JP4020572B2 - ライニング被覆した貯液槽とその製造方法、並びにライニング層欠陥検出方法 - Google Patents

ライニング被覆した貯液槽とその製造方法、並びにライニング層欠陥検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ライニング層が施された貯液槽について、特に、ライニング層の貫通性欠陥ないし漏液を検出可能にした貯液槽の構造、製造方法及びその欠陥検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学産業、金属産業、半導体製造業など各種の生産活動の過程で副生する様々な中間物や廃水、廃液などの液体は、その処理過程で所定の貯液槽へ一旦貯留される。この貯液槽には、貯留の対象となる液体に対する有効な漏液遮断性能と耐食性能とが要求されるが、そのため貯液槽の内面へは全面にわたり、耐食性のライニング処理がなされることが多い。
【0003】
然しながら、貯液槽内面のライニング層は、ライニング施工過程での施工不備や、貯液槽稼動中におけるライニング層の材質劣化、摩損などの原因で、液体が槽外へ漏出するにつながるピンホールや亀裂などの貫通性の欠陥を生じるケースがあった。貯液槽からの液体の漏出は、周辺環境の汚染につながるので、常時監視する必要があり、そのようなライニングの欠陥は、逐次補修する必要がある。
【0004】
貯液槽が地上に構築される様式であるときは、ライニング層の欠陥部は、これが貯液槽の外周面での貯留液体の滲出や漏出する領域とほぼ符合するので、ライニング層の欠陥部は、その地点を直接に目視観察することにより、容易に確認でき、以降の補修作業も比較的容易であった。
【0005】
他方、地下埋設様式の貯液槽においては、ライニング層の欠陥は、それが貯留液体類の槽外漏出に基づく地盤汚染公害を引き起こす直接的な要因につながるにも拘らず、漏出部位が地中以下にあってその存在を簡便に且つ低コストで認識する手法が未だ確立されていなかった。
【0006】
従来技術に関して、貯液槽内面へ施されたライニング層に発生した貫通性の欠陥部を探知する方法としては、実公昭63−39628号に、電気回路を応用した排液槽の漏れ検知システムが提案されている。このシステムは、槽本体内面に絶縁性の合成樹脂ライニングを貼設し、合成樹脂ライニング上に複数の小面積の通電クロースを全面にわたって、且つクロース相互には絶縁して、敷きつめ、各通電クロース上に絶縁性の合成樹脂コーティングを施していた。
【0007】
この従来技術は、各通電クロースには、それぞれに対応する位置表示用ランプを介して電源の一方の極に並列的に接続し、槽の内側底部と槽本体の周壁中に配置した電極板をそれぞれに対応する表示灯を介して電源の他方の極に並列的に接続されている。コーティング層やライニング層または槽本体に腐食、ひび割れなどが生じた場合、通電クロースと電極板とが、廃液、その他、導電性の貯留液を介して通電し、位置表示用ランプ、表示灯の点灯によってひび割れなどの欠陥箇所を認知するものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の検出方法は、槽内ライニング層に生じた貫通性の欠陥箇所そのものを正確に位置特定しようとした点で優れているが、施工方法の面からは、主として、小面積の通電クロースを1つづつ格別に絶縁しながら、しかも多数枚にわたって敷設しなければならない煩雑さが伴い、しかも、電気配線は、電気配線回路が甚だ複雑な構成となって、作業量が多く作業内容が一層煩雑となっていた。さらに、槽規模が大きいと、小面積クロースの敷設枚数、電気配線数ともに激増することになり、貯液槽の完成までには工程数、工期、経済性といった実用上での欠点を含んでいた。
【0009】
本発明は、従来技術におけるの問題に鑑み、貯留液体類の滲出や漏出につながるライニング層の貫通性欠陥部の存在を簡便に検知できて、且つ、ライニング層をより簡便で、しかも低コストで施工することかできるようにした貯液槽とその製造方法、並びにそのような貯液槽のライニング層欠陥の検出方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の貯液槽は、ライニング層が、貯液槽本体の内面全面上の絶縁性の樹脂下地層と、下地層全面に塗布した導電層としての導電性塗材層と、導電性塗材層上面に塗布した表面仕上げ層とから構成され、導電性塗材層を表面仕上げ層の欠陥を検出するための電極とするものである。
【0011】
