JP4020821B2 - 油回収装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水面に浮かんだ浮遊油を回収するための油回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばレストラン、食堂、ラーメン屋、弁当惣菜店、食品工場、デパートおよびスーパー等における業務用厨房からでる排水(厨房排水)には、多量の油脂分が含まれており、この油脂分を適切に除去しないでいると、下水道管内に油がこびりつき、管詰まりおよび悪臭の発生原因となる。
【0003】
このため、旧建設省(現国土交通省)の告示第1597号により、業務用厨房には、排水中の油脂分を除去する排水浄化システムであるグリーストラップ(阻集器)を設置することが義務付けられている。
【0004】
そして、従来から、このグリーストラップの浮上槽部(第2槽部)内の排水の水面に浮かんだ浮遊油を回収部に回収する油回収装置として、例えば特開2000−153269号公報記載のロール式のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このロール式の油回収装置は、水平方向の回転中心軸線を中心として回転する回収ロールと、回収ロールを回転させるモータと、回収ロールのローラ表面に付着して水面上に引き上げられる浮遊油を掻き取るスクレーパと、スクレーパにて掻き取られた浮遊油を貯留する貯留槽とを備えている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−153269号公報(第2頁、図4)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の油回収装置のように、回収ロールのローラ表面に付着した浮遊油をスクレーパにて掻き取って貯留槽に回収する構成では、例えばグリーストラップの浮上槽部内の排水の水面に浮かんだ浮遊油を適切に回収できないおそれがある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、水面に浮かんだ浮遊油を回収部に適切に回収することができる油回収装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の油回収装置は、水面に浮かんだ浮遊油を回収部に回収する油回収装置であって、水平方向の回転中心軸線を中心として回転する回転体と、この回転体に設けられ、水平方向に細長い略矩形状で、長手方向に沿った基端部が前記回転体に取り付けられ、長手方向に沿った先端部が自由端部となっている複数の弾性板と、下部が水面下に位置し、上部が水面上に位置し、前記弾性板の先端部が接触する案内体とを備え、前記各弾性板の先端部の長手方向両端部には、浮遊油とともに押し上げられた水を逃がす水流出用切欠部が形成され、前記案内体は、略円弧状の第1案内面と、この第1案内面の上端に連設され前記回収部の開口部に向って下り傾斜状に位置する第2案内面とを有し、水面に浮かんだ浮遊油は、前記回転体の回転時に前記弾性板のうち前記第1案内面との接触により弾性変形した先端部によって、前記案内体上を前記第1案内面に沿ってこの第1案内面の上端まで押し上げられ、この第1案内面の上端まで押し上げられた浮遊油は、その自重により前記第2案内面上を流れて前記開口部から前記回収部内に落下して回収されるものである。
【0010】
請求項2記載の油回収装置は、請求項1記載の油回収装置において、弾性板の先端部に付着した浮遊油を掻き取り、この掻き取った浮遊油を下方の開口部に向けて落下させて回収部に導く付着油除去体を備えるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の油回収装置の一実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0012】
図1において、1は業務用厨房の床下に設置された排水浄化システムであるグリーストラップで、このグリーストラップ1は、油脂分を多量に含んだ厨房排水である排水が下水道管内に排出されないように、業務用厨房からの排水中の油脂分およびごみ等を除去するものである。
【0013】
このグリーストラップ1は、2枚の仕切板2にて仕切られた3つの槽部、すなわち上流から下流に向って順に、第1槽部3、第2槽部4および第3槽部5を具備している。
【0014】
第1槽部3では、排水中の固形物であるごみがバケット6にて除去される。第2槽部4では、排水の流速がコントロールされ、排水中の油脂分が浮上分離により除去される。第3槽部5では、下水ガス等が逆流しないようにされた状態で、処理済排水が排出管7から排出される。
【0015】
そして、このようなグリーストラップ1の浮上槽部である第2槽部4には、図1および図2に示されるように、第2槽部4内の排水の水面Aに浮かんだ浮遊油Bを回収部である回収容器10に回収する油回収装置11が設けられている。
