JP4019541B2 - チップコンデンサ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はチップコンデンサ装置に関するものであり、特に、コンデンサチップとこれと一体の端子とを上方よりベースに嵌め込んで、各端子を電気電子部品の基板の端子挿入孔に挿入して半田付けするように構成されたチップコンデンサ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
図5(A),(B)は、この種、従来のチップコンデンサ装置1を示している。図5(A)に示すように、該チップコンデンサ装置1のチップコンデンサ2は、矩形体状のコンデンサチップ2Aの各電極3,4(陽極3、陰極4)に、L字形の端子5,5,5,5を半田付けして成り、樹脂製のベース6にコンデンサチップ2Aを嵌め込んで一体化した後、各端子5,5,5,5の半田付けにより、電気電子部品の基板(図示せず)にホルダ6毎、固定される。このため前記チップコンデンサ2に接続される各端子5は予め、基端部5Aに対して先端側がほぼ90°に折曲したL字形に成形されており、その基端部5Aをほぼ水平とし基端部より先端側を鉛直下向きとした状態でそれぞれ端子3,4に半田付けされている。
【0003】
そして、前記ベース6にはコンデンサチップ2Aを上方から嵌め入れるための矩形体状のコンデンサ収容室7が窪ませられて形成され、更に、該コンデンサ収容室7を中心としてベース6の上面15の四隅部に上記各端子5の基端部5Aを上方から嵌め入れて支持する溝8と、端子の基端部より先端側を上下に貫通させて挿入するための貫通孔9とが形成されている。
【0004】
前記チップコンデンサ装置1を電気電子部品を半田付けするには、ディップ処理が好ましいが、半田付けの所要時間及び半田付けの温度によっては、端子5,5,5,5の基端部5Aと各電極3,4とを接合している半田が溶け、このときに前記各溝8,8,8,8…を伝わって溶けた半田がコンデンサ収容室7内に流出し、この際に、毛細管現象による半田の回り込みによって両電極3,4がショートする場合がある。
【0005】
そこで、両電極への半田の回り込みを防止してショートを防止するために解決せられる技術的課題が生じて来るのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、一端部に陽極を有し他端部に陰極を有する矩形体状のコンデンサチップの各電極にL字形に折曲された端子の基端部をほぼ水平に半田付けして各電極の基端部より先端側を鉛直方向にほぼ沿わせた後、該コンデンサチップと前記端子とを上方より樹脂製のベースに嵌め込んで、各端子を電気電子部品の基板の端子挿入孔に挿入して半田付けするように構成したチップコンデンサ装置において、
前記ベースの上面を窪ませて前記コンデンサチップを上方から嵌め入れて支持するコンデンサ収容室を区画形成すると共に、前記コンデンサ収容室を中心に前記ベースの外方部に前記端子の先端側を上下に貫通させて挿入する貫通孔を形成し、更に、前記ベースの上面に前記端子の基端部を上方より嵌め入れて支持する溝を凹設すると共に、前記コンデンサ収容室内周壁と前記コンデンサチップとの対応面に、毛細管現象を遮断して当該コンデンサチップの両電極間の半田の回り込みを規制する凹部又は凸部を上下方向に沿わせて形成したチップコンデンサ装置を提供し、
更に、前記コンデンサ収容室の内底面に前記コンデンサチップの下面との間の毛細管現象を遮断すべく凹部又は凸部が設けられたチップコンデンサ装置を提供し、
また、一端部に陽極を有し他端部に陰極を有する矩形体状のコンデンサチップの各電極にL字形に折曲された端子の基端部をほぼ水平に半田付けして各電極の基端部より先端側を鉛直方向にほぼ沿わせた後、該コンデンサチップと前記端子とを上方より樹脂製のベースに嵌め込んで、各端子を電気電子部品の基板の端子挿入孔に挿入して半田付けするように構成したチップコンデンサ装置において、前記ベースの上面を窪ませて前記コンデンサチップを上方から嵌め入れて支持するコンデンサ収容室を区画形成すると共に、前記コンデンサ収容室を中心に前記ベースの外方部に前記端子の先端側を上下に貫通させて挿入する貫通孔を形成し、更に、前記ベースの上面に前記端子の基端部を上方より嵌め入れて支持する溝を凹設すると共に、前記コンデンサ収容室の前記コンデンサチップとの対応面に毛細管現象を遮断して前記コンデンサチップの両電極間の半田の回り込みを規制する凹部又は凸部を設けたチップコンデンサ装置を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図4を参照して詳述する。なお、従来技術と同一の構成については同一符合を付すものとする。
