JP4018858B2 - パーフルオロ化合物分離回収方法およびそれに用いるパーフルオロ化合物分離回収装置 - Google Patents

パーフルオロ化合物分離回収方法およびそれに用いるパーフルオロ化合物分離回収装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パーフルオロ化合物が希釈された希釈混合ガスから、膜を利用して、パーフルオロ化合物を分離および回収するパーフルオロ化合物分離回収方法およびそれに用いるパーフルオロ化合物分離回収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体の製造工程では、エッチングやチャンバーの洗浄等にCF4 ,C2 6 ,C3 8 ,C4 8 ,C4 10,CHF3 ,SF6 ,NF3 等のパーフルオロ化合物(以下、単に「PFC」という)ガスが、大量のN2 ガス等により希釈されて使用されている。また、電気機械の分野では、絶縁ガスとしてSF6 が同様に使用されている。
【0003】
しかしながら、使用後の排気ガス(希釈混合ガス)には、未反応(未分解)のPFCガスが含まれており、それが大気中に放出されると、地球のオゾン層を破壊する等の環境問題が起こる。
【0004】
そこで、従来から、排気ガス中のPFCガスを回収することが行なわれている。この回収は、図8に示すPFC分離回収装置により行なわれる。このPFC分離回収装置は、排気ガスが処理される順番に、前処理ユニット1,ブロワー2,第1タンク3,圧縮機4,第2タンク5,熱交換器6,PFC分離ユニット51,およびPFC回収ユニット28が、直列に接続されている。
【0005】
より詳しく説明すると、上記PFC分離ユニット51では、第1膜7,第2膜8,および第3膜9が直列に配列されている。そして、各膜7,8,9は,PFCガスよりもN2 ガス等の希釈ガスをより多く透過させる性質を有しており、各膜7,8,9の材料としては、ポリスルホン、ポリエールイミド、ポリプロピレン、酢酸セルロース、ポリメチルペンタン、2,2−ビストリフルオロメチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキシソールを基にした無定形コポリマー、ポリビニルトリメチルシラン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド、またはエチルセルロースポリマー等があげられる。また、各膜7,8,9は、上記材料を用いて、中空繊維,渦巻き,巻き付け,または平坦シートの形状に形成されている。
【0006】
そして、各膜7,8,9は、それぞれ膜の前および後の空間が透過側と非透過側とになっており、第1膜7の透過側は、ニードル弁52を介して大気と連通していて透過ガスを大気中に放出するようになっており、第1膜7の非透過側は、第2膜8に接続されている。また、第2膜8の透過側は、第1タンク3に戻るように接続されており、第2膜8の非透過側は、第3膜9に接続されている。さらに、第3膜9の透過側は、第1タンク3に戻るように接続されており、第3膜9の非透過側は、第1コントロール弁10を介してPFC回収ユニット28に接続されている。
【0007】
さらに、上記第1コントロール弁10とPFC回収ユニット28との間から第3非透過ガス流の一部を取り込んでPFCガスの濃度を測定する濃度分析計53が設けられている。また、この濃度分析計53の出力値に対応して上記第1コントロール弁10の開度を制御できるように制御装置53aが設けられている。すなわち、上記第3非透過ガス流の一部を濃度分析計53に取り込み、そのPFCガスの濃度が所定値よりも低いと判断された場合には、上記制御装置53aで第1コントロール弁10の開度を小さくすることにより、第3透過ガス流を多くする。その結果、非透過側へ流れつつあった希釈ガスが透過側へ流れ、回収濃度(回収されたPFCガスの濃度)が向上する。このように、第3非透過ガス流の流量を制御することにより、高濃度のPFCガスを回収することができるようにしている。そして、濃度分析計53に取り込んだ第3非透過ガス流の一部は、濃度測定ののち第1タンク3に戻るように接続されている。
【0008】
なお、上記PFC回収ユニット28は、第3タンク11,昇圧ポンプ12,および回収容器13が直列に配列されている。
【0009】
そして、PFCガスの分離回収は、上記PFC分離回収装置を用い,つぎのようにして行なわれる。すなわち、まず、排気ガスを前処理ユニット1に通し、圧縮機4や各膜7,8,9に悪影響を及ぼす酸系分やパーティクル分等を湿式または乾式スクラバーおよびフィルター等により取り除く。つづいて、その処理したガス流をブロワー2により第1タンク3に収容する。ついで、第1タンク3からのガス流を圧縮機4により高圧にして第2タンク5に収容する。つぎに、その第2タンク5に収容した排気ガスを熱交換器6により高温にしたのち第1膜7に接触させることにより、希釈ガスに富む第1透過ガス流とPFCガスに富む第1非透過ガス流とに分離する。ついで、その第1透過ガス流をニードル弁52の開閉により大気中に放出するとともに、上記第1非透過ガス流を、第2膜8に接触させることにより、さらに希釈ガスに富む第2透過ガス流とさらにPFCガスに富む第2非透過ガス流とに分離する。つづいて、その第2透過ガス流を第1タンク3に戻すとともに、上記第2非透過ガス流を、第3膜9に接触させることにより、希釈ガスが高濃度な第3透過ガス流と、PFCガスが高濃度な第3非透過ガス流とに分離する。つぎに、その第3透過ガス流を第1タンク3に戻すとともに、上記第3非透過ガス流を第1コントロール弁10に通して第3タンク11に収容する。つづいて、第3タンク11からのガス流を昇圧ポンプ12により回収容器13に収容する。このようにして、PFCガスを分離して回収することができる。
