JP4022968B2 - Cfrp補強角パイプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトランスファプレスのワーク搬送装置で用いられているクロスバー等の長尺部材として用いるCFRP補強角パイプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プレスラインと直交するように配したクロスバーにワーク把持具を保持させ、プレス成形されるワークを次の成形ステーションに順次搬送するようにしてあるトランスファプレスのワーク搬送装置において、上記クロスバーには、長尺で軽量且つ高剛性であることが要求されるために、これまでは、金属製の角パイプが用いられていたが、近年では、金属製の角パイプに代わり、CFRP(炭素繊維強化複合体)により製造される角パイプが用いられるようになってきている。
【0003】
図2(イ)(ロ)にCFRP製角パイプ1の製作手順の一例を示すと、先ず、図2(イ)に示す如く、四角柱形状の芯2の周りにシート状(帯状)のCFRPプリプレグ3を巻き付けてプリプレグ積層体を形成した後、図2(ロ)に示す如く、プリプレグ積層体より芯2を抜き、しかる後、上記プリプレグ積層体を加圧しながら加熱硬化させることにより製作するようにしてある。
【0004】
しかし、このCFRP製角パイプ1の場合、金属製角パイプに比して軽量であり、しかも高剛性が得られるものであるが、プリプレグ積層体に対し、外側面及び内側面の全面に同時に加圧しながら加熱硬化させる成形作業が必要となるので、特殊な工程や装置が必要となり、成形コストが嵩んで高価になるという問題がある。
【0005】
そのため、図3(イ)に示す如く、薄板状のCFRPプリプレグ3を単純な平板状に積層成形してなるCFRP平板4を、アルミニウム等の金属製とした薄肉角パイプ5の各外側面部に全長にわたって一体となるように接着して補強することにより、曲げ剛性を高めると共にCFRPによる成形を単純化して成形コストの引き下げを図るようにしたCFRP補強角パイプ6が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記CFRP補強角パイプ6では、角部7が薄肉の金属のみで構成されているため、該角部7の強度が弱く、捩り方向の荷重がかかると、図3(ロ)に示す如く、断面形状が菱形状に容易に変形してしまい、CFRP補強角パイプ6全体としての捩り剛性が低いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、角部の強度を高めることができて、全体として高剛性とし、且つ軽量とすると共に低コストで製造することのできるCFRP補強角パイプを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、四方の各外側面部に長手方向に沿い所要の幅及び深さの溝を全長に設けることにより壁厚を薄肉として、角部のみを厚肉とした異形断面の金属製角パイプ体を構成し、該角パイプ体の各外側面部の各溝に、CFRP平板を全長に亘り嵌合させて一体化した構成とする。
【0009】
四方の各角部のみを厚肉とした異形断面角パイプ体の採用により、角部の強度を高めることができ、捩り荷重が作用した際に角部が容易に変形することを防ぐことができて、全体としての捩り剛性を高いものとすることができる。更に、曲げ荷重に対しては、角パイプ体の各外側面部の各溝内にCFRP平板を全長に亘り嵌合させて一体化してあるため、高い曲げ剛性を得ることができる。したがって、角パイプ全体として高剛性なものとすることができる。
【0010】
又、角パイプ体の各外側面部の各溝内に、薄板状のCFRPプリプレグを積層して加圧、加熱硬化させてなるCFRP平板を全長に亘り嵌合させて一体化した構成とすることにより、成形が単純化されるので、成形コストを低く抑えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1(イ)(ロ)は本発明の実施の一形態を示すもので、四方の各外側面部に、長手方向の全長にわたり溝9を設けて、壁厚を薄肉として角部10のみを厚肉とした異形断面の角パイプ体8を構成し、且つ該角パイプ体8の上記各溝9内に、CFRPプリプレグ3を積層成形してなるCFRP平板4を全長にわたって嵌合させると共に接着して一体化してなる構成のCFRP補強角パイプ11とする。
【0015】
