JP4016707B2 - 像変化機能を有する媒体 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、隠し文字やパターンでなる潜像画像が形成されていて、視角によって顕像化する機能を有する媒体に関するものであり、例えばクレジットカード等カード類やブランド商品等の偽造防止を必要とする商品に付加することができる像変化機能を有する媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、潜像画像の形成に関する方法は種々ある。例えば透明インキメジウム中にフィラーを入れたものを印刷し鉛筆でその部分を擦ると鉛筆の粉が印刷部分に付着して隠し文字が現れる鉛筆出し印刷(デコマット)があるが、この潜像画像はよく見るとわかってしまうため、本格的な潜像というよりは、遊び用として使用されている。
また、例えば不可逆性感熱発色インキは、熱をかけることによって発色するインキであって、白色もしくは無色透明のインキを用いたものがあるが、潜像画像としては有効であるが、潜像画像を顕像化させるための熱源装置が必要であり、かつ一回潜像画像を表示させたものを消色することができないため、用途が限定されるという問題がある。
また、酸化チタン等金属よりも硬いフィラーを含有させた白色インキを白色の紙に印刷し、コイン等で擦ることにより潜像画像を顕像化させる方法があり、これにマット調のニスを設けることにより目視で見えなくできるが、顕像化できるのは一回限りであることより用途が限定される。
これに対し繰り返し顕像化可能な媒体として可逆性感熱発色インキ(サーモクロミックインキ)がある。このサーモクロミックインキは熱をかけることにより可逆的に発色するインキで、熱を加えると発色もしくは消色し、しばらく放置すると元の状態に戻るものである。このインキも潜像画像としてもしくは画像を隠蔽するという形で使われているが、耐性とくに耐熱性が劣ることから用途が限定される。
また、繰り返し顕像化可能な媒体としてフォトクロミックインキがあり、このフォトクロミックインキは、光、特に紫外線を照射することにより発色するインキで、白色もしくは無色透明のインキがあることより潜像画像として用いられているが、耐性とくに耐光性が弱いことより用途が限定されている。
また、蛍光インキは紫外線を照射することにより発光するインキで、白色または無色透明のインキがあることより潜像画像として用いられている。この蛍光インキには有機タイプと無機タイプがあり、有機タイプは印刷インキ中にごく少量含有するだけで発光が確認されるが、耐光性が弱いため用途が限定される。また、無機タイプは印刷インキ中に多く入れる必要があり(10〜20%程度)、潜像画像としては目視でわかってしまうため、デザイン等に工夫が必要である。
さらにまた、網点等のモアレ(干渉縞)を利用して潜像画像を形成する方法は、網点のピッチもしくは角度を部分的に変えることにより、整然と並んだ網点の透明フィルムを潜像画像に重ねることでモアレが発生し、画像が出現するもので、この場合、簡単な表示媒体で繰り返しの使用が可能であるが複雑な画像を形成できないという問題がある。
また、磁性インキによる潜像画像は磁気記録可能な保持力(約300Oe以上)のある磁性層をパターン状に磁化させる方式で画像形成を行い、磁性層状に鉄粉をふりかけることで磁化されている部分に鉄粉が集まる性質を利用し画像表示する方式で、この方式では潜像画像を表示させる工程が煩雑であり、また画像の書き換えが可能であることより用途が限定される。
また、赤外線域を利用し赤外光を吸収するインキにて画像を形成し、この上に前記画像を隠蔽し目視できないようにするとともに赤外線領域で光を透過する層を設けた潜像画像があるが、この潜像画像を表示させるためには赤外線カメラ等が必要であり、装置的に大がかりとなる。また、可視光域では白色もしくは無色であるが赤外線域に吸収のあるインキ(IVインキ)があるが、これも前記同様赤外線カメラ等が必要である。
【0003】
