JP4024058B2 - 幼児用靴 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用者が足を挿入し易く、歩き易い幼児用靴に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、例えば運動靴のように、足を挿入した後の歩き易さ、すなわち、足のホールド性を考慮する靴については、使用者の足を挿入するための履き口等を比較的小さく形成する傾向にある。すなわち、履き口等を比較的小さく形成すると、靴が脱げ難く、靴全体で足をホールドし易いからである。
一方、幼児用靴等のように、他人が靴を履かせるタイプの靴では、前記運動靴と異なり、足を挿入した後のホールド性より、他人が履かせ易くするため、履き口等が比較的大きく形成される傾向にある。この場合は、使用者が足を挿入し易いが、運動靴と異なり足のホールド性に欠けるため、足が靴の中で十分に固定されず、歩行し難い靴となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、従来と異なりホールド性が良好で歩き易く、且つ履き口等が大きく足を挿入し易い靴が強く求められている。しかし、上述のようにホールド性を追求すれば履き難い靴となり、履き口等を大きく足の挿入し易さを追求すれば、ホールド性が劣り、歩き難い靴となり問題となっていた。
また、ホールド性の高さと、履き口等の大きさを共に求めると、中途半端な靴となり、歩き難く、足を挿入し難い靴となり、より問題となっていた。
【0004】
本発明は、以上の点に鑑み、使用者の足を挿入し易く、かつ、挿入した足を十分に固定できる、履き易く且つホールド性に優れた歩き易い幼児用靴を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的は、請求項1の発明によれば、使用者の足を挿入するための履き口部と、前記履き口部の一部を切り欠いて爪先側方向に向かって形成されている足挿入用開口部と、を備えるアッパー本体部と、前記足挿入用開口部の形成に対応して配置される舌状当接部と、前記足挿入用開口部の開口状態を任意の状態に保持するための固定用ベルト部と、前記固定用ベルト部の少なくとも一端部を前記アッパー本体部に対して着脱可能で、位置の調整可能な係合手段と、挿入された使用者の足の足裏側を配置するための靴底部と、挿入された足の踵を保持するために前記靴底部に形成される靴底側踵部及び前記アッパー本体部に形成されるアッパー本体側踵部と、少なくとも前記アッパー本体側踵部に、その剛性を高めるために配置されるカウンター部と、を備える幼児用靴であって、前記固定用ベルト部の両端部は、前記カウンター部の外縁部に近接して配置されると共に、前記固定用ベルト部の両端部のそれぞれ幅方向における略中央部を結んだ仮想線を、そのまま延長した場合に、この仮想線が靴の最後端領域で前記アッパー本体側踵部と前記靴底側踵部とで形成される境界部又はその近傍に達するように前記固定用ベルト部は設けられ、さらに、使用者の足の甲における足高点又はその近傍に、前記固定用ベルト部が配置可能な構成となっており、前記固定用ベルト部の下縁部側が使用者の足の足高点又はその近傍に配置可能な構成となっており、前記舌状当接部の爪先側の端部は、前記足挿入用開口部の爪先側の端部又はその近傍の前記アッパー本体部に設けられた舌状当接部取り付け領域である縫合部に設けられると共に、前記舌状当接部取り付け領域である縫合部は、使用者の足の足指屈曲線又はその近傍の上方に相当する位置に形成される構成となっており、溝部が配置されている前記靴底部及び/又は前記靴底側に屈曲溝が形成されるインソールを有し、前記溝部及び前記屈曲溝は、前記足指屈曲線又はその近傍に対応して配置され、前記アッパー本体部の爪先部の内側は、幼児の足の親指が配置される部分が最も厚く、小指が配置される部分に向かって薄くなるように形成されていることを特徴とする幼児用靴により達成される。
【0006】
請求項1の構成によれば、前記固定用ベルト部の両端部のそれぞれ幅方向における略中央部を結んだ仮想線を、そのまま延長した場合に、この仮想線が靴の最後端領域で前記アッパー本体側踵部と前記靴底側踵部とで形成される境界部又はその近傍に達するように前記固定用ベルト部は設けられている。
したがって、前記固定用ベルト部は使用者の足を靴の踵部の方向に固定するように作用することとなる。このため、従来の靴のように使用者の足を靴底方向へ固定する場合に比べ格段にホールド性が向上し、靴の中で、足が動いてしまい、歩行しずらいことに伴う、足の運びや足の形への影響を防ぐことができる。
【0007】
また、本請求項によれば、少なくとも前記アッパー本体側踵部に、その剛性を高めるために配置されるカウンター部が形成されている。
したがって、前記カウンター部が配置されることで、靴の前記アッパー本体側踵部の剛性が高められ、前記アッパー本体側踵部と前記靴底側踵部とで形成される靴の踵部に使用者の足の踵が正確にホールドされ易くなる。
すなわち、前記固定用ベルト部が上述のように使用者の足を靴の踵部方向へ固定するように作用すると、この剛性が高められた前記カウンター部を介して使用者の足の踵が前記靴の踵部に押し付けられ、より強固に足の踵が靴の踵部に固定されるので、ホールド性が著しく向上することになる。
【0008】
また、本請求項によれば、前記固定用ベルト部の両端部は、前記カウンター部の外縁部に近接して配置されている。
したがって、前記カウンター部と前記両端部との間が直接固定されず、使用者の歩行時の足の変形に応じて変形可能となっているので、使用者が歩行に際し足を変形し易い構成となっており、歩き易い靴となっている。
これにより、使用者の足が靴の中でしっかり固定され、且つ必要に応じて屈曲も行い易いので、歩きやすい靴となる。
【0009】
さらに、本請求項によれば、使用者の足の足高点又はその近傍に、前記固定用ベルト部が配置可能な構成となっている。
したがって、前記固定用ベルト部が、使用者の足の甲を靴底方向に押し付け、靴の中の足のホールド性が低下するのを効果的に防ぐことができる。
