JP4016334B2 - ロボット制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、教示再生方式のロボット制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、教示再生方式の産業用ロボットは多くの製造現場で多用されて、省力化あるいは生産速度の向上を通じて生産性の向上に貢献している。産業用ロボットが使用される製造工程の中には、その作業量あるいは生産量が長さで把握される分野がある。溶接、切断、シーリング(のり付け)などである。
例えば、アーク溶接の分野では、溶接対象物の継ぎ手長さ(溶接長)は、当該対象物の設計段階において必要十分な長さが選択されているので、生産現場では溶接長を管理して、決められた長さの溶接継ぎ手が形成されるように注意を払う必要がある。溶接長が不足すれば、継ぎ手の強度が不足するし、溶接長が過剰ならば作業時間が長くなり生産性が低下するからである。
このようなロボットによる作業長さを管理する装置の例として、本願の出願人が先に出願した特許文献1がある。特許文献1には、アーク溶接用ロボットの作業プログラムを解析してロボットの動作軌跡(この場合は溶接トーチの先端の軌跡)を作業区間(この場合は実際に溶接を実行する区間)とエアカット区間(単なる移動であって、溶接を行わない区間)に分けて、作業区間の動作軌跡の長さを求めて、作業者に提示するロボット制御装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−222309号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のロボット制御装置は作業区間の長さ、つまり溶接長を求めて、表示する機能は備えていたが、当該溶接長が設計上規定された許容範囲の中にあるか否かを判断する機能を備えていなかったので、当該溶接長の良否の判断は作業者に委ねられていた。つまり、作業者がロボット制御装置に表示された溶接長を、溶接対象物の工作図等と対照して良否を確認していたのである。そのため、ヒューマンエラーが発生するという問題があった。
また、自動車産業等の分野ではある特定の製品が数年(つまり、自動車のモデルチェンジの間隔で決まる期間)に渡って生産されるので、溶接ロボットもその期間は同一の作業プログラムを繰り返し実行する。しかし、生産作業中に発生するマイナーな不具合を改善するために、前記作業プログラムは現場の作業者の手によって修正される。このとき、人間の自然な心理として、安全側に修正する気持ちが生じる。そのため、修正時の誤差によって溶接長が不足するよりは、長くなる方が良いと考えて、溶接長が長くなるような修正をしがちである。一回の修正による溶接長の増加は僅かでも、修正が繰り返されると、作業時間の増加、つまり生産性が低下するという問題があった。
そこで本発明は、ロボットの作業区間長さが規定の範囲内にあるかを検証し、範囲外である場合に警報を発して、作業者に再修正を促すことができるロボット制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、予め教示された作業プログラムに従ってロボットの動作を制御するロボット制御装置において、前記作業プログラム中の作業区間の長さを検出する作業区間長検出手段と、前記作業区間の長さの許容範囲を設定する作業区間長許容範囲設定手段と,前記作業区間長検出手段により検出された前記作業区間の長さと前記許容範囲を比較する作業区間長比較手段を備え、前記作業プログラムを修正した際に、修正後の作業区間の長さが前記許容範囲内を外れている場合に、警告を発するものである。また、請求項2の発明は、前記作業区間長検出手段で検出した作業区間の長さを教示手段に備えた表示器の画面に表示するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施例を示すロボット制御装置の構成図である。ロボット制御装置1は、ロボット2と溶接電源3を制御して、ロボット1によるアーク溶接作業を制御する装置である。ロボット制御装置1は中央処理装置(以下CPUという)20を備え、CPU20には、ROM21、RAM22、教示手段23、演算処理部24、I/Oインターフェイス25、軸制御器26が、バス27を介して接続されている。ROM21には、CPU20が実行すべき各種制御プログラムが格納されている。RAM22は不揮発性メモリであり、教示手段23 から入力された教示データや各種パラメータの設定値等のデータが格納されている。教示手段23は、ロボット2の操作に必要な数値制御・表示器,ランプ及び操作ボタンを有する。演算処理部24はロボット2の動作軌跡や各種制御条件などを演算する。I/Oインターフェイス25は溶接電源3と制御信号、状態信号を通信し、又、警報出力手段29にアラーム信号を出力する。軸制御器26は,ロボット2の各軸のサーボ回路28を介して各軸のサーボモータ(図示せず)に接続され,ロボット2を動作させる。以上の構成要素は、従来のアーク溶接用ロボットの制御装置と基本的に同一である。本発明のロボット制御装置はこれらに加えて、演算処理部24の内部に作業区間長検出手段10および作業区間長比較手段12を、教示手段23の内部に作業区間長許容範囲設定手段11を備えた事を特徴としている。
【0007】
図2は、前記ロボット制御装置の作用を説明する図である。教示手段23内に設けられた作業区間長許容範囲設定手段11は、作業区間長の許容範囲、つまり溶接長の上限と下限の値を作業者が入力する手段である。作業者がキー入力する手段であってもよいし、上位のシステム(いわゆるCAD,CAMシステム)からオンラインあるいはオフラインでデータを転送する手段であってもよい。作業区間長検出手段10は演算処理部24の内部にあって、作業プログラムを解析して作業区間の長さを演算によって求める。作業区間長比較手段12も演算処理部24内にあって、作業区間長検出手段10が求めた作業区間の長さと、作業区間長許容範囲設定手段11により設定された許容範囲を比較し、検出した作業区間の長さが設定された許容範囲に収まっていない場合、警報出力手段29を通じて警報を発するようになっている。
【0008】