一方、近年の電子写真技術を利用したコピー機の急速な普及と供に、最近のカラーコピー機を利用すれば、誰でも簡単に原稿か複写物か見分けが極めて困難な複写物を容易に作成することができるようになった。このように、カラーコピーは便利である反面、株券、債券、約束手形、小切手などの有価証券や、入場券、搭乗券等の印刷物が容易に偽造されるという問題が増加しつつある。このようなコピーを牽制し、セキュリティ性を高める手段として、上記有価証券類等に各種コピーによる偽造防止技術が施されている。例えば、透かしを入れた紙、着色用紙、チップ入り紙等の基材自体によるコピー防止技術や、地紋、彩紋、棒彩紋、ロゴライン等の印刷及び蛍光インキ、消色インキ等の特殊インキを使用した特殊印刷によるコピー防止技術、また、印刷原稿内に複写禁止対象物であることを示す情報を含ませて作成する電子透かしと呼ばれるコピー防止技術等がある。しかし、これら技術は煩雑になり、コスト高になる等の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、市販のカラー複写機などによる偽造や複製が困難な、隠し文字やパターン等潜像画像の形成にコストが嵩まず、かつその潜像画像の顕像化に特殊な装置等を必要とせず、さらにその顕像化が繰り返しも可能で、耐熱性や耐光性にも優れる像変化機能を有する媒体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、透明なセンター基材シートの表裏面の一部領域もしくは全域に、同一形状の万線が見当が合った状態で形成された媒体であって、表裏どちらか一方の面に形成された万線は、潜像部と非潜像部とでなり、もう一方の面に形成された万線は、非潜像部と潜像部とでなり、全ての万線が平行に形成され、前記非潜像部を形成する万線は前記潜像部を形成する万線に対し1/2ピッチずれた万線からなり、前記表裏面の潜像部は表裏同一位置とならないように配置されており、前記表裏どちらか一方の面に形成された万線を覆うように、該万線およびもう一方の面に形成された万線を引き立たせる背景色でなるべタ印刷層が施されていることを特徴とする像変化機能を有する媒体としたものである。
【0006】
上記請求項1に係る発明によれば、例えばプラスチックでなる透明シートの表裏面に同一形状の万線が見当が合った状態で形成されていて、その一方の面に形成された万線が潜像部と非潜像部からなっているので、表裏いずれかから見ると、一方の面に形成された潜像部と非潜像部でなる万線ともう一方の面に形成された万線が合成され、視角の変化によりその潜像部が非潜像部から浮かび上がったように顕像化される像変化機能を有する媒体とするもので、このように両面の万線が印刷法で形成されているのでコストが嵩まず、かつ耐熱性と耐光性にも優れ、さらに視角の変化により顕像化できるので、特殊な装置等を必要とせず、複写機による複写では不可能な像変化機能を有する媒体とすることができる。
【0007】
【0008】
また、潜像部を、非潜像部を形成する万線に対し、1/2ピッチずれた万線で形成するので、製版技術で容易に潜像部を形成することができ、表裏面のいずれかの面から見ると、視角によりこの潜像部が非潜像部から黒く(万線が黒っぽい場合)または白く(反対面に白い紙等がある場合)浮かび上がったように顕像化される像変化機能を有する媒体とすることができる。この潜像部のピッチのずれが1/4に満たないと、この顕像化で黒くなる程度が少なくなり、逆に2/3ピッチを越えると、白くなる程度が少なくなり、顕像化されたパターンが視認しにくい像変化機能を有する媒体となるので好ましくない。
【0009】
また、請求項2の発明では、前記万線は、直線、曲線もしくは幾何学的紋様であることを特徴とする請求項1記載の像変化機能を有する媒体としたものである。
【0010】
上記請求項2に係る発明によれば、表裏面に施す万線の形状を、直線、曲線もしくは幾何学的紋様とすることによって、デザイン的効果を付与した像変化機能を有する媒体とすることができる。
【0011】
また、請求項3の発明では、前記万線の線幅は、0.1〜0.5mmの範囲で、その間隔は、該線幅と略同一であることを特徴とする請求項1または2記載の像変化機能を有する媒体としたものである。
【0012】