すなわち、使用者の足の足高点又はその近傍より爪先側の足の甲に前記固定用ベルト部が配置されると、この固定用ベルト部の押し付け力は足の甲側から足の裏側に向けられ、足を靴底側に押し付け足を固定しようとする。これでは、足の甲の部分を押し付けるだけで、靴の中における足の動きが大きくなり易く、足がズレ易く、足の踵の固定ができず、歩きずらくなってしまう。
この点、本請求項の構成では、前記固定用ベルト部が使用者の足の足高点又はその近傍に配置されるので、不必要に足の甲を足裏側に押さえつけることがなく、靴の踵部方向に、足の踵を固定することとなり、靴の中で足が動いてしまうことを防ぐ。
【0010】
また、本請求項の構成では、前記履き口部の一部を切り欠いて爪先側方向に向かって形成されている足挿入用開口部と、前記足挿入用開口部に対応して配置されている舌状当接部とが備えられている。
したがって、この前記足挿入用開口部を広げ、前記舌状当接部を開状態にすれば、靴の履き口部が十分の大きく開口し、使用者が足を入れ易い靴となる。
【0011】
そして、本請求項の構成では、前記足挿入用開口部の開口状態を任意の状態に保持するための固定用ベルト部と、前記固定用ベルト部の少なくとも一端部を前記アッパー本体部に対して着脱可能で、位置の調整可能な係合手段とを備えている。
したがって、足の固定は前記固定用ベルトを前記アッパー本体部に着脱するだけなので、紐等によって固定する場合より極めて容易に着脱ができ、更に、位置が調整できるため、足のサイズや形状の違いに対応して、固定することができる。
また、本請求項の構成では、前記固定用ベルト部の下縁部側が使用者の足の足高点又はその近傍に配置可能な構成となっている。
したがって、前記固定用ベルト部が、使用者の足の足高点又はその近傍から爪先側に配置された場合の足の甲を靴底部側に押し付けてしまうことや、足首側に配置された場合における足首を曲げる動きを妨げてしまうことなどの問題を防ぐことができるので、より精度良く使用者の足を靴の前記踵部に押し付けることができ、使用者の足のホールド性がより高まる靴となる。
以上により、本請求項の構成によれば、使用者が足を入れ易く、又は介助者が履かせ易い靴であると共に、靴を履いた後は、足が靴の踵部に押し付けられて固定されるので、ホールド性が良く歩きやすい靴となる。
特に、本請求項の構成では、幼児用靴であるので、幼児等が足を入れ易く、又は介助者である母親等が履かせ易い靴であると共に、靴を履いた後は、足が靴の踵部に押し付けられて固定されるので、ホールド性が良く、幼児等にとって歩きやすい幼児用靴となる。
特に、歩行初期における幼児は、歩行能力が未発達であり、靴の中で足がズレた場合に応じて、足の運びを変えられないため、転倒したり、足の運び方に影響が出てしまう等の問題が大きい。また、指先の動きを阻害しないために爪先側に余裕を持たせる必要性が、この時期の幼児用の靴にはあるが、爪先側に余裕を持たせた場合には、靴の中で足がズレてしまう可能性が高まるため、足の踵を靴の踵部に固定する必要性が高い。
【0012】
好ましくは、請求項2の発明によれば、請求項1の構成において、前記固定用ベルト部の両端部を前記アッパー本体部に装着した際に、両端部がそれぞれ長手方向に対して左右対称の位置に配置されるよう構成されることを特徴とする幼児用靴である。
【0013】
請求項2の構成によれば、前記固定用ベルト部の両端部を前記アッパー本体部に装着した際に、両端部がそれぞれ長手方向に対して左右対称の位置に配置されるよう構成される。
したがって、使用者の前記固定用ベルト部の締め付け量に伴う、靴の歪みを低減することができる共に、前記固定用ベルト部を左右均等に力をかけることになるため、足の足高点側から踵の方向に正しく力をかけて踵を靴に固定できる。
【0016】
好ましくは、請求項の発明によれば、請求項1又は請求項2の構成において、前記固定用ベルト部の上縁部側が凹状に形成されていることを特徴とする幼児用靴である。
【0017】
請求項の構成によれば、前記固定用ベルト部の上縁部側が凹状に形成されている。
前記固定用ベルト部の上縁部側は、使用者が靴を履き、歩行する際に足首が屈曲すると、この屈曲した足首に当たってしまい歩行の妨げとなる部分である。
特に、例えば幼児等のように足首が太い場合は、歩行の際、足首を屈曲すると、より前記固定ベルト部の上縁部が足首に食い込むように当たってしまう。
そこで、本請求項では、歩行のため足首を屈曲する際、前記固定用ベルト部の上縁部側が足首に当たってしまい、歩行を妨げたり、足首に当たることに伴い、靴が変形してしまい、ホールドのためのバランスが崩れて足がずれてしまうことや、固定用ベルト部が外れてしまうことを防ぐために、前記固定用ベルト部の上縁部側が凹状に形成されている。
また、前記上縁部側が凹状に形成されているので、歩行中の使用者の足に前記固定用ベルト部が当たることを防止でき、歩行の妨げとならない。このため、例えば足首の太い使用者でも歩き易い靴となる。
【0018】
好ましくは、請求項の発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれかの構成において、前記固定用ベルト部の中央部の幅が両端部の幅に比して狭く形成されていることを特徴とする幼児用靴である。
【0019】
請求項の構成によれば、前記固定用ベルト部の中央部の幅が両端部の幅に比して狭く形成されている。このため、前記固定用ベルト部の両端部の幅を中央部に比べ、広く形成することができるので、前記係合手段における係合を確実に保持する等、前記固定用ベルト部をより強固に前記アッパー本体部に固定させることができる。
また、前記固定用ベルト部の中央部の幅が両端部の幅に比して狭く形成されているので、前記固定用ベルト部の中央部が、歩行の際に使用者の足首に当たって歩行の妨げとなるのも防止することができる。
【0022】
好ましくは、請求項の発明によれば、請求項1乃至請求項のいずれかの構成において、前記アッパー本体部に形成された履き口部と前記足挿入用開口部とで形成される開口と、前記靴とを平面図において表した場合に、前記開口の最大長さが、前記靴の最大長さに対して、55%以上に形成されていることを特徴とする幼児用靴である。
