しかしながら、上述した従来技術のように音声出力の方向を誘導方向に定位させるとすると、連続して異なる方向の誘導を行う場合に運転者の混乱を招く場合がある。例えば、「次の交差点を右折し、その先の信号を左折する」という誘導を行う場合、右方向から音声を出力し、直後に左方向から音声を出力することとなるため、運転者は後から聞こえた左方向の情報を意識することとなる。すなわち、文章(音声の内容)による情報は運転者側で容易に時系列の情報として認識可能であるが、音の方向の情報は後発の情報が先発の情報を打ち消し、時系列での認識が困難であるので、音声方向の複雑な変化は、運転者側に「音の聞こえた方向の順番を記憶する」という労力を要求することとなる。
また、特に誘導方向が後方や、左右であっても後方側である場合、すなわち曲率の大きく変化する誘導を行う場合、後方側から誘導音声を出力したならば、人間の耳にとって聞こえ難い方向から誘導をおこなうことになるので、運転者の聞き逃しを招く虞がある。さらに、曲率の大きい経路であっても実際の走行では自車両の進行方向を徐々に変化させて自車両の向きを最終的に所望の方向に対応させるのであり、自車両の進行方向に正対する方向、もしくはその近傍からの音声出力は自車両の挙動と乖離したものになる。
すなわち、上述した従来技術では、音声出力の情報量の増加を行う際に、運転者側の聞き取りやすさを考慮されておらず、また、実際の車両の挙動と乖離した情報を付加する場合が発生するという問題点があった。そのため、運転者に負担をかけることなく音声出力における情報量を増加させ、もって経路誘導の効果を向上することが従来の課題となっていた。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消し、課題を解決するためになされたものであり、運転者に負担をかけることなく音声出力における情報量を増加させ、効果的な音声誘導を行うナビゲーション装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係るナビゲーション装置は、予め設定された予定経路情報と自車両の位置情報とをもとに自車両の経路誘導を行うナビゲーション装置であって、前記予定経路情報および前記位置情報から、運転者に通知すべき第1の誘導方向と前記第1の誘導方向の次に通知すべき第2の誘導方向とを取得する誘導情報取得手段と、前記誘導情報取得手段が取得した情報をもとに誘導内容を通知する音像を作成する音像作成手段と、前記取得内容に基づいて前記音像の運転者に対する相対方向を決定する音像制御手段と、を備え、前記音像制御手段は、前記第1の誘導方向と前記第2の誘導方向とが異なる場合に、前記音像の相対方向を前記第1の誘導方向に一致させることを特徴とする。
この請求項1の発明によればナビゲーション装置は、予定経路情報および位置情報から、運転者に通知すべき第1の誘導方向と、第1の誘導方向の次に通知すべき第2の誘導方向と、を取得して誘導内容を通知する音像の運転者に対する相対方向を決定する。
具体的には本発明にかかるナビゲーション装置は、第1の誘導方向と第2の誘導方向とが異なる場合に、運転者に対して第1の誘導方向に対応する方向に、第1の誘導方向と第2の誘導方向とを報知する音像を作成する。
また、請求項2の発明に係るナビゲーション装置は、請求項1に記載の発明において、前記音像制御手段は、前記第1の誘導方向から推定される自車両の挙動に対応して前記音像を移動させることを特徴とする。
この請求項2の発明によればナビゲーション装置は、第1の誘導方向から推定される自車両の挙動に対応して前記音像を移動させる。
また、請求項3の発明に係るナビゲーション装置は、請求項2に記載の発明において、前記音像制御手段は、前記運転者の前方の所定位置から前記音像の移動を開始することを特徴とする。
この請求項3の発明によればナビゲーション装置は、運転者の前方の所定位置から前記音像の移動を開始する。
また、請求項4の発明に係るナビゲーション装置は、請求項3に記載の発明において、前記音像制御手段は、前記第1の誘導方向が自車両の進行方向に対して後方側である場合、前記音像を前方に移動させた後に前記第1の誘導方向に移動させることを特徴とする。
この請求項4の発明によればナビゲーション装置は、第1の誘導方向が自車両の進行方向に対して後方側である場合、音像を前方に移動させた後に第1の誘導方向に移動させる。
また、請求項5の発明に係るナビゲーション装置は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記音像制御手段は、前記第1の誘導方向に対応する誘導位置に対応して前記音像の移動開始位置、前記音像の方向変化位置、前記音像の移動量の少なくとも一つを変化させることを特徴とする。
この請求項5の発明によればナビゲーション装置は、誘導位置に対応して前記音像の移動開始位置、音像の方向変化位置、音像の移動量の少なくとも一つを変化させる。
また、請求項6の発明に係るナビゲーション装置は、請求項2〜5のいずれか一つに記載の発明において、自車両の速度情報を取得する速度情報取得手段をさらに備え、前記音像制御手段は、前記速度情報に対応して前記音像の移動開始位置、前記音像の方向変化位置、前記音像の移動量の少なくとも一つを変化させることを特徴とする。
