JP4020984B2 - 医薬部外品及び化粧品の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は医薬部外品及び化粧品の製造方法に関し、より詳しくはγ−リベチン添加医薬部外品及び化粧品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、抗体の特異的な性質により、従来品では得られなかった効果を期するべく、抗体を医薬部外品や化粧品に添加することは考えられていた。このような製品に用いるためには多量の抗体が必要となってくるため、多量の入手が可能なγ−リベチン等の鶏卵抗体の使用が考えられている。γ−リベチンを上記製品に用いる場合、夾雑タンパク質、とりわけオボアルブミン等のアレルゲン性の高いタンパク質の混入を防ぐことが重要である。
【0003】
オボアルブミン等の夾雑タンパク質を除去し、γ−リベチンの純度を高める方法として超遠心法、カラムによる分離法等が知られているが、いずれも大量スケールでの製造には適さない。
また別の方法として、塩析法、アルコール沈澱法、ポリエチレングリコール法、分別沈澱法等の利用も考えられるが、これらはいずれもγ−リベチンの変性による失活の恐れがあるため、好ましいものではない。
さらには分子量によって分離できる濾過膜を用い特定のタンパク質を分離する技術がある。膜による分離法は、他の分離法と比べて省エネルギー、低コスト、操作性の簡便性が認められ、逆浸透法や限外濾過法など液系の膜分離技術はすでに幅広い分野で実用化されている。それ故、膜による分離精製法は安価でかつ大量に処理するのに適しており、医薬部外品や化粧品添加用のγ−リベチンを精製する方法としての利用が期待される。
【0004】
しかしながら、膜を用いて精製する場合、濾過膜の示す分画分子量は厳密なものではなく、タンパク質分子の形やその他の性質により分離結果が異なると言われている("蛋白質I"、日本生化学会編、第10章、東京化学同人(1990))。そのため、特に極めて分子量が近似する血漿タンパク質の分離などは非常に分離が難しい(S.Saksena and A.L.Zydney, Biotech. and Bioengineer., 46, 960-968(1994))。また、溶液中に複数のタンパク質が含まれている場合、タンパク質同士が複雑に会合しあい、巨大分子を作っていることが考えられる。それ故、限外濾過膜ではγ−リベチン(分子量180kDa)と夾雑タンパク質(分子量90kDaより低分子量)程度の分子量の差があると分離は困難であると考えられている。そのため、特殊な膜を使用したり、pHの調整を行って会合状態を緩和することによって分離を行うことが試みられている(例えば特開平5-222091号公報、特開昭56-81521号公報)。
しかし、pHの調整や特殊な膜の使用は活性の喪失やコストアップにつながるので、このような精製方法で得られるγ−リベチンを用いることは、医薬部外品や化粧品の製造方法としては好ましいものではない。
【0005】
従って本発明の目的は、活性が保持された高純度のγ−リベチンが添加された医薬部外品又は化粧品の安価かつ簡易な製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決しようとする手段】
そこで本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討の結果、γ−リベチン含有溶液に0.7〜3.0Mの濃度になるように塩を添加した後、pH5.0〜11.0の条件下で分画分子量90〜500kDaの膜を用いて精製されるγ−リベチンを医薬部外品又は化粧品に添加することにより、活性が保持された高純度のγ−リベチンを含有する医薬部外品又は化粧品を安価かつ簡易に製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の要旨は、
(1)γ−リベチン含有溶液に0.7〜3.0Mの濃度になるように塩を添加し、pH5.0〜11.0の条件下で分画分子量90〜500kDaの膜を用いてγ−リベチンを精製する工程を有する、γ−リベチンの精製方法、
(2)膜が限外濾過膜である前記(1)記載の精製方法、
(3)塩がNaCl、KCl、CaCl2 、MgCl2 、NaH2PO4 、Na2 HPO4 、KH2 PO4 、及びK2 HPO4 からなる群より選ばれる1種以上である前記(1)又は(2)記載の精製方法、
