JP4023216B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気ガス中のNOx を浄化する内燃機関の排気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の排気浄化装置に関連する先行技術文献としては、特許第2836523号公報にて開示されたものが知られている。このものでは、NOx 触媒(NOx 吸収剤)の劣化の度合いが高くなるほど、NOx 触媒に流入する排気ガスの空燃比をリーンからリッチに切換えて吸蔵されたNOx を浄化するための還元(Regeneration:リジェネレーション;以下、単に『リジェネ』と記す)周期またはNOx 触媒に流入する排気ガスの空燃比をリーンからリッチに切換えNOx 触媒の還元のためリッチ燃焼させるリッチ時間を短くして燃料消費率を低減し、リジェネ時に未燃HC,COが大気中に放出されるのを阻止する技術が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関の排気量に対応するNOx 触媒によるNOx 吸蔵量の拡大や触媒温度の低下を図ろうとすると、複数のNOx 触媒を並列に設置する必要が生じることとなる。この際、各NOx 触媒毎に劣化の度合いが異なることが考えられる。しかし、各NOx 触媒毎の劣化の度合いに応じてリジェネ周期や各NOx 触媒の還元のためリッチ燃焼させるリッチ時間を設定することができないため、各NOx 触媒はそれぞれの吸蔵能力を十分に発揮できないという不具合があった。
【0004】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、内燃機関の各気筒群毎に独立して配設された排気通路に対してそれぞれNOx 触媒を設置すると共に、それぞれのNOx 吸蔵能力を十分に発揮させることが可能な内燃機関の排気浄化装置の提供を課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の内燃機関の排気浄化装置によれば、触媒制御手段によってNOx 触媒のそれぞれの吸蔵能力が推定され、それらに共通のリジェネ(還元)周期が設定され、かつ各吸蔵能力に応じてNOx 触媒の還元のため気筒群毎にリッチ燃焼させるリッチ時間が独立して設定される。これにより、NOx 触媒の吸蔵能力が考慮された適切な共通のリジェネ周期及び各リッチ時間が採用されることとなり、NOx 触媒のそれぞれの吸蔵能力を越えて排気ガス中のNOx が流入することがないためエミッション悪化が未然に防止される。
また、触媒制御手段によってリッチ時間の短いNO x 触媒に対応する気筒群では、リッチ時間の長い気筒群のNO x 触媒に対するリッチ時間が終了するまでストイキ近傍にて燃焼される。これにより、NO x 触媒の個体差や経時変化の違いによるエミッション悪化が防止され、リジェネ周期毎にNO x 触媒の個々の吸蔵能力が十分に回復される。
【0006】
請求項2の内燃機関の排気浄化装置によれば、請求項1の手段に加え、更に、触媒制御手段によって空燃比検出手段で検出されるNOx 触媒の下流側の空燃比または酸素濃度に基づき、NOx 触媒のそれぞれの吸蔵能力が推定される。これにより、NOx 触媒のそれぞれの吸蔵能力が分かり、それらNOx 触媒に合わせて共通のリジェネ周期及びリッチ燃焼させる各リジェネ時間が設定されることで、NOx 触媒のそれぞれの吸蔵能力を越えて排気ガス中のNOx が流入することがないためエミッション悪化が未然に防止される。
【0008】
請求項3の内燃機関の排気浄化装置の内燃機関では、請求項1または請求項2の効果に加えて、1つの吸気通路に1つのスロットルバルブが配設された構成であるため、内燃機関に対する吸気系の構成を簡単で小さくすることができ、装置全体の小型化が図られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置が適用された内燃機関及びその周辺機器を示す概略構成図である。
【0011】
図1において、内燃機関1は直列6気筒(#1気筒〜#6気筒)4サイクルの火花点火式として構成されている。内燃機関1の上流側のエアクリーナ2から吸入された空気は吸気通路3、スロットルバルブ4、サージタンク5、吸気マニホルド6を通過し、吸気マニホルド6内で#1気筒〜#6気筒に対応する各インジェクタ(燃料噴射弁)7から噴射された燃料と混合され、所定の空燃比(Air-Fuel Ratio)の混合気として各気筒(#1気筒〜#6気筒)に分配供給される。また、内燃機関1の#1気筒〜#6気筒に設けられた各点火プラグ8には点火回路9から供給される高電圧がディストリビュータ10を介して逐次、分配供給され、#1気筒〜#6気筒の混合気が所定タイミングで点火燃焼される。