この請求項6の発明によればナビゲーション装置は、自車両の速度情報を取得し、速度情報に対応して音像の移動開始位置、音像の方向変化位置、音像の移動量の少なくとも一つを変化させる。
また、請求項7の発明に係るナビゲーション装置は、請求項1〜6のいずれか一つに記載発明において、前記第1の誘導方向および/または前記第2の誘導方向は高さ方向の情報を有し、前記音像制御手段は、前記運転者に対する音像の高さをさらに制御することを特徴とする。
この請求項7の発明によればナビゲーション装置は、第1の誘導方向や第2の誘導方向は高さ方向の情報を有し、音像制御手段によって運転者に対する音像の高さをさらに制御する。
また、請求項8の発明に係るナビゲーション装置は、請求項1〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記音像の出力中に他の音声出力の出力レベルを低下させ、前記音像の出力終了後に前記他の音声出力の出力レベルを段階的に回復させる音声出力制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
この請求項8の発明によればナビゲーション装置は、音像の出力中に他の音声出力の出力レベルを低下させ、音像の出力終了後に他の音声出力の出力レベルを段階的に回復させる。
また、請求項9の発明に係るナビゲーション装置は、請求項8に記載の発明において、前記音声出力制御手段は、前記音像の出力前に前記他の音声出力の出力レベルを段階的に低下させることを特徴とする。
この請求項9の発明によればナビゲーション装置は、音像の出力前に前記他の音声出力の出力レベルを段階的に低下させ、音像の出力終了後に他の音声出力の出力レベルを段階的に回復させる。
また、請求項10の発明に係るナビゲーション装置は、請求項9に記載の発明において、前記音声出力制御手段は、前記音像の出力前における他の音声出力の低下率と、前記音像の出力後における他の音声出力の回復率とを独立に制御することを特徴とする。
この請求項10の発明によればナビゲーション装置は、音像の出力前に前記他の音声出力の出力レベルを所定の低下率で段階的に低下させ、音像の出力終了後に他の音声出力の出力レベルを低下率とは異なる値の回復率で段階的に回復させる。
また、請求項11の発明に係るナビゲーション装置は、請求項10に記載の発明において、前記他の音声出力の低下率は、前記他の音声出力の回復率に比して大きいことを特徴とする。
この請求項11の発明によればナビゲーション装置は、音像の出力前に前記他の音声出力の出力レベルを所定の低下率で段階的に低下させ、音像の出力終了後に他の音声出力の出力レベルを低下率より小さい値の回復率で段階的に回復させる。
請求項1の発明によればナビゲーション装置は、予定経路情報および位置情報から、運転者に通知すべき第1の誘導方向と、第1の誘導方向の次に通知すべき第2の誘導方向と、を取得して誘導内容を通知する音像の運転者に対する相対方向を決定するので、運転者に負担をかけることなく伝達する情報量を増大し、もって効果的な経路誘導を行うナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
具体的には本発明にかかるナビゲーション装置は、第1の誘導方向と第2の誘導方向とが異なる場合に、運転者に対して第1の誘導方向に対応する方向に、第1の誘導方向と第2の誘導方向とを報知する音像を作成するので、運転者に混乱を与えることなく時系列の経路情報を効果的に伝達可能なナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
また、請求項2の発明によればナビゲーション装置は、第1の誘導方向から推定される自車両の挙動に対応して前記音像を移動させるので、運転者に負担をかけることなく予定経路を効果的に伝達可能なナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
また、請求項3の発明によればナビゲーション装置は、運転者の前方の所定位置から前記音像の移動を開始するので、運転者に聞きやすく、かつ効果的に予定経路を伝達可能なナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
また、請求項4の発明によればナビゲーション装置は、第1の誘導方向が自車両の進行方向に対して後方側である場合、音像を前方に移動させた後に第1の誘導方向に移動させるので、運転者に聞きやすく、かつ実際の挙動に即して予定経路を伝達可能なナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
また、請求項5の発明によればナビゲーション装置は、誘導位置に対応して前記音像の移動開始位置、音像の方向変化位置、音像の移動量の少なくとも一つを変化させるので、運転者は相対的な距離感が掴め、より効果的な経路誘導を行うナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
また、請求項6の発明によればナビゲーション装置は、自車両の速度情報を取得し、速度情報に対応して音像の移動開始位置、音像の方向変化位置、音像の移動量の少なくとも一つを変化させるので、運転者は自車両の移動に近い感覚が掴め、より効果的な経路誘導を行うナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