上記請求項3に係る発明によれば、表裏面に施す万線の線幅を0.1〜0.5mmの範囲で、その万線同志の間隔(万線と万線の間で白い部分をいう)を、この線幅と略同一とすることによって、印刷による形成で表裏面の見当が合わせ易く、その万線とその潜像部の形成が容易でかつ顕像化された潜像部のパターンもくっきりと出るものとすることができ、この線幅と間隔が0.1mmに満たないと、印刷では再現が困難となり、かつ表裏の見当がわずかにずれても潜像部の顕像化されたパターンが視認しにくくなり、逆に線幅と間隔が0.5mmを越えるとピッチをずらした潜像部が潜像部とはならず視角を変化させなくとも視認されるようになり、かつそのパターンの輪郭がぎざぎざしたものとなるので好ましくない。
【0013】
また、請求項4の発明では、前記センター基材の厚さは、0.1〜1.0mmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の像変化機能を有する媒体としたものである。
【0014】
上記請求項4に係る発明によれば、透明なセンター基材の厚さを、0.1〜1.0mmの範囲とすることによって、万線と直角方向に見る角度を変えると、上記潜像部の顕像化が容易にでき、この基材の厚さが、0.1mmに満たないと、見る角度をかなり変えないと潜像部が黒く見えたり、白く見えたりしにくいものとなり、逆に1.0mmを越えるとわずかの視角の変化で潜像部が顕像化され、かつ印刷や切断等加工がしにくい等の問題があるので好ましくない。
【0015】
【0016】
上記各発明によれば、表裏どちらか一方の面に形成された万線を覆うように、この万線およびもう一方の面に形成された万線を引き立たせる背景色でなるベタ印刷層を施すことによって、このベタ印刷層が施されていない面から見ると、万線および潜像部が顕像化されたパターンが視角の変化によりよりくっきりと引き立って見え、例えば真偽判定等がし易い像変化機能を有する媒体とすることができる。
【0017】
上記の「ベタ」とは、印刷辞典(日本印刷学会編)によれば、印刷面に濃淡の差や白く抜けた部分がなく、印刷インキで完全に覆われている部分のことで、網点印刷物では、網点面積率が100%の部分をいう。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いながら詳細に説明する。
参考例の像変化機能を有する媒体として、例えば図1の平面図に示すように、カード用の透明なプラスチックシート(10)の表面に文字等でなる印字部(12)とその一部領域に、黒色系の表面万線パターン(20)が施され、図1のB−B面断面を表す図2の側断面図に示すように、この透明なプラスチックシート(10)の裏面には、黒色系の裏面万線パターン(30)が上記表面万線パターン(20)と見当が合った状態で印刷によって形成され、表裏面にはオーバーコート層(40)が施されている像変化機能を有するカード(1)である。
【0019】
そこで本発明では、例えば図3(a)の平面図に示すように、上記表面万線パターン(20)には、潜像部(22)(図面ではハート型で視認できるように記してあるが、実際は視認できないようになっている)と非潜像部(24)(万線の集合でなっている)でなっていて、図3(b)の平面図に示すように、上記裏面万線パターン(30)は、上記図3(a)に示す表面万線パターン(20)の非潜像部(24)と同様の万線でなる非潜像部(34)(万線の集合)のみでなっているものである。
【0020】
上記表面万線パターン(20)の潜像部(22)を、図示しないが、裏面万線パターン(30)に施し、さらには表裏両面に万線パターン(20,30)を施すが、この表裏両面に万線パターンを施す場合は、それら潜像部(22)同志が重ならないように、即ち表裏面の異なる位置に施す必要がある。
【0021】
さらに上記表面万線パターン(20)の潜像部(22)は、例えば図4の拡大平面図に示すように、表面万線パターン(20)の非潜像部(24)を形成する万線に対し、1/2ピッチずらした万線で形成されているものである。
【0022】
以上のような潜像部(22)と非潜像部(24)とでなる表面万線パターン(20)と、参考例の様に非潜像部(34)のみでなる裏面万線パターン(30)とが設けられた像変化機能を有するカード(1)を、例えば図2に示すように表面側から見ると、図5(a)の拡大図に示すように、表裏万線パターン(20,30)が重なって、潜像部(22)が黒く(表裏万線パターンが黒色系の場合)顕像化され、また、この位置から万線に対し直角方向に視角を変えてみると、例えば図5(b)に示すように、表裏万線パターン(20,30)が1/2ピッチずれた状態で重なって、非潜像部(24,34)が黒くなり、潜像部(22)が白く(但し例えば反対面に白い紙等を置いた場合)顕像化される像変化機能を有するカードとすることができる。