【0023】
請求項の構成によれば、前記アッパー本体部に形成された履き口部と前記足挿入用開口部とで形成される開口と、前記靴とを平面図において表した場合に、前記開口の最大長さが、前記靴の最大長さに対して、55%以上に形成されているので、従来の靴に比べ著しく前記履き口部と前記足挿入用開口部とで形成される前記開口を大きく形成することができ、履きやすい。
【0024】
なお、ここで示す55%以上とは、100%でも構わないが、靴の構造を考慮すると55%乃至75%であることが好ましい。
【0025】
好ましくは、請求項の発明によれば、請求項1乃至請求項のいずれかの構成において、前記舌状当接部上に配置される前記固定用ベルト部の幅が20mm乃至25mmに形成されていることを特徴とする幼児用靴である。
【0026】
請求項の構成によれば、前記舌状当接部上に配置される前記固定用ベルト部の幅が20mm乃至25mmに形成されている。すなわち、前記舌状当接部上に配置される前記固定用ベルト部の幅が25mm超の場合は、幅が広すぎて、使用者の足のサイズや形状の違いに対応することができず、固定用ベルト部の位置ズレが起こり易く、結果的に固定が不十分となり、前記固定用ベルトがズレ易くなる。
一方、前記舌状当接部上に配置される前記固定用ベルト部の幅が20mm未満の場合は、使用者の足の屈曲等により前記固定用ベルト部のねじれが生じ、使用者の足と前記固定用ベルト部との相対位置が変化し、前記固定用ベルト部で足をしっかり固定することが困難となってしまうことや、固定用ベルト部が足に食い込んでしまい固定することができなくなってしまうためである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る伝え歩き期の幼児用靴100(以下、「幼児用靴100」とする)を示す概略斜視図である。図2は図1の幼児用靴100の爪先側を示した概略正面図である。図3は図2の幼児用靴100の踵側を示した概略背面図であり、図4(a)は図2の幼児用靴100の右側面とカウンター部とを示した概略右側面図、図4(b)図2の幼児用靴100の右側面を示した概略右側面図、図5は図2の幼児用靴100の概略左側面図である。また、図6は図2の幼児用靴100の概略平面図、図7は図2の幼児用靴100の概略底面図である。
図1に示す幼児用靴100を履く、伝え歩き期の幼児は、例えば8ヶ月乃至12ヶ月の月齢の幼児であり、その歩行形態は、机等につかまり、手の力を使い、「つかまり立ち」をしながら横に移動する状態である。そして、この「つかまり立ち」の際に、爪先立ちをしたり、爪先立ちをした状態で歩こうとする特徴がある。
【0031】
ところで、図2及び図7に示すように、幼児用靴100には、挿入された幼児等の足の足裏側を配置させる内面側と、現実に地面等に接地する部分である靴底部である靴底120を有している。この靴底120には、図7に示すように、例えば円形の滑り止め部121が多数、形成されている。
このように多数の円形の滑り止め部121を靴底120の表面に形成することで、幼児用靴100を履いた幼児等が滑ることなく歩行等をすることができるようになっている。
また、この靴底120は、伝え歩き期が始まる例えば8ヶ月程度の月齢の幼児の足の動きに追従できる程度の軟らかい材質から形成されており、例えば、ポリエステル、綿、ナイロン、キャンバス(帆布)、トリコット、合成ゴム等により形成されている。
【0032】
この靴底120の上部には図2等に示すように、アッパー本体部であるアッパー110が、幼児等の足を包み込むように形成されている。
このアッパー110は、伝え歩き期の幼児の歩行の際に行われる足首や足指等の屈曲の妨げとならないために、全体がやわらかい材質によって形成されており、表面をメッシュ加工されたポリエステル等で形成されることにより、特に通気性が確保されている。
このアッパー110には、図1等に示すように幼児等の足を挿入するための履き口111が形成されている。そして、この履き口111の一部を切り欠いて爪先側方向へ向かって略U字状に足挿入用開口部112が形成され、この開口は履き口111の開口と連接して形成されている。
【0033】
この足挿入用開口部112には、図1等に示すように舌状当接部である舌片113が、この開口を塞ぐように配置されている。
この舌片113は、表面がメッシュ加工されたポリエステル等で形成され、内側はポリエステル等の柔軟性に富む素材により構成されている。
また、この舌片113の爪先側の端部は、図1等に示すアッパー110の足挿入用開口部112の爪先側の端部又はその近傍に設けられた舌状当接部取り付け領域である縫合部114に対して例えば縫合等により固定されている。
【0034】
このため、舌片113は、図1の縫合部114を固定端として湾曲し、舌片113を幼児用靴100の爪先側に倒すことができ、これにより、足挿入用開口部112を開状態とすることができ、幼児等の使用者が足を挿入する際に、舌片113が邪魔になることがない。
図8は、舌片113を爪先側に開き、履き口111と足挿入用開口部112を開にした状態を示す概略平面図である。
【0035】
このように舌片113を開くことにより、履き口111と、これに連接する足挿入用開口部112とで形成される開口は、極めて大きくなり、母親等の保護者が幼児に幼児用靴100を履かせる際に、幼児の足を挿入し易い構成となる。
この履き口111と足挿入用開口部112によって形成されている開口を平面図である図8に示した場合、図8のL1は、例えば70mm乃至80mm程度に形成されている。
これは、図8における幼児用靴100を平面図である図8に示した場合、図8の全長(L2)が120mm乃至140mmであることから、全長(L2)の55%以上となり、好ましくは、55%乃至75%という大きな開口を形成することができることになる。
【0036】