【0012】
そして、燃焼後の排気ガスは、内燃機関1の第1気筒群(#1気筒〜#3気筒)及び第2気筒群(#4気筒〜#6気筒)に分割され、それぞれに対応する排気マニホルド11a,11bに接続された排気通路12a,12bに設置された触媒コンバータとしてのNOx 触媒15a,15bを通過したのち大気中に排出される。このNOx 触媒15a,15bによって、主にリーン空燃比での燃焼時、排気ガス中のNOx が吸蔵されると共に、リッチ空燃比での燃焼時、吸蔵されたNOx がリッチ成分としてのHC(炭化水素)やCO(一酸化炭素)等にてリジェネ(還元)され放出される。
【0013】
また、吸気通路3には吸気量(吸入空気量)QA〔g/sec〕を検出する吸気量センサ21及びスロットルバルブ4の下流側の吸気通路3内の負圧としての吸気圧PM〔kPa〕を検出する吸気圧センサ22が配設されている。そして、スロットルバルブ4にはスロットル開度TA〔°〕を検出するスロットル開度センサ23が配設されている。このスロットル開度センサ23にはアイドルスイッチも内蔵されており、スロットルバルブ4が略全閉である旨の検出信号も出力される。
【0014】
更に、内燃機関1のシリンダブロックには冷却水温THW〔℃〕を検出する水温センサ24が配設されている。ディストリビュータ10には内燃機関1の機関回転速度NE〔rpm〕を検出する回転数センサ25が配設され、この回転数センサ25によって内燃機関1の2回転、即ち、720〔°CA(Crank Angle:クランク角)〕毎に等間隔で24個のパルス信号が出力される。
【0015】
また、排気通路12a,12b途中で触媒15a,15bの上流側には、排気ガス中のO2 (酸素)濃度に比例して広域でかつリニアな空燃比としてのA/Fセンサ出力値AF1,AF2を検出するA/Fセンサ26a,26bがそれぞれ配設されている。そして、排気通路12a,12b途中でNOx 触媒15a,15bの下流側には、排気ガス中の空燃比がリッチまたはリーンに応じて生じる異なる起電力としてのO2 センサ出力値VOX1,VOX2を検出するO2 センサ27a,27bが配設されている。
【0016】
ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)30は、周知の各種演算処理を実行する中央処理装置としてのCPU31、制御プログラムを格納したROM32、各種データを格納するRAM33、B/U(バックアップ)RAM34等を中心に論理演算回路として構成され、各種センサからの検出信号を入力する入力ポート35及び各種アクチュエータ等に制御信号を出力する出力ポート36に対しバス37を介して接続されている。ECU30のCPU31によって入力ポート35からの各種入力信号が読込まれ演算処理され、#1気筒〜#6気筒のインジェクタ7、点火回路9や各種アクチュエータ等に各種出力信号42が出力され、内燃機関10の運転状態が制御される。
【0017】
ここで、本実施例の排気浄化制御の概要について、図2及び図3を参照して簡単に説明する。なお、本実施例では、第1気筒群のNOx 触媒15aに吸蔵されたNOx の方が第2気筒群のNOx 触媒15bに吸蔵されたNOx より多く、NOx をリジェネ(還元)するのに必要な時間間隔であるリジェネ周期(図3に示す時刻t0 〜時刻t3 )がリジェネ周期カウンタCNOXAD1にて設定される場合が想定されている。また、第1気筒群に対するリジェネ周期カウンタCNOXAD1のオフセットされた初期値は、後述の第1気筒群のNOx 触媒15aと第2気筒群のNOx 触媒15bとのNOx 吸蔵量差DLNOXに基づき設定されている。
【0018】
図2に示すマップに基づき、機関回転速度NE〔rpm〕及び吸気圧〔kPa〕をパラメータとして適宜、目標空燃比AFTGが算出される。そして、図3にタイムチャートを示すように、内燃機関1に対するリーン燃焼の実施途中において一時的にリッチ燃焼が実施されるよう、燃料噴射毎に計数される第1気筒群に対するリジェネ周期カウンタCNOXAD1に基づき、目標空燃比AFTG1によるリッチ燃焼とするリッチ時間(時刻t0 〜時刻t2 )、また、燃料噴射毎に計数される第2気筒群に対するリジェネ周期カウンタCNOXAD2に基づき、目標空燃比AFTG2によるリッチ燃焼とするリッチ時間(時刻t0 〜時刻t1 )が設定される。
【0019】