(第一の実施の形態)
図1(A)はベース6にチップコンデンサ2を一体的に装着したチップコンデンサ装置11を示している。同図に示すように、ベース2の上面には、上部が開放された窪みによって、矩形体状のコンデンサチップ2Aを上方から嵌合するためのコンデンサ収容室7が形成され、ベース6の上面15の四隅部に、コンデンサチップ2Aの両端部の電極3,4にそれぞれ半田付けされている端子5,5,5,5を夫々上方から嵌め入れて取着するための貫通孔9が形成され、前記ベース6の上面の四隅に対角線方向に沿わせて溝8が形成され、各溝8に夫々L字形に折り曲げられた端子5,5,5,5の基端部5Aが上方より嵌合される。
【0008】
そして、毛細管現象による半田の回り込みを規制して前記コンデンサチップ2Aのショートを防止するために、前記コンデンサ収容室7の両極方向に沿って延びた一対の内側壁12,12に、直線状に延びる凹部13,13が形成される。該凹部13,13は前記コンデンサ収容室7の内底面14より上方に延びてベース6の上面15に開口している。このため、コンデンサ収容室7にコンデンサチップ2Aを嵌め込むと共に、各端子5,5,5,5を対応する溝8と貫通孔9に挿入した状態では、凹部13,13の両側に依然として毛細管現象が発生する隙間が存在するものの、凹部13,13によって毛細管現象が遮断されるため溶けた半田が凹部13,13内に流入することはない。
【0009】
従って、ディップ処理時の半田の回り込みによるショートが防止される。もちろん、コンデンサ収容室7の深さ方向と直交する断面を、図1(B)に示すようにW形状に形成し、溶けた半田の慣性に備えても良く、また、前記凹部13を各内周壁12に対して両極方向に間隔を隔てて2対以上設けることにより、より信頼性を向上しても良い。また、図1(A)に示す如くコンデンサ収容室7の内底面に凹部13,13同士を連通する凹部16を形成し、該凹部16により、前記コンデンサ収容室7の内底面14とコンデンサチップ2Aの内底面14との間の毛細管現象による半田の回り込みを遮断しても良い。
(第二の実施の形態)
図2は他の実施の形態に係るチップコンデンサ装置11Aを示している。
【0010】
この例では、まず、コンデンサチップ2Aの下面17と前記コンデンサ収容室7の内底面14との間の毛細管現象を遮断するために、コンデンサ収容室7の内底面ほぼ中央部に凸部18を形成し、前記コンデンサ収容室7に嵌め込まれるチップコンデンサ2の下面17とコンデンサ収容室7の内底面14との間に毛細管現象を遮断する空間部19,19を形成している。このため空間部19,19に溶けた半田が流入することはなく、ディップ処理時の半田の回り込みによるショートが防止される。もちろん、前記凸部18を両極方向と直交する方向に沿って前後に延出させてコンデンサ収容室7の内周壁12,12に接続すると、例え、流体慣性によって空間部19,19内に溶けた半田が侵入した場合でも、凸部18が障壁となり、ショートは確実に防止される。
【0011】
もちろん、図3に示すように、コンデンサ収容室7の各内周壁12毎に、前記コンデンサチップ2Aの外面として接触するように前記凸部18を少なくとも1以上形成して、各凸部18の左右にそれぞれ毛細管現象を遮断する空間部を形成してあらゆる方向の半田の回り込みを防止しても良い。
【0012】
このように、第1実施の形態では凹部13により毛細管現象による半田の回り込みを遮断し、第2実施形態では凸部18により毛細管現象による半田の回り込みを遮断するように構成したが、凹部13、凸部18の組み合わせにより、半田の回り込みによるショートを防止しても良い。なお、20はガス抜き孔である。(実施例)
図4は本発明に係るチップコンデンサ装置の好適一実施例を示している。
【0013】
この例では、ベース6の上面15に、上部が開放された矩形体状の前記コンデンサ収容室7を区画形成すると共に、ベース6の上面15の四隅部に、夫々チップコンデンサ2に半田付けされている端子5,5,5,5を夫々上方から挿通するための貫通孔9を設け、更に、ベース6の上面の四隅部に、各貫通孔9の上端部と前記コンデンサ収容室7の上部とを対角線上に連通させて前記溝8を形成しており、毛細管現象による半田の回り込みを規制するために、コンデンサ収容室7の両極方向と直交方向に対峙する一対の内側壁12,12のほぼ中央に夫々凹部13を形成し、更に、前記コンデンサ収容室7の内底面14のほぼ中央部に毛細管現象を遮断すべく前記凸部18を形成している。
【0014】