ところで、図1に示すように、幼児用靴100の足挿入用開口部112の開口状態を任意の状態に保持するための固定用ベルト部130がアッパー110に配置されている。
この固定用ベルト部130は舌片113と同様に表面がメッシュ加工されたポリエステル等により形成され、内側はポリエステル等の柔軟性に富む素材により構成されているので、容易に変形可能に形成されている。
なお、図1に示す固定用ベルト部130の外周130aは綿等によってパイピングされており、長さ方向に伸びてしまうなどの変形を防いでいる。
また、この固定用ベルト部130は、その左端部(内足側)131が図4及び図9に示すようにアッパー110に固定され固定端となっている。
図9は図1の固定用ベルト部130を開いた状態を示す概略斜視図である。
図9に示されるように、固定用ベルト部130は、履き口111側に凹状となるように弓形に形成されており、後述するように固定用ベルト部130が幼児等の足の足高点又はその近傍を固定する構成となっている。したがって、固定用ベルト部130は幼児等が幼児用靴100を履いて歩行した際に、幼児等の足に当たらない構成となっている。
【0037】
そして、他方の一端部である右端部(外足側)132には、着脱可能な係合手段である面ファスナー132aが形成されている。そして、この面ファスナー132aに対応するアッパー110の表面にも、対応する面ファスナー133aが形成されている。
【0038】
したがって、固定用ベルト部130の右端部132に設けられた面ファスナー132aと、アッパー110に設けられた面ファスナー133aとの係合位置を調整することにより、幼児用靴100の足挿入用開口部112の開口を任意の状態に保持させることができる構成となっている。
なお、通常は右端部132の面ファスナー132aを、アッパー110の面ファスナー133aに装着すると、それぞれ両端部131,132が靴の長手方向である前後方向に対して左右対称の位置に配置されるように構成されている。
このため、固定用ベルト部130の締め付け量を大とした場合に伴う幼児用靴100の全体の歪み等を低減することができると共に、前記固定用ベルト部130を左右均等に力をかけるころになるため、後述する幼児等の足の足高点側から踵方向に正しく力をかけて踵を幼児用靴100の踵部115に確実に固定することができる。
したがって、幼児が歩行をし易く、若しくは歩行練習をし易い靴となっている。
【0039】
また、この固定用ベルト部130の右端部132の固定は、面ファスナー132a,133aの着脱だけなので、紐等によって固定する場合より極めて容易に着脱することができる。したがって、幼児等が足を入れた後は、容易に足をしっかり靴に固定することができ、母親等の介助者にとっても履かせ易い靴となる。
【0040】
ところで、図1に示す幼児用靴100には、挿入された幼児の足の踵が配置される踵部115が形成されている。この踵部115は、具体的には、図4(a)に示すように、靴底120に形成される靴底側踵部である靴底側踵部122と、アッパー110に形成されるアッパー本体側踵部であるアッパー側踵部116とを有している。
このような踵部115のうち、アッパー側踵部116は、上述のアッパー110の一部として形成されているため、踵部115としては剛性が不足し、使用者である幼児等の足の踵を適度のホールドすることができない。
そのため、図4(a)に示すように、アッパー側踵部116の内側には、アッパー側踵部116の剛性を高めるためカウンター部140が配置されている。
【0041】
このカウンター部140は、具体的には、図4(a)に示すように側面形状が略扇形の形状をしており、厚みが例えば1.2mm程度のゴム等により形成されている。
このカウンター部140がアッパー側踵部116の内部に配置されることにより、アッパー側踵部116の剛性が向上し、図4(a)に示す踵115全体の剛性が向上することになる。
そして、剛性の向上した踵部115に幼児等の足の踵が正確にホールドされることとなる。
【0042】
このように、幼児用靴100のアッパー側踵部116の内部にカウンター部140が配置されるが、このカウンター部140の外縁部141に近接して、図4(a)に示すように固定用ベルト部130の左端部131が配置されている。
なお、右端部132も同様の構成である。
このように幼児用靴100のカウンター部140に対して固定用ベルト部130の両端部131、132が直接固定されていない。このため、歩行に伴う足首の前方への屈曲による変形等を外縁部141と固定用ベルト部130の両端部131,132との間に配置された、柔軟な素材によるアッパー110の変形で吸収する。これにより、幼児等の歩行時の足の変形により生じる幼児用靴100の変形を吸収でき、幼児に不必要な負担をかけることがなく、歩き易い幼児用靴100となっている。
【0043】
すなわち、逆に、固定用ベルト部130の両端部がカウンター部140に直接、固定されている場合は、カウンター部140の剛性が高いため、歩行に伴う足首の変形により生じる幼児用靴100の変形を吸収できず、足首の変形を妨げる幼児用靴となり、幼児が歩行し難い靴となる。
【0044】
ところで、図4(a)(b)及び図5は、固定用ベルト部130の右端部131の面ファスナー132aをアッパー110の面ファスナー133aに係合させ、使用者が歩行する際の固定用ベルト部130の配置状態を示している。
このとき、図4(a)に示す固定用ベルト部130の左端部131の幅方向における略中央部を結んだ仮想線が仮想線Aである。
この仮想線Aをそのまま延長した場合に、この仮想線Aが幼児用靴100の最後端領域である図4(a)における靴の右端側で、アッパー側踵部116と靴底側踵部122との境界部A’に達するように、固定用ベルト部130は配置される。
このとき、仮想線Aを延長して、図4(a)に示す載置面(床)の仮想線Dと交差する部位における角度θは、例えば30度乃至40度となっている。
【0045】
