JP4018397B2 - 酸素吸収性包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は酸素吸収性包装体に関し、より詳細には、使用後の容器内の残存酸素等を有効に吸収することができ、内容物の保存性に優れていると共に、使用前に十分な酸素吸収性能を具備しているか否かが一目で解る包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
瓶詰め等の包装容器には、密閉後、容器内部にヘッドスペースと呼ばれる空間が必ず存在し、このヘッドスペースの残存酸素を除去するために、キャップの内面に酸素吸収剤配合樹脂を施した種々の容器蓋が提案されている。例えば、特開平6―40463号公報には、キャップシェルの天面内面側に設けられたライナー材に酸素吸収剤が配合されたキャップが記載されている。
このようなライナー材に酸素吸収剤が配合されたキャップは、キャップの製造から流通経路を経て、実際に容器等に使用されるまでの間にも、大気中の酸素を吸収するおそれがあり、特に湿度の高い場所に保管されたような場合には、キャップによっては既に多量の酸素と反応し、容器内の残存酸素を十分に捕捉できない状態になっている場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような酸素吸収性能が低下したキャップは、十分な酸素吸収性能を具備しているキャップと外観上は何等見分けがつかないという問題がある。
一般にキャップに用いられる酸素吸収剤としては、鉄系の酸素吸収剤が用いられているが、鉄系酸素吸収剤を配合するとライナーが黒色になってしまうため、これを隠蔽するために白色顔料が配合されていたり、また鉄系酸素吸収剤はその溶出によって内容物を劣化させる恐れがあるため、内容物と接触する面には被膜を設ける必要があり、この被覆には白色顔料が配合されているため、酸素吸収性能の有無を判断することは困難である。
【0004】
従って本発明の目的は、酸素吸収性能の有無が一目で判断可能な酸素吸収性包装体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、包装体内部の酸素を吸収するための酸素吸収部を有する包装体であって、前記酸素吸収部は酸素吸収剤、着色剤(白色系に着色するものを除く)を含有すると共に、酸素吸収反応開始前のHunterのLab表色系のL値が60以下であり、酸素吸収反応開始前のL値と40℃100%RHの条件下で1週間経過後のL値の差が5以上となるように薄色に変色して目視により確認可能であることを特徴とする包装体が提供される。
【0006】
本発明の包装体においては、
(1)包装体がキャップであり、酸素吸収部が、キャップのライナーであること、
(2)ライナーが、キャップシェルの天面内面側にインシェルモールドにより形成されたライナーであること、
(3)ライナーが、中心から放射状及び/又は同心状に延びる多数のリブを有していること、
(4)包装体が、キャップシェルと一体に成形されたシール部と、シール部の内周側に設けられている酸素吸収部であるライナーを有すること、
(5)シール部がキャップシェルの天面内面側にインシェルモールドにより形成されているシール用ライナーから成り、且つ該シール用ライナーが前記酸素吸収部を形成していること、
(6)ライナーが、酸素吸収剤溶出防止のための被覆を施していないこと、
(7)包装体がキャップ、容器、包装シート、パウチのいずれかであり、酸素吸収反応開始前の酸素吸収部と他の部分がほぼ同色であること、
が特に好ましい。
【0007】
【発明の実施形態】
本発明の酸素吸収性包装体においては、酸素吸収剤、着色剤(白色系に着色するものを除く)を含有する酸素吸収部が、酸素吸収反応の進行によって変色することにより、酸素吸収性包装体が十分な酸素吸収能力を保有しているか否かを、一目で判断できるものである。
【0008】
本発明においては、酸素吸収剤が酸素と反応すると、酸素吸収剤粒子の表面状態が変化することにより屈折率が変わり、このため濃色に着色された酸素吸収剤配合樹脂が酸素吸収反応前後で人の目に映る色が変化することを見出し、この酸素吸収反応の進行の程度を、濃色から薄色への色の変化として表わすことにより、酸素吸収性能の有無を一目で判断することが可能となったのである。
