JP4020588B2 - タイル - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、壁、床等に接着モルタルで敷設可能なタイルに関する。
【0002】
建築物の壁や床を化粧張りするのにセラミック製のタイルを用いることは以前から公知である。このようなタイルの主要な特性は、接着モルタルを用いて簡単に敷設でき、こうしたタイルを使用した表面が硬くて非透水性があることである。さらにタイルに相応の色づけや模様を施すことにより、タイル張りした面を美観的に魅力あるものに構成することが可能である。
【0003】
さらに、着色した不透明なガラスでタイルを製造し、このようなタイルをたとえばモザイク等で利用することが公知である。
【0004】
セラミック製のタイルの場合、その内部構造からして当然のことながら、こうした色層はうわぐすりの構造によって生じるものである。したがって色の効果は常に表面的なものである。全体に着色されるガラス製タイルの場合であっても、光線はさほどガラス層の内部まで入ることができないので表面的な色効果しか観察されない。従来のガラス製タイルのさらに別の欠点は、タイル敷設の際に通常用いられる手段では加工することができないという点にある。そこでこのようなガラス製タイルは主としてモザイクでの利用に適している。モザイクでは、個々のタイルの加工は一般に必要ないからである。しかし、ほぼ20x30cmの従来の版型をもつタイルで表面のタイル張りをする場合には、部屋の隅、ドア、窓、スイッチ、計器類等に合わせてタイル張りをするために、多数のタイルをその形状に加工しなくてはならない。大半のタイル敷設作業者は、ガラス加工の専門家が所有している工具や知識をもっていないため、商業的規模でガラス製タイルのタイル敷設を行うことはこれまで不可能であった。
【0005】
オーストリア特許公報304033Bは透明なガラスでできた板片、プレート、レンガ、モザイク石を対象としており、この場合、裏面に天然または人工のパールエッセンスでできた層が配置されている。このようにすると、このプレートをたとえばモザイク石として敷設した場合、今までにない視覚的、美的な効果を達成することが可能である。しかしながらガラスの構造であるために、タイルのような加工性はどうしても得ることができない。
【0006】
さらに英国特許公報2271529Aは、裏面に印刷が施してあり、その上に接着剤層を有しており、最後に酸化マグネシウムの層を備えているガラス製タイルを記載している。このようなガラス製タイルは多層の非常に複雑な構造を有しているため、製造が高価になってコストがかさむ。そのうえ、このようなタイルもやはりガラスの所与の特性のためにタイルとして取り扱うことはできず、すなわち切欠きを施したり、タイルを切断するのにきわめてコストがかかる。
【0007】
本発明の課題は、視覚的な外観の点で従来のタイルとは明らかに異なっているとともに、基本的にセラミック製タイルと同じように加工可能なタイルを提供することである。
【0008】
本発明によればこの課題は、壁、床等に接着モルタルで敷設される裏面及び反対側の表面有する透明なガラス層と、前記ガラス層の前記裏面配置された色層とで構成されており、前記ガラス層軟化にまで至る熱処理に供せられており、前記色層が、乾燥処理によって粗面化され、前記ガラス層に焼き付けられた鉱物性の塗料でできているタイルとすることによって解決される。
【0009】
ガラス層を熱処理することにより、加工をするときのガラスの的確な破断を可能にする組織変化が生じることが達成される。タイルを敷設するときは一般に2種類の異なる加工工程がある。すなわち第1の加工工程ではタイルを直線に沿って分割するが、これは通常、超硬合金でできた回転カッターでタイルの分割線に刻み目をつけ、次いで相応に破断することによって行われる。もう一方の種類の加工工程が必要となるのは、タイルにたとえばスイッチ、コンセント、衛生設備の接続部などのための切欠きを施さなければならない場合である。このような場合には、相応の形状をしたペンチ(ガラス工用ペンチ)または水冷式のダイヤモンド裁断ホイールで切欠きを切除することが多い。本発明のタイルを使えばいずれのタイプの加工工程でも、セラミック製タイルと実質的に同じ要領で実行可能である。したがって本発明によるタイルは、タイル敷設作業者が別途の方策を講じなくても加工することができる。正確な穴を加工する場合に限り、本発明のタイルはセラミック製タイルよりも若干コスト高になる。
また、本発明のタイルでは、色層が乾燥処理によって粗面化されているので、接着モルタル等の付着性ははるかに向上するので、確実な敷設が保証される。これは、色層そのものが外側の表面に微視的な粗さをもつことを意味しており、このような粗さは、オプションであるミリメートルレベルのガラス表面の構造化とは異なり、敷設されたタイルの外観にはほとんど視覚的影響を及ぼさない。
【0010】
本発明のさらに別の重要な点は、タイル敷設の際に使用する接着モルタルによる作用を塗料層が受けないことである。このことは、タイルの敷設時に塗料層と強アルカリ性の接着モルタルとの化学反応が起こらないことを意味しており、このような化学はたとえば変色につながったり、塗料層がガラス層から剥がれる原因になるものである。