また、請求項7の発明によればナビゲーション装置は、第1の誘導方向や第2の誘導方向は高さ方向の情報を有し、音像制御手段によって運転者に対する音像の高さをさらに制御するので、運転者は実道路の勾配情報を感覚的に掴むことが可能となり、より効果的な経路誘導を行うナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
また、請求項8の発明によればナビゲーション装置は、音像の出力中に他の音声出力の出力レベルを低下させ、音像の出力終了後に他の音声出力の出力レベルを段階的に回復させるので、運転者に聞きやすく、かつ違和感の少ない音声出力を実現するナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
また、請求項9の発明によればナビゲーション装置は、音像の出力前に前記他の音声出力の出力レベルを段階的に低下させ、音像の出力終了後に他の音声出力の出力レベルを段階的に回復させるので、音声による経路誘導の開始時における違和感を減少したナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
また、請求項10の発明によればナビゲーション装置は、音像の出力前に前記他の音声出力の出力レベルを所定の低下率で段階的に低下させ、音像の出力終了後に他の音声出力の出力レベルを低下率とは異なる値の回復率で段階的に回復させるので、経路誘導を迅速に開始し、かつ違和感の少ない音声出力を実現するナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
また、請求項11の発明によればナビゲーション装置は、音像の出力前に前記他の音声出力の出力レベルを所定の低下率で段階的に低下させ、音像の出力終了後に他の音声出力の出力レベルを低下率より小さい値の回復率で段階的に回復させるので、経路誘導を迅速に開始し、かつ違和感の少ない音声出力を実現するナビゲーション装置を得ることができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施例であるナビゲーションシステム1の概要構成を示す概要構成図である。同図に示すように、ナビゲーションシステム1は、ナビゲーションユニット2、オーディオユニット3、スピーカ制御部4およびスピーカSP1〜SP4を有する。
さらに、ナビゲーションユニット2は、その内部にGPS(Global Positioning System)受信部21、経路設定部22、車速取得部23、ガイド内容作成部24、ガイド音声制御部25、およびガイド表示制御部26を有する。ここで、GPS受信部21、経路設定部22、車速取得部23、ガイド内容作成部24、ガイド音声制御部25およびガイド表示制御部26は、マイコンなどによって構成しても良いし、電子回路によって構成しても良い。また、本構成は各機能によって区分したものであり、物理的な構成については全体もしくは一部を統合したものとしてもよい。
GPS受信部21は、GPS人工衛星からの情報を受信して時刻情報の取得、自車両の位置情報の特定を行う。また、GPS受信部21は、特定した自車両の位置をガイド内容作成部24に出力する。
経路設定部22は、運転者などからのユーザ入力を受け付けて自車両の予定経路を設定・記憶する処理部である。また、経路設定部22は、設定した経路や地図情報をガイド内容作成部24に出力する。
車速取得部23は、自車両の車速情報を取得してガイド内容作成部24に出力する。なお、車速情報は自車両のスピードメータなどから取得してもよいし、GPS受信部21が特定した位置情報の推移から算出してもよい。
ガイド内容作成部24は、GPS受信部21、経路設定部22、車速取得部23の出力をもとに、自車両の運転者に通知する内容を作成する。具体的には、運転者に次に音声案内を行うべき場所に関する情報を第1ガイドポイント情報24aとして記憶し、第1ガイドポイントの次に音声案内を行うべき場所に関する情報を第2ガイドポイント情報24bとして記憶する。ここで、ガイドポイントとは、自車両の予定経路、現在位置および地図情報をもとに、運転者に対して案内音声を出力すべきと判断した場所である。この判断、すなわち「どの場所で案内音声を出力すべきか」の判断については、従来技術と同様であるのでここでは説明を省略する。
第1ガイドポイント情報の内容は、より具体的には、自車両の現在位置からその場所(第1ガイドポイント)までの距離情報と、その場所で自車両が取るべき方向を示す方向情報と、その場所の高さ情報である。同様に、第2ガイドポイント情報の内容は、第1ガイドポイントからその場所(第2ガイドポイント)までの距離情報と、その場所で自車両が取るべき方向を示す方向情報と、その場所の高さ情報である。なお、第2ガイドポイント情報における距離情報は、自車両の現在位置から第2ガイドポイントまでの距離を示す情報であってもよい。
例えば、自車両が現在位置から300m先の交差点で右折し、右折後の信号で左折する場合、第1ガイドポイントは300m先の交差点であり、右折後の信号が第2ガイドポイントである。
ガイド内容作成部24は、これらの第1ガイドポイント情報と第2ガイドポイント情報とを用いて経路誘導の内容を決定する。さらに経路誘導のうち、音声によって出力する内容についてはガイド音声制御部25に出力し、ディスプレイに表示する内容についてはガイド表示制御部26に出力する。
