JP6924127B2 - 酸素吸収性が付与されている容器蓋の製造方法 - Google Patents
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Description
即ち、この容器蓋は、プラスチック製のキャップシェルの内部に設けられるライナーの内部に水素化金属などの水素発生剤を分散させたものであり、容器内の内容物に含まれる水分との接触により水素を発生させ、この水素が容器内の酸素と反応して水に転換させることにより容器内の酸素を低減するというものである。
このように2段のインシェルモールドによりインシェルモールド成形体(機能性の一次成形体及びこれを覆う二次成形体)を成形する場合、例えば、落下した二次成形体の樹脂溶融物が中心からずれた状態で賦形されてしまうと、2段目のインシェルモールドにより成形されるカバー成形体(二次成形体)の厚みにムラが生じたり、二次成形体が一次成形体を完全に覆うように成形されないなどの成形不良を生じ易いという問題があった。
前記インシェルモールド成形体は酸素吸収機能を有する一次成形体と該一次成形体を覆う二次成形体とからなり、
前記一次成形体は前記頂板部の内面上でのインシェルモールドにより形成され、前記一次成形体の二次成形体側の面は少なくとも1つの凹部又は凸部を有し、前記凹部又は凸部は放射状、同心円状、らせん状或いはこれらの組み合わせからなる形態であり、
前記二次成形体は前記一次成形体上でのインシェルモールドにより形成され、前記二次成形体の周縁部は前記頂板部の内面に溶着固定される、ことを特徴とする容器蓋の製造方法が提供される。
(1)前記一次成形体の二次成形体側の面には、前記凹部又は凸部と共に、凹面が形成されていること、
(2)前記二次成形体の前記周縁部には、外方に張り出したフランジ部が形成されており、該フランジ部において、該二次成形体は、前記頂板部内面に溶着固定されていること、
(3)前記一次成形体は、水素発生剤を含み、容器内の内容物に含まれる水分と反応して水素を発生し、この水素が酸素と反応して水が生成されることで酸素を捕捉することにより酸素吸収性を示すこと、
が好適である。
即ち、本発明の容器蓋の製造方法では、一段目のインシェルモールドにより形成される一次成形体の表面に、上記のような凹部又は凸部が形成されているため、二段目のインシェルモールドを安定して行うことができる。二次成形体を形成するための樹脂溶融物が、成形用のパンチが降下してくるまで一次成形体の凹部又は凸部に留まるように、その移動や流動を抑制する障壁として機能するため、樹脂溶融物が落下した位置(中心部)に安定に保持され、この結果、二次成形体の厚みムラや二次成形体が一次成形体を完全に覆うことが出来ない、といった成形不良を生じることがなく、一次成形体を完全に覆う二次成形体が成形されるわけである。
また、アウターリング11は、若干、内方側に傾斜しており、インナーリング9とスカート7との間に侵入した容器口部の上端部側面に密着するように形成されており、これにより、容器口部をがたつきなく、しっかりと保持し、同時にインナーリング9によるシールを補強する。
このTEバンド17は、いたずら防止及び内容物の品質保証のために設けられるものであり、その内面には、内方かつ上方に延びている複数のフラップ片20が設けられている。
このようにして、一般の消費者は、TEバンド17がキャップシェル1から分離している状態を見て、このキャップシェル1は容器口部から取り除かれたことがあるという開封履歴を認識することができ、いたずら等の不正使用を防止することができる。また、TEバンド17がキャップシェル1に連結されている場合には、このキャップシェル1は容器口部から取り外されたことがないものであることを認識でき、内容物の品質を保証することができるわけである。
このようなオレフィン系樹脂としては、特に制限されるものではないが、特にキャップに要求される強度や耐衝撃性などの特性の点で、高密度ポリエチレンが好適に使用される。この高密度ポリエチレンは、密度が0.942g/cm3以上と高く、分枝をほとんど持たず、結晶性の高いポリエチレンであり、機械的強度に優れているため、螺条15のように強度が要求される部分を有するキャップシェル1の成形には極めて適しており、特にアセプ殺菌充填用途のキャップとして使用されている。