【0023】
表裏万線パターン(20,30)は、茶褐色等を含め濃度のあるものが、非潜像部(24,34)が顕像化された場合見えやすいので好ましく、黒色系であればより好ましい。
【0024】
また、本発明では、図3(a)、(b)に示すような直線でなる表裏万線パターン(20,30)の他に、例えば図6に示すように、曲線状の万線パターン(20a)とすることもでき、図示しないが波状あるいは○状、□状、△状のように規則的な幾何学的紋様の万線パターンでなる像変化機能を有する媒体とするものである。
【0025】
また、本発明では、例えば図4に示すように、表面万線パターン(20)の線幅(W)を、0.1〜0.5mmの範囲とし、その間隔(S)を、線幅(W)と略同一として、印刷による形成で表裏面の見当が合わせ易くし、その万線パターンとその潜像部の形成が容易でかつ顕像化された潜像部のパターンもくっきりと出るようにしたものである。
【0026】
また、本発明では、透明なセンター基材の厚さを、0.1〜1.0mmの範囲としたもので、見る角度を変える(センター基材を傾けてもよい)ことによる潜像部の顕像化が容易にしたもので、例えば図2に示すカード(1)の場合は、透明なプラスチックシート(10)の厚さ(D)は、カードの規格(0.68〜0.84mm)に対し、オーバーコート層(40)を差し引いた0.5mm程度であり、潜像部の顕像化には好適な厚さである。
【0027】
さらにまた、参考として、図7(a)の側断面図に示すように、表面の印字部(12)と表面万線パターン(20)を覆うように、黒色系の裏面万線パターン(30)や表面万線パターン(20)の潜像部が顕像化されたパターンを引き立たせる背景色(例えば白色系)でなるベタ印刷層(50)を設け、さらに表裏面の最外層にオーバーコート層(40)を設けたものとしたもので、このベタ印刷層(50)によって、裏面から角度を変えてみると、潜像部が顕像化されたパターンがくっきりと浮かびあがって視認される像変化機能を有するカード(1)とするが本発明では、図7(b)の側断面図に示すように、表面の印字部(12)と表面万線パターン(20)を覆うように、表面万線パターン(20)や潜像部が顕像化されたパターンを引き立たせる背景色(例えば白色系)でなり、かつオーバーコート層を兼ね備えたベタ印刷層(52)を設け、裏面の最外面にはオーバーコート層(40)を設けたものとすることもできる。なお図7(a)の参考例と同様、本発明の(b)の場合の印字部(12)は、裏面からみて「正」向きである必要がある。
【0028】
また、例えば図8(a)に示すように、裏面万線パターン(30)を覆うように、黒色系の裏面万線パターン(30)や表面万線パターン(20)の潜像部が顕像化されたパターンを引き立たせる背景色(例えば白色系)でなるベタ印刷層(50)を設け、表裏面の最外層にオーバーコート層(40)を設けたものとすることもできる。このベタ印刷層(50)によって、表面から角度を変えてみると潜像部が顕像化されたパターンがくっきりと浮かびあがって視認される像変化機能を有するカード(1)とすることができるが本発明では、図8(b)の側断面図に示すように、裏面万線パターン(30)を覆うように、表面万線パターン(20)や潜像部が顕像化されたパターンを引き立たせる背景色(例えば白色系)でなり、かつオーバーコート層を兼ね備えたベタ印刷層(52)を設け、表面の最外面にはオーバーコート層(40)を設けたものとすることもできる。なお図8(a)の参考例と同様、本発明の(b)の場合の印字部(12)は、通常の如く表面からみて「正」向きであってよい。
【0029】
以下に本発明の像変化機能を有する媒体を構成する各層の材料や作成方法等について述べる。
