JP4020535B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、漏れ防止性に優れた、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
使い捨ておむつ等の吸収性物品においては、着用時に着用者の股下において脚に当接する部分である側縁部や、ウエスト開口を形成する腹側及び背側のウエスト開口縁部からの漏れを如何に防止するか、が一つの課題である。
この課題を解消すべく、吸収性物品の左右両側縁側や長手方向両端縁部側に弾性部材を有する立体ガードを備えた吸収性物品が種々提案がされている(特公平6−93901号公報等)。
この立体ガードは、弾性部材の作用により上方に起立し、起立した立体ガードの上方縁部において着用者の肌に当接し良好なフィット性を得ると共に、起立することにより形成されるポケット部において一時に吸収しきれなかった排泄物を一旦ストックし、再度吸収するようにして、漏れを防止するものである。
【0003】
しかし、従来の吸収性物品においては、着用者の着用状態によって、立体ガードが起立せず、良好なフィット性が得られず、またポケット部も形成されないことがある。特に、寝ている時や座っている時等は吸収性物品に着用者の荷重によって負荷がかかり、起立していた立体ガードが押しつぶされ、立体ガードの一部が表面シートに接するような状態になり、排泄物の漏れ防止に対して殆ど効果がなくなり、更には立体ガード上を排泄物が流動することで吸収性物品の側部等から排泄物が浸み出す等して漏れを生じることがあった。
【0004】
従って、本発明の目的は、立体ガードが着用者の着用状態によって起立しにくい状態、即ち立体ガードが表面シートに接した状態においても、排泄物を立体ガード内に流入させることで、立体ガードの乗越えを防ぎ、側部やウエスト開口部からの漏れが防止された使い捨ておむつ等の吸収性物品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート、及び液保持性の吸収体を備えた実質的に縦長の本体を具備し、該本体の左右両側部に立体ガード弾性部材を有する一対の立体ガードが設けられている吸収性物品において、前記本体には、前記吸収体の長手方向両側部に、排泄物を該吸収体に誘導する排泄物誘導部が設けられており、該吸収体の長手方向一側部に設けられた該排泄物誘導部と長手方向他側部に設けられた該排泄物誘導部とは連続しておらず、前記排泄物誘導部は、その内方縁が、前記立体ガードが前記表面シートに接した状態における該立体ガードの内縁端より吸収性物品の内方側に位置し、且つ前記吸収体の表面側に設けられた複数の凹部により形成されている吸収性物品(以下、「第1発明」という)を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0006】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート、及び液保持性の吸収体を備えた実質的に縦長の本体を具備し、該本体の長手方向両端部側に立体ガード弾性部材を有する一対の立体ガードが設けられている吸収性物品において、前記本体には、前記吸収体の長手方向両端部に、排泄物を該吸収体に誘導する排泄物誘導部が設けられており、該吸収体の長手方向一端部に設けられた該排泄物誘導部と長手方向他端部に設けられた該排泄物誘導部とは連続しておらず、前記排泄物誘導部は、その内方縁が、前記立体ガードが前記表面シートに接した状態における該立体ガードの内縁端より吸収性物品の内方側に位置し、且つ前記吸収体に設けられた複数の凹部により形成されている吸収性物品(以下、「第2発明」という)を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、先ず、第1発明の吸収性物品の好ましい1実施形態について説明する。本実施形態の吸収性物品としての使い捨ておむつ1は、図1〜4に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性の防漏シート3、及び液保持性の吸収体4を備え、実質的に縦長の本体10を具備し、該本体の長手方向左右両側部に、立体ガード弾性部材64を備えた一対の立体ガード6を具備する。
【0008】
本実施形態の使い捨ておむつ1は、吸収体4を表面シート2と防漏シート3とにより狭持固定してなる。
また、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部A及び背側に位置する背側部Bにおけるウエスト開口部8には、それぞれウエスト部弾性部材81が配されてそれぞれウエストギャザーが形成されている。そして、背側部Bの左右両側縁部B1,B2には、それぞれ使い捨ておむつ止着用のファスニングテープ11が設けられている。
