JP4023642B2 - 釣竿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚釣りに用いる釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の釣竿は、竿体と、竿体の竿元側端部に配置された竿元グリップと、竿元グリップの穂先側に配置された前グリップと、竿元グリップと前グリップとの間に設けられリールを装着可能なリールシートとを有している。
このような従来の釣竿では、リールからの釣糸を竿体に設けられたガイドリングに挿通し穂先側へ導く。そして、竿元グリップと前グリップとを把持して釣竿を振りかぶり狙ったポイントに仕掛けをキャスティングする(投げ入れる)。キャスティング後は、釣竿の穂先側を下に向けた状態でリールを巻き取りながら仕掛けをリトリーブする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の釣竿において、穂先側から飛び出してゆく釣糸及び仕掛けをより遠方に投げ込むには、釣竿の重心を穂先側に位置させるのが好ましい。しかし、単に穂先側を重くしたのみでは釣竿全体のバランスが崩れてしまい、また、釣竿を振りかぶる際に安定性に欠けることになる。
【0004】
本発明の課題は、全体の軽量化及びバランスを保ちつつ重心が移動可能な釣竿を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る釣竿は、魚釣りに用いる釣竿であって、内部に中空部を有する竿体と、中空部の内部に移動可能に配置された錘と、中空部の竿元に形成され錘の竿元側への脱落を防ぐ第1抑止手段と、中空部の穂先側に設けられ錘の穂先側への脱落を防ぐ中空部内を軸方向に移動可能に設けられた第2抑止手段と、を備えている。この場合には、釣竿を振回すると、錘が重力及び遠心力によって竿体内に設けられた中空部内を移動する。ここで抑止手段は錘が抑止手段より穂先側に移動するのを抑止する。キャスティング時に釣竿を振りかぶると、錘は中空部内を竿元側に移動して釣竿全体の重心が竿元側に移動する。そして、釣竿を前方に振り下ろすと共に、遠心力によって錘が穂先側へ向かって抑止手段まで移動する。この結果、キャスティングが円滑になると共に、狙ったポイントに仕掛けを投げ入れやすくなる。なお、キャスティング後にリールを巻き取りながら仕掛けをリトリーブする場合も、穂先側に重心が移動しているので釣竿の穂先側を下に向けた状態で容易に維持可能になりリトリーブが容易になる。
さらに、中空部の穂先側に設けられている第2抑止手段は中空部内を軸方向に移動可能になっているので、ユーザの背の高さや力等に応じて任意の位置に抑止手段を配置できる。この結果、ユーザ毎に錘の移動範囲を設定でき、よりキャスティングが円滑になる。
【0006】
発明2に係る釣竿は、発明1に記載の釣竿であって、第2抑止手段は栓状弾性部材である
【0007】
発明3に係る釣竿は、発明1又は発明2の釣竿であって、釣竿が中通し竿であり、竿体の中間部に釣糸を前記中空部に導入するための釣糸導入孔とをさらに備え、第2抑止手段は前記釣糸導入孔より竿元側で前記中空部内を軸方向に移動可能に設けられている。この場合には、抑止手段が錘の中空部内での移動を釣糸導入孔の竿元側付近と竿元側端部との間に制限する。この結果、錘は、釣竿を前方に振り下ろした状態でも釣糸導入孔の竿元側付近にまでしか移動せず、過度に穂先方向に重心が移動してしまうのを防止し、より円滑なキャスティングか可能になる。さらに、釣糸導入孔から竿体の中空部内に入ってしまったゴミや水等が竿元側に入り込んでしまうのを防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1実施形態を採用した釣竿は、元竿1と、元竿1の穂先側に並継ぎ形式に連結された複数の竿体からなる中竿2と、中竿2の穂先側に連結された穂先竿3とを有している。この元竿1〜穂先竿3は、炭素繊維によって強化された炭素繊維強化樹脂からなるプリプレグをマンドレルに巻回して得た先細りテーパー状の筒状部材である。
【0011】
また、元竿1は、内部に中空部100(図2参照)を有する筒状部材である。そして、竿尻側端部に取り外し可能にはめ込まれた尻栓部5と、竿元側に形成されたグリップ6と、グリップ6穂先側の外周面に設けられリール7が装着されるリールシート8とを有している。そして、リール7から導かれた釣糸Lは、中竿2及び穂先竿3に設けられた複数のガイドリング9に導かれて穂先側のトップガイド10へ導かれている。
【0012】