【0011】
本発明によるタイルは、従来のタイルとはまったく異なる外観を実現することを可能にする。タイルの模様を形成する色構造部が透明なガラス層の背後にあるので、立体的な印象を与えるタイル外観が生じるのである。さまざまな屈折効果等により、従来のタイルでは観察することのできない効果が得られる。
【0012】
色層を形成させるために2成分塗料を使用することは、それ自体として可能である。これについては特に産業用車両や給油車、バス等の全面塗布または部分塗布のために専用に開発された2成分アクリル塗料が考慮の対象となる。本発明の意味で重要なのは高い機械的および化学的な耐性、長期的な光沢の維持、ならびにベンジンや油脂やその他の溶剤に対する耐久性である。鉱物性の塗料はこうした条件を格別に優れた形で満たしている。鉱物性の塗料は好ましくはエナメル塗料であり、すなわちスクリーン印刷で塗布するためにペースト状に調合される、顔料を含んだガラス微粉である。
【0013】
本発明によるタイルの立体的な構造効果は、ガラス層の表面を平滑でなく構成することによっていっそう向上する。表面の構造化、すなわち波打っている構成は美観的に格別に面白い効果を得ることを可能にする。
【0014】
ガラス層の裏面に設けられた色層に追加して、ガラス層も内部の色構造部を備えることができる
【0015】
このことは、ガラスの全体または特定の個所が色づけされることを意味する。しかしながらこの場合には、上述したような効果を達成できるようにガラスが少なくとも部分的には透明であることが保証されなくてはならない。
【0016】
さらに本発明は、次の各ステップ:
−タイルの所望の形状となる切断片にガラス板を裁断する、
−切断片を軟化するまで熱処理する、
−室温範囲の温度になるまで切断片を冷却する、
−鉱物性の塗料層を切断片の一方の面に設け、乾燥処理によって粗面化する、
−熱処理の最高温度よりも低い温度で塗料層を焼き付ける、
で構成されるタイル製造方法も対象としている。
【0017】
好ましくは、熱処理のときにガラスの軟化点を上回るのが望ましい。このことは一般に750℃から850℃の範囲内の最高温度で加熱を行うことによって達成される。冷却時には、できるだけ好ましいガラス構造を得るために複数の保持点を設けると好都合である。本発明による方法の格別に好都合な実施形態では、切断片が水平に鋳物砂床の上に載置されている間に熱処理を行うことが意図されており、その際たとえばスタンプやローラによって砂床に模様を押し付けることによって切断片を載せる前にアスベスト砂床を構造化しておくと、格別に立体的な効果を得ることができる。
【0018】
通常、熱処理は、処理されるべきガラス板を冷めた炉の中に入れておくことによって行われる。そしてこの炉を最高温度まで熱するが、この最高温度はガラスの種類や材料の厚さによって左右される。熱処理で重要なのは、さまざまな保持点が設けられている冷却段階である。このような保持点を設けることで、完成したガラス製タイルにほぼ応力がないことが達成され、このことはその後の処理や耐久性にとって大きな意義がある。下記の実施例には、厚さ8mmのガラス製タイルを例にとって熱処理の典型的な方法手順が掲げられている。
【0019】
【表1】
Figure 0004020588
【0020】
熱処理をした後、切断片を室温まで冷却し、たとえばスクリーン印刷法でエナメル塗料を印刷する。印刷工程の直後にタイルを赤外線トンネル炉に入れて約180℃の温度で乾燥させる。待機時間は約30秒である。すぐに熱作用を与えることによって塗料の迅速な脱水が起こり、それによって塗料表面には微視的なレベルで粗面化され、凹凸ができる。複数の色層をタイルに設ける場合、それぞれの色層を塗布した直後に乾燥処理をその都度行う。最後の色層を塗布し、それに続いて乾燥をさせた後、タイルに被覆層を塗布し、次いで約580℃から約620℃の温度で焼き入れ工程を実施する。この温度を約20分間保つ。被覆層はタイルが明るい色の場合には多くの場合白、その他の場合には黒であり、敷設後に下地が透けて見えるのを防ぐために塗布するものである。焼き入れによって色が最終的に固定される。重要なのは、焼き入れの後に閉じた炉のなかで3,4時間、またはそれ以上の時間にわたってタイルをゆっくりと冷却させることである。それによってガラスの望ましくない硬化を防ぐことができる。この処理のときも粗面化構造は保たれるので、加工時にきわめて優れた接合力が得られる。
【0021】
次に、図面に描かれた実施形態を参照しながら本発明について詳しく説明する。
【0022】
図面には本発明によるタイルの断面図が模式的に描かれている。
【0023】
このタイルは、視覚面2と裏面3とを有するガラス層1でできている。裏面3には2成分塗料からなる色層4が塗布されている。この塗料はたとえば、主成分をPb,Si,Cd,Li,Na,Ti,B、AlとするCERDEC Chemische Farben社(ドイツ、フランクフルト)の建築ガラスインキ13710である。また、色成分が顔料からなるガラス微粉でできている塗料も考えられる。図から明らかなように視覚面2と裏面3はいずれも完全に平坦ではなく、波打つような構造を有している。このタイルの視覚的な効果は、入射した光線5が視覚面2で屈折してから色層4に達して反射され、さらに視覚面2から出ていくことによって生じる。表面2および3が平坦でない性質をもっているため、タイルの個々の部位における屈折と反射はさまざまな形で行われる。このようにして格別に視覚的な効果が達成される。さらに図面から明らかなように、熱処理によってタイルに表面張力が生じることでエッジ6が尖らずに丸みをおびている。このことはタイルにとって一般に望ましい状態である。