すなわち、本発明の酸素吸収性包装体においては、酸素吸収部は白色系以外の色、すなわち白色、灰色等の白色系統以外の色となるように着色剤が配合されているため、酸素吸収される前は、濃い色を呈しているが、酸素吸収部は酸素を吸収するに従って徐々に色が薄くなり、この変色の進行の度合によって、酸素吸収能力を判断することが可能となるのである。
また、この変色の度合によっては、使用前のキャップで保存状態により既に酸素吸収が進行しているか否かの判断にも利用することができる。
従って本発明の酸素吸収性包装体においては、酸素吸収剤の種類を問わずに、比較的鮮明な濃色に着色されていれば、酸素吸収の進行に伴って徐々にこの着色が薄くなっていくので、複雑な構成を必要とすることなく、容易に作製することも可能である。
【0009】
本発明においては、上述した酸素吸収部の変色が容易に判断できるようにするために、酸素吸収前の酸素吸収部が、色差色度計で測定したHunterのLab表色系のL値(以下、単にL値という)が60以下、特に40以下の値を有する濃色に着色されていることが好ましい。
また酸素吸収部が、上記酸素吸収反応開始前のL値と40℃100RH%の条件下で1週間経過後のL値の差が5以上、特に8以上あることにより、酸素吸収性能の有無の判断が容易且つ確実になるので好ましい。
【0010】
本発明の酸素吸収性包装体に用いる酸素吸収剤としては、還元性で実質上水に不溶な物が好ましく、例えば、還元性金属粉、金属低位酸化物等の他、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、亜硫酸塩、炭酸塩、アスコルビン酸、エリソルビン酸、エルカ酸、及びこれらの塩類、或いはトコフェロールと電子供与物質との組み合わせ、また多価フェノールを骨格内に有する高分子化合物、例えば多価フェノール含有フェノール・アルデヒド樹脂や、グルコース、フラクトース、ガラクトース、マルトーズ、セロビオース等の等類と電子供与物質、特に塩基性物質或いはグルコースオキシターゼ等の糖類酸化酵素との組み合わせ等、従来公知の任意の酸素吸収剤を用いることができる。
これらの中でも特に亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロールを好適に用いることができる。酸素吸収剤として鉄系の酸素吸収剤を用いた場合には、内容物への鉄の溶出を防止するため被覆層を設ける必要があるが、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やトコフェロール等は、内容液の味覚等に与える影響が極めて少ないため、被覆層を設ける必要がないので好ましい。
酸素吸収剤の量は、用いる酸素吸収剤の種類にもよるが、酸素吸収部中5乃至40重量%、特に5乃至25重量%であることが好ましい。
【0011】
酸素吸収部は、以下の着色剤の中から適宜選択したものを組み合わせることによって所望の色に着色することができる。
(黒色顔料)
カーボンブラック、複素環系ブラック、複合酸化物系ブラック、黒色酸化鉄
(黄色顔料)
ジスアゾ系イエロー、モノアゾ系イエロー、縮合アゾ系イエロー、複素環系イエロー、アンスラキノンイエロー、イソインドリノンイエロー、チタンイエロー、黄色酸化鉄、アルミニウムレーキ
(橙色顔料)
ペリノンオレンジ、ジスアゾ系オレンジ、モノアゾ系オレンジ、アゾメチンオレンジ、酸化鉄
(赤色顔料)
キナクリドンレッド、モノアゾレッド、ペリレンレッド、縮合アゾレッド、アンスラキノン系レッド、チオインジゴレッド、アルミニムレーキ、ベンガラ、群青、複合酸化物系レッド
(紫色顔料)
キナクリドン系バイオレッド、ジオキサン系バイオレット、モノアゾ系バイオレット、ペリレン系バイオレット、群青
(青色顔料)
ウルトラマリンブルー、フタロニアニンブルー、コバルトブルー、アルミニウムレーキ
(緑色顔料)
フタロシアニングリーン、酸化クロム、複合酸化物系グリーン
(茶色顔料)
縮合アゾ系ブラウン、モノアゾ系ブラウン、複合酸化物系ブラウン、酸化鉄
(白色顔料)
酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、複合酸化物系ホワイト
【0012】