また、このような高密度ポリエチレンとしては、射出成形や圧縮成形によりキャップシェル1を成形することから、所謂射出グレードのものにおいては、例えばMFR(190℃)が2.5〜12.0g/10minのものが好適に使用され、所謂圧縮グレードのものにおいては、例えばMFR(190℃)が0.8〜8.0g/10minのものが好適に使用される。
即ち、一次成形体3aは、一段目のインシェルモールドにより成形され、これが酸素吸収機能を有しているため、容器内容物の酸化劣化を有効に防止することができる。一方、二次成形体3bは、二段目のインシェルモールドにより形成され、この二次成形体3bにより、一次成形体3aに容器内容物が直接接触することが防止される。かかるインシェルモールド成形体3は、インナーリング9よりも内側の部分でのインシェルモールド成形により成形されるため、キャップ本来の開栓性、密封性に悪影響を与えるものではない。
先ず、一次成形体3aを形成する樹脂もしくは樹脂組成物の溶融物A(例えば250℃程度)を、押出機等から頂板部5の内面のインナーリング9で囲まれた領域(特に中央部)に落下させる(図3(a)参照)。
次いで、成形用パンチ21aを備えた一次成形用治具21をキャップシェル1内に配置する(図3(b)参照)。
この状態で、成形用パンチ21aを降下させ、上記の溶融物Aを押し広げて規定形状に賦形し、冷却する(図3(c)参照)。これにより、頂板部5の内面に密着した一次成形体3aが成形される。
次いで、成形用パンチ23aを備えた二次成形用治具23をキャップシェル1内に配置する(図3(e)参照)。
この状態で、成形用パンチ23aを降下させ、上記の溶融物Bを押し広げて規定形状に賦形し、冷却する(図3(f)参照)。このようにして溶融物Bを賦形することにより、一次成形体3aを覆うようにして頂板部5の内面に密着する二次成形体3bが成形され、二層構造のインシェルモールド成形体3が得られる。
このようなリブXは、特に図2及び図5から理解されるように、外周縁から中心Oに向かって延びており、それぞれ弧状平面を有しており、全体として一定の間隔で放射状(扇状)に配列されており、リブXとリブXとの間は溝状の隙間が形成されることとなり、中心部分には、円形状の平面部31が形成されている。
即ち、一次成形体3aの表面に、このようなリブXが複数形成されていると、図4(a)に示されているように、2段目のインシェルモールドのために平面部31に落下された溶融物Bは、複数のリブXが障壁となり、周縁部に移動したり或いは流れたりする不都合が有効に防止され、平面部31内に安定に保持され、リブX間に隙間があるため、成形用パンチ23aによる押圧によって溶融物Bをムラなく押し広げることができ、この結果、2段目のインシェルモールドを有効に行うことができ、成形不良を有効に防止し且つ厚みムラのない二次成形体3bを成形することが可能となる。
さらに、中央の円形状平面部31の径Dは、キャップシェル1の大きさ(成形する二次成形体3bの大きさ)によっても異なるが、この部分に落下された溶融物Bが、落下位置に安定に止まるように、溶融物Bの幅よりも大きい径であることが好適であり、通常、5〜8mm程度の範囲に設定される。
また、本発明においては、図5のとおり、18個のリブXが設けられているが、上記のリブXの本数が多い程、一次成形体3aの表面積が大きくなり、その酸素吸収機能を高めることができる。
また、より強固に二次成形体3bを頂板部5の内面に融着固定するためには、フランジ33の厚みTは、例えば0.5〜1.0mm程度の厚みとすることが好ましい。これにより、フランジ33が捲れて頂板部5から剥がれるなどの不都合をより確実に防止することができ、一次成形体3aを容器内空間と確実に吸収することができ、例えば、溶着面からの容器内水分の侵入等を有効に防止することができる。
例えば、リブXの間の面を中側から外周縁側に向かって低くなる傾斜面とすることもできる。この場合、リブXの高さhは、外周縁側が最も高く、中心側が最も低くなる。