【0010】
ところで、上記PFC分離回収方法では、それ自体の安定稼働のため、ブロワー2の上流側ならびに圧縮機4の上流側(第1タンク3)および下流側(第2タンク5)の圧力(内圧)を一定に制御している。
【0011】
すなわち、排気ガスをPFC分離回収装置に流入させる前の部分(前処理ユニット1の上流側)に、その部分を流れる排気ガスの圧力を示す第1圧力センサー14を設けている。また、上記ブロワー2に、それ自体の作動状態を制御するインバーター2aを設けるとともに、このインバーター2aに、第1圧力センサー14の出力値に対応してそれ自体に信号を送る制御装置14aを設けている。そして、上記インバーター2aは、第1圧力センサー14の出力値が所定の一定値を目指すように、ブロワー2を作動させるようになっている。このようにすることにより、ブロワー2の上流側の圧力を一定に制御している。また、上記第1圧力センサー14が示す値は、排気ガスを吸引する強さを示すものであり、この値を一定に制御することにより、排気ガスの流れを詰まらせることなく安定させスムーズにすることができる。
【0012】
また、第1タンク3は、上述したように、ブロワー2,第2膜8の透過側,第3膜9の透過側,および濃度分析計53からガス流が流入して圧縮機4に流出するようになっているが、これらに加えて、外気を取り込む第1ライン15および第2タンク5から戻る第2ライン16を設けるとともに、第1タンク3の内圧を示す第2圧力センサー17を設けている。さらに、上記第1ライン15には、第2コントロール弁18を設けており、この第2コントロール弁18には、上記第2圧力センサー17の出力値に対応してそれ自体の開度を制御できる制御装置17aを設けている。また、第2タンク5には、それ自体の内圧を示す第3圧力センサー19を設けている。さらに、上記第2ライン16には、第3コントロール弁20を設けており、この第3コントロール弁20には、上記第3圧力センサー19の出力値に対応してそれ自体の開度を制御できる制御装置19aを設けている。そして、上記第1ライン15の第2コントロール弁18を制御することにより、第1タンク3の内圧を一定に制御し、第2ライン16の第3コントロール弁20を制御することにより、第2タンク5の内圧を一定に制御している。すなわち、ブロワー2から第1タンク3に流入するガス量が減少した場合には、上記第2コントロール弁18を徐々に開けて足りない分のガス量を外気で補うことにより、第1タンク3の内圧を一定に制御している。この制御は、第1タンク3の内圧(第2圧力センサー17の設定圧力)を負圧に制御することにより実現する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、第1コントロール弁10の制御に高価な濃度分析計53が必要となる。しかも、回収率(排気ガス量に対する回収されたPFCガス量の割合)が所定値以上になるように、回収濃度を極限まで上げる微妙な濃度調整を行なう必要があるため、非常に高精度で高価な濃度分析計53が必要となる。しかも、上記濃度分析計53による濃度検出には時間を要することから、その出力は、必然的に断続的となり、排気ガスの状態(排気ガスの排気タイミング,排気ガスの排風量,排気ガス中のPFCガスの濃度,排気ガス中のPFCガスの種類等)の時々刻々の変動に対応することが困難である。したがって、所定の回収濃度を目指す制御を行なったとしても、回収濃度を安定にすることが実質的に不可能となっている(図4の点線参照)。
【0014】
また、上記従来技術では、第1タンク3の内圧を一定にする制御を、外気を取り込むことにより行なっているため、つぎのような欠点▲1▼〜▲4▼がある。▲1▼外気を取り込むと排気ガスが希釈されることから、PFCの回収効率が悪くなる。▲2▼外気を取り込むことにより第1タンク3の負圧の程度が小さくなる(大気圧に近づく)と、第1タンク3の内圧の制御範囲が小さくなり、排気ガスの流量変動等に対応することが困難となる。その結果、第1タンク3の内圧を一定にする制御が困難となる。▲3▼ブロワー2の上流側の圧力(第1圧力センサー14の出力値)は、第1タンク3の内圧(第2圧力センサー17の出力値)が一定である場合に限って、インバーター2aを利用するブロワー2の制御により、正確な目標値に制御することができる。しかしながら、上記のように、排気ガスの状態の変動により、第1タンク3の内圧を一定にすることが困難であるため、ブロワー2の上流側の圧力(第1圧力センサー14の出力値)を正確な目標値に制御することが困難となる。▲4▼第1タンク3の内圧の制御範囲を大きくするためには、外気を取り込んでも第1タンク3の負圧の程度が小さくならないように、その負圧の程度を予め大きくする必要がある。このように第1タンク3の負圧の程度が大きいと、第1タンク3からのガス流を高圧にする圧縮機4の負荷が大きくなる。したがって、圧縮機4のランニングコストが増加する。