【0009】
而して、本実施形態の使い捨ておむつ1において、本体10には、その吸収体4の長手方向両側部側に、排泄物を吸収体4に誘導する排泄物誘導部41が設けられており、排泄物誘導部41は、その内方縁41aが、立体ガード6が表面シート2に接した状態における立体ガード4の内縁端63より使い捨ておむつの内方側に位置する。
【0010】
ここで、前記「接した状態」とは、装着時にとりうる状態であり、立体ガードの弾性部材が完全に伸長されて表面シート2と接している状態を意味する。
また、前記「内縁端」とは、立体ガード6の固定端より最も吸収性物品の内側にある端部のことである。
【0011】
更に詳述すると、排泄物誘導部41は、本実施形態においては、図3及び4に示すように、吸収体4の表面側に設けられた複数の凹部42により形成されている。凹部42は、略線状であり、凹部42の長手方向を使い捨ておむつの幅方向に向けて、使い捨ておむつの長手方向に並列に並べられている。これにより、排泄物誘導部41の形状は、その長手方向が使い捨ておむつの長手方向に向いた長方形状となされている。また、凹部42は、それぞれ長方形のシート状の吸収体を圧縮して形成されているか、または、吸収体の構成成分が偏在化されたものである。
そして、排泄物誘導部41は、使い捨ておむつの股下部における左右両側に形成されている。
【0012】
排泄物誘導部41の長さLは、排泄物を確実に誘導するために側部の長手方向全長(図2のXに相当)の10〜90%、特に20〜80%とすることが好ましい。また、幅Wは立体ガードが表面シートに接した状態において排泄物が立体ガード内部へ誘導される様に、立体ガード6の全幅Zの50〜300%、特に100〜200%とすることが好ましい。また、内方縁41aと内縁端63との距離T'は、立体ガードが表面シートに接した状態でも立体ガードに覆われた吸収体内に排泄物が迅速に誘導される様、幅Wの5〜80%、特に5〜50%とすることが好ましい。
また、排泄物誘導部41は、本実施形態のように股下部に位置しているのが好ましい。長手方向端部から排泄物誘導部41の背側(腹柄部)の端縁までの距離Tが、側部の長手方向の全長Xの10〜40%の長さとなるように形成するのが好ましい。
また凹部42の幅W1は、2〜40mm、特に2〜20mmとすると、排泄物が排泄物誘導部41へ流入し易く、流入した排泄物が効率よく吸収され易くなり、しかも装着時のフィット性、肌触りが良好となるので好ましい。同様の理由から凹部の深さDは0.5〜10mm、特に1〜10mmが好ましい。また各凹部間の間隔tは、10mm以上とすれば排泄物誘導部41上で流動する排泄物を吸収可能となるので好ましい。
【0013】
また、本実施形態の使い捨ておむつ1においては、図3に示すように、立体ガード弾性部材64は、立体ガード6の基端60と内縁端63との間及び内縁端63に複数配されており、且つ立体ガード6の表面に立体ガード6により複数のポケット部65が形成されるようになしてある。なお、図1及び2においては、図示する都合上内縁端63近傍に設けられた立体ガード弾性部材のみを示している。
【0014】
各立体ガード弾性部材64は、各々の間隔が内縁端63側から順次広くなるようになされている。
本実施形態においては、立体ガード弾性部材64は、内縁端63に1本、また、内縁端63から基端60までの間に4本配されている。即ち、上記「複数」とは、立体ガード6に複数配されていることを意味し、内縁端に複数配することは必ずしも要しない。各立体ガード弾性部材64は、内縁端63において折り返されたシート材61により、接着剤を介して狭持固定されている。本発明においては、立体ガード弾性部材は、全部で3〜20本配するのが好ましい。
また、各立体ガード弾性部材64は、それぞれ、内縁端63に平行に且つおむつの長手方向に沿って配されている。
【0015】
立体ガード6の幅方向の長さは、10〜150mmとするのが好ましい。また、各立体ガード弾性部材64間の間隔は、内縁端63の立体ガード弾性部材64aとこれに近設された立体ガード弾性部材64bとの間隔を1〜10mmとし、順次1〜10mmづつ広くするのが好ましい。具体的に本実施形態においては、立体ガード弾性部材64bと立体ガード弾性部材64cとの間隔を2〜20mmとし、立体ガード弾性部材64cと立体ガード弾性部材64dとの間隔を3〜30mmとし、立体ガード弾性部材64dと基端60との間の間隔は、2〜50mmとするのが好ましい。
【0016】