ガイド音声制御部25は、ガイド内容作成部24の出力をもとに、ガイド音声を運転者に対してどの方向から出力するかを決定してスピーカ制御部4に送信する。また、ガイド表示制御部24は、ガイド内容作成部24の出力をもとに、ディスプレイに表示する内容をオーディオユニット3に送信する。
オーディオユニット3は、その内部に主制御部31、オーディオ出力制御部32、およびディスプレイ33を有する。ここで、主制御部31およびオーディオ出力制御部32は、マイコンなどによって構成しても良いし、電子回路によって構成しても良い。また、本構成は各機能によって区分したものであり、物理的な構成については双方を統合したものとしてもよい。
主制御部31は、オーディオユニット3を全体制御する制御部であり、例えば、オーディオユニット3がDVDプレイヤーであるならば、DVDディスクに記憶された音楽情報などを読み出してオーディオ出力制御部32に出力するとともに、映像情報などを読み出してディスプレイ33に表示する。さらに、オーディオ出力制御部32は、主制御部31が出力した音楽情報を、スピーカ制御部4に送信する。なお、このオーディオユニット3は、DVDプレイヤーに限らず、コンパクトディスク、ハードディスク、ラジオ、テレビなどの機能を有するものであってもよい。
ここで、ディスプレイ33は、ナビゲーションユニット2による経路誘導の画像表示と共用される。そこで、主制御部31は、ナビゲーションユニット2内部にガイド表示制御部26から受信した内容をディスプレイ33に表示させる機能を有する。すなわち、主制御部31は、各種媒体から情報の読出し、出力とともに、ディスプレイ33の統合管理を行うこととなる。
スピーカ制御部4は、その内部に主制御部41、コーディック42、DSP(Digital Signal Processor)43、およびアンプ44を有する。主制御部41、コーディック42、DSP43は、マイコンなどによって構成しても良いし、電子回路によって構成しても良い。また、本構成は各機能によって区分したものであり、物理的な構成については双方を統合したものとしてもよい。
ナビゲーションユニット2内のガイド音声制御部25から受信した音声情報や、およびオーディオユニット3内部のオーディオ出力制御部32から受信した音楽情報は、所定のデジタル圧縮処理が施されている。そこで、コーディック42は、その内部に有するA/D部42aによってこれらの音声情報、音楽情報を復号し、音データとしてDSP43に出力する。
また、主制御部41は、スピーカ制御部4を全体制御する制御部であり、具体的には、ナビゲーションユニット2からの音声出力と、オーディオユニット3からの音楽出力とを統合制御し、どのスピーカからどれだけの出力で音声再生および音楽再生を行うかを制御する。
DSP43は、主制御部41の出力をもとに、各スピーカからの出力内容を決定し、A/D部42aの出力についてデジタル信号処理を施し、コーディック42内部のDAコンバータ部(D/A部42b)に出力する。D/A部42bの出力は、アンプ44によって出力強度を調整され、スピーカSP1〜SP4から音声や音楽として再生される。
スピーカSP1〜SP4は、車室内において、例えば右フロントスピーカ、左フロントスピーカ、右リアスピーカ、左リアスピーカのように配置する。これらのスピーカは、それぞれの出力強度を制御することで、運転者に対して所望の方向、所望の距離から音声が聞こえるように音声の出力を行うことができる。このように、運転者に対して仮想的な位置から聞こえるように出力する音声を、以下、音像と表記し、その仮想的な位置を音像位置と表記する。
音像位置はガイド音声制御部25によって決定され、その音像位置を実現するためのスピーカ出力は主制御部41およびDSP43によって調整される。ガイド音声制御部25は、具体的には、第1ガイドポイントの距離情報、方向情報および高さ情報から音像の位置を決定する。
つぎに、ナビゲーション装置1における音像の作成についてさらに説明する。図2は、音像の作成の具体例を説明する説明図である。同図では、運転者50に対して3つの音像作成範囲51,52,53を設定している。音像作成範囲51は、自車両の現在位置の近傍での操作を案内する場合に使用する。また、音像作成範囲52は、自車両の現在位置から中距離、たとえば300m先での操作を案内する場合に使用する。さらに音像作成範囲53は、自車両の現在位置から遠距離、例えば700m先での操作を案内する場合に使用する。
音像作成範囲51は、その内部に移動開始位置51aおよび方向変化位置51bを有する。音像作成範囲51に音像を作成する場合、まず、移動開始位置51aに音像を作成し、音声出力と共に音像位置を移動させる。その後、音像の移動方向を方向変化位置51bから変化させることで、自車両がどちらの方向に進むべきかを音像の移動方向によって示す。
音像作成範囲51では、音像の移動方向として「前方」、「右前方」、「左前方」、「右方向」、「左方向」、「右後方」、「左後方」、「後方」の8方向に対応している。したがって、例えば運転者につぎの交差点で「右前方」に針路変更するように通知する場合、「つぎの交差点を右前方です」という音声情報を作成し、音像GV1に示すように音像位置を移動開始位置51aに定位して音声出力を開始し、音声情報の出力中に音像位置を移動させて方向変化位置51bから右前方に移動方向を変化させる。