ここで、第2気筒群に対するリッチ時間(時刻t0 〜時刻t1 )が終了したののち、第1気筒群に対するリッチ時間(時刻t0 〜時刻t2 )が終了するまでは、第2気筒群に対して理論空燃比(Stoichiometric Air-Fuel Ratio;以下、『ストイキ』と記す)燃焼とするストイキ時間(時刻t1 〜時刻t2 )が設定される。そして、第1気筒群及び第2気筒群に共通なリーン燃焼とするリーン時間(時刻t2 〜時刻t3 )が設定され、これら設定された各時間に応じてリッチ燃焼、ストイキ燃焼及びリーン燃焼が実施される。これにより、内燃機関1の排気通路12a,12b途中に設置されたNOx 触媒15a,15bにより、内燃機関1のリーン燃焼時、排気ガス中のNOx が吸蔵され、内燃機関1のリッチ燃焼時、吸蔵されたNOx がリジェネ(還元)され浄化されることとなる。なお、第1気筒群のNOx 触媒15aと第2気筒群のNOx 触媒15bとのNOx 吸蔵量差DLNOXが「0(零)」であるときには、リジェネ周期カウンタCNOXAD1,CNOXAD2は同じように遷移することでストイキ燃焼の必要がないためストイキ時間は設定されない。
【0020】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU30内のCPU31における燃料噴射制御の処理手順を示す図4のフローチャートに基づいて説明する。なお、この燃料噴射制御ルーチンは各気筒の燃料噴射タイミング毎(本実施例では120〔°CA〕毎)にCPU31にて繰返し実行される。
【0021】
図4において、ステップS101で、内燃機関の運転状態に応じた各種センサ情報が読込まれる。次にステップS102に移行して、ROM32内に予め格納されている基本噴射マップを用い機関回転速度NE〔rpm〕及び吸気圧PM〔kPa〕に基づいて基本噴射量Tpが算出される。次にステップS103に移行して、後述の演算処理により目標空燃比AFTGが算出される。次にステップS104に移行して、実際の空燃比(センサ計測値)と目標空燃比AFTGとの偏差に基づいて空燃比フィードバック補正係数FAFが算出される。なお、A/Fセンサ26a,26bからの空燃比信号に基づく空燃比フィードバック制御については、周知であり、その詳細な説明は省略する。次にステップS105に移行して、最終燃料噴射量TAUが次式(1)にて算出され、この最終燃料噴射量TAUに相当する制御信号がインジェクタ7に出力され本ルーチンを終了する。ここで、FALLは冷却水温、エアコン負荷等に基づく各種補正係数である。
【0022】
【数1】
TAU=Tp・FAF・FALL ・・・(1)
【0023】
なお、空燃比フィードバック制御は、内燃機関1の冷却水温THWが所定温度以上、高回転・高負荷状態になく、A/Fセンサ26a,26bが活性状態にある等のフィードバック実行条件が成立するときに実行され、フィードバック実行条件が不成立であるときにはFAF=1.0とする空燃比オープン制御が実行される。
【0024】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU30内のCPU31における目標空燃比AFTG演算の処理手順を示す図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0025】
図5において、ステップS201では、第1気筒群のNOx 触媒15aに対するNOx リジェネ処理実行を判定するためのNOx リジェネ実行判定値NOXJDG1が第2気筒群のNOx 触媒15bに対するNOx リジェネ処理実行を判定するためのNOx リジェネ実行判定値NOXJDG2以下であるかが判定される。なお、NOx リジェネ実行判定値NOXJDG1,NOXJDG2は後述の演算処理によって算出される。ステップS201の判定条件が成立するときにはステップS202に移行し、第1気筒群のNOx リジェネ実行判定値NOXJDG1が最終リジェネ実行判定値NOXJDGに設定される。一方、ステップS201の判定条件が成立しないときにはステップS203に移行し、第2気筒群のNOx リジェネ実行判定値NOXJDG2が最終リジェネ実行判定値NOXJDGに設定される。
【0026】
ステップS202またはステップS203による処理ののちステップS204に移行し、NOx 吸蔵量CNOXADが最終リジェネ実行判定値NOXJDG以上であるかが判定される。ステップS204の判定条件が成立、即ち、NOx 吸蔵量CNOXADが最終リジェネ実行判定値NOXJDG以上と多いときにはステップS205に移行し、NOx リジェネ実行フラグ1及びNOx リジェネ実行フラグ2が共に「ON(オン)」とされ、リッチ制御値が目標空燃比AFTG1及び目標空燃比AFTG2とされる。一方、ステップS204の判定条件が成立せず、即ち、NOx 吸蔵量CNOXADが最終リジェネ実行判定値NOXJDG未満と少ないときにはステップS205がスキップされる。次にステップS206に移行して、第1気筒群のNOx 触媒15aに吸蔵されたNOx のリジェネ時間間隔を設定するためのリジェネ周期カウンタCNOXAD1が「0」以下であるかが判定される。ステップS206の判定条件が成立、即ち、リジェネ周期カウンタCNOXAD1が「0」以下と小さいときにはステップS207に移行し、NOx リジェネ実行フラグ1が「OFF(オフ)」とされ、第1気筒群の目標空燃比AFTG1がストイキに設定される。一方、ステップS206の判定条件が成立せず、即ち、リジェネ周期カウンタCNOXAD1が「0」を越え大きいときにはステップS207がスキップされる。