(4)γ−リベチンが毛髪に対して特異的な抗体である前記(1)〜(3)いずれか記載の精製方法、並びに
(5)前記(1)〜(4)いずれかにおいて記載の精製工程と、該精製工程により得られたγ−リベチンを医薬部外品又は化粧品100重量部に対して0.001〜50重量部添加する工程とを含む、医薬部外品又は化粧品の製造方法、
に関するものである。
【0008】
本発明におけるγ−リベチン含有溶液とは、卵黄水溶性タンパク質溶液又は鶏卵若しくは卵黄の粉末を溶かした水溶液であって、γ−リベチンを含有するものである。かかるγ−リベチン含有溶液は、例えば以下のような公知の方法によって得ることができる。
即ち、卵黄中のリポタンパク質をカラギーナン、寒天、ファーセレラン、ペクチン及びキサンタンガムの内より選ばれた1種以上を加えて凝集させ、その上清より水溶性タンパク質を得る方法(特開昭64-38098号公報)、同様にデキストラン硫酸とカルシウムイオンを加える方法(J.C.Jensenius, J. Immunol. Methods, 46,63-68(1981))、同様にポリエチレングリコールを加える方法(A.Polson et al., Immunological Communications, 9(5), 495-514 (1980))、同様にアルギン酸、アルギン酸塩あるいはアルギン酸誘導体を加える方法(特開昭63-215699 号公報)、同様にカゼインナトリウム水溶液を加える方法(特開平6-116297号公報)などである。
【0009】
更に溶剤を使用する方法として、卵黄液を遠心分離して得られた上清画分に、炭素数1〜4の第一級アルコールから選ばれた少なくとも1種を加えることによって生じた沈殿から、塩水溶液または緩衝液から選ばれた1種を用い水溶性画分を得る方法(特開平3ー145500号公報)、第二級アルコールを加え、生じた沈殿を緩衝液又は塩水溶液に懸濁し不溶物を取り除くことで水溶性画分を得る方法(特開平6ー329700号公報)等があげられる。
【0010】
また、γ−リベチンの抗原特異性は、添加される医薬部外品、化粧品により異なり、特に限定されるものではない。例えばストレプトコッカス・ミュータンス又は毛髪に対して特異的な抗体であれば好ましい。このような特異的γ−リベチンは、上記のものを抗原とする公知の方法によりニワトリ等の鳥類の卵黄中に含有させることができる。
【0011】
本発明に用いられる塩の種類は特に限定されないが、例えば、NaCl、KCl、CaCl2 、MgCl2 、NaH2 PO4 、Na2 HPO4 、Na2 SO4 、KH2 PO4 、K2 HPO4 、K2 SO4 、(NH4 )2 SO4 、及びMgSO4 より選ばれる群よりなる1種以上のものが挙げられる。
本発明における膜は、分画分子量90〜500kDaの、好ましくは100〜300kDaの膜である。ここで、γ−リベチンと夾雑タンパク質との分離を効果的に行う観点から、分画分子量は90kDa以上500kDa以下が好ましい。膜の種類は、分画分子量が上記の範囲のものであれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば限外濾過膜、透析膜、逆浸透膜等が挙げられる。
【0012】
以下、具体的な操作について説明する。
膜を用いての精製の際の塩濃度は0.7〜3.0Mであるが、より好ましくは1.5〜2.0Mである。γ−リベチンが2量体になる観点から、塩濃度は0.7M以上が好ましい。これは、γ−リベチンが2量体となると、他のタンパク質との分子量の差が大きくなり、分離が可能となるからである。また、塩の添加量に対する分離効率の観点から、3.0M以下が好ましい。
また、塩の添加の態様としては、塩そのものを添加してもよく、塩の水溶液を添加してもよい。
【0013】
膜を用いて精製する際の塩添加溶液のpHは、5.0〜11.0であるが、pH5.5〜11.0が好ましく、pH7.5〜9.0がより好ましく、pH8.0〜9.0が特に好ましい。タンパク質の変性又は失活を抑える観点から、pH5.0よりアルカリ性側が好ましく、pH11.0より酸性側が好ましい。
【0014】
精製時の塩添加溶液の水温は特に限定されないが、0〜70℃が好ましく、0〜20℃がより好ましく、0〜10℃が特に好ましく、3〜6℃が最も好ましい。当該溶液が凍結するおそれがあり、そのため分離操作ができなくなるのを防ぐ観点から水温は0℃以上が好ましく、γ−リベチンの活性の失活を抑える観点から70℃以下が好ましい。
【0015】