すなわち、このように固定用ベルト部130の両端部131、132が配置されると、使用者である幼児等が幼児用靴100を履き、固定用ベルト部130で足を固定する際、固定用ベルト部130は、図4(a)の仮想線Aに示すように、靴の中の足を靴の踵部115方向へ固定するように作用することとなる。
このように足を靴の踵部115方向へ向かって足を固定すると、従来のように足を靴底方向へ固定する場合に比べ、格段に足のホールド性が向上することとなる。
特に、歩行時において足の位置がズレ易い踵部115において足を固定することとなり、歩行による幼児用靴100内における足のズレを防ぐことができる。また、この靴の踵部115のアッパー側踵部116には、上述のように剛性を高めるためのカウンター部140が配置されているため、固定用ベルト部130で足を踵部115方向に押し付けられると、このカウンター部140の存在により、より強固に足の踵が靴の踵部115に固定されるので、足のホールド性が著しく向上することとなる。
【0046】
また、このとき図4(a)に示すように、カウンター部140の外縁部141と固定用ベルト部130の両端部131等とが近接して配置されているため、カウンター部140の剛性の高さを有効に利用することができる。
すなわち、固定用ベルト部130で足を踵方向へ押し付ける際、カウンター部140の剛性を最大限有効に利用しつつ、足の踵を靴の踵部115に固定させることができる。
【0047】
次に、図4(a)及び図5における固定用ベルト部130の下縁部134側は、幼児等の足の甲における足高点又はその近傍に配置されるようになっている。この足の足高点又はその近傍は、具体的には図10の矢印Bで示す点である。図10は人における足の骨格等の概略説明図である。
このように固定用ベルト部130の下縁部134側が、幼児の足の甲の足高点Bの部分に配置されると、固定用ベルト部130が、足高点Bから踵点の方向に向かって固定することになる。
このため、固定用ベルト部130が幼児の足の甲を靴底120方向に押し付け、幼児用靴100の中の足のホールド性が低下するのを効果的に防ぐことができる。
【0048】
すなわち、幼児の足の足高点B又はその近傍より、図10において爪先側の足の甲に固定用ベルト部130が配置されると、この固定用ベルト部130の押し付け力は足の甲側から足の裏側に向けられ、足を靴底120側に押し付け足を固定しようとする。
これでは、足の甲の部分を押し付けるだけで、幼児用靴100の中における足の動きが大きくなりやすく、足がズレ易く、足の踵の固定ができず、歩きずらくなってしまう。
すなわち、足が十分に固定されても足が屈曲し難く、靴の中で足が位置ズレを起こしやすい幼児用靴100となる。また、足首側に固定用ベルト部130が配置された場合も、靴の中で足の位置ズレが生じたり、歩行時に固定用ベルト部130が足首に当たって動きを妨げてしまう。
この点、本実施の形態の幼児用靴100によれば、固定用ベルト部130の下縁部134側が幼児の足の足高点Bに配置されるので、不必要に足の甲を足裏側に押さえつけることがない。特に、固定用ベルト部130が、足高点Bから爪先側の足の甲に配置されるのを有効に防止できるので、より精度良く幼児の足を幼児用靴100の踵部115に押し付けることができ、幼児の足のホールド性がより高まり、歩行を妨げない幼児用靴100となる。
【0049】
ところで、図11は、本実施の形態に係る幼児用靴100を幼児が履き、歩行や、この時期に多く見られる爪先立ちのために足の踵を持ち上げている状態を示す概略斜視図であり、図12は、図11の幼児用靴100の概略断面図である。図13は、人の足の足指屈曲線を示す概略説明図である。
図12に示すように、幼児が幼児用靴100を履き、足の踵を浮かせる動きをするときは、足の指の足指屈曲線と呼ばれる部分が屈曲することにより行われる。
具体的には、図13に示すように、足の指には親指側から小指までを、それぞれ第1趾乃至第5趾と呼ぶ。そして、各第1趾乃至第5趾にはそれぞれ、図13に示すように中足指関節が設けられている。
足の屈曲に用いられるのは、図13で矢印Cで示す、足指屈曲線Cであり、この足指屈曲線Cは、ほぼ前記中足指関節又はその近傍に配置されることになる。
【0050】
また、この足指屈曲線Cに沿って屈曲する足の屈曲運動は歩行に際し、重要な動作であるため、特に歩行が上手くできない幼児等のための靴では、この足指屈曲線Cに沿って屈曲し易い靴であることが重要となる。
本実施の形態では、使用者である幼児の足指屈曲線C又はその近傍の上方に相当する位置に図1に示す縫合部114が形成されている。
この縫合部114は、上述のように、足挿入用開口部112の爪先側の端部又はその近傍のアッパー110に設けられている。そして、この縫合部114において、図1の舌片130の爪先側の端部が縫合等によりアッパー110に取り付けられ、前述の固定端が形成されることになる。
【0051】
このような縫合部114は、縫合等されるため周囲のアッパー110に比べ脆弱部となる。そして、この脆弱部は、同時に、幼児の足の足指屈曲線Cの上方に相当する位置となる。
したがって、図1の縫合部114は、幼児等の足の足指屈曲線Cの上方に相当するため、足指屈曲線Cに沿って幼児が足を屈曲させた場合、この縫合部114が足指屈曲線Cに沿って屈曲する。
また、靴底120の内側には、図12に示すようにインソール400が配置されている。このインソール400における足指屈曲線C又はその近傍に対応する靴底側の位置には、脆弱部となる屈曲溝401が形成されている。
図14(a)はインソール400の概略底面図であり、図14(b)は(a)のE−E’線概略断面図である。
図14(a)に示すように、屈曲溝401は、爪先側に膨らんだ曲線形状とされ、図14(b)の屈曲溝401も足指屈曲線Cに沿って幼児が足を屈曲させた場合、前記縫合部114と同様に足指屈曲線Cに沿って屈曲することになる。
このため、足の屈曲に追従して屈曲し易い、歩き易い靴となる。
【0052】