【0027】
次にステップS208に移行して、第2気筒群のNOx 触媒15bに吸蔵されたNOx のリジェネ時間間隔を設定するためのリジェネ周期カウンタCNOXAD2が「0」以下であるかが判定される。ステップS208の判定条件が成立、即ち、リジェネ周期カウンタCNOXAD2が「0」以下と小さいときにはステップS209に移行し、NOx リジェネ実行フラグ2が「OFF」とされ、第2気筒群の目標空燃比AFTG2がストイキに設定される。一方、ステップS208の判定条件が成立せず、即ち、リジェネ周期カウンタCNOXAD2が「0」を越え大きいときにはステップS209がスキップされる。次にステップS210に移行して、NOx リジェネ実行フラグ1及びNOx リジェネ実行フラグ2が共に「OFF」であるかが判定される。ステップS210の判定条件が成立、即ち、NOx リジェネ実行フラグ1及びNOx リジェネ実行フラグ2が共に「OFF」であるときにはステップS211に移行し、リーン制御値が目標空燃比AFTG1及び目標空燃比AFTG2とされ、本ルーチンを終了する。
【0028】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU30内のCPU31におけるリッチガス積算値AFAD演算の処理手順を示す図6のフローチャートに基づいて参照して説明する。なお、このリッチガス積算値AFAD演算ルーチンは所定時間毎にCPU31にて繰返し実行される。
【0029】
図6において、まず、ステップS301で、ストイキ空燃比AFSDからA/F(空燃比)センサ26aのA/Fセンサ出力値AF1が減算されリッチ空燃比AFDVが算出される。次にステップS302に移行して、ステップS301で算出されたリッチ空燃比AFDVが「0」を越えているかが判定される。ステップS302の判定条件が成立、即ち、リッチ空燃比AFDVが0を越え大きいときにはステップS303に移行して、リッチ空燃比AFDVに吸気量QAが乗算されリッチ供給量AFDV1が算出される。次にステップS304に移行して、ステップS303で算出されたリッチ供給量AFDV1が加算されリッチガス積算値AFAD1が更新される。一方、ステップS302の判定条件が成立せず、即ち、リッチ空燃比AFDVが0以下と小さいときにはステップS303及びステップS304がスキップされる。
【0030】
次にステップS305に移行して、ストイキ空燃比AFSDからA/F(空燃比)センサ26bのA/Fセンサ出力値AF2が減算されリッチ空燃比AFDVが算出される。次にステップS306に移行して、ステップS305で算出されたリッチ空燃比AFDVが「0」を越えているかが判定される。ステップS305の判定条件が成立、即ち、リッチ空燃比AFDVが0を越え大きいときにはステップS306に移行して、リッチ空燃比AFDVに吸気量QAが乗算されリッチ供給量AFDV2が算出される。次にステップS307に移行して、ステップS307で算出されたリッチ供給量AFDV2が加算されリッチガス積算値AFAD2が更新されたのち、本ルーチンを終了する。一方、ステップS306の判定条件が成立せず、即ち、リッチ空燃比AFDVが0以下と小さいときにはステップS307及びステップS308がスキップされ、本ルーチンを終了する。
【0031】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU30内のCPU31におけるNOx 積算量演算の処理手順を示す図7のフローチャートに基づき、図8を参照して説明する。ここで、図8は機関回転速度NE〔rpm〕及び吸気圧PM〔kPa〕をパラメータとしてNOx 量CNOXを算出するマップである。なお、このNOx 積算量演算ルーチンは所定時間毎にCPU31にて繰返し実行される。
【0032】