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、排気ガスの状態の変動に敏感に対応して回収濃度を安定させることができるとともに、分離回収装置のコストを低減することができるパーフルオロ化合物分離回収方法およびそれに用いるパーフルオロ化合物分離回収装置の提供をその目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、パーフルオロ化合物ガスと希釈ガスとからなる希釈混合ガスを高圧にしたのち、パーフルオロ化合物ガスよりも希釈ガスの透過率の高い膜に接触させることによりパーフルオロ化合物ガスを分離して回収するパーフルオロ化合物分離回収方法であって、高圧にしたのちの希釈混合ガスを上記膜に接触させることにより希釈ガスに富む透過ガス流とパーフルオロ化合物ガスに富む非透過ガス流とに分離する工程と、上記非透過ガス流を上記膜と同様の機能をもつ他の膜に接触させることにより他の透過ガス流と他の非透過ガス流とに再度分離する工程と、上記他の透過ガス流の圧力または流量を検出する工程と、その圧力または流量を一定にするように上記他の非透過ガス流の流量を制御する工程と、上記他の非透過ガス流を回収する工程とを備えているパーフルオロ化合物分離回収方法を第1の要旨とし、パーフルオロ化合物ガスと希釈ガスとからなる希釈混合ガスを高圧にする手段と、高圧にしたのちの希釈混合ガスを希釈ガスに富む透過ガス流とパーフルオロ化合物ガスに富む非透過ガス流とに分離する膜を備えたパーフルオロ化合物分離回収装置であって、上記非透過ガス流を他の透過ガス流と他の非透過ガス流とに分離する他の膜と、上記他の透過ガス流の圧力または流量を検出する手段と、上記他の非透過ガス流の流量を制御する手段と、上記他の非透過ガス流を回収する手段とを備えているパーフルオロ化合物分離回収装置を第2要旨とする。
【0017】
本発明者らは、パーフルオロ化合物分離回収方法およびそれに用いるパーフルオロ化合物分離回収装置について鋭意研究を重ねた。その結果、前記他の透過ガス(最初の膜で分離されたPFCガスに富む非透過ガス流を再度他の膜で分離して得られた希釈ガスに富むガス)の圧力または流量を一定にすると、処理対象となる希釈混合ガス中のPFCガス濃度にばらつきがあっても、処理後得られるPFCガス濃度のばらつきが殆どないことを見いだし本発明に到達した。
【0018】
すなわち、本発明のパーフルオロ化合物分離回収方法では、上記他の透過ガス流の圧力または流量を検出する工程と、その圧力または流量を一定にするように上記他の非透過ガス流の流量を制御する工程とを備えているため、希釈混合ガス中のPFCガス濃度の変動があっても処理後得られるPFCガス濃度を略一定に保つことができる。
【0019】
また、本発明のパーフルオロ化合物分離回収方法において、上記透過ガス流の適宜な量を上記高圧になる前の希釈混合ガスに戻すことによりその高圧になる前の希釈混合ガスの圧力を所定の一定値に制御する工程を設け、この工程における上記制御を外気を取り込まずに行なう場合には、希釈混合ガスが外気で希釈されないため、PFCの回収効率がよくなる。また、上記のように、高圧にされる前の希釈混合ガスの圧力を一定に制御する際に、外気を取り込まないため、高圧にされる前の希釈混合ガスの圧力の制御範囲が小さくなることがない。したがって、希釈混合ガスの状態が変動していても、簡単にその変動に対応することができる。しかも、上記のように、外気を取り込まないことから、希釈混合ガスを高圧にする際の負荷を小さくすることができる。
【0020】
また、本発明のパーフルオロ化合物分離回収装置では、上記他の透過ガス流の圧力または流量を検出する手段を備えているため、高価な濃度分析計が不要となり、コストを低減することができる。さらに、圧力または流量は、連続的に検出できるため、排気ガスの状態の時々刻々の変動に対応することでき、処理後得られるPFCガス濃度を略一定に保つことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0022】
図1は、本発明のパーフルオロ化合物分離回収方法およびそれに用いるパーフルオロ化合物分離回収装置の一実施の形態を示している。この実施の形態では、図8に示す従来技術と異なる部分について主に説明し、同様の部分には同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0023】
すなわち、このパーフルオロ化合物(PFC)分離回収装置は、図8に示す従来技術における第1膜7の透過側のニードル弁52に代えて第4コントロール弁21を設けるとともに、その第4コントロール弁21の上流側から分岐させて第1タンク3に戻る第3ライン22を設けている。そして、この第3ライン22に、ニードル弁23を設け、上記第4コントロール弁21に、第2圧力センサー17の出力値に対応してそれ自体の開度を制御できる制御装置17bを設けている。さらに、この実施の形態のPFC分離回収装置は、図8に示す従来技術における濃度分析計53に代えて第4圧力センサー24を第3膜9の透過側に設けている。そして、第4圧力センサー24の出力値が常に安定して所定の一定値を示すように第1コントロール弁10の開度をフィードバック制御する制御装置24aを設けている。また、第3膜9の非透過側には、第1コントロール弁10との間に、順番に第1減圧弁25および第2オートプレッシャーコントロール式減圧弁26が直列に配列されている。それ以外の部分は、図8に示す従来のPFC分離回収装置と同様である。
【0024】
そして、図1に示すPFC分離回収装置では、第3透過ガス流の圧力(第4圧力センサー24の出力値)と回収率および回収濃度との関係は図2に示すようになる。図2では、PFCガスとしてC2 6 およびCF4 がそれぞれ異なる濃度で含有された排気ガスを用いている。ここで、図2において、回収率および回収濃度がともに95%以上を目標にする場合について説明する。
【0025】