上記着色剤の中でも、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッドを好適に用いることができ、酸素吸収部を構成するベースとなる樹脂に、0.01乃至1.00重量%、特に0.01乃至0.06重量%の割合で配合されることが望ましい。
酸素吸収剤及び着色剤を配合し、酸素吸収部を構成するベース樹脂としては、成形可能な従来公知の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロプレン等のポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等を使用することができる。
【0013】
本発明の酸素吸収性包装体においては、酸素吸収反応開始前の色が分かるように、酸素吸収剤が配合されていない部位を酸素吸収部と同色に着色することが好ましい。これにより、酸素吸収性包装体の酸素吸収能力が一つの包装体を見ただけで、他のキャップと比較しなくても明確になるという利点がある。
例えばキャップの場合、キャップシェルが酸素吸収反応開始前の色と同色に着色されていることにより、酸素吸収部であるライナーとキャップシェルの色を容易に対比でき、これにより酸素吸収反応がどれだけ進んでいるかという基準が明らかになり、キャップの酸素吸収能力の判断が一つの包装体を見ただけで極めて明確になるという利点がある。
【0014】
本発明の酸素吸収性包装体は、酸素吸収部を有し且つその酸素吸収部が上述したように酸素吸収の前後で色の変化が表れる限り、キャップ、容器、包装シート、パウチ等種々の形態を採用することができる。
【0015】
(キャップ)
本発明の酸素吸収性包装体が、キャップの形態を採る場合には、キャップシェルを積層構成とし、その一部に酸素吸収部を設けることもできるが、別途成形されたキャップシェル内に形成されるライナーを酸素吸収部として設けることが望ましい。
酸素吸収部は中心から放射状及び/又は同心状に延びる多数のリブを有していることが好ましい。これにより酸素吸収部がフラットに形成されている場合に比して、大きな表面積を有することが可能となり、酸素吸収速度を向上させることが可能になる。
また、その成形に際しても、酸素吸収剤及び着色剤配合樹脂が均一に流れることが可能であり、特にライナーをキャップシェル内等で圧縮成形或いは射出成形する場合には、樹脂の流れが良好となり、表面積を増加させるために複雑な形状を採用する場合に生じやすい、樹脂切れによる均一なモールド形状が得られないと言うような問題も解消されている。
【0016】
酸素吸収部をライナーとして形成し得るキャップの基本構成としては下記の3つのタイプを挙げることができる。
すなわち、(1)容器口部内部に挿入され、容器の密封性を確保するインナーリングがキャップシェルと一体成形されているワンピースタイプのキャップ、(2)容器口部との密封性を確保するシール部材がキャップシェルとは別に形成されているツーピースタイプのキャップ、(3)キャップシェルがなく、基材フィルムに酸素吸収剤部が積層され、容器口部に直接貼着されるフィルム状のキャップ、に大別されるが、上記(1)及び(2)のタイプのキャップにおいては、酸素吸収部のインシェルモールドによる型押しにより、上記(3)のタイプのキャップにおいては酸素吸収部から成るフィルムへの型押しにより、前述したような形状のライナーを形成することが可能である。
【0017】
[キャップシェル]
本発明において、キャップシェルを構成する素材としては、従来キャップに用いられていたすべてのものを使用することができる。例えば、ポリエチレン、アイソタクティクポリプロピレン、エチレン−ポリプロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂や、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ABS樹脂或いはポリカーボネート等の合成樹脂や、アルミニウム等の軽金属、リン酸処理或いはクロム酸処理等の表面処理鋼板等のシート状或いは箔状の金属素材を挙げることができる。
キャップシェルの形状は、王冠、ピルファープルーフキャップ、タブ付きスコア破断型イージーオープンキャップ、スクリューキャップ、ラグキャップ等、任意の容器蓋形状のものを、樹脂或いは金属素材から従来公知の製法により作成し、使用することができる。