ところで、図1に示す固定用ベルト部130の舌片113上に配置される部分の幅は、20mm乃至25mm程度に形成されている。すなわち、この部分の幅が、25mm超の場合は、幅が広すぎて幼児の足のサイズや形状の違いに対応することができず、固定用ベルト部130の位置ズレが起こりやすく、足の凹凸に対応して固定用ベルト部130が追従することができず、結果的に固定用ベルト部130による足の固定が不十分となり、足が幼児用靴100の中でズレ易くなる。
【0053】
一方、前記部分の幅が、20mm未満の場合は、足に食い込んでしまいやすくなるだけでなく、幼児の足の屈曲運動により固定用ベルト部130のねじれが生じ、幼児の足と固定用ベルト部130との相対位置が変化し、固定用ベルト部130で足をしっかり固定することが困難となってしまうからである。
したがって、固定用ベルト部130の舌片113上に配置される部分の幅が、20mm乃至25mm程度に形成されていれば、足が靴の中でズレることなく、固定用ベルト部130でしっかりと足を固定できる優れた固定用ベルト部130となる。
【0054】
ところで、図15は、本実施の形態の幼児用靴100のアッパー110の爪先部の形状を示す概略断面図である。
図15に示すように幼児用靴100のアッパー110の爪先部の内側は、幼児の足の親指が配置される部分が最も厚く、小指が配置される部分に向かって漸次薄くなるように形成されている。
すなわち、アッパー110の爪先部の内側における親指との間の上下方向における隙間部が、他の足指と前記爪先部の内側との隙間部に比べ大きくなるように形成されている。
【0055】
このように親指と前記爪先部との間に最も隙間部が形成されているのは、幼児が歩行に際して親指を背屈させても、この親指の背屈動作を前記爪先部が阻害しないためである。
このため幼児が歩行に際して、バランスを保つため、幼児用靴100の内部で親指を背屈することが可能であるので、円滑な歩行練習ができる構成ともなっている。
また、アッパー110の爪先部の内側における小指の外側は、指を開くこと妨げないよう隙間部が形成されており、幼児が歩行に際して、バランスを保つために、特に小指を開きやすくされている。
なお、上述の構成以外に、図1に示すように履き口111の近傍にはカウンターループ142が形成されている。
【0056】
本実施の形態に係る幼児用靴100は、以上のように構成されるが、以下その使用方法等について説明する。
ここでは、介助者である母親等が、子である幼児に幼児用靴100を履かせることを例に説明する。
先ず、母親は図1に示す幼児用靴100の固定用ベルト部130の右端部132を把持し、図9に示すように、面ファスナー132a、133aの係合を解除させる。
その後、図9の舌片113の上端部を把持し、舌片113の縫合部114側の固定端を中心に、自由端である他の部分を靴の爪先側に開く。この状態を示したのが図8である。
図8に示すように履き口111と足挿入用開口部112で形成される開口の長さ(L1)は幼児用靴100の全長(L2)に比べ、例えば約60%にも達するため、大きな開口を形成することができる。
【0057】
また、このような大きな開口が形成されるため、母親が幼児の足を挿入させやすい、すなわち、履かせ易い幼児用靴100となる。
次に、母親は上述と逆に、舌片113を図9の状態に戻し、その上から固定用ベルト部130の右端部132の面ファスナー132aをアッパー110の面ファスナー133aと係合させ、固定する。
したがって、紐等によって固定するのと異なり母親等は容易に幼児に幼児用靴100を履かせることができる。
このとき、固定用ベルト部130の両端部131,132は上述のように左右対称位置等に配置されるように構成されている。このため、固定用ベルト部130の締め付けすぎにより、幼児用靴100が歪むことなく、確実に足を靴に固定できる。
また、この固定用ベルト部130は、幼児の足の甲を靴底方向に押し付けるのではなく、踵方向に押し付けて固定するので、歩行の邪魔に成らずに足が靴の内部で固定されるので、歩行し易く、且つホールド性が高い幼児用靴100となる。
なお、母親等が幼児用靴100を脱がす場合においても、同様に前記開口を大きくすることができるため、脱がし易い靴となる。
【0058】
(第1の実施形態の変形例)
図16は、上述の第1の実施の形態の幼児用靴100の変形例である伝え歩き期の幼児用靴(以下、「幼児用靴」とする)200を示す概略斜視図である。
本変形例に係る幼児用靴200では、第1の実施の形態の幼児用靴100と異なりアッパー本体部であるアッパー210の表面に2種類の表生地が配置されている。
具体的には、図16に示すように、爪先部及び踵部215を構成している合皮製の表生地210aと、側面部を構成しているメッシュ加工されたポリエステルナイロン、キャンパス、綿、トリコット等の柔軟な素材で形成された表生地210bとが使用されている。
【0059】
そして、これら爪先部を形成する合皮製の表生地210aと側面部を構成するポリエステル等の表生地210bとの境界部210cは、ポリエステル等の表生地210bが合皮製の表生地210aより柔らかく、また縫合に伴い、脆弱部となっている。
この脆弱部である境界部210cの下方に足の足指屈曲線C配置されるため、この境界部210cは、幼児が歩行する際、足指の屈曲に応じて変形する。したがって、より歩行しやすく、足の屈曲の妨げにならない幼児用靴200となる。また、本変形例の幼児用靴200の舌状当接部である舌片213の爪先側端部も、足挿入用開口部212の略U字状の底部近傍でアッパー210に設けられた舌状当接部取り付け領域である縫合部214で縫合等され、固定端となっている。この縫合部214の形状は、第1の実施の形態と異なるが、幼児用靴100の縫合部114と同様の作用等を奏する。
【0060】
その他の構成は、形状が若干異なるが、それらの機能等は第1の実施の形態と同様の固定用ベルト部230等が配置されている。
その他、履き口211,カウンターループ242、そして踵部215等が配置されている。この踵部215には、第1の実施の形態と同様にカウンター部240が内部に配置されている。
