JP4023350B2 - ネットワーク接続機器及びこれに用いるタイムスタンプ処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネットワークに接続されて使用されるネットワーク接続機器に係り、特に、複数のネットワーク接続機器を同期運転させる際に、ネットワーク上を流れる情報のジッタによる不具合を回避することができるネットワーク接続機器及びこれに用いるタイムスタンプ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、互いに異なる複数の場所で、テレビ会議システムをネットワークに接続してテレビ会議を行う場合等、ネットワーク接続機器が広く利用されるようになってきている。複数のネットワーク接続機器をネットワークに接続して、長時間、映像データや音声データを送受信する場合には、その複数のネットワーク接続機器間で同期を取る必要がある。複数のネットワーク接続機器間で同期を取らないと、映像が途切れる等の不具合を生じることとなる。
【0003】
そこで、データを送信するネットワーク接続機器(送信機器)は第1のタイムスタンプを送信し、データを受信するネットワーク接続機器(受信機器)は、受信した第1のタイムスタンプを基にして、受信機器で生成する第2のタイムスタンプの進行速度を調整するようにしている。これにより、送信機器と受信機器とを同期させることができる。
【0004】
複数のネットワーク接続機器間での同期方法は、一例として特許文献1に記載されている。また、この種のネットワーク接続機器では、ネットワーク上を流れる情報のジッタが、ネットワーク接続機器間での同期に悪影響を及ぼす。ネットワーク接続機器でジッタ除去を行うことは、特許文献2に記載されている。なお、特許文献2には、ジッタ除去の具体的な構成(方法)は記載されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−55754号公報
【特許文献2】
特開2000−92130号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ネットワーク上を流れる情報のジッタ量は一定ではなく、ジッタ量は状況に応じて大きく変動する。複数のネットワーク接続機器間で同期を取りながら複数のネットワーク接続機器を動作させる場合、ジッタによる誤差の大きい時間情報を的確に除去しなければ、ネットワーク接続機器の動作に悪影響を与えてしまう。従来のネットワーク接続機器及びタイムスタンプ処理方法では、不確定なジッタ量に対応して誤差の大きい時間情報を的確に除去することができないという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、不確定なジッタ量に対応して誤差の大きい時間情報を的確に除去することができるネットワーク接続機器及びこれに用いるタイムスタンプ処理方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、
(a)ネットワークに接続されて使用されるネットワーク接続機器において、前記ネットワークを介して順次入力される第1のタイムスタンプを取り込む取り込み手段(15B)と、時計として動作するカウンタ(12B)と、前記カウンタのカウント値を基にして第2のタイムスタンプを生成する生成手段(13B)と、前記第1のタイムスタンプと前記第2のタイムスタンプとの差分を用いて、前記第1のタイムスタンプのジッタ量を統計的に演算する演算手段(11B)と、順次入力される前記第1のタイムスタンプの内、前記演算手段によって演算したジッタ量が所定の値を越える前記第1のタイムスタンプを除外する除外手段(11B)と、前記除外手段によって除外されなかった前記第1のタイムスタンプと前記第2のタイムスタンプとを用いて、前記生成手段で生成する前記第2のタイムスタンプを補正する補正手段(11B)とを備えて構成したことを特徴とするネットワーク接続機器を提供し、