【0018】
[酸素吸収部]
酸素吸収部をライナーとして形成する場合、酸素吸収剤及び着色剤を配合すべき樹脂としては、インシェルモールドが可能で弾性を有する従来公知の熱可塑性樹脂を好適に使用することができる。例えば、ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン系共重合体(アイオノマー)等のオレフィン系樹脂;エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、水素化エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等のゴムオレフィン系エラストマー;SBSエラストマー、SISエラストマー、SEBSエラストマー、SEPSエラストマー、ブチルゴム、SBR等の一種又は二種以上の各種軟質プラスチックや、軟質塩化ビニル樹脂等を挙げることができる。
【0019】
本発明において、キャップシェル内に形成される酸素吸収部は、上述した酸素吸収剤及び着色剤配合樹脂を、キャップシェルの天面内側の中央部に施し、これを押し型で押圧することにより、溶融された樹脂は放射状に展延して、中心には円形の突起部を有し、この円形突起部から放射状に延びる多数のリブを形成し、更には多数の環状の凹凸部を形成することが可能となる。或いは、キャップシェルを型内にインサートし、キャップシェルの天面内側に射出成形することにより、酸素吸収部を成形することも可能である。
酸素吸収部の厚みは、勿論これに限定されるものではないが、一般に0.8乃至5.0mm、特に1.0乃至2.0mmの厚みを有することが望ましい。また、放射状のリブの本数は勿論これに限定されないが、4乃至8本程度であることが好ましく、また環状の凹凸部を形成する場合には、凹凸部の深さは0.3乃至1.0mm程度であることが望ましい。
【0020】
[フィルム状容器蓋における基材フィルム]
本発明のキャップにおいて、フィルム状容器蓋の形態を採用する場合には、酸素吸収部を積層させる基材フィルムとしては、ある程度の剛性を有し、更にガスバリヤー性を有するものであることが好ましい。例えば、上述したキャップシェルを成形し得るアルミニウム箔等の軽金属箔、又はこれに紙や樹脂フィルムを積層したもの等、従来公知のものを使用することができる。
このフィルム状容器蓋は、カップ等のフランジ部に直接貼着されてそれ単独で容器蓋として使用することは勿論、容器口部に貼着された後、更にその上からキャップシェルを施されて、中蓋として使用することも可能であり、その使用方法によって、基材フィルムを選択することが好ましい。
【0021】
(容器)
本発明の酸素吸収性包装体が、容器の形態を採る場合には、酸素吸収部は、容器の器壁の一部を構成するように一体的に成形されたものでもよいし、また別途成形された容器に後から設けられたものでもよい。例えば、後述するような酸素吸収部を備えている積層シートを圧空成形等によりカップ等の形状に成形したり、別途成形されたカップ等の内部にシート状に形成された酸素吸収部を貼着することによって、酸素吸収性包装容器が形成される。酸素吸収部を容器とは別に形成する場合に、酸素吸収剤及び着色剤を配合すべきベースとなる樹脂は、適用すべき容器の材質にもよるが、上述した酸素吸収剤及び着色剤配合樹脂を好適に用いることができる。
【0022】
(包装シート)
本発明の酸素吸収性包装体が、包装シートの形態を採る場合には、酸素吸収部がシート状に形成され、それ単独で包装シートが構成されてもよいが、熱可塑性樹脂、金属箔、紙等のシートと積層されてもよい。
包装シートの例としては、勿論これに限定されないが、被包装物側に位置する酸素吸収部と熱可塑性樹脂層が積層されて成る包装シート等を挙げることができる。
包装シートとして用いる場合にも、酸素吸収部のベースとなる樹脂は、前述した酸素吸収剤配合樹脂を好適に用いることができる。
【0023】
以下本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の酸素吸収性包装体の一例であるキャップを示す図であり、(A)は側断面図、(B)は底面図である。