図7において、ステップS401で、A/Fセンサ値1及びA/Fセンサ値2が共にリーンを示しているかが判定される。ステップS401の判定条件が成立、即ち、A/Fセンサ値がリーンを示しているときにはステップS402に移行し、図8に基づき排気ガス中のNOx 量CNOX(モル)が算出される。次にステップS403に移行して、ステップS402で算出されたNOx 量CNOXが加算されNOx 積算量としてNOx 吸蔵量CNOXADが更新され、また、後述の第1気筒群に対するリジェネ時間補正値DLREG1が加算されリジェネ周期カウンタCNOXAD1及び後述の第2気筒群に対するリジェネ時間補正値DLREG2が加算されリジェネ周期カウンタCNOXAD2がそれぞれ更新されたのち、本ルーチンを終了する。
【0033】
一方、ステップS401の判定条件が成立せず、即ち、A/Fセンサ値1及びA/Fセンサ値2が共にリーンを示していないときにはステップS404に移行し、NOx 還元量DNOX(モル)が算出される。次にステップS405に移行して、A/Fセンサ値1がリッチを示しているかが判定される。ステップS405の判定条件が成立、即ち、A/Fセンサ値1がリッチを示しているときにはステップS406に移行し、ステップS404で算出されたNOx 還元量DNOXが加算されNOx 積算量として第1気筒群に対するリジェネ周期カウンタCNOXAD1が更新される。一方、ステップS405の判定条件が成立せず、即ち、A/Fセンサ値1がリーンを示しているときにはステップS406がスキップされる。
【0034】
次にステップS407に移行して、A/Fセンサ値2がリッチを示しているかが判定される。ステップS407の判定条件が成立、即ち、A/Fセンサ値2がリッチを示しているときにはステップS408に移行し、ステップS404で算出されたNOx 還元量DNOXが加算されNOx 積算量として第2気筒群に対するリジェネ周期カウンタCNOXAD2が更新される。一方、ステップS407の判定条件が成立せず、即ち、A/Fセンサ値2がリーンを示しているときにはステップS408がスキップされる。次にステップS409に移行して、NOx 積算量としてNOx 吸蔵量CNOXADが「0」にクリアされたのち、本ルーチンを終了する。
【0035】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU30内のCPU31における触媒劣化検出の処理手順を示す図9のフローチャートに基づき、図10及び図11を参照して説明する。ここで、図10はNOx 吸蔵量差DLNOXをパラメータとしてリジェネ時間補正値DLREGを算出するマップであり、図11はNOx 吸蔵量NOXCAPをパラメータとしてNOx リジェネ実行判定値NOXJDGを算出するマップである。なお、この触媒劣化検出ルーチンは所定時間毎にCPU31にて繰返し実行される。
【0036】
図9において、ステップS501で、劣化検出タイミングカウンタCCATDTが「0」であるかが判定される。ステップS501の判定条件が成立、即ち、劣化検出タイミングカウンタCCATDTが「0」であるときにはステップS502に移行し、リッチ制御開始であるかが判定される。ステップS502の判定条件が成立せず、即ち、リッチ制御開始でないときにはステップS503に移行し、リーン制御中であるかが判定される。ステップS503の判定条件が成立、即ち、リーン制御中であるときにはステップS504に移行し、リーン時平均O2 センサ出力値算出としてO2 センサ出力値VOX1の(1/32)と前回までのリーン時平均O2 センサ出力値VOX1SMの(31/32)とが加算され今回のリーン時平均O2 センサ出力値VOX1SM、また、リーン時平均O2 センサ出力値算出としてO2 センサ出力値VOX2の(1/32)と前回までのリーン時平均O2 センサ出力値VOX2SMの(31/32)とが加算され今回のリーン時平均O2 センサ出力値VOX2SMが算出され、本ルーチンを終了する。一方、ステップS503の判定条件が成立せず、即ち、リーン制御中でもないときにはステップS504がスキップされ本ルーチンを終了する。
【0037】
ここで、ステップS501の判定条件が成立せず、即ち、劣化検出タイミングカウンタCCATDTが「0」でないときにはステップS505に移行し、劣化検出タイミングカウンタCCATDTが「1」デクリメントされる。一方、ステップS502の判定条件が成立、即ち、リッチ制御開始であるときにはステップS506に移行し、劣化検出タイミング判定値KCCATDTが劣化検出タイミングカウンタCCATDTに設定される。
【0038】
