JP4021245B2 - 連続鋳造ブルームの加熱方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造ブルームの分塊圧延による表面疵の発生の防止技術に関し、特に分塊圧延するためのブルームの加熱時間の管理による圧延疵の発生の防止技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
出願人は、連続鋳造法にて鋳造したブルームは、鋳造後の冷却に引き続き、加熱炉で加熱して分塊圧延によりビレットとされる。この場合ブルームはその成分、組織、加熱状況および圧延状況により、種々の割れが生じることはよく知られたことであり、特に、連続鋳造から加熱炉装入までの冷却方法が不適切であると圧延後の製品に割れ疵などの表面欠陥が発生し易い。
【0003】
そこで、出願人は、「連続鋳造により鋳造されたブルームをその表面温度がAr3変態点より50℃高い温度範囲まで冷却し、その後この温度範囲から、10〜300℃/sの冷却速度でマルテンサイト変態終了点(Mf点)以下の温度に冷却することを特徴とする連続鋳造ブルームの冷却方法」(特開平9−2068号公報)の出願や、「連続鋳造機外に設置されたブルームクーラーを用いてAr3変態点直上の温度領域から冷却するに際し、上面の水量密度を5×10-4〜4×10-3m3/m2s、側面の水量密度を上面の水量密度の1.5倍以上、下面の水量密度を上面の水量密度の2.0倍以上にして冷却することを特徴とする連続鋳造ブルームの冷却方法」(特開平10−1719号公報)の発明を出願して、連続鋳造ブルームの冷却時に発生する表面疵を低減する冷却方法を提案している。
【0004】
また、特開昭63−168260号公報には、「連続鋳造により製造されたキルド鋼からなる鋳片を、その表面温度がAr3変態点より150〜50℃高い温度まで冷却時に、冷却媒体により鋳片内部が赤熱状態で、かつ表面温度がAr1変態点より100〜400℃低い温度となるように急冷した後、前記鋳片を所定長さに切断し、炉内加熱して熱間成形することを特徴とする連続鋳片の熱間加工法」が開示されている。しかし、前記の冷却方法では、ブルームの上面、側面および下面の全表面にわたり、表面疵を減少させるに十分な冷却速度と均一冷却が得られないという問題がある。
【0005】
特開2000−246408公報には、連続鋳造後加熱炉挿入前に鋳片表面を急冷することにより分塊圧延後の鋳片割れを防止する発明が開示されている。加熱炉抽出温度としか触れていないため、これではブルームについて抽出後や圧延中の温度低下の点からみるとき十分に疵発生が防止できるものといえない。さらに特開平03−120314号公報には、圧延条件の温度および歪み速度について制御しながら圧延するというのみであり、ブルーム表層部の加熱前組織の制御が必ずしも行われず、表面疵の発生防止に対して十分でない。
【0006】
そこで、出願人は、本発明に先立って、連続鋳造されたブルームの連続鋳造機外、すなわちブルームクーラーでの冷却時に発生する表面疵の発生を防止する方法として、ブルームクーラーでの冷却速度を制御して冷却する方法をすでに特願2001−384711号として出願している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、連続鋳造では連続的に連続鋳造ブルームが製造され、その後工程である連続鋳造機外のブルームクーラーでの冷却、圧延のための加熱炉による加熱および圧延からなる一連の連続工程で製造されるので、上記した先願のブルームクーラーでの冷却方法に続く方法として、加熱炉におけるより的確な加熱により圧延による疵の発生をさらに低減する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、連続鋳造開始から連続鋳造機外の冷却装置への到達時間により、冷却装置での冷却開始温度をAr3変態点以上に管理し、ブルーム表面温度がAr3変態点に近づくほど冷却速度を増加させる制御を行って冷却装置で冷却し、この冷却した連続鋳造ブルームの圧延のための加熱炉による加熱に際し、前記の冷却装置への到達時間によりブルームの加熱炉における在炉時間を管理し、加熱炉から抽出する際のブルームの表面温度と中心温度の温度差を一定範囲内に制御することを特徴とする圧延のためのブルームの加熱方法である。
【0009】