このように本変形例に係る幼児用靴200でも、第1の実施の形態の幼児用靴100と同様の作用、効果等を奏させることができると共に、固定用ベルト部230や踵部215が、剛性の高い合皮により形成され、確実にホールドすることや、幼児の足指屈曲線Cに沿った屈曲が容易且つ精度良く行われるため、歩行しやすい靴となる。
【0061】
(第2の実施の形態)
図17は、本発明の第2の実施の形態に係る歩行練習期の幼児用靴(以下、「幼児用靴」という)300を示す概略斜視図である。図18は、図17の幼児用靴300の底面を示す概略底面図である。
この幼児用靴300は、第1の実施の形態の幼児用靴100より月齢が経ち、1人で前に向かって歩くことができるようになり始め、足の裏全体を地面につけて足の指でバランスを取りながら歩く、歩行練習期に用いられるものである。
すなわち、月齢が例えば12ヶ月程度の幼児が対象となる。この月齢の幼児は、第1の実施の形態の幼児用靴100が対象とする幼児と異なり、手を離して前によちよち歩き始める月齢となる。
【0062】
図17に示すように、幼児用靴300は、第1の実施の形態の幼児用靴100と異なり、靴底部である靴底320の構成が大きく異なる。
すなわち、靴底320は、歩く際の衝撃を吸収し、滑り止め効果を有する弾性部材である熱可塑性エラストマーや合成ゴム、天然ゴム等で形成され、図17に示すように踵部315の上部まで配置されている。
この踵部315の内部には、第1の実施の形態の幼児用靴100と同様にカウンター部340が配置されているが、このカウンター部340と靴底320によって、幼児の足の踵が靴の踵部315に精度良く、固定されることになる。
【0063】
また、本実施の形態の幼児用靴300の固定用ベルト部330は、第1の実施の形態の幼児用靴100の固定用ベルト部130と大きく異なる構成となっている。
すなわち、図17及び図19に示すように、固定用ベルト部330の中央部の上縁部は凹状に形成されていると共に、下縁部も凹状とされることで、固定用ベルト部330の右端部332と左端部331の幅に比べ、中央部の幅が狭く形成されている。
一般に幼児が幼児が靴を履き、歩行練習をすると足首が前方(爪先側)に屈曲する。このとき、この屈曲した足首が舌片31を介して固定用ベルト部330の中央の上縁部に押し付けられ、この上縁部が足首に当たって歩行の妨げとなっていた。
【0064】
特に、足首の太い場合は、更に固定用ベルト部330の中央部の上縁部が食い込むためより歩行し難くなっていた。
しかし、本実施の形態の幼児用靴300では、固定用ベルト部330の中央部の上縁部、図17の舌片313の上に配置されている部分が凹状に形成されている。このため、幼児が靴を履き、歩行練習をするため、足首が前方(爪先側)に屈曲するとき、この屈曲した足首が舌片31を介して固定用ベルト部330の中央の上縁部側に移動しても凹状の構成で、その移動を吸収し、固定用ベルト部330が、幼児の足首に当たることを未然に防ぐ構成となっている。
【0065】
また、本実施の形態の幼児用靴300の固定用ベルト部330は、上述のように両端部332,331が中央部より幅広に形成されている。このため、固定用ベルト部330をアッパー本体部であるアッパー310に取り付ける面積を大きくとることができるので、より強固に足を靴に固定することができる。このとき固定用ベルト部330の中央部の幅を狭くすれば、上述の足首への当たりによる歩行の妨げも同時に解消することができることになる。
なお、本実施の形態の幼児用靴300の固定用ベルト部330の両端部332,331も、第1の実施の形態の固定用ベルト部330と同様に、その仮想線Aが踵部115に対して配置されるように形成されるので、固定用ベルト部330によって靴の中の足は踵方向へ押し付けられる構成となっている。
したがって、足のホールド性に優れ、屈曲し易く歩行しやすい靴となっている。
【0066】
なお、図17に示す履き口311、足挿入用開口部312、カウンターループ342は、第1の実施の形態とほぼ同様の機能等を発揮するものである。
ところで、図18に示すように、靴底320には屈曲用の溝部321が複数、形成されている。
この溝部321は、上述の図13に示す足指屈曲線Cに対応する位置に沿って、爪先側に膨らんだ曲線形状として、配置されている。したがって、幼児が足指屈曲線Cに沿って足を屈曲させた場合、その屈曲を助ける方向に靴底320が屈曲するため、より滑らかな歩行が可能となる。
また、図17に示すように、トウキャップ350が足指屈曲線Cの近傍で縫合されており、溝部321の爪先側となっているため溝部321と協同して屈曲しやすさを確保している。
【0067】
図19は図17の固定用ベルト部330の一方の自由端である右端部331を開放した状態を示す概略斜視図である。
図19に示すように、本実施の形態の幼児用靴300の固定用ベルト部330の右端部331とアッパー320面には、第1の実施の形態と同様に、面ファスナー333a、332aが形成され、容易に係合可能にとなっている。
また、舌片313も第1の実施の形態の幼児用靴100の舌片113と同様に爪先側に倒れて、履き口311と足挿入用開口部312とで広い開口を形成することができる。
したがって、このような幼児用靴300も幼児が足を挿入し易く、且つ足のホールド性が高く、歩きやすい理想的な幼児用靴300となる。
以上の構成以外の他の構成については、第1の実施の形態と同様の構成となっている。
【0068】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、使用者の足を挿入し易く、かつ、挿入した足を十分に固定できる、履き易く且つホールド性に優れた歩き易い幼児用靴を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る伝え歩き期の幼児用靴を示す概略斜視図である。
【図2】図1の幼児用靴の爪先側を示した概略正面図である。
【図3】図2の幼児用靴の踵側を示した概略背面図である。
【図4】(a)図2の幼児用靴の右側面及びカウンター部を示した概略右側面図である。(b)図2の幼児用靴の右側面を示した概略右側面図である。
【図5】図2に幼児用靴の概略左側面図である。