また、より高純度のγ−リベチンを得るために、透析液を連続的に加えて試料の液量を一定に保ちながら濾過を行うダイアフィルターレーション法を用いて精製を行ってもよい。また、その場合の透析液は、上記精製の際の塩濃度及びpH、温度のものが使用される。例えば、10mMリン酸緩衝液(1.5MのNaCl含有)pH8.0等が挙げられる。透析液の量は、卵黄水溶性タンパク質液1重量部に対して透析液1重量部以上が好ましい。ただし、コスト等の問題により上記タンパク質液1重量部に対して5重量部以下が好ましい。
【0016】
かかるγ−リベチンを添加してなる本発明の医薬部外品としては、例えば口中清涼剤、育毛剤、浴用剤、衛生綿、歯みがき類、殺虫剤、染毛剤等が挙げられ、化粧品としては例えばシャンプー、リンス、クリーム、ハンドクリーム、乳液、ひげそり用剤、日焼け止め剤、薬用石けん、頭髪用化粧品類、洗髪用化粧品類、化粧水類、クリーム乳液、パック類、ファンデーション類、爪化粧品、化粧用油類、洗顔料類、石けん類等が挙げられる。
【0017】
γ−リベチンの添加量は所望の効果を発揮する程度であれば特に限定されるものではないが、医薬部外品又は化粧品100重量部に対して0.001〜50重量部添加するのが好ましく、0.05〜20重量部添加するのがより好ましく、0.1〜10重量部添加するのが特に好ましい。ここで、効果を発揮させる観点から0.001重量部以上が好ましく、臭気や着色を抑える観点から50重量部以下が好ましい。
【0018】
上記のようにして得られる本発明の医薬部外品及び化粧品はγ−リベチンが特異的に結合するため、従来品では得られない効果を有する。しかも、添加されるγ−リベチンが高純度であるため、アレルゲン性が低い好適なものである。
【0019】
【実施例】
以下、製造例、比較製造例、試験例及び実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制限されるものではない。
【0020】
製造例1
特定抗原として、ストレプトコッカス・ミュータンスMT8148(以下S.mutansと言う)菌体を用い、産卵鶏を免疫した。抗原の調製はS.mutansを砂糖を5%含むブレインハートインフュージョン培地で増殖させ、3000×g、10分間の遠心分離操作で集菌後、菌体を生理食塩水で十分に洗浄し、その1mL当り約108 個のS.mutansが含まれるよう調製した。
【0021】
産卵鶏1羽に対しこの抗原1mLを一週間に一度、合計4回筋肉注射した。最終の筋肉注射により3ヶ月間にわたり、鶏卵を集め、その卵黄を分離した。卵黄はホモミキサーにより均質化し、この溶液を卵黄液とした。
得られた卵黄液1kgに対し1kgの水を加え均質化し、そこに0.15%のλ−カラギーナン水溶液を4kg加え撹拌後2時間静置した。静置後、濾過助剤を用いた吸引濾過を行い約5kgの濾液を分取した。この時の濾液のpHは6.5 であった。この濾液を卵黄水溶性タンパク質溶液とした。
【0022】
上記の卵黄水溶性タンパク質溶液1リットルにNaClを87.66g(1.5M)添加した後、3NのNaOHを用い溶液がpH8になるように調整した。この調整した溶液を用い、分画分子量100kDa又は300kDaの限外濾過膜を使用してγ−リベチンの精製を行った。精製時に用いる透析液には、1.5MのNaClを含んだpH8の20mMリン酸緩衝液5リットルを適宜加え、ダイヤフィルターレーション法により精製した。得られた溶液を透析脱塩し、凍結乾燥を行ってS.mutans特異的γ−リベチンを得た。
【0023】
製造例2
健常毛又はパーマ処理毛を11M臭化リチウム水溶液に浸し、湯煎にて90℃で90分間処理して膨潤させ、ゴム状に変性させた。ナイロン網にて処理毛髪から余分な液を取り除き、予め冷却しておいた乳鉢中に移し、液体窒素にて凍結した。そして液体窒素を適宜補いながら凍結した状態で乳棒にて3時間粉砕処理を行った。得られた毛髪粉体を遠心管に移し、イオン交換水にて臭化リチウムを毛髪から洗い出した。洗浄された毛髪粉体は遠心して集めた。これを3回繰り返して毛髪から臭化リチウムを完全に洗い流し、粗毛髪粉体を調製した。本処理により毛髪は100μm以下まで粉砕された。
【0024】