また、内縁端63は、他の立体ガード弾性部材64の配された部位よりも応力が大きくなるようになされている。本実施形態においては、内縁端63に配された立体ガード弾性部材64aの応力を、内縁端63から基端60迄の間に配された各立体ガード弾性部材64b,64c,64dの応力より大きい。
具体的には、内縁端63に配された立体ガード弾性部材64aの応力は、10〜1000gfとするのが好ましく、また、他の各立体ガード弾性部材64b,64c,64dの応力よりも、5〜500gf大きくするのが好ましい。
ここで、上記「応力」は、下記のようにして測定できる。
<弾性部材の応力の測定方法>
弾性部材を長さ150mmに切り出し、テンシロン引張り試験機〔(株)オリエンテック社製〕を用い、チャック間100mm、引張り速度300mm/minで引張試験を行い、100%伸張時の応力を測定した。
【0017】
防漏シート3の表面に、吸収体4の左右両側縁よりも使い捨ておむつの幅方向外方に両側部が延出されるようにサイドフラップ形成材5が配されている。
これにより、着用時に着用者の脚回りに当接する左右一対のサイドフラップ部7が形成されている。
また、吸収体4の形状には特に制限はなく、砂時計状や台形状などの種々の形状をとることができるが、本実施形態のように長方形状であることが好ましい。また、表面シート2及び防漏シート3は、それぞれ吸収体4よりも長く、おむつの長手方向端縁にまで位置するように配されている。また、防漏シート3は、吸収体4からの滲み漏れを防ぐように、吸収体4の周面を覆って、防漏シート3の側縁が基端60とほぼ同じ位置になるように巻き上げられて配置されており、表面シート2は、その幅が吸収体4の幅とほぼ同じである。
また、立体ガード6は立体ガード形成用の帯状のシート材61を、吸収体4の左右両側縁から外方に延出されるように配して、形成されている。シート材61は吸収体4の側部上方で表面シート2に固定されており、この固着された部位により、基端60が形成されている。シート材61は、その端縁でサイドフラップ形成材5に接着されている。
【0018】
次に、本実施形態の使い捨ておむつを構成する各部材の形成材料について説明する。
上記表面シート2、上記防漏シート3、上記吸収体4、上記ウエスト部弾性部材81及び上記ファスニングテープ11の形成材料としては、通常、使い捨ておむつに用いられるものを特に制限なく用いることができる。
【0019】
前記シート材61及び前記サイドフラップ形成材5は、通気性のシートであるのが好ましく、その透気度は500sec/100cc以下が好ましく、100sec/100cc以下であるのがより好ましく、20sec/100cc以下であるのが更に好ましい。透気度を500sec/100cc以下とすることにより、通気効果が良好で、着用時におむつ内部が蒸れることがなく、カブレ等の装着者の肌へ悪影響を及ぼすことが少なくなる。
また、前記シート材61及び前記サイドフラップ形成材の耐水圧(撥水度)は3.0g/cm2 以上が好ましく、5.0g/cm2 以上が更に好ましい。耐水圧を3.0g/cm2 以上とすることにより、排泄物の滲み出しが少なく、漏れ防止効果が高くなる。
また、前記シート材61及びサイドフラップ形成材5のCD方向の強度(破断強度)は、1000cN/50mm以上であるのが好ましく、1200cN/50mm以上であるのが更に好ましい。強度を1000cN/50mm以上とすることにより、装着時にシート材に力がかかる部位もしくはその周辺で材破し、おむつのフィット性を低下させることが少なくなる。
このような条件を満足するシート材61及びサイドフラップ形成材5の形成材料としては、スパンボンド、サーマルボンド、スパンボンド−メルトブローン不織布(SM)、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布(SMS)、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド不織布(SMMS)、ヒートロール、エアースルー、メルトブローン、スパンレース不織布等が挙げられる。
【0020】
また、前記シート材61及びサイドフラップ形成材5は伸縮性を有していてもよく、その場合の形成材料としては、液透過性又は液不透過性の弾性シート、弾性ネット、複合化された弾性パネル材等が挙げられるが、装着感の観点から、各種不織布(弾性及び非弾性のものを含む)、又は各種不織布(弾性及び非弾性のものを含む)を弾性を有する材(熱可塑性エラストマーフィルム及びネット)と複合化した弾性パネル材を用いるのが好ましい。