排気ガス中のPFCガスの濃度が高濃度の場合には、回収率(Aカーブ)は、第3透過ガス流の圧力がどの値であれ95%以上であり、回収濃度(aカーブ)は、第3透過ガス流の圧力が1.41kPa以下の範囲で95%以上である。
【0026】
排気ガス中のPFCガスの濃度が中濃度の場合には、回収率(Bカーブ)は、第3透過ガス流の圧力が0.95kPa以上の範囲で95%以上であり、回収濃度(bカーブ)は、第3透過ガス流の圧力が1.43kPa以下の範囲で95%以上である。
【0027】
排気ガス中のPFCガスの濃度が低濃度の場合には、回収率(Cカーブ)は、第3透過ガス流の圧力が1.39kPa以上の範囲で95%以上であり、回収濃度(cカーブ)は、第3透過ガス流の圧力が1.49kPa以下の範囲で95%以上である。
【0028】
したがって、上記回収率および回収濃度がともに95%以上となるのは、第3透過ガス流の圧力が1.39〜1.41kPaの範囲である。このことから、第3透過ガス流の圧力が常に約1.40kPaを維持するようにコントロールバルブを制御すると、回収率および回収濃度をともに95%以上とすることができる。
【0029】
また、上記実施の形態では、高回収率または高回収濃度のいずれを優先させるかを判断して制御することができる。すなわち、図2において、A,a,B,b,C,cカーブがそれぞれ個別に回収率および回収濃度をともに95%以上とするには、第3透過ガス流の圧力の範囲は、0.95〜1.49kPaとなる。そこで、この範囲内の1.40kPaを常に維持するように(図中の1点鎖線参照)コントロールバルブを制御すると、排気ガス中のPFCガス濃度が高濃度の場合(A,aカーブ)には、回収濃度は低い(点P1 )が、回収率は高く(点P2 )なる。また、排気ガス中のPFCガス濃度が低濃度の場合(C,cカーブ)には、回収率は低い(点P3 )が、回収濃度は高く(点P4 )なる。
【0030】
さらに、排気ガス中のPFCガスの構成が変化した場合(図3参照)でも、図2と同様の関係を示し、第3透過ガス流の圧力が常に上記1.40kPaを維持するように(図中の1点鎖線参照)コントロールバルブを制御すると、排気ガス中のPFCガス濃度が高濃度の場合(A’,a’カーブ)には、回収濃度は低い(点P5 )が、回収率は高く(点P6 )なる。また、排気ガス中のPFCガス濃度が低濃度の場合(C’,c’カーブ)には、回収率は低い(点P7 )が、回収濃度は高く(点P8 )なる。そして、その構成独自の結果範囲(回収率が95.3〜97.8%、回収濃度が91.3〜97.8%)を示す。
【0031】
一般に、膜を利用したPFC分離回収方法では、回収率を高めようと制御すると、回収濃度が下がり、逆に、回収濃度を高めようと制御すると、回収率が下がる。また、上記従来技術では、PFCガスの回収濃度を制御しているものの、回収率を制御しておらず、PFC分離回収装置に流入する排気ガスの上記状態を具体的に判断できるようにもなっていない。このため、回収濃度を高める制御のみを行なっていると、たとえ回収率が下がる状態に排気ガスが変化したとしても、そのように判断することができず、そのまま上記制御が続けられるという問題があった。また、PFCガスには、回収率と回収濃度とがともに高い値を期待できる種類とそれらが全般的に低い種類とがあるため、上記従来技術のように所定の回収濃度を目指す制御を行なっていても、排気ガス中のPFCガスの構成(種類)が、ある時点で、高い回収率を得られる構成から低い回収率しか得られない構成に変化すれば、回収率を満足させることができない。
【0032】
しかしながら、上記実施の形態のように、第3透過ガス流の圧力(第4圧力センサー24の出力値)を一定にすると、排気ガスの状態が変動しても、高回収率または高回収濃度のいずれを優先させるかを判断して、優先させていない方も最低基準以上になるようにすることができる。
【0033】
ところで、上記実施の形態においても、ブロワー2の上流側ならびに圧縮機4の上流側(第1タンク3)および下流側(第2タンク5)の圧力を一定に制御しているが、図8に示す従来技術とは、圧縮機4の上流側(第1タンク3)の圧力(内圧)の制御が異なる。すなわち、第1タンク3は、上述したように、ブロワー2,第1ライン15(外気),第2ライン16(第2タンク5),第3ライン22(第1膜7の透過側から分岐したライン),第2膜8の透過側,および第3膜9の透過側(第4圧力センサー24)からガス流が流入して圧縮機4に流出するようになっている。そして、上記第1膜7の透過側の第4コントロール弁21を制御するとともに第3ライン22のニードル弁23の開度を調整することにより、第1タンク3の内圧を一定に制御している。すなわち、ブロワー2から第1タンク3に流入するガス量が減少した場合には、第1ライン15から外気を取り込まずに、上記第4コントロール弁21の開度を制御するとともに第3ライン22のニードル弁23の開度を調整して、第1透過ガス流の一部を第3ライン22から取り込むことにより、足りない分のガス量を補い、第1タンク3の圧力を一定に制御している。しかしながら、上記のようにしても足りない分のガス量を補うことができないような場合には、第1ライン15の第2コントロール弁18を用い、外気を取り入れる。すなわち、第2コントロール弁18の用途は、図8に示す従来技術と異なり、通常運転時は用いず、緊急用として用いる。
【0034】