同様に、音像作成範囲52は、その内部に移動開始位置52aおよび方向変化位置52bを有し、音像を作成する場合には、まず移動開始位置52aに音像を作成して音声出力と共に音像位置を移動させ、音像の移動方向を方向変化位置52bから変化させる。また、音像作成範囲52においても、音像の移動方向として「前方」、「右前方」、「左前方」、「右方向」、「左方向」、「右後方」、「左後方」、「後方」の8方向に対応している。
さらに、音像作成範囲53は、その内部に移動開始位置53aおよび方向変化位置53bを有し、音像を作成する場合には、まず移動開始位置53aに音像を作成して音声出力と共に音像位置を移動させ、音像の移動方向を方向変化位置53bから変化させる。また、音像作成範囲53においても、音像の移動方向として「前方」、「右前方」、「左前方」、「右方向」、「左方向」、「右後方」、「左後方」、「後方」の8方向に対応している。なお、音像作成範囲53は、運転者50に対して固定した点であっても構わない。その場合、この音像作成範囲53からの音声出力は音像の移動を伴わないこととなる。
また、音像作成範囲51の大きさは、音像作成範囲52に比して大きくしている。さらに、運転者50から音像作成範囲52の移動開始位置52aまでの距離d20、方向変化位置までの距離d21は、運転者50から音像作成範囲51の移動開始位置51aまでの距離d10、方向変化位置までの距離d11に比してそれぞれ大きい。同様に、音像作成範囲52の大きさは、音像作成範囲53に比して大きく、運転者50から音像作成範囲53の移動開始位置53aまでの距離d30、方向変化位置までの距離d31は、運転者50から音像作成範囲52の移動開始位置52aまでの距離d20、方向変化位置までの距離d21に比してそれぞれ大きい。
したがって、自車両の近傍での操作を案内する場合には、その音声は運転者50の近くで聞こえ、また音像の移動量が大きくなり、中距離での操作を案内する場合には、その音声は運転者50から中程度の距離で聞こえ、音像の移動量は小さくなる。さらに遠距離での操作を案内する場合には、その音声は遠くから聞こえ、音像の移動量は更に小さくなる、あるいは移動しないこととなる。
そのため、運転者50は、案内された経路についての情報を、音声の内容のみではなく、音像の移動によって認識することができる。さらに、例えば「右後方」や「左後方」、「後方」への案内音声であっても、音像位置が移動開始位置51a,52aから前方に移動した後、方向変化位置51b,52bまで直進した後に方向が変化するので、自車両の実際の挙動に即して方向の案内をすることができ、かつ運転者50の前方から音声の出力を行うことができる。そのため、運転者50に負担をかけることなく音声出力における情報量を増加させ、効果的な経路誘導を行うことができる。
図3に、自車両の後方への経路誘導を行う場合の具体例を示す。同図では、音像作成範囲51に音像GV4を作成している。この音像GV4は、まず、音像位置を移動開始位置51aに定位して音声出力を開始し、音声情報の出力中に音像位置を移動させて方向変化位置51bから後方に移動方向が変化する。
このように、一旦前方に音像を移動させることで、運転者50の前方で自車両の後方への方向転換を指示する案内音声を出力することができる。特に、音像を移動させる場合、音像位置が運転者の頭部位置を通過するように移動させると、音声の認識率が低下し、ことに方向性の認識が困難となるが、本実施例に示す音像移動ではどのような移動方向であっても運転者の頭部位置の通過を避けることができる。
ところで、音像の移動開始位置や音像の移動量は、必ずしも固定する必要はない。例えば、自車両の速度が変化すると、ガイドポイントまでの到達時間が短くなる。そこで、車速取得部23が取得した車速に基づいて、音像の移動開始位置や音像の移動量を変化させることにより、運転者に伝達する情報量をさらに増加させることができる。
自車両の速度に基づく音像の移動開始位置および移動量の変化について、図4を参照して説明する。図では、音像GV5について、移動開始位置51aから方向変化位置51bまでの距離をl1、方向変化位置51bから音像の移動終了位置までの距離をl2としている。
自車両の速度が大きい場合、移動開始位置51aを前方に移動させてl1を短くすることで、自車両の操作までの時間、すなわちガイドポイントへの到達時間が短いことを示すことができる。また、自車両の速度が大きい場合には、自車両の進行方向を所望の方向へ変化させるための時間当たりの操作量が大きくなる。そこで、自車両の速度が大きい場合には、l2を長くすることで、必要な運転操作が大きいことを示すことができる。
また、音像の移動方向は、必ずしも水平方向に限定されるものではない。例えば、自車両が高速道路などの高架道路へ上がる場合や、高架道路から降りる場合などには、自車両の進行方向に高さ成分が加わる。そこで、ガイドポイントに関する情報から高さ情報を取得し、音像の高さを変化させることにより、自車両の実際の挙動にさらに即した音声案内を実現することができる。