上記本発明に係る透明なセンター基材としては、0.1〜1.0mmの範囲の透明シートであれば、特に限定するものではないが、例えばカード等の如く切断やエンボス等加工性を考慮すると、プラスチックシートが好適で、上記カードの場合は、前述したように0.5mm程度の透明プラスチックで、塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)あるいはABSのシートなどが挙げられ、特にエンボス適性等から塩化ビニルが多く使用され、近年では焼却での環境問題等から非晶性のPET等を含め前記の樹脂を工夫して使用するようになってきている。
【0030】
また、上記表裏万線パターン(20,30)としては、例えばオフセットインキ、グラビアインキ、スクリーンインキ等を用い、それぞれの印刷法で、その線幅(W)が0.1mm〜0.5mmの範囲で、そのピッチ(P)を前記線幅と同じように形成するものである。
【0031】
また、上記表裏万線パターン(20,30)等の背景色でなるベタ印刷層(50)としては、酸化チタン等が含有する白色インキを基調とした明るい色のオフセットインキ、グラビアインキ、スクリーンインキ等を用いてそれぞれの印刷法で形成すればよいが、例えば磁気カードのように、読取り機械の光学センサーでその有無を検知できるようにするためには、遮光性の高いことが必要で、アルミニウム粉末が含有しているシルバーインキとしたり、さらにアルミニウム等を蒸着した金属薄膜を転写してベタ印刷層(50)とすることもできる。
【0032】
また、参考例の図2、図7(a)および図8(a)、本発明の図7(b)および図8(b)に示すように、例えばカードの表裏面の最外層に設ける保護層(40)としては、厚さ5〜15μmの透明な塩化ビニルフィルムを熱ラミネートするのが一般的であるが、その他アクリル、ポリエステル(PETを含む)樹脂等耐熱性と堅牢性に優れた樹脂を主成分とし、機械等での滑り性等を考慮してシリコンやエチレン系ワックスを1〜5重量%の割合で配合されている樹脂をグラビア法等によるコーティングで形成することもできる。
【0033】
また、図7(b)および図8(b)に示すオーバーコート層を兼ね備えたベタ印刷層(52)としては、上記アクリル、ポリエステル等樹脂を主成分とするオーバーコート層用バインダーに酸化チタン等白色顔料が含有する白色インキを基調とした明るい色のコーティング剤を用いて、グラビア法等で形成することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、上記請求項1に係る発明においては、透明なセンター基材シートの表裏面の一部領域もしくは全域に、同一形状の万線が見当が合った状態で印刷によって形成されている像変化機能を有する媒体において、前記表裏どちらか一方の面に形成された万線が、潜像部と非潜像部からなっているので、表裏いずれかから見ると、一方の面に形成された潜像部と非潜像部でなる万線ともう一方の面に形成された万線が合成され、視角を変えてみることにより、その潜像部が非潜像部から浮かび上がったように顕像化される像変化機能を有する媒体とするもので、このように両面の万線が印刷法で形成されているのでコストが嵩まず、かつ耐熱性と耐光性にも優れ、さらには視角を変えることにより顕像化できるので、特殊な装置等を必要とせず、複写機による複写が不可能な像変化機能を有する媒体を提供できる。
【0035】
また、上記潜像部を、非潜像部を形成する万線に対し、1/2ピッチずれた万線で形成するので、製版技術で容易に潜像部を形成することができ、表裏面のいずれかの面から見ると、視角によりこの潜像部が非潜像部から黒く(万線が黒っぽい場合)または白く(反対面に白い紙等がある場合)浮かび上がったように顕像化される像変化機能を有する媒体とすることができる。
【0036】
また、上記請求項2に係る発明においては、上記表裏面に施す万線の形状を、直線、曲線もしくは幾何学的紋様とすることによって、デザイン的効果を付与した像変化機能を有する媒体とすることができる。
【0037】
また、上記請求項3に係る発明においては、上記表裏面に施す万線の線幅を0.1〜0.5mmの範囲で、その間隔を、該線幅と略同一とすることによって、その万線の印刷による形成で表裏面の見当が合わせ易く、その万線とその潜像部の形成が容易でかつ顕像化された潜像部のパターンもくっきりと出る効果のある像変化機能を有する媒体とすることができる。
【0038】
また、上記請求項4に係る発明においては、上記透明なセンター基材の厚さを、0.1〜1.0mmの範囲とすることによって、万線と直角方向に見る角度を変えると、上記潜像部の顕像化が容易にできる像変化機能を有する媒体とすることができる。