【0016】
ここで、油回収装置11は、図2および図3に示すように、水平状に配設され減速モータ等の駆動手段(図示しない)からの動力で水平方向の回転中心軸線Xを中心として所定方向(図示イ方向)に回転する略円柱状の回転体13を備えている。
【0017】
この回転体13には、水平方向に細長い略矩形状をなす複数、例えば4枚のゴム板等の弾性板(ゴム羽根)14が回転体13とともに回転するように一体的に設けられている。これらの4枚の弾性板14は、回転体13の周面から放射状、例えば90度間隔をおいて4方向に向って突出し、側面視で略十字状に位置する。
【0018】
そして、各弾性板14の長手方向に沿った一端部である基端部は回転体13の板保持部に着脱可能に取り付けられ、各弾性板14の長手方向に沿った他端部である先端部が自由端部となっている。また、各弾性板14の先端部の長手方向両端部(角部)には、それぞれ、浮遊油Bとともに押し上げられた水Cを逃がす水流出用切欠部15が形成されている。例えば、弾性板14の先端部の角が三角状に1mm〜2mmカットされることで、水流出用切欠部15が形成されている。弾性板14の厚さは例えば3mm〜5mmで、幅は例えば55mm〜60mmである。
【0019】
また、油回収装置11は、回収容器10を備えるとともに、この回収容器10の近傍に配設されステンレス製の板状部材にて形成され回転体13の回転時に各弾性板14の先端部が断続的に接触する板状の案内体17を備えている。この案内体17の下部は水面A下に位置し、この案内体17の上部は水面A上に位置して回収容器10に隣接している。
【0020】
そして、弾性板14の下方部を覆う半円形状の下部ケーシングを兼ねた案内体17は、弾性板14の先端移動位置に対してややずれて位置する略円弧状の第1案内面18を有し、この第1案内面18の上端には、回収容器10の開口部10aに向って下り傾斜状の第2案内面19が連設されている。なお、第1案内面18の下端には、弾性板14の先端移動位置から少し離れて常時水面A下に位置する水平面20が連設されている。案内体17の厚さは、例えば0.2mm〜0.3mmである。
【0021】
さらに、油回収装置11は、弾性板14の先端部に付着した浮遊油Bを掻き取り、この掻き取った浮遊油Bを下方の開口部10aに向けて落下させるようにして回収容器10に導く付着油除去体である爪付ワイパー21を備えている。
【0022】
この爪付ワイパー21は、弾性板14の上方部を覆う半円形状の上部ケーシングを兼ねた支持板22の下端部に取り付けられている。また、弾性板14の左右の側方部は、互いに離間対向した円板状の左右一対の側板であるガード板23で覆われている。
【0023】
そして、図示しない駆動手段からの動力に基づく回転体13の回転中心軸線Xを中心とする所定方向への回転により、浮遊油Bが、各弾性板14の先端部にて押し上げられながら案内体17上を移動し、回収容器10にその開口部10aから回収されるようになっている。
【0024】
なお、油回収装置11は、既設のグリーストラップ1に対して後付け可能な1ユニット構造となている。また、油回収装置11のグリーストラップ1との連結部(図示しない)は、既設のグリーストラップ1の大きさに応じて設定可能となっており、各種サイズのグリーストラップ1に対応できるようになっている。
【0025】
次に、上記グリーストラップ1の作用等について説明する。
【0026】
業務用厨房からでた排水は、第1槽部3内に導入され、その排水中のごみがバケット6にて除去される。
【0027】
ごみが除去された排水は、仕切板2の下方から第2槽部4内に導入され、その排水中の油脂分が浮上分離により除去され、この浮上分離された油脂分が浮遊油Bとなる(例えば厚さ5mm〜10mm)。油脂分が除去された排水は、仕切板2の下方から第3槽部5内に導入されて排出管7から排出される。
【0028】
そして、第2槽部4内の排水の水面Aに浮かんだ浮遊油Bは、油回収装置11の回転体13の回転時(回転速度は例えば1分間で1回転)に、弾性板14のうち案内体17の第1案内面18との接触により略円弧状に弾性変形した先端部によって、案内体17上を第1案内面18に沿って第1案内面18の上端まで押し上げられる。
【0029】
第1案内面18の上端まで押し上げられた浮遊油Bは、その自重により第2案内面19上を流れて開口部10aから回収容器10内に落下し、回収される。
【0030】
なお、浮遊油Bとともに押し上げられた水C、つまり弾性板14の変形した先端部にて浮遊油Bとともに捕捉された水Cは、浮遊油Bより重いため、第1案内面18の途中で、ガード板23にて覆われていない側方部から逃げるとともに、水流出用切欠部15から逃げる。このため、水Cは回収容器10に回収されず、例えば油分99%の確率で浮遊油Bが着脱可能な回収容器(タンク)10に回収されることとなる。なお、水面Aに浮遊油Bがない場合でも同様、水は一旦捕捉されたとしても、回収容器10には回収されない。
【0031】