ここで、上記第3ライン22のニードル弁23の機能について説明すると、このニードル弁23は、第3ライン22のガス流に抵抗を発生させて第4コントロール弁21が制御できる流量を調整する役割をする。すなわち、例えば、第1タンク3の内圧を大気圧に制御するとともに、ニードル弁23の開度を100%にした場合において、第4コントロール弁21の下流部(放出先)が負圧の状態では、第4コントロール弁21の開度を100%とすると、第1透過ガス流の略全量を放出することができる。しかしながら、第4コントロール弁21の下流部(放出先)が正圧や大気圧の状態では、第4コントロール弁21の開度を100%にしても、第1透過ガス流の全量を放出することができず、第1タンク3(第3ライン22)へ自然に流れる。そこで、この状態(第4コントロール弁21の下流部が正圧や大気圧であり、第4コントロール弁21の開度が100%である状態)で、ニードル弁23の開度を0%にすると、第1タンク3の内圧にかかわらず、ニードル弁23は、第1透過ガス流の略全量を放出するように作用する。すなわち、ニードル弁23の開度を絞って第3ライン22のガス流への抵抗を大きくするほど、第4コントロール弁21が制御することができる流量の範囲が広くなる。このように、ニードル弁23の開度を調整することにより、第4コントロール弁21の下流部の圧力状態に応じて、第4コントロール弁21の流量制御範囲を変化させる。そして、第4コントロール弁21の開度を制御することにより、放出したり第1タンク3に戻したりする第1透過ガス流の流量を上記流量制御範囲内で制御している。
【0035】
また、PFC分離ユニット27では、第3膜9で分離された第3透過ガス流を第4圧力センサー24に通して第1タンク3に戻すとともに、第3非透過ガス流を第1減圧弁25,第2オートプレッシャーコントロール式減圧弁26,および第1コントロール弁10の順番に通して第3タンク11に収容する。
【0036】
ここで、上記第1減圧弁25,第2オートプレッシャーコントロール式減圧弁26,第1コントロール弁10,および第3タンク11の機能について説明する。
【0037】
上記第1減圧弁25は、第1コントロール弁10の流量制御性能を向上させるため、第1コントロール弁10にかかる圧力を低い値にすることを目的としている。
【0038】
上記第2オートプレッシャーコントロール式減圧弁26は、下流に接続されている第1コントロール弁10がいかなる開度状態であろうとも、その第1コントロール弁10の入口圧力を常に一定値に調圧して、第1コントロール弁10の流量制御性能を瞬時に最大限に発揮させることを目的としている。この第2オートプレッシャーコントロール式減圧弁26は、下流側の圧力を常に監視し、設定した圧力と現在の圧力との差を認識し、上記設定した圧力へ復旧するようそれ自体のスプリングの押し具合を調整して一定の設定圧力を維持できる機能がある。上記第1減圧弁25とともに直列に接続している目的は、第2オートプレッシャーコントロール式減圧弁26自体の調圧性能を限りなく発揮できるように、それ自体の上流側と下流側との差圧を小さくするためである。
【0039】
上記第1コントロール弁10は、第3透過ガス流の量と第3非透過ガス流の量の割合を調整する役割をし、この調整が回収率と回収濃度とを決定する。すなわち、第1コントロール弁10が閉まる方向に動作すると、非透過側への抵抗が大きくなり、回収されつつあったPFCガスが透過側へ流れる。その結果、回収率が低下する。しかしながら、非透過側へ流れつつあった希釈ガスも透過側へ流れるため、回収濃度は向上する。逆に、第1コントロール弁10が開く方向に動作すると、非透過側への抵抗が小さくなり、透過側へ流れつつあったPFCガスが非透過側へ流れる。その結果、回収率が向上する。しかしながら、透過側へ流れつつあった希釈ガスも非透過側へ流れるため、回収濃度は低下する。
【0040】
上記第3タンク11は、第1コントロール弁10の流量制御性能を充分に発揮させることを目的としている。すなわち、もし、第3タンク11が設けられずに、第1コントロール弁10を通った第3非透過ガス流が直接昇圧ポンプ12に接続されているとすると、第1コントロール弁10で調整した第3非透過ガス流の量とは異なる量(昇圧ポンプ12の処理能力の量)を昇圧ポンプ12は処理するため、第1コントロール弁10の下流側の圧力が変動する。ところが、第1コントロール弁10の流量制御性能は、それ自体の上流側と下流側との差圧に左右される。したがって、第3タンク11を設けることにより、第1コントロール弁10の下流側の圧力を一定に保つようにしている。
【0041】
つぎに、PFC分離回収装置に流入してくる排気ガス中のPFCガス濃度(ここでは、非透過性質度合い)を確認する方法について説明する。
【0042】
第1膜7,第2膜8,第3膜9を透過できる透過ガス流の絶対量は、各膜7,8,9がおかれている温度,圧力,流入してくる排気ガス中の非透過ガス濃度(この場合には、数種のPFCガスの全体排気ガスに対する濃度や混合構成内容等)に影響を与える。
【0043】
そこで、上記第1コントロール弁10の開度を一定にしている(第1コントロール弁10でのガス流のながれ易さを一定にしている)場合、分離したいPFCガス量が希釈ガスに対して大きい濃度でPFC分離回収装置に流入すればするほど(小さい濃度で流入するときと比較して)、各膜7,8,9の中に滞在するPFCガスの絶対量が多い。このことから、PFCガス濃度が濃い状態の排気ガスがPFC分離回収装置に流入している場合は、自ずと、第1〜第3透過ガス流の流量は少なくなる。しかも、第1膜7から第3膜9へかけて順番にそれぞれの第1〜第3透過ガス流の流量が(流入してくる排気ガス中のPFCガス濃度が一定のときでも)減少する比率は大きくなり、第3透過ガス流ではこの現象が顕著に表れる。言い換えると、第3透過ガス流の圧力は減少する。逆に、PFCガス濃度が薄い状態の排気ガスがPFC分離回収装置に流入している場合は、上記と反対のことが言え、第3透過ガス流の圧力は上昇する。
