JP4024617B2 - 画像読み取り装置の光源 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読み取り装置の光源に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やスキャナ、更にはプリンタやファクシミリ等の機能を兼ね備えたマルチファンクションプリンタは、原稿面に描かれた画像を光学的に読み取る画像読み取り装置を備えている。
【0003】
上記画像読み取り装置としては縮小光学方式(縮小CCD方式)がよく知られているが、この縮小光学方式には、レンズの焦点深度を大きくとることによって原稿台から原稿が浮いた状態でも鮮明な画像を得ることができるという利点がある一方、装置が大型になるという欠点があった。そこで、装置の小型化・薄型化を配慮するときは、通常、図6に示すように、等倍正立で原稿からの情報をセンサ108に導く密着方式を用いる。
【0004】
すなわち、原稿面106の上方に、2つのLED アレイ112を左右対称に所定の傾斜をつけて配置する。この2つのLED アレイ112の中間上方位置にロッドレンズアレイ121を配置する。このロッドレンズアレイ121によって、上記原稿面106に照射された光を受ける。
【0005】
ここで、上記LED アレイ112は、図7に示すように、多数のLED 素子125を基板124上に配列してなる。また、上記ロッドレンズアレイ121は、図8に示すように、円柱形状のロッドレンズ122を所定数隣接させて配列し、基板124で挟み込んだ構成になっている。
【0006】
このような密着方式を用いると、原稿面106とロッドレンズ122との距離を小さくできるので装置全体をかなり小さくすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、装置の小型化を進めるには光源をできるだけ原稿面に近接配置することも重要である。しかしながら、上記従来のLED アレイは点光源の集合であるため、この光源と原稿面とがある程度の距離を保たないと照度の均一性を確保できない。すなわち、上記従来のLED アレイを用いて装置の小型化を進めるには限度があった。
【0008】
そこで、本願出願人は、以下に説明するエレクトロルミネッセンス膜を面発光光源として用いることを特願2000-217561号等で提案している。
【0009】
すなわち、図9に示すように、主走査方向に長いガラスあるいは透明樹脂等の透明基板101上に透明電極膜103を形成し、その上面に光媒体としてのエレクトロルミネッセンス膜100を形成し、更に、その上面に金属電極102を積層する。また、このような面発光光源をカラーで実現する場合は、主走査方向の照度を均一にする必要上、図10に示すように、R (赤)・G(グリーン) ・B (ブルー)の各色に対応する等幅のエレクトロルミネッセンス膜100r ・100g・100bを副走査方向に形成する。
【0010】
図11に示すように、2つの面発光光源5を相互に所定間隔を保って原稿9の上方に左右対称に配置する。これによって、原稿9に照射された光は、2つの面発光光源5の中間上方位置に配置したレンズ14を介してセンサ1に導かれる。
【0011】
面発光光源5を読み取り位置Paに近づけても、この読み取り位置Paにおいて均一な照度を得ることができる。すなわち、上記従来のLED アレイに代えて、本出願人が提案する面発光光源5を採用すれば、装置の小型化を進めることができる。
【0012】
しかしながら、上記エレクトロルミネッセンス膜100r ・100g・100bを採用した面発光光源には、寿命が短いという課題があった。すなわち、図10に示すように、どこか一点Xにでも膜厚が薄い等の欠陥があると、この抵抗値の低い一点Xに電流が集まって、ここからエレクトロルミネッセンス膜100bが焼き切れてしまう。
【0013】
本発明は、上記従来の事情に基づいて提案されたものであって、主走査方向の照度を均一にしながら画像読み取り装置の光源の長寿命化を図ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために以下の手段を採用している。
【0015】