また、第1案内面18の上端から離れた弾性板14は、水平姿勢になった時点(例えば回転体13が4分の1回転した時点、つまり垂直姿勢から15秒経過後)で、爪付ワイパー21に接触し、弾性板14の先端部に付着した浮遊油Bは爪付ワイパー21にて掻き取られる。この掻き取られた浮遊油Bは、その自重により開口部10aから回収容器10内に落下し、回収される。
【0032】
このようにして、浮遊油Bは、回収容器10に回収されるため、第2槽部4内の排水の水面A上に多量の浮遊油Bが蓄積されるようなことがなく、悪臭および害虫等の発生が抑制される。
【0033】
そして、上記グリーストラップ1の油回収装置11の回転体13の回転により、浮遊油Bが各弾性板14にて押し上げられながら案内体17の第1案内面18上を移動し、その後第2案内面19上を滑落して回収容器10内に回収されるため、従来のロール式の油回収装置に比べて、浮上槽部4内の排水の水面Aに浮かんだ浮遊油Bを回収容器10に適切にかつ効率よく回収することができる。
【0034】
例えば、弾性板14の長さ寸法が10cmの場合、植物油、動物油等の相違および廃油量の大小等にかかわらず、浮遊油Bを1時間で1l〜1.5l程度回収可能である。
【0035】
また、ロール式の油回収装置のようにローラ表面の面積確保のために装置全体が大型化するという欠点もなく、容易にコンパクト化を図ることができる。
【0036】
また、弾性板14の水流出用切欠部15によって、浮遊油Bとともに押し上げられた水Cを浮遊油Bとの比重差を利用して逃がすことにより、回収容器10に水Cが回収されることを抑制でき、浮遊油Bのみを回収できる。
【0037】
さらに、弾性板14に付着した浮遊油Bを掻き取って回収容器10に導き入れる爪付ワイパー21を備えるため、このような爪付ワイパー21を備えない場合に比べて、回収効率を良くできる。
【0038】
なお、油回収装置11は、業務用厨房用のグリーストラップ1以外の排水浄化システムにも適用することができる。
【0039】
また、浮遊油Bが回収される着脱可能な回収部は、上面開口状の回収容器には限定されず、例えばろ過袋等でもよい。
【0040】
さらに、浮遊油Bを掬い上げるための弾性板14を4枚設けたものには限定されず、2枚、3枚或いは5枚以上の複数の弾性板14を設けたもの等でもよい。
【0041】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、回転体の回転により、浮遊油が弾性板にて押し上げられながら案内体上を移動して回収部に回収されるため、水面に浮かんだ浮遊油を回収部に適切に回収することができる。また、弾性板の水流出用切欠部によって、浮遊油とともに押し上げられた水を逃がすことにより、回収部に水が回収されることを抑制できる。
【0042】
請求項2の発明によれば、弾性板に付着した浮遊油を取って回収部に導く付着油除去体を備えるため、回収効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の油回収装置の一実施の形態を備えたグリーストラップの概要図である。
【図2】 同上油回収装置の側面図である。
【図3】 同上油回収装置の斜視図である。
【符号の説明】
10 回収部である回収容器
11 油回収装置
13 回転体
14 弾性板
15 水流出用切欠部
17 案内体
21 付着油除去体である爪付ワイパー
A 水面
B 浮遊油
C 水
X 回転中心軸線

Claims (2)

  1. 水面に浮かんだ浮遊油を回収部に回収する油回収装置であって、
    水平方向の回転中心軸線を中心として回転する回転体と、
    この回転体に設けられ、水平方向に細長い略矩形状で、長手方向に沿った基端部が前記回転体に取り付けられ、長手方向に沿った先端部が自由端部となっている複数の弾性板と、
    下部が水面下に位置し、上部が水面上に位置し、前記弾性板の先端部が接触する案内体とを備え、
    前記各弾性板の先端部の長手方向両端部には、浮遊油とともに押し上げられた水を逃がす水流出用切欠部が形成され、
    前記案内体は、略円弧状の第1案内面と、この第1案内面の上端に連設され前記回収部の開口部に向って下り傾斜状に位置する第2案内面とを有し、
    水面に浮かんだ浮遊油は、前記回転体の回転時に前記弾性板のうち前記第1案内面との接触により弾性変形した先端部によって、前記案内体上を前記第1案内面に沿ってこの第1案内面の上端まで押し上げられ、
    この第1案内面の上端まで押し上げられた浮遊油は、その自重により前記第2案内面上を流れて前記開口部から前記回収部内に落下して回収される
    ことを特徴とする油回収装置。
  2. 弾性板の先端部に付着した浮遊油を掻き取り、この掻き取った浮遊油を下方の開口部に向けて落下させて回収部に導く付着油除去体を備える
    ことを特徴とする請求項1記載の油回収装置。
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