請求項2の発明では、加熱炉から抽出する際のブルームの表面温度と中心温度の温度差の一定範囲内は、表面温度の2%以内であることを特徴とする請求項1の手段の圧延のためのブルームの加熱方法である。以上のように、本発明の手段は連続鋳造機外の冷却装置に到達するまでの時間によって加熱炉の在炉時間を管理するものである。
【0010】
本発明の原理を説明すると、ブルームは加熱炉から抽出した後および圧延を行なっている間、その表面温度が下がり続ける。さらに、ブルームの表面はその長手方向に垂直な断面の縦横比が多少異なることから表面積の広い面と狭い面があり、これらの表面積の違いからそれぞれの表面で温度降下の速度も異なる。このためブルームは表面による大きな偏熱がある。一方、ブルーム内部からは、ブルーム表面から奪われた熱を補うように絶えず熱の移動が起こることから、ブルームの中心温度が高いほど表面温度の降下および偏熱の程度が小さくなる。
【0011】
従って、ブルームの中心温度を高くして表面温度の降下および偏熱の程度を小さくすることで圧延中の割れ疵の発生頻度を低くすることができる。さらにブルームの表面温度が高いと材料の変形抵抗が小さく、さらに偏熱も小さくなる。そこでブルームを加熱炉から抽出するタイミングは、在炉時間を連続鋳造開始から連続鋳造機外の冷却装置に到達するまでの時間により管理する。その理由は、加熱炉装入時におけるブルームの表面温度および内部温度、すなわち、ブルームがもつ総エネルギー量は前工程によって決まるためである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
連続鋳造機外で冷却するときの、冷却開始前のブルーム3の表面温度T0および中心温度T1は、溶鋼の加熱度、鋳造速度、鋳型の冷却速度、鋳造用パウダーの性質、二次冷却水量および放冷帯長さなどによって変動する。結果的には図1に示すように、連続鋳造機外の冷却装置であるブルームクーラー5に到達するまでの時間で整理すると、到達時間が長くなるほど冷却開始前のブルーム3の表面温度T0および中心温度T1は低くなり、到達時間とブルーム3の温度の相関が高いことが判明した。そこで、本発明の実施の形態は、図1の関係を鋼種や上記のような鋳造条件毎に予め求めておく。この場合、冷却開始前のブルーム3の表面温度T0はそのままで、ブルーム3の中心温度T1はブルーム3の中心まで穴を空け、それぞれ熱電対により測定する。
【0013】
一方、図2に示すように、ブルーム3の表面温度T0とブルーム3の中心温度T1と加熱炉7の在炉時間の関係を連続鋳造機外の冷却装置であるブルームクーラー5に到達するまでの時間で整理すると、図1のように冷却装置であるブルームクーラー5に到着するまでの到達時間が長くなるほど冷却開始前のブルーム3の表面温度T0および中心温度T1は低くなってさらにブルームクーラー5で水冷されるので、図2に示す加熱炉の加熱開始温度は、結局ブルーム3の冷却装置であるブルームクーラー5への到達時間により定まり、到達時間とブルーム3の温度の相関が高い。この様にすることにより、ブルーム3のブルームクーラー5での冷却開始温度と加熱炉7の加熱開始から抽出までの在炉時間を連続鋳造開始から連続鋳造機外の冷却装置であるブルームクーラー5に到達するまでの時間で時間管理するのみで特別な測温装置を必要とすることなく、鋳造毎に冷却開始前から加熱炉から抽出後のブルーム3の表面温度T0と中心温度T1を簡単かつ正確に把握することができる。
【0014】
さらに、これらの把握したブルーム3の表面温度T0および中心温度T1を基準にして、冷却速度および加熱速度を制御して、加熱炉7から抽出されるときのブルーム3の表面温度T H0 と中心温度T H1 の温度差ΔTを一定範囲内、すなわち表面温度T H0 の2%以内、にするものである。
【0015】
さらに、図3により説明すると、垂直型連続鋳造機のタンディッシュ1から注湯して鋳型2で鋳造したブルーム3を切断用トーチ4で所定の長さに切断した後、切断したブルーム3を連続鋳造機外の冷却装置のブルームクーラー5に搬送し、ブルームクーラー5内に設置された冷却用スプレーノズル6から冷却水をブルーム3に噴流してブルーム3の表面温度T0をAr 3 変態点以上の温度から冷却した。この場合、ブルーム3の表面温度T0がAr 3 変態点に近づくに連れて噴流する冷却水量の密度を大きくすることにより冷却速度を増加させて冷却した後、ブルーム3をブルームクーラー5から取り出し、この冷却したブルーム3を加熱炉7に装入した後、ブルーム3を以下の条件で加熱炉7から抽出して分塊圧延を行なった。