また、前記シート材61及びサイドフラップ形成材5に伸縮性の材を用いた場合、伸縮の方向については特に制限はないが、おむつの長手方向に対して垂直方向に伸縮性を有するもの、平行方向に伸縮性を有するもの、また、両方向に伸縮性を有するものが好ましい。
【0021】
なお、透気度及び耐水圧は、下記のようにして測定される。
〔透気度〕
JIS−P8117に準じて測定した。即ち、シートを70×70mmの大きさに裁断し、透気度測定器(王研式透気度測定器)を用いて100mlの空気が透過するのに要する時間を測定した。
〔耐水圧〕
JIS−L1092に準じて測定した。
破断強度;原反の流れ方向(MD)に巾25mm、流れ方向と直交する方向(CD)に長さ150mmの試験片を切り出した。この試験片について、テンシロン引張試験機〔(株)オリエンテック社製〕を用い、チャック間50mm、CD方向の引張速度300mm/minで引張試験を行い、破断時の強度を測定した。
【0022】
また、前記防漏シート3は、通常、使い捨ておむつに用いられるものを特に制限なく用いることができるが、伸縮性を有していても良い。そのような条件を満足する液不透過性フィルムシート及び不織布の形成材料としては、従来使用されている炭酸カルシウム等の無機物質を含有したポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)やポリエステル系等の高分子樹脂シートに熱処理、エンボス処理、開口処理又はスリット処理等の2次加工を施して得られるシート;ポリオレフィン系(ポリエチレン、メタロセン系ポリエチレンなど)、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリスチレン系、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)等の熱可塑性エラストマーシート、熱可塑性エラストマー及び弾性材を用いたスパンボンド、サーマルボンド、SM、SMS、SMMS、ヒートロール、エアースルー、メルトブローン、スパンレース不織布等が挙げられる。
また、これらの形成材料の中でも、透湿度が0.5g/〔100cm2 ・hr〕以上のものが好ましく、さらに、耐水圧が5.0g/cm2 以上のものが好ましく、50g/cm2 以上のものがより好ましい。なお、透湿度は、JIS−Z0208に準じて測定した。
【0023】
上記立体ガード弾性部材64a,64b,64c,64dは、従来公知の弾性部材を制限なく用いることができる。
【0024】
本実施形態の使い捨ておむつは、通常の展開型の使い捨ておむつと同様に使用することができる。
そして、本実施形態の使い捨ておむつにおいては、実際の使用状態において、例えば、着用者が寝ている場合等において立体ガードが着用者の耐圧で表面シートから離間できない部分を生じているような状態においても立体ガードの内部に排泄物を誘導することができるため、立体ガードの上を排泄物が乗り越えて漏れることがない。
特に、本実施形態のように、立体ガード弾性部材を所定間隔を開けて複数本配した場合には、立体ガードの平伏時においても立体ガードに形成されるポケット部により立体ガードと表面シートとが完全に密着することがなく両者の間に空隙が形成されるため、排泄物誘導部の機能をより向上させて排泄物の誘導をよりスムーズにし、特に股下の側部からの漏れ防止効果を更に向上させることができる。
【0025】
本実施形態の使い捨ておむつは、常法に準じて得られる長方形状のシート状の吸収体の所定箇所を熱エンボスロール等によるエンボス加工等により圧縮し所定箇所に所定個数の凹部を形成して、排泄物誘導部が形成された吸収体を得る。ついで、常法に従って、表面シート及び防漏シートで狭持した後、サイドフラップ形成材及び立体ガード弾性部材が配されたシート材を配する等して得られる。
【0026】
なお、以下の説明においては、上述した第1の実施形態と異なる点を特に説明する。特に説明しない点については、上述した第1の実施形態においてした説明が適宜適用される。
図5に示す第2の実施形態の使い捨ておむつ1は、排泄物誘導部41が、吸収体4の裏面側に設けられた凹部42により形成されている。具体的には、吸収体の上部は連続しており、下部に複数の凹部42が形成されている。
このような構造としても、上述の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、この実施形態では、吸収体上部が排泄物移行層として機能し、表面上にある排泄物(特に尿や軟便等の液状排泄物)を迅速に排泄物誘導部41に移行させ、表面シート上に排泄物の残存を防止し、表面部の液残りによる装着者の不快感をなくすることができる。
【0027】