図3は、本発明による作業区間の長さの管理方法を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを引用して管理方法を説明する。
(STEP1)まず、従来と同様に作業プログラムを作成する。
(STEP2)作業プログラム作成後、作業区間長検出手段10により作業プログラムが解析され、作業区間の長さが自動的に算出され、作業区間長許容範囲の基準値となる。ここでは、例として、作業区間の長さを300mmとする。
(STEP3)次に、算出された作業区間の長さを基準値として作業区間長許容範囲を設定する。例えば±5mmのように作業区間長許容範囲を設定する。この場合、上限値は305mm、下限値は295mmとなる。
(STEP4)作業区間長許容範囲の設定により、作業区間長の監視動作が開始される。
(STEP5)作業者が作業プログラムを修正して、作業区間のロボット位置(例えば、溶接開始点)を修正すると、作業区間長検出手段10が動作して、修正後の作業区間の長さを検出し、STEP3で設定された作業区間長許容範囲に収まっているかを監視する。
(STEP6)作業区間長許容範囲に収まっていない場合は、警報出力手段29を介して警報を発する。作業者は作業区間の長さが規定値に収まっているかどうかを気にすることなく、作業プログラムを修正することができる。
【0009】
以上のステップを実行することにより、作業プログラムを修正する際、作業区間の長さが規定の範囲内にあるかを監視し、範囲外である場合に警報を発することで、溶接継ぎ手の長さを確実に規定値通りにすることができるので、溶接品質を向上させることができる。
【0010】
図4は本発明の第2の実施例を示すロボット制御装置の構成図である。図1に示したロボット制御装置の構成に加えて、教示手段23に作業区間長表示手段13を付加した点が特徴である。作業区間長表示手段13は、例えばプログラミングペンダント(教示手段)の表面に配置されたLCD表示器の画面の一部を利用して、作業区間の長さを文字あるいは図形で表示できるものであればよい。
図5は教示手段23の表示画面の一例を示したものである。図5(a)は、作業区間の長さを変更する前の状態、図5(b)は、作業区間の長さを変更した後の状態を示す。図5(a)のステップ3およびステップ5には、作業プログラムに現在登録されている作業区間の長さが表示(L=300mm)されている。
表示画面の上部には作業区間長表示手段13が設けられ、ロボット2を動作させた現在の作業区間の動作軌跡長(L=302mm)が表示される。作業者は作業区間長表示手段13に表示される作業区間の動作軌跡長を見ながら、ロボットの位置を修正することができる。次に、この状態でロボット位置を修正する(作業区間の長さを変更する)と、設定された作業区間長許容範囲内(300mm±5mm)にあるので警告されずロボット位置が修正され、図5(b)の状態となる。すなわち、図5(b)において、ステップ3、ステップ5に、作業プログラムへの登録が更新された作業区間長が表示(L=302mm)される。
このように、教示手段23の画面上に現在の作業区間の長さを表示する作業区間長表示手段13を具備する構成をしているので、作業区間のロボット位置を修正する際、作業区間の動作軌跡長を瞬時に確認し、ロボット位置を短時間で修正することが可能となり,ロボットの教示作業が容易になると共に,作業区間の動作軌跡長を確実に規定値通りにすることができる。
【0011】
以上の実施例の説明では、溶接用ロボットにおいて溶接長を管理する例を取り上げたが、本発明の適用分野は溶接ロボットに限られる訳ではない。作業区間の長さを管理する必要のある分野、例えば切断、シーリング等の用途に用いられるロボットに適用できることは言うまでもない。
【0012】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のロボット制御装置によれば、作業プログラムを修正する際、作業区間の長さが規定の範囲内にあるかを監視し、範囲外である場合に警報を発することで、作業区間の長さを確実に規定値通りにすることができるという効果がある。したがって溶接継ぎ手の長さを常に規定値どおりに管理できるので、溶接品質を向上させることができる。
また、請求項2に記載のロボット制御装置によれば、作業プログラムを修正する際、作業区間の長さを瞬時に確認しロボット位置を短時間で修正することが可能となり,ロボットの教示作業が容易になると共に,作業区間の長さを確実に規定値通りにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すロボット制御装置の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施例を示す説明図である。
【図3】本発明による作業区間長さの管理方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施例を示すロボット制御装置の構成図である。
【図5】本発明の第2の実施例を示す教示手段の画面の一例である。
【符号の説明】
1ロボット制御装置、2ロボット、3溶接電源、10作業区間長検出手段、
11作業区間長許容範囲設定手段、12作業区間長比較手段、
13作業区間長表示手段、20CPU、21ROM、22RAM、23教示手段、
24演算処理部、25I/Oインターフェイス、26軸制御器、27バス、
28サーボ回路、29警報出力手段
Claims (2)
- 予め教示された作業プログラムに従ってロボットの動作を制御するロボット制御装置において、
前記作業プログラム中の作業区間の長さを検出する作業区間長検出手段と、前記作業区間の長さの許容範囲を設定する作業区間長許容範囲設定手段と,前記作業区間長検出手段により検出された前記作業区間の長さと前記許容範囲を比較する作業区間長比較手段を備え、
前記作業プログラムを修正した際に、修正後の作業区間の長さが前記許容範囲内を外れている場合に、警告を発することを特徴とするロボット制御装置。 - 前記作業区間長検出手段で検出した作業区間の長さを教示手段に備えた表示器の画面に表示することを特徴とする請求項1記載のロボット制御装置。
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