(b)ネットワーク接続機器に用いるタイムスタンプ処理方法において、前記ネットワークを介して順次入力される第1のタイムスタンプを取り込む取り込みステップと、時計として動作するカウンタのカウント値を基にして第2のタイムスタンプを生成する生成ステップと、前記第1のタイムスタンプと前記第2のタイムスタンプとの差分を用いて、前記第1のタイムスタンプのジッタ量を統計的に演算する演算ステップと、順次入力される前記第1のタイムスタンプの内、前記演算ステップにて演算したジッタ量が所定の値を越える前記第1のタイムスタンプを除外する除外ステップと、前記除外ステップにて除外されなかった前記第1のタイムスタンプと前記第2のタイムスタンプとを用いて、前記生成ステップで生成する前記第2のタイムスタンプを補正する補正ステップとを含むことを特徴とするタイムスタンプ処理方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のネットワーク接続機器及びこれに用いるタイムスタンプ処理方法について、添付図面を参照して説明する。図1はネットワーク接続機器の使用例を示すブロック図、図2は本発明のネットワーク接続機器の一実施形態を示すブロック図、図3はネットワーク上を流れるデータを説明するための図、図4は図2中のタイムスタンプ発生部13Bの具体的構成例を示すブロック図、図5は本発明のタイムスタンプ処理方法の一実施形態を説明するためのフローチャート、図6は本発明のタイムスタンプ処理方法を説明するための特性図である。
【0010】
まず、図1を用いて、ネットワーク接続機器の使用例について説明する。図1において、ネットワーク接続機器1A,1Bはネットワーク2に接続されている。ネットワーク接続機器1Aには、モニタ3A、スピーカ4A、カメラ5A、マイク6Aが接続されている。ネットワーク接続機器1Bには、モニタ3B、スピーカ4B、カメラ5B、マイク6Bが接続されている。ネットワーク接続機器1A,1Bは一例としてコーデック装置であり、両者は同じ構成である。
【0011】
ネットワーク接続機器1Aが送信機器、ネットワーク接続機器1Bが受信機器として使用される場合には、カメラ5Aからの映像データやマイク6Aからの音声データがネットワーク接続機器1Aによりネットワーク2へと送信される。その映像データや音声データはネットワーク接続機器1Bで受信され、映像データによる映像はモニタ3Bに表示され、音声データでによる音声はスピーカ4Bで再生される。ネットワーク接続機器1Bが送信機器、ネットワーク接続機器1Aが受信機器として使用される場合には、その逆となる。
【0012】
ここで、図2を用いて、ネットワーク接続機器1A,1Bの具体的構成について説明する。上記のように、ネットワーク接続機器1A,1Bは同じ構成であり、いずれも送信機器及び受信機器となり得る。しかしながら、図2では、簡略化のため、ネットワーク接続機器1Aを送信機器、ネットワーク接続機器1Bを受信機器として使用した場合について示し、それぞれ、送信機器としての動作、受信機器として動作について説明することとする。
【0013】
図2において、ネットワーク接続機器1Aは、中央処理装置(CPU)11A、時計12A、タイムスタンプ発生部13A、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)14A、データ送信部15Aを備える。DSP14Aは、CPU11Aの制御により、MPEGエンコーダとしての機能を果たしたり、MPEGデコーダとしての機能を果たす。DSP14AをMPEGエンコーダとして動作させるか、MPEGデコーダとして動作させるかは、CPU11Aに内蔵するソフトウェア(プログラム)によって切り換えることができる。送信機器としてのネットワーク接続機器1Aでは、DSP14Aはエンコーダとして動作する。
【0014】
時計12Aは、一例として、90kHzで発振する32ビットのカウンタよりなる。時計12Aからのカウンタ値はCPU11Aに入力される。CPU11Aは入力されたカウンタ値を基にしてタイムスタンプを生成するよう、タイムスタンプ発生部13Aを制御する。送信機器で生成するタイムスタンプをPCR(Program Clock Reference)と称している。以下、タイムスタンプ発生部13Aで発生するタイムスタンプをPCRと呼ぶこととする。
【0015】
タイムスタンプ発生部13Aで発生したPCRはCPU11Aに入力される。ネットワーク接続機器1Aは、PCRを基準として動作する。図2では図示を省略したカメラ5Aやマイク6Aからのデータは、DSP14AによってMPEGエンコードされ、圧縮データとしてCPU11Aに入力される。CPU11Aは、PCRと映像または音声の圧縮データとを合わせて、データ送信部15Aに供給する。データ送信部15Aはメモリと送信ドライバとを備えており、一旦メモリに記憶されたデータをネットワーク2へと送信する。
【0016】