【図6】図2の幼児用靴の概略平面図である。
【図7】図2の幼児用靴の概略底面図である。
【図8】舌片を爪先側に倒し、履き口と足挿入用開口部を開にした状態を示す概略平面図である。
【図9】図1の固定用ベルト部を開いた状態を示す概略斜視図である。
【図10】人における足の骨格等の概略説明図である。
【図11】本実施の形態に係る幼児用靴を幼児が履き、歩行のための足の踵を持ち上げている状態を示す概略斜視図である。
【図12】図11の幼児用靴の概略断面図である。
【図13】人の足の足指屈曲線を示す概略説明図である。
【図14】(a)はインソールの概略底面図であり、図14(b)は(a)のE−E’線概略断面図である。
【図15】本実施の形態の幼児用靴のアッパーの爪先部の形状を示す概略断面図である。
【図16】第1の実施の形態の幼児用靴の変形例である伝え歩き期の幼児用靴を示す概略斜視図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る歩行練習期の幼児用靴を示す概略斜視図である。
【図18】図16の幼児用靴の底面を示す概略底面図である。
【図19】図17の固定用ベルト部の一方の自由端である右端部を開放した状態を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
100、200・・・伝い歩き期の幼児用靴、110、210、310・・・アッパー、111,211,311・・・履き口、112,212,312・・・足挿入用開口部、113,213,313・・・舌片、114,214・・・縫合部、115,215,315・・・踵部、116・・・アッパー側踵部、120,320・・・靴底、121・・・滑り止め部、122・・・靴底側踵部、130,230,330・・・固定用ベルト部、131、331・・・左端部、132、332・・・右端部、132a、133a、332a、333a・・・面ファスナー、134・・・下縁部、140、240・・・カウンター部、141・・・外縁部、142、242、342・・・カウンターループ、210a・・・合皮製の表生地、210b・・・ポリエステルの表生地、210c・・・境界部、300・・・歩く歩行練習期の幼児用靴、321・・・溝部、350・・・トウキャップ、400・・・インソール、401・・・屈曲溝、A・・・仮想線、A’・・・境界部、B・・・足高点、C・・・足指屈曲線、D・・・載置面の仮想線

Claims (6)

  1. 使用者の足を挿入するための履き口部と、
    前記履き口部の一部を切り欠いて爪先側方向に向かって形成されている足挿入用開口部と、を備えるアッパー本体部と、
    前記足挿入用開口部の形成に対応して配置される舌状当接部と、
    前記足挿入用開口部の開口状態を任意の状態に保持するための固定用ベルト部と、
    前記固定用ベルト部の少なくとも一端部を前記アッパー本体部に対して着脱可能で、位置の調整可能な係合手段と、
    挿入された使用者の足の足裏側を配置するための靴底部と、
    挿入された足の踵を保持するために前記靴底部に形成される靴底側踵部及び前記アッパー本体部に形成されるアッパー本体側踵部と、
    少なくとも前記アッパー本体側踵部に、その剛性を高めるために配置されるカウンター部と、を備える幼児用靴であって、
    前記固定用ベルト部の両端部は、前記カウンター部の外縁部に近接して配置されると共に、
    前記固定用ベルト部の両端部のそれぞれ幅方向における略中央部を結んだ仮想線を、そのまま延長した場合に、この仮想線が靴の最後端領域で前記アッパー本体側踵部と前記靴底側踵部とで形成される境界部又はその近傍に達するように前記固定用ベルト部は設けられ、
    さらに、使用者の足の甲における足高点又はその近傍に、前記固定用ベルト部が配置可能な構成となっており、
    前記固定用ベルト部の下縁部側が使用者の足の足高点又はその近傍に配置可能な構成となっており、
    前記舌状当接部の爪先側の端部は、前記足挿入用開口部の爪先側の端部又はその近傍の前記アッパー本体部に設けられた舌状当接部取り付け領域である縫合部に設けられると共に、
    前記舌状当接部取り付け領域である縫合部は、使用者の足の足指屈曲線又はその近傍の上方に相当する位置に形成される構成となっており、
    溝部が配置されている前記靴底部及び/又は前記靴底側に屈曲溝が形成されるインソールを有し、
    前記溝部及び前記屈曲溝は、前記足指屈曲線又はその近傍に対応して配置され、
    前記アッパー本体部の爪先部の内側は、幼児の足の親指が配置される部分が最も厚く、小指が配置される部分に向かって薄くなるように形成されていることを特徴とする幼児用靴。
  2. 前記固定用ベルト部の両端部を前記アッパー本体部に装着した際に、両端部がそれぞれ長手方向に対して左右対称の位置に配置されるよう構成されることを特徴とする請求項1に記載の幼児用靴。
  3. 前記固定用ベルト部の上縁部側が凹状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の幼児用靴。
  4. 前記固定用ベルト部の中央部の幅が両端部の幅に比して狭く形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の幼児用靴。
  5. 前記アッパー本体部に形成された履き口部と前記足挿入用開口部とで形成される開口と、前記靴とを平面図において表した場合に、前記開口の最大長さが、前記靴の最大長さに対して、55%以上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の幼児用靴。
  6. 前記舌状当接部上に配置される前記固定用ベルト部の幅が20mm乃至25mmに形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の幼児用靴。
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