ステップS505またはステップS506における処理ののちステップS507に移行し、後述の演算処理によりO2 センサ出力積算値VOXADが算出される。次にステップS508に移行して、リッチガス積算値AFADが算出される。次にステップS509に移行して、再度、劣化検出タイミングカウンタCCATDTが「0」であるかが判定される。ステップS509の判定条件が成立せず、即ち、劣化検出タイミングカウンタCCATDTが「0」でないときには、本ルーチンを終了する。一方、ステップS509の判定条件が成立、即ち、劣化検出タイミングカウンタCCATDTが「0」であるときにはステップS510に移行し、第1気筒群においてリッチガス積算値AFAD1からリッチ排出量VOX1ADが減算されNOx 最大吸蔵量NOXCAP1とされる。また、第2気筒群においてリッチガス積算値AFAD2からリッチ排出量VOX2ADが減算されNOx 最大吸蔵量NOXCAP2とされる。そして、NOx 最大吸蔵量NOXCAP1とNOx 最大吸蔵量NOXCAP2との偏差の絶対値が両気筒群間におけるNOx 吸蔵量差DLNOXとされる。
【0039】
次にステップS511に移行して、第1気筒群のNOx 最大吸蔵量NOXCAP1が第2気筒群のNOx 最大吸蔵量NOXCAP2を越えているかが判定される。ステップS511の判定条件が成立、即ち、NOx 最大吸蔵量NOXCAP1がNOx 最大吸蔵量NOXCAP2を越え多いときにはステップS512に移行し、図10のマップによりNOx 吸蔵量差DLNOXをパラメータとして第1気筒群のリジェネ時間補正値DLREG1が算出されると共に、第2気筒群のリジェネ時間補正値DLREG2が「0」にクリアされる。
【0040】
一方、ステップS511の判定条件が成立せず、即ち、NOx 最大吸蔵量NOXCAP1がNOx 最大吸蔵量NOXCAP2以下と少ないときにはステップS513に移行し、図10のマップによりNOx 吸蔵量差DLNOXをパラメータとして第2気筒群のリジェネ時間補正値DLREG2が算出されると共に、第1気筒群のリジェネ時間補正値DLREG1が「0」にクリアされる。次にステップS514に移行して、図11のマップによりNOx 吸蔵量NOXCAPをパラメータとして第1気筒群のNOx リジェネ実行判定値NOXJDG1及び第2気筒群のNOx リジェネ実行判定値NOXJDG2が算出され、本ルーチンを終了する。
【0041】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU30内のCPU31におけるO2 センサ出力積算値演算の処理手順を示す図12のフローチャートに基づいて説明する。なお、このO2 センサ出力積算値演算ルーチンは所定時間毎にCPU31にて繰返し実行される。
【0042】
図12において、ステップS601で、第1気筒群のO2 センサ出力値VOX1からリーン時平均O2 センサ出力値VOX1SMが減算されリッチ出力偏差VOX1DVとされる。次にステップS602に移行して、ステップS601によるリッチ出力偏差VOX1DVの絶対値が0.02〔V:ボルト〕以上であるかが判定される。ステップS602の判定条件が成立、即ち、リッチ出力偏差VOX1DVの絶対値が0.02〔V〕以上と大きいときにはステップS603に移行して、リッチ出力偏差VOX1DVに吸気量QAが乗算されリッチ出力偏差VOX1DVが補正される。そして、ステップS604に移行し、リッチ出力偏差VOX1DVが加算されリッチ排出量VOX1ADが更新される。一方、ステップS602の判定条件が成立せず、即ち、リッチ出力偏差VOX1DVの絶対値が0.02〔V〕未満と小さいときにはステップS603及びステップS604がスキップされる。
【0043】
次にステップS605に移行して、第2気筒群のO2 センサ出力値VOX2からリーン時平均O2 センサ出力値VOX2SMが減算されリッチ出力偏差VOX2DVとされる。次にステップS606に移行して、ステップS605によるリッチ出力偏差VOX2DVの絶対値が0.02〔V:ボルト〕以上であるかが判定される。ステップS606の判定条件が成立、即ち、リッチ出力偏差VOX2DVの絶対値が0.02〔V〕以上と大きいときにはステップS607に移行して、リッチ出力偏差VOX2DVに吸気量QAが乗算されリッチ出力偏差VOX2DVが補正される。そして、ステップS608に移行し、リッチ出力偏差VOX2DVが加算されリッチ排出量VOX2ADが更新され、本ルーチンを終了する。一方、ステップS606の判定条件が成立せず、即ち、リッチ出力偏差VOX2DVの絶対値が0.02〔V〕未満と小さいときにはステップS607及びステップS608がスキップされ、本ルーチンを終了する。
【0044】