すなわち、本発明は、透明電極・面発光体・金属電極の順で透明基板上にそれぞれの膜層が形成されて、上記2つの電極間に所定の電圧が印加されることによって発光する面発光体を用いた画像読み取り装置の光源を前提としている。そして、その光源は、面積が光源の寿命と開口率との相関関係に基づいて決定された面発光体をR (赤)・G(グリーン) ・B (ブルー)の各色として副走査方向に配列した面発光体列が、又は面積が光源の寿命と開口率との相関関係に基づいて決定された単色の面発光体が、複数主走査方向に繰り返し配列されており、面発光体の複数が同時に発光することを特徴とする。
【0016】
このように、発光領域を複数の面発光体に分割した構成によれば、どこか一点に膜厚が薄い等の欠陥がある場合でも、この抵抗値の低い一点に集まる電流は僅かとなるため、ここから膜が焼き切れてしまうという不具合は生じない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって詳細に説明する。なお、以下の説明では、1発光領域を構成する面発光体を「発光素子」という場合がある。
(実施の形態1)
本発明は、上記従来と同様、透明電極・面発光体・金属電極の順で透明基板上に膜層を形成し、上記2つの電極に所定の電圧を印加することによって発光する画像読み取り装置の光源を前提としている。ここでは、図11で示したように、2つの光源5を備える構成を前提として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、2つの光源を備える構成だけでなく、そのうちの一方の光源のみ備える構成も本発明の適用範囲である。
【0018】
以下、本発明の構成を上記従来と異なる点のみ説明する。
【0019】
まず、本発明では、図1に示すように、R (赤)・G(グリーン) ・B (ブルー)の各色に対応する等幅・等長さの面発光体5r・5g・5bを副走査方向に配列した面発光体列Gを、主走査方向に繰り返し配列した。
【0020】
このように、面発光体の発光領域を細かく分割した構成によれば、どこか一点に膜厚が薄い等の欠陥がある場合でも、この抵抗値の低い一点に集まる電流は僅かとなる。したがって、ここから膜が焼き切れてしまうという不具合は生じない結果、画像読み取り装置の光源の長寿命化を図ることが可能である。
【0021】
なお、この図に示すリードRr・Rg・Rbはそれぞれ面発光体5r・5g・5b用の透明電極と接続されており、また、リードRcは金属電極(共通電極)と接続されている。
【0022】
ところで、発光素子間には、その形成プロセス上、ある一定の間隔を設ける必要がある。したがって、面発光体の発光領域をあまりに細かく分割すると、光源の全領域のうち発光領域が占める割合(以下「開口率」という)が低くなってしまう。
【0023】
そこで、本発明では、発光素子の最適な面積を決める必要上、図2に示すように、幅2.5mmで長さLdを色々変えた発光素子に関して、その寿命を測定した。この結果、図3に示すように、発光素子の面積が広くなるにつれ、寿命は放物線状に短くなり、また、開口率は直線状に高くなることがわかった。
【0024】
発光素子の長さは3mm程度にするのが一番適当と思われる。すなわち、発光素子の面積を7.5mm2(2.5mm×3mm)程度にすると、80%以上の開口率が得られるとともに、8000hr以上の寿命が得られることがわかった。
【0025】
以上のように、面発光体の面積を光源の寿命と開口率との相関関係から決定される面積に対応させれば、満足な開口率を得ながら画像読み取り装置の光源の長寿命化を図ることが可能である。
【0026】
なお、ここでは、発光素子の面積を7.5mm2程度にしたときに一番適当と思われる結果を得ることができたが、この面積は特に限定されるものではない。すなわち、光源の寿命と開口率との相関関係は、発光素子の膜厚、膜生成のプロセス条件、装置のクリーン度などの諸条件に依存する。したがって、一番適当と思われる発光素子の面積も、これら諸条件によって変化することになる。
【0027】
また、ここではモノクロ面発光光源を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、面発光体の面積を光源の寿命と開口率との相関関係から決定される面積に対応させる点は、カラー面発光光源においても同じである。(実施の形態2)
ところで、発光素子を駆動するには、図4に示すように、発光素子Lそれぞれを個々の定電流源Mによって駆動するのが簡単であるが、このような構成によるとコストが上がってしまう。すなわち、コストの面を考えると、複数の発光素子を1つの定電流源によって駆動する構成を採用するのが好ましい。
【0028】