得られた粗毛髪粉体はこのままでも抗原として使用できるが、抗体価を上げるために、この粉体からさらに微細な粉末を選別した。すなわち、上記の粗毛髪粉体を遠心管の中にてイオン交換水中で激しく振盪して分散し、その後1分間静置した。この時大きな粉体は沈殿するが、微細な粉末は上清中に分散したままなので、この上清を採取した。残った沈殿からはさらに同様の操作を繰り返して微細粉末を含む上清を得た。そして遠心にて上清から微細粉末を集めた。さらに微細にするために、得られた微細粉末を1重量%にて蒸留水中に分散し、フレンチプレスを使って2000psiの圧力で3回粉砕した。このようにして得た微細毛髪粉体を凍結乾燥にて回収し、調製した。本処理を経ると、毛髪は10μm以下にまで粉砕された。
【0025】
上記で得られた微細毛髪粉体を生理食塩水に分散し、フロイント完全アジュバントと混合してニワトリに過免疫(1mg/mL、筋肉注射×4回)し、そのニワトリの卵より抗体を精製した。具体的には卵黄1容量と1.5mg/mL濃度のγ−カラギーナン水溶液5容量を混合し、生じるリポタンパク質の凝集物を遠心分離により除去し、卵黄水溶性タンパク質溶液を得た。
上記の卵黄水溶性タンパク質溶液1リットルにNaClを87.66g(1.5M)添加した後、3NのNaOHを用い、pH8になるように調整した。この溶液を用い、分画分子量300kDaの限外濾過膜を使用し、γ−リベチンの精製を行った。精製時に用いる透析液に1.5MのNaClを含んだpH8の20mMリン酸緩衝液5リットルを用い、ダイヤフィルトレーション法により精製した。得られた溶液を透析脱塩し、凍結乾燥を行って精製毛髪γ−リベチンを得た。
【0026】
比較製造例1
製造例2の卵黄水溶性タンパク質溶液より硫酸ナトリウムを用いた塩析法で卵黄抗体の純品(精製卵黄抗体)を得た。卵黄抗体は17%(w/v)硫酸ナトリウム塩析物として得られ、他の不純物は遠心上清として除去された。塩析物をリン酸緩衝液に溶解して透析脱塩し、凍結乾燥を行って精製卵黄抗体を得た。
【0027】
試験例1
製造例2で得られた精製毛髪γ−リベチンと比較製造例1で得られた精製γ−リベチン液を以下に示す方法に従って総特異抗体活性を測定し、精製前の卵黄水溶性タンパク質溶液の総特異抗体活性を100%として特異抗体活性の回収率を算出した。その結果、比較製造例1による精製γ−リベチン液の特異抗体活性の回収率は83%であったが、製造例2で得られた精製毛髪γ−リベチンの特異抗体活性の回収率は98%であった。
【0028】
総特異抗体活性は酵素免疫測定法(以下ELISA法という)により測定した。各試料液を100μL/ウエルの割合で、抗原として用いた微細毛髪粉体を固相へコーティングしたELISAプレート(96 穴, ヌンク社製) へ添加し、25℃、2時間静置することにより、抗原と特異的抗体の反応を行った。各ウエルをPBS-Tween で充分洗浄した後、抗ニワトリIgG ウサギIgG −アルカリホスファターゼコンジュゲート(ザイメット社)のPBS-Tween 希釈液(2000 倍) を100 μl / ウエルの割合で添加した。25℃で1時間放置することにより、抗原と反応した特異的抗体と上記コンジュゲートの反応を行った。
【0029】
各ウエルをPBS-Tweenで充分洗浄した後、0.1% P−フェニルジソジウムホスフェート溶液(0.1M炭酸ナトリウム緩衝液pH9.6 に溶解)を基質として100 μl /ウエルの割合で添加し、25℃、15分間酵素反応を行った。反応の停止は2M水酸化ナトリウム溶液を50μl /ウエル添加することにより行い、405nmにおける各ウエルの吸光度をプレートリーダーにより測定した。なお、対照としては試料の代わりにPBS-Tween を用いた。各試料につき、4ウエルを用いた。各試料の示す吸光度の平均値から対照の示す吸光度を引き、それぞれの試料重量を乗じた値(総吸光度)を各試料の総抗体活性とした。
【0030】
試験例2
製造例2で得られた精製毛髪γ−リベチンと比較製造例1で得られた精製γ−リベチン液を以下に示す方法に従って、純度を測定した。その結果、いずれも98%であった。
溶液中のγ−リベチン量を、SRID(一元放射免疫拡散)法(G.Mancini et al., Immunochemistry, 2, 235(1965))を用いて測定した。抗ニワトリIgGウサギ血清(コスモバイオ)を4%加えた2%寒天プレート上にできる沈降輪の大きさを測定してγ−リベチン濃度を求め、その値に溶液の体積量を乗じて求めた。さらに、当該溶液中のタンパク質量は、Lowly 法(M.K.Markwell et al., Anal. Biochem., 87, 206(1978))を用いて濃度を求め、その値に溶液の体積量を乗じて求めた。