図2に示すように、尻栓部5は、元竿1の竿元側端部にはめ込まれている合成樹脂製の部材である。元竿1の竿元側端部の内周面には雌ネジ部が形成されており、尻栓部5はこの雌ネジ部に螺合可能なようにネジ山が形成されている。グリップ6は、ウレタンゴムやスチレン−ブタジエンゴム等の弾性を有する合成樹脂からなる筒状部材であって、元竿1の外周面を覆うように竿元側端部に配置され、接着剤等で固定されている。リールシート8は、元竿1の所定の位置にモールド成型等によって一体成型された合成樹脂製部材である。リールシート8の所定の位置にリール7の脚部を載置して取り外し自在に固定可能になっている。
【0013】
また、元竿1の中空部100のリールシート8の穂先側には、中空部100の軸方向の連結を塞ぐように栓部材10が配置されている。この栓部材10はウレタンゴム,ブタジエンゴム,シリコンゴム等の弾性を有する合成樹脂製の部材であって、中空部100の最大周径である竿元側端部の周径とほぼ同じ径を有するように形成されている。また、栓部材10の竿元側の中空部100には、例えば、鉛等からなる金属製球状部材である、錘11が移動自在に配置されている。
【0014】
このように構成された釣竿では、元竿1,中竿2,穂先竿3を順次並継ぎ形式で連結して一本の釣竿として釣りを行う。この釣竿を振回すると、錘11が重力及び遠心力によって元竿1内に設けられた中空部100を移動する。ここで、栓部材10は錘11が栓部材10より穂先側に移動するのを抑止している。キャスティング時に釣竿を振りかぶると、錘11は中空部100内を竿元側に移動して釣竿全体の重心が竿元側に移動する。そして、釣竿を前方に振り下ろすと共に、遠心力によって錘11が穂先側へ向かって移動し栓部材10まで移動する。この結果、キャスティングが円滑になると共に、狙ったポイントに仕掛けを投げ入れやすくなる。また、過度に穂先側に重心が過度に移動することもない。なお、キャスティング後にリール7を巻き取りながら仕掛けをリトリーブする場合も、穂先側に重心が移動しているので釣竿の穂先側を下に向けた状態で容易に維持可能になりリトリーブが容易になる。
【0015】
なお、必要に応じて、図3に示すように、尻栓部5をはずして錘11を取り出した後、棒部材Aを元竿1の穂先側または竿元側から挿入して栓部材10を移動させる。栓部材10は弾性部材であり、その弾性力によって元竿1の中空部100の任意の位置に固定可能である。このように錘11の移動範囲を自由に設定できるので、ユーザ毎に最も適した位置まで重心を移動させることができ、キャスティングが円滑になる。
【0016】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図4に示すように、本発明の第2実施形態を採用した中通し竿は、複数の竿体からなり小径に形成された穂先側の竿体から順次竿元側の竿体へ収納可能な内部竿体41と、内部竿体41が挿入され収納可能なように内部竿体41の竿元側に連結された外部竿体42とを有している。外部竿体42及び内部竿体41は、それぞれ炭素繊維強化樹脂製のプリプレグをマンドレルに巻回し焼成して得られた先細り筒状部材であり、内部にそれぞれ中空部200(図5を参照)を有している。
【0017】
また中通し竿は、内部竿体41の穂先側先端に配置されたトップガイド43と、外部竿体42の竿元側端部に配置された竿元グリップ45と、竿元グリップ45の穂先側に配置された前グリップ46と、竿元グリップ45と前グリップ46との間に設けられリール47を装着するリールシート48とを有している。さらに、図5に示すように、外部竿体42の前グリップ46の穂先側外周面には、釣糸Lを中空部200に導入するための釣糸導入孔50と、釣糸導入孔50を覆うように外部竿体42の前グリップ46の穂先側外周面に設けられた釣糸案内部材51とを有している。そして、リール47からの釣糸Lは、釣糸案内部材51と釣糸導入孔50とを通って中空部200へ挿通され、トップガイド4から外部へ導かれている。
【0018】
また、元竿1の中空部200の釣糸導入孔50の竿元側には、中空部200の軸方向の連結を塞ぐように前栓部材60が配置されており、中空部200の竿元グリップ45の穂先側端部には、中空部200の軸方向の連結を塞ぐように後栓部材61が配置されている。この前栓部材60及び後栓部材61はコルク製または合成樹脂製の部材であって、接着剤等によって中空部200の所定の位置にそれぞれ固定されている。また、前栓部材60と後栓部材61との間の中空部200には、例えば、鉛等からなる金属製球状部材である、錘62が移動自在に配置されている。
【0019】
このように構成された中通し竿では、この中通し竿を振回すると、錘62が重力及び遠心力によって中空部200の竿元側の前栓部材60と後栓部材61との間を移動する。キャスティング時に釣竿を振りかぶると、錘62は中空部200を後栓部材61まで移動して釣竿全体の重心が竿元側に移動する。そして、釣竿を前方に振り下ろすと共に、遠心力によって錘62が穂先側へ向かって移動し前栓部材60まで移動する。この結果、キャスティングが円滑になると共に、狙ったポイントに仕掛けを投げ入れやすくなる。また、過度に穂先側に重心が過度に移動することもない。さらに、前栓部材60が釣糸導入孔50から進入したゴミや水等が中空部200の竿元側に入り込むのも防止する。