本発明においては、表面仕上げ層は、ライニング層の表面として、貯液槽の排液などに直接触して耐えることができるように設計施工され、導電性塗材層は、表面仕上げ層の裏側の実質的に全面に導電性を付与し、導電性塗材層にはさらにリード線を接続してライニング層から取り出されている。
【0012】
表面仕上げ層の欠陥検出は、貯液槽を空にした状態で測定され、導電性塗材層のリード線と、さらに別体の検出用電極との間で抵抗測定器を接続し、この別体の電極を貯液槽のライニング層の表面仕上げ層の表面を部分的に導電性の液体で濡らし接触しながら表面走査して、行なう。
この検出方法は、液体で濡らした表面仕上げ層に表裏に貫通する貫通性の欠陥部、例えば、ピンホール、ブローホール、隙間、亀裂、割れなどがあれば、その欠陥位置では、導電性塗材層と検査用電極との間がその導電性液体により導通して抵抗測定器は相対的に低い抵抗を検出し、貫通性であるピンホール、割れ、剥離、切開などの欠陥を認識させる。
【0013】
このようなライニング構造は、次のように形成される。即ち、貯液槽本体の内面全体に、電気絶縁性能を具備した合成樹脂系の絶縁性下地層を塗布し、絶縁性下地層形成域へ導電性フィラーを配合してなる合成樹脂系の導電性塗材層を塗布し、次の仕上げ工程で、耐食性と電気絶縁性能とを兼備した合成樹脂系の表面仕上げ層を施すことで達成される。導電性塗材には、リード線が適当に接続され、槽内又は槽外、特に槽の上部に引き出される。
【0014】
さらに、導電性塗材層には、予め、埋設電極を埋設しておくのがよく、これにより、リード線を埋設電極を介して、導電性塗材層に確実に導電することができる。この場合には、リード線を接続した小型面状電極の必要数を、形成された絶縁性下地層上の任意箇所へ配置して、貼設し、しかる後に、絶縁性下地層上の全面に、上記の如く、導電性塗材層を形成するのが好ましい。適当な小型面状電極を埋設電極とすることにより、仕上げ表面層の試験位置に最も近い電極を利用すれば、貫通性欠陥に対して高感度で検出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の貯液槽は、地上据え置き式や地中埋込み式ないし半地下式の貯液槽に利用され、また、槽本体は、コンクリート製や鉄鋼製などが含まれる。以下の実施形態は、図1及び図2を参照して、コンクリートの本体を半地下式に固定した貯液槽を例に説明するが、地上据え置き式にも適用できるものである。
【0016】
本発明におけるライニング層50は、貯液槽本体1の内側から順次、絶縁性下地層2、導電性塗材層4、表面仕上げ層5の少なくとも三層の構成となっており、特に、リード線30を接続した導電性塗材層4により、仕上げ層の貫通性欠陥を検出するものである。
絶縁性下地層2は、貯液槽本体1に予め塗布され、この下地層2は、導電性塗材層4と槽本体1とを絶縁し、且つ、プライマーとして導電性塗材層4を安定に保持して、導電性塗材層4の接着強度を高めるものである。このような絶縁下地層は、従来の下地材料・プライマー材料の中で、電気抵抗が高い絶縁性ものから選ばれ、例えば、樹脂材料の中からアクリル系、エポキシ系、ビニルエステル系、ポリウレタン系などが利用される。絶縁性下地層2の塗布方法は、従来の技術の鏝塗り、刷毛塗り、その他、スプレーコーティングなどを利用できる。
【0017】
導電性塗材層4は、樹脂基材と導電性のフィラーとの混合物を含み、樹脂基材は、無溶剤型の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、さらに溶剤型樹脂液が利用される。熱硬化型樹脂としてエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などや、熱可塑性樹脂としてアクリル系樹脂などが利用できる。樹脂基材の好ましい例として、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂などが挙げられる。
【0018】
導電性フィラーには、金属、金属酸化物、炭素が利用され、その形態は、粒子、フレーク又は繊維が利用できる。金属には、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウムなどがあり、金属酸化物には、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモンなどの導電性の酸化物が利用できる。炭素には、カーボンブラック、黒鉛粒子、カーボン繊維、黒鉛化炭素繊維などが利用できる。
導電性フィラーには、ポリエステル繊維やガラス繊維などの強靭な繊維の表面を、金属、例えば、銅やニッケルで被覆した導電性の繊維も含まれ、このような金属被覆繊維も、導電性塗材層の導電性の確保と材料強靭化を図るのに好適である。