一方、ネットワーク接続機器1Bは、中央処理装置(CPU)11B、時計12B、タイムスタンプ発生部13B、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)14B、データ受信部15Bを備える。DSP14Bは、CPU11Bの制御により、MPEGエンコーダとしての機能を果たしたり、MPEGデコーダとしての機能を果たす。DSP14BをMPEGエンコーダとして動作させるか、MPEGデコーダとして動作させるかは、CPU11Bに内蔵するソフトウェア(プログラム)によって切り換えることができる。受信機器としてのネットワーク接続機器1Bでは、DSP14Bはデコーダとして動作する。
【0017】
時計12Bは、一例として、90kHzで発振する32ビットのカウンタよりなる。時計12Bからのカウンタ値はCPU11Bに入力される。CPU11Bは入力されたカウンタ値を基にしてタイムスタンプを生成するよう、タイムスタンプ発生部13Bを制御する。受信機器で生成するタイムスタンプをSTC(System Time Clock)と称している。以下、タイムスタンプ発生部13Bで発生するタイムスタンプをSTCと呼ぶこととする。タイムスタンプ発生部13Bで発生したSTCはCPU11Bに入力される。
【0018】
データ受信部15Bは受信ドライバとメモリとを備えており、受信された一旦メモリに記憶されたデータは、CPU11Bに入力される。CPU11Bは、入力されたデータに含まれるPCRと映像または音声の圧縮データとを分離し、圧縮データをDSP14Bに供給する。DSP14Bは入力された圧縮データをMPEGデコードし、デコードしたデータを図2では図示を省略したモニタ3Bやスピーカ4Bに供給する。
【0019】
また、CPU11Bは、PCRを基にして、タイムスタンプ発生部13Bで発生するSTCの進行速度(システムクロックの発振周波数等)を調整するよう、タイムスタンプ発生部13Bを制御する。入力されたPCRを基にして調整しながら生成したSTCは、CPU11Bに入力される。ネットワーク接続機器1Bは、STCを基準として動作する。
【0020】
図3は、ネットワーク2上を流れるデータを示している。ネットワーク2上を流れるデータは、D1,D2,D3…をデータの1単位としたデータストリームである。それぞれの単位データD1,D2,D3…は、PCRを含む複数の情報が集まって形成されたパケット群である。
【0021】
図3に示すように、単位データの間隔は一定ではなく、データ間隔はばらついている。このように、ネットワーク2上を流れるデータのジッタ量は、一定ではなく、不確定である。図3の例では、単位データD1,D2の間隔はやや狭く、単位データD8,D9の間隔は非常に広くなっている。この間隔の違いをジッタと呼び、このジッタにより時間情報の到達時刻のずれには誤差が生じる。
【0022】
この誤差が非常に大きい時間情報を除去する手法としては、誤差量の絶対値が所定の値を越えたとき、即ち、極めて間隔が狭い場合や極めて間隔が広い場合のPCRを除外することが考えられる。しかしながら、単純な絶対値でPCRを除外すると、全てのPCRが除外されてしまって、ネットワーク接続機器の同期がとれなくなってしまうこともあり得る。
【0023】
そこで、本発明では、CPU11Bにて、以下の手順によりジッタに起因する誤差の大きい時間情報を除去する。図5に示すように、ステップS1にて、ジッタの標準偏差値σを算出する。具体的には、次の計算式による。
x(i)=PCR(i)−STC(i) …(1)
まず、(1)式で、ネットワーク接続機器1Aより入力されたPCRと、ネットワーク接続機器1Bで発生したSTCとの差分を取る。iは時系列順番である。
【0024】
そして、次の数1にて示す(2)式で、(1)式で得たxの平均値Avgxを計算し、次の数2にて示す(3)式で標準偏差値σを算出する。(2),(3)式中、nは所定の総サンプル数、iは時系列順番である。
【0025】
【数1】
【0026】
【数2】
【0027】
このようにして得た標準偏差値σの偏差Δxを横軸、確率をyとすると、図6に示すような放物線状の確率分布曲線を示す。ステップS2にて、偏差Δxが±2σを越える差分値x(i)を示すPCRを除外する。±2σ以内の範囲は発生確率が95.45%以上の範囲であり、±2σを越える範囲の発生確率は、4.55%未満である。そして、ステップS3にて、総サンプル数nから除外するデータを差し引いたサンプル数mで、新たに平均値を算出する。この平均値Avgx′は、次の数3にて示す(4)式となる。
【0028】
【数3】
【0029】
次に、ステップS4にて、次の数4にて示す(5)式により、スムージング演算を施して、STCの補正値Vを生成する。(5)式中、kはループゲインであり、1以下の値とする。この(5)式によるスムージング演算により、ジッタの変動に徐々に追従することができ、タイムスタンプ処理動作の急激な変動を回避することができる。