例えば、図6及び図7の例では、リング状のリブX1が設けられているが、この態様では、中心部の円柱状のリブX2が設けられており、この円柱状のリブX2を取り囲むように、リング状のリブX1が配置されている。この場合には、円柱状のリブX2の上面に溶融物Bが滴下されてインシェルモールド成形が行われることとなる。この場合においても、リング状リブX1により溶融物Bの周方向への広がりが抑制される。
さらに、図6から理解されるように、この態様においても、リブX1とリブX2とにより形成される凹凸に対応して二次成形体3bの表面に凹凸を形成し、その厚みtを均一にすることが好ましい。
上記と同様に、複数のリブXによって囲まれている中央部の円形平面部31を凹面とすることもできる。
上述した本発明の製造方法によって製造される容器蓋が有するインシェルモールド成形体3において、一次成形体3aは、先にも述べたように、酸素吸収性を発揮するものである。
水素発生剤としては、水と反応して水素発生する金属または金属水素化物、例えば、Na,Li,K、Ca,Mg,Mg,Zn,Al等の金属、及びこれら金属の水素化物が代表的である。また、これら以外にも、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化カルシウム、テトラメチルジシロキサン、トリメチルスズ水素化物、オルガノハイドロジェンポリシロキサンなどを挙げることができ、内容物の種類に応じて適宜のものを選択して使用すればよい。
また、上記の水素発生剤が分散されるマトリックスとなる樹脂としては、水分透過性を有する樹脂、例えば、低、中、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体(SEBS)、ポリアミド、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリレート共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体などを例示することができる。特に、キャップシェル1の頂板部5の内面或いは二次成形体3bとの密着性、或いはインシェルモールド成形性の観点からオレフィン系樹脂、特にMFRが1〜10g/10min程度のポリエチレンが好ましく、インシェルモールド成形性を考慮すると、LLDPEが最も好適に使用される。
酸素吸収性樹脂組成物に使用される酸素吸収剤は、特開2002−240813号等に記載されているように、酸化性重合体及び遷移金属系触媒がベース樹脂に分散されているものであり、遷移金属系触媒の作用により酸化性重合体が酸素による酸化を受け、これにより、酸素を吸収して酸素の透過を遮断する。このような酸化性重合体及び遷移金属系触媒は、上記の特開2002−240813号等に詳細に説明されているので、その詳細は省略するが、酸化性重合体の代表的な例は、第3級炭素原子を有するオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレンやポリブテン−1等、或いはこれらの共重合体)、熱可塑性ポリエステル若しくは脂肪族ポリアミド;キシリレン基含有ポリアミド樹脂;エチレン系不飽和基含有重合体(例えばブタジエン等のポリエンから誘導される重合体);などである。また、遷移金属系触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の遷移金属の無機塩、有機酸塩或いは錯塩が代表的である。
上記のような酸素吸収剤は、キャップシェル1を形成するプラスチックとの密着性を確保するために、通常、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなるベース樹脂中に分散される。また、酸素吸収剤の消耗を抑制し、長期にわたって酸素吸収性を発現させるために、後述するガスバリア性樹脂をベース樹脂として使用したり、或いはキャップシェル1や二次成形体3bとの密着性を高めるために、無水マレイン酸で変性された酸変性オレフィン系樹脂とオレフィン系樹脂とのブレンド物に酸素吸収剤を配合して一次成形体3aを成形することもできる。このような酸素吸収剤を含む酸素吸収性樹脂組成物を容器蓋の内面に適用することも、前述した特許文献1等により公知である。
上述した一次成形体3aを覆うように設けられる二次成形体3bは、一次成形体3aと容器内容物との接触を防止するために使用されるものであり、また、そのタイプによっては、酸素吸収性をコントロールし或いは容器内容物との接触等による酸素吸収性の低下を回避するために使用される。