このように、本実施例の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関1を構成する6つの気筒(#1気筒〜#6気筒)を第1気筒群(#1気筒〜#3気筒)及び第2気筒群(#4気筒〜#6気筒)からなる2つの気筒群に分割し、各気筒群毎に独立して配設する排気通路12a,12bと、排気通路12a,12b途中にそれぞれ設置し、内燃機関1のリーン燃焼時、排気ガス中のNOx (窒素酸化物)を吸蔵し、内燃機関1のリッチ燃焼時、吸蔵したNOx をリジェネ(還元)し浄化するNOx 触媒15a,15bと、NOx 触媒15a,15bのそれぞれの吸蔵能力を推定し、それらに共通の還元周期としてのリジェネ周期を設定すると共に、NOx 触媒15a,15bの還元のため各気筒群毎にリッチ燃焼させるリッチ時間を独立して設定するECU30内のCPU31にて達成される触媒制御手段とを具備するものである。
【0045】
つまり、内燃機関1を構成する6つの気筒(#1気筒〜#6気筒)が第1気筒群(#1気筒〜#3気筒)及び第2気筒群(#4気筒〜#6気筒)からなる2つの気筒群に分割され、これら2つの気筒群に対して独立的に排気通路12a,12bが配設され、この排気通路12a,12b途中にNOx 触媒15a,15bが設置されている。そして、NOx 触媒15a,15bのそれぞれの吸蔵能力が推定され、それらに共通のリジェネ周期が設定され、かつ各吸蔵能力に応じて2つの気筒群毎にリッチ燃焼させるリッチ時間が独立して設定される。これにより、NOx 触媒15a,15bの吸蔵能力が考慮された適切な共通のリジェネ周期及び各リッチ時間が採用されることとなり、NOx 触媒15a,15bのそれぞれの吸蔵能力を越えて排気ガス中のNOx が流入することがないためエミッション悪化を未然に防止することができる。
【0046】
また、本実施例の内燃機関の排気浄化装置は、更に、排気通路12a,12b途中のNOx 触媒15a,15bの下流側に配設し、排気ガス中のO2 (酸素)濃度を検出する空燃比検出手段としてのO2 センサ27a,27bを具備し、ECU30内のCPU31にて達成される触媒制御手段が、NOx 触媒15a,15bのそれぞれの吸蔵能力をO2 センサ27a,27bで検出したO2 濃度に基づいて推定するものである。
【0047】
つまり、O2 センサ27a,27bで検出されるNOx 触媒15a,15bの下流側のO2 濃度によって、これらNOx 触媒15a,15bのそれぞれの吸蔵能力が分かり、そのNOx 触媒15a,15bに合わせた共通のリジェネ周期及び各リッチ時間が設定される。これにより、NOx 触媒15a,15bのそれぞれの吸蔵能力を越えて排気ガス中のNOx が流入することがないためエミッション悪化を未然に防止することができる。
【0048】
そして、本実施例の内燃機関の排気浄化装置のECU30内のCPU31にて達成される触媒制御手段は、リッチ時間が早く終了したNOx 触媒15bに対する第2気筒群では、第1気筒群のNOx 触媒15aに対するリッチ時間が終了するまでストイキ(理論空燃比)近傍にて燃焼させるものである。つまり、NOx 触媒15a,15bのうちリッチ時間の短いNOx 触媒15bに対する第2気筒群では、リッチ時間の長い第1気筒群のNOx 触媒15aに対するリッチ時間が終了するまでストイキ近傍にて燃焼される。これにより、NOx 触媒15a,15bの個体差や経時変化の違いによるエミッション悪化が防止され、リジェネ周期毎にNOx 触媒15a,15bの個々の吸蔵能力を十分に回復させることができる。
【0049】
更に、本実施例の内燃機関の排気浄化装置は、1つの吸気通路3を備え、その吸気通路3に1つのスロットルバルブ4を配設するものである。つまり、内燃機関1を構成する6つの気筒(#1気筒〜#6気筒)に対する吸気系として、1つの吸気通路3が配設され、その吸気通路3に1つのスロットルバルブ4が配設されている。そして、内燃機関1を構成する6つの気筒(#1気筒〜#6気筒)に対する排気系として、第1気筒群(#1気筒〜#3気筒)及び第2気筒群(#4気筒〜#6気筒)に分割された各気筒群毎に独立した排気通路12a,12bが配設され、それらの途中にNOx 触媒15a,15bがそれぞれ設置されている。これにより、内燃機関1に対する吸気系の構成を簡単で小さくすることができ、加えて、気筒群当たりのNOx 触媒15a,15bの大きさを小さくすることができるため、装置全体の小型化を図ることができる。
【0050】
ところで、上記実施例では、排気通路12a,12b途中でNOx 触媒15a,15bの下流側にO2 センサ27a,27bを配設して排気ガス中のO2 濃度を検出しているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、NOx 触媒15a,15bの上流側のA/Fセンサ26a,26bと同様のA/Fセンサを配設して排気ガス中の空燃比を検出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置が適用された内燃機関及びその周辺機器を示す概略構成図である。