【0030】
【数4】
【0031】
CPU11Bは、以上のようにして生成した補正値Vを用いて、タイムスタンプ発生部13Bにより生成するSTCを調整する。図4に示すように、タイムスタンプ発生部13Bは、VCXO制御パルスカウンタ131、VCXO(電圧制御水晶発振器)132、分周器133、STCカウンタ134とを備える。補正値Vは、VCXO制御パルスカウンタ131に入力される。VCXO制御パルスカウンタ131は、補正値Vに応じて、VCXO132の発振を制御するための制御パルスを発生する。
【0032】
VCXO132の発振出力は、分周器133に入力されて分周される。分周器133の分周出力は、STCカウンタ134に入力される。STCカウンタ134は、入力された分周器133の分周出力をカウントして、STCを生成する。STCカウンタ134は、時計12Bと同一であってもよい。
【0033】
なお、本実施形態では、統計的な演算方法として、標準偏差値σを用いたが、σの2乗である分散値を用いてもよい。本発明は以上説明した本実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のネットワーク接続機器及びこれに用いるタイムスタンプ処理方法によれば、不確定なジッタ量に対応して誤差の大きい時間情報を的確に除去することができる。よって、複数のネットワーク接続機器を的確に同期させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ネットワーク接続機器の使用例を示すブロック図である。
【図2】本発明のネットワーク接続機器の一実施形態を示すブロック図である。
【図3】ネットワーク上を流れるデータを説明するための図である。
【図4】図2中のタイムスタンプ発生部13Bの具体的構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明のタイムスタンプ処理方法の一実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明のタイムスタンプ処理方法を説明するための特性図である。
【符号の説明】
1A,1B ネットワーク接続機器
2 ネットワーク
11A,11B 中央処理装置(CPU)(演算手段,除外手段,補正手段)
12A,12B 時計(カウンタ)
13A タイムスタンプ発生部
13B タイムスタンプ発生部(生成手段)
14A,14B デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)
15A データ送信部
15B データ受信部(取り込み手段)
Claims (2)
- ネットワークに接続されて使用されるネットワーク接続機器において、
前記ネットワークを介して順次入力される第1のタイムスタンプを取り込む取り込み手段と、
時計として動作するカウンタと、
前記カウンタのカウント値を基にして第2のタイムスタンプを生成する生成手段と、
前記第1のタイムスタンプと前記第2のタイムスタンプとの差分を用いて、前記第1のタイムスタンプのジッタ量を統計的に演算する演算手段と、
順次入力される前記第1のタイムスタンプの内、前記演算手段によって演算したジッタ量が所定の値を越える前記第1のタイムスタンプを除外する除外手段と、
前記除外手段によって除外されなかった前記第1のタイムスタンプと前記第2のタイムスタンプとを用いて、前記生成手段で生成する前記第2のタイムスタンプを補正する補正手段とを備えて構成したことを特徴とするネットワーク接続機器。 - ネットワーク接続機器に用いるタイムスタンプ処理方法において、
前記ネットワークを介して順次入力される第1のタイムスタンプを取り込む取り込みステップと、
時計として動作するカウンタのカウント値を基にして第2のタイムスタンプを生成する生成ステップと、
前記第1のタイムスタンプと前記第2のタイムスタンプとの差分を用いて、前記第1のタイムスタンプのジッタ量を統計的に演算する演算ステップと、
順次入力される前記第1のタイムスタンプの内、前記演算ステップにて演算したジッタ量が所定の値を越える前記第1のタイムスタンプを除外する除外ステップと、
前記除外ステップにて除外されなかった前記第1のタイムスタンプと前記第2のタイムスタンプとを用いて、前記生成ステップで生成する前記第2のタイムスタンプを補正する補正ステップとを含むことを特徴とするタイムスタンプ処理方法。
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