次いで、第2発明の好ましい一実施形態について説明する。
なお、以下の説明においては、上述した第1発明の第1の実施形態と異なる点を特に説明する。特に説明しない点については、上述した第1発明の第1の実施形態においてした説明が適宜適用される。
図6に示す本実施形態の吸収性物品としての使い捨ておむつ1は、液透過性の表面シート2、液不透過性の防漏シート3、及び液保持性の吸収体4を備えた実質的に縦長の本体10を具備し、本体10の長手方向両端部側に立体ガード弾性部材64を有する一対の立体ガード6が設けられている。
【0028】
そして、本実施形態の使い捨ておむつ1においては、本体10には、その吸収体4の長手方向両端部側に、排泄物を吸収体4に誘導する排泄物誘導部41が設けられており、排泄物誘導部41は、その内方縁41aが、立体ガード6が表面シート2に接した状態における立体ガード6の内縁端63より使い捨ておむつの内方側に位置する。
この実施形態においても、排泄物誘導部41は、吸収体に形成された複数の凹部42により構成されており、凹部の幅や深さ、内方縁41aと内縁端63との距離等は、前述の第1発明の第1の実施形態と同じであるが、排泄物誘導部の長さLは、吸収体4の全幅長さX’の30〜150%とするのが好ましく、50〜120%とするのがより好ましい。この範囲内とすることにより、排泄物を確実に誘導して漏れを防止することができる。
【0029】
本実施形態の使い捨ておむつにおいても、前述の第1発明の第1の実施形態と同様の効果を奏するが、本実施形態においては、おむつの股下部の側部からの漏れを防止する効果よりも、ウエスト開口部からの漏れを防止する効果が奏され、このため、着用者が寝ている状態等においてウエスト開口部から漏れが生じることを効果的に防止することができる。
【0030】
なお、上述の実施形態においては、排泄物誘導部が、吸収体を圧縮して形成された複数の凹部からなるものを例示して説明したが、この他、排泄物誘導部は、本体自体に凹部を形成することにより、形成することができる。即ち、本体における吸収体の左右両側部側に設けられていれば、吸収体のみ等単独の部材により形成されていても、複数の部材により形成されていてもよい。
また、前記の本体自体に凹部を形成してなる排泄物誘導部は、1)超音波により表面シートと吸収体または防漏シートとを接合固定して形成されたもの、2)吸収体を分割したり、切れ目を入れたりしてなるもの等が挙げられる。
【0031】
また、上述した凹部は、直線状のものに制限されず、曲線状等種々形状とすることができる。
【0032】
また、上述の実施形態の説明においては、展開型の使い捨ておむつを例示して説明したが、本発明は、これに制限されず、パンツ型の使い捨ておむつや、更には失禁パットや生理用ナプキン等に適用できる。パンツ型の使い捨ておむつとする場合には、上述の「実質的に縦長」は、パンツ型の使い捨ておむつの接合部分を剥離して展開状態とした場合に縦長となることを意味する。
また、上述の実施形態においては、サイドフラップ部7にギャザーが形成されていないものを例示して説明したが、本発明はこれに制限されず、ギャザーを有する形態としても良い。
また、立体ガード6の基端60が吸収体4上にあるものを例示しているが、基端60は、サイドフラップ部7上に位置するようにしても良い。
また、立体ガード弾性部材64は、その一部が、サイドフラップ部7上に位置するように設けられていても良い。
ウエスト部側に立体ガードを設けて、排泄部に当接する部位の周囲を立体ガードで囲んで、更に漏れ防止性を向上させても良い。そして、この場合において、排泄物誘導部をかかるウエスト部側に設られた立体ガードに応じて設けても良い。
【0033】
また、立体ガードの中間部の一部が吸収体の側部上方もしくはサイドフラップ部に接合されていてもよい。
また、立体ガードの基端部から自由端部の間の一部に液不透過性フィルムをラミネートしても良い。この場合には、立体ガードからの排泄物の滲み出しをより効果的に防ぐことができ、漏れ防止効果が向上する。
また、吸収体を構成する材として撥水性の台紙、不織布及び液不透過性フィルムを用いて、吸収体の下部及び側部を覆う構成としても良い。この場合、装着者の体圧で一度吸収した排泄物が吸収体から滲み出すことを防ぐのに有効である。また、着用者の背側に位置する背側部に、吸収性物品の幅方向に沿って複数の背側弾性部材を配して形成された背側伸縮部が設けられていてもよい。この場合、おむつの背側におけるフィット性をより一層向上させることができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の吸収性物品は、着用者の着用状態によって立体ガードが起立しにくい状態でも、排泄物を立体ガードの下方に位置する吸収体内にスムーズに流入させることができ、立体ガードの乗越えを防ぎ、漏れを防止できる。