【0044】
このようにして、第3透過ガス流の圧力(第4圧力センサー24の出力値)は、PFC分離回収装置に流入してくる排気ガス中のPFCガス濃度(非透過性質度合い)を判断するパラメーターとして利用することができる。したがって、第3透過ガス流の圧力が排気ガス中のPFCガス濃度(非透過性質度合い)とどのような関係であるかを事前に調査すれば、それぞれの相関関係がわかる。
【0045】
つぎに、排気ガス中のPFCガス濃度(非透過性質度合い)状況を判断するだけでなく、第3透過ガス流の圧力を強制的に一定に制御〔排気ガス中のPFCガス濃度(非透過性質度合い)が低濃度のときでありながらも、それが高濃度のときと同じ圧力に調整〕した場合とする。そのときは、第3膜9の中に滞在するPFCガスの存在率も一定に制御されているといえる。
【0046】
したがって、第3透過ガス流の圧力は、第3膜9の中に滞在するPFCガスの存在率を示していることと等しく、第3透過ガス流の圧力を一定に制御することは、第3膜9がもつPFCガスの回収性能を決定することを意味するといえる。
【0047】
排気ガス中のPFCガスを濃縮して回収する工程において重要なのは、排気ガス中のPFCガスが、回収率と回収濃度とがともに高い値を期待できる物質であるか否かであり、その具体的な物質名や濃度や混合割合の数値ではない。PFCガスを効率よく(回収率と回収濃度とがともに高く)回収できるか否かは、見かけ上一種のPFCガスが第3膜9を透過する際にどれだけ透過しづらいかを示す非透過性が判断できれば充分である。
【0048】
つぎに、実施例について従来例および比較例と併せて説明する。
【0049】
【実施例1】
上記実施の形態によりPFCガスを回収した際の回収濃度を図4に実線で示した。その結果、回収濃度は安定して高い値を示した。
【0050】
【従来例】
上記従来技術によりPFCガスを回収した際の回収濃度を図4に点線で示した。その結果、回収濃度は不安定であり、非常に低い値を示すことがある。
【0051】
図4から、実施例1では、排気ガスの状態の変動に容易に対応することができるが、従来例では、その対応が困難であることがわかる。
【0052】
【実施例2】
上記実施の形態において、PFC分離回収装置に流入する排気ガスの流量を変動させた場合における、ブロワー2の上流側の圧力(第1圧力センサー14の出力値)ならびに圧縮機4の上流側(第1タンク3)の内圧(第2圧力センサー17の出力値)および圧縮機4の下流側(第2タンク5)の内圧(第3圧力センサー19の出力値)を図5に示すとともに、第2圧力センサー17の設定値を−0.50kPaから大気圧近辺に変更した場合における第1〜第3圧力センサー19の出力値を図5に示した。
【0053】
図5から、排気ガスの流量が変動しても、第1タンク3の内圧(第2圧力センサー17の出力値)は、常に設定値を持続して略一定値を示していることがわかる。また、第2圧力センサー17の設定値を変更しても、変更後の設定値を一定に持続することがわかる。このように、第1タンク3の内圧が一定に持続されるため、ブロワー2の上流側の圧力も圧縮機4の下流側の圧力も、影響を受けることなく一定に持続することができる。
【0054】
【実施例3】
上記実施の形態において、PFC分離回収装置に流入する排気ガスの流量を変動させるとともに、長時間にわたって実験した場合における、第1〜第4圧力センサー14,17,19,24の出力値を図6に示した。
【0055】
図6から、第4圧力センサー24の出力値(第3透過ガス流の圧力)も一定に持続することができることがわかる。したがって、第3透過ガス流に第4圧力センサー24を設けてその下流を第1タンク3に接続させた、上記実施の形態におけるPFC分離回収方法が可能となる。
【0056】
【比較例】
上記実施の形態において、第2圧力センサー17による圧力一定制御をすることなく、PFC分離回収装置に流入する排気ガスの流量を変動させた場合における、第1〜第3圧力センサー14,17,19の出力値を図7に示した。
【0057】
図7から、第1圧力センサー14の出力値(ブロワー2の上流側の圧力)は、第2圧力センサー17の出力値(第1タンク3の内圧)の影響を受けて同様の波形になっていることがわかる。このように、微圧制御となるブロワー2の上流側の圧力は、他の影響に非常に左右され易いことがわかる。また、第3圧力センサー19による制御圧力は、第2圧力センサー17による制御圧力に対して3桁違うため、あまり影響を受けていないように見える。
【0058】
このように、上記実施の形態によれば、第3膜9の透過側に第4圧力センサー24を設け、第3膜9の非透過側に第1コントロール弁10を設け、第4圧力センサー24の出力値が常に安定して所定の一定値を示すように、第1コントロール弁10の開度を制御装置24aによりフィードバック制御しているため、高回収率または高回収濃度のいずれを優先させるかを判断して制御することができる。しかも、優先させていない方も最低基準以上になるように制御することができる。したがって、回収される第3非透過ガス流に含有している希釈ガスが少なくなる。その結果、回収する際に用いる昇圧ポンプ12の作動の省エネルギー化を図ることができるとともに、回収容器13の数を減らすことができる。
【0059】