図5は、音像の高さ方向の変化を説明する説明図である。同図では、音像作成領域51に作成した音像GV6は、まず、音像位置を移動開始位置51aに定位して音声出力を開始し、音声情報の出力中に音像位置を移動させて方向変化位置51bから上方に移動方向が変化する。そのため、音声出力における情報量をさらに増加し、自車両が高架道路へ上がることを簡明に示すことができる。なお、この高さ方向の音像移動は、水平方向の音像移動と組み合わせて実行可能であることはいうまでもない。
つぎに、複数のガイドポイントについて連続して通知する場合について説明する。例えば、第1ガイドポイントの方向情報が右折を、第2ガイドポイントの方向情報が左折を示しており、かつ第1ガイドポイントと第2ガイドポイントが近接している場合、「次の交差点を右折です。その先の信号を左折です。」と連続した音声を作成し、出力することが望ましい。
しかしながら、このような連続した音声において、それぞれの方向(右折に対応する右側、左折に対応する左側)から音声を出力したり、また、音像を一旦右側に移動させた後に左側に移動させることとすると、運転者の混乱を招く。そこで、連続する音声出力では、図6に示すように、第1ガイドポイントに対応する方向61(右側)から第1ガイドポイントおよび第2ガイドポイントに対応する音声出力をおこない、第2ガイドポイントに対応する方向62(左側)からは音声出力を行わない。
このように、連続した音声出力においては、つぎに必要な操作方向のみから音声出力をおこなう。すなわち、ガイド音声制御部25において音像を作成する場合には、第1ガイドポイントと第2ガイドポイントとを独立に取り扱うのではなく、総合的な時系列情報として処理し、音像の作成位置や移動方向を決定する。したがって、運転者の混乱を招くことなく時系列の情報を明確に伝達することが可能となる。
つぎに、スピーカ制御部4における主制御部41の動作について説明する。オーディオユニット3から音楽情報が出力されている、すなわちスピーカSP1〜SP4から音楽などが出力されている状態で、ナビゲーションユニット2から音声情報が出力された場合、経路誘導のための音声情報を運転者により効果的に伝達するため、音楽情報の出力を低下させることが望ましい。
しかしながら、音楽情報の出力レベルの急激な変化は、運転者や同乗者に違和感を与える。そこで、主制御部41は、経路誘導のための音声情報(ガイド音声)を出力する場合には、音楽情報の出力(オーディオ出力)を段階的に変化させることで、運転者や同乗者の違和感を減少させる。
図7は、音楽情報出力中のガイド音声出力について説明する説明図である。同図に示すように、初期状態において、音楽情報が0dBで出力されている。主制御部41は、このオーディオ出力中に、ナビゲーションユニット2から音声情報の出力要請があった場合には、音声情報の出力に先立ってオーディオ出力を段階的に減少させる。
図7においては、主制御部41は、時刻t11に音声情報の出力要請を受信し、時刻t11からオーディオ出力を段階的に減少させている。その後、オーディオ出力が−6dBまで低下した時点(時刻t12)において、音声情報の出力を開始する。
さらに時刻t13において音声情報の出力が終了した、すなわち音声による経路誘導が終了した後に、時刻t14においてオーディオ出力が0dBに回復するまで段階的に出力を回復させている。
このように、音声による経路誘導の前後にオーディオ出力を段階的に低下・回復させることで、運転者や同乗者が感じる違和感を減少させることができる。
ところで、この図7においては、音声出力開始前のオーディオ出力の低下率と、音声出力終了後のオーディオ出力の回復率を同一としている。しかしながら、例えば、ガイドポイント近傍での音声案内など、緊急度の高い音声出力を行う場合には、オーディオ出力の回復のみを段階的に行うこととしても良いし、オーディオ出力の低下率を回復率に比して大きくしても良い。
図8は、オーディオ出力の回復のみを段階的に行う場合について説明する説明図である。同図では、主制御部41は、時刻t21に音声情報の出力要請を受信し、時刻t21の時点でオーディオ出力を0dBから−6dBに低下させ、音声情報の出力を開始している。
その後、時刻t22において音声情報の出力が終了した、すなわち音声による経路誘導が終了した後に、オーディオ出力の段階的な回復を開始し、時刻t23においてオーディオ出力を0dBに回復させている。
また、図9は、オーディオ出力の低下率を回復率に比して大きくした場合について説明する説明図である。同図では、主制御部41は、時刻t31において音声情報の出力要請を受信し、音声出力の開始時点である時刻t32までにオーディオ出力を段階的に低下させるとともに、音声出力の終了時点(時刻t34)から時刻t35までの間にオーディオ出力を段階的に回復させている。
ここで、時刻t31から時刻t32までのオーディオ出力の低下率は、時刻t34から時刻t35までのオーディオ出力の回復率に比して大きい。したがって、音声出力の要請から音声出力の開始までの時間を短縮しつつ、音声出力終了後のオーディオ出力変化による違和感を減少させることができる。
このように、オーディオ出力の制御は、任意の方式によって行うことができる。また、このオーディオ出力の制御は、音声出力の内容によって変化させることとしてもよい。例えば、ガイドポイントが遠距離である場合には図7に示した制御を使用し、ガイドポイントが近距離である場合には図8に示した制御を使用し、ガイドポイントが中距離である場合には図9に示した制御を使用しても良い。同様に、音声出力の内容の緊急度も、オーディオ出力の制御方法の選択基準として利用可能である。