例えば、前述した水素発生剤を含む一次成形体3aは、水素発生剤と容器内容物の接触を防止する必要がある。即ち、水素発生剤と容器内容物とが直接接触すると、容器内容物に含まれる水分と水素発生剤とが直ちに反応してしまい、水素発生剤の機能が直ちに失われてしまうからである。また、安全性、衛生性などの観点からも容器内容物との直接接触を防止することが望まれることもある。これは、酸素吸収剤を含む一次成形体3aについても同様である。
従って、この二次成形体3bは、インシェルモールドにより成形されると同時に、一次成形体3aを完全に覆い、頂板部5の内面に融着固定されることが必要である。
例えば、通常の低密度ポリエチレンは、分子鎖に枝が多く、結晶性が非常に低い。このため、インシェルモールドによる成形を行った場合、成形性が低いばかりか、非晶部が多く、水分を透過し易い。このため、一次成形体3bが水分発生剤を含むものであるとき、この一次成形体3aへの水分供給量をコントロールするという目的には不適であり、さらに、ポリオレフィン製、特に高密度ポリエチレン製のキャップシェル1との融着固定も不満足なものとなり易い。
しかるに、上記のようなLLDPEを用いた場合には、適度な水分透過性を示すため、水素発生が損なわれない程度に水分の透過を抑制し、水素発生剤の急激な消耗を抑制することができる。
尚、上記のようなLLDPEは、共重合するα−オレフィンの種類、共重合量、分子量等の調整により得られるが、通常、市販されているLLDPEの中から、これらの物性を有するLLDPEを選択して使用すればよい。例えば、このようなLLDPEは、日本ポリエチレン社により、UF240の商品名で市販されている。
このような熱可塑性エラストマーとしては、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPR)やエチレンブチレン共重合体ゴム(EBR)に代表されるエチレン系エラストマーを挙げることができる。
3:インシェルモールド成形体
3a:一次成形体
3b:二次成形体
5:頂板部
7:スカート
9:インナーリング
11:アウターリング
13:環状小突起
15:螺条
17:TEバンド
19:ブリッジ
20:フラップ片
21:一次成形用治具
21a:パンチ
23:二次成形用治具
23a:パンチ
31:一次成形体の二次成形体側の面(中央円形状平面部)
33:フランジ
A:一次成形体形成用の溶融物
B:二次成形体形成用の溶融物
X:リブ
Y:二次成形体の凹部
Claims (4)
- 容器口部の内面に密着するインナーリングが内面に設けられている頂板部及びスカート部を有するプラスチック製キャップシェルと、該頂板部内面のインナーリングにより囲まれた部分に設けられたインシェルモールド成形体とを備えた容器蓋の製造方法において、
前記インシェルモールド成形体は酸素吸収機能を有する一次成形体と該一次成形体を覆う二次成形体とからなり、
前記一次成形体は前記頂板部の内面上でのインシェルモールドにより形成され、前記一次成形体の二次成形体側の面は少なくとも1つの凹部又は凸部を有し、前記凹部又は凸部は放射状、同心円状、らせん状或いはこれらの組み合わせからなる形態であり、
前記二次成形体は前記一次成形体上でのインシェルモールドにより形成され、前記二次成形体の周縁部は前記頂板部の内面に溶着固定される、ことを特徴とする容器蓋の製造方法。 - 前記一次成形体の二次成形体側の面には、前記凹部又は凸部と共に、凹面が形成されている請求項1に記載の容器蓋の製造方法。
- 前記二次成形体の前記周縁部には、外方に張り出したフランジ部が形成されており、該フランジ部において、該二次成形体は、前記頂板部内面に溶着固定されている請求項1または2に記載の容器蓋の製造方法。
- 前記一次成形体は、水素発生剤を含み、容器内の内容物に含まれる水分と反応して水素を発生し、この水素が酸素と反応して水が生成されることで酸素を捕捉することにより酸素吸収性を示す請求項1〜3の何れかに記載の容器蓋の製造方法。
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