また、第3膜9の透過側に第4圧力センサー24を設け、この第4圧力センサー24の出力値が常に安定して所定の一定値を示すように制御しているため、高価な濃度分析計53が不要となる。その結果、上記実施の形態および実施例1〜3では、コストを低減することができる。さらに、第4圧力センサー24は、連続的に出力するため、排気ガスの状態の変動に容易に対応することができる。したがって、制御精度が向上し、回収濃度が安定したものとなる(図4の実線参照)。
【0060】
一方、第1タンク3の内圧を一定に制御する際には、第1ライン15から外気を取り込まずに、上記第4コントロール弁21の開度を制御するとともに第3ライン22のニードル弁23の開度を調整して、第1透過ガス流の一部を第3ライン22から取り込んでいる。したがって、排気ガスが希釈されないため、PFCの回収効率がよくなる。
【0061】
また、上記のように、第1タンク3の内圧を一定に制御する際に、図8に示す従来技術と異なり、外気を取り込まないため、第1タンク3の内圧の制御範囲が小さくなることがない。したがって、排気ガスの状態が変動していても、簡単にその変動に対応することができ、第1タンク3の内圧を一定に制御することができる。しかも、上記のように、外気を取り込まず、第1タンク3の内圧の制御範囲が小さくなることがないため、第1タンク3の負圧の程度を大きくする必要がない。したがって、第1タンク3からのガス流を高圧にする圧縮機4の負荷を小さくすることができ、圧縮機4のランニングコストを低減することができる。そして、第1タンク3および第2タンク5は、圧力が一定となるように、バッファーの役目をすることができる。
【0062】
また、上記のように、排気ガスの状態が変動していても、簡単にその変動に対応して、第1タンク3の内圧を一定に制御することができるため、第3透過ガス流に第4圧力センサー24を設けてその下流を第1タンク3に接続させたPFC分離回収方法では、排気ガスの状態が変動していても、第4圧力センサー24が正確な所定の一定値を示すように制御することができる。
【0063】
さらに、上記のように、排気ガスの状態が変動していても、第1タンク3の内圧を一定に制御することができるため、ブロワー2の上流側の圧力(第1圧力センサー14の出力値)は、インバーター2aを利用するブロワー2の制御により、正確な目標値に制御することができる。
【0064】
しかも、上記のように、排気ガスの状態が変動していても、第1タンク3の内圧を一定に制御することができるため、透過側と非透過側とに分離する膜の数を増やし、それらの透過側を第1タンク3に戻して循環させる工程を増やしても、それに対応することができる。このように循環させる透過側のガス流の数を増やすことは、PFCガスの回収効率を向上させることになる。
【0065】
なお、上記実施の形態では、第3膜9の透過側に第4圧力センサー24を設けたが、第2膜8の透過側に設けてもよいし、膜の数を増やして第4膜(図示せず)以降の透過側に設けてもよい。そして、最も好ましいのは、最後の膜の透過側に設けることである。また、上記第4圧力センサー24に代えて、PFCガス濃度に影響を受けない流量センサーを用い、第3膜9の透過側の流量を検出し、その流量を一定にするように制御してもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、第4コントロール弁21から放出されるガスを回収することにより、PFCガスを殆ど含まない希釈ガス(N2 ガス等)を排気ガスから回収することもできる。また、上記実施の形態において、第4コントロール弁21と第3ライン22のニードル弁23との配置は、逆でもよい。さらに、ニードル弁23に代えてコントロール弁を設け、このコントロール弁と上記第4コントロール弁21とを制御するようにして制御精度を向上させてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、3つの膜を用い、第3膜9の非透過側に3つの弁を用いたが、これらの数は特に限定されるものではない。
【0068】
【発明の効果】
以上のように、本発明のパーフルオロ化合物分離回収方法は、パーフルオロ化合物ガスと希釈ガスとからなる希釈混合ガスを高圧にしたのち、パーフルオロ化合物ガスよりも希釈ガスの透過率の高い膜に接触させることによりパーフルオロ化合物ガスを分離して回収するパーフルオロ化合物分離回収方法であって、高圧にしたのちの希釈混合ガスを上記膜に接触させることにより希釈ガスに富む透過ガス流とパーフルオロ化合物ガスに富む非透過ガス流とに分離する工程と、上記非透過ガス流を上記膜と同様の機能をもつ他の膜に接触させることにより他の透過ガス流と他の非透過ガス流とに再度分離する工程と、上記他の透過ガス流の圧力または流量を検出する工程と、その圧力または流量を一定にするように上記他の非透過ガス流の流量を制御する工程とを備えている。このため、希釈混合ガス中のPFCガス濃度の変動があっても処理後得られるPFCガス濃度を略一定に保つことができる。
【0069】
また、本発明のパーフルオロ化合物分離回収方法において、上記透過ガス流の適宜な量を上記高圧になる前の希釈混合ガスに戻すことによりその高圧になる前の希釈混合ガスの圧力を所定の一定値に制御する工程を設け、この工程における上記制御を外気を取り込まずに行なう場合には、希釈混合ガスが外気で希釈されないため、PFCの回収効率がよくなる。また、上記のように、高圧にされる前の希釈混合ガスの圧力を一定に制御する際に、外気を取り込まないため、高圧にされる前の希釈混合ガスの圧力の制御範囲が小さくなることがない。したがって、希釈混合ガスの状態が変動していても、簡単にその変動に対応することができる。しかも、上記のように、外気を取り込まないことから、希釈混合ガスを高圧にする際の負荷を小さくすることができる。