【0020】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図6に示すように、本発明の第3実施形態を採用した釣竿は、竿体70と、竿体70の周面に設けられた複数のラインガイド71と、竿体70の穂先側先端に設けられたトップガイド72と、竿体70の竿尻側端部に設けられたグリップ73と、グリップ73よりやや穂先側の外周面に設けられリール74が装着されるリールシート75とを有している。そして、リール74からの釣糸Lは、ラインガイド71を順に介してトップガイド72へ導かれている。
【0021】
この竿体70は、炭素繊維等の強化繊維に樹脂を含浸させたシート状のプリプレグをマンドレルに巻回して成型されたものであり、先端が細いテーパ状であって筒状のものである。また、グリップ73は、竿体70の竿尻にはめ込まれ、接着剤で接着された蓋付き円筒型部材であり、例えば、ウレタンゴム等のゴム系弾性体やアクティマー(商標)等のスチレンブロック共重合体系熱可塑性樹脂製の部材である。
【0022】
竿体70の内部には、図7に示すように、竿元側端部からリールシート75の穂先側にかけてパイプ部材76が挿通されている。パイプ部材76は、例えば、ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,フェノール樹脂,ナイロン樹脂等からなるパイプ状部材であり、竿体70の湾曲と共に湾曲可能になっている。そして、竿体70の成型後に竿体70の内部に挿通される。また、パイプ部材76内の一部には、水77(重心移動媒体)が注入されており、パイプ部材76は内部の水77は漏れ出ないように密封されている。
【0023】
このように構成された釣竿では、キャスティング時に釣竿を振りかぶると、水77は竿元側に移動して釣竿全体の重心が竿元側に移動する。そして、釣竿を前方に振り下ろすと共に、遠心力によって水77が穂先側へ向かって移動する。この結果、キャスティングが円滑になると共に、ねらったポイントに仕掛けを投げ入れやすくなる。
【0024】
[他の実施形態]
(a)釣竿の重心を移動させるために竿体内に配置するものとしては、砂,食塩水等の適当な水溶液,ゲル等を例示することができる。
(b)第3実施形態において、パイプ部材76を竿体70の全体に配置してもよい。
(c)栓部材を竿体の中空部内に配置する代わりに、竿体の中空部に突起部を設けて錘の移動を抑止してもよい。例えば、図8に示すように、内部に中空部300を有する竿体80において、竿体80と一体形成された突起部81を形成し、錘90の移動を抑止する
【0025】
【発明の効果】
本発明に係る釣竿によれば、竿体内部に錘が配置されており所定の範囲内を移動可能になっているので、全体の軽量化及びバランスを保ちつつ重心を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を採用した釣竿の全体図。
【図2】 図1の元竿1の拡大断面図。
【図3】栓部材10を移動させる場合を示した元竿1の拡大断面図。
【図4】本発明の第2実施形態を採用した釣竿の全体図。
【図5】図4の外部竿体32の拡大断面図。
【図6】本発明の第3実施形態を採用した釣竿の全体図。
【図7】図6の竿体70の拡大断面図。
【図8】本発明の他の実施形態を採用した竿体の断面図。
【符号の説明】
1 元竿
2 中竿
3 穂先竿
5 尻栓部
10 栓部材
11,62 錘
41 内部竿体
42 外部竿体
60 前栓部材
61 後栓部材
70 竿体
76 パイプ部材
77 水
100,200 中空部
L 釣糸
Claims (3)
- 魚釣りに用いる釣竿であって、
内部に中空部を有する竿体と、
前記中空部の内部に移動可能に配置された錘と、
前記中空部の竿元に形成され前記錘の竿元側への脱落を防ぐ第1抑止手段と、
前記中空部の穂先側に設けられ前記錘の穂先側への脱落を防ぐ前記中空部内を軸方向に移動可能に設けられた第2抑止手段と、を備えた釣竿。 - 前記第2抑止手段は栓状弾性部材である、請求項1に記載の釣竿。
- 前記釣竿が中通し竿であり、
前記竿体の中間部に釣糸を前記中空部に導入するための釣糸導入孔とをさらに備え、
前記第2抑止手段は前記釣糸導入孔より竿元側で前記中空部内を軸方向に移動可能に設けられている、請求項1又は2に記載の釣竿。
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