【0019】
特に、導電性フィラーは、導電性塗材層4に塗装施工性と塗膜平滑性とを確保しようとする観点からその形状を粉粒状としたものがよいが、強度と電導度を高めるには、導電性の繊維状が好都合であり、例えば、炭素繊維や上記の金属被覆繊維が利用できる。
【0020】
このような導電性塗材の好ましい配合例としては、例えば、樹脂基材にエポキシウレタン樹脂と、導電性フィラーに、カーボンブラックや導電性黒鉛とを組み合わせた溶剤型塗液が挙げられる。
【0021】
導電性塗材の塗布方法には、鏝塗り、刷毛手塗り法、ローラーコーティング、スプレーコーティングなどの極めて簡便、かつ迅速性に富んだ塗装方法が利用できる。従って、作業効率、経済性の面で頗る大きな利点を有している。
【0022】
本発明の貯液槽に使用する仕上げ層5には、貯液槽中に保持される廃液などの液体に対して対薬品性その他耐食性を有する合成樹脂の表面仕上げ層5であり、同時に、電気絶縁性であること必要である。このような樹脂材料は、従って貯液槽の貯液用途や寸法・形状により異なり、種々の樹脂材料が利用される。
【0023】
導電性塗材槽には、導電性塗材に接続されたリード線が直接配置され、リード線は、ライニング層50中を上昇させて、好ましくは、槽内又は槽外に固定した端子に接続されて、端子は通常、槽上に配設される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態は、特に、リード線30に、埋設電極3として所望数の小型の面状電極板を接続し、この電極板を導電性塗材層4内に埋設して、リード線30の他端が、槽外の端子31に固定されるのがよい。小型面状電極板には、典型的には、薄い金属板、金属ネット、金属ウールを含み、このような電極板は、例えば、銅、アルミニウム、鋼、特に、ステンレス鋼から形成される。その寸法と厚みは、導電性塗材層4内に定置できて、導電性塗材層4を電気的に接触できる適当な大きさでよい。
例えば、埋設電極3は、矩形又は円板の一辺ないし直径が10mm〜200mm程度で、厚みが0.1〜5mmの可撓性のあるものでよい。
【0025】
埋設電極3は、絶縁性下地層2の完成後にその上に添着されて仮付けされ絶縁性下地層2の上に、導電性塗材が、その電極板をも覆うように塗着され、硬化後は、導電性塗材層4に一体化する。
【0026】
このように導電性塗材層4内に、好ましくは、2個以上の埋設電極を埋設することにより、後述の如く、測定すべき電極板を適宜選択して、仕上げ層5に発生した貫通性欠陥の検出感度を高めることができる。特に、微小な欠陥、例えば、ヘヤークラックやピンホールにの検索効率を高めることができる利点がある。
【0027】
ライニング層50の表面仕上げ層5の検査方法について、表面仕上げ層5の表面を、適宜、導電水または電解質水溶液のごとき導電性の液体で濡らし、これを貫通する欠陥部が存在すると、導電性液体は表面仕上げ層5の欠陥部のみを選択的に経由して下層の導電性塗材層4へ到達して電気的な導通状態となる。そこで、濡らした表面と導電性塗材層との間の電気抵抗を測定すれば、他の欠陥のない表面部分より抵抗値は低くなる。
【0028】
本発明の貫通性欠陥の検出法には、埋設電極3と、別体の移動可能な検査電極6とを抵抗測定器に接続し、ライニング層50の表面仕上げ層5の所望の被検査部位を導電性液体で濡らすと共に検査電極6を被検査部位の濡れ溶液に接触させて、抵抗測定器60により検査電極6と埋設電極3間の抵抗変化により、表面仕上げ層5の貫通性欠陥を検出する方法が採用される。このような検査電極6には、予め導電性液体を含浸した吸水性電極が、簡便で使い勝手がよい利点がある。
【0029】
この検出方法は、もし、表面仕上げ層5の濡らした表面に表面仕上げ層5の表裏に貫通する欠陥がなければ、抵抗値は相対的に高いままであるが、これに対して、表面仕上げ層5の濡らした表面に割れなどの貫通性の欠陥があれば、抵抗値は、相対的に低下し、これにより欠陥が貫通性であることがわかり、その箇所の補修が必要であることが判る。
【0030】
この電気抵抗値の変化は、埋設電極3、例えば小型面状電極、から導出されたリード線30からの銅線63と検査電極6の銅線62を抵抗測定器に接続したまま、導電性液体を含む検査電極6を仕上げ層5の表面上を左右上下に走査させると、抵抗値の低い位置が検出できれば、その位置に貫通性欠陥、例えば、亀裂52の存在の可能性が高いことが判り、補修の対象になる。
【0031】