【図2】 図2は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置における機関回転速度及び吸気圧をパラメータとして目標空燃比を算出するマップである。
【図3】 図3は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置におけるリジェネ周期カウンタの値に基づきリーン時間及びリッチ時間の設定を示す説明図である。
【図4】 図4は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU内のCPUにおける燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】 図5は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU内のCPUにおける目標空燃比演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】 図6は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU内のCPUにおけるリッチガス積算値演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】 図7は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU内のCPUにおけるNOx 積算量演算の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】 図8は図7で機関回転速度及び吸気圧をパラメータとしてNOx 量を算出するマップである。
【図9】 図9は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU内のCPUにおける触媒劣化検出の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】 図10は図9でNOx 吸蔵量差をパラメータとして目標空燃比補正量を算出するマップである。
【図11】 図11は図9でNOx 吸蔵量をパラメータとしてNOx リジェネ実行判定値を算出するマップである。
【図12】 図12は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の排気浄化装置で使用されているECU内のCPUにおけるO2 センサ出力積算値演算の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 内燃機関
3 吸気通路
4 スロットルバルブ
12a,12b 排気通路
15a,15b NOx 触媒
27a,27b O2 (酸素)センサ
30 ECU(電子制御ユニット)
31 CPU
Claims (3)
- 内燃機関を構成する複数の気筒を複数の気筒群に分割し、各気筒群毎に独立して配設する排気通路と、
前記排気通路途中にそれぞれ設置し、前記内燃機関のリーン燃焼時、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)を吸蔵し、前記内燃機関のリッチ燃焼時、吸蔵したNOx を還元し浄化するNOx 触媒と、
前記NOx 触媒のそれぞれの吸蔵能力を推定し、それらに共通の還元周期を設定すると共に、各吸蔵能力に応じて前記NOx 触媒の還元のため前記各気筒群毎にリッチ燃焼させるリッチ時間を独立して、前記リッチ時間が早く終了した前記NO x 触媒に対応する気筒群では、全ての前記NO x 触媒に対する前記リッチ時間が終了するまで理論空燃比近傍にて燃焼させるように設定する触媒制御手段と
を具備することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 更に、前記排気通路途中の前記NOx 触媒の下流側に配設し、排気ガス中の空燃比または酸素濃度を検出する空燃比検出手段を具備し、前記触媒制御手段は、前記NOx 触媒のそれぞれの吸蔵能力を前記空燃比検出手段で検出した空燃比または酸素濃度に基づいて推定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記内燃機関は、1つの吸気通路を備え、その吸気通路に1つのスロットルバルブを配設することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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