全体を1で表す本発明の酸素吸収性キャップは、頂板部2、頂板部から垂下するスカート部3から成り、スカート部3の下端には弱化部4を介してタンパーエビデントバンド(以下、TEバンドという)5が設けられ、TEバンド5の内面には、容器口部(図示せず)と係合するフラップ片6が複数形成されている。スカート部3の内面には、容器口部に設けられるねじ部(図示せず)と係合するねじ部7が設けられている。またキャップシェル頂板部2の内面側には、容器口部内に挿入され容器の密封性を保持するインナーリング8がキャップシェルと一体に形成されている。インナーリング8で区画されるキャップシェル頂板部内面側9には、ベース樹脂、酸素吸収剤及び着色剤を配合した樹脂をインシェルモールドして成る酸素吸収部10が形成されている。
【0024】
全体を10で表す酸素吸収部は、インナーリング8で区画されるキャップシェル頂板部内面中央に施された酸素吸収剤及び着色剤配合樹脂をインシェルモールドすることによって形成され、頂板部内面の中央に円形の突起部11を有し、この円形突起部11から放射状に樹脂が流動して、複数の放射状に延びるリブ12,12と、複数の環状の凹凸部13,13が形成されている。
【0025】
図1に示すキャップにおいては、酸素吸収部10が着色剤により白色系以外の色に着色されている。また樹脂の一体成形により形成されたキャップシェルは、酸素吸収反応開始前の酸素吸収部と同色に着色されている。
【0026】
図2は、シール部を熱に成形したタイプのキャップの一例を示す図であり、(A)は側断面図、(B)は底面図をそれぞれ表している。
全体を20で表すキャップは、概略的に言って、キャップシェル21とキャップシェル21の内側に設けられるシール部材22から成る。キャップシェル21は、頂板部23及び頂板部23の端縁から垂下するスカート部24から成り、キャップシェルのスカート部24の下端には容器蓋を開封するための開封用タブ25が形成され、この開封用タブ25の両端からスカート部24、頂板部23を破断するためのスコア(図示せず)が形成されている。
この態様においては、キャップシェル21の頂板部内面側に形成されるシール部材22はインシェルモールドにより一体成形されており、このシール部材22は、容器口部(図示せず)と当接して密封性を保持する密封部27、及び表面に凹凸形状を有する中央吸収部28により酸素吸収部が構成されている。
【0027】
図3は、フィルム状容器蓋の一例を示す側断面図である。
全体を30で示すこのフィルム状容器蓋は、ガスバリヤー性を有する基材フィルム31に接着剤層32を介して、酸素吸収剤及び着色剤が配合されている酸素吸収部33が積層されて成るものである。この酸素吸収部33は、シール部34の内側に設けられており、前述したような、中心から放射状に延びる多数のリブ及び多数の環状凹凸部35が形成されている。
【0028】
【実施例】
キャップシェル用材はポリプロピレン:高密度ポリエチレン:滑剤(エシルアミド)の重量比が100:5:0.9になるように測定し、ヘンシルミキサーで均一に混合後、押出機にて溶融混合し、シェル用ペレットを作成した。
【0029】
キャップシェルは圧縮成形機を使用して成形した。すなわち、スクリュ径が50mmの押出機が設置してある圧縮成形機で、上記シェル用ペレットを215℃の溶融樹脂の状態で押出し、押出機先端に配設されている回転カッターによって溶融樹脂を圧縮成形機の金型のキャビティ(下型)に落とし、キャビティ(下型)とコア(上型)により圧縮してシェル成形され、金型が冷却後、成形機より排出される。
【0030】
酸素吸収部は、高密度ポリエチレン:EPRの重量比が7:3である混合物と着色剤(フタロシアニンブルー)が0.03重量%から成るベース樹脂に対して、酸素吸収剤(亜硫酸ナトリウム)が15重量%になるように調製し、ヘンシルミキサーで均一に混合後、押出機にて溶融混合し、酸素吸収部用ペレットを作成した。
【0031】
酸素吸収部はインシェルモールドにより成形した。すなわち、スクリュ径が50mmの押出機で上記酸素吸収部用ペレットを200℃で溶融押出しし、押出機先端に配設されている回転カッターによって溶融樹脂をキャップシェル天面内面に落とし、型押しし、酸素吸収部形状に成形した。
【0032】
評価方法は以下のように行った。