【0024】
当業者であれば容易にわかるように、ガラス層1は部分的または完全に互いに融合した複数の同一または異なるガラス層から組み合わされていてもよい。
【0025】
本発明により、ガラスで製造したタイルを大規模にセラミック製タイルと同じやり方で使用することが商業的レベルで可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるタイルの断面模式図

Claims (18)

  1. 壁、床等に接着モルタルで敷設される裏面及び反対側の表面有する透明なガラス層(1)と、前記ガラス層(1)の前記裏面配置された色層(4)とで構成されており、
    前記ガラス層(1)軟化にまで至る熱処理に供せられており、
    前記色層(4)が、乾燥処理によって粗面化され、前記ガラス層(1)に焼き付けられた鉱物性の塗料でできていることを特徴とするタイル。
  2. 前記塗料がエナメル塗料であることを特徴とする請求項1記載のタイル。
  3. 前記ガラス層(1)の表面に立体的な模様が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイル。
  4. 前記ガラス層(1)の裏面に立体的な模様が施されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイル。
  5. 前記ガラス層(1)の表面と裏面は波打ち状を呈していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタイル。
  6. 支持面、表面と裏面とを有するタイル、及び、前記タイルを前記支持面に敷設するために前記支持面と前記タイルの前記裏面との間に位置する接着モルタルとを有するタイル敷設構造であって、
    前記タイルは、透明なガラス層と、前記ガラス層の裏面配置された鉱物性の塗料の色層とで構成されており、前記ガラス層が軟化にまで至る熱処理に供せられており、前記色層は、鉱物性の塗料でできており、乾燥処理によって粗面を示し、前記ガラス層に焼き付けられているタイル敷設構造
  7. 前記鉱物性の塗料がエナメル塗料である請求項6に記載のタイル敷設構造
  8. 前記ガラス層の前記表面と前記裏面とが波打ち状を呈している請求項6または7に記載のタイル敷設構造
  9. 次の各ステップ:
    −タイルの所望の形状となる切断片にガラス板を裁断する、
    −切断片を軟化するまで熱処理する、
    −室温範囲の温度になるまで切断片を冷却する、
    −鉱物性の塗料層を切断片の一方の面に設け、乾燥処理によって粗面化する、
    −熱処理の最高温度よりも低い温度で塗料層を焼き付ける、
    からなることを特徴とするタイル製造方法。
  10. 熱処理が、前記ガラス板の軟化点を超える温度までの切断片の加熱と、これに続く1つまたは複数の保持点を含む冷却とを含んでいることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 熱処理が750℃から850℃の範囲内の最高温度で行われ、前記最高温度は前記軟化点よりも上側にあることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 切断片を鋳物砂床の上に載置しながら熱処理が行われることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 鋳物砂床が切断片を載せる前に立体的な模様が施されていることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 塗料層を設けた直後にタイルを60℃以上の温度まで加熱することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 塗料層を設けた直後にタイルを150℃から200℃の間の温度まで加熱することを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. タイルに塗料層を設けた後に被覆層を設け、次いで約560℃から約660℃の温度で焼き入れ工程を実施することを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
  17. タイルに塗料層を設けた後に被覆層を設け、次いで約580℃から約620℃の温度で焼き入れ工程を実施することを特徴とする請求項16記載の方法。
  18. 焼き入れ工程の後にタイルを閉じた炉のなかで少なくとも3時間冷却させることを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
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