実際に検査するには、導電性の液体には、導電水は通常の水道水でよいし、電解質水溶液は、簡便には、食塩水などでよい。検査電極6として吸水性電極の簡単な例は、リード線を接続した適当な織布ないし不織布などの吸水できる布地に上記の水道水や食塩水を含浸ないし湿潤させたものでよい。
【0032】
別の検出方法は、導電性塗材層4中の埋設電極3として、小型面状電極板の設置数を、貯液槽の形状に合わせて適当に配置し、貯液槽内の貯留液Wと各埋設電極3、3との間の抵抗値の変化から、抵抗値の低い埋設電極3の埋設付近の仕上げ層5に、貫通性欠陥、例えば、亀裂が存在することが予測される。
【0033】
貯液槽が、例えば、方形状であれば、単に4つの内壁面と底面のみの導電性塗材層中に配置しておくだけで欠陥発生面を簡単に確実に判別することができ、この面を対象としたライニング補修を施すことにより復旧を図ることができる。従って、本発明の方法は、従来技術の複雑な電気回線や各種結線といった煩雑さから解放されることになる。
【0034】
この貯液を使う方法は、貯液稼動中の貯液槽に対して、簡便に割れ検出が可能であり、さらに詳細な割れ検査は、貯液を排除した後の空の貯液槽に対して、上述の検査電極6の内壁面走査により行なうのがよい。
【0035】
本発明の方法は、新しい貯液槽を組立てて、ライニング仕上げをした直後の仕上げ検査に適用でき、さらに、すでに稼動中の貯液槽であって、定期点検などの目的で内部貯留液体が排出された直後の段階でも任意に検査することができる。この場合では、欠陥部が長時間にわたって貯留液体ですでに湿潤状態となっているので、再度表面仕上げ層の表面を導電性液体で濡らす作業が省け、その検出にはむしろ好都合となる。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
貯液槽本体1はコンクリート製で、内容積の4.5m3の半地下式であった。貯液槽本体1の内面へ、合成樹脂系の絶縁性下地層2として、ポリウレタン系樹脂から成るプライマーをスプレー塗布し、乾燥後、ポリエステル樹脂から成る塗材をスプレー塗布し、ガラスマットを貼付けした。
【0037】
次いで、絶縁性下地層2の上に、貯液槽本体1の4つの側面と底面との適当位置に、埋設電極6として、リード線を接続した銅製の小型電極板(100×100mm四方、厚み0.2mm)を貼りつけた。リード線を貯液槽本体1の内側空間へ引き出すようにした状態で絶縁性下地層2と埋設電極3を完全に被覆するように、下記のような導電性塗材をローラコーティングにより塗布した。
【0038】
導電性塗材の配合を表1にまとめたが、この例では、樹脂には、溶剤系の樹脂を利用し、導電性フィラーとして炭素系粉末を配合した。詳しくは、表1に示すように、樹脂成分はウレタンプレポリマーと硬化剤を兼ねてエポキシポリオールとから成るエポキシウレタンであり、導電性フィラーには、黒鉛とカーボンブラック(何れも10μm以下の粉末)を使用し、分散剤として燐酸エステル系界面活性剤を、また、溶剤としてキシレンを添加して、塗材を調製した。
【0039】
【表1】
Figure 0004020572
【0040】
上記導電性塗材の乾燥硬化後に表面仕上げ層5を全面にわたって塗布し貯液槽を完成した。この仕上げ材には、ビニルエステル樹脂から成る塗液をスプレー塗装をして、ガラスマットを貼付けした後、着色顔料とビニルエステル樹脂から成る表面層を形成した。
本例の施工面積は約10m2で、小型面状電極を少数枚貼付したのみであったため、12時間で完成した。
【0041】
以上のように内壁に形成したライニング層50に割れ検出試験を行なった。別体検査電極6に、導電性液体を吸水して湿潤された布地に銅線を接続して構成し、埋設電極3の端子とこの検査電極6の銅線とを抵抗測定器に接続し、検査電極6を湿潤状態で、内壁のライニング層50表面に押し当てながら壁面を移動し、抵抗の変化を監視した。通常の健全な内壁ライニング面では、抵抗値は、10〜20MΩの高い値を示したが、ライニング面の小さな亀裂部位では、40〜200kΩの低い抵抗値を示し、ライニング層50の表裏に貫通する割れであると判断された。
【0042】
【発明の効果】
本発明の貯液槽は、貯液槽本体の内面側の下地層と表面仕上げ層とを絶縁性にし、この両層間に導電性フィラーを含む導電性塗材層を介在させたので、導電性塗材層とライニング表面層との間の電気抵抗を測定すれば容易に表面仕上げ層の貫通性欠陥の検出をすることのできる貯液槽を簡便に且つ安価に実現することができる。さらに、埋設電極として小型電極を、導電性塗材層に埋設し、そのリード線を槽上に固定するようにしておけば、導電性塗材層への接続が確実になされ、同時に、埋設電極して複数の小型電極を配置しておけば、表面仕上げ層の欠陥位置の検出精度を高めることができる。