(Labの測定)
製造直後及び表1及び表2に記載の条件にて経時保管した後、色差色度計で測定した。
L:明度指数 [ 明 色 ] 大 > 数 値 > 小 [ 暗 色 ]
a:知覚色度指数 [ 赤 色 ] 大 > 数 値 > 小 [ 緑 色 ]
b:知覚色度指数 [ 黄 色 ] 大 > 数 値 > 小 [ 青 色 ]
【0033】
(目視のよる測定)
製造直後から酸素吸収反応が起こらないように水分の無い状態で保管しておいたキャップの酸素吸収部と、表2の条件下で経時保管し、酸素吸収反応が進んだキャップの酸素吸収部との色の変化を目視にて確認した。
・目視での確認が明確であった。 → ○
・色の変化は認められるが、判断がしづらかった。 → △
・目視での確認が出来なかった。 → ×
【0034】
比較例については、着色剤をカーボンブラックと酸化チタンの混合物に変更した以外は実施例と同様の条件でキャップを作成し、同様の評価を行った。
【0035】
評価結果については以下の通りである。
表2の結果より、40℃−100%RHの条件下に1週間保管した場合、明度指数Lが低い場合には目視で確認できるが、明度指数Lが高い場合には目視での確認が出来なかった。
このことより、製造直後の明度指数Lが低いほど目視での確認がし易いことが判明した。
また、表1及び表2の結果より、明度指数Lの変化量が少ない場合には目視での判断ができないため、明度指数の変化量が大きいほど目視での確認がし易いことが判明した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】
本発明の酸素吸収性包装体によれば、包装体内部の酸素を吸収するために形成された酸素吸収部が、酸素吸収剤、着色剤(白色系に着色するものを除く)を含有すると共に、酸素吸収反応の進行により変色して目視により確認可能であることにより、酸素吸収性能の有無が一目で判断可能な酸素吸収性包装体を提供することが可能になった。また本発明の酸素吸収性包装体においては、酸素吸収剤の種類を問わずに、比較的鮮明な濃色に着色されていれば、酸素吸収の進行に伴って徐々にこの着色が薄くなっていくので、複雑な構成を必要とすることなく、容易に作製することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素吸収性包装体がキャップである場合の一例を示す図である。
【図2】本発明の酸素吸収性包装体がキャップである場合の他の一例を示す図である。
【図3】本発明の酸素吸収性包装体がキャップである場合の他の一例を示す図である。
Claims (8)
- 包装体内部の酸素を吸収するための酸素吸収部を有する包装体であって、前記酸素吸収部は酸素吸収剤、着色剤(白色系に着色するものを除く)を含有すると共に、酸素吸収反応開始前のHunterのLab表色系のL値が60以下の濃色であり、酸素吸収反応開始前のL値と40℃100%RHの条件下で1週間経過後のL値の差が5以上となるように薄色に変色して目視により確認可能であることを特徴とする包装体。
- 包装体がキャップであり、前記酸素吸収部がキャップのライナーである請求項1記載の包装体。
- 前記ライナーが、キャップシェルの天面内面側にインシェルモールドにより形成されたライナーである請求項2記載の包装体。
- 前記ライナーが、中心から放射状及び/又は同心状に延びる多数のリブを有している請求項2又は3記載の包装体。
- 前記包装体が、キャップシェルと一体に成形されたシール部と、シール部の内周側に設けられている酸素吸収部であるライナーを有する請求項2乃至4の何れかに記載の包装体。
- 前記シール部がキャップシェルの天面内面側にインシェルモールドにより形成されているシール用ライナーから成り、且つ該シール用ライナーが前記酸素吸収部を形成する請求項2乃至4の何れかに記載の包装体。
- 前記ライナーが、酸素吸収剤溶出防止のための被覆を施していない請求項2乃至6の何れかに記載の包装体。
- 前記包装体がキャップ、容器、包装シート、パウチのいずれかであり、酸素吸収反応開始前の酸素吸収部と他の部分がほぼ同色である請求項1乃至7の何れかに記載の包装体。
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