジ36の吐出回転方向と同一方向に回転するときには、吐出ネジ回転加速度にユニット本体31の回転加速度を加算した回転加速度で吐出ネジ36が回転し、ユニット本体31が吐出ネジ36の吐出回転方向と逆方向に回転するときには、吐出ネジ回転加速度からユニット本体31の回転加速度を減算した回転加速度で吐出ネジ36が回転する。つまり、回転動作中のユニット本体31に対して、吐出ネジ36が粘性材料吐出のための回転移動量だけ相対回転することになり、ユニット本体31の回転と同時に、粘性材料47の吐出動作が行われることになる。これにより、ユニット本体31の回転動作が終了した時点で、粘性材料47の吐出も終了し、生産中にユニット本体31の回転動作を行っても、吐出動作による動作時間の遅延が発生せず、しかも、ノズル先端の粘性材料形状が不安定に変形することがなくなる。
【0045】
次に、本発明に係る塗布方法の第3の実施の形態を説明する。
図15は本発明の第3の実施の形態に用いる吐出ユニットの概略の構成を表した概念図、図16は本発明の第3の実施の形態による塗布方法の動作手順を表すフローチャートである。なお、図9に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本発明の塗布方法を実施する吐出ユニット61は、吐出ネジ36、タンク48と、ネジ回転モータ49と、ノズル回転モータ50と、吐出ユニット制御手段51とを吐出ユニット29と同様な構成で有している。一方、吐出ユニット61は、ユニット本体31と吐出ネジ36とを固定して相対回転不能に連結する電磁クラッチ62と、吐出ネジ36の励磁制御用のリレー63と、電磁クラッチ62、リレー63を制御する制御ユニット64とを有している。
【0046】
本実施の形態による塗布方法は、ユニット本体31を回転させて粘性材料47を吐出塗布する場合に、ユニット本体31と吐出ネジ36とを連結してユニット本体31及び吐出ネジ36を一体回転させる。また、ユニット本体31の回転終了と同時にユニット本体31と吐出ネジ36との連結を解除し、通常の吐出と同様に粘性材料47をタンク48に送り込み、モータ49を用いて吐出ネジ36を一定方向に所定の範囲回転させることで、ユニット本体31の先端から所定量の粘性材料47を吐出させる。
【0047】
この動作は、図16に示す処理手順によって行われる。即ち、図16において、S1では、塗布動作においてノズル回転を行うか判定し制御処理を切り替える。S71では、ノズル回転動作前に吐出ネジ36のモータ49の励磁を解除し、ユニット本体31と吐出ネジ36を一緒に動作するように固定する。S72では、吐出ネジ36をユニット本体31に固定した状態で、ユニット本体31を所定位置まで回転させる。
【0048】
S73では、ノズル回転動作完了後に、吐出ネジ36のモータ49を励磁させ、ユニット本体31と吐出ネジ36の固定を解除する。S4では、吐出制御を行うために、生産プログラムで設定されている吐出時間より、吐出ネジ36の移動量を求め、所定のアドレスに求めた移動量を設定する。S5では、所定のタイミングで吐出ネジ36に動作スタート命令を発行し、設定した移動値になるまで所定の速度で動作させる。
【0049】
この実施の形態による塗布方法によれば、ユニット本体31を回転させて粘性材料47を吐出塗布する場合に、ユニット本体31と吐出ネジ36とを連結して、ユニット本体31及び吐出ネジ36を一体回転させる。これにより、ユニット本体31の回転に基づいて吐出ネジ36を回転制御しなくても、簡便かつ確実に、ユニット本体31と吐出ネジ36とが等加速度運動を行うことになり、ノズル先端の粘性材料47を一定形状のままに安定維持できる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る粘性材料の塗布方法によれば、吐出ノズルが回転するときに、吐出ノズルの回転方向及び回転移動量と、同一の回転方向及び回転移動量で吐出ネジの回転を開始するので、吐出ネジの回転動作終了時点において、吐出ノズルと吐出ネジとに相対的な回転位置のずれが生じなくなる。これにより、吐出ノズルの回転に伴って吐出ネジの回転位置が最終的に変位して、ノズル先端から粘性材料が飛び出したり、引っ込んだりすることがなくなり、回転を伴う吐出ノズルの移動塗布動作時においても、ノズル先端の粘性材料を同じ形状にでき、安定した塗布状態を確保して、粘性材料塗布回路基板の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る粘性材料の塗布方法に使用する粘性材料塗布装置の概略構成を示した斜視図である。
【図2】 図1に示した回路基板搬送機構部の拡大斜視図である。
【図3】 図1に示した粘性材料塗布ヘッドユニットの拡大斜視図である。
【図4】 図3に示した吐出ノズルの拡大断面図である。
【図5】 吐出ノズル先端の側面視を(a)、下面視を(b)で示した説明図である。
【図6】 2つの吐出口を有する吐出ノズル先端の側面視を(a)、下面視を(b)で示した説明図である。
【図7】 粘性材料の一箇所の塗布パターンを(a)、二箇所の塗布パターンを(b)、90度回転させた二箇所の塗布パターンを(c)、四箇所の塗布パターンを(d)で示した説明図である。
【図8】 回路基板上の部品実装位置と、粘性材料塗布位置との関係を表した平面図である。
【図9】 本発明の第1の実施の形態に用いる吐出ユニットの概略の構成を表した概念図である。
【図10】 本発明の第1の実施の形態による塗布方法の基本動作の手順を表すフローチャートである。
【図11】 本発明の第1の実施の形態による塗布方法の動作手順を表すフローチャートである。
【図12】 本発明の第1の実施の形態による塗布方法の吐出ネジ駆動モータのパルス波形(b)を比較例(a)と共に表した説明図である。
【図13】 本発明の第2の実施の形態による塗布方法の動作手順を表すフローチャートである。
【図14】 本発明の第2の実施の形態による塗布方法の吐出ネジ駆動モータのパルス波形(b)を比較例(a)と共に表した説明図である。
【図15】 本発明の第3の実施の形態に用いる吐出ユニットの概略の構成を表した概念図である。
【図16】 本発明の第3の実施の形態による塗布方法の動作手順を表すフローチャートである。
【図17】 従来の塗布方法に用いる吐出ユニットの構成を表す説明図である。
【符号の説明】
31 吐出ノズル(回転軸)
36 吐出ネジ(ネジ軸)
47 粘性材料
Claims (1)
- 異なる回転角度に回転自在な粘性材料吐出用の吐出ノズルと、該吐出ノズルに対して相対回転して粘性材料をノズル先端へ送る吐出ネジとを動作させて、回路基板上の複数の箇所に、任意の前記回転角度で粘性材料を吐出塗布する粘性材料の塗布方法において、
吐出塗布動作と前記吐出ノズルの回転動作とを同時に行う場合、前記吐出ノズルの回転加速度を求める処理と、該吐出ノズルの回転方向を判断する処理と、前記粘性材料を吐出するための吐出ネジ回転加速度を求める処理とを行い、
前記吐出ノズルが前記吐出ネジの吐出回転方向と同一方向に回転するときには、前記吐出ネジ回転加速度に該吐出ノズルの回転加速度を加算した回転加速度で前記吐出ネジの回転を開始する一方、前記吐出ノズルが前記吐出ネジの吐出回転方向と逆方向に回転するときには、前記吐出ネジ回転加速度から該吐出ノズルの回転加速度を減算した回転加速度で前記吐出ネジを回転することを特徴とする粘性材料の塗布方法。
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