【0039】
さらにまた、上記各発明においては、上記表裏どちらか一方の面に形成された万線を覆うように、この万線およびもう一方の面に形成された万線を引き立たせる背景色でなるベタ印刷層を施すことによって、このベタ印刷層が施されていない面から見ると、万線および潜像部が顕像化されたパターンが視角の変化により、よりくっきりと引き立って見え、例えば真偽判定等がし易い像変化機能を有する媒体とすることができる。
【0040】
従って本発明は、隠し文字や隠しパターンでなる潜像画像が形成されていて、その潜像画像を顕像化する機能を有する媒体であって、例えばクレジットカード等カード類やブランド商品等の如く偽造防止を必要とする商品ににおいては、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】像変化機能を有する媒体の参考の形態を正面で表した説明図である。
【図2】像変化機能を有する媒体の参考の形態を示すもので、図1のB−B面を表す側断面図である。
【図3】参考例や本発明の像変化機能を有する媒体を形成する表裏面万線パターンの一事例を示すもので、(a)は、表面万線パターンの図であり、(b)は、裏面万線パターンの図である。
【図4】参考例や本発明の像変化機能を有する媒体を形成する表裏面万線パターンの一事例を示すもので、その表裏面万線パターンを形成する潜像部と非潜像部の拡大図である。
【図5】参考例や本発明の像変化機能を有する媒体を形成する表裏面万線パターンが重なって潜像部が顕像化された一事例を示すもので、(a)は、潜像部が黒く潜像化された図であり、(b)は、視角を変えて白く潜像化された図である。
【図6】参考例や本発明の像変化機能を有する媒体を形成する表裏面万線パターンの他の一実施例を示す拡大図である。
【図7】参考例や本発明の像変化機能を有する媒体の他の一実施の形態を示すもので、(a)は、その参考例の表面にベタ印刷層を施した側断面図であり、(b)は、本発明のこのベタ印刷層がオーバーコート層を兼用した事例の図である。
【図8】参考例や本発明の像変化機能を有する媒体の他の一実施の形態を示すもので、(a)は、その参考例の裏面にベタ印刷層を施した側断面図であり、(b)は、本発明のこのベタ印刷層がオーバーコート層を兼用した事例の図である。
【符号の説明】
1‥‥像変化機能を有するカード
10‥‥透明プラスチックシート
12‥‥印字部
20‥‥表面万線パターン
20a‥‥曲線状の表面万線パターン
22‥‥潜像部
24‥‥表面万線パターンの非潜像部
30‥‥裏面万線パターン
34‥‥裏面万線パターンの非潜像部
40‥‥オーバーコート層
50‥‥ベタ印刷層
52‥‥オーバーコート層を兼ね備えたベタ印刷層
D‥‥透明プラスチックシートの厚さ
S‥‥万線パターンの間隔
W‥‥万線パターンの線幅
Claims (4)
- 透明なセンター基材シートの表裏面の一部領域もしくは全域に、同一形状の万線が見当が合った状態で形成された媒体であって、表裏どちらか一方の面に形成された万線は、潜像部と非潜像部とでなり、もう一方の面に形成された万線は、非潜像部と潜像部とでなり、全ての万線が平行に形成され、前記非潜像部を形成する万線は前記潜像部を形成する万線に対し1/2ピッチずれた万線からなり、前記表裏面の潜像部は表裏同一位置とならないように配置されており、前記表裏どちらか一方の面に形成された万線を覆うように、該万線およびもう一方の面に形成された万線を引き立たせる背景色でなるべタ印刷層が施されていることを特徴とする像変化機能を有する媒体。
- 前記万線は、直線、曲線もしくは幾何学的紋様であることを特徴とする請求項1記載の像変化機能を有する媒体。
- 前記万線の線幅は、0.1〜0.5mmの範囲で、その間隔は、該線幅と略同一であることを特徴とする請求項1または2記載の像変化機能を有する媒体。
- 前記センター基材の厚さは、0.1〜1.0mmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の像変化機能を有する媒体。
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