【0070】
また、本発明のパーフルオロ化合物分離回収装置は、パーフルオロ化合物ガスと希釈ガスとからなる希釈混合ガスを高圧にする手段と、高圧にしたのちの希釈混合ガスを希釈ガスに富む透過ガス流とパーフルオロ化合物ガスに富む非透過ガス流とに分離する膜を備えたパーフルオロ化合物分離回収装置であって、上記非透過ガス流を他の透過ガス流と他の非透過ガス流とに分離する他の膜と、上記他の透過ガス流の圧力または流量を検出する手段と、上記他の非透過ガス流の流量を制御する手段とを備えている。このため、高価な濃度分析計が不要となり、コストを低減することができる。さらに、圧力または流量は、連続的に検出できるため、排気ガスの状態の時々刻々の変動に対応することでき、処理後得られるPFCガス濃度を略一定に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPFC分離回収方法およびそれに用いるPFC分離回収装置の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】上記PFC分離回収方法およびそれに用いるPFC分離回収装置において、第3透過ガス流の圧力と回収率および回収濃度との関係を示すグラフである。
【図3】上記第3透過ガス流の圧力と回収率および回収濃度との関係において、排気ガス中のPFCガスの構成が変化した場合の上記関係を示すグラフである。
【図4】上記PFC分離回収方法およびそれに用いるPFC分離回収装置によりPFCガスを回収した際の回収濃度ならびに従来技術によりPFCガスを回収した際の回収濃度を示すグラフである。
【図5】上記PFC分離回収方法およびそれに用いるPFC分離回収装置において、排気ガスの流量を変動させた場合の第1〜第3圧力センサーの出力値を示すグラフである。
【図6】上記PFC分離回収方法およびそれに用いるPFC分離回収装置において、排気ガスの流量を変動させるとともに長時間にわたって実験した場合の第1〜第4圧力センサーの出力値を示すグラフである。
【図7】上記PFC分離回収方法およびそれに用いるPFC分離回収装置において、第2圧力センサーによる圧力一定制御をすることなく排気ガスの流量を変動させた場合の第1〜第3圧力センサーの出力値を示すグラフである。
【図8】従来のPFC分離回収方法およびそれに用いるPFC分離回収装置を示す説明図である。
【符号の説明】
3 第1タンク
7 第1膜
9 第3膜
10 第1コントロール弁
21 第4コントロール弁
22 第3ライン
23 ニードル弁
24 第4圧力センサー

Claims (6)

  1. パーフルオロ化合物ガスと希釈ガスとからなる希釈混合ガスを高圧にしたのち、パーフルオロ化合物ガスよりも希釈ガスの透過率の高い膜に接触させることによりパーフルオロ化合物ガスを分離して回収するパーフルオロ化合物分離回収方法であって、高圧にしたのちの希釈混合ガスを上記膜に接触させることにより希釈ガスに富む透過ガス流とパーフルオロ化合物ガスに富む非透過ガス流とに分離する工程と、上記非透過ガス流を上記膜と同様の機能をもつ他の膜に接触させることにより他の透過ガス流と他の非透過ガス流とに再度分離する工程と、上記他の透過ガス流の圧力または流量を検出する工程と、その圧力または流量を一定にするように上記他の非透過ガス流の流量を制御する工程と、上記他の非透過ガス流を回収する工程とを備えていることを特徴とするパーフルオロ化合物分離回収方法。
  2. 上記透過ガス流の適宜な量を上記高圧になる前の希釈混合ガスに戻すことによりその高圧になる前の希釈混合ガスの圧力を所定の一定値に制御する工程を設け、この工程における上記制御を外気を取り込まずに行なう請求項1記載のパーフルオロ化合物分離回収方法。
  3. 上記他の膜を直列に1つ以上接続させ、最後の他の膜以外の各膜で分離した他の非透過ガス流を順次つぎの他の膜に接触させ、上記他の膜で分離した他の透過ガス流のいずれかの圧力または流量を検出し、その圧力または流量を一定にするように上記他の膜で分離した他の非透過ガス流の流量を制御し、上記最後の膜で分離した最後の他の非透過ガス流を回収する請求項1または2記載のパーフルオロ化合物分離回収方法。
  4. パーフルオロ化合物ガスと希釈ガスとからなる希釈混合ガスを高圧にする手段と、高圧にしたのちの希釈混合ガスを希釈ガスに富む透過ガス流とパーフルオロ化合物ガスに富む非透過ガス流とに分離する膜を備えたパーフルオロ化合物分離回収装置であって、上記非透過ガス流を他の透過ガス流と他の非透過ガス流とに分離する他の膜と、上記他の透過ガス流の圧力または流量を検出する手段と、上記他の非透過ガス流の流量を制御する手段と、上記他の非透過ガス流を回収する手段とを備えていることを特徴とするパーフルオロ化合物分離回収装置。
  5. 上記透過ガス流の適宜な量を上記高圧になる前の希釈混合ガスに戻す手段と、その高圧になる前の希釈混合ガスの圧力を所定の一定値に制御する手段を備えている請求項4記載のパーフルオロ化合物分離回収装置。
  6. 上記他の膜を直列に1つ以上接続させ、最後の他の膜以外の各膜で分離した他の非透過ガス流を順次つぎの他の膜に接触させ、上記他の膜で分離した他の透過ガス流のいずれかの圧力または流量を検出する手段と、上記他の膜で分離した他の非透過ガス流の流量を制御する手段と、上記最後の膜で分離した最後の他の非透過ガス流を回収する手段とを備えている請求項4または5記載のパーフルオロ化合物分離回収装置。
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