【0043】
本発明の貯液槽の製造方法は、貯液槽本体の内面全体に、絶縁性下地層を施した後、表面仕上げ層の施工前に、導電性フィラーを含む合成導電性樹脂塗材層で被覆するだけで、導電性塗材層とライニング表面層との間の電気抵抗を測定すれば容易に表面仕上げ層の貫通性欠陥の検出をすることのできる貯液槽を、簡便に且つ安価に製造することができる。さらに、埋設電極を樹脂塗材層に埋設するように施工するだけで、リード線を槽内又は槽外に導出し、埋設電極を表面仕上げ層の割れ欠陥検出に利用可能として、リード線の導電性塗材層への接続が確実になされ、同時に、埋設電極として複数の小型電極を配置しておけば、表面仕上げ層の欠陥位置の検出精度を高めることができる。
【0044】
本発明の貯液槽の貫通性欠陥の検出方法は、貯液槽の導電性塗材層または埋設電極に接続したリード線と、別体の移動可能な検査電極とを抵抗測定器に接続し、ライニング層の表面仕上げ層表面の所望の被検査部位を導電性液体で濡らすと共に検査電極を走査することにより、表面仕上げ層の割れなどの貫通性欠陥を簡単に且つ確実に検出でき、しかも、特別の装置や複雑な電気回路を適用する必要がない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る貯液槽の縦断面を示す。
【図2】 本発明の貯液槽の欠陥検出方法の実施を説明するための貯液槽内側の部分断面斜視図。
【符号の説明】
1 槽本体
2 絶縁性下地層
3 埋設電極
30 リード線
31 端子
4 導電性塗材層
5 表面仕上げ層
50 ライニング層
52 表面仕上げ層の欠陥
6 検査電極
60 抵抗測定器

Claims (8)

  1. 貯液槽本体の内面をライニング層によって被覆した貯液槽であって、
    上記ライニング層は、
    上記貯液槽本体の内面全体に形成した合成樹脂を含む絶縁性下地層と、
    上記絶縁性下地層を覆って導電性フィラーと合成樹脂とから成る導電性塗材層と、
    上記導電性塗材層を覆った電気絶縁性の合成樹脂を含む表面仕上げ層と、
    上記絶縁性下地層と上記導電性塗材層の間にあって導電性塗材層に接続された埋設電極と、
    上記埋設電極に接続され、上記ライニング層中を上昇させて槽内又は槽外に導出されたリード線と、を備え、
    上記導電性塗材層を表面仕上げ層の貫通性欠陥の検出用の電極に利用することを特徴とするライニング被覆した貯液槽。
  2. 上記導電性フィラーが、金属、導電性金属酸化物及び炭素から選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の貯液槽。
  3. 上記導電性フィラーが、金属被覆繊維又は炭素繊維であることを特徴とする請求項1に記載の貯液槽。
  4. 貯液槽本体の内面全体に合成樹脂を含む絶縁性下地層を被覆して乾燥し、
    上記絶縁性下地層の上にリードに接続された埋設電極を添着し、
    上記リード線を上記貯液槽本体の内側に引き出した状態で、上記添着された埋設電極をも覆うように、導電性フィラーと合成樹脂とからなる導電性塗材層で絶縁性下地層を被覆して硬化し、
    次いで、上記導電性塗材層上に、電気絶縁性の合成樹脂を含む表面仕上げ層を被覆して、ライニング層を形成することから成り、
    上記導電性塗材層に接続した上記リード線が上記ライニング層中を上昇して槽内又は槽外に導出され、上記導電性塗材層を表面仕上げ層の貫通性欠陥の検出用の電極に利用可能としたことを特徴とするライニング被覆した貯液槽の製造方法。
  5. 上記導電性フィラーが、金属、導電性金属酸化物及び炭素から選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
  6. 上記導電性フィラーが、金属被覆繊維又は炭素繊維であることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
  7. 請求項1ないし3いずれかに記載の貯液槽において欠陥を検出する方法であって、
    上記リード線と、別体の移動可能な検査電極と、を抵抗測定器に接続し、上記の表面仕上げ層の表面の所望の被検査部位を導電性液体で濡らすと共に検査電極を被検査部位の濡れ溶液に接触させて、抵抗測定器により検査電極と埋設電極との間の抵抗変化により表面仕上げ層の貫通性欠陥を検出する貯液槽の欠陥検出方法。
  8. 検査電極が、予め導電性液体を含浸した吸水性電極であることを特徴とする請求項7に記載の検出方法。
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