なお、ブルーム3は比較のためブルームAおよびブルームBとし、これらのブルームAおよびBを加熱炉7から抽出したときのブルーム3の表面温度T H0 は同じとした。ブルームAの加熱炉の在炉時間は、2.5時間とした。このとき加熱されたブルームAの表面温度T H0 と中心温度T H1 の温度差ΔTは表面温度T H0 の5%であった。一方、ブルームBの加熱炉の在炉時間は、3.0時間とした。このとき加熱されたブルームBの表面温度T H0 と中心温度T H1 の温度差ΔTは表面温度T H0 の2%であった。これらの加熱したブルームAおよびBをそれぞれ分塊圧延した。このブルームAの圧延材の割れ指数を1とすると、ブルームBの圧延材の割れ指数は0.5であった。
【0016】
【実施例】
さらに本発明の方法における加熱炉7の操業例を表1により示す。すなわち、連続鋳造開始から連続鋳造機外の冷却装置であるブルームクーラー5に到達するまでの時間が58分の場合と75分の場合の2例について、ブルーム3を加熱炉7から抽出する時のブルーム3の表面温度T H0 と中心温度T H1 の温度差ΔTが、表面温度T H0 の2%以内の場合を実施例とし、2%を超える場合を比較例として表1に示した。
【0017】
【表1】
【0018】
表1において、第2段目の(T H0 −T H1 )/T H0 は、加熱炉7内のブルーム3の表面温度T H0 と中心温度T H1 の温度差ΔTを表面温度T H0 の%で示した値である。第3段目の圧延材割れ指数は、加熱炉7から抽出して分塊圧延した際の比較例のブルーム3の割れ疵を1としたときの比で示している。本発明の実施例の温度差を2%としたものは、圧延材割れ指数が0.5または0.6であり、本発明によるとき圧延による割れ疵は従来に比して約半減でき大幅に低減することができた。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、鋼の連続鋳造およびそれに続く分塊圧延において、本発明の加熱炉における加熱方法を適用することにより、従来発生していた圧延ビレット表面の割れを半減することができ、本発明は従来にない優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 連続鋳造機外の冷却装置に到達するまでの時間と、水冷後の加熱炉装入前のブルームの表面温度および中心温度との関係を模式的に示すグラフである。
【図2】 加熱炉内のブルームの表面温度と中心温度の在炉時間による変化を模式的に示すグラフである。
【図3】 本発明に用いた装置の概略を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 タンディッシュ
2 鋳型
3 ブルーム
4 切断用トーチ
5 ブルームクーラー
6 冷却用スプレーノズル
7 加熱炉
T0 表面温度
T1 中心温度
ΔT 温度差
Claims (2)
- 連続鋳造開始から連続鋳造機外の冷却装置への到達時間により、冷却装置での冷却開始温度をAr3変態点以上に管理し、ブルーム表面温度がAr3変態点に近づくほど冷却速度を増加させる制御を行って冷却装置で冷却し、この冷却した連続鋳造ブルームの圧延のための加熱炉による加熱に際し、前記の冷却装置への到達時間によりブルームの加熱炉における在炉時間を管理し、加熱炉から抽出する際のブルームの表面温度と中心温度の温度差を一定範囲内に制御することを特徴とする圧延のためのブルームの加熱方法。
- 加熱炉から抽出する際のブルームの表面温度と中心温度の温度差の一定範囲内は、表面温度の2%以内であることを特徴とする請求項1に記載の圧延のためのブルームの加熱方法。
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JP2002153593A JP4021245B2 (ja) | 2002-05-28 | 2002-05-28 | 連続鋳造ブルームの加熱方法 |
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- 2002-05-28 JP JP2002153593A patent/JP4021245B2/ja not_active Expired - Lifetime
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