ところで、ガイド音声の出力値は、必ずしも固定する必要は無く、時間などによってその出力レベルを変更することとしても良い。たとえば、夜間の出力レベルを昼間の出力レベルに比して小さくしても良いし、郊外などでの出力レベルを市街地での出力レベルに比して小さくしても良い。時間の情報や自車両の位置情報は、GPS受信部21から取得することができる。
つぎに、ナビゲーションユニット2とスピーカ制御部4との通信について説明する。ナビゲーションユニット2とスピーカ制御部4との通信は、車載LAN機能を用いて通信しても良いし、直接配線を行っても良い。直接配線を行う場合にはナビゲーションユニットから経路誘導音声信号、音像方向指定信号、オーディオ出力ミュート信号のそれぞれに対応する配線を行う。
経路誘導音声信号は、出力する音声の波形を示す信号であり、この信号はアナログ信号を用いても良いし、デジタル信号を用いても良い。また、音像方向指定信号は、音像の作成位置や移動内容を示す信号であり、テキストデータやバイナリデータを利用することができる。さらに、オーディオ出力ミュート信号は、経路誘導の音声信号の出力要求、すなわちオーディオユニット3などが出力する音楽情報の再生出力の低下、もしくは再生の停止を要求する信号であり、二値信号などを用いることができる。
つぎに、音像作成の処理動作について図10を参照して説明する。図10に示した処理フローは、ナビゲーションユニット2の動作時に繰り返し実行される。まず、ガイド内容作成部24は、自車両の位置および予定経路から、ガイドポイント情報を作成する(ステップS101)。つぎに、ガイド内容作成部24は、ガイドポイントが自車両の近傍に存在するか否かを判定する(ステップS102)。
ガイドポイントが自車両の近傍に存在するならば(ステップS102,Yes)、ガイド音声制御部25は、音像作成範囲を近距離に設定、すなわち音像作成範囲51を選択する(ステップS105)。一方、ガイドポイントが自車両の近傍に存在しなければ(ステップS102,No)、ガイド内容作成部24は、ガイドポイントが自車両から300m以内に存在するか否かを判定する(ステップS103)。
ガイドポイントが自車両から300m以内に存在するならば(ステップS103,Yes)、ガイド音声制御部25は、音像作成範囲を中距離に設定、すなわち音像作成範囲52を選択する(ステップS106)。一方、ガイドポイントが自車両から300m以内に存在しなければ(ステップS103,No)、ガイド内容作成部24は、ガイドポイントが自車両から700m以内に存在するか否かを判定する(ステップS104)。
ガイドポイントが自車両から700m以内に存在するならば(ステップS104,Yes)、ガイド音声制御部25は、音像作成範囲を遠距離に設定、すなわち音像作成範囲53を選択する(ステップS107)。一方、ガイドポイントが自車両から700m以内に存在しなければ(ステップS104,No)、ガイド内容作成部24は、処理を終了する。
音像作成範囲の設定(ステップS105,ステップS106,ステップS107)終了後、ガイド音声制御部25は、第1ガイドポイント情報および第2ガイドポイント情報を用いて音像データを作成する(ステップS108)。
その後、第1ガイドポイント情報および第2ガイドポイント情報に高さ情報が存在するか否かを判定し(ステップS109)、高さ情報が存在するならば、音像データに高さ情報を付加する(ステップS110)。
ステップS110終了後、もしくは第1ガイドポイント情報および第2ガイドポイント情報に高さ情報が存在しない場合(ステップS109,No)、ガイド音声制御部25は、音像データをスピーカ制御部22に出力して(ステップS111)、処理を終了する。
ところで、以上に説明した各種処理、すなわち、音像を用いた音声情報への方向性の付加(音像の移動制御)、連続した音声情報再生時の第1ガイドポイントへの音像の固定、音像への高さ情報の付加、オーディオ出力の段階制御(リニアアッテネーション)の各機能は、それぞれの使用可否をユーザが選択するように構成しても良い。
ユーザによる機能の選択は、例えばタッチパネルディスプレイなどを利用して受け付けることができる。図11は、機能選択をおこなうディスプレイ画面の具体例を説明する説明図である。同図に示したディスプレイ画面70では、方向感制御、すなわち音像の移動制御について、「ON」、「OFF:左」、「OFF:右」を選択する仮想的なボタンを作成している。ここで、「OFF:左」は、音像の移動制御をおこなうことなく左サイドスピーカからのみ音声出力を実行することを指示するボタンであり、「OFF:右」は、音像の移動制御をおこなうことなく右サイドスピーカからのみ音声出力を実行することを指示するボタンである。
また、連続音声案内モード、すなわち連続した音声情報再生時の第1ガイドポイントへの音像の固定については、「先方向固定」、「固定なし」を指示する仮想的なボタンを作成し、高さ制御、すなわち音像への高さ情報の付加については「ON」および「OFF」を指示する仮想的なボタンを作成している。
さらに、音楽信号リニアアッテネーション、すなわちオーディオ出力の段階制御については、その機能自体の「ON」、「OFF」を指示する仮想的なボタンと、出力の低下率(スロープ<DOWN>)を指定する入力欄、出力の回復率(スロープ<UP>)を指定する入力欄とを作成している。