しかしながら、単純に複数の発光素子を1つの定電流源によって駆動する構成を採用すると、光源の長寿命化という効果を損ねてしまう。ある発光素子のどこか一点にでも膜厚が薄い等の欠陥があると、他の発光素子に流れるべき電流が当該発光素子上の一点に集まって、ここから膜が焼き切れてしまうからである。
【0029】
そこで、本発明では、コストの上昇を招くことなく且つ光源の長寿命化という効果を損ねないようにするために、以下の構成によって発光素子を駆動するようにした。
【0030】
すなわち、図5(a)に示すように、抵抗体Nを介して複数の発光素子Lと1つの定電流源Mとを電気的に接続する。この抵抗体Nの抵抗値は特に限定されるものではないが、発光素子Lの抵抗値より遥かに大きな値としておく。
【0031】
このようにすれば、ある発光素子のどこか一点にでも膜厚が薄い等の欠陥がある場合でも、抵抗体と発光素子との抵抗値の総和には殆ど影響がないので、他の発光素子に流れるべき電流が当該発光素子上の一点に集まることはない。
【0032】
あるいは、図5(b)に示すように、複数の抵抗体Nと発光素子Lとを接続して、それぞれの両端に所定の電圧を印加すべく定電圧源Oを接続するようにしてもよい。このような構成によっても、抵抗体Nの抵抗値を発光素子Lの抵抗値より遥かに大きな値としておけば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0033】
以上のように、本発明では、コストの上昇を招くことなく且つ光源の長寿命化という効果を損ねない構成で、発光素子を駆動するようにしている。
【0034】
なお、ここでは、複数の発光素子と1つの定電流源とを接続するとだけ説明したが、1つの定電流源と接続する発光素子の数は特に限定されるものではない。すなわち、全発光素子を1つの定電流源と接続するようにしてもよいし、あるいは、RGB各色に対応する発光素子ごとに1つの定電流源を接続するようにしてもよいし、さらには、図1に示す面発光体列Gごとに1つの定電流源を接続するようにしてもよい。もちろん、1つの定電圧源と接続する発光素子の数についても同じことがいえる。
【0035】
また、上記の説明では、画像読み取り装置の光源を例示しているが、プリントヘッドのような画像書き込み装置の光源に対して本発明を適用するようにしてもよい。すなわち、透明電極・面発光体・金属電極の順で透明基板上に膜層を形成し、上記2つの電極に所定の電圧を印加することによって発光する光源である以上、本発明を適用することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、どこか一点に膜厚が薄い等の欠陥がある場合でも、この抵抗値の低い一点に集まる電流は僅かとなるので、ここから膜が焼き切れてしまうという不具合は生じない結果、画像読み取り装置の光源の長寿命化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したカラー面発光光源の構成図
【図2】実験に用いた面発光光源の構成図
【図3】寿命と開口率との関係を示す図
【図4】発光素子を駆動する構成を示す図
【図5】発光素子を駆動する構成を示す図
【図6】従来の画像読み取り装置の構成図
【図7】従来の画像読み取り装置が備える光源の斜視図
【図8】従来の画像読み取り装置が備えるロッドレンズアレイの斜視図
【図9】エレクトロルミネッセンス膜を用いたモノクロ面発光光源の斜視図
【図10】エレクトロルミネッセンス膜を用いたカラー面発光光源の説明図
【図11】面発光光源を採用した画像読み取り装置の構成図
【符号の説明】
5 面発光光源
100 エレクトロルミネッセンス膜
101 透明基板
102 金属電極
103 透明電極膜
Claims (1)
- 透明電極・面発光体・金属電極の順で透明基板上にそれぞれの膜層が形成されており、上記2つの電極間に所定の電圧が印加されることによって発光する面発光体を用いた画像読み取り装置の光源であって、
面積が光源の寿命と開口率との相関関係に基づいて決定された面発光体をR (赤)・G(グリーン) ・B (ブルー)の各色として副走査方向に配列した面発光体列が、又は面積が光源の寿命と開口率との相関関係に基づいて決定された単色の面発光体が、複数主走査方向に繰り返し配列されており、上記面発光体の複数が同時に発光することを特徴とする画像読み取り装置の光源。
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