上記のようにして得られたγ−リベチン量とタンパク質量を用い、γ−リベチンの純度(%)を次式により求めた。
【0031】
【数1】
【0032】
実施例1
下記の表1に示す組成(重量%)のヘアートリートメント組成物を調製し、その性能評価試験を行った。この結果も表1に示す。なお、添加したγ−リベチンは凍結乾燥品である。
【0033】
【表1】
【0034】
(評価法)
(i) 今までにコールドパーマを3回行ったことのある日本人女性の毛髪20g(約15〜20cm)を束ね、通常のシャンプーで洗浄する。この毛髪に、各ヘアートリートメント組成物2gを均一に塗布し、次いで30秒間流水ですすぎ流した後、タオルドライを行い、更にドライアー乾燥を行った。乾燥後の毛髪について、その柔軟性、油性感、艶及び平滑性について下記の基準で評価した。
【0035】
柔軟性:
◎:非常にやわらかい
○:やわらかい
△:硬いともやわらかいともいえない
×:硬い
油性感:
◎:非常に少ない
○:少ない
△:どちらともいえない
×:多い
艶:
◎:非常にある
○:ある
△:どちらともいえない
×:ない
平滑性:
◎:非常にある
○:ある
△:どちらともいえない
×:ない
【0036】
(ii) 上記(i)と同様な処理を行った毛束で、一定回数ブラッシングした後の枝毛発生度をブラッシング前と比較して、下記の基準で評価した。
◎:枝毛の増加が認められない
○:枝毛の増加がほとんど認められない
△:枝毛の増加がやや認められる
×:枝毛の増加が多い
【0037】
実施例2
表2に示す組成(重量%)のシャンプー組成物を調製し、その性能評価試験を行った。その結果も表2に示す。なお、添加したγ−リベチン及び精製卵黄抗体は凍結乾燥品である。
【0038】
【表2】
【0039】
(評価法)
(i) 今までにコールドパーマを3回行ったことのある日本人女性の毛髪20g(約15〜20cm)を束ね、この毛髪に約40℃の温水を含ませた後、シャンプー組成物1gをまんべんなく塗布して1分間泡立て、洗髪を行った。毛髪を流水ですすぎ、乾燥後の毛髪について、その柔軟性、油性感、艶及び平滑性について評価を行った。評価基準は実施例1と同様とした。
(ii) 上記(i)と同様の処理を行った毛髪で、一定回数ブラッシングした後の枝毛発生度について、ブラッシング前と比較して評価を行った。評価基準は実施例1と同様とした。
【0040】
実施例3
製造例1で得られたS.mutans特異的γ−リベチンを用いて洗口液を調整した。表3にその組成を示す。
【0041】
【表3】
【0042】
上記の実施例等より以下のことが分かった。
本発明のトリートメントは、従来の方法で得られたγ−リベチンを含有するもの(比較品1)よりも低濃度で同等の効果を発揮した(実施例1)。これは従来のものより活性の高いγ−リベチンを使用したことによるものと考えられる。
また、本発明のシャンプーは精製鶏卵抗体を含有するもの(比較品2)よりも優れた性能を示した(実施例2)。これは従来法では抗体が変性し、活性が損なわれていたが、製造例2の方法では抗体活性が全く損なわれないためと考えられる。
このような活性が保持された高純度のγ−リベチンを安価かつ簡易な方法で得ることができるため、本発明の医薬部外品や化粧品は、安価かつ簡易な方法で製造が可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、活性が保持された高純度のγ−リベチンを含有する医薬部外品又は化粧品を安価かつ簡易に製造することができる。
Claims (4)
- γ−リベチンが毛髪に対して特異的な抗体であるγ−リベチン含有溶液に1.5〜3.0Mの濃度になるように塩を添加し、pH5.0〜11.0の条件下で分画分子量90〜500kDaの膜を用いてγ−リベチンを精製する工程を有する、γ−リベチンの精製方法。
- 膜が限外濾過膜である請求項1記載の精製方法。
- 塩がNaCl、KCl、CaCl2 、MgCl2 、NaH2PO4、Na2 HPO4 、KH2 PO4 、及びK2HPO4からなる群より選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の精製方法。
- 請求項1〜3いずれかにおいて記載の精製工程と、該精製工程により得られたγ−リベチンを医薬部外品又は化粧品100重量部に対して0.001〜50重量部添加する工程とを含む、医薬部外品又は化粧品の製造方法。
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