そして、上記ベース6にチップコンデンサ2を取付けた状態で、各端子5,5,5,5を電気電子部品の基板(図示せず)の対応する端子挿入孔に挿入してディップ処理に半田付けしている。
【0015】
ディップ処理時の半田の温度は、通常よりも高めに設定し、処理時間は通常よりも長めとして、各端子5,5,5,5とチップコンデンサ2の両電極3,4とを接合しているはんだを溶融させ、所定時間経過後、通電によるショート試験を実施した。ディップ処理後、凹部13,13内に対する半田の侵入は認めず、また、その後の通電試験による試験でもショートは発生しなかった。試験後、ベース6より、チップコンデンサ2を取り外したが、前記空間部19,19内への半田の侵入は認められない。よって、凹部13,13及び凸部18により、毛細管現象は有効に遮断されていることが確認された。
【0016】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0017】
【発明の効果】
請求項1乃至請求項3記載の発明は、上記一実施の形態に詳述したように、コンデンサ収容室のコンデンサチップとの対応面に毛細管現象を遮断して前記コンデンサチップの両電極間の半田の回り込みを規制する凹部又は凸部を設けたので、ディップ処理等の熱により、コンデンサチップと端子との半田が再溶融された場合でも、この溶融した半田の回り込みを防止することが可能となり、コンデサチップのショートを防止することができる等、正に、著大なる効果を奏する発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るチップコンデンサ装置の構造を示す解説斜視図である。
【図2】本発明の第2実施の形態に係るチップコンデンサ装置の構造を示す解説斜視図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る他のチップコンデンサ装置の構造を示す解説斜視図である。
【図4】本発明に係るチップコンデンサ装置の好適一実施例を示す解説斜視図である。
【図5】従来のチップコンデンサ装置の構造を示す解説斜視図である。
【符号の説明】
2A コンデンサチップ
5 チップコンデンサの端子
5A 基端部
6 ベース
7 コンデンサ収容室
8 溝
9 貫通孔
15 ベースの上面
12 内周壁
13 凹部
18 凸部
Claims (3)
- 一端部に陽極を有し他端部に陰極を有する矩形体状のコンデンサチップの各電極にL字形に折曲された端子の基端部をほぼ水平に半田付けして各電極の基端部より先端側を鉛直方向にほぼ沿わせた後、該コンデンサチップと前記端子とを上方より樹脂製のベースに嵌め込んで、各端子を電気電子部品の基板の端子挿入孔に挿入して半田付けするように構成したチップコンデンサ装置において、
前記ベースの上面を窪ませて前記コンデンサチップを上方から嵌め入れて支持するコンデンサ収容室を区画形成すると共に、前記コンデンサ収容室を中心に前記ベースの外方部に前記端子の先端側を上下に貫通させて挿入する貫通孔を形成し、更に、前記ベースの上面に前記端子の基端部を上方より嵌め入れて支持する溝を凹設すると共に、前記コンデンサ収容室内周壁と前記コンデンサチップとの対応面に、毛細管現象を遮断して当該コンデンサチップの両電極間の半田の回り込みを規制する凹部又は凸部を上下方向に沿わせて形成したことを特徴とするチップコンデンサ装置。 - 前記コンデンサ収容室の内底面に前記コンデンサチップの下面との間の毛細管現象を遮断すべく凹部又は凸部が設けられた請求項1記載のチップコンデンサ装置。
- 一端部に陽極を有し他端部に陰極を有する矩形体状のコンデンサチップの各電極にL字形に折曲された端子の基端部をほぼ水平に半田付けして各電極の基端部より先端側を鉛直方向にほぼ沿わせた後、該コンデンサチップと前記端子とを上方より樹脂製のベースに嵌め込んで、各端子を電気電子部品の基板の端子挿入孔に挿入して半田付けするように構成したチップコンデンサ装置において、
前記ベースの上面を窪ませて前記コンデンサチップを上方から嵌め入れて支持するコンデンサ収容室を区画形成すると共に、前記コンデンサ収容室を中心に前記ベースの外方部に前記端子の先端側を上下に貫通させて挿入する貫通孔を形成し、更に、前記ベースの上面に前記端子の基端部を上方より嵌め入れて支持する溝を凹設すると共に、前記コンデンサ収容室の前記コンデンサチップとの対応面に毛細管現象を遮断して前記コンデンサチップの両電極間の半田の回り込みを規制する凹部又は凸部を設けたことを特徴とするチップコンデンサ装置。
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