次に、具体的な製作方法を詳述すると、図1(イ)に示す如き、壁厚tを有する角パイプの各外側面部の中央部分に、深さ1/2t、内径とほぼ同じ幅wの溝9を長手方向に沿い全長に設けて、角部10のみを厚肉とした形状のアルミニウム製異形断面の角パイプ体8を、押出し成形、又は、引抜き成形、あるいは切削成形により作製する。一方、幅wとして角パイプ体8と同一長さに形成した薄板状のCFRPプリプレグ3を積層して、加圧、加熱硬化させてなる厚さ1/2tとしたCFRP平板4を4枚製作しておく。これら4枚のCFRP平板4を、上記角パイプ体8の各溝9に順次嵌合させると共に外表面を除く各面を接着剤により接着して、一体構造となるようにする。
【0016】
かかる構成としてある本発明のCFRP補強角パイプ11では、角パイプ体8の角部10が厚肉となっているため、角部10の強度を高めることができて、捩り荷重に対しても、容易に断面形状が変形することを防ぐことができる。したがって、CFRP補強角パイプ11全体としての捩り剛性を高いものとすることができる。又、曲げ荷重に対しては、角パイプ体8の外側面部をCFRP平板4で補強してあるため、CFRP補強角パイプ11全体を高剛性とすることができると共に、曲げ剛性をCFRP平板4により得ることができることから軽量化することができる。更に、上記CFRP平板4は、薄板状のCFRPプリプレグ3の単純積層成形によって得られるため、成形コストを抑え、安価なものとすることができる。
【0017】
本発明のCFRP補強角パイプ11は、同サイズの単純アルミニウム製角パイプと比較した場合、アルミニウム製角パイプに対して、同等の捩り剛性を得ることができると共に、曲げ剛性を約3倍にすることができ、且つ重量を20%程度減少させることができる。
【0018】
なお本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、異形断面角パイプ体8の材質としてはアルミニウム以外の金属であってもよいこと、又、溝9の深さ及び幅はそれぞれ所望強度の得られる範囲内で変更してもよいこと、更に、実施の形態では、CFRP補強角パイプ11の断面形状を正方形とした場合を示したが長方形であってもよいこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0019】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明のCFRP補強角パイプによれば、次の如き優れた効果を発揮する。
(1) 四方の各外側面部に長手方向に沿い所要の幅及び深さの溝を全長に設けることにより壁厚を薄肉として、角部のみを厚肉とした異形断面の金属製角パイプ体を構成し、該角パイプ体の各外側面部の各溝に、CFRP平板を全長に亘り嵌合させて一体化した構成としてあるので、角部の強度を金属により高めることができることにより、捩り荷重が作用した際に断面形状が変形することを防ぐことができて、捩り剛性を高いものとすることができ、又、角パイプ体の各外側面部の各溝内にCFRP平板を全長に亘り嵌合させて一体化した構成としてあるため、高い曲げ剛性を得ることができて、CFRP補強角パイプ全体を高剛性とすることができると共に軽量なものとすることができる。
(2) 角パイプ体の各外側面部の各溝内に、薄板状のCFRPプリプレグを積層して加圧、加熱硬化させてなるCFRP平板を全長に亘り嵌合させて一体化した構成とすることにより、CFRP平板の成形を単純化することができるので、特殊な工程や装置が不要で、安価に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCFRP補強角パイプの実施の一形態を示すもので、(イ)は端面図、(ロ)は側面図である。
【図2】従来のCFRP製角パイプの概略を示すもので、(イ)(ロ)はいずれも製作工程を示す端面図である。
【図3】従来のCFRP補強角パイプの概略を示すもので、(イ)は端面図、(ロ)は変形状態を示す図である。
【符号の説明】
3 CFRPプリプレグ
4 CFRP平板
8 角パイプ体
9 溝
10 角部

Claims (2)

  1. 四方の各外側面部に長手方向に沿い所要の幅及び深さの溝を全長に設けることにより壁厚を薄肉として、角部のみを厚肉とした異形断面の金属製角パイプ体を構成し、該角パイプ体の各外側面部の各溝に、CFRP平板を全長に亘り嵌合させて一体化した構成を有することを特徴とするCFRP補強角パイプ。
  2. 四方の各外側面部に長手方向に沿い所要の幅及び深さの溝を全長に設けることにより壁厚を薄肉として、角部のみを厚肉とした異形断面の金属製角パイプ体を構成し、該角パイプ体の各外側面部の各溝内に、薄板状のCFRPプリプレグを積層して加圧、加熱硬化させてなるCFRP平板を全長に亘り嵌合させて一体化した構成を有することを特徴とするCFRP補強角パイプ。
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