特に、第1発明においては、股下部の側部からの漏れを防止でき、第2発明においては、ウエスト開口部からの漏れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明(第1発明)の第1の実施形態としての使い捨ておむつを、その自然状態における表面シート側から視た斜視図(立体ガード弾性部材は、内縁端に配されたもの以外は省略して示す斜視図)である。
【図2】図2は、図1に示す使い捨ておむつを、その弾性部材の伸張状態における表面シート側から視た平面図(立体ガード弾性部材は、内縁端に配されたもの以外は省略して示す平面図)である。
【図3】図3は、図1のI−I断面図である。
【図4】図4は、図2のII−II断面の要部を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施形態としての使い捨ておむつの要部を示す一部断面図(図4相当図)である。
【図6】図6は、本発明(第2発明)の使い捨ておむつをその弾性部材の伸張状態における表面シート側から視た平面図(立体ガード弾性部材は、内縁端に配されたもの以外は省略して示す平面図、図2相当図)である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ
10 本体
11 ファスニングテープ
2 表面シート
3 防漏シート
4 吸収体
41 排泄物誘導部
42 凹部
5 サイドフラップ形成材
6 立体ガード
60 基端
61 シート材
63 内縁端
64 立体ガード弾性部材
65 ポケット部
7 サイドフラップ部
8 ウエスト開口部
81 ウエスト弾性部材
A 腹側部
B 背側部
Claims (4)
- 液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート、及び液保持性の吸収体を備えた実質的に縦長の本体を具備し、該本体の左右両側部に立体ガード弾性部材を有する一対の立体ガードが設けられている吸収性物品において、
前記本体には、前記吸収体の長手方向両側部に、排泄物を該吸収体に誘導する排泄物誘導部が設けられており、該吸収体の長手方向一側部に設けられた該排泄物誘導部と長手方向他側部に設けられた該排泄物誘導部とは連続しておらず、
前記排泄物誘導部は、その内方縁が、前記立体ガードが前記表面シートに接した状態における該立体ガードの内縁端より吸収性物品の内方側に位置し、且つ前記吸収体の表面側に設けられた複数の凹部により形成されている
吸収性物品。 - 液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート、及び液保持性の吸収体を備えた実質的に縦長の本体を具備し、該本体の左右両側部に立体ガード弾性部材を有する一対の立体ガードが設けられている吸収性物品において、
前記本体には、前記吸収体の長手方向両側部に、排泄物を該吸収体に誘導する排泄物誘導部が設けられており、該吸収体の長手方向一側部に設けられた該排泄物誘導部と長手方向他側部に設けられた該排泄物誘導部とは連続しておらず、
前記排泄物誘導部は、その内方縁が、前記立体ガードが前記表面シートに接した状態における該立体ガードの内縁端より吸収性物品の内方側に位置し、且つ前記吸収体の裏面側に設けられた複数の凹部により形成されている
吸収性物品。 - 液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート、及び液保持性の吸収体を備えた実質的に縦長の本体を具備し、該本体の長手方向両端部側に立体ガード弾性部材を有する一対の立体ガードが設けられている吸収性物品において、
前記本体には、前記吸収体の長手方向両端部に、排泄物を該吸収体に誘導する排泄物誘導部が設けられており、該吸収体の長手方向一端部に設けられた該排泄物誘導部と長手方向他端部に設けられた該排泄物誘導部とは連続しておらず、
前記排泄物誘導部は、その内方縁が、前記立体ガードが前記表面シートに接した状態における該立体ガードの内縁端より吸収性物品の内方側に位置し、且つ前記吸収体に設けられた複数の凹部により形成されている
吸収性物品。 - 前記凹部は、長方形のシート状の前記吸収体を圧縮して形成されている請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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