このように、各機能について、その機能を使用するか否か、また動作内容の設定を、ユーザから入力可能とすることで、ユーザの嗜好に合わせた出力制御を行うことができる。
一例として、連続した音声情報再生時に、音像の方向を固定するか否かを選択可能とした場合の処理フローを図12に示す。この図12の処理フローは、図10に示した処理フローにユーザによる選択内容を確認するステップを付加したものであり、具体的にはステップS105とステップS108との間にステップS201およびステップS202を、ステップS106とステップS108との間にステップS203およびステップS204を、ステップS107とステップS108との間にステップS205およびステップS206を付加している。
図12に示した処理フローでは、ステップS105において音像作成範囲を近距離に設定した後、ガイド音声制御部25がユーザによって選択された設定内容を確認し、先行音声固定のモード設定になっているか否か(連続した音声情報再生時の第1ガイドポイントへの音像の固定が選択されているか)を判定する(ステップS201)。
先行音声固定のモード設定になっている、すなわち、連続音声案内モードの「先行方向固定」のボタンが選択されている場合(ステップS201,Yes)、ガイド音声制御部25は、第1ガイドポイントについて案内を行う音像の方向と、第2ガイドポイントについて案内を行う音像の方向とを、第1音声方向(第1ガイドポイントの方向情報に示された方向)に固定する(ステップS202)。そして、このステップS202の終了後か、もしくは先行音声固定のモード設定になっていない場合、すなわち、連続音声案内モードの「固定なし」のボタンが選択されている場合(ステップS201,Yes)に、音像データの作成(ステップS108)に移行する。
同様に、ステップS106において音像作成範囲を中距離に設定した後、ガイド音声制御部25は、先行音声固定のモード設定になっているか否かを判定する(ステップS203)。その結果、先行音声固定のモード設定になっている場合(ステップS203,Yes)、ガイド音声制御部25は、第1ガイドポイントについて案内を行う音像の方向と、第2ガイドポイントについて案内を行う音像の方向とを、第1音声方向に固定する(ステップS204)。そして、このステップS204の終了後か、もしくは先行音声固定のモード設定になっていない場合(ステップS203,Yes)に、音像データの作成(ステップS108)に移行する。
さらに、ステップS107において音像作成範囲を遠距離に設定した後、ガイド音声制御部25は、先行音声固定のモード設定になっているか否かを判定する(ステップS205)。その結果、先行音声固定のモード設定になっている場合(ステップS205,Yes)、ガイド音声制御部25は、第1ガイドポイントについて案内を行う音像の方向と、第2ガイドポイントについて案内を行う音像の方向とを、第1音声方向に固定する(ステップS206)。そして、このステップS206の終了後か、もしくは先行音声固定のモード設定になっていない場合(ステップS205,Yes)に、音像データの作成(ステップS108)に移行する。
その他の処理ステップの処理動作については図10に示した処理フローと同様であるので、ここでは説明を省略する。
この図12に示した処理フローでは、音像の方向を決定する場合に、ユーザによる設定内容を確認するので、「先行方向固定」が選択されていれば第1音声方向に固定して音声案内を行うことができ、また、「固定なし」が選択されていれば、第1ガイドポイントについての音声案内と第2ガイドポイントについての音声案内とをそれぞれ異なる方向から出力することができる。
他の機能(音像を用いた音声情報への方向性の付加、音像への高さ情報の付加、オーディオ出力の段階制御)についても同様に、ユーザによる設定内容を確認する処理ステップを付加することで、それぞれの機能を使用するか否かを詳細に設定することが可能である。
上述してきたように、本実施例にかかるナビゲーションシステム1では、運転者の前方に音像作成範囲を設定し、音像の移動によって経路方向についての情報、距離についての情報、さらに高さについての情報を提供するので、運転者に負担をかけることなく音声出力における情報量を増加させ、効果的な経路誘導を行うことができる。
また、連続した音声案内を行う場合には、先に操作が必要な方向に固定して音声出力を行うので、運転者の混乱を招くことなく時系列の情報を明確に伝達することが可能となる。
さらに、音声による経路誘導の前後にオーディオ出力を段階的に低下・回復させることで、ユーザに違和感を与えることなく経路誘導の内容を効果的かつ確実に伝達することができる。
なお、本実施例に示した構成は、本発明の利用の一例であり、各種変形を行って実施してもよいものである。例えば、本実施例では、ナビゲーションユニット、オーディオユニット、スピーカ制御をそれぞれ独立した構成としたが、これらを一体に構成してもよいことは言うまでもない。
また、本実施例では説明を簡明にするために、ガイドポイントとして第1ガイドポイントと第2ガイドポイントのみを例に説明したが、さらに多くのガイドポイントを使用してガイド音声の制御を行ってもよい。
また、本実施例では3つの音像作成範囲を設定した場合を例示して説明を行ったが、音像作成範囲の数